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特開2024-167568エレベーター制御装置、エレベーターシステム、エレベーター制御方法及びエレベーター制御プログラム
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  • 特開-エレベーター制御装置、エレベーターシステム、エレベーター制御方法及びエレベーター制御プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167568
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】エレベーター制御装置、エレベーターシステム、エレベーター制御方法及びエレベーター制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/18 20060101AFI20241127BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
B66B1/18 P
B66B3/00 R
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083738
(22)【出願日】2023-05-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 孝治
【テーマコード(参考)】
3F303
3F502
【Fターム(参考)】
3F303CB42
3F303FA05
3F502HC07
3F502JA78
3F502KA50
(57)【要約】
【課題】予兆がある故障が発生した際の人及び自律移動体への影響を抑えつつ、エレベーターによる人及び自律移動体の輸送効率低下を抑制できるエレベーター制御装置等を提供する。
【解決手段】エレベーター制御装置である群管理盤100は、自律移動体30により入力された乗場呼びである移動体呼びを登録する移動体乗場呼び登録部112と、乗客20により入力された乗場呼びである乗客呼びを登録する乗客乗場呼び登録部111と、複数のかご11のそれぞれについて、故障予兆の有無及び内容を判定する故障予兆判定部141と、移動体呼び及び乗客呼びに対してかご11を割り当てるエレベーター割当部120とを備える。エレベーター割当部120は、故障予兆判定部141により故障予兆があると判定されたかご11を、当該故障予兆の内容に応じて、乗客呼び及び移動体呼びのどちらに割り当てるか決定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のかごを有するエレベーターを制御するエレベーター制御装置であって、
自律移動体により入力された乗場呼びである移動体呼びを登録する移動体呼び登録部と、
乗客により入力された乗場呼びである乗客呼びを登録する乗客呼び登録部と、
複数の前記かごのそれぞれについて、故障予兆の有無及び内容を判定する故障予兆判定部と、
前記移動体呼び及び前記乗客呼びに対して前記かごを割り当てる割当部と、を備え、
前記割当部は、前記故障予兆判定部により故障予兆があると判定された前記かごを、当該故障予兆の内容に応じて、前記乗客呼び及び前記移動体呼びのどちらに割り当てるか決定するエレベーター制御装置。
【請求項2】
前記故障予兆判定部により判定された前記かごの故障予兆が、前記乗客及び前記自律移動体に与える影響を判定する影響判定部をさらに備え、
前記割当部は、前記影響判定部による判定結果に応じて、前記移動体呼び及び前記乗客呼びに対して前記かごを割り当てる請求項1に記載のエレベーター制御装置。
【請求項3】
前記影響判定部は、前記故障予兆判定部により判定された前記かごの故障予兆の影響で、前記乗客及び前記自律移動体が当該かごへの乗降が困難か否かを判定する請求項2に記載のエレベーター制御装置。
【請求項4】
前記割当部は、前記影響判定部により前記乗客の乗降が困難であると判定された前記かごを、前記乗客呼びよりも前記移動体呼びに対して優先して割り当てる請求項3に記載のエレベーター制御装置。
【請求項5】
前記割当部は、前記影響判定部により前記自律移動体の乗降が困難であると判定された前記かごを、前記移動体呼びに対する割り当てから除外する請求項3又は請求項4に記載のエレベーター制御装置。
【請求項6】
前記影響判定部は、前記自律移動体の機種ごとに、前記故障予兆判定部により判定された前記かごの故障予兆が、前記自律移動体に与える影響を判定する請求項2又は請求項3に記載のエレベーター制御装置。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載のエレベーター制御装置と、
前記自律移動体と、を備えたエレベーターシステム。
【請求項8】
複数のかごを有するエレベーターを制御するエレベーター制御装置のコンピュータが実行するエレベーター制御方法であって、
自律移動体により入力された乗場呼びである移動体呼びを登録する移動体呼び登録ステップと、
乗客により入力された乗場呼びである乗客呼びを登録する乗客呼び登録ステップと、
複数の前記かごのそれぞれについて、故障予兆の有無及び内容を判定する故障予兆判定ステップと、
前記移動体呼び及び前記乗客呼びに対して前記かごを割り当てる割当ステップと、を備え、
前記割当ステップは、前記故障予兆判定ステップにより故障予兆があると判定された前記かごを、当該故障予兆の内容に応じて、前記乗客呼び及び前記移動体呼びのどちらに割り当てるか決定するエレベーター制御方法。
【請求項9】
前記故障予兆判定ステップにより判定された前記かごの故障予兆が、前記乗客及び前記自律移動体に与える影響を判定する影響判定ステップをさらに備え、
