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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167550
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】消火栓装置
(51)【国際特許分類】
   A62C 35/20 20060101AFI20241127BHJP
   A62C 3/00 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
A62C35/20
A62C3/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083702
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127845
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 壽彦
(72)【発明者】
【氏名】米山 顕司
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189EB05
2E189EB09
(57)【要約】
【課題】従来の固定観念にとらわれず、内巻きの作業性を格段に向上させることができる消火栓装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る消火栓装置1は、消火用ホース3が内巻き回されたホースバケット5と、前面が開口しホースバケット5を収納するホースバケット収納部7を有する本体9と、本体9の前面に設けられた前面扉とを備えたものであって、
ホースバケット5は、下辺部を前方に引き出すことで、収納時に前面側となる面が上面となり収納時に奥側となる面が下面となるように傾けながら引き出し可能となっていることを特徴とするものである。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火用ホースが内巻き回されたホースバケットと、前面が開口し前記ホースバケットを収納するホースバケット収納部を有する本体と、前記本体の前面に設けられた前面扉とを備えた消火栓装置であって、
前記ホースバケットは、下辺部を前方に引き出すことで、収納時に前面側となる面が上面となり収納時に奥側となる面が下面となるように傾けながら引き出し可能となっていることを特徴とする消火栓装置。
【請求項2】
ホースバケットは、収納状態で下面の奥側となる辺部に設けた下部車輪と、収納状態で上部となる位置に設けた上部車輪と、を備え、
前記ホースバケット収納部は、引き出し時に前記下部車輪をガイドする下部ガイド部材と、引き出し時に前記上部車輪をガイドする上部ガイド部材とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の消火栓装置。
【請求項3】
前記前面扉が下辺を回動軸として前傾可能に構成され、前記前面扉を開放した状態で、該前面扉面上に前記下部ガイド部材に連続する前面扉側ガイド部材が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の消火栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル等に設置される消火栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばトンネル内に設置される消火栓装置は、筐体内にホース収納部を備え、該ホース収納部に内巻きされたホースが収納されている。ホースは、保形ゴム引布ホースという水が内部に入っていなくても、円筒形状を保持するホースが用いられる。
【0003】
消火栓装置は設置された後でも、放水試験を行なったときなど、ホースを巻きほどいてホース内に残った水を排水する必要がある。そのため、消火栓装置の設置現場において、巻きほどいたホースを再び作業者が内巻きして収容する必要がある。
【0004】
内巻きとは、ホース収納部という立てた状態の矩形状の枠の内側に、ホースを枠に対して内側から押し付けるようにして巻いて行く特殊な巻き方である。例えば、ホースリールにホースを巻くときは、芯材にホースを巻いて、下側のホースの上にさらにホースを巻き重ねるようにする。このようにホースを巻く場合でも、最初に芯材にホースをしっかりと巻いておかないと巻きが弛むので、最初に巻き締めを行う必要がある。これと同様に、内巻きの場合も、最初の巻きとなる最外周を巻くときに、ホースを内側から枠にしっかりと押し付けるようにする必要がある。
【0005】
しかしながら、ホースの巻き始めの最外周においては、巻きの径も大きいことから、自重によって巻きの上辺部が天井面から離れようとして接触が弱くなり、手前側への倒れ込みが生じ、作業性を損ねるという問題がある。このような倒れ込みを防止するためには、相当強い力でホースを枠に押し付けながら巻く必要から、内巻き作業は重労働となっており、この点でも作業性が悪いものとなっている。
【0006】
