(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167552
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】制御装置、制御システム、制御方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/65 20180101AFI20241127BHJP
【FI】
G06F8/65
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083707
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】後藤 潤
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376CA05
5B376CA23
5B376CA55
5B376GA08
(57)【要約】
【課題】制御装置のソフトウェアの更新を低コストで行う。
【解決手段】第1の制御装置100に第1の通信網CN1を介して接続している第2の制御装置200が、第1の制御装置100のソフトウェアを更新する。第2の制御装置200は、第1の制御装置100のソフトウェアの更新が開始する前に、第1の制御装置100のソフトウェアを第1の制御装置100から取得し、当該取得されたソフトウェアを第2の制御装置200の記憶部220に記憶する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と、制御部と、を有し、第1の制御装置に第1の通信網を介して接続された第2の制御装置であって、
前記制御部は、
前記第1の制御装置のソフトウェアを更新する更新処理部と、
前記第1の制御装置のソフトウェアの更新が開始する前に、前記第1の制御装置のソフトウェアを前記第1の制御装置から取得し、当該取得されたソフトウェアを前記記憶部に記憶するソフトウェア取得処理部と、を有する、第2の制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の制御装置のソフトウェアの更新が行われている間、前記記憶部に記憶された前記第1の制御装置のソフトウェアに用いて、前記第1の制御装置の機能を代行する代行処理部と、有する請求項1に記載の第2の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の制御装置のソフトウェアの更新用データが他の装置に存在するならば、当該更新用データを取得し、当該取得された更新用データを前記記憶部に記憶する更新用データ取得処理部をさらに有し、
前記ソフトウェア取得処理部は、前記更新用データ取得処理部により前記更新用データが取得されたならば、前記第1の制御装置のソフトウェアを前記第1の制御装置から取得し、当該取得されたソフトウェアを前記記憶部に記憶し、
前記更新処理部は、前記第1の制御装置のソフトウェアが前記記憶部に記憶されたならば、前記更新用データ取得処理部により取得された更新用データを用いて、前記第1の制御装置のソフトウェアの更新を開始する、請求項1に記載の第2の制御装置。
【請求項4】
前記更新処理部は、前記第1の制御装置のソフトウェアの更新が成功しなかったならば、前記記憶部に記憶されたソフトウェアを、前記第1の制御装置にインストールする、請求項1に記載の第2の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の制御装置のソフトウェアの更新用データが他の装置に存在するならば、当該更新用データを取得する更新用データ取得処理部をさらに有し、
前記ソフトウェア取得処理部は、前記更新用データ取得処理部により前記更新用データが取得されたならば、前記第1の制御装置のソフトウェアを前記第1の制御装置から取得し、当該取得されたソフトウェアを前記記憶部に記憶し、
前記代行処理部は、前記第1の制御装置のソフトウェアが前記記憶部に記憶されたならば、前記記憶部に記憶された前記第1の制御装置のソフトウェアに用いて、前記第1の制御装置の機能を代行し、
前記更新処理部は、前記代行処理部による前記第1の制御装置の機能の代行が開始されたならば、前記更新用データ取得処理部により取得された更新用データを用いて、前記第1の制御装置のソフトウェアの更新を開始する、請求項2に記載の第2の制御装置。
【請求項6】
前記第1の制御装置および前記第2の制御装置は、車両の内部に設置されており、
前記外部装置は、前記車両の外部に設置されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の第2の制御装置。
【請求項7】
複数の第1の制御装置と、
前記複数の第1の制御装置に前記第1の通信網を介して接続された請求項1から5のいずれか一項に記載の第2の制御装置と、を有する制御システム。
【請求項8】
複数の請求項1から5のいずれか一項に記載の第2の制御装置と、