前記割当ステップは、前記影響判定ステップによる判定結果に応じて、前記移動体呼び及び前記乗客呼びに対して前記かごを割り当てる請求項8に記載のエレベーター制御方法。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載のエレベーター制御方法を、前記エレベーター制御装置のコンピュータに実行させるためのエレベーター制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーター制御装置、エレベーターシステム、エレベーター制御方法及びエレベーター制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数台のエレベーターを群管理制御する群管理装置と、各エレベーターの動作状態を監視して故障の兆候である予兆を検出するエレベーター監視装置とを備えたエレベーター群管理制御装置において、群管理装置は、予兆を検出したエレベーターの呼び割当優先順位を最も下位に下げるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-114458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、特許文献1に示されるような技術は、故障の予兆が検出されたエレベーターのかごについて、呼び割当優先順位を最も下位に下げるものである。しかしながら、予兆が検出された故障の内容によっては、例えば移動ロボットのような自律移動体の乗降には大きな影響がない場合もある。このような場合、特許文献1に示されるような技術では、故障の予兆が検出されたかごによる自律移動体の輸送も抑制されるため、エレベーターによる自律移動体の輸送効率が低下してしまう。一方、逆に、予兆が検出された故障の内容によっては、乗客の乗降には大きな影響がないものの自律移動体の乗降には大きな影響がある場合も考えられる。このような場合には、特許文献1に示されるような技術では、エレベーターによる乗客の輸送効率が低下してしまう。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものである。その目的は、予兆がある故障が発生した際の乗客及び自律移動体への影響を抑えつつ、エレベーターによる乗客及び自律移動体の輸送効率低下を抑制できるエレベーター制御装置、エレベーターシステム、エレベーター制御方法及びエレベーター制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベーター制御装置は、複数のかごを有するエレベーターを制御するエレベーター制御装置であって、自律移動体により入力された乗場呼びである移動体呼びを登録する移動体呼び登録部と、乗客により入力された乗場呼びである乗客呼びを登録する乗客呼び登録部と、複数の前記かごのそれぞれについて、故障予兆の有無及び内容を判定する故障予兆判定部と、前記移動体呼び及び前記乗客呼びに対して前記かごを割り当てる割当部と、を備え、前記割当部は、前記故障予兆判定部により故障予兆があると判定された前記かごを、当該故障予兆の内容に応じて、前記乗客呼び及び前記移動体呼びのどちらに割り当てるか決定する。
【0007】
本開示に係るエレベーターシステムは、上記のエレベーター制御装置と、前記自律移動体と、を備える。
【0008】
本開示に係るエレベーター制御方法は、複数のかごを有するエレベーターを制御するエレベーター制御装置のコンピュータが実行するエレベーター制御方法であって、自律移動体により入力された乗場呼びである移動体呼びを登録する移動体呼び登録ステップと、乗客により入力された乗場呼びである乗客呼びを登録する乗客呼び登録ステップと、複数の前記かごのそれぞれについて、故障予兆の有無及び内容を判定する故障予兆判定ステップと、前記移動体呼び及び前記乗客呼びに対して前記かごを割り当てる割当ステップと、を備え、前記割当ステップは、前記故障予兆判定ステップにより故障予兆があると判定された前記かごを、当該故障予兆の内容に応じて、前記乗客呼び及び前記移動体呼びのどちらに割り当てるか決定する。
【0009】
本開示に係るエレベーター制御プログラムは、上記のエレベーター制御方法を、前記エレベーター制御装置のコンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係るエレベーター制御装置、エレベーターシステム、エレベーター制御方法及びエレベーター制御プログラムによれば、予兆がある故障が発生した際の乗客及び自律移動体への影響を抑えつつ、エレベーターによる乗客及び自律移動体の輸送効率低下を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係るエレベーターシステムの全体構成を模式的に示す図である。
図2】実施の形態1に係るエレベーター制御装置の構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態1に係るエレベーター制御装置における故障予兆の内容と乗客及び自律移動体に与える影響の判定の一例を説明する図である。
図4】実施の形態1に係るエレベーター制御装置における処理の一例を示すフロー図である。
図5】実施の形態1に係るエレベーター制御装置の機能を実現する構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示に係るエレベーター制御装置、エレベーターシステム、エレベーター制御方法及びエレベーター制御プログラムを実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。なお、本開示は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、又は各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0013】
実施の形態1.
