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  • 特開-レフィル容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016756
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】レフィル容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/04 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
B65D77/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119102
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 彰紀
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA04
3E067AB81
3E067BC07B
3E067EA29
3E067EA35
3E067EA36
3E067EB27
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】外装容器に取り付けた正規の使用を促すことができるレフィル容器を提案する。
【解決手段】レフィル容器1は、内容物を収容する収容空間Sを有し外装容器に付け替えて使用されるものであり、収容空間Sを有する本体部2aと収容空間Sに通じる上部開口2cを有し本体部2aに連結する口部2bとを備える容器本体2と、上部開口2cを覆って収容空間Sを密閉する密封シート3と、密封シート3の上方から容器本体2に着脱可能に装着されるレフィルキャップ4と、を備え、レフィルキャップ4は、上部開口2cの上方にキャップ開口4dを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する収容空間を有し、外装容器に付け替えて使用されるレフィル容器であって、
前記収容空間を有する本体部と、該収容空間に通じる上部開口を有し該本体部に連結する口部とを備える容器本体と、
前記上部開口を覆って前記収容空間を密閉する密封シートと、
前記密封シートの上方から前記容器本体に着脱可能に装着されるレフィルキャップと、を備え、
前記レフィルキャップは、前記上部開口の上方にキャップ開口を有する、レフィル容器。
【請求項2】
前記キャップ開口の外縁部は、前記口部の内縁部よりも径方向内側に位置する、請求項1に記載のレフィル容器。
【請求項3】
前記密封シートは、前記上部開口を覆った状態において該口部から径方向外側に突出する摘み部を有し、
前記レフィルキャップを装着した前記容器本体と該レフィルキャップとの間に、前記摘み部が収まる隙間を備える、請求項1または2に記載のレフィル容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装容器に付け替えて使用されるレフィル容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばクリーム状やゲル状の内容物(化粧料など)を収容する容器においては、内容物を収容する内容器と内容器を着脱可能に保持する外装容器とを備える容器が既知である(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この種の容器において、内容器はレフィル容器として用いられていて、内容物を使い切った後、元の内容器は外装容器から取り外されて新たな内容器が外装容器に付け替えられる。すなわちこのような容器(付け替え容器)によれば、外装容器を再利用することができるため、省資源化等の点で優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-172426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したようにレフィル容器は、外装容器に取り付けて使用されるものであるが、外装容器に取り付けていない状態であっても内容物を取り出すことは可能であるため、レフィル容器を封止していたレフィルキャップを再利用することにより、レフィル容器単独で使用されるおそれがある。しかしこのような使い方は、レフィル容器が薄肉状である、或いは底部が半球状で座りの悪い形状である等の場合、保管中や使用中にレフィル容器が破損したり、容器が倒れて内容物が溢れたりするおそれがある。またレフィル容器を単独で使用すると、外装容器で保持されていないために傾きやすく(正規の使用であれば外装容器の重量によって重心が低くなるものの、レフィル容器単独で使用する場合は正規の使用に比して重心が高くなって傾きやすい)、安定的に載置しておくことが難しくなるため、好ましいとはいえない。
【0006】
