(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167553
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】ロボット用補助カバー又はロボット用補助カバーの装着構造
(51)【国際特許分類】
B25J 19/00 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
B25J19/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083710
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】593208751
【氏名又は名称】株式会社ナベル
(71)【出願人】
【識別番号】500282427
【氏名又は名称】東レインターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094156
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 民安
(72)【発明者】
【氏名】立石 洋三
(72)【発明者】
【氏名】永井 宏知
(72)【発明者】
【氏名】山下 将史
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS13
3C707BS09
3C707CY25
3C707CY29
3C707CY37
3C707HS27
(57)【要約】
【課題】ロボット用保護カバーの交換作業頻度を大きく低減するとともに、誤ってケーブルのコネクタが外されたりする等の事態も有効に防止することができる新規なロボット用補助カバー等を提供する。
【解決手段】産業用ロボット100を構成する本体部101、アーム部110又は関節部の少なくとも何れかの全部又は一部を取り囲む面積を有する補助カバー本体21と、この補助カバー本体21を上記産業用ロボット100の外側に対して装着する装着手段21c,22cと、を備えてなるとともに、上記補助カバー本体21は、上記産業用ロボット100に装着された保護カバー1の外側において、該産業用ロボット100を構成する本体部101、アーム部110又は関節部の少なくとも何れかの全部又は一部を取り囲み、上記装着手段21,22を介して該保護カバーに着脱自在に装着される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用ロボットを構成する本体部、アーム部又は関節部の少なくとも何れかの全部又は一部を取り囲む面積を有する補助カバー本体と、
この補助カバー本体に配置され、上記産業用ロボットの外側に対して該補助カバー本体を着脱自在に装着する装着手段と、を備えてなるとともに、
上記補助カバー本体は、上記産業用ロボットに装着された保護カバーの外側において、該産業用ロボットを構成する本体部、アーム部又は関節部の少なくとも何れかの全部又は一部を取り囲み、上記装着手段を介して該保護カバーの外側に着脱自在に装着されるものであることを特徴とするロボット用補助カバー。
【請求項2】
産業用ロボットを構成する本体部、アーム部又は関節部の少なくとも何れかの全部又は一部を取り囲むとともに重なり代を有する面積を備え、表面全体には一方の係止部が形成された布帛からなる補助カバー本体と、
この補助カバー本体を構成する上記重なり代の表面又は裏面の何れかに固定され上記一方の係止部に係止される他方の係止部が形成された面状係止シート体と、
を備えてなるとともに、
上記補助カバー本体は、上記産業用ロボットに装着された保護カバーの外側において、該産業用ロボットを構成する本体部、アーム部又は関節部の少なくとも何れかの全部又は一部を取り囲み、該補助カバー本体を構成する上記一方の係止部と上記面状係止シート体を構成する他方の係止部とが互いに係止されることにより該保護カバーに着脱自在に装着されるものであることを特徴とするロボット用補助カバー。
【請求項3】
前記補助カバー本体は織布や編物又は不織布等からなる布帛であり、前記一方の係止部は、該布帛を構成する糸の一部がループ状に成形されてなるものであるとともに、
上記糸は、断面形状が円形以外の三角状,方形状,菱形状又は星型状等の異形形状に成形されてなる複数の繊維からなることを特徴とする請求項2記載のロボット用補助カバー。
【請求項4】
本体部、アーム部又は関節部を備えた産業用ロボットに保護カバーが装着され、
この保護カバーの外側には、上記産業用ロボットを構成する本体部、アーム部又は関節部の少なくとも何れかの全部又は一部を取り囲む面積を有する補助カバーが配置されてなるとともに、
上記補助カバーは、上記保護カバーの外側において、該補助カバーに設けられた第1の装着手段、該補助カバー及び上記保護カバーとは別個独立した器具からなる第2の装着手段、上記保護カバーのみに設けられた第3の装着手段、一部は上記補助カバーに設けられ他の一部は上記保護カバーに設けられた第4の装着手段の何れかの装着手段により、上記保護カバーの外側に上記補助カバーが着脱自在に装着されてなるものであることを特徴とするロボット用補助カバーの装着構造。
【請求項5】
本体部、アーム部又は関節部を備えた産業用ロボットに保護カバーが装着され、
この保護カバーの外側には、上記産業用ロボットを構成する本体部、アーム部又は関節部の少なくとも何れかの全部又は一部を取り囲むとともに重なり代を有する面積を備え、且つ表面全体には一方の係止部が形成された布帛からなる補助カバー本体と、
上記補助カバー本体を構成する上記重なり代の表面又は裏面の何れかに固定され上記一方の係止部に係止される他方の係止部が形成された面状係止シート体と、を備えたロボット用補助カバーにより、
上記保護カバーの外側に上記補助カバー本体が着脱自在に装着されてなることを特徴とするロボット用補助カバーの装着構造。
【請求項6】