図1から図5を参照しながら、本開示の実施の形態1について説明する。図1はエレベーターシステムの全体構成を模式的に示す図である。図2はエレベーター制御装置の構成を示すブロック図である。図3はエレベーター制御装置における故障予兆の内容と乗客及び自律移動体に与える影響の判定の一例を説明する図である。図4はエレベーター制御装置における処理の一例を示すフロー図である。図5はエレベーター制御装置の機能を実現する構成の一例を示す図である。
【0014】
この実施の形態に係るエレベーター制御装置は、複数のかごを有するエレベーターを制御するものである。図1は、この実施の形態に係るエレベーター制御装置の制御対象となるエレベーターの一例を模式的に示すものである。同図に示すように、エレベーターは、複数のかご11を備えている。エレベーターが設置された建物には、かご11と同数の昇降路10が設けられている。複数のかご11のそれぞれは、各昇降路10内にそれぞれ昇降自在に配置されている。
【0015】
複数のかご11のそれぞれには、乗客20及び自律移動体30が乗降可能である。自律移動体30は、例えば移動ロボットであり、自律して移動可能である。かご11は、昇降路10内を昇降し、かご11内に搭乗している乗客20及び自律移動体30の一方又は両方を、建物の複数の階床間にわたって運搬する。
【0016】
かご11が停止可能である各階床の乗場には、乗客用乗場呼びボタン41及び移動体用乗場呼びボタン42が設けられている。乗客用乗場呼びボタン41は、乗客20が乗場呼びを登録するためのものである。移動体用乗場呼びボタン42は、自律移動体30が乗場呼びを登録するためのものである。乗客用乗場呼びボタン41及び移動体用乗場呼びボタン42のそれぞれは、上方向ボタン及び下方向ボタンを備えている。上方向ボタンは、当該乗場呼びボタンが設置された階床に、進行方向が上方向となるかご11を呼び寄せる呼びを登録するためのものである。下方向ボタンは、当該乗場呼びボタンが設置された階床に、進行方向が下方向となるかご11を呼び寄せる呼びを登録するためのものである。なお、上端階及び下端階の乗客用乗場呼びボタン41及び移動体用乗場呼びボタン42は、上方向ボタン及び下方向ボタンのうちの必要な一方のみを備えればよい。
【0017】
図1に示す群管理盤100は、複数のかご11を有するエレベーターを制御するエレベーター制御装置の一例である。群管理盤100は、複数のかご11を一群として統括的に管理する。次に、図2を参照しながら、この実施の形態に係る群管理盤100の構成について説明する。図2に示すように、群管理盤100は、乗客乗場呼び登録部111、移動体乗場呼び登録部112、エレベーター割当部120及び各かご制御部130を備えている。
【0018】
群管理盤100は、各階床の乗客用乗場呼びボタン41及び移動体用乗場呼びボタン42のそれぞれと通信可能に接続されている。乗客20が乗客用乗場呼びボタン41を操作すると、当該操作された乗客用乗場呼びボタン41から呼び登録要求信号が出力される。乗客用乗場呼びボタン41から出力された呼び登録要求信号は、群管理盤100に入力される。群管理盤100の乗客乗場呼び登録部111は、群管理盤100に入力された呼び登録要求信号の出力元である乗客用乗場呼びボタン41が設置された階床への乗場呼びを登録する。このようにして、乗客乗場呼び登録部111は、乗客20により入力された乗場呼びを登録する。本開示においては、乗客20により入力された乗場呼びを「乗客呼び」ともいう。乗客乗場呼び登録部111は乗客呼びを登録する。
【0019】
自律移動体30が移動体用乗場呼びボタン42を操作すると、当該操作された移動体用乗場呼びボタン42から呼び登録要求信号が出力される。移動体用乗場呼びボタン42から出力された呼び登録要求信号は、群管理盤100に入力される。群管理盤100の移動体乗場呼び登録部112は、群管理盤100に入力された呼び登録要求信号の出力元である移動体用乗場呼びボタン42が設置された階床への乗場呼びを登録する。このようにして、移動体乗場呼び登録部112は、自律移動体30により入力された乗場呼びを登録する。本開示においては、自律移動体30により入力された乗場呼びを「移動体呼び」ともいう。移動体乗場呼び登録部112は移動体呼びを登録する。
【0020】
以上のようにして、この実施の形態に係るエレベーター制御装置においては、乗客20により入力された乗場呼びである乗客呼びと、自律移動体30により入力された乗場呼びである移動体呼びとを区別して取り扱うことができる。なお、乗客呼びの登録は、乗場に設置された乗客用乗場呼びボタン41への操作によるものに限られない。他に例えば、乗客20は、自身が所持するスマートフォン、スマートウォッチ等の端末装置を操作することで乗客呼びを登録できるようにしてもよい。この場合、乗客20が所持する端末装置には、例えば専用アプリケーションが予めインストールされている。乗客20は、専用アプリケーションが実行されている端末装置を介して呼び登録操作を行うことができる。そして、乗客20が端末装置において呼び登録操作を行うと、端末装置は、群管理盤100に呼び登録要求信号を送信する。
【0021】
また、移動体呼びの登録は、乗場に設置された移動体用乗場呼びボタン42への操作によるものに限られない。他に例えば、自律移動体30は、直接に移動体呼びを登録できるようにしてもよい。この場合、自律移動体30は、群管理盤100と通信可能である。自律移動体30と群管理盤100との間の通信には、無線通信を用いるとよい。そして、自律移動体30は、群管理盤100に呼び登録要求信号を直接に送信する。
