(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167575
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】冷蔵庫の内箱レール自動取付装置および自動取付方法
(51)【国際特許分類】
B23P 19/04 20060101AFI20241127BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
B23P19/04 E
F25D23/00 307
B23P19/04 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083748
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】島田 享
(72)【発明者】
【氏名】村石 徹
【テーマコード(参考)】
3C030
【Fターム(参考)】
3C030BC02
3C030BC04
3C030BC16
(57)【要約】
【課題】内箱に内箱レールを自動で取り付けることができる内箱レール自動取付装置および自動取付方法を提供する。
【解決手段】冷蔵庫の内箱に内箱レール2~5を取り付ける内箱レール自動取付装置であって、内箱1を搬送するコンベアと、内箱レール2~5を内箱1に設けられたガイド部に挿入するレール挿入ロボットと、レール挿入ロボットによって内箱レール2~5を内箱1に挿入する際、内箱レール2~5に設けられた爪9が内箱1に干渉しないように内箱レール2~5を吸引して、内箱1と内箱レール2~5との間に隙間Sを形成する吸着パッド22と、を備える。
【選択図】
図10A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫の内箱に内箱レールを取り付ける内箱レール自動取付装置であって、
内箱を搬送する搬送部と、
前記内箱レールを前記内箱に設けられた内箱レール被差込部に挿入するレール挿入ロボットと、
前記レール挿入ロボットによって前記内箱レールを前記内箱に挿入する際、前記内箱レールに設けられた爪または突起が前記内箱に干渉しないように前記内箱レールを吸引して、前記内箱と前記内箱レールとの間に隙間を形成する内箱吸引装置と、を備える内箱レール自動取付装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内箱レール自動取付装置であって、
前記内箱吸引装置は、前記爪または前記突起が前記内箱に形成された孔に対向する位置まで挿入された場合、前記内箱を吸引したまま当該内箱を押し込み、前記爪または前記突起を前記孔に挿入する内箱レール自動取付装置。
【請求項3】
請求項1に記載の内箱レール自動取付装置であって、
前記内箱レールを前記内箱に挿入する前に前記内箱の左右両側を押えて固定する内箱押え部材を備える内箱レール自動取付装置。
【請求項4】
請求項1に記載の内箱レール自動取付装置であって、
前記レール挿入ロボットは、斜向かいに位置する前記内箱レール被差込部に前記内箱レールを同時に取り付ける内箱レール自動取付装置。
【請求項5】
請求項1に記載の内箱レール自動取付装置であって、
前記内箱レールが収納されたレール箱から当該内箱レールを取り出すレール供給ロボットと、
前記内箱レールの型式を判別するレール判別センサと、を備える内箱レール自動取付装置。
【請求項6】
請求項5に記載の内箱レール自動取付装置であって、
前記内箱レールには、当該内箱の型式を判別するための刻印部が形成され、
前記レール判別センサは、前記刻印部を撮像する撮像部と、前記刻印部を照らす照明部と、を備える内箱レール自動取付装置。
【請求項7】
請求項5に記載の内箱レール自動取付装置であって、
前記レール供給ロボットから前記レール挿入ロボットに前記内箱レールを受け渡す前に、前記レール箱から取り出した前記内箱レールを保持する中間バッファを備える内箱レール自動取付装置。
【請求項8】
冷蔵庫の内箱に内箱レールを取り付ける内箱レール自動取付方法であって、
前記内箱レールを前記内箱の内箱レール被差込部に挿入して取り付ける際、前記内箱レールに設けられた爪または突起が前記内箱に干渉しないように前記内箱レールを吸引して、前記内箱と前記内箱レールとの間に隙間を形成する内箱レール自動取付方法。
【請求項9】
請求項8に記載の内箱レール自動取付方法であって、
前記爪または前記突起が前記内箱に形成された孔に対向する位置まで挿入された場合、前記内箱を吸引したまま押し込み、前記爪または前記突起を前記孔に挿入する内箱レール自動取付方法。
【請求項10】
請求項8に記載の内箱レール自動取付方法であって、
前記内箱レールを前記内箱に挿入する前に前記内箱の左右両側を押えて固定する内箱レール自動取付方法。
【請求項11】
請求項8に記載の内箱レール自動取付方法であって、
前記爪が前記内箱に形成された孔に対向する位置となったときに前記内箱を押し込んで、前記爪を前記孔に挿入する内箱レール自動取付方法。
【請求項12】
請求項8に記載の内箱レール自動取付方法であって、
斜向かいに位置する前記内箱レール被差込部に前記内箱レールを同時に取り付ける内箱レール自動取付方法。
【請求項13】
請求項8に記載の内箱レール自動取付方法であって、
前記内箱レールが収納されたレール箱から当該内箱レールを取り出した後、前記内箱レールの型式を判別する内箱レール自動取付方法。
【請求項14】