前記補助カバー本体は織布や編物又は不織布等からなる布帛であり、前記一方の係止部は、該布帛を構成する糸の一部がループ状に成形されてなるものであるとともに、
上記糸は、断面形状が円形以外の三角状,方形状,菱形状又は星型状等の異形形状に成形されてなる複数の繊維からなることを特徴とする請求項5記載のロボット用補助カバーの装着構造。
【請求項7】
前記ロボット用補助カバーは、前記第4の装着手段の一部を構成する一方の係止部が裏面全体に形成された布帛であり、
前記保護カバーの外側面には、前記第4の装着手段の他の一部を構成するとともに、上記一方の係止部に着脱自在に係止される他方の係止部が形成された面状係止シート体が一又は複数固定され、
上記面状係止シート体は、上記産業用ロボットの周回り方向に長さを有してなるか、又は該産業用ロボットの高さ方向に長さを有してなることを特徴とする請求項4記載ロボット用補助カバーの装着構造。
【請求項8】
前記ロボット用補助カバーは、布帛からなる補助カバー本体と、この補助カバー本体の裏面に一又は複数固定され、前記第4の装着手段の一部を構成する一方の面状ファスナーと、を備え、
前記保護カバーの外側面には、前記第4の装着手段の他の一部を構成するとともに、上記一方の面状ファスナーに着脱自在に係止される他方の面状ファスナーが、該一方の面状ファスナーの固定数に応じて固定され、
上記一方及び他方の面状ファスナーは、上記産業用ロボットの周回り方向に長さを有してなるか、又は該産業用ロボットの高さ方向に長さを有してなることを特徴とする請求項4記載ロボット用補助カバーの装着構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料、薬品又は食品等を噴射し撹拌し又は充填等の各種の動作を行う産業用ロボットに対して装着されるロボット用補助カバー又は該ロボット用補助カバーを用いたロボット用補助カバーの装着構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、被塗装物に対して液体塗料又は粉体塗料を吹き付ける作業や薬品又は食品の製造作業は、産業用ロボットにより自動的になされる場合が多い。例えば、上記液体塗料は、該液体塗料に揮発性(可燃性)の有機材料が多く含まれているため、作業者の人体に大きな悪影響を及ぼす場合が多い。そこで、こうした悪影響を回避する目的で、産業用ロボットに塗装ガンを取り付けた塗装ロボットが多用されている。こうした塗装ロボットは、上記被塗装物の用途や形状等に応じて、塗布層の厚みその他の条件に適合した状態で一連の塗装作業が完了するように、プログラムに従って制御されるように構成されている。また、上記薬品や食品においても、その製造過程では、所定のプログラムに従って制御される産業用ロボットが使用される頻度が高まっている。
【0003】
ところで、上記被塗装物に液体塗料が吹き付けられる工程や薬品又は食品等の製造工程で使用される撹拌ロボット又は材料添加ロボット等の各種産業用ロボットでは、該塗料又はそのミスト、液体状又は粉体状の薬品等の原料が上記産業用ロボットに付着する場合が多く、こうしたミストや原料により上記産業用ロボットの機械的動作に悪影響を及ぼす可能性や、該産業用ロボットに付着した塗料等が上記被塗装物に再付着したり、該付着した原料が撹拌容器内に落下・滴下したりする場合もあることから、これらの産業用ロボットに付着した塗料や材料等を該産業用ロボットから頻繁に除去する必要性もある。特に、二つ以上の(一方及び他方の)塗装ロボットが互いに向かい合った状態で配置され、該一方の塗装ロボットと他方の塗装ロボットとの間に被塗装物が配置され又はこれが通過する場合、該被塗装物を上記一方及び他方の塗装ロボットにより塗装する環境下においては、上記一方又は他方の塗装ロボットから吹き付けられた塗料が、上記他方又は一方の塗装ロボットに付着することも多い。
【0004】
そこで、こうした各種の事態を防止し該産業用ロボットを保護するだけではなく、上記塗料の再付着や滴下等を回避するために、該産業用ロボットの略全体を覆うロボット用保護カバーが使用されている。例えば上記塗装ロボットに装着される塗装ロボット用保護カバーとしては、以下に羅列する幾つかのものが提案されている(特許文献1,2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3190562号公報
【特許文献2】特開2011-183496号公報
【特許文献3】特開2016-203288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記それぞれの特許文献に開示されたロボット用保護カバーのみを使用する場合では、上記産業用ロボットの機械的動作に対する悪影響は防止されるものの、該産業用ロボットによる各種の動作により、ロボット用保護カバーの表面に対して上記塗料や材料が付着することは避けられず、こうした場合には、該ロボット用保護カバーを産業用ロボットから全て取り外し、新たなロボット用保護カバーを再度装着する作業(以下、こうした一連の作業を交換作業と言う。)が必須となる。こうした交換作業がされない場合には、該ロボット用保護カバーに付着した塗料や材料が上記被塗装物に再付着したり、該付着した原料が撹拌容器内に落下したりするなどの事態は、依然として解消されない。そして、こうしたロボット用保護カバーの交換作業を行うことは、以下に羅列する様々な課題が更に残る。
(1)上記ロボット用保護カバーの交換作業は、上記産業用ロボットの大きさや該ロボット用保護カバーの構造にも依るが、凡そ10~20分の時間を要する。こうした交換作業に要する時間は即ち産業用ロボットの停止時間(ロス時間)に等しいことから、個々の交換作業に要する時間が長ければ長い程その生産性は低下せざるを得ない。とりわけ、上記特許文献として記載した塗装ロボット用保護カバーでは、塗装用ロボットによる塗料の噴射により、比較的短時間に特定の部位に対して多量の塗料が付着することが多いため、生産性は格段に劣る。