このような課題を解決するものとして、特許文献1に開示された消火栓装置においては、ホースの巻き状態における上辺部分に当接又は係止して巻かれたホースが手前に倒れないようにホースの姿勢を保持する姿勢保持手段を設けるという工夫がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017-136332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示のものは、立てた状態の矩形状の枠であるホース収納部にホースを内巻きするという従来からの固定観念を前提としており、作業性の向上には限界があった。
【0009】
本発明はかかる課題を解決するものであり、従来の固定観念にとらわれず、内巻きの作業性を格段に向上させることができる消火栓装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係る消火栓装置は、消火用ホースが内巻き回されたホースバケットと、前面が開口し前記ホースバケットを収納するホースバケット収納部を有する本体と、前記本体の前面に設けられた前面扉とを備えたものであって、
前記ホースバケットは、下辺部を前方に引き出すことで、収納時に前面側となる面が上面となり収納時に奥側となる面が下面となるように傾けながら引き出し可能となっていることを特徴とするものである。
【0011】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、ホースバケットは、収納状態で下面の奥側となる辺部に設けた下部車輪と、収納状態で上部となる位置に設けた上部車輪と、引き出し時に前記下部車輪をガイドする下部ガイド部材と、引き出し時に前記上部車輪をガイドする上部ガイド部材とを備えたことを特徴とするものである。
【0012】
(3)また、上記(2)に記載のものにおいて、前記前面扉が下辺を回動軸として前傾可能に構成され、前記前面扉を開放した状態で、該前面扉面上に前記下部ガイド部材が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る消火栓装置においては、ホースバケットは、下辺部を前方に引き出すことで、収納時に前面側となる面が上面となり収納時に奥側となる面が下面となるように傾けながら引き出し可能となっている。これによって、ホースバケットを本体から引き出し、かつ収納時に前面側となる面を上面としてホースバケットが傾いた状態、あるいは横に寝かせた状態での内巻き作業を可能にし、内巻きの作業性を格段に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態に係る消火栓装置の正面図である。
図2図1に示した消火栓装置の側面図である。
図3】消火栓装置の内部を正面から見た模式図である。
図4図1に示した消火栓装置の本体に収納されるホースバケットの説明図であり、図4(a)は正面図、図4(b)は図4(a)の矢視A-A断面図、図4(c)は図4(a)の矢視B-B断面図である。
図5】ホースバケットを引き出している途中の状態を模式的に示す図である(その1)。
図6】ホースバケットを引き出している途中の状態を模式的に示す図である(その2)。
図7】実施の形態の他の態様の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施の形態に係る消火栓装置1は、図1図4に示すように、消火用ホース3が内巻き回されたホースバケット5と、前面が開口しホースバケット5を収納するホースバケット収納部7を有する本体9と、本体9の前面に設けられた前面扉としての前面パネル11とを備えている。
本明細書において「前面」「背面」は、消火栓装置1を例えばトンネル内の監視員通路に設置した状態において、車道側を前面、トンネルの壁面側を背面としている。また、前面側から背面側に至る方向を奥行き方向としている。
以下、各構成を詳細に説明する。
【0016】
<本体>
本体9は、図1図4に示すように、前面が開口した矩形の箱状の筺体からなり、本体9内にはホースバケット5を収納するホースバケット収納部7が設けられている。
また、図1図4に示すように、本体9の図中左側には、消火器13を収納するための消火器収納部15が設けられている。
【0017】
《ホースバケット収納部》
ホースバケット収納部7は、本体9内においてホースバケット5を収納する部位であり、ホースバケット収納部7の背面には、後述するホースバケット5の上部車輪31を案内する上部ガイド部材17が設けられている(図2参照)。
また、ホースバケット収納部7の底面には、後述するホースバケット5の下部車輪33が走行可能な下部ガイド部材19が設けられている(図3参照)。
【0018】
<ホースバケット>
ホースバケット5は、図4に示すように、矩形状の底板21と、底板21と同様に矩形状の天板23と、底板21と天板23を連結する柱材25と、柱材25の高さ方向中程に設けられて断面がコ字状の側板27とを備えている。柱材25は、底板21及び天板23の前面側と背面側にそれぞれ2本、合計で4本設けられている。これによって、底板21、天板23、柱材25及び側板27に囲まれた空間が形成され、この空間にホースが内巻きされている。
【0019】
ホースバケット5の底板21の中央には、ホースバケット5を引き出す際に掴むためのハンドル29が設けられている。
また、ホースバケット5の背面側の上部の左右には一対の上部車輪31が設けられている。さらに、ホースバケット5の底面の奥側の左右には、一対の下部車輪33が設けられている。
