(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167573
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】太陽光発電パネル支持構造
(51)【国際特許分類】
H02S 20/22 20140101AFI20241127BHJP
H01L 31/042 20140101ALI20241127BHJP
H02S 20/10 20140101ALI20241127BHJP
E04F 11/18 20060101ALI20241127BHJP
E04B 1/00 20060101ALI20241127BHJP
E04H 17/14 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
H02S20/22
H01L31/04 500
H02S20/10 D
E04F11/18
E04B1/00 501J
E04H17/14
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083745
(22)【出願日】2023-05-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和5年2月10日~21日にスマイルホテル熊本水前寺にて、設置工事を行った。 また、令和5年3月15日~17日に開催された第16回 PV EXPO(春)―(国際)太陽光発電展―にて、発表した。
(71)【出願人】
【識別番号】000131120
【氏名又は名称】株式会社サンレール
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 良弘
【テーマコード(参考)】
2E142
2E301
5F251
【Fターム(参考)】
2E142HH03
2E301JJ07
2E301JJ12
2E301MM03
2E301NN01
5F251BA18
5F251JA30
(57)【要約】
【課題】太陽光発電パネルを設置するためだけの場所を用意せずとも良いばかりか、太陽光発電パネルによる発電にあたって積雪の影響を受けることがない太陽光発電パネル支持構造を提供する。
【解決手段】上溝枠4cと下取付枠5に設けられている下溝枠5aとの間に嵌め込まれることによって垂直状に太陽光発電パネル6が支持される。そして、太陽光発電パネル6の上部に設けられているジャンクションボックス6aに接続されている配線ケーブル6bは、太陽光発電パネル6が、上溝枠4cと下溝枠5aとの間に嵌め込まれた際、上溝枠4cに設けられている切欠き4d内を通ることにより、トップレール3の内部3aに配置されるようになっている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔置きに設けられる支柱と、
これら支柱の上部に設けられる上取付枠と、
これら支柱の下部に設けられる下取付枠と、
前記上取付枠に設けられている上溝枠と前記下取付枠に設けられている下溝枠との間に嵌め込まれることによって垂直状に支持される太陽光発電パネルと、
前記太陽光発電パネルの上部に設けられているジャンクションボックスと、を有し、
前記上溝枠には、切欠きが設けられてなり、
前記ジャンクションボックスに接続されている配線は、前記太陽光発電パネルが、前記上溝枠と前記下溝枠との間に嵌め込まれた際、前記切欠き内を通ることにより、前記上取付枠内に配置されるようになっている太陽光発電パネル支持構造。
【請求項2】
前記上溝枠には、前記配線の邪魔とならないように、前記切欠きの部分を補強する補強部材が設けられている請求項1に記載の太陽光発電パネル支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベランダに設置される手摺又は外構フェンスに使用される太陽光発電パネル支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電パネルを支持する太陽光発電パネル設置台として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。この太陽光発電パネル設置台は、ベース部材の上に組み立てた骨組材の上面に太陽光発電パネルを取り付けるとともに、骨組材の左右両側に側面カバーを取り付けている。そして、骨組材の前側には前面傾斜カバーを取り付け、骨組材の後側には後面傾斜カバーを取り付け、骨組材の全体を覆う形状を有している。