(2)上記産業用ロボットには、ケーブルが配線され該ケーブルはコネクタにより本体部又はアーム、或いは該アームの先端に取り付けられた塗装ガン等に接続されている場合もあり、上記ロボット用保護カバーの交換作業に伴って上記コネクタが外れたり、一旦外したコネクタを再度接続する作業を怠ったりしたまま新たなロボット用保護カバーが装着される等の事態が散見され、適正な状態で上記産業用ロボットの駆動が開始されるまでに無駄な時間を要してしまう場合がある。
【0007】
そこで、本発明は、上述した従来の各種の産業用ロボットに対して、単体として装着されたロボット用保護カバーが有する課題を解決するために提案されたものであって、該ロボット用保護カバーの交換作業頻度を大きく低減するとともに、誤ってケーブルのコネクタが外されたりする等の事態も有効に防止することができる新規なロボット用補助カバー又は該ロボット用補助カバーを用いた補助カバーの装着構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであって、第1の発明(請求項1記載の発明)は、ロボット用補助カバーに係るものであって、産業用ロボットを構成する本体部、アーム部又は関節部の少なくとも何れかの全部又は一部を取り囲む面積を有する補助カバー本体と、この補助カバー本体に配置され、上記産業用ロボットの外側に対して該補助カバー本体を着脱自在に装着する装着手段と、を備えてなるとともに、上記補助カバー本体は、上記産業用ロボットに装着された保護カバーの外側において、該産業用ロボットを構成する本体部、アーム部又は関節部の少なくとも何れかの全部又は一部を取り囲み、上記装着手段を介して該保護カバーの外側に着脱自在に装着されるものであることを特徴とするものである。
【0009】
この第1の発明に係るロボット用補助カバーは、上記補助カバー本体と装着手段とから構成されている。上記補助カバー本体は、冒頭で説明した塗料、薬品又は食品等を噴射し撹拌し又は充填等の各種の動作を行う産業用ロボットの何れかの部位、すなわち該産業用ロボットを構成する本体部、アーム部又は関節部の少なくとも何れかの全部又は一部を取り囲む面積を有するものである。なお、この補助カバー本体は、上記面積を備えたものであれば、樹脂製シートや紙製シートであっても良いが、該補助カバーの表面(外側に露出した面)に付着した塗料等の液体や粉体が、該補助カバー本体に含浸され又は保持されて、これらが流れ落ちたり硬化した後に剥離したりすることが抑制されることが相当程度期待されるべき場合には、織布や編物又は不織布等からなる布帛とすることが望ましい。また、この補助カバー本体の形状は、方形状に限定されることなく、三角形状・台形状・円形状は勿論のこと、装着される産業用ロボットの各種の部位の形状や面積等に応じた幾何学的形状であっても良い。また、上記装着手段は、予め上記産業用ロボットに装着された保護カバーの外側において上記補助カバー本体を着脱自在に装着できるものであれば何れの構成であっても良い。また、この発明に係るロボット用補助カバーの内側に装着された上記保護カバーは、必ずしも産業用ロボットの全てを覆うものである必要はなく、アーム部や関節部等の複数個所を覆い、床上に支持される本体部やその一部は覆われていないものであっても良い。換言すれば、少なくとも、間に形成された関節部を介して互いに連結された複数のアームを覆う保護カバーの外側に配置されるのが、本発明に係るロボット用補助カバーである。
【0010】
そして、この第1の発明(及び第2の発明)に係るロボット用補助カバーは、上記補助カバー本体が上記産業用ロボットに装着された保護カバーの外側において、該産業用ロボットを構成する本体部、アーム部又は関節部の少なくとも何れかの全部又は一部を取り囲み、上記装着手段により該保護カバーに着脱自在に装着されるものである。換言すれば、本発明に係るロボット用補助カバーの最大の特徴は、上記構成以外に、上記産業用ロボットに装着された保護カバーの外側に着脱自在に装着されるものであるところにある。上記保護カバーは、先に記載したロボット用保護カバーであり、上記各特許文献に開示された各種のものを使用することができるばかりではなく、他の構成からなる保護カバーであっても良い。
【0011】
このように、本発明に係るロボット用補助カバーは、上記保護カバーの表面に着脱自在に装着されるものであることから、塗装用ロボットその他各種の産業用ロボットの使用により最も塗料その他の材料が付着する部位に応じて、このロボット用補助カバーを装着することにより、保護カバーへの塗料等の付着を大きく減少させることができる。そして、このロボット用補助カバーによれば、塗料その他の材料の付着の程度により、上記保護カバーの交換作業を何ら行うことなく、該ロボット用補助カバーの交換のみにより、塗料その他の材料が被塗装物や量産する各種の製品に再付着したり混入したりする等の悪影響を有効に防止することが可能となる。換言すれば、このロボット用補助カバーを使用することにより、該ロボット用補助カバーの交換作業は極めてスピーディーに行うことができるとともに、そもそも上記(ロボット用)保護カバーの交換頻度が大幅に減少することから、該保護カバーの交換作業に伴って発生するコネクタの外れや付け忘れ等の危険性も大きく解消することができるばかりではなく、該保護カバーの交換作業にこれまで要していたロス時間の多くを、本来の産業用ロボットによる塗装その他の駆動時間(処理時間又は生産時間等)に充てることができる。
【0012】
また、第2の発明(請求項2)記載の発明は、産業用ロボットを構成する本体部、アーム部又は関節部の少なくとも何れかの全部又は一部を取り囲むとともに重なり代を有する面積を備え、表面全体には一方の係止部が形成された布帛からなる補助カバー本体と、