請求項13に記載の内箱レール自動取付方法であって、
前記内箱の型式を判別するための刻印部を撮像する際、前記刻印部を照らす内箱レール自動取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫の内箱レール自動取付装置および自動取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫には引出扉をスライド自在に支持するためのレール部材(内箱レール)が取り付けられる。このレール部材は、樹脂成形された内箱に取り付けられる。特許文献1には、引出しレールを内壁に形成された受容輪郭部に取り付け、内壁と外壁との間に断熱材を充填することで引出しレールが内壁に強固に支持される取付方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、引出しレールを内箱に取り付ける作業を自動化する点については検討されていない。このため、人手作業によってレール部材を内箱に取り付けている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の内箱レール自動取付装置は、冷蔵庫の内箱に内箱レールを取り付ける内箱レール自動取付装置であって、内箱を搬送する搬送部と、前記内箱レールを前記内箱に設けられた内箱レール被差込部に挿入するレール挿入ロボットと、前記レール挿入ロボットによって前記内箱レールを前記内箱に挿入する際、前記内箱レールに設けられた爪または突起が前記内箱に干渉しないように前記内箱レールを吸引して、前記内箱と前記内箱レールとの間に隙間を形成する内箱吸引装置と、を備える。
【0006】
また、本発明の内箱レール自動取付方法は、冷蔵庫の内箱に内箱レールを取り付ける内箱レール自動取付方法であって、前記内箱レールを前記内箱の内箱レール被差込部に挿入して取り付ける際、前記内箱レールに設けられた爪または突起が前記内箱に干渉しないように前記内箱レールを吸引して、前記内箱と前記内箱レールとの間に隙間を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】内箱に内箱レールが取り付けられた冷蔵庫の正面図である。
【
図2】内箱に内箱レールが取り付けられた冷蔵庫の斜視図である。
【
図4】本実施形態の内箱レール自動取付装置を示す上面図である。
【
図5】本実施形態の内箱レール自動取付装置を示す斜視図である。
【
図6】内箱レールを収納するレール箱を示す斜視図である。
【
図7A】内箱レールを保持した状態を示す上面図である。
【
図7B】内箱レールを保持した状態を示す側面図である。
【
図8A】内箱レールの型式を判別する装置を示す斜視図である。
【
図8B】内箱レールの型式を判別する装置を示す側面図である。
【
図9】内箱を保持してから内箱を吸着するまでの工程図である。
【
図10A】内箱レールを内箱に取り付ける途中の状態を示す断面図である。
【
図10B】内箱レールを内箱に取り付けた状態を示す断面図である。
【
図11】内箱レールを取り付ける途中の状態から内箱の保持を解除するまでの工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態(本実施形態)を説明する。ただし、本実施形態は、以下の内容に何ら制限されず、本発明の要旨を損なわない範囲内で任意に変更して実施可能である。
図1は、内箱に内箱レールが取り付けられた冷蔵庫の正面図、
図2は、内箱に内箱レールが取り付けられた冷蔵庫の斜視図である。なお、
図1および
図2は、冷蔵庫100から扉やトレイなどの内部構造部品を取り外した状態を示している。
図1および
図2に示すように、冷蔵庫100は、合成樹脂製の内箱1と、金属製の外箱15と、を備えている。内箱1は、外箱15よりも一回り小さく形成されている。内箱1と外箱15との間の空間には、例えば硬質ウレタンフォームからなる発泡断熱材を注入、発泡することによって構成された断熱材(不図示)が設けられる。
【0009】
内箱1は、合成樹脂製であり、左側の側面1L、右側の側面1R、背面1B、上面1C、底面1Dを備えて構成されている。また、内箱1は、成形後の単体では、撓み変形が容易である。
【0010】
また、内箱1の内側には、上段から順番に仕切部材101,102,103が設けられている。仕切部材101は、冷蔵室a1と上段冷凍室a2および製氷室a3とを仕切る部材である。仕切部材102は、上段冷凍室a2および製氷室a3と下段冷凍室a4とを仕切る部材である。仕切部材103は、下段冷凍室a4と野菜室a5とを仕切る部材である。
【0011】
内箱1には、上段冷凍室a2および製氷室a3の左右両側に、上段冷凍室a2用の引出扉と製氷室a3用の引出扉をスライド自在に支持するための内箱レール2が取り付けられる。また、内箱1には、下段冷凍室a4の上寄りの左右両側に、下段冷凍室a4の上段用の引出扉をスライド自在に支持するための内箱レール3が取り付けられる。また、内箱1には、下段冷凍室a4の下寄りの左右両側に下段冷凍室a4の下段用の引出扉をスライド自在に支持するための内箱レール4が取り付けられる。また、内箱1には、野菜室a5の左右両側に野菜室a5用の引出扉をスライド自在に支持するための内箱レール5が取り付けられる。なお、内箱レール2~5は、合成樹脂製であって、内箱1と別部品であり、成形した内箱1に後から取り付けられる。
【0012】
