IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ファンケルの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167563
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/67 20060101AFI20241127BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20241127BHJP
   A61K 8/9728 20170101ALI20241127BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241127BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
A61K8/67
A61K8/81
A61K8/9728
A61Q19/00
A61K8/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083732
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】593106918
【氏名又は名称】株式会社ファンケル
(72)【発明者】
【氏名】高橋 理一
(72)【発明者】
【氏名】寺西 諒真
(72)【発明者】
【氏名】藤原 蓉子
(72)【発明者】
【氏名】梅原 美奈
(72)【発明者】
【氏名】濱崎 明子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA031
4C083AA032
4C083AA122
4C083AB032
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC332
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC642
4C083AC712
4C083AD022
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD132
4C083AD152
4C083AD201
4C083AD202
4C083AD242
4C083AD332
4C083AD352
4C083AD492
4C083AD532
4C083AD631
4C083AD632
4C083CC02
4C083DD27
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE06
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】
ナイアシンアミドを高含有する化粧料であって、べたつき感がなく、塗布後に肌になじませる際に感じられるキシミ感を抑制し、化粧料の浸透感に優れ、ハリ感と、肌のやわらかさが感じられる優れた使用感の化粧料を提供すること。
【解決手段】
次の(A)、(B)、(C)を含有する化粧料。
(A)ナイアシンアミドを化粧料全量に対し3質量%以上
(B)発酵物を化粧料全量に対し1~95質量%
(C)(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー及び/又は(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の(A)、(B)、(C)を含有する化粧料。
(A)ナイアシンアミドを化粧料全量に対し3質量%以上
(B)発酵物を化粧料全量に対し1~95質量%
(C)(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー及び/又は(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー
【請求項2】
(C)(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー及び/又は(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーを化粧料全量に対し0.05~1.5質量%含有する請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
さらに(D)ポリオキシエチレングリセリン及び/又はポリオキシエチレンメチルグルコシドを含有する請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項4】
(B)発酵物が化粧品表示名称としてサッカロミセス/コメ発酵液エキス、サッカロミセス/コメ発酵液、サッカロミセス/コメ粕発酵液、サッカロミセス/コメ芽発酵液、サッカロミセス/加水分解発芽コメ発酵液、乳酸桿菌/コメ発酵物及びアスペルギルス/コメ発酵エキスと称されるいずれか1以上を含む発酵物である請求項1又は2に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナイアシンアミドを高含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