また、骨組材は、前側より後側が徐々に高くなるように構成され、これにより、太陽光発電パネルは、後側から前側に向けて下方傾斜状に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、太陽光発電パネルを上記のように傾斜状に配置する場合、太陽光発電パネルを設置するためだけの場所を確保しなければならないばかりか、積雪地域に配置した場合、太陽光発電パネルに雪が積もってしまうと発電できなくなるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、太陽光発電パネルを設置するためだけの場所を用意せずとも良いばかりか、太陽光発電パネルによる発電にあたって積雪の影響を受けることがない太陽光発電パネル支持構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、あくまで、後述する実施形態の参照符号を付したものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0007】
請求項1の発明によれば、所定間隔置きに設けられる支柱(手摺支柱2)と、
これら支柱(手摺支柱2)の上部に設けられる上取付枠(トップレール3,トップレール受け4)と、
これら支柱(手摺支柱2)の下部に設けられる下取付枠(5)と、
前記上取付枠(トップレール3,トップレール受け4)に設けられている上溝枠(4c)と前記下取付枠(5)に設けられている下溝枠(5a)との間に嵌め込まれることによって垂直状に支持される太陽光発電パネル(6)と、
前記太陽光発電パネル(6)の上部に設けられているジャンクションボックス(6a)と、を有し、
前記上溝枠(4c)には、切欠き(4d)が設けられてなり、
前記ジャンクションボックス(6a)に接続されている配線(配線ケーブル6b)は、前記太陽光発電パネル(6)が、前記上溝枠(4c)と前記下溝枠(5a)との間に嵌め込まれた際、前記切欠き(4d)内を通ることにより、前記上取付枠(トップレール3,トップレール受け4)内に配置されるようになっていることを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明によれば、上記請求項1に記載の太陽光発電パネル支持構造(1)において、前記上溝枠(4c)には、前記配線(配線ケーブル6b)の邪魔とならないように、前記切欠き(4d)の部分を補強する補強部材(14)が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、あくまで、後述する実施形態の参照符号を付したものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0010】
請求項1に係る発明によれば、太陽光発電パネル(6)を上溝枠(4c)と下溝枠(5a)との間で垂直状に支持し、この際、配線(配線ケーブル6b)を、切欠き(4d)内を通して、上取付枠(トップレール3,トップレール受け4)内に配置するようにしている。これにより、太陽光発電パネルを設置するためだけの場所を用意せずとも良いばかりか、積雪の影響を受けることがないようにすることができる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、上溝枠(4c)に切欠き(4d)を設けたとしても、上溝枠(4c)の耐久性を維持すことができる。これにより、太陽光発電パネル(6)を、上溝枠(4c)と、下溝枠(5a)との間で垂直状に支持することができない可能性を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る太陽光発電パネル支持構造を手摺に適用した場合の一実施形態に係る手摺を示す外観正面図である。
【
図4】同実施形態に係る太陽光発電パネルの正面図である。
【
図5】(a)は、同実施形態に係るトップレール受けの平面図、(b)は、(a)の縦断面である。
【
図6】同実施形態に係るトップレールを外した状態の手摺の上部部分の一部を示す斜視図である。
【
図7】同実施形態に係るトップレールを外した状態の手摺の上部部分の一部を示す平面図である。
【
図8】(a)は、同実施形態に係る太陽光発電パネルを20°傾斜して設置した場合の年間発電量を示し、(b)は、同実施形態に係る太陽光発電パネルを垂直状にした場合の年間発電量を示す図である。
【
図9】他の実施形態に係る手摺を示し、詳しくは、太陽光発電パネル芯納まりの手摺を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る太陽光発電パネル支持構造の一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0014】
<太陽光発電パネル支持構造の概略説明>