この補助カバー本体を構成する上記重なり代の表面又は裏面の何れかに固定され上記一方の係止部に係止される他方の係止部が形成された面状係止シート体と、を備えてなるとともに、上記補助カバー本体は、上記産業用ロボットに装着された保護カバーの外側において、該産業用ロボットを構成する本体部、アーム部又は関節部の少なくとも何れかの全部又は一部を取り囲み、該補助カバー本体を構成する上記一方の係止部と上記面状係止シート体を構成する他方の係止部とが互いに係止されることにより該保護カバーに着脱自在に装着されるものであることを特徴とするものである。
【0013】
この第2の発明に係るロボット用補助カバーは、補助カバー本体と面状係止シート体とから構成されたものであり、上記補助カバー本体は、産業用ロボットを構成する本体部、アーム部又は関節部の少なくとも何れかの全部又は一部を取り囲むとともに重なり代を有する面積を備え、表面全体には一方の係止部が形成された布帛により構成されている。また、上記面状係止シート体は、上記重なり代の表面又は裏面の何れかに固定され上記一方の係止部に係止される他方の係止部が形成されたものである。なお、この面状係止シート体は、上記布帛である補助カバー本体を構成する重なり代の表面又は裏面の何れかに固定されている。上記面状係止シート体が上記補助カバー本体の表面に固定されている場合には、上記面状係止シート体が固定された部位を反転させることにより、該補助カバー本体の表面に対向させ、該補助カバー本体の表面に形成された一方の係止部に上記他方の係止部を係止させれば良いし、上記面状係止シート体が補助カバー本体の裏面に固定されている場合には、該上記面状係止シート体を反転させることなく、補助カバー本体の表面全体に形成された一方の係止面に上記他方の係止部を係止させれば良い。
【0014】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、上記第2の発明において、前記補助カバー本体は織布や編物又は不織布等からなる布帛であり、前記一方の係止部は、該布帛を構成する糸の一部がループ状に成形されてなるものであるとともに、上記糸は、断面形状が円形以外の三角状,方形状,菱形状又は星型状等の異形形状に成形されてなる複数の繊維からなることを特徴とするものである。
【0015】
この第3の発明に係るロボット用補助カバーでは、上記一方の係止部が、上記補助カバー本体である織布や編物又は不織布等からなる布帛を構成する糸の一部がループ状に成形されてなるものであり、このループ状に成形された一方の係止部が、上記面状係止シート体に形成された他方の係止部に係止される。そして、この第3の発明係るロボット用補助カバーでは、織布や編物又は不織布等からなる布帛を構成する糸は、断面形状が異形形状に成形された複数の繊維により上記糸が構成されている。この異形形状とは、円形以外の三角状,方形状,菱形状又は星型状等を指すものであり、異形形状であればこれらの断面形状で無くても良い。
【0016】
そして、こうした構成に係るロボット用補助カバーによれば、上述したように、ロボット用補助カバーに付着した塗料等の液体や粉体が、該布帛に含浸され又は保持されて、これらが流れ落ちたり硬化した後に剥離したりすることが抑制されるが、加えて、この第3の発明では、上記糸を構成する複数の繊維の断面形状が、異形形状に成形されてなることから、円形の断面形状を有する複数と比較した場合、該個々の繊維の表面積が増大し、塗料等の液体の含浸性や保持性をより一層向上させ、短時間に該液体が流れ落ちる等の事態を解消でき、また粉体が上記異形断面を有する繊維に付着した状態を維持することができることから、このロボット用補助カバー自体の交換頻度を減少させることができ、ひいてはより一層ロボット用補助カバー自体の交換作業に要するロス時間を低減することができる。
【0017】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)は上記ロボット用保護カバーの装着構造に係るものであって、本体部、アーム部又は関節部を備えた産業用ロボットに保護カバーが装着され、この保護カバーの外側には、上記産業用ロボットを構成する本体部、アーム部又は関節部の少なくとも何れかの全部又は一部を取り囲む面積を有する補助カバーが配置されてなるとともに、上記補助カバーは、上記保護カバーの外側において、該補助カバーに設けられた第1の装着手段、該補助カバー及び上記保護カバーとは別個独立した器具からなる第2の装着手段、上記保護カバーのみに設けられた第3の装着手段、一部は上記保護カバーに設けられ他の一部は上記補助カバーに設けられた第4の装着手段の何れかの装着手段により、上記保護カバーの外側に上記補助カバーが着脱自在に装着されてなるものであることを特徴とするものである。
【0018】
この第4の発明に係る上記ロボット用補助カバーの装着構造は、本体部、アーム部又は関節部を備えた産業用ロボットに保護カバーが装着され、この保護カバーの外側には、上記産業用ロボットを構成する本体部、アーム部又は関節部の少なくとも何れかの全部又は一部を取り囲む面積を有するロボット用補助カバーが配置されている。換言すれば、このロボット用補助カバーの装着構造では、上記ロボット用補助カバーが装着された部位は、上記保護カバーと該ロボット用補助カバーとの両方が重なり合った状態とされている。
【0019】
そして、上記ロボット用補助カバーは、上記保護カバーの外側において、ロボット用補助カバーに設けられた第1の装着手段、該ロボット用補助カバー及び上記保護カバーとは別個独立した器具からなる第2の装着手段、上記保護カバーのみに設けられた第3の装着手段、一部は上記保護カバーに設けられ他の一部は上記ロボット用補助カバーに設けられた第4の装着手段の何れかの装着手段により、上記保護カバーの外側に上記ロボット用補助カバーが着脱自在に装着されている。上記第1の装着手段の例としては、上記第1の発明を構成する装着手段であり、上記第2の発明であるロボット用補助カバーを構成する補助カバー本体の表面全体に形成された一方の係止部と、該補助カバー本体を構成する重なり代の表面又は裏面の何れかに固定され上記一方の係止部に係止される他方の係止部とが、この第1の装着手段に含まれる。また、上記第2の装着手段の例としては、上記保護カバーと上記ロボット用補助カバーとを互いに挟持するクリップや、該保護カバーの外側に配置されたロボット用補助カバーの外側に巻回されるベルトや輪ゴム等が、上記ロボット用補助カバー及び上記保護カバーとは別個独立した器具に該当する。また、上記第3の装着手段の例としては、上記保護カバーに固定されたクリップ又はベルト若しくは紐等が該当する。また、上記第4の装着手段の例としては、上記保護カバーの表面(外側面)に固定された一方の面状ファスナーと上記ロボット用補助カバーの裏面に固定され該一方の面状ファスナーに着脱自在に接合され固定される他方の面状ファスナーが該当する(請求項6参照)。
