(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167574
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】定着装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
G03G15/20 515
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083746
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 智弘
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033BA11
2H033BA12
2H033BA25
2H033BA26
2H033BA27
2H033BA31
2H033BA59
2H033BB17
2H033BB18
2H033BB21
2H033BE03
2H033CA17
2H033CA43
(57)【要約】
【課題】状況に応じて加熱手段を使い分けることができる定着装置を提供する。
【解決手段】定着装置1は、筒状の定着ベルト31と加圧ローラ32とによって挟持した用紙Pを加熱および加圧し、用紙Pに画像を定着させる。定着装置1は、定着ベルト31の内側に当接し、加圧ローラ32と伴に用紙を加圧するニップ部Nを形成する定着パッド34と、搬送される用紙Pの幅方向での中央部を加熱するメインランプ36aと、幅方向での端部を加熱するサブランプ36bと、定着パッド34に取り付けられ、正の温度特性を有するヒータ41とを備える。ヒータ41は、幅方向において、定着ベルト31を加熱する領域がサブランプ36bと重複する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の定着ベルトと加圧部材とによって挟持した用紙を加熱および加圧し、用紙に画像を定着させる定着装置であって、
前記定着ベルトの内側に当接し、前記加圧部材と伴に用紙を加圧するニップ部を形成する定着パッドと、
搬送される用紙の幅方向での中央部を加熱するメインランプと、
前記幅方向での端部を加熱するサブランプと、
前記定着パッドに取り付けられ、正の温度特性を有するヒータとを備え、
前記ヒータは、前記幅方向において、前記定着ベルトを加熱する領域が前記サブランプと重複すること
を特徴とする定着装置。
【請求項2】
請求項1に記載の定着装置であって、
前記定着ベルトが定着動作を実施する前に予め設定された温度まで前記定着ベルトを加熱する予備加熱では、前記メインランプおよび前記サブランプを使用すること
を特徴とする定着装置。
【請求項3】
請求項1に記載の定着装置であって、
搬送される用紙のサイズに応じて、前記サブランプと前記ヒータとのいずれかを切り替えて使用すること
を特徴とする定着装置。
【請求項4】
請求項3に記載の定着装置であって、
前記幅方向において、前記メインランプが加熱する領域をメイン加熱領域とし、前記幅方向において、前記サブランプが加熱する領域をサブ加熱領域としたとき、
前記メイン加熱領域より幅広であって、一部が前記サブ加熱領域と重なる中サイズ用紙に定着する際、前記メインランプおよび前記ヒータを使用すること
を特徴とする定着装置。
【請求項5】
請求項4に記載の定着装置であって、
前記メイン加熱領域および前記サブ加熱領域を含む幅とされた大サイズ用紙に定着する際、前記メインランプおよび前記サブランプを使用すること
を特徴とする定着装置。
【請求項6】
請求項1に記載の定着装置であって、
前記定着パッドに取り付けられ、正の温度特性を有する中央ヒータを備え、
前記中央ヒータは、前記幅方向において、加熱する領域が前記メインランプと重複すること
を特徴とする定着装置。
【請求項7】