ナイアシンアミドは、別名ニコチンアミド(nicotinamide)/ナイアシン/ビタミンB3とも呼ばれる、ニコチン酸のアミド化合物である。ナイアシンアミドは水溶性ビタミンで、ビタミンB群の一つである。ナイアシンアミドが欠乏するとペラグラなどの欠乏症となる。ナイアシンアミドは、外用薬の成分としてニキビ(尋常性ざ瘡)の治療や、美容目的で化粧品に配合される。日本では、医薬部外品の化粧品に、シワ改善の有効成分(リンクルナイアシン)、美白作用の有効成分(ニコチン酸アミド)として承認されている。
【0003】
ナイアシンアミドは、上記の通りシワ改善の有効成分としてスキンケア化粧料等にしばしば配合されてきた。シワ改善、肌のハリ感や弾力を付与するためには、3~7質量%ほどの高い配合が求められる。しかし、ナイアシンアミドを高含有すると使用感が低下することが知られており、経験的には3質量%以上含有すると使用感の低下が認識された。例えば、塗布中に感じられるべたつき感、および塗布後肌に馴染ませる際に感じられるキシミ感などが代表的である。一般的にこうした化粧料のべたつき感やキシミなどの使用感を改善するためには、各種油剤、増粘剤、保湿剤、界面活性剤などの成分を組み合わせて配合することで改善させることが試みられている。
ところが、ナイアシンアミドを高含有する化粧料は、このような成分を含有することで一時的に使用感が改善しても、塗布後に一定時間が経過すると、キシミなどの好ましくない使用感が、再度顕著に感じられることが指摘されている。
このような中、ナイアシンアミドを高含有した化粧料の技術が開示されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ナイアシンアミドと、プロピレングリコールまたはポリプロピレングリコールを含有させた、べたつかず、油のような肌馴染みの良さと、ハリ感等の仕上がり実感に優れた化粧料が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、ナイアシンアミドを高含有し、さらに水溶性多糖類、両親媒性の化合物を含有する化粧料が記載されている。ナイアシンアミドによる組成物の粘度安定性の不良が改善されている。
しかし、これらの従来技術では、ある程度べたつきは改善しているものの、キシミ感が改善しているとは言い難い。
【0006】
べたつきの改善に加えてキシミ感がある程度改善している技術として、(A)ニコチン酸アミドと、(B)シロキクラゲ多糖体、コンドロイチン硫酸ナトリウムおよびプロテオグリカンからなる群から選ばれる1種または2種以上の水溶性多糖類と、(C)多価アルコールと、(D)1価の低級アルコールとを含有する水性組成物(特許文献3、特許文献4)が開示されている。しかしながらこの技術もまた十分満足できるものではない。さらにエタノールで刺激を感じてしまう消費者には受け入れられにくいという問題もある。
【0007】
一方、化粧料を塗布した後に、肌(例えば頬)を手のひら全体で覆うように触る化粧行動が知られているが、この時に肌のやわらかさが感じられると、消費者は使用した商品そのものを高く評価する傾向にある、すなわち数多くの使用感の評価項目において「肌のやわらかさ」が購入動機に高く寄与しているとの気づきから、発明者らは肌にやわらかさが感じられるかどうかに特に注力して処方開発に取り組んでいる。このような中、ナイアシンアミドを高含有した系において、特定量の(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー及び/又は(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーと、特定量のシロキクラゲ多糖体、スクレロチウムガム、ジュランガム、カラギーナン及びローカストビーンガムから選ばれる1以上と、多価アルコールと水を含む化粧料とすることで、べたつき、キシミ感がなく、かつ、肌にやわらかさが感じられる優れた使用感の化粧料になることを提案している(特許文献5)。
さらにまた出願人は(A)ナイアシンアミドと、(B)マンニトールと、(C)コメ発酵物とを含有する使用感に優れた化粧料(特許文献6)、(A)ナイアシンアミドと、(B)ツボクサエキスと、(C)(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーと(D)ラフィノース、グルコース、ソルビトール及びメチルグルセス-10から選ばれる1以上とを含有する使用感に優れた化粧料(特許文献7)を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2019-131553号公報
【特許文献2】特開2020-128363号公報
【特許文献3】特開2019-131547号公報
【特許文献4】特開2022-82669号公報
【特許文献5】特願2023-042501
【特許文献6】特願2022-190938
【特許文献7】特願2023-034720
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ナイアシンアミドを高含有する化粧料であって、べたつき感がなく、塗布後
に肌になじませる際に感じられるキシミ感を抑制し、化粧料の浸透感に優れ、ハリ感と、肌のやわらかさが感じられる優れた使用感の化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は以下の構成である。
(1)次の(A)、(B)、(C)を含有する化粧料。
(A)ナイアシンアミドを化粧料全量に対し3質量%以上
(B)発酵物を化粧料全量に対し1~95質量%