このような点に鑑み、本発明は、外装容器に取り付けた正規の使用を促すことができるレフィル容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内容物を収容する収容空間を有し、外装容器に付け替えて使用されるレフィル容器であって、
前記収容空間を有する本体部と、該収容空間に通じる上部開口を有し該本体部に連結する口部とを備える容器本体と、
前記上部開口を覆って前記収容空間を密閉する密封シートと、
前記密封シートの上方から前記容器本体に着脱可能に装着されるレフィルキャップと、を備え、
前記レフィルキャップは、前記上部開口の上方にキャップ開口を有する、レフィル容器である。
【0008】
前記キャップ開口の外縁部は、前記口部の内縁部よりも径方向内側に位置することが好ましい。
【0009】
前記密封シートは、前記上部開口を覆った状態において該口部から径方向外側に突出する摘み部を有し、
前記レフィルキャップを装着した前記容器本体と該レフィルキャップとの間に、前記摘み部が収まる隙間を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のレフィル容器は、密封シートが上部開口を覆って収容空間を密閉するため、外装容器に付け替える前の状態において内容物と外気との接触を防止して内容物の品質を保つことができる。また密封シートの上方から容器本体に着脱可能に装着されるレフィルキャップを備えているため、意図せずに密封シートを取り外してしまう不具合を防止することができる。またレフィルキャップにはキャップ開口が設けられているため、このレフィルキャップを再利用しようとしても収容空間を密封することができないため、外装容器に取り付けた正規の使用を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るレフィル容器の一実施形態に関する側面視での部分拡大半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明に係るレフィル容器の一実施形態について説明する。なお、本明細書等において上下方向とは、図示した軸線Oに沿う方向である。また径方向とは、軸線Oに対して垂直な面内で軸線Oと直交する方向であり、周方向とは、この面内で軸線Oを中心として周回する方向である。
【0013】
図1は、本発明に係るレフィル容器の一実施形態である、レフィル容器1を示している。本実施形態のレフィル容器1は、容器本体2と、密封シート3と、レフィルキャップ4で構成されている。
【0014】
容器本体2は、軸線Oを中心とする有底筒状の本体部2aと、本体部2aに連結するとともに上方を開口させた円筒状の口部2bとを備えている。本体部2aの内側には、クリーム状、ゲル状、液状等の内容物を収容するための収容空間Sが設けられている。ここで、口部2bにおける開口を、上部開口2cと称する。
【0015】
口部2bの外周面には、雄ねじ部2dが設けられている。雄ねじ部2dは、レフィルキャップ4を着脱可能に保持するものである。なお、雄ねじ部2d以外の構成を用いることによってレフィルキャップ4を着脱可能に保持するようにしてもよい。このような構成の一例としては、レフィルキャップ4に対して着脱可能に係合するアンダーカットが挙げられる。
【0016】
密封シート3は、例えば金属製シート(一例としてアルミニウムシート)や合成樹脂製シートを用いた単層又は複数層のシートである。本実施形態の密封シート3は、上部開口2c及び口部2bの上端面を全域に亘って覆う円形部3aと、円形部3aから径方向外側に突出する摘み部3bとを備えている。密封シート3は、例えば超音波溶着や、加熱溶着、接着等によって、円形部3aの外縁部が口部2bの上端面に対して剥離可能に固着されている。なお密封シート3を構成する素材は、口部2bの上端面に対して固着されている円形部3aに指等を押し付けても破断しにくいものを用いることが好ましい。また密封シート3は、口部2bに固着されるものに限られず、口部2bの上端面に載置されるものでもよい。この場合においても、レフィルキャップ4が上記の雄ねじ部2d等により保持されることで収容空間Sが密封される。口部2bに固着されない密封シート3は、上記の円形部3aのみで構成されるものでもよいし、円形部3aの外縁部に周壁部を設けたカップ状になるものでもよい。なおこの周壁部は、円形部3aの外縁部全周に亘って延在するものに限られず、周方向に間欠状に設けられるものでもよい。
【0017】
レフィルキャップ4は、軸線Oを中心として全体的に円板状になる天壁部4aと、天壁部4aの外縁部に連結する周壁部4bとを備えている。周壁部4bの内径は、口部2bの外径よりも大きくなっている。そして周壁部4bの内周面には、雄ねじ部2dに螺合する雌ねじ部4cが設けられている。
【0018】
また天壁部4aには、これを貫通するキャップ開口4dが設けられている。本実施形態においては、天壁部4aにキャップ開口4dを一個設けている。また本実施形態のキャップ開口4dの形状は、軸線Oを中心とする円形状の貫通孔であって、図示したようにキャップ開口4dの外縁部4eは、口部2bの内縁部2eよりも径方向内側に位置している。