前記複数の第2の制御装置に第2の通信網を介して接続された第3の制御装置と、を有する制御システム。
【請求項9】
第1の制御装置に第1の通信網を介して接続している第2の制御装置により実行される制御方法であって、
前記第1の制御装置のソフトウェアを更新する更新処理工程と、
前記第1の制御装置のソフトウェアの更新が開始する前に、前記第1の制御装置のソフトウェアを前記第1の制御装置から取得し、当該取得されたソフトウェアを前記第2の制御装置の記憶部に記憶するソフトウェア取得処理工程と、を有する、制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の制御方法を、コンピュータに実行させる制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御システム、制御方法、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の電装部品を制御するECU(Electronic Control Unit)のソフトウェアを更新する方法として、無線通信を用いた方法(OTA(Over The Air)アップデート)がある。例えば、特許文献1は、ゾーン方式の制御システムにおいて、OTAアップデートを用いて、ECUのソフトウェアを更新する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ソフトウェアの更新には、シングルバンク構成とデュアルバンク構成とがあり、シングルバンク構成の方が低コストである。しかしながら、ECUの更新をシングルバンク構成で行った場合、ECUのソフトウェアの更新中に、更新前のECUのソフトウェアをECUに記憶し続けることができず、ECUのソフトウェアの更新が失敗した際に、ECUのソフトウェアの復元を行うことができない。また、ECUの更新をシングルバンク構成で行った場合、ECUのソフトウェアの更新中に、ECUの機能を実行することもできない。
【0005】
そこで、本発明は、制御装置のソフトウェアの更新を低コストで行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る一実施形態に係る制御装置は、記憶部と、制御部と、を有し、第1の制御装置に第1の通信網を介して接続された第2の制御装置であって、前記制御部は、前記第1の制御装置のソフトウェアを更新する更新処理部と、前記第1の制御装置のソフトウェアの更新が開始する前に、前記第1の制御装置のソフトウェアを前記第1の制御装置から取得し、当該取得されたソフトウェアを前記記憶部に記憶するソフトウェア取得処理部と、を有する。
【0007】
本発明に係る一実施形態に係る制御システムは、複数の第1の制御装置と、前記複数の第1の制御装置に前記第1の通信網を介して接続された上記第2の制御装置と、を有する
【0008】
本発明に係る一実施形態に係る制御システムは、複数の上記第2の制御装置と、前記複数の第2の制御装置に第2の通信網を介して接続された第3の制御装置と、を有する。
【0009】
本発明に係る一実施形態に係る制御方法は、第1の制御装置に第1の通信網を介して接続している第2の制御装置により実行される制御方法であって、前記第1の制御装置のソフトウェアを更新する更新処理工程と、前記第1の制御装置のソフトウェアの更新が開始する前に、前記第1の制御装置のソフトウェアを前記第1の制御装置から取得し、当該取得されたソフトウェアを前記第2の制御装置の記憶部に記憶するソフトウェア取得処理工程と、を有する。
【0010】
本発明に係る一実施形態に係る制御プログラムは、上記制御方法を、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、制御装置のソフトウェアの更新を低コストで行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る制御システムを示す図である。
【
図4】第2の制御装置200の制御部210を示す図である。
【
図5】第1の制御装置100のソフトウェアの更新用データが他の装置に存在する際に第2の制御装置200の制御部210において実行される処理動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<制御システム>
図1は、本発明の一実施形態に係る制御システムを示す図である。本実施形態に係る制御システムは、第1の制御装置100と、第2の制御装置200と、第3の制御装置300と、を有する。本実施形態に係る制御システムは、例えば、車両Mのゾーン方式の制御システムである。このとき、第1の制御装置100、第2の制御装置200、第3の制御装置300は、
図1に示すように、車両Mの内部に設置される。
【0014】
第1の制御装置100には、負荷Lや入力装置ID(例えば、スイッチ)、センサSEなどの機器が接続されている。第1の制御装置100は、当該第1の制御装置100に接続された機器に、情報(例えば、当該負荷Lの制御信号)を出力する。また、第1の制御装置100は、当該第1の制御装置100に接続された機器から、情報(例えば、入力装置IDに入力された情報や、センサSEのセンサ信号)の入力を受ける。