(C)(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー及び/又は(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー
(2)(C)(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー及び/又は(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーを化粧料全量に対し0.05~1.5質量%含有する(1)に記載の化粧料。
(3)さらに(D)ポリオキシエチレングリセリン及び/又はポリオキシエチレンメチルグルコシドを含有する(1)又は(2)に記載の化粧料。
(4)(B)発酵物が化粧品表示名称としてサッカロミセス/コメ発酵液エキス、サッカロミセス/コメ発酵液、サッカロミセス/コメ粕発酵液、サッカロミセス/コメ芽発酵液、サッカロミセス/加水分解発芽コメ発酵液、乳酸桿菌/コメ発酵物及びアスペルギルス/コメ発酵エキスと称されるいずれか1以上を含む発酵物である(1)~(3)のいずれかに記載の化粧料。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、ナイアシンアミドを高含有する化粧料であって、肌への浸透感があり、べたつき感、キシミ感がなく、肌のやわらかさ、ハリ感が感じられる、使用感に優れた化粧料が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、(A)成分としてナイアシンアミドを化粧料全量に対し3質量%以上と、(B)成分として発酵物を化粧料全量に対し1~95質量%と、(C)成分として(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー及び/又は(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーを含有する化粧料に関する。さらに前記構成に任意で(D)ポリオキシエチレングリセリン及び/又はポリオキシエチレンメチルグルコシドを含有する化粧料に関する。
なお本発明の化粧料は医薬部外品を含む。
また、本明細書において、「X~Y」(X、Yは数値)との表記は、その両端を含む数値範囲を意味する。
以下に、本発明の構成成分について詳細に説明する。
【0013】
<(A)成分 ナイアシンアミド>
本発明の(A)成分であるナイアシンアミドは、ニコチン酸のアミド化合物であり、別名ニコチン酸アミド(ビタミンB3/ナイアシン)ともいう水溶性ビタミンである。ナイアシンアミドは、天然物からの抽出物であっても良いし、公知の方法によって合成した物でも良い。具体的には、日本薬局方に収載されているものを用いることができる。ナイアシンアミドには、シワ改善効果に加えて血行促進作用や、肌荒れ改善作用、メラニン生成抑制作用や美白効果が知られている。
【0014】
本発明の化粧料において、(A)成分の含有量は、3質量%以上である。本発明の化粧料は、目的に応じてシワ改善化粧料とすることができる。医薬部外品に近いレベルの肌のシワの改善効果を得るためには、(A)成分の含有量は、化粧料全量に対して、3質量%以上であり、好ましくは3~10質量%、より好ましくは3~8質量%である。
【0015】
<(B)成分 発酵物>
本発明において(B)成分である発酵物とは、微生物(乳酸菌、酵母、麹菌または枯草菌等)により発酵処理を施したものである。発酵の資化源としては植物(植物体)、あるいは植物体を適宜の媒体で抽出して得られる抽出物である。植物体の抽出物を用いる場合には、被抽出物の植物体を固液分離によって除去することなく、植物体を含んだままで発酵を行ってもよい。また植物体は、生のままでも、予め乾燥・半乾燥したものでもよい。形状は採取したものをそのまま用いても裁断してよい。また、得られた発酵物(発酵液)を凍結乾燥等で濃縮し、エキスとして用いてもよい。
発酵物としては、例えばコメ発酵物、ケール発酵物が挙げられる。
(コメ発酵物)
コメ発酵物は、イネ(Oryza sativa)の種子(コメ)を基質として、酵母、乳酸菌、糸状菌といった微生物で発酵して得られる発酵物であり、糖類だけでなく、アミノ酸や乳酸、ミネラル、ビタミン類といった発酵による代謝物を多様に含んでいる。
コメ発酵物としては、市販されている化粧品原料として入手可能であり、化粧品成分表示名称としては、サッカロミセス/コメ発酵液エキス、サッカロミセス/コメ発酵液、サッカロミセス/コメ粕発酵液、サッカロミセス/コメ芽発酵液、サッカロミセス/加水分解発芽コメ発酵液、コメ発酵液、乳酸桿菌/コメ発酵物、アスペルギルス/コメ発酵エキス等が例示される。市販品としては、株式会社テクノーブル社製のラフリン-AM・α(乳酸桿菌/コメ発酵物含有)、香栄興業株式会社製の白麹エキスBG-50(アスペルギルス/コメ発酵エキス含有)、株式会社ホルス製のホルス吟醸エキスAL(コメ発酵液)が例示できる。
また特開2018-002607号公報や特開2020-040888号公報に記載の方法に従い発芽玄米をサッカロミセスベローナで発酵させて得たものが例示できる。
本発明で用いるコメ発酵物としては、特に制限されないが、微生物として酵母を用いたものが好ましく、特にサッカロミセス属酵母を用いたものがより好ましい。
【0016】
コメ以外の植物の発酵物としては、一丸ファルコス株式会社製のファーメンテージセイヨウナシB(乳酸桿菌/セイヨウナシ果汁発酵液)、香栄興業株式会社製の豆乳発酵液BG(乳酸桿菌/豆乳発酵液)、ケール発酵物(特許第6616631号)が例示できる。