【0022】
エレベーター割当部120は、登録された乗場呼び、すなわち、乗客乗場呼び登録部111により登録された乗客呼び、及び、移動体乗場呼び登録部112により登録された移動体呼びに対して割り当てるかご11を、複数のかご11のうちから決定する。乗場呼びに対して割り当てるかご11の決定は、例えば、次のようにして行われる。まず、エレベーター割当部120は、各かご11の運行状態に基づいて、かご11のそれぞれについて割当評価値を算出する。この割当評価値は、例えば、登録された乗場呼びに応答したかご11が到着するまでの待ち時間、かご11の負荷等を用いて算出される。そして、エレベーター割当部120は、算出した各かご11の割当評価値を比較して、割当評価値が最も大きいかご11を乗場呼びに対して割り当てるかご11に決定する。このようにして、エレベーター割当部120は、移動体呼び及び乗客呼びに対してかご11を割り当てる。
【0023】
各かご制御部130は、複数のかご11のそれぞれの運転を制御する。各かご制御部130は、複数のかご11のそれぞれに対応して1つずつ設けられている。すなわち、各かご制御部130は、かご11と同数だけ設けられる。各かご制御部130は、それぞれに対応するかご11の走行を制御する。例えば、乗場呼びに割り当てるかご11がエレベーター割当部120により決定されると、当該かご11を制御する各かご制御部130は、登録された乗場呼びに応答すべく、乗場呼びが登録された階床へと当該かご11を走行させる。
【0024】
この実施の形態に係る群管理盤100は、図2に示すように、故障予兆判定部141をさらに備えている。故障予兆判定部141は、複数のかご11のそれぞれについて、故障予兆の有無を判定する。また、故障予兆判定部141は、故障予兆があると判定されたかご11については、その故障予兆の内容についても判定する。故障予兆判定部141による各かご11の故障予兆の有無及び内容の判定は、既知の手法を用いて行うことができる。故障予兆判定部141により判定される故障予兆の内容としては、具体的に例えば、かご11内に設けられた、図示しないかご内行先階ボタン、戸開ボタン、戸閉ボタン、かご内照明等のかご内設備の故障、かご11の階床停止時におけるレベリング異常、かご11の戸開不能、かご11の走行不能等が挙げられる。
【0025】
そして、この実施の形態に係るエレベーター制御装置においては、エレベーター割当部120は、故障予兆判定部141により故障予兆があると判定されたかご11を、当該故障予兆の内容に応じて、乗客呼び及び移動体呼びのどちらに割り当てるか決定する。例えば、かご内設備の故障は、乗客20の乗降には大きな影響があるのに対して、自律移動体30の乗降に与える影響は比較的軽微である。そこで、エレベーター割当部120は、故障予兆判定部141によりかご内設備の故障の予兆があると判定されたかご11については、乗客呼びよりも移動体呼びに対して優先的に割り当てる。
【0026】
一方、かご11のレベリング異常が発生すると、かご11が階床に停止した際に、かご11の床面と乗場の床面とでズレが生じ、段差ができる。このような段差は、その程度にもよるが、自律移動体30の乗降には大きな影響があるのに対して、乗客20の乗降に与える影響は比較的軽微である。そこで、エレベーター割当部120は、故障予兆判定部141によりかご11のレベリング異常の予兆があると判定されたかご11については、移動体呼びよりも乗客呼びに対して優先的に割り当てる。
【0027】
なお、自律移動体30の機種によって、段差がある箇所でも走行可能であったり、段差がある箇所では走行困難であったりする場合がある。そこで、エレベーター割当部120は、移動体呼びを登録した自律移動体30の機種を考慮してかご11の割り当てを行ってもよい。例えば、故障予兆判定部141によりかご11のレベリング異常の予兆があると判定されたかご11については、段差がある箇所では走行困難な機種の自律移動体30により登録された移動体呼びよりも、段差がある箇所でも走行可能な機種の自律移動体30により登録された移動体呼びに対して優先的に割り当てる。
【0028】
かご11が戸開不能になると、乗客20、自律移動体30がかご11内から出られなくなる、いわゆる閉じ込めが発生する。また、かご11が走行不能になると、当然、当該かご11は使用できない。このため、エレベーター割当部120は、故障予兆判定部141によりかご11の戸開不能、走行不能の予兆があると判定されたかご11については、割り当て対象から除外し、乗客呼び及び移動体呼びのいずれに対しても割り当てないようにするとよい。
【0029】
以上のように構成されたエレベーター制御装置によれば、故障予兆があると判定されたかご11を、当該故障予兆の内容に応じて、乗客呼び及び移動体呼びのどちらに割り当てるか決定することで、予兆がある故障が発生した際の乗客20及び自律移動体30への影響を抑えつつ、故障予兆があると判定されたかご11についても有効に活用して、エレベーターによる乗客20及び自律移動体30の輸送効率低下を抑制できる。特に、故障予兆の内容により、乗客20に与える影響を考慮して自律移動体30を優先乗車させることで、故障予兆があるかご11に乗客20が乗車するケースが減り、乗客20が故障の影響を受けにくくするとともに、自律移動体30を乗車させることでかご11を有効活用できる効率的なエレベーターを得ることができる。
【0030】