請求項1に記載の定着装置を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、用紙を加熱および加圧して画像を定着させる定着装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置に用いられる定着装置では、未定着のトナー像が形成された用紙を加圧および加熱することで、トナー像の定着が行われる。近年では、無端状の定着ベルトを用いた定着装置が提案されており、ヒータによって定着ベルトを加熱している。また、画像形成装置では、様々なサイズの用紙が使用されるようになっており、用紙の幅に応じて、ヒータの長さを延長することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の画像形成装置は、無端状の定着部材と、定着部材の外部に配置され、定着部材に対向する対向部材と、定着部材の内部に設けられ、定着部材と対向部材との間にニップを形成するためのニップ形成部材と、定着部材を加熱する第一加熱源と、記録媒体(用紙)の最大通過領域の外側において、定着部材と第一加熱源との間を遮蔽する遮蔽部材と、遮蔽部材に設けられ、最大通過領域の外側で定着部材を加熱する第二加熱源とを備えており、第二加熱源は、面状発熱体とされている。
【0005】
従来の画像形成装置において、最大通過領域の外側を加熱する場合には、第二加熱源を使用しなければならないが、低温のときに面状発熱体を使用すると、消費電力量が増加してしまい、効率が低下するという課題がある。
【0006】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、状況に応じて加熱手段を使い分けることができる定着装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る定着装置は、筒状の定着ベルトと加圧部材とによって挟持した用紙を加熱および加圧し、用紙に画像を定着させる定着装置であって、前記定着ベルトの内側に当接し、前記加圧部材と伴に用紙を加圧するニップ部を形成する定着パッドと、搬送される用紙の幅方向での中央部を加熱するメインランプと、前記幅方向での端部を加熱するサブランプと、前記定着パッドに取り付けられ、正の温度特性を有するヒータとを備え、前記ヒータは、前記幅方向において、前記定着ベルトを加熱する領域が前記サブランプと重複することを特徴とする。
【0008】
本開示に係る定着装置は、前記定着ベルトが定着動作を実施する前に予め設定された温度まで前記定着ベルトを加熱する予備加熱では、前記メインランプおよび前記サブランプを使用する構成とされている。
【0009】
本開示に係る定着装置は、搬送される用紙のサイズに応じて、前記サブランプと前記ヒータとのいずれかを切り替えて使用する構成とされている。
【0010】
本開示に係る定着装置は、前記幅方向において、前記メインランプが加熱する領域をメイン加熱領域とし、前記幅方向において、前記サブランプが加熱する領域をサブ加熱領域としたとき、前記メイン加熱領域より幅広であって、一部が前記サブ加熱領域と重なる中サイズ用紙に定着する際、前記メインランプおよび前記ヒータを使用する構成とされている。
【0011】
本開示に係る定着装置は、前記メイン加熱領域および前記サブ加熱領域を含む幅とされた大サイズ用紙に定着する際、前記メインランプおよび前記サブランプを使用する構成とされている。
【0012】
本開示に係る定着装置は、前記定着パッドに取り付けられ、正の温度特性を有する中央ヒータを備え、前記中央ヒータは、前記幅方向において、加熱する領域が前記メインランプと重複する構成とされている。
【0013】
本開示に係る画像形成装置は、本開示に係る定着装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本開示によると、サブランプと同じ部分を加熱するヒータが設けられているので、状況に応じた加熱手段を使い分けることができ、処理の高速化や省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略断面図である。
【
図2】本開示の第1実施形態に係る定着装置の構成を示す概略断面図である。
【
図5】幅方向でのメインランプ、サブランプ、およびヒータの位置関係を示す模式説明図である。
【
図6】本開示の第2実施形態の定着パッドを示す平面図である。
【
図7】幅方向でのメインランプ、サブランプ、ヒータ、および中央ヒータの位置関係を示す模式説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本開示の第1実施形態に係る定着装置および画像形成装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1は、本開示の第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略断面図である。