【0015】
制御システムが車両Mのゾーン方式の制御システムである場合、負荷Lは、車両Mの電装部品であり、例えば、車両のモータやヒータ、照明である。このとき、例えば、負荷Lがモータである場合、第1の制御装置100は、モータを制御するためのECUであり、負荷Lがヒータである場合、第1の制御装置100は、ヒータを制御するためのECUであり、負荷Lが照明である場合、第1の制御装置100は、照明を制御するためのECUである。
【0016】
第2の制御装置200は、第1の通信網CN1を介して、一又は複数の第1の制御装置100に接続されており、第2の制御装置200と当該第2の制御装置200に接続された第1の制御装置100は、第1の通信網CN1を用いて、通信を行う。第2の制御装置200は、例えば、第1の通信網CN1を用いて、当該第2の制御装置200に接続された第1の制御装置100に、情報(例えば、当該第1の制御装置100や当該第1の制御装置100に接続された負荷Lの制御のための情報)を送信する。また、第2の制御装置200は、例えば、第1の通信網CN1を用いて、当該第2の制御装置200に接続された第1の制御装置100から、情報(例えば、当該第1の制御装置100に記憶された情報や、当該第1の制御装置100に入力された情報)を受信する。
【0017】
制御システムが車両Mのゾーン方式の制御システムである場合、第2の制御装置200は、ゾーンECUである。ゾーン方式の制御システムでは、車両Mは複数のエリアに分割され、複数のエリアの各々に、1つのゾーンECUが配置されている。複数のエリアの各々において、ゾーンECUは、当該エリアに配置された負荷Lを制御するためのECUを管理する。このとき、第1の通信網CN1の通信規格は、例えば、イーサネット(Ethernet(登録商標))やCAN(Controller Area Network)、MOST(Media Oriented System Transport)、FlexRayである。第2の制御装置200がゾーンECUである場合、第2の制御装置200に、負荷Lや入力装置ID、センサSEなどの機器が接続されるようにしても良い。
【0018】
第3の制御装置300は、第1の通信網CN1とは異なる第2の通信網CN2を介して、複数の第2の制御装置200に接続されており、第3の制御装置300と第2の制御装置200は、第2の通信網CN2を用いて、通信を行う。第3の制御装置300は、例えば、第2の通信網CN2を用いて、第2の制御装置200に、情報(例えば、第2の制御装置200や第1の制御装置100、第1の制御装置100に接続された負荷Lの制御のための情報や、第2の制御装置200のソフトウェアや第1の制御装置100のソフトウェアの更新用データ)を送信する。また、第3の制御装置300は、例えば、第2の通信網CN2を用いて、第2の制御装置200から、情報(例えば、第2の制御装置200や第1の制御装置100に記憶された情報や、第2の制御装置200が第1の制御装置100から受信した情報)を受信する。
【0019】
制御システムが車両Mのゾーン方式の制御システムである場合、第3の制御装置300は、セントラルECUである。このとき、第2の通信網CN2の通信規格は、例えば、例えば、イーサネット(Ethernet(登録商標))である。
【0020】
第3の制御装置300は、第1の通信網CN1、第2の通信網CN2とは異なる第3の通信網CN3を介して、外部装置EDに接続されており、第3の制御装置300と外部装置EDは、第3の通信網CN3を用いて、通信を行う。
【0021】
制御システムが車両Mのゾーン方式の制御システムである場合、外部装置EDは、車両Mの外部に設置される。このとき、第3の通信網CN3は、例えば、無線通信RC(例えば、携帯電話通信網や近距離無線通信(例えば、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標))やインターネットINを含む通信網であり、第3の制御装置300は、例えば、無線通信RCを介して、インターネットINに接続される。
【0022】
<第1の制御装置100>
図2は、第1の制御装置100を示す図である。第1の制御装置100は、当該第1の制御装置100に接続された負荷Lを制御する。第1の制御装置100は、制御部110と、記憶部120と、通信部130と、入力部140と、出力部150と、を有する。
【0023】
制御部110は、コンピュータにより構成された情報処理装置である。記憶部120は、メモリなどの情報を記憶するための記憶装置である。通信部130は、第1の通信網CN1を介して第2の制御装置200との間で情報の送受信を行うための通信装置である。入力部140は、入力装置IDやセンサSEからの情報の入力を受けるための装置である。出力部150は、負荷Lへの情報の出力を行うための装置である。
【0024】