(ケール発酵物;特許第6616631号に記載のもの)
ケール発酵物はケールと糖類の混合物を発酵させた発酵物である。発酵にあたっては、好気性~通性嫌気性発酵させる。発酵方法は、特開平9-294560号に公報に1次発酵方法として開示されている手法を採用することができる。なおこの先行技術の発酵方法は、通性好気発酵を行うために、植物原料に黒糖を添加し、さらに酵母を添加して発酵させているが、酵母は添加しなくてもよい。
より具体的には、次の方法を例示することができる。
まずケールとケールに含有されている水分量と同量の糖類を混合する。この混合物を暫時静置し、ケール中の水分や蛋白質等の各種成分を滲出させながらケールに常在している微生物(または常在菌)によって、通性好気性条件にて自然発酵させる。
発酵させるための操作手順としては、まず十分成熟したケールの葉を採取し、次いで前処理として、採取した葉を収穫後軽く水で洗浄し、水気を切り、また傷や腐敗した部分は予め切除する。ケールは、カッターや裁断機を用いて1~5cm程度の大きさに切断する。かくして裁断されたケール葉を、発酵容器中でケールに含まれる水分量と同量の糖類と混合して、重石を載せ、発酵の初期はケールに常在する微生物(常在菌)による通性好気性発酵を行わせる。ケールと混合する糖類は、黒糖、三温糖、精白糖、グラニュー糖などショ糖を主成分とする糖類が好ましく、黒糖が特に好ましい。またケール中の水分量は、予め測定するか、5訂食品標準成分表に開示されている水分量と同量(約90%相当)を混合する。ケールに含有されている各種成分や蛋白質などが、糖類と混合すると浸透圧によって抽出される。なおケールの5訂食品標準成分表に基づく水分量は、100gあたり90.2gであるので、ケールの水分量を測定しない場合は、ケール重量の90%重量を目途として糖類を配合すればよい。発酵容器中では、通性好気性発酵条件を維持するため、蓋の上に、重し(重石)を載せて静置する。重しの重量は、100平方センチ当たり0.2~2kgとする。発酵開始時は1日1回~数回撹拌を行い、その後25~35℃の温度を維持しながら2~10ヶ月間好気性発酵を持続させる。この発酵過程では、主としてケールに常在する微生物(常在菌)による発酵が同時進行し、発酵過程でケールの組織が酵素分解を受けて、液体と固体の混在する粘質性のケール発酵物となる。このケール発酵物を金網等でろ過することで、ケール発酵物を得る。
【0017】
本発明の化粧料において、(B)成分;発酵物は、化粧料全体に対して1質量%以上含有し、化粧料全体に対して1~95質量%含有すると好ましい。(B)成分の含有量は、化粧料全体に対して1.5質量%以上であると好ましく、1.8質量%以上であるとより好ましく、50質量%以上であるとより一層好ましい。
なお、本発明の化粧料は、(A)、(B)及び(C)成分のすべてを含むことにより、べたつき、きしみ感を抑制しながらハリ感、肌のやわらかさを実感でき、肌への浸透感が強く感じられる。「肌への浸透感」が強く感じられる化粧料は、消費者が使い始めてすぐに効果があるとの期待感を高めるので重要な設計品質である。
本発明の化粧料において(B)成分を化粧料全体に対して1~95質量%とすることで肌への浸透感が高められる。(B)成分が化粧料全体に対して1質量%に満たないと浸透感が得られ難いだけでなく、(A)ナイアシンアミドのべたつきを抑制する効果も低下するので好ましくない。
【0018】
<(C)成分(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー及び/又は(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー>
本発明の化粧料に含まれる(C)成分は分子内にアクリルアミド構造(CH2=CH-CO-NH-)に由来する構造を有する有機高分子であり、構成単位が2種以上のコポリマーである。
(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーはアクリル酸NaとアクリルジメチルタウリンNaの共重合体であり、市販品されているものを使用することができる。例えば、SEPPIC社(フランス)製のSIMULGEL EG等を使用することが出来る。SIMULGEL EGは、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーとして37.5%、イソヘキサデカン22.5質量%、ポリソルベート80が7.5質量%、オレイン酸ソルビタン2.5質量%、水30質量%からなる混合原料である。
(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーは、アクリル酸ヒドロキシエチルとアクリルジメチルタウリンNaの共重合体であり、市販されているものを使用することができる。例えば、SEPPIC社(フランス)製のSIMULGEL NS、SEPINOV EMT10等を使用することができる。SIMULGEL NSは、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー37.5質量%、スクワラン25.5質量%、ポリソルベート60が5.5質量%、水30質量%、イソステアリン酸ソルビタン1.5質量%からなる混合原料である。SEPINOV EMT10は、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー100質量%である。