【0018】
画像形成装置100は、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能およびプリンタ機能を有する複合機であり、画像読取装置130で読み取った原稿の画像を外部に送信したり、画像読取装置130で読み取った原稿の画像または外部から受信した画像を、用紙等の記録媒体上にカラーまたは単色で形成したりする。
【0019】
画像読取装置130の上側には、開閉自在に支持された原稿搬送装置110が設けられている。原稿搬送装置110は、1枚または複数枚の原稿を1枚ずつ順に搬送する。画像読取装置130は、走査光学系130bを走査して原稿載置台130aに載置された原稿を読み取るか、または原稿搬送装置110で搬送される原稿を読み取って画像データを生成する。
【0020】
画像形成装置100には、定着装置1、現像装置2、感光体ドラム3、ドラムクリーニング装置4、帯電器5、中間転写ベルト装置7、2次転写装置11、光走査装置12、および給紙部18等が設けられている。
【0021】
画像形成装置100では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像、または、単色(例えば、ブラック)を用いたモノクロ画像に応じた画像データが扱われる。画像形成装置100には、4種類のトナー像を形成するための現像装置2、感光体ドラム3、ドラムクリーニング装置4、および帯電器5が4つずつ設けられ、それぞれがブラック、シアン、マゼンタおよびイエローに対応付けられて、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
【0022】
光走査装置12は、感光体ドラム3の表面を露光して静電潜像を形成する。現像装置2は、感光体ドラム3の表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム3の表面にトナー像を形成する。ドラムクリーニング装置4は、感光体ドラム3の表面の残留トナーを除去および回収する。帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させる。上述した一連の動作によって、各感光体ドラム3の表面に各色のトナー像が形成される。
【0023】
中間転写ベルト装置7は、中間転写ローラ6、無端状の中間転写ベルト71、中間転写駆動ローラ72、中間転写従動ローラ73およびクリーニング装置9を備えている。中間転写ローラ6は、各色に応じた4種類のトナー像を形成するようにそれぞれ4つずつ中間転写ベルト71の内側に設けられている。中間転写ローラ6は、感光体ドラム3の表面に形成された各色のトナー像を、周回移動する中間転写ベルト71に転写する。
【0024】
中間転写ベルト71は、中間転写駆動ローラ72および中間転写従動ローラ73に張架されている。画像形成装置100では、各感光体ドラム3の表面に形成された各色のトナー像を順次転写して重ね合わせて、中間転写ベルト71の表面にカラーのトナー像を形成する。クリーニング装置9は、用紙に転写されずに中間転写ベルト71の表面に残った廃トナーを除去および回収する。
【0025】
2次転写装置11は、2次転写ローラ11aと中間転写ベルト71との間の転写ニップ部TNに、用紙搬送路21を通じて搬送されてきた用紙を挟み込んで搬送する。用紙は、転写ニップ部TNを通過する際に、中間転写ベルト71の表面のトナー像が転写されて定着装置1に搬送される。
【0026】
定着装置1は、軸線まわりに回転する定着ベルト31および加圧ローラ32(加圧部材の一例)を備えている。定着装置1は、定着ベルト31および加圧ローラ32の間のニップ部Nに、トナー像が転写された用紙を挟み込んで加熱および加圧し、トナー像を用紙に定着させる。なお、
図1においては図示を省略しているが、定着装置1は、定着ベルト31および加圧ローラ32以外の構成部材も有している。この定着装置1の詳細については、後述する。
【0027】
給紙部18は、画像形成に使用する記録媒体(用紙)を積載する給紙カセットを備えており、光走査装置12の下方に設けられている。用紙は、ピックアップローラ16によって給紙部18から引き出されて、用紙搬送路21に搬送される。用紙搬送路21に搬送された用紙は、2次転写装置11や定着装置1を経由して、排出ローラ17により排紙トレイ19に排出される。