制御部110は、第1の制御装置100に接続された負荷Lを制御する。制御部110は、例えば、通信部130による通信を用いて受信した情報(例えば、他の第1の制御装置や、第2の制御装置200、第3の制御装置300、外部装置から送信された情報)や入力部140に入力された情報(例えば、入力部140に接続された入力装置IDやセンサSEからの情報)に基づいた情報を出力部150から負荷Lに出力することで、負荷Lを制御する。
【0025】
制御部110は、入力部140に入力された情報(例えば、入力部140に接続された入力装置IDやセンサSEからの情報)を、通信部130による通信を用いて、他の装置(他の第1の制御装置100や、第2の制御装置200、第3の制御装置300、外部装置ED)に送信する。
【0026】
記憶部120は、上記制御を含む第1の制御装置100の機能を制御部110が実行するためのソフトウェア(第1の制御装置100のソフトウェア)を記憶している。
【0027】
また、記憶部120は、第1の制御装置100のソフトウェアの他に、第2の制御装置200と連携し、後述する第2の制御装置200による第1の制御装置100の機能の代行のためのソフトウェア(代行ソフトウェア)も記憶している。制御部110は、この代行ソフトウェアを用いて、後述する第2の制御装置200による第1の制御装置100の機能の代行が行われている間、記憶部120に記憶された第1の制御装置100のソフトウェアの無効化を行う。
【0028】
<第2の制御装置200>
図3は、第2の制御装置200を示す図である。第2の制御装置200は、制御部210と、記憶部220と、第1の通信部230と、第2の通信部240と、を有する。
【0029】
制御部210は、コンピュータにより構成された情報処理装置である。記憶部220は、メモリなどの情報を記憶するための記憶装置である。記憶部220は、例えば、複数のバンクを有するメモリである。第1の通信部230は、第1の通信網CN1を介して第1の制御装置100との間で情報の送受信を行うための通信装置である。第2の通信部240は、第2の通信網CN2を介して他の装置(例えば、第3の制御装置300や外部装置ED、他の第2の制御装置200、他の第2の制御装置200に接続された第1の制御装置100)との間で情報の送受信を行うための通信装置である。
【0030】
図4は、第2の制御装置200の制御部210を示す図である。制御部210は、更新用データ取得処理部211と、ソフトウェア取得処理部212と、更新処理部213と、を有する。
【0031】
更新用データ取得処理部211は、当該第2の制御装置200に接続された第1の制御装置100のソフトウェアの更新用データが他の装置(例えば、第3の制御装置300や外部装置ED)に存在するならば、第2の通信部240による通信を用いて、当該更新用データを取得し、当該取得された更新用データを記憶部220に記憶する。更新用データを外部装置EDから取得する場合、更新用データ取得処理部211は、第3の通信網CN3、第3の制御装置300、および第2の通信網CN2を介して、更新用データを外部装置EDから取得する。
【0032】
ソフトウェア取得処理部212は、更新用データ取得処理部211により更新用データが取得されたならば、第1の通信部230による通信を用いて、当該更新用データに対応する第1の制御装置100のソフトウェアを当該第1の制御装置100から取得し、当該取得されたソフトウェアを記憶部220に記憶する。
【0033】
更新処理部213は、第1の制御装置100のソフトウェアの更新用データが記憶部220に記憶されたならば、当該更新用データを用いて、当該更新用データに対応する第1の制御装置100のソフトウェアを更新する。
【0034】
更新処理部213は、第1の制御装置100のソフトウェアの更新の処理が終了したなら、当該第1の制御装置100のソフトウェアの更新が成功したのか否かを確認する。更新処理部213は、例えば、第1の制御装置100において更新後のソフトウェアのアクティベートが成功したならば、第1の制御装置100のソフトウェアの更新が成功したと判断し、第1の制御装置100におけて更新後のソフトウェアのアクティベートが成功しなかったならば、第1の制御装置100のソフトウェアの更新が成功しなかったと判断する。
【0035】
そして、更新処理部213は、第1の制御装置100のソフトウェアの更新が成功したならば、記憶部220に記憶された第1の制御装置100のソフトウェアおよび更新用データを消去する。
【0036】
更新処理部213は、第1の制御装置100のソフトウェアの更新が成功しなかったならば、記憶部220に記憶された第1の制御装置100のソフトウェアを、第1の制御装置100にインストールする。更新処理部213は、第1の制御装置100のインストールの終了後に、第1の制御装置100のインストールが成功したならば、記憶部220に記憶された第1の制御装置100のソフトウェアおよび更新用データを消去し、第1の制御装置100のインストールが成功しなかったならば、あらためて、記憶部220に記憶された第1の制御装置100のソフトウェアを、第1の制御装置100のインストールを開始する。