本実施形態に係る太陽光発電パネル支持構造は、太陽光発電パネルを設置するためだけの場所を用意せずとも良いばかりか、太陽光発電パネルによる発電にあたって積雪の影響を受けることがないようにすることができるものである。なお、本実施形態においては、太陽光発電パネル支持構造を、手摺に適用した例を用いて説明することする。
【0015】
<太陽光発電パネル支持構造を手摺に適用した際の説明>
具体的には、
図1に示すように、太陽光発電パネル支持構造1は、ベランダのパラペットPに手摺支柱2がパラペットPの長手方向(図示左右方向)に沿って所定間隔置きに、立った状態で設けられている。そして、
図1に示すように、これら手摺支柱2の上部にはその所定間隔全域にわたってトップレール3が取り付けられている。このトップレール3は、
図2に示すように、内部3aが中空に形成されており、断面視略半楕円状の右肩下がりの形状となっている。
【0016】
手摺支柱2は、
図3に示すように、断面視中空角筒状となっており、内壁4隅にビスホール2aが形成されている。そして、
図2に示すように、手摺支柱2の上端面には、断面視略平板状に形成されているトップレール受け4が、
図2に示すビスホール2aに螺合されているビスB1によって固定されている。一方、
図2に示すように、トップレール受け4の右側面に右被係止片4aが一体的に起立状に設けられ、さらに、トップレール受け4の左側面に左被係止片4bが一体的に起立状に設けられている。そして、
図2に示すように、トップレール3の右側面に、右被係止片4aに係止される右係止片3bが起立状に設けられ、トップレール3の左側面に、左被係止片4bに係止される左係止片3cが起立状に設けられている。かくして、右係止片3bが右被係止片4aに係止され、左係止片3cが左被係止片4bに係止されることによって、トップレール3が手摺支柱2の上部に取り付けられることとなる。
【0017】
一方、
図2に示すように、トップレール受け4の左側面側には、断面視下向き略コ字状の上溝枠4cがトップレール受け4に一体的に形成されている。
【0018】
他方、
図2に示すように、手摺支柱2の下部には、断面視略矩形状の下取付枠5が設けられている。この下取付枠5には、
図2に示すように、上溝枠4cと対向する位置に、断面視上向き略コ字状の下溝枠5aが設けられている。そして、
図2に示すように、この下溝枠5aの右側面には、左向きコ字状のビス止め枠5bが設けられている。かくして、このビス止め枠5bに、
図2に示すように、ビスB2が螺合され、さらに、ビスB2が手摺支柱2に螺合されることによって、下取付枠5が、手摺支柱2の下部に取り付けられることとなる。
【0019】
したがって、
図2に示すように、この上溝枠4cと、下溝枠5aとの間には、太陽光発電パネル6が倹飩式に嵌め入れられることとなる。これにより、太陽光発電パネル6は、上溝枠4cと、下溝枠5aとの間で垂直状に支持されることとなる。なお、
図2に示すように、太陽光発電パネル6のパネルと上溝枠4cの金属部分とが接触しないように、太陽光発電パネル6を嵌め入れる前に、上溝枠4c内には、予め先付けビート7が設けられている。そして、上溝枠4c内に太陽光発電パネル6を嵌め入れた後、太陽光発電パネル6をその位置で固定するために、上溝枠4c内にシーリング8が設けられるようになっている。また、
図2に示すように、太陽光発電パネル6のパネルと下溝枠5aの金属部分とが接触しないように、下溝枠5a内には、太陽光発電パネル6を嵌め入れる前に、予め先付けビート9が設けられている。そして、下溝枠5a内に太陽光発電パネル6を嵌め入れた後、太陽光発電パネル6をその位置で固定するために、下溝枠5a内にシーリング10が設けられるようになっている。さらに、
図2に示すように、下溝枠5a内には、太陽光発電パネル6の下端面が当接するスペーサ11が予め設けられている。
【0020】
かくして、
図2に示すように、上溝枠4cと、下溝枠5aとの間に太陽光発電パネル6が倹飩式に嵌め入れられていくと、
図1に示すように、複数の太陽光発電パネル6(図示では、7個)が横並びに配置されることとなる。なお、
図1に示すように、隣り合う太陽光発電パネル6の目地部には、従来周知の構造からなる
図3に示すアルミ製目地枠12が取り付けられている。また、
図3に示すように、下取付枠5には、手摺支柱2が位置する部分に、下取付枠カバー13が取り付けられている。
【0021】