(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー及び/又は(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーは、一般的には、水相と油相とを混合する際に、いわゆる、乳化剤としての作用を期待して配合されるが、本発明においては、油を全く含有しないか実質的に含有しない組成(油が0.1質量%以下)であっても必須で含有する点に特徴がある。このことは任意で含有する油の含有量を制限するものではないが、本発明の優れた使用感が特に実感できるのは化粧水に代表される水性化粧料であり、その観点からは油の含有量は化粧料全量に対し10質量%以下にすることが好ましく、5質量%以下にすることがより好ましく、3質量%以下にすることがさらに好ましく、1質量%以下にすることが一層好ましい。化粧料全量に対し油を全く含有しないか1質量%以下の組成とすると、本発明の優れた使用感がより実感できるので好ましい。
本発明においては(C)(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー及び/又は(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーを化粧料全量に対し0.05~1.5質量%含有すると好ましく、0.1~1.5質量%含有するとより好ましく、0.1~1質量%含有するとより一層好ましい。
【0019】
<(D)成分 ポリオキシエチレングリセリン及び/又はポリオキシエチレンメチルグルコシド>
本発明は任意で(D)成分を含有する。
本発明の化粧料に任意に含まれる(D)成分のポリオキシエチレングリセリンは、グリセリンとポリエチレングリコールのエーテルである。
ポリオキシエチレングリセリンに付加している酸化エチレンの結合モル数は、当該化合物の一分子当たり10~30、好ましくは12~26結合したものであれば、本発明に使用可能である。このような化合物としては、グリセレス―26(酸化エチレンの平均付加モル数26)、グリセレス―20(酸化エチレンの平均付加モル数20)、グリセレス―18(酸化エチレンの平均付加モル数18)、グリセレス―12(酸化エチレンの平均付加モル数12)を具体的に例示できる。特にグリセレス―26又はグリセレス―12が好ましい。
グリセレス―26、グリセレス―20、グリセレス―18、グリセレス―12は、化粧水、エッセンス、ローション等の水系基礎化粧品では、感触改良剤として市販されており、これを使用することができる。
本発明の化粧料において、(D)成分の配合は任意であり、その含有量は他の必須の含有成分(A)、(B)及び(C)とのバランスによって適宜設定できる。(D)成分は、3質量%以上の高濃度のナイアシンアミド(A成分)、及び高分子であり独特のべたつき有する(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー及び/又は(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー(C成分)を含有した本発明の化粧料において、さらに使用感を向上させたい時に含有させると、より塗布時のべたつきを解消し、さらに塗布後のキシミを解消する。(B)成分の含有量は、化粧料全量に対して、0.5~15質量%が好ましく、1~10質量%がより好ましく、1~5質量%が特に好ましい。0.5質量%に満たないと、べたつきやキシミ感を抑制する効果が期待できない恐れがあり、15質量%を超えると成分自身のべたつきが顕在化する恐れがある。
【0020】
また本発明の化粧料に任意に含まれる別の(D)成分;ポリオキシエチレンメチルグルコシドは、メチルグルコースのポリエチレングリコールエーテルであり、次の化学式で表される。
CH3C6H10O5(OCH2CH2)nOH
ここでオキシエチレン基の重合度nは5~30が好ましい。
ポリオキシエチレンメチルグルコシドは市販品を用いることができる。オキシエチレン基の平均重合度nが10であり、化粧品の成分表示名称がメチルグルセス-10であるものとして、日油製:マクビオブライドMG-10E、Lubrizol製:Glucamtm E-10 Humectantを用いることができる。
オキシエチレン基の平均重合度nが20であり、化粧品の成分表示名称がメチルグルセス-20であるものとして、日油製:マクビオブライドMG-20E、Lubrizol製:Glucamtm E-20 Humectantを用いることができる。
ポリオキシエチレンメチルグルコシドの配合量は、全化粧料に対して0.5~15質量%が好ましく、1~10質量%がより好ましく、1~5質量%が特に好ましい。0.5質量%に満たないとべたつきやキシミ感を抑制する効果が期待できない恐れがあり、15質量%を超えると、かえって成分自身のべたつきが顕在化する恐れがある。
【0021】
(A)3質量%以上のナイアシンアミドと共に(B)コメ発酵物を化粧料全体に対して1~95質量%、(C)(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー及び/又は(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーを化粧料全量に対し0.05~1.5質量%含有する化粧料とすることで、3質量%以上の高濃度の(A)ナイアシンアミドを含有した化粧料の塗布時のべたつきを解消し、さらに塗布後のキシミを解消し、肌への浸透感が強く、肌のやわらかさ、ハリ感が感じられる、使用感に優れた化粧料となる。さらに例えば製品開発時の処方設計においてより一層の使用感の向上が求められた場合には、(D)成分であるポリオキシエチレングリセリン及び/又はポリオキシエチレンメチルグルコシドを含有することで、べたつきやキシミ感が低減した化粧料となるので好ましい。