【0028】
用紙搬送路21には、搬送ローラ13、レジストローラ14および排出ローラ17が配置されている。搬送ローラ13は、用紙の搬送を促す。レジストローラ14は、用紙の画像形成を行うプロセススピードと等しい速度で、用紙を搬送する。このレジストローラ14は、給紙部18と2次転写装置11との間に設けられ、2次転写装置11でトナー像が用紙に転写されるように用紙の搬送タイミングを調節する。例えば、レジストローラ14は、給紙部18から搬送された用紙を挟持した状態で待機(一旦停止)させ、2次転写装置11と同期させて一定速度での用紙の搬送を開始する。
【0029】
用紙の表面だけでなく、裏面に画像形成を行う場合には、排出ローラ17で用紙の搬送方向が変えられ、反転搬送路22へと用紙が搬送される。反転搬送路22では、反転搬送ローラ15により用紙は表裏が反転された状態でレジストローラ14まで導かれる。画像形成装置100は、レジストローラ14に導かれた用紙を表面と同様にして裏面に画像形成し、排紙トレイ19に排出する。
【0030】
図2は、本開示の第1実施形態に係る定着装置の構成を示す概略断面図である。
【0031】
定着装置1は、定着ベルト31および加圧ローラ32を備えている。
図2に示すように、定着装置1は、さらに、定着ベルト31の内側に、支持部材33、定着パッド34、摺動シート35、加熱部36、および反射板37を備えている。また、定着装置1は、定着ベルト31の外側に、定着温度センサ38および剥離板39を備えている。
【0032】
定着ベルト31は、無端状のフレキシブルなベルトであり、略環状に形成されている。定着ベルト31は、例えば、ポリイミド等の合成樹脂またはニッケル等の金属によって形成された帯状の基材の表面に離型層を設けた構成を有する。定着ベルト31は、
図2において紙面に対して垂直方向に沿った軸線を中心に回転可能に設けられている。定着ベルト31の軸線方向は、搬送される用紙Pの幅方向W(後述する
図3参照)と略平行とされている。
【0033】
定着パッド34は、定着ベルト31の軸線方向に沿って延びる長板状とされ、例えば、合成樹脂により形成されている。定着パッド34の外周面(定着ベルト31に近接する側の面)には、摺動シート35が設置されている。なお、定着パッド34の長さは、定着ベルト31の幅方向Wでの長さと略同等とされている。定着パッド34には、定着ベルト31を加熱する部材であって、正の温度特性(PTC(Positive Temperature Coefficient)特性)を有するヒータ41が取り付けられている。具体的に、ヒータ41は、PTCヒータとされている。
【0034】
摺動シート35は、定着ベルト31の内周面と摺接するように設けられている。回転運動を行う定着ベルト31に対して、定着パッド34は固定されており、摺動シート35が定着ベルト31と摺動する。摺動シート35には、定着ベルト31との摩擦力を低減するための潤滑剤が塗布されていてもよい。
【0035】
支持部材33は、定着パッド34および摺動シート35を、定着ベルト31の内周面に押し当てながら支持する部材である。支持部材33は、断面が略L字状に形成されており、定着パッド34が固定される長板状の固定部33aと、固定部33aの端部から立設される長板状の立設部33bとを有している。
【0036】
加熱部36は、定着ベルト31を加熱する部材であって、定着ベルト31の軸線方向(後述する幅方向W)に沿って延びるように設置されている。加熱部36は、例えば、ハロゲンランプ等のランプヒータである。本実施の形態において、加熱部36は、定着ベルト31における幅方向Wでの中央部を加熱するメインランプ36aと、定着ベルト31における幅方向Wでの両端部を加熱するサブランプ36bとを含む。メインランプ36aおよびサブランプ36bのそれぞれの動作は、用紙Pのサイズ等に応じて決定される。定着ベルト31は、これらのメインランプ36aおよびサブランプ36bによって、例えば、130℃~180℃に加熱される。なお、幅方向Wでのメインランプ36a、サブランプ36b、およびヒータ41の位置関係については、後述する
図5を参照して説明する。
【0037】
反射板37は、薄板状であって、支持部材33の加熱部36側の面を覆うように配置されている。定着ベルト31は、この反射板37により、効率よく加熱されるように構成されている。