したがって、従来の手摺であれば、墜落防止目的のために、上溝枠4cと、下溝枠5aとの間にガラス板が倹飩式で嵌め入れられるところ、本実施形態においては、太陽光発電パネル6を倹飩式で嵌め入れるようにしている。このようにすれば、墜落防止という目的を達成することができるばかりか、電気も得られるという一石二鳥の利点がある。さらには、このようにすれば、従来のように、太陽光発電パネル6を傾斜状に配置せず、垂直状に配置しているため、太陽光発電パネル6に雪が積もってしまうということがない。そのため、太陽光発電パネル6による発電にあたって積雪の影響を受けることがないようにすることができる。そしてさらには、太陽光発電パネルを設置するためだけの場所を用意する必要がなくなるという利点もある。
【0022】
しかしながら、単に、上溝枠4cと、下溝枠5aとの間に太陽光発電パネル6を倹飩式嵌め入れただけでは、太陽光発電パネル6に設けられている配線が外部に露呈してしまう。そのため、美観を損ねるばかりか、雨風などの外的要因によって、配線が早期に劣化したり、配線がショートしたりすることにより、太陽光発電パネル6の発電効率が低下してしまう要因ともなりかねない。そこで、本実施形態においては、以下のような対策を施している。
【0023】
すなわち、
図4に示すように、正面視矩形状に形成される太陽光発電パネル6の中央側上部に、ジャンクションボックス6aを設けている。このジャンクションボックス6aは、太陽光発電パネル6から引き出される出力線を配線する箱状の部材である。つまり、太陽光発電パネル6から出される出力線はジャンクションボックス6aに接続されるため、
図4に示すように、太陽光発電パネル6の中央側上部に、ジャンクションボックス6aを設ける際、ジャンクションボックス6aと太陽光発電パネル6とは直に接する必要がある。そして、
図4に示すように、このジャンクションボックス6aには、太陽光発電パネル6にて発電した電力を送電するための配線ケーブル6bが接続されている。
【0024】
一方、
図5(a)に示すように、トップレール受け4の上溝枠4cの中央部分には、平面視横長略矩形状の切欠き4dが設けられている。すなわち、
図5(b)に示すように、上溝枠4cには、断面視逆L字状の切欠き4dが設けられている。
【0025】
かくして、このように、太陽光発電パネル6の中央側上部にジャンクションボックス6aを設け、トップレール受け4の上溝枠4cの中央部分に切欠き4dを設けるようにすれば、
図2に示すように、配線ケーブル6bを、トップレール3の内部3a内に配置することができる。すなわち、
図2に示す上溝枠4cと、下溝枠5aとの間に太陽光発電パネル6を倹飩式に嵌め入れた際、
図2に示すように、ジャンクションボックス6aは、上溝枠4c内に嵌め入れられることとなる。これにより、
図6及び
図7に示すように、ジャンクションボックス6aに接続されている配線ケーブル6bを上溝枠4cの切欠き4d内に通すことができる。かくして、配線ケーブル6bは、
図6及び
図7に示すように、トップレール受け4の右被係止片4a側に引き出されることとなる。これにより、
図2に示すように、配線ケーブル6bを、トップレール3の内部3a内に配置することができる。
【0026】
したがって、このようにすれば、太陽光発電パネル6に設けられている配線ケーブル6bが外部に露呈してしまうことがないため、美観を損ねることが無い。さらには、配線ケーブル6bが早期に劣化したり、配線がショートしたりすることにより、太陽光発電パネル6の発電効率が低下してしまうという事態を防止することもできる。
【0027】
しかしながら、上溝枠4cに切欠き4dを設けていると、上溝枠4cの強度性能に問題が生じる可能性があり、太陽光発電パネル6を、上溝枠4cと、下溝枠5aとの間で垂直状に支持することができない可能性がある。そこで、本実施形態においては、そのような問題を解決すべく、
図6及び
図7に示すように、上溝枠4cの切欠き4dの部分に補強部材14を設けるようにしている。この補強部材14は、
図6に示すように、横長矩形状の取付板14aと、この取付板14aに一体的に形成されているT字状の覆い板14bとで構成されている。この取付板14aには、
図6に示すに、円形状のビス挿通孔14a1が一対設けられている。そして、このビス挿通孔14a1内に、
図2に示すビスB3が螺合されることにより、取付板14aは、トップレール受け4に取り付けられることとなる。
【0028】
一方、
図6に示すように、覆い板14bは、切欠き4dを覆うように、上溝枠4cに配置されている。しかしながら、切欠き4dを完全に覆ってしまうと、配線ケーブル6bを、トップレール受け4の右被係止片4a側に引き出すことができないため、
図6に示すように、切欠き4dの上面側を全て覆ったとしても、切欠き4dの側面側は一部を覆うようしている。すなわち、配線ケーブル6bを、トップレール受け4の右被係止片4a側に引き出す際の邪魔にならないように、
図6に示すように、切欠き4dの側面側は、一部だけ覆うようしている。かくして、このような覆い板14bは、