【0022】
(任意成分)
本発明の化粧料は、(A)、(B)、(C)、(D)成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で水、多価アルコール、界面活性剤、油、高級アルコール、増粘剤、キレート剤、防腐剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、他の機能性成分(生理活性成分)、香料、色素、溶剤、天然物の抽出物等を含んでもよい。任意で含有する油としては、天然動植物油脂類及び半合成油脂、炭化水素油、エステル油、シリコーン油等が例示できる。
例えば、多価アルコールとしては、エチレングリコール、ブチレングリコール(BG)、ポリエチレングリコール、ブチルエチルプロパンジオール、ポリプロピレングリコール共重合体、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ペンチレングリコール、エチルヘキシルグリセリン、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール等が挙げられる。
例えば、油としては、天然動植物油脂類及び半合成油脂として、メドウフォーム油、アルガニアスピノサ核油、プルケネチアボルビリス種子油、アボカド油、アマニ油、アーモンド油、オリーブ油、小麦胚芽油、ゴマ油、米胚芽油、米糠油、サフラワー油、大豆油、月見草油、トウモロコシ油、菜種油、馬脂、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ヤシ油、硬化ヤシ油、落花生油、ラノリン等が挙げられる。
炭化水素油としては、イソヘキサデカン、水添ポリイソブテン、スクワラン、スクワレン、ミネラルオイル、オレフィンオリゴマー、水添ポリデセン、ワセリン、トリデカン、ウンデカン等が例示できる。エステル油としては、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、ジステアリン酸グリコール、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、イソデシルベンゾエート、ジカプリル酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジイソステアリン酸グリセリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリット、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、(イソステアリン酸/ミリスチン酸)グリセリル、エチルヘキサン酸セチル、ジイソノナン酸1,3-ブチレングリコール、ジ2-エチルヘキサン酸1,3-ブチレングリコール、ジイソノナン酸ジプロピレングリコール、ジ2-エチルヘキサン酸ジプロピレングリコール、イソノナン酸イソノニル、トリエチルヘキサノイン、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、パルミチン酸エチルヘキシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル等が例示できる。シリコーン油としては、ジメチコン、フェニルトリメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、アミノ変性シリコーン、シクロヘキサシロキサン、シクロペンタシロキサン等が例示できる。
【0023】
本発明の化粧料(医薬部外品を含む)は、乳液、クリーム、化粧水、化粧液、美容液又はジェル等とすることができる。中でも(B)成分を1~95質量%、より好ましくは50~95質量%含有した化粧水、化粧液、美容液、ジェル等の水性化粧料(化粧料全量に対して油を含有しないか油の含有量が1質量%以下)は、本発明の優れた使用感(肌への浸透感が強く、べたつきがない、キシミがない、肌のやわらかさ、ハリ感が感じられる)が顕著に実感できるので最適である。
【実施例0024】
以下に実施例、比較例を示し、本発明を具体的に説明する。
<実施例1~7、比較例1~5の組成による化粧料の比較試験>
1.試験方法
下記の表1に示す組成の化粧料を常法により調製した。なお表中の数字は、化粧料全量を100質量%とする質量%で表示した。表に記載の(B)コメ発酵液は、特開2020-040888号公報に記載に従い、コメをサッカロミセス・ベローナで発酵して得られた発酵液を用いた。
また表に記載のSIMULGEL EGは、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーとして37.5質量%、イソヘキサデカン22.5質量%、ポリソルベート80が7.5質量%、オレイン酸ソルビタン2.5質量%、水30質量%からなる混合原料であり、SIMULGEL EGを1質量%含有した組成では(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーが0.375質量%、油であるイソヘキサデカンが0.225質量%、ポリソルベート80が0.075質量%含有される。