【0038】
加圧ローラ32は、定着ベルト31を挟んで定着パッド34と対向する位置に配置されている。加圧ローラ32は、定着ベルト31の軸線方向に平行な回転軸を中心に回転し、定着ベルト31と略平行に延びるように配置されている。加圧ローラ32と定着ベルト31との間のニップ部Nでは、定着パッド34により定着ベルト31が加圧ローラ32に押圧される。加圧ローラ32は、例えば、アルミニウム等の金属によって形成される円筒状の芯材の表面を、ゴム等の弾性材によって覆った構成とされている。
【0039】
加圧ローラ32には、図示しないモータ等の駆動源からの駆動力が、ギア等を介して伝達される。加圧ローラ32は、この駆動力を受けて回転駆動し、加圧ローラ32の回転駆動に伴って、定着ベルト31が加圧ローラ32の回転方向とは逆方向に従動回転する。用紙Pは、加圧ローラ32と定着ベルト31との間のニップ部Nを搬送方向Sに沿って通過するものとなる。
【0040】
定着温度センサ38は、定着ベルト31の表面温度である定着温度を検出する。剥離板39は、ニップ部Nよりも搬送方向Sの下流側に配置され、定着ベルト31に対する用紙Pの巻き付きを防止する。
【0041】
【0042】
図3に示すように、ヒータ41は、定着パッド34における幅方向Wでの両端部に取り付けられている。メインランプ36aおよびサブランプ36bは、定着ベルト31から少し離して配置されているため、自身と対向する部分だけでなく、幅方向Wで少し広がった範囲を温める。これに対し、ヒータ41は、定着ベルト31に近接して配置されているので、自身と対向する部分を局所的に温め、それ以外の部分への影響が小さい。
【0043】
【0044】
図4において、横軸は、時間の経過を示し、縦軸は、温度の高低を示している。
図4では、目標温度HTまで加熱される際のヒータ41の温度の推移を示しており、初期状態は、ヒータ41が低温とされている。時間が経過するにつれて、ヒータ41の温度が徐々に上昇しており、目標温度HTに到達すると、ヒータ41は、自身の抵抗が変化して温度が上がりにくくなり、電流等を制御しなくても、自然と目標温度HTを保つように動作する。
【0045】
図5は、幅方向でのメインランプ、サブランプ、およびヒータの位置関係を示す模式説明図である。
【0046】
図5では、メインランプ36a、サブランプ36b、およびヒータ41について、幅方向Wでの位置関係を模式的に示している。上述したように、メインランプ36aは、幅方向Wでの中央部に設けられており、サブランプ36bおよびヒータ41は、幅方向Wでの両端部に設けられている。つまり、ヒータ41は、幅方向Wにおいて、加熱する領域がサブランプ36bと重複する。 このように、サブランプ36bと同じ部分を加熱するヒータ41が設けられているので、状況に応じた加熱手段を使い分けることができ、処理の高速化や省電力化を図ることができる。
【0047】
サブランプ36bおよびヒータ41は、幅方向Wにおいて、メインランプ36aの加熱領域の外側に設けられているが、これに限定されず、一部がメインランプ36aの加熱領域と重なっていてもよい。以下では説明のため、幅方向Wにおいて、メインランプ36aが加熱する領域をメイン加熱領域と呼び、サブランプ36bが加熱する領域をサブ加熱領域と呼ぶことがある。
【0048】
画像形成装置100では、搬送される用紙Pについて、複数のサイズが設定されており、その一例として、大サイズ用紙、中サイズ用紙、および小サイズ用紙の幅について説明する。大サイズ用紙は、メイン加熱領域およびサブ加熱領域を含む幅(大サイズ幅PW1)とされており、両端がサブランプ36bの端に届く程度の幅とされている。中サイズ用紙は、メイン加熱領域より幅広であって、一部がサブ加熱領域と重なる幅(中サイズ幅PW2)とされており、両端がサブランプ36bの中程に届く程度の幅とされている。小サイズ用紙は、メイン加熱領域より幅狭とされており、両端がメインランプ36aの端に届く程度の幅(小サイズ幅PW3)とされている。
【0049】