この実施の形態に係る群管理盤100は、図2に示すように、影響判定部142をさらに備えていてもよい。影響判定部142は、故障予兆判定部141により判定されたかご11の故障予兆が、乗客20及び自律移動体30に与える影響を判定する。ここで、かご11の故障予兆が乗客20及び自律移動体30に与える影響とは、当該予兆の故障が実際に発生した場合に、当該故障により乗客20及び自律移動体30が受ける影響である。そして、エレベーター割当部120は、影響判定部142による判定結果に応じて、移動体呼び及び乗客呼びに対してかご11を割り当てる。このような影響判定部142を備えることで、故障予兆の内容に応じて、より適切に移動体呼び及び乗客呼びに対してかご11を割り当てることができる。
【0031】
影響判定部142は、故障予兆判定部141により判定されたかご11の故障予兆の影響で、乗客20及び自律移動体30が当該かご11への乗降が困難か否かを判定してもよい。この場合、エレベーター割当部120は、影響判定部142により乗客20の乗降が困難であると判定されたかご11を、乗客呼びよりも移動体呼びに対して優先して割り当てるとよい。このようにすることで、予兆がある故障が発生した際の乗客20への影響を低減させつつ、故障予兆があると判定されたかご11を活用して自律移動体30を輸送できる。
【0032】
また、エレベーター割当部120は、影響判定部142により自律移動体30の乗降が困難であると判定されたかご11を、移動体呼びに対する割当対象から除外してもよい。このようにすることで、予兆のある故障が発生した場合に、当該かごの故障により自律移動体30に悪影響が及ぶことを抑制できる。
【0033】
ここで、図1に示すように、自律移動体30は複数であってもよい。この例では、nを自然数として自律移動体30はn台あるとする。この場合、影響判定部142は、複数の自律移動体30のそれぞれについて個別に、故障予兆判定部141により判定されたかご11の故障予兆が与える影響、当該かご11への乗降が困難か否かを判定してもよい。ただし、同一機種の自律移動体30は、故障予兆により受ける影響も同一であると考えられることから、影響判定部142は、自律移動体30の機種ごとに、故障予兆判定部141により判定されたかご11の故障予兆が、自律移動体30に与える影響を判定してもよい。
【0034】
次に、図3を参照しながら、影響判定部142による判定と、影響判定部142の判定結果を用いたエレベーター割当部120による乗場呼びへのかご11の割り当ての実装例を説明する。同図に示すのは、故障予兆判定部141により判定されたかご11の故障予兆の内容に応じた、乗客20及び自律移動体30への影響判定結果である。
【0035】
同図には、故障予兆判定部141により判定されたかご11の故障予兆の内容の一例として、故障予兆内容A、故障予兆内容B及び故障予兆内容C、並びに、予兆なしが示されている。故障予兆内容Aは、故障予兆判定部141が当該かご11について前述したかご内設備の故障の予兆があると判定した場合である。故障予兆内容Bは、故障予兆判定部141が当該かご11について前述したレベリング異常の予兆があると判定した場合である。故障予兆内容Cは、故障予兆判定部141が当該かご11について前述した戸開不能、走行不能の予兆があると判定した場合である。そして、「予兆なし」とは、故障予兆判定部141が当該かご11について故障の予兆はないと判定した場合である。
【0036】
同図では、故障予兆内容に応じた乗客20及び自律移動体30への影響の大きさの判定結果を災害レベルで表している。災害レベルは、最低の0から最高の10までの11段階である。なお、災害レベル0は影響なしを表している。
【0037】
この例では、災害レベルに応じてペナルティ値が設定される。そして、エレベーター割当部120は、故障予兆判定部141により故障予兆があると判定されたかご11については、割当評価値にペナルティ値を乗じた評価値(以下、「補正評価値」ともいう)を用いて、乗場呼びに割り当てるかご11を決定する。
【0038】
この際、エレベーター割当部120は、乗客呼びに対しては、乗客20の災害レベルに応じたペナルティ値を使用する。そして、エレベーター割当部120は、移動体呼びに対しては、自律移動体30の災害レベルに応じたペナルティ値を使用する。なお、自律移動体30の機種ごとに災害レベルすなわちペナルティ値が判定される場合、移動体呼びも自律移動体30の機種ごとに区別される。
【0039】
ペナルティ値は、例えば、0.0から10.0の範囲で設定される。ペナルティ値が1.0の場合、補正評価値は、ペナルティ値を乗じる前の割当評価値から変化しない。すなわち、ペナルティ値が1.0であるとは、乗場呼びへのかご11の割り当てに影響がないことを示している。ペナルティ値が1.0より小さい場合、補正評価値は、ペナルティ値を乗じる前の割当評価値よりも小さくなる。すなわち、この場合、乗場呼びへのかご11の割り当ての優先度が下がる。一方、ペナルティ値が1.0より大きい場合、補正評価値は、ペナルティ値を乗じる前の割当評価値よりも大きくなる。すなわち、この場合、乗場呼びへのかご11の割り当ての優先度が上がる。特に、ペナルティ値が最大の10.0の場合、当該乗場呼びに対して当該かご11が最大限に優先されて割り当てられる。なお、ペナルティ値が0.0の場合、補正評価値は0.0になる。この場合、当該かご11は当該乗場呼びに割り当てられることはない。すなわち、当該乗場呼びに対する割り当て対象から、当該かご11が除外される。
【0040】