【0025】
【表1】
【0026】
実施例1~7は(A)ナイアシンアミドを5質量%含有し、(B)コメ発酵物であるコメ発酵液を1.88~89.7質量%と、(C)(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーを0.1125~1.125質量%含有した化粧料(化粧水)である。
このうち実施例1~6はさらに(D)メチルグルセス-10又はグリセレス-26のいずれかを5質量%含有する。
一方、比較例1~5は(A)ナイアシンアミドを5質量%含有した化粧料(化粧水)であるが、(B)成分か(C)成分のいずれかを含有しない組成である。
【0027】
実施例1~7、比較例1~5の化粧料を肌に塗布し、以下の基準で<浸透感、べたつき、きしみ感、肌のやわらかさ、ハリ感>について評価した。
熟練した専門の官能評価員5名により、各化粧料を前腕内側部にスポイトで1滴(約0.3ml)滴下し、指で塗り伸ばしたときの塗布中、塗布後の使用感を、協議して決定した。
<浸透感>
指で円を描くように馴染ませる際に発生する肌に浸み込んでいく感覚を評価した。
◎:非常に浸透感が良い
〇:浸透感が良い
△:浸透感がやや悪い
×:浸透感がとても悪い

<べたつき>
指で円を描くように馴染ませた後に発生する粘着性のべたべたした感覚を評価した。
◎:べたつきを感じない
〇:べたつきをほとんど感じない
△:べたつきをごくわずかに感じる
×:べたつきをとても感じる

<きしみ感>
指で円を描くように馴染ませた後に塗布部位を指で軽く擦るようにしたときの、指がなめらかに滑るのではなく不快な摩擦感があって止まる感覚を評価した。
◎:きしみ感を感じない
〇:きしみ感をほとんど感じない
△:きしみ感をごくわずかに感じる
×:きしみ感をとても感じる

<肌のやわらかさ>
指で円を描くように馴染ませた後に塗布部位を、指・手のひらで覆った時に、やわらかく感じたかどうかを評価した。
◎:肌のやわらかさを非常に感じる
〇:肌のやわらかさを感じる
△:肌のやわらかさがほとんど感じられない
×:肌のやわらかさを全く感じない

<ハリ感>
指で円を描くように馴染ませた後に塗布部位を指で軽く押したときに弾力がある感覚(肌がピンと張りつめた感覚も含む)を評価した。
塗布直後のハリ感を評価した。
◎:ハリ感を非常に感じる
〇:ハリ感を感じる
△:ハリ感がほとんど感じられない
×:ハリ感が全く感じられない
【0028】
2.試験結果
各項目の評価結果は、表1の下段に示す通りであった。本発明の構成(A+B+C)をとる実施例1~7の化粧料は、いずれも肌のハリ感に優れ(◎評価;実施例1~7)、肌のやわらかさが感じられた(◎評価;実施例1~7)。
これに対して、(C)成分を含有しない比較例3(A+D)、比較例4(A+B+D)、比較例5(A+B)は肌のハリ感がほとんど感じられないか(△評価;比較例3、4)、ハリ感が全く感じられず(×評価;比較例5)、肌のやわらかさはいずれも全く感じられなかった(×評価;比較例3~5)。(B)成分を含有しない比較例2(A+C)は肌のハリ感は感じられたが(○評価)、肌のやわらかさはほとんど感じられなかった(△評価)。また同じく(B)成分を含有しない比較例1(A+C+D)は肌のハリ感は・やわらかさ、共に(◎評価)であったが、とてもべたつきが感じられ(×評価)本発明の目的とする使用感を達成していなかった。
【0029】
実施例1~7は5つの評価項目において「×評価」はなく、実施例6と7は「べたつき」、「きしみ感」及び「浸透感」のいずれかが「△評価」となった。ここで本試験における前記3項目の△評価の内容を見ていくと「べたつき(△評価)」とは「べたつきをごくわずかに感じる」ことであり、「きしみ感(△評価)」とは「きしみ感をごくわずかに感じる」ことであり、「浸透感(△評価)」とは「浸透感がやや悪い」ことであり、いずれも使用感を特に重要視しない製品の組成とするのであれば、許容される範囲であると判断した。より使用感を重視する処方設計とする場合は、任意成分である(D)成分を含有させると使用感がより良くなることが分かった。
【0030】
以上示した通り、本発明の構成(A+B+C)とすることにより、ナイアシンアミドを3質量%以上と高含有する化粧料において、肌への浸透感があり、べたつき、キシミ感がなく、肌のやわらかさ、ハリ感が感じられる、使用感に優れた化粧料が提供できることが分かった。
【0031】
以下に各種化粧料の処方例と評価を示す。
<処方例1 化粧液>
配合量(質量%)
ナイアシンアミド 5
サッカロミセス/コメ発酵液 80
(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー0.5
グリセレス-26 3
ブチレングリコール(BG) 5
ジグリセリン 1.5
ベタイン 0.5
エチルへキシルグリセリン 0.05
ペンチレングリコール 2
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー 0.05
変性コーンスターチ 0.4
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
水酸化K 0.2
クエン酸 0.02
クエン酸Na 0.1
精製水 残余
(評価)
処方例1の化粧液を常法により調製した。得られた化粧液は肌への浸透感に優れ、べたつき、キシミ感がなく、肌のやわらかさ、ハリ感のいずれの評価も優れていた。
【0032】
<処方例2 化粧水>