【0019】
なおキャップ開口4dは、天壁部4aを貫通していればよく、個数や形状は任意に設定すればよい。すなわちキャップ開口4dは、天壁部4aを貫く複数の円形状(又は多角形状)の貫通孔でもよいし、本実施形態の如き1個の貫通孔を設けるとともにこの貫通孔の内側にリブを単数又は複数設けることによって複数の貫通孔を形成したものでもよいし、これらを組み合わせたものでもよい。
【0020】
天壁部4aの下面において、口部2bの上端面の直上には、下方に向けて突出する環状の凸部4fが設けられている。この凸部4fを設けることにより、雄ねじ部2dと雌ねじ部4cとを螺合させた際に凸部4fを介して密封シート3を口部2bの上端面に強く押し付けることができる。
【0021】
また、雄ねじ部2dと雌ねじ部4cとを螺合させてレフィルキャップ4を口部2bに装着した状態において、口部2bの上部における外周面と周壁部4bの上部における内周面との間には、隙間Gが設けられている。この隙間Gには、図示したように、口部2bに固着された密封シート3の摘み部3bを収めることができる。
【0022】
このような構成になるレフィル容器1は、収容空間Sに内容物を収容した後、口部2bに密封シート3を固着させ、更に密封シート3の上方からレフィルキャップ4を口部2bに装着した状態で流通される。すなわち、密封シート3の上方にはレフィルキャップ4が設けられているため、意図せずに密封シート3を剥がしてしまう不具合を防止することができる。特に本実施形態においては、密封シート3の摘み部3bが天壁部4aの外縁部と周壁部4bで取り囲まれていて、指で摘み部3bを直接掴むことができないため、密封シート3を不用意に剥がしてしまうことがない。
【0023】
また本実施形態においては、キャップ開口4dの外縁部4eが口部2bの内縁部2eよりも径方向内側に位置している。すなわち、密封シート3が固着されている部分が直接的に外側に露出していないため、キャップ開口4dの外側から密封シート3が固着されている部分に指等が触れることがなく、意図せず密封シート3を剥がしてしまう不具合がより確実に防止できる。
【0024】
また凸部4fは、レフィルキャップ4を口部2bに装着した状態において密封シート3を口部2bの上端面に強く押し付けているため、密封シート3の剥がれを防止して収容空間Sをより確実に密閉することができる。
【0025】
そして摘み部3bは、レフィルキャップ4を口部2bに装着した状態において隙間Gに収まるため、レフィルキャップ4を口部2bから取り外す際に摘み部3bが縒れたり捩れたりする不具合を有効に防止することができる。すなわち、密封シート3を剥がすにあたって摘み部3bの縒れや捻りを整える必要がないため使い勝手に優れる。
【0026】
なおレフィル容器1を不図示の外装容器に取り付けるにあたっては、まずレフィル容器1を不図示の外装容器に取り付け、次いでレフィルキャップ4を取り外した後に密封シート3を剥がしてもよいし、先に密封シート3を剥がしてからレフィル容器1を外装容器に取り付けてもよい。
【0027】
ところで、レフィル容器1を外装容器に取り付けずに単独で使用しようとする場合、密封シート3を剥がした後はレフィルキャップ4を口部2bに取り付けても、レフィルキャップ4にはキャップ開口4dが設けられているため、収容空間Sは外界に通じた状態になる。すなわち、レフィルキャップ4を再利用しようとしても収容空間Sを密封できないため、レフィル容器1外装容器に取り付けて外装容器用のキャップで密封する正規の使用を促すことができる。
【0028】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば上述した実施形態の構成は、適宜追加、削除が可能であり、また一の実施形態の構成を他の実施形態に設けることも可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0029】
例えば本実施形態においては、比較的大径のキャップ開口4dを設けることによって、レフィルキャップ4を再利用しようとしても収容空間Sが密閉されないことが視覚的にも明らかであったが、キャップ開口4dは小径のものでもよい。また本実施形態のレフィル容器1をそのまま流通させてもよいが、レフィル容器1の全体、或いは装着したレフィルキャップ4のみをシュリンクフィルム等で覆った状態で流通すれば、キャップ開口4dがカバーされるため、密封シート3をキャップ開口4dから指等で不用意に押圧する不具合が防止できる。
【符号の説明】
【0030】
1:レフィル容器
2:容器本体
2a:本体部
2b:口部
2c:上部開口
2d:雄ねじ部
2e:内縁部
3:密封シート
3a:円形部
3b:摘み部
4:レフィルキャップ
4a:天壁部
4b:周壁部
4c:雌ねじ部
4d:キャップ開口
4e:外縁部
4f:凸部
G:隙間
O:軸線
S:収容空間
図1