このようにして、影響判定部142は、各かご11について、故障予兆判定部141による故障予兆の有無及び内容の判定結果に応じて、乗客20及び自律移動体30のそれぞれへの影響を反映した災害レベルを判定する。そして、エレベーター割当部120は、乗場呼びが乗客呼び及び移動体呼びのいずれであるのかに応じて、影響判定部142により判定された災害レベルに応じて設定されたペナルティ値を用いて割当評価値を補正して乗場呼びに割り当てるかご11を決定する。これにより、エレベーター割当部120は、影響判定部142による判定結果に応じて、移動体呼び及び乗客呼びに対してかご11を割り当てることができる。
【0041】
図3に示す具体例について詳しく説明する。この例では、自律移動体30には機種Aと機種Bがあるとする。まず、故障予兆判定部141が故障の予兆はないと判定したかご11について、影響判定部142は、乗客20、自律移動体30(機種A)及び自律移動体30(機種B)の全てで災害レベルは0(最低、つまり影響なし)であると判定する。そして、この影響判定部142による判定結果に基づき、故障の予兆がないかご11については、乗客呼び及び移動体呼びに対するペナルティ値を1.0とする。すなわち、割当評価値は変化せず、乗場呼びへの割当優先度の変更はない。
【0042】
次に、故障予兆内容Aのかご11、すなわち、故障予兆判定部141により前述したかご内設備の故障の予兆があると判定されたかご11について、影響判定部142による判定結果は以下のとおりである。
・乗客20の災害レベルは10(最高)である。
・自律移動体30(機種A)の災害レベルは0(最低、つまり影響なし)である。
・自律移動体30(機種B)の災害レベルは0(最低、つまり影響なし)である。
【0043】
この影響判定部142による判定結果に基づき、故障予兆内容Aのかご11について、乗客呼びに対するペナルティ値は0.0とする。すなわち、故障予兆内容Aのかご11は、乗客呼びに対する割り当て対象から除外される。一方、故障予兆内容Aのかご11について、移動体呼びに対するペナルティ値は、機種A及び機種Bともに10.0とする。すなわち、故障予兆内容Aのかご11は、移動体呼びに対して優先的に割り当てられる。
【0044】
また、故障予兆内容Bのかご11、すなわち、故障予兆判定部141によりレベリング異常の予兆があると判定されたかご11について、影響判定部142による判定結果は以下のとおりである。この例では、機種Aの自律移動体30は段差を乗り越える機能を有していない一方、機種Bの自律移動体30は段差を乗り越える機能を有しているとする。
・乗客20の災害レベルは5である。
・自律移動体30(機種A)の災害レベルは10(最高)である。
・自律移動体30(機種B)の災害レベルは0(最低、つまり影響なし)である。
【0045】
この影響判定部142による判定結果に基づき、故障予兆内容Bのかご11について、乗客呼びに対するペナルティ値は0.5とする。すなわち、故障予兆内容Bのかご11は、乗客呼びに対する割り当て優先度が故障予兆なしのかご11よりも下げられる。また、故障予兆内容Bのかご11について、機種Aの移動体呼びに対するペナルティ値は0.0とする。すなわち、故障予兆内容Bのかご11は、機種Aの移動体呼びに対する割り当て対象から除外される。一方、故障予兆内容Bのかご11について、機種Bの移動体呼びに対するペナルティ値は10.0とする。すなわち、故障予兆内容Bのかご11は、機種Bの移動体呼びに対して優先的に割り当てられる。
【0046】
そして、故障予兆内容Cのかご11、すなわち、故障予兆判定部141により前述した戸開不能、走行不能の予兆があると判定されたかご11について、影響判定部142は、乗客20、自律移動体30(機種A)及び自律移動体30(機種B)の全てで災害レベルは10(最高)であると判定する。そして、この影響判定部142による判定結果に基づき、故障予兆内容Cのかご11については、乗客呼び及び移動体呼びに対するペナルティ値を0.0とする。すなわち、乗客呼び及び移動体呼びの両方、つまり全ての乗場呼びに対する割り当て対象から除外される。
【0047】
次に、以上のように構成された群管理盤100による処理の流れの一例を図4を参照しながら説明する。まず、ステップS1において、乗客20又は自律移動体30により乗場呼びが登録されると、換言すれば、乗客乗場呼び登録部111により乗客呼びが登録されるか、又は、移動体乗場呼び登録部112により移動体呼びが登録されると、群管理盤100は、次に各かご11についてステップS2からS9のループ処理を行う。
【0048】
この場合、例えば各かご11に通し番号を予め振っておく。この通し番号は、例えばかご11の号機を示す番号であってもよい。そして、群管理盤100は、ステップS2からS9までの処理が完了するたびにループ処理の対象とするかご11の通し番号を1ずつ繰り上げながら、最終的に全てのかご11についてステップS2からS9までの処理が完了するまでループ処理を行う。
【0049】
ステップS2からS9までの処理について、次に説明する。なお、以降の説明においては、前述した通し番号で指定される、現在のループ処理の対象になっているかご11のことを、単に対象のかご11という。まず、ステップS3において、故障予兆判定部141は、対象のかご11について故障予兆の有無及び内容を判定する。そして、対象のかご11について故障予兆があると判定された場合、群管理盤100は次にステップS4の処理を行う。一方、対象のかご11について故障予兆がないと判定された場合、群管理盤100は次にステップS7の処理を行う。
【0050】