【0020】
こうした第4の発明に係るロボット用補助カバーの装着構造による場合であっても、上記保護カバーの交換作業の頻度を各段に減少させることができ、該保護カバーの交換作業にこれまで要していたロス時間の多くを、本来の産業用ロボットによる塗装その他の駆動時間(処理時間又は生産時間等)に充てることができ、また、該保護カバーの交換作業に伴って発生するコネクタの外れや付け忘れ等の危険性も大きく解消することができる。
【0021】
また、第5の発明(請求項5記載の発明)は、本体部、アーム部又は関節部を備えた産業用ロボットに保護カバーが装着され、この保護カバーの外側には、上記産業用ロボットを構成する本体部、アーム部又は関節部の少なくとも何れかの全部又は一部を取り囲むとともに重なり代を有する面積を備え、且つ表面全体には一方の係止部が形成された布帛からなる補助カバー本体と、上記補助カバー本体を構成する上記重なり代の表面又は裏面の何れかに固定され上記一方の係止部に係止される他方の係止部が形成された面状係止シート体と、を備えたロボット用補助カバーにより、上記保護カバーの外側に上記補助カバー本体が着脱自在に装着されてなることを特徴とするものである。
【0022】
この第5の発明は、上記第2の発明に係るロボット用補助カバーを用いたロボット用補助カバーの装着構造である。したがって、この第5の発明による場合であっても、本発明の目的を達成することができるとともに、産業用ロボットに装着された保護カバーの交換作業の頻度の低減のみならずこのロボット用補助カバー自体の交換作業も迅速に行うことができ、ひいてはこうした上記産業用ロボットによる生産性を大きく向上することができる。
【0023】
また、第6の発明(請求項6記載の発明)は、上記第5の発明において、前記補助カバー本体は織布や編物又は不織布等からなる布帛であり、前記一方の係止部は、該布帛を構成する糸の一部がループ状に成形されてなるものであるとともに、上記糸は、断面形状が円形以外の三角状,方形状,菱形状又は星型状等の異形形状に成形されてなる複数の繊維からなることを特徴とするものである。
【0024】
この第6の発明に係るロボット用補助カバーの装着構造は、上記第3の発明に係るロボット用補助カバーを用いたものであり、該第6の発明と同様の作用効果を奏することができる。
【0025】
また、第7の発明(請求項7記載の発明)は、前記第4の発明において、前記ロボット用補助カバーは、前記第4の装着手段の一部を構成する一方の係止部が裏面全体に形成された布帛であり、前記保護カバーの外側面には、前記第4の装着手段の他の一部を構成するとともに、上記一方の係止部に着脱自在に係止される他方の係止部が形成された面状係止シート体が一又は複数固定され、上記面状係止シート体は、上記産業用ロボットの周回り方向に長さを有してなるか、又は該産業用ロボットの高さ方向に長さを有してなることを特徴とするものである。
【0026】
この第7の発明に係るロボット用補助カバーの装着構造では、前記ロボット用補助カバーは布帛からなるものであるとともに、産業用ロボットを構成する本体部、アーム部又は関節部の一部を上記保護カバーの外側から覆うものであって、該ロボット用補助カバーの裏面全体には、前記第4の装着手段の一部を構成する一方の係止部が形成されている。また、上記保護カバーの外側面には、他方の係止部が形成された面状係止シート体が一又は複数固定されていることから、該面状係止シート体が固定された保護カバーの外側において、上記ロボット用補助カバーを任意の位置に装着することができる。特に、上記面状係止シート体が、上記産業用ロボットの周回り方向或いはその高さ方向に、所定間隔を隔てて複数固定されている場合には、複数ヶ所において上記ロボット用補助カバーを安定的に装着することができる他、該産業用ロボットの周回り方向又は高さ方向の任意の位置に補助カバーを装着することができ、また、該装着位置を変更することも可能となる。また、上記の通り面状係止シート体が複数固定されている場合には、複数のロボット用補助カバーを装着することも可能となる。なお、この第7の発明に係る上記一方の係止部は、上記ロボット用補助カバーの裏面ばかりではなく表面(外側面)に形成されたものであっても良い。
【0027】
また、第8の発明(請求項8記載の発明)は、上記第4の発明において、前記ロボット用補助カバーは、布帛からなる補助カバー本体と、この補助カバー本体の裏面に一又は複数固定され、前記第4の装着手段の一部を構成する一方の面状ファスナーと、を備え、前記保護カバーの外側面には、前記第4の装着手段の他の一部を構成するとともに、上記一方の面状ファスナーに着脱自在に係止される他方の面状ファスナーが、該一方の面状ファスナーの固定数に応じて固定され、上記一方及び他方の面状ファスナーは、上記産業用ロボットの周回り方向に長さを有してなるか、又は該産業用ロボットの高さ方向に長さを有してなることを特徴とするものである。
【0028】
この第8の発明に係るロボット用補助カバーの装着構造は、上記第7の発明と比較した場合、該第7の発明では、ロボット用補助カバーの裏面全体に一方の係止部が形成されている反面、この第8の発明では、上記補助カバー本体の裏面には一方の係止部は形成されておらず、一方の面状ファスナーが固定されている。なお、保護カバーの構成は、上記第7の発明と第8の発明との間で相違するものではない。