【0037】
このとき、更新処理部213は、例えば、第1の制御装置100においてインストール後のソフトウェアのアクティベートが成功したならば、第1の制御装置100のソフトウェアのインストールが成功したと判断し、第1の制御装置100におけてインストール後のソフトウェアのアクティベートが成功しなかったならば、第1の制御装置100のソフトウェアのインストールが成功しなかったと判断する。
【0038】
このように、本実施形態では、第1の制御装置100の更新が開始される前に、更新される前の第1の制御装置100のソフトウェアが第2の制御装置200の記憶部220に記憶される。このため、本実施形態では、第1の制御装置100の更新が成功しなかった場合に、第2の制御装置200の記憶部220に記憶された第1の制御装置100のソフトウェアを用いて、第1の制御装置100のソフトウェアを更新前の状態に復元することが可能である。特に、本実施形態では、第1の制御装置100のソフトウェアの更新をシングルバンク構成で行った場合であっても、つまり、第1の制御装置100のソフトウェアの更新中に更新前の第1の制御装置100のソフトウェアを第1の制御装置100の記憶部120に記憶することができない場合であっても、第1の制御装置100の更新が成功しなかった際に、第2の制御装置200の記憶部220に記憶された第1の制御装置100のソフトウェアを用いることで、第1の制御装置100のソフトウェアを更新前に状態に復元することが可能である。
【0039】
また、本実施形態に係る第2の制御装置200の制御部210は、
図4に示すように、代行処理部214をさらに有する。代行処理部214は、更新処理部213により第1の制御装置100のソフトウェアの更新が行われている間、記憶部220に記憶された当該第1の制御装置のソフトウェアに用いて、当該第1の制御装置100の機能を代行する。このとき、更新処理部213は、代行処理部214による第1の制御装置100の機能の代行が開始された後に、当該第1の制御装置100のソフトウェアの更新を開始するようにすると良い。
【0040】
代行処理部214は、第1の制御装置100の制御部110の代わりに、当該第1の制御装置100に接続された負荷Lを制御する。このとき、代行処理部214は、例えば、第1の通信部230による通信を用いて、第1の制御装置100の入力部140に入力された情報(例えば、入力部140に接続された入力装置IDやセンサSEからの情報)を取得し、当該取得した情報に基づいた情報を第1の制御装置100の出力部150から負荷Lに出力することで、負荷Lを制御する。また、代行処理部214は、第1の通信部230や第2の通信部240により受信した情報(例えば、他の第1の制御装置や、他の第2の制御装置200、第3の制御装置、外部装置EDから送信された情報)に基づいた情報を出力部150から負荷Lに出力することで、負荷Lを制御する。
【0041】
このため、本実施形態では、第1の制御装置100のソフトウェアの更新をシングルバンク構成で行ったとしても、第1の制御装置100のソフトウェアの更新中に、第1の制御装置100の機能を実行することが可能である。つまり、本実施形態では、第1の制御装置100のソフトウェアの更新をシングルバンク構成で行ったとしても、つまり、第1の制御装置100のソフトウェアの更新中に更新前の第1の制御装置100のソフトウェアを第1の制御装置100の記憶部120に記憶することができない場合であっても、第1の制御装置100の機能を中断することなく、第1の制御装置100のソフトウェアの更新を行うことが可能である。
【0042】
このとき、代行処理部214は、第1の制御装置100のソフトウェアの更新の処理の終了後、当該第1の制御装置100のソフトウェアの更新が成功したならば、当該第1の制御装置100の機能の代行を終了する。また、代行処理部214は、第1の制御装置100のソフトウェアの更新の処理の終了後、当該第1の制御装置100のソフトウェアの更新が成功しなかったならば、記憶部220に記憶されたソフトウェアの当該第1の制御装置100へのインストールが更新処理部213により行われている間も、当該第1の制御装置100の機能を代行する。そして、記憶部220に記憶されたソフトウェアの当該第1の制御装置100へのインストールのインストールが成功した後に、代行処理部214は、当該第1の制御装置100の機能の代行を終了する。
【0043】
そして、更新処理部213は、代行処理部214による当該第1の制御装置100の機能の代行が終了した後に、記憶部220に記憶された当該第1の制御装置100のソフトウェアを消去する。
【0044】