ステップS4においては、影響判定部142は、故障予兆判定部141により対象のかご11について複数の故障予兆があると判定されたか否かを確認する。そして、対象のかご11について複数の故障予兆があると判定されない場合、すなわち、対象のかご11について1つのみの故障予兆があると判定された場合、群管理盤100は次にステップS5の処理を行う。一方、対象のかご11について複数の故障予兆があると判定された場合、群管理盤100は次にステップS6の処理を行う。
【0051】
ステップS5においては、影響判定部142は、ステップS3で故障予兆判定部141により判定された対象のかご11の故障予兆内容と、ステップS1で登録された乗場呼びが乗客呼び又は移動体呼びのどちらであるのかとに応じて、ペナルティ値を設定する。ステップS5の後、群管理盤100は次にステップS8の処理を行う。
【0052】
ステップS6においては、影響判定部142は、ステップS3で故障予兆判定部141により判定された対象のかご11の複数の故障予兆内容のそれぞれについて、ステップS1で登録された乗場呼びが乗客呼び又は移動体呼びのどちらであるのかに応じたペナルティ値をまず特定する。そして、特定したペナルティ値のうちで最も0.0に近い値をペナルティ値に設定する。ステップS6の後、群管理盤100は次にステップS8の処理を行う。
【0053】
ステップS7においては、影響判定部142は、ペナルティ値を、影響なしを示す1.0に設定する。ステップS7の後、群管理盤100は次にステップS8の処理を行う。
【0054】
ステップS8においては、エレベーター割当部120は、ステップS5、S6又はS7で設定されたペナルティ値を用いて割当評価値を補正する。すなわち、エレベーター割当部120は、割当評価値にペナルティ値を乗じることで補正評価値を算出する。
【0055】
全てのかご11についてステップS2からS9までの処理が完了したら、ループ処理を抜けて、群管理盤100は次にステップS10の処理を行う。ステップS10においては、エレベーター割当部120は、ステップS8で算出した各かご11の補正評価値を比較して、補正評価値が最も大きいかご11を、ステップS1で登録された乗場呼びに対して割り当てるかご11に決定する。ステップS10の処理が完了すると、一連の処理は終了となる。
【0056】
なお、本開示に係るエレベーター制御装置である群管理盤100とかご11とを含むエレベーターと、自律移動体30とによりエレベーターシステムを構成してもよい。このようなエレベーターシステムによっても、故障予兆があると判定されたかご11を、当該故障予兆の内容に応じて、乗客呼び及び移動体呼びのどちらに割り当てるか決定することで、予兆がある故障が発生した際の乗客20及び自律移動体30への影響を抑えつつ、故障予兆があると判定されたかご11についても有効に活用して、エレベーターによる乗客20及び自律移動体30の輸送効率低下を抑制できる。
【0057】
図5は、この実施の形態における群管理盤100の機能を実現する構成の一例を示す図である。群管理盤100の機能は、例えば、処理回路により実現される。処理回路は、プロセッサ101及びメモリ102を備えていてもよい。処理回路は、専用ハードウェア103であってもよい。処理回路の一部が専用ハードウェア103として形成され、かつ、当該処理回路はさらにプロセッサ101及びメモリ102を備えていてもよい。同図に示す例においては、処理回路の一部は専用ハードウェア103として形成されている。また、同図に示す例において、処理回路は、プロセッサ101及びメモリ102をさらに備えている。
【0058】
一部が少なくとも1つの専用ハードウェア103である処理回路には、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらを組み合わせたものが該当する。処理回路が少なくとも1つのプロセッサ101及び少なくとも1つのメモリ102を備える場合、群管理盤100の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
【0059】
ソフトウェア及びファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ102に格納される。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。プロセッサ101は、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータあるいはDSPともいう。メモリ102には、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM及びEEPROM等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、又は磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク及びDVD等が該当する。
【0060】
このようにして、群管理盤100の処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、群管理盤100の各機能を実現することができる。群管理盤100の処理回路が少なくともプロセッサ101及びメモリ102を備える場合、群管理盤100においてメモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行し、群管理盤100のハードウェアとソフトウェアとが協働することによって、群管理盤100が備える各部の機能が実現される。
【0061】