【0029】
したがって、上記第7及び第8の発明に係るロボット用補助カバーの装着構造による場合であっても、保護カバーの交換頻度は勿論、上記ロボット用補助カバー自体の交換時間を極めて迅速に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係るロボット用補助カバーやロボット用保護カバーの装着構造によれば、産業用ロボットに装着された保護カバーの交換作業の頻度を大きく低減することができ、また該保護カバーの外側に装着されるロボット用補助カバーの交換作業も極めて迅速に行うことができる。そして、こうした本発明の効果は、塗装作業や撹拌作業又は充填作業等のような各種の作業を行う産業用ロボットの生産性の圧倒的な向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】断面で示す保護カバーが産業用ロボットに装着された状態を示す側面図である。
【
図2】
図1に示す保護カバーの外側に第1及び第2のロボット用補助カバーが装着された状態を示す側面図である。
【
図3】第1のロボット用補助カバーを示す斜視図である。
【
図4】第2のロボット用補助カバーを示す斜視図である。
【
図5】面状係止シート体が補助カバー本体の表面に固定されたものを示すものであって、(A)はその斜視図であり、(B)は該面状係止シート体の部分を反転させた状態を示す側面図である。
【
図6】ロボット用補助カバーと2つのベルトを示す斜視図である。
【
図8】ロボット用補助カバーの装着構造の他の例を示す正面図である。
【
図9】
図8に示すロボット用補助カバーの装着構造の側面図である。
【
図10】保護カバーに固定された他方の面状シートの固定位置を示す側面図である。
【
図11】
図8に示すロボット用補助カバーを示すものであって、(A)はその表面図、(B)はその裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を実施するための最良の形態に係るロボット用補助カバーを、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0033】
先ず、この発明に係るロボット用補助カバーは、先に説明したように、例えば
図1に示す産業用ロボット100に装着された保護カバー1の外側に装着されるものである。この
図1に示す産業用ロボット100は、所謂多関節型ロボットであり、本体部101と、この本体部101に接続されてなるアーム部110とを備えている。上記本体部101は、例えば図示しない床、壁、天井又は台車等に固定されるものであり、また、上記アーム部110は、上記本体部101に対して回動または屈折可能に設けられている。なお、上記本体部101には、上記アーム部110を回転又は屈折させる動力である図示しないモーター等が内部に収容されている。また、上記アーム部110は、複数の(本例では第1ないし第4の)フレーム部102・・・105から構成され、この第4のフレーム部105の先端にはハンド接続部106が該第4のフレーム部105に対して回動自在に接続され、このハンド接続部106の先端には、図示しない塗料噴射ノズルや撹拌器具その他の器具を把持するハンドが取り付けられる。なお、上記本体部101と上記第1のフレーム部102との間、該第1のフレーム部102と第2のフレーム部103との間、該第2のフレーム部103と第3のフレーム部104との間、該第3のフレーム部104と第4のフレーム部105との間、またこの第4のフレーム部105と上記ハンド接続部106との間は、それぞれ関節部(符号は省略する。)である。
【0034】
そして、この産業用ロボット100には、上記保護カバー1が装着されている。この保護カバー1は、本実施の形態では上記本体部101から上記ハンド接続部106に亘って(図示しないハンドを除いてこの産業用ロボット100全体を)覆ってなるものである。なお、こうした保護カバー1は、例えば、二分割されたシートが図示しないファスナーにより接続され、該ファスナーを構成するスライダーの操作により各シートが接合されて
図1に示す状態でこの産業用ロボット100全体を覆うタイプのものでも良いし、また、該産業用ロボット100を構成する上記本体部101から上記第3のフレーム部104までを一方の保護カバーにより覆い、上記第4のフレーム部105から上記ハンド接続部106までを他方の保護カバーで覆う等のように、複数の保護カバーにより該産業用ロボット100全体を覆うものであっても良い。
【0035】
そして、こうして保護カバー1により覆われた産業用ロボット100は、
図2に示すように、該保護カバー1の外側(表面)であって、上記第4のフレーム部105を取り囲むように覆ってなる第1のロボット用補助カバー2と、上記ハンド接続部106を取り囲むように覆ってなる第2のロボット用補助カバー4とが装着されている。上記第1のロボット用補助カバー2は、
図3に示すように、長方形状に成形された補助カバー本体21と、この補助カバー本体21の裏面であって該補助カバー21の一端に固定された面状係止シート体22とから構成されている。上記補助カバー本体21は、短辺21aと長辺21bとを有し、綿からなる縦糸と横糸とで織られる平織りの手法による布帛であって、表面(外側に露出する面)全体にはループ状に成形された細かい一方の係止部21cが形成されている。また、この補助カバー本体21は、本実施の形態では、上記短辺21aの長さは、上記第4のフレーム部105の外周の長さよりも長いものとされ、少なくとも該第4のフレーム部105に上記保護カバー1の外側から巻き付けるように装着した際、上記長辺21bの一側側と他側側とが互いに重なり合う重なり代21d,21eを有する面積とされている。そして、上記面状係止シート体22は、上記補助カバー21の他側側であって上記重なり代21eの裏面に固定されている。この面状係止シート体22は、上記補助カバー本体21の重なり代21eに対応した幅(短辺22a)であって、該補助カバー本体21の短辺21aと同じ長さの長辺22bを有した長方形状に成形されたものである。そして、この面状係止シート体22の全面には、上記補助カバー本体21の全面に複数(多数)形成された一方の係止部21cに係止される他方の係止部22cが形成されている。これら他方の係止部22cは、それぞれ上記補助カバー21の表面方向に突出し先端には上記ループ状の一方の係止部21cに係止される湾曲した部位を有する樹脂製のものである。なお、上記面状係止シート体22と上記補助カバー本体21の表面とは、本発明を構成する装着手段である。