図2及び
図7に示すように、ビスB4によって、上溝枠4cに取り付けられるようになっている。これにより、
図6及び
図7に示すように、上溝枠4cの切欠き4dの部分に補強部材14を設けることができる。
【0029】
したがって、このように上溝枠4cの切欠き4dの部分に補強部材14を設けるようにすれば、上溝枠4cに切欠き4dを設けたとしても、上溝枠4cの耐久性を維持すことができる。これにより、太陽光発電パネル6を、上溝枠4cと、下溝枠5aとの間で垂直状に支持することができない可能性を低減させることができる。
【0030】
したがって、以上説明してきた本実施形態によれば、太陽光発電パネル6を、上溝枠4cと、下溝枠5aとの間で垂直状に支持し、この際、配線ケーブル6bを、上溝枠4cに設けられている切欠き4d内を通して、トップレール3の内部3a内に配置するようにしている。これにより、太陽光発電パネル6を設置するためだけの場所を用意せずとも良いばかりか、太陽光発電パネル6による発電にあたって積雪の影響を受けることがないようにすることができる。
【0031】
ところで、太陽光の角度に鑑みれば、発電効率という点では、太陽光発電パネル6を従来のように傾斜状に配置するのが効果的ではある。
【0032】
そこで、本発明者は、ラプラスシステム社のシミュレーションソフト「Solar Pro」を使用して、太陽光発電パネル6を20°傾斜して設置した場合、垂直状にして設置した場合の発電シミュレーションを行った。その結果が、
図8に示すものである。
図8(a)は、太陽光発電パネル6を20°傾斜して設置した場合の年間発電量を示し、
図8(b)は、太陽光発電パネル6を垂直状にした場合の年間発電量を示す図である。これを基に、発電量を積算すると、太陽光発電パネル6を20°傾斜して設置した場合は、82,556.24kW、太陽光発電パネル6を垂直状にした場合は、59,793.07kWとなった。そのため、太陽光発電パネル6を従来のように傾斜状に配置するのが効果的ではあるが、太陽光発電パネル6を垂直状にしたとしても、年間発電量として、太陽光発電パネル6を傾斜した場合の発電量と比べて70%程度の電気が得られることが分かった。
【0033】
それゆえ、太陽光発電パネルを設置するためだけの場所を用意する必要がないという利点を考慮すれば、十分な発電量と考えることができる。そのため、本実施形態のように、建物に必ず必要な手摺に太陽光発電パネル6を組み込むようにすれば、CO2の発生しない地球環境に優しい電気を長期にわたり得ることができる。
【0034】
<変形例の説明>
なお、本実施形態において例示した太陽光発電パネル支持構造1の内容は、あくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態においては、太陽光発電パネル支持構造1として、手摺に適用する例を示したが、上記説明した構成をそのまま外構フェンスに適用することもできる。すなわち、このようにしても、目隠し及び侵入防止という目的を達成できるばかりか、電気も得ることができるという一石二鳥の利点がある。
【0035】
また、本実施形態において例示した手摺では、
図2に示すように、中心位置から離れて図示左寄りに位置する箇所に太陽光発電パネル6を設置する例を示したが、それに限らず、
図9に示すように、中心位置に太陽光発電パネル6を設置する、芯納まりの手摺にも適用可能である。なお、
図9は、
図2と比較すると、多少形状は異なるものの役割は同じであるため、
図2と同一の符号を付し説明は省略することとする。ただし、補強部材14の覆い板14bは、
図6に示すようものとは異なり、逆T字状になっている。すなわち、
図6では、上面側の切欠き4dが覆い板14bに全て覆われ、側面側の切欠き4dが覆い板14bの一部に覆われるようになっているが、
図9では、その逆になっている。つまり、上面側の切欠き4dの一部が覆い板14bに覆われ、側面側の切欠き4dが覆い板14bに全て覆われるようになっている。これにより、
図9に示すように、切欠き4dの上面側からジャンクションボックス6aを突出させることができ、配線ケーブル6bを覆い板14b側に引き出することができるようになっている。したがって、このようにしても、トップレール3の内部3aに、配線ケーブル6bを配置することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 太陽光発電パネル支持構造
2 手摺支柱
3 トップレール(上取付枠)
4 トップレール受け(上取付枠)
4c 上溝枠
4d 切欠き
5 下取付枠
5a 下溝枠
6 太陽光発電パネル
6a ジャンクションボックス
6b 配線ケーブル(配線)
14 補強部材