また、この実施の形態に係るエレベーター制御方法は、複数のかご11を有するエレベーターを制御するエレベーター制御装置である群管理盤100のコンピュータにより実行される。この実施の形態に係るエレベーター制御方法は、これまでの説明から明らかなように、少なくとも、移動体呼び登録ステップと、乗客呼び登録ステップと、故障予兆判定ステップと、割当ステップとを備えている。移動体呼び登録ステップでは、自律移動体30により入力された乗場呼びである移動体呼びを登録する。乗客呼び登録ステップでは、乗客20により入力された乗場呼びである乗客呼びを登録する。故障予兆判定ステップでは、複数のかご11のそれぞれについて、故障予兆の有無及び内容を判定する。割当ステップでは、移動体呼び及び乗客呼びに対してかご11を割り当てる。そして、割当ステップでは、故障予兆判定ステップにより故障予兆があると判定されたかご11を、当該故障予兆の内容に応じて、乗客呼び及び移動体呼びのどちらに割り当てるか決定する。
【0062】
この実施の形態に係るエレベーター制御プログラムは、上述したエレベーター制御方法を、複数のかご11を有するエレベーターを制御するエレベーター制御装置である群管理盤100のコンピュータに実行させるためのものである。また、この実施の形態に係る記憶媒体は、このようなエレベーター制御プログラムを記憶している。
【0063】
なお、本開示に係るエレベーターは、単一の群管理盤100により動作が制御される構成に限定されるものではない。エレベーターは、複数の装置が連携することで動作を制御されてもよい。
【0064】
なお、本開示においては、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態を任意に組み合わせてもよい。以下に、本開示の諸態様の例を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
複数のかごを有するエレベーターを制御するエレベーター制御装置であって、
自律移動体により入力された乗場呼びである移動体呼びを登録する移動体呼び登録部と、
乗客により入力された乗場呼びである乗客呼びを登録する乗客呼び登録部と、
複数の前記かごのそれぞれについて、故障予兆の有無及び内容を判定する故障予兆判定部と、
前記移動体呼び及び前記乗客呼びに対して前記かごを割り当てる割当部と、を備え、
前記割当部は、前記故障予兆判定部により故障予兆があると判定された前記かごを、当該故障予兆の内容に応じて、前記乗客呼び及び前記移動体呼びのどちらに割り当てるか決定するエレベーター制御装置。
(付記2)
前記故障予兆判定部により判定された前記かごの故障予兆が、前記乗客及び前記自律移動体に与える影響を判定する影響判定部をさらに備え、
前記割当部は、前記影響判定部による判定結果に応じて、前記移動体呼び及び前記乗客呼びに対して前記かごを割り当てる付記1に記載のエレベーター制御装置。
(付記3)
前記影響判定部は、前記故障予兆判定部により判定された前記かごの故障予兆の影響で、前記乗客及び前記自律移動体が当該かごへの乗降が困難か否かを判定する付記2に記載のエレベーター制御装置。
(付記4)
前記割当部は、前記影響判定部により前記乗客の乗降が困難であると判定された前記かごを、前記乗客呼びよりも前記移動体呼びに対して優先して割り当てる付記3に記載のエレベーター制御装置。
(付記5)
前記割当部は、前記影響判定部により前記自律移動体の乗降が困難であると判定された前記かごを、前記移動体呼びに対する割り当てから除外する付記3又は付記4に記載のエレベーター制御装置。
(付記6)
前記影響判定部は、前記自律移動体の機種ごとに、前記故障予兆判定部により判定された前記かごの故障予兆が、前記自律移動体に与える影響を判定する付記2から付記5のいずれか一項に記載のエレベーター制御装置。
(付記7)
付記1から付記6のいずれか一項に記載のエレベーター制御装置と、
前記自律移動体と、を備えたエレベーターシステム。
(付記8)
複数のかごを有するエレベーターを制御するエレベーター制御装置のコンピュータが実行するエレベーター制御方法であって、
自律移動体により入力された乗場呼びである移動体呼びを登録する移動体呼び登録ステップと、
乗客により入力された乗場呼びである乗客呼びを登録する乗客呼び登録ステップと、
複数の前記かごのそれぞれについて、故障予兆の有無及び内容を判定する故障予兆判定ステップと、
前記移動体呼び及び前記乗客呼びに対して前記かごを割り当てる割当ステップと、を備え、
前記割当ステップは、前記故障予兆判定ステップにより故障予兆があると判定された前記かごを、当該故障予兆の内容に応じて、前記乗客呼び及び前記移動体呼びのどちらに割り当てるか決定するエレベーター制御方法。
(付記9)
前記故障予兆判定ステップにより判定された前記かごの故障予兆が、前記乗客及び前記自律移動体に与える影響を判定する影響判定ステップをさらに備え、
前記割当ステップは、前記影響判定ステップによる判定結果に応じて、前記移動体呼び及び前記乗客呼びに対して前記かごを割り当てる付記8に記載のエレベーター制御方法。
(付記10)
付記8又は付記9に記載のエレベーター制御方法を、前記エレベーター制御装置のコンピュータに実行させるためのエレベーター制御プログラム。
【符号の説明】
【0065】
10 昇降路
11 かご
20 乗客
30 自律移動体
41 乗客用乗場呼びボタン
42 移動体用乗場呼びボタン
100 群管理盤
101 プロセッサ
102 メモリ
103 専用ハードウェア
111 乗客乗場呼び登録部
112 移動体乗場呼び登録部
120 エレベーター割当部
130 各かご制御部
141 故障予兆判定部
142 影響判定部
図1
図2
図3
図4
図5