【0036】
したがって、こうした構成からなる第1のロボット用補助カバー2の上記補助カバー本体21を上記第4のフレーム部105に、上記保護カバー1の外側から巻き付け、上記一方の係止部21cに上記他方の係止部22cが接合するように押圧すると、該一方の係止部21cと他方の係止部22cとが互いに係止され、
図2に示すように、内側に保護カバー1が存在した状態で該第4のフレーム部105に装着される。そして、こうした第1のロボット用補助カバー2が装着された状態で上記産業用ロボット100が駆動し、そうした駆動の過程で上記第1のロボット用補助カバー2の表面に塗料その他の図示しない材料が所定の限界の範囲に付着し、該第1のロボット用補助カバー2を交換する場合には、外部に露出した上記補助カバー本体21の一側側を該補助カバー本体21の表面から離間する方向に操作すると、それまで一方の係止部21cに係止されていた他方の係止部22cは、上記湾曲した部位がそれぞれ撓んで、該一方の係止部21cと他方の係止部22cとが係合状態が解除される。したがって、
図1に示す保護カバー1の外側に装着する操作や取り外す操作又は交換する操作は、以上の通りの極めて簡単な操作により迅速に行うことができるので、こうした操作を行う際に停止される産業用ロボット100の停止時間は相当程度短くなり、該産業用ロボット100による塗装その他の生産性を上げることが可能となる。言うまでもなく、面倒で長時間化していた上記保護カバー1の交換頻度は、各段に減少させることができ、先に説明した該保護カバー1の交換作業に伴う各種の不具合や生産性の低下は、こうした第1のロボット用補助カバー2を使用することにより、大きく向上することができる。
【0037】
また、上記第2のロボット用補助カバー4は、
図4に示すように、やや台形状に成形された補助カバー本体41と、この補助カバー本体41の一側側の裏面に固定された面状係止シート体42とから構成され、上記補助カバー本体41は、上記補助カバー本体21と形状以外は同様の構成からなり、上記面状係止シート体42は上記面状係止シート体22と同じ構成である。
【0038】
このように、上記保護シート1の外側において、上記第1のロボット用補助カバー2を上記第4のフレーム部105に着脱自在に装着するとともに、上記第2のロボット用補助カバー4を上記ハンドル接続部106に着脱自在に装着することにより、上記保護カバー1が外部に露出する部位を2個所において低減することができる。
【0039】
なお、上記第1及び第2のロボット用補助カバー2,4は、それぞれ上記面状係止シート体22,42が上記補助カバー本体21,41の裏面に固定されたものであるが、これら面状係止シート体22,42は、該補助カバー本体21,41の表面に固定されたものであっても良い。例えば、
図5の(A)に示す他のロボット用補助カバー25のように、補助カバー本体26の表面に面状係止シート体27が固定され、該面状係止シート体27に形成された他方の係止部27aを補助カバー本体26の表面全面に形成された一方の係止部26aに接合し互いに固定する際には、
図5の(B)に示すように、該面状係止シート体26が固定された部位のみを反転して上記補助カバー本体26の表面に対向さえ、その上で該補助カバー本体26と面状係止シート体27とを接合して、上記保護カバー1の外側に接合されるものであっても良い。
【0040】
また、
図6に示すように、上記保護カバー1の外側から上記産業用ロボット100のしかるべき部位を覆うロボット用補助カバー51が、例えば左右二つのベルト52,53を該ロボット用補助カバー51の外側に巻き付けて固定するものであっても良い。上記左右二つのベルト52,53は、図示しない輪ゴムからなるものであっても良い。上記左右のベルト52,53や図示しない輪ゴムは、本発明を構成する装着手段である。なお、上記左右のベルト52,53は、細長いベルト状の布帛からなるベルト本体52a,53aの端部側の表面に一方の面状ファスナー54,55が固定され、他端側の裏面にはこの一方のファスナー54,55に接合される他方の面状ファスナー56,57が固定されたものである。なお、上記左右のベルト52,53の一端側又は他端側若しくはこれらの中途部が上記ロボット用補助カバー51の表面に固定され、該ベルト52,53がロボット用補助カバー51の構成要素とされていても良い。
【0041】
また、上記第1及び第2のロボット用補助カバー2,4や上記ロボット用補助カバー25又は上記ロボット用補助カバー51は、織布からなる布帛により構成されたものであるが、こうした織布の原料である糸は、
図7の(A)~(C)に示すように、円形を除く異形断面形状に成形された樹脂製のものを使用することが好ましい。こうした異形断面形状に成形された糸を用いた布帛とすることにより、個々の糸の表面積が円形形状の糸と比較して増大し、この結果、塗料等の液体の浸透性又は保持性が向上され、また粉体が付着する場合には、該粉体の保持性が向上されることから、上記ロボット用補助カバー2,4,25,51自体の交換頻度をも低減することができ、ひいてはより一層産業用ロボット100の作業性を向上させることができる。また、上記冒頭で説明した第1及び第2のロボット用補助カバー2,4,25を構成する補助カバー本体21,41,26や上記ロボット用補助カバー51は、伸縮性を有する布帛により構成することもでき、或いは、該布帛に導電性の糸等の線状体を編み込んだり織り込んだりすることによりこれらに帯電性を付与し、上記産業用ロボット100の周囲に浮遊する塵埃の吸着性を持たせ、本発明を構成する上記補助カバー本体21,41,26や上記ロボット用補助カバー51が、こうした吸着性を以って塗装面の品質や製造すべき薬品又は食品の品質の向上に貢献することが可能となる。