配合量(質量%)
ナイアシンアミド 8
サッカロミセス/コメ発酵液 80
SIMULGEL EG((アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーとしては、37.5%含有) 0.4
スクレロチウムガム 0.1
ブチレングリコール(BG) 6
グリセリン 2
エチルへキシルグリセリン 0.05
ペンチレングリコール 1.5
精製水 残余
(評価)
処方例2の化粧水を常法により調製した。得られた化粧水は、肌への浸透感があり、べたつき、キシミ感、肌のやわらかさ、ハリ感のいずれの評価も優れていた。
【0033】
<処方例3 美容液>
配合量(質量%)
ナイアシンアミド 3
サッカロミセス/コメ発酵液 74
SIMULGEL EG 2
スクレロチウムガム 2
グリチルリチン酸ステアリル 0.1
トリエチルヘキサノイン 4
ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 1
ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル
0.2
パルミチン酸セチル 0.5
ステアリン酸ソルビタン 0.2
フィトステロールズ 0.01
セラミドII 0.01
加水分解ヒアルロン酸 0.05
ヒアルロン酸Na 0.01
エチルへキシルグリセリン 0.1
ペンチレングリコール 2
グリセリン 4
精製水 残余
(評価)
処方例3の美容液を常法により調製した。得られた美容液は、肌への浸透感があり、べたつき、キシミ感、肌のやわらかさ、ハリ感のいずれの評価も優れていた。
【0034】
<処方例4 乳液>
配合量(質量%)
ナイアシンアミド 5
サッカロミセス/コメ発酵液 54
SIMULGEL EG 3
メチルグルセス-20 3
マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル 2
リンゴ酸ジイソステアリル 1
べへニルアルコール 0.5
水添ポリデセン 5
トリエチルヘキサノイン 6
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 2
ステアリル酸グリセリル 0.5
オレイン酸ソルビタン 0.35
ポリソルベート60 0.5
ポリクオタニウム-51 0.05
カルボマーK 0.1
フェノキシエタノール 0.2
BG 5
グリセリルグルコシド 2
グリセリン 10
香料 0.1
精製水 残余
(評価)
処方例4の乳液を常法により調製した。得られた乳液は、肌への浸透感があり、べたつき、キシミ感、肌のやわらかさ、ハリ感のいずれの評価も優れていた。
【0035】
<処方例5 オールインワンゲル化粧料>
配合量(質量%)
ナイアシンアミド 5
サッカロミセス/コメ発酵液 70
SIMULGEL EG 2
グリセリン 5
BG 5
ペンチレングリコール 2
ローズマリー葉エキス 0.1
ポリソルベート60 0.3
ポリソルベート80 0.05
オレイン酸ソルビタン 0.01
イソヘキサデカン 1
ジメチコン 2
テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル 3
スクワラン 2
ノバラ油 0.03
精製水 残余
(評価)
処方例5のオールインワンゲル化粧料を常法により調製した。ひ得られたオールインワンゲル化粧料は、肌への浸透感があり、べたつき、キシミ感、肌のやわらかさ、ハリ感のいずれの評価も優れていた。
【0036】
<処方例6 化粧水>
配合量(質量%)
ナイアシンアミド 5
サッカロミセス/コメ発酵液 50
SIMULGEL EG 1
ブチレングリコール(BG) 6
グリセリン 2
エチルへキシルグリセリン 0.05
ペンチレングリコール 1.5
精製水 残余
(評価)
処方例6の化粧水を常法により調製した。得られた化粧水は、肌への浸透感があり、べたつき、キシミ感、肌のやわらかさ、ハリ感のいずれの評価も優れていた。
また処方例6の組成のうち「サッカロミセス/コメ発酵液」50質量%を株式会社テクノーブル社製のラフリン-AM・α(乳酸桿菌/コメ発酵物含有)50質量%に置き換えたもの(処方例7)、香栄興業株式会社製の白麹エキス BG-50(アスペルギルス/コメ発酵エキス含有)50質量%に置き換えたもの(処方例8)、株式会社ホルス社製のホルス吟醸エキスAL(コメ発酵液)50質量%に置き換えたもの(処方例9)を夫々常法により調製し、同様に評価した。処方例7、8および9の化粧水は、いずれも肌への浸透感があり、べたつき、キシミ感、肌のやわらかさ、ハリ感に優れていた。
【0037】
以上、実施例1~7、比較例1~5、処方例1~9で示した通り、(A)ナイアシンアミドを化粧料全量に対し3質量%以上と高含有した化粧料において、(B)発酵物、(C)(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー及び/又は(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーを含有すると、肌への浸透感があり、べたつかず、キシミ感もなく、肌がやわらかくなり、ハリ感がある優れた使用感の化粧料が得られることを確認した。
本発明によりナイアシンアミドを高含有する化粧料であって、肌への浸透感があり、べたつき感がなく、肌になじませる際に感じられるキシミ感を抑制し、さらに肌のやわらかさ、ハリ感に優れた使用感の化粧料が提供できた。