【0020】
<前面パネル>
前面パネル11は本願発明の前面扉に相当し、本体9の開口を覆うように設けられ、本体9におけるホースバケット収納部7に対応する位置に前傾式扉35が取り付けられ、また前面パネル11の図中左側には消火器扉37が開閉可能に設けられている。
前面パネル11の下辺には蝶番39が設けられており、前面パネル11は下辺を支点として前方に90°回動して、図5に示すように、前面パネル11の正面側が設置面に接地可能に構成されている。
また、前面パネル11の内面の左右両側には、下部車輪33に対応する位置にホースバケット収納部7に設けられた下部ガイド部材19に連続する前面パネル側ガイド部材41が設けられている(図5参照)。
【0021】
また、前面パネル11の上部には、前面パネル11が本体9の前面開口の閉鎖状態を保持し、また該保持を解除可能に設けられた前面パネル保持機構としてのパネル開閉レバー43が設けられている。
パネル開閉レバー43における本体9の内部側には、前面パネル11と係止する係止部(図示なし)が設けられ、該係止部は前面パネル11が閉止状態では前面パネル11と係止して前面パネル11の閉止状態を保持する。パネル開閉レバーを回動させることで、前記係止が外れて前面パネル11は前方側に回動可能になる。
【0022】
<前傾式扉>
前傾式扉35は板状の金属板から構成された横長の矩形状をしており、下辺両端に蝶番45が設けられ、図1に示す閉鎖状態から、略180°開くことができる。
前傾式扉35の背面側には、消火ノズル46を着脱可能に固定するノズル固定部47及び、消火用ホース3に消火水を供給する消火水供給管路に設けられた消火栓弁(図示なし)を開閉操作する操作レバー49が設けられている。
【0023】
以上のように構成された本実施の形態の消火栓装置1において、消火用ホース3を内巻きする際には、図5に示すように、前面パネル11を回動して90°開いた状態にし、ハンドル29を持ってホースバケット5の下部を手前側に引き出す。
このとき、ホースバケット5の上部車輪31が上部ガイド部材17にガイドされ、また下部車輪33が下部ガイド部材19及び前面パネル側ガイド部材41を走行し、収納時に前面側となる面が上面となり収納時に奥側となる面が下面となるように傾きながら引き出される。
ホースバケット5を完全に引き出した状態では、図6に示すように、ホースバケット5を横に寝かした状態にすることができる。この状態であれば、消火用ホース3を内巻きする際に消火用ホース3が前面側に倒れることがなく、作業性よく内巻きすることができる。
【0024】
なお、上記の説明では、上部車輪31は、ホースバケット5の上部背面側に設けた例であった。しかし、本発明の上部車輪31はこれに限定されるものではなく、例えば図7(a)に示すように、ホースバケット5の側板27を上端まで延出して設け、この側板27に回動可能(図中の矢印参照)な取付板51を設置し、この取付板51に所定間隔を離して一対の車輪53を回転自在に設け態様でもよい。
この場合には、上部ガイド部材17としては、図7(b)に示すように、一対の車輪53に挟まれてガイドするガイドレールとすればよい。
【0025】
また、上記の例では、本発明の前面扉に相当する前面パネル11に消火栓扉が設けられた例であり、この場合には前面パネル11が本願発明の前面扉に相当したが、消火栓扉がホースバケット5を引き出すことができる大きさで、かつ筐体の下部に回動軸があるような態様であれば、消火栓扉が前面扉に相当する場合もある。
【0026】
また、上記の例では、ホースバケット5を横寝かしの状態(図6参照)にするものであったが、本発明のホースバケット5は横寝かしになるまで引き出される必要はなく、例えば図5に示すような斜めの状態であってもよい。ホースバケット5を斜めの状態に引き出せれば内巻きすることができ、かつホースの倒れ込み防止という効果を奏することができる。
【0027】
本実施の形態ではホースバケット5に上部車輪31および下部車輪33を設けたが、上部車輪31および下部車輪33がなくてもホースバケット5が前面パネル11の背面側をスライドできればよく、例えばホースバケット5の下面と前面パネル11の背面側を平滑にするだけでもよい。
【0028】
また、本実施の形態では前面パネル11が消火器収納部15の前面までを含んで回動可能としているが、消火器収納部15の前面とホースバケット収納部7の前面とで分かれていてもよく、そうすることでホースバケット収納部7の前面のみを開口することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 消火栓装置
3 消火用ホース
5 ホースバケット
7 ホースバケット収納部
9 本体
11 前面パネル
13 消火器
15 消火器収納部
17 上部ガイド部材
19 下部ガイド部材
21 底板
23 天板
25 柱材
27 側板
29 ハンドル
31 上部車輪
33 下部車輪
35 前傾式扉
37 消火器扉
39 蝶番
41 前面パネル側ガイド部材
43 パネル開閉レバー
45 蝶番
46 消化ノズル
47 ノズル固定部
49 操作レバー
51 取付板
53 車輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7