【0042】
次に、本発明の他の例(他の実施の形態)を、
図8ないし
図11を参照しながら詳細に説明する。この実施の形態に係るロボット用補助カバー61は、
図8又は
図9に示すように、産業用ロボット100の中途部から下端までを覆う補助カバー本体62が構成要素とされている。この補助カバー本体62は、
図11の(A)に示す表面図のように、長方形状に成形された布帛であり、該補助カバー本体62の裏面には、
図11の(B)に示すように、一側側には第1の面状ファスナー63が、また、他側には上記第1の面状ファスナー63と並行となされた第2の面状ファスナー64が固定されている。これら第1及び第2の面状ファスナー63,64は、本発明を構成する第4の装着手段の一部であるとともに一方の面状ファスナーである。また、上記産業用ロボット100に装着された保護カバー65には、
図10に示すように、上記第1の面状ファスナー63が接合され着脱自在に固定される第3の面状ファスナー66と、該第3の面状ファスナー66が固定された位置とは反対側には上記第2の面状ファスナー64が接合され着脱自在に固定される図示しない第4の面状ファスナーとを備えている。上記第3及び第4の面状ファスナー66は、上記産業ロボット100の高さ方向と同じ方向に長さを有するものであり、これらの上端は該産業用ロボット100の中途部に位置している。なお、上記第3及び図示しない第4の面状ファスナー66は、本発明を構成する第4の装着手段の他の一部であるとともに他方の面状ファスナーである。
【0043】
上述した実施の形態に係るロボット用補助カバー61を用いたロボット用補助カバーの装着構造による場合であっても、先に説明した第1及び第2のロボット用補助カバー2,4,25を用いたロボット用補助カバーの装着構造と同じ作用効果を実現することができる。なお、上記ロボット用補助カバー61を用いたロボット用補助カバーの装着構造では、上記保護カバー65に産業用ロボット100の高さ方向に長さを有する上記第3及び第4の面状ファスナー66を固定したものであるが、該第3及び第4の面状ファスナー66を一対とした場合、該一対である第3及び第4の面状ファスナー66が複数対に亘って該産業用ロボット100の周回り方向に平行に固定されたものであっても良い。こうした構造を採用することにより、上記ロボット用補助カバー61を上記産業用ロボット100の周回り方向のどの位置に装着するかを適宜選択することができる。
【0044】
また、上記ロボット用補助カバー61を構成する補助カバー本体62に固定する上記第1及び第2の面状ファスナー63,64に代えて、該補助カバー本体62の裏面の上端と下端との一方又は双方に、補助カバー側の面状ファスナーを固定するとともに、上記保護カバー65の外側面には、上記産業用ロボット100の周回り方向に長さを有する図示しない保護カバー側の面状ファスナーを一又は複数固定し、これ又はこれらの補助カバー側の面状ファスナーと上記保護カバー側の面状ファスナーとが互いに着脱自在に装着されるものであっても良い。そしてさらに、上記産業用ロボット100の周回り方向に長さを有する図示しない保護カバー側の面状ファスナーは、該産業用ロボット100の高さ方向に複数並んで形成されてなるものであっても良い。こうした図示しないロボット用補助カバーの装着構造による場合であっても、上記補助カバー本体62を装着する高さを適宜選択して上記保護カバー65に装着することができる。しかも、こうした場合であって、上記保護カバー65に固定される保護カバー側の面状ファスナーの長さが産業用ロボット100の外周に等しい長さである場合には、上記補助カバー側の面状ファスナーが該産業用ロボット100の外周の長さに満たない場合であっても、該補助カバー本体62の装着位置を、上述した産業用ロボット100の高さ方向だけではなく、周回り方向においても選択可能となる。
【0045】
なお、上記補助カバー本体62は、冒頭で説明した補助カバー本体21の表面と同じように、裏面全体に一方の係止部(符号は省略する。)が形成され、該裏面が上記保護カバー65に固定された上記第3及び第4の面状ファスナー66又は上記保護カバー側の面状ファスナーが互いに着脱自在に装着されるものであっても良い。
【0046】
以上の通り、この発明の実施の形態に係るロボット用補助カバー2,4,25,51,61やこれらを用いたロボット用補助カバーの装着構造によれば、産業用ロボット100に装着された保護カバー1,65の交換作業の頻度を大きく低減することができ、また該保護カバー1,65の外側に装着されるロボット用補助カバー2,4,25,51,62の交換作業も極めて迅速に行うことができる。そして、こうした本発明の効果は、塗装作業や撹拌作業又は充填作業等のような各種の作業を行う産業用ロボット100の生産性の圧倒的な向上を実現することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 保護カバー
2 第1のロボット用補助カバー
21 補助カバー本体
21c 一方の係止部
22 面状係止シート体
22c 他方の係止部
4 第2のロボット用補助カバー
25 他のロボット用補助カバー
26 補助カバー本体
26a 一方の係止部
27 面状係止シート体
27a 他方の係止部
41 補助カバー本体
42 面状係止シート体
51 ロボット用補助カバー
52,53 ベルト
61 ロボット用補助カバー
62 補助カバー本体
63 第1の面状ファスナー
64 第2の面状ファスナー
65 保護カバー
66 第3の面状ファスナー