制御システムが車両Mのゾーン方式の制御システムである場合、車両Mのイグニッション電源がオフであるときにソフトウェア取得処理部212より第1の制御装置100のソフトウェアが記憶部220に記憶されたならば、代行処理部214は、すぐに第1の制御装置100の機能の代行を開始するのでなく、車両Mのイグニッション電源がオンになった後に、第1の制御装置100の機能の代行を開始するようにしても良い。つまり、代行処理部214は、ソフトウェア取得処理部212より第1の制御装置100のソフトウェアが記憶部220に記憶されたならば、車両Mのイグニッション電源がオンであるのか否かを確認するようにすると良い。そして、代行処理部214は、車両Mのイグニッション電源がオフであるならば、第1の制御装置100の機能の代行を開始せず、車両Mのイグニッション電源がオンであるならば、車両Mのイグニッション電源がオフであるならば、第1の制御装置100の機能の代行を開始するようにすると良い。
【0045】
<第2の制御装置200において実行される処理動作>
図5は、第1の制御装置100のソフトウェアの更新用データが他の装置に存在する際に第2の制御装置200の制御部210において実行される処理動作の一例を示す図である。
【0046】
更新用データ取得処理部211は、第2の通信部240による通信を用いて、他の装置から当該更新用データを取得し、当該取得された更新用データを記憶部220に記憶する(ステップS501)。
【0047】
ソフトウェア取得処理部212は、更新用データ取得処理部211により更新用データが取得されたならば、第1の通信部230による通信を用いて、当該更新用データに対応する第1の制御装置100のソフトウェアを当該第1の制御装置100から取得し、当該取得されたソフトウェアを記憶部220に記憶する(ステップS502)。
【0048】
代行処理部214は、ソフトウェア取得処理部212より第1の制御装置100のソフトウェアが記憶部220に記憶されたならば、記憶部220に記憶された当該第1の制御装置100のソフトウェアを用いて、当該第1の制御装置100の機能の代行を開始する(ステップS503)。
【0049】
更新処理部213は、代行処理部214により第1の制御装置100の機能の代行が開始されたならば、記憶部220に記憶された更新用データを用いて、当該第1の制御装置100のソフトウェアの更新を開始する(ステップS504)。
【0050】
第1の制御装置100のソフトウェアの更新が終了したならば(ステップS505、YES)、更新処理部213は、当該第1の制御装置100のソフトウェアの更新が成功したのか否かを確認する(ステップS506)。
【0051】
第1の制御装置100のソフトウェアの更新が成功したならば(ステップS506、YES)、代行処理部214は、第1の制御装置100の機能の代行を終了し(ステップS507)、更新処理部213は、記憶部220に記憶された第1の制御装置100のソフトウェアと更新用データを消去する(ステップS508)。
【0052】
第1の制御装置100のソフトウェアの更新が成功しなかったならば(ステップS506、NO)、更新処理部213は、記憶部220に記憶された第1の制御装置100のソフトウェアを、第1の制御装置100にインストールする(ステップS509)。第1の制御装置100のソフトウェアのインストールが成功したならば(ステップS510、YES)、代行処理部214は、第1の制御装置100の機能の代行を終了し(ステップS507)、更新処理部213は、記憶部220に記憶された第1の制御装置100のソフトウェアと更新用データを消去する(ステップS508)。第1の制御装置100のソフトウェアのインストールが成功しなかったならば(ステップS510、NO)、更新処理部213は、記憶部220に記憶された第1の制御装置100のソフトウェアの第1の制御装置100へのインストールをあらためて行う(ステップS509)。
【0053】
制御システムが車両Mのゾーン方式の制御システムである場合、車両Mのイグニッション電源がオフであるときに第1の制御装置100の更新用ソフトウェアが他の装置に存在していることが判明したならば、制御部210は、車両Mのイグニッション電源がオフである間は、ステップ501、ステップ502の処理のみを実行し、ステップS503からステップS508までの処理は、車両Mのイグニッション電源がオンになった後に実行するようにしても良い。つまり、この場合、上記ステップS503において、代行処理部214は、車両Mのイグニッション電源がオンになったならば、記憶部220に記憶された当該第1の制御装置100のソフトウェアを用いて、当該第1の制御装置100の機能の代行を開始するようにしても良い。
【0054】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に記載した本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【符号の説明】
【0055】
100 第1の制御装置
110 制御部
120 記憶部
130 通信部
140 入力部
150 出力部
200 第2の制御装置
210 制御部
211 更新用データ取得処理部
212 ソフトウェア取得処理部
213 更新処理部
214 代行処理部
300 第3の制御装置