サブランプ36bとヒータ41とは、スイッチ51を介して、電源回路52に並列に接続されている。画像形成装置100では、制御部53からの指示によって、スイッチ51を作動させることで、サブランプ36bとヒータ41とのいずれかを切り替えて使用することができる。このように、サブランプ36bとヒータ41とを切り替えて使用する構成とされているので、これらに接続される電源や回路等の部品を共通化でき、低コスト化を図ることができる。また、いずれか一方に通電するので、何らかの不具合によって全ての加熱手段に通電されたときに、電流容量を超えることを回避できる。上述したスイッチ51は、物理的に接続先を切り替える構成に限らず、入力された信号等に応じて電気的に接続先を切り替える構成としてもよい。
【0050】
画像形成装置100において、定着ベルト31が定着動作を実施する前に予め設定された温度まで定着ベルト31を加熱する予備加熱では、メインランプ36aおよびサブランプ36bを使用する。冷えた状態でヒータ41を加熱すると、突入電流が大きくなり、電流容量を超える虞がある。メインランプ36aおよびサブランプ36bについては、ヒータ41と比較すると、低温から加熱する際の電流が小さいという点で優れている。そのため、予備加熱では、メインランプ36aおよびサブランプ36bを用いることで、動作の安定化を図ることができる。なお、予備加熱に限らず、例えば、用紙を通紙した後の定着ベルト31の温度が、予め設定された温度から所定以上低下した状態においては、サブランプ36bを用い、予め設定された温度から所定の範囲内で低下した状態においては、ヒータ41を用いるように構成してもよい。
【0051】
画像形成装置100では、大サイズ用紙に定着する際、メインランプ36aおよびサブランプ36bを使用する。また、中サイズ用紙に定着する際は、メインランプ36aおよびヒータ41を使用する。さらに、小サイズ用紙に定着する際は、メインランプ36aだけを使用する。
【0052】
このように、用紙のサイズに合わせて加熱手段を切り替えることで、効率よく定着を行うことができる。中サイズ用紙に定着する際では、サブランプ36bを使用すると、定着ベルト31と用紙が接触しない非通紙領域の発熱による端部昇温が発生するが、低熱容量のヒータ41を用いることで、端部昇温を抑制しつつ、ジョブ効率を維持することができる。
【0053】
(第2実施形態)
次に、本開示の第2実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
【0054】
第2実施形態では、第1実施形態に対し、定着パッド34に中央ヒータ42を取り付けた点が異なっている。なお、第2実施形態は、
図1ないし
図5に示す第1実施形態と略同様の構成とされているので、説明を省略し、異なる点のみ説明する。
【0055】
図6は、本開示の第2実施形態の定着パッドを示す平面図である。
【0056】
図6に示すように、定着パッド34には、ヒータ41だけでなく、幅方向Wでの中央部に中央ヒータ42が取り付けられている。中央ヒータ42は、ヒータ41と同様に、正の温度特性を有する。
【0057】
図7は、幅方向でのメインランプ、サブランプ、ヒータ、および中央ヒータの位置関係を示す模式説明図である。
【0058】
第2実施形態において、メインランプ36a、サブランプ36b、およびヒータ41の位置については、第1実施形態と同様とされているので、説明を省略する。中央ヒータ42は、幅方向Wでの中央部に設けられており、幅方向Wにおいて、加熱する領域がメインランプ36aと重複する。
【0059】
第2実施形態では、サブランプ36bとヒータ41とが並列に接続されているのに加えて、メインランプ36aと中央ヒータ42とがスイッチ511を介して並列に接続され、電源回路522に接続されている。スイッチ511を作動させることで、メインランプ36aおよび中央ヒータ42のいずれかを切り替えて使用することができる。そして、小サイズ用紙に定着する際は、中央ヒータ42だけを使用する。このように、メインランプ36aと同じ部分を加熱する中央ヒータ42が設けられているので、状況に応じた加熱手段を使い分けることができる。
【0060】
なお、今回開示した実施の形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本開示の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1 定着装置
31 定着ベルト
32 加圧ローラ(加圧部材の一例)
34 定着パッド
36 加熱部
36a メインランプ
36b サブランプ
41 ヒータ
42 中央ヒータ
51 スイッチ
52 電源回路
53 制御部
100 画像形成装置
W 幅方向