また、内箱1には、内箱レール2~5が挿入されて取り付けられるガイド部1a,1b,1c,1d(内箱レール被差込部)が形成されている。ガイド部1a~1dは、内箱レール2~5を固定する部材であり、内箱1と一体に樹脂成形によって構成されている。また、ガイド部1a~1dは、それぞれ左右一対に設けられている。
【0013】
図3Aは、内箱レールを表側から見た斜視図、
図3Bは、内箱レールの裏面図である。なお、
図3Aに示す内箱レール2~5は、内箱1の左右のうち左の側面1Lに設けられる部材である。また、右の側面1Rに設けられる内箱レール2~5は、左側の内箱レール2~5と面対称に形成されている。つまり、側面1Lには、左側専用の内箱レール2~5が取り付けられ、側面1Rには、右側専用の内箱レール2~5が取り付けられる。
【0014】
図3Aに示すように、内箱レール2~5は、図示しない引出扉をスライド自在に支持するための案内部12が形成されている。この案内部12には、引出扉に設けられたローラを備えたレール(不図示)がスライド自在に支持される。
【0015】
図3Bに示すように、内箱レール2~5は、内箱レールの型式(種類)を判別するための刻印部6が形成されている。この刻印部6は、文字や記号の部分が凸状または凹状に形成されることで構成されている。つまり、刻印部6は、印刷によって平面形状によって構成されたものではなく、凹凸形状によって構成されたものである。
【0016】
また、内箱レール2~5の裏面には、爪9が形成されている。この爪9は、内箱1に形成された孔1e(
図7B参照)に挿入され、内箱レール2~5が内箱1から外れないように固定する機能を有する。また、爪9は、長手方向の基端側に形成されている。なお、爪9に限定されるものではなく、単なる突起状の部材であってもよい。また、内箱レール2~5の爪9は、1個所に限定されるものではなく、2箇所以上に形成されていてもよい。その場合、内箱1に形成される孔1eの数は、爪9(突起)の数に応じて変更する。
【0017】
図4は、本実施形態の内箱レール自動取付装置を示す概略上面図、
図5は、本実施形態の内箱レール自動取付装置を示す斜視図、
図6は、内箱レールを収納するレール箱を示す斜視図である。なお、
図4および
図5は、説明の便宜上、内箱レール自動取付装置を簡略化して図示している。
図4に示すように、本実施形態の内箱レール自動取付装置200は、レール供給ロボット10,10,10,10、内箱固定装置20,20、レール挿入ロボット30,30、内箱1を搬送するコンベア40(搬送部)、内箱レール4を収納するレール箱50,50,50,50(
図4参照)を備えて構成されている。なお、内箱レール自動取付装置200は、片側2本、計4本の内箱レールを同時に取り付けることができるようになっているが、片側1本、計2本の内箱レールを同時に取り付ける構成であってもよい。
【0018】
レール供給ロボット10は、レール箱50から内箱レール2~5を取り出して、中間バッファ11に移動させる装置である。
【0019】
また、レール供給ロボット10は、内箱レール2~5を内箱1に取り付ける前に一時的に保持しておく中間バッファ11を備えている。この中間バッファ11は、レール挿入ロボット30と受渡しができる位置に設けられている。
【0020】
内箱固定装置20は、内箱1を押えて位置決めするアングル21(内箱押え部材)と、内箱1を吸着する吸着パッド22(内箱吸引装置、
図5参照)と、を備えて構成されている。
【0021】
アングル21は、内箱1の長手方向に延びる板状の部材であり、内箱1の左右両側に設けられている。また、アングル21は、内箱1に近づく方向と、内箱1から離れる方向とに動作させる駆動部(不図示)を備えている。また、アングル21によって内箱1の側面1L,1Rが押さえ込まれることで、コンベア40によって傾いて搬送されてきた内箱1の向きを補正するようになっている。つまり、内箱1の長手方向と搬送方向とが平行になるように向きが補正される。
【0022】
吸着パッド22は、内箱1の側面1Lの2箇所に設けられている。なお、図示していないが、内箱1の側面1Rの2箇所にも同様に吸着パッド22が設けられている。また、吸着パッド22は、内箱1の孔1eの位置に応じて移動できるようになっている。
【0023】
また、吸着パッド22は、内箱1の側面1L,1Rを吸着して、内箱1を引っ張り、または吸着したまま内箱1を押し込む機構を有している。なお、本実施形態では、片側2本の内箱レール2~5を同時に取り付ける必要があるため、片側に2つの吸着パッド22を備えた構成を例に挙げて説明するが、1つの吸着パッド22を備える構成であってもよい。また、吸着パッド22は、例えばエアー式であり、吸着パッド22のパッド部と内箱1との間を吸引して真空状態にすることで、内箱1を吸着するようになっている。
【0024】
図6に示すように、レール箱50は、複数本の内箱レール2~5を収納するものであり、内箱レール2~5の先端が下向きとなるように立てた状態で収納される。また、レール箱50には、左側の内箱レール2が複数収納され、別のレール箱50には、右側の内箱レール2が複数収納される。同様にして、レール箱50には、左側の内箱レール3が複数収納され、別のレール箱50には、右側の内箱レール3が複数収納される。また、レール箱50には、左側の内箱レール4が複数収納され、別のレール箱50には、右側の内箱レール4が複数収納される。また、レール箱50には、左側の内箱レール5が複数収納され、別のレール箱50には、右側の内箱レール5が複数収納される。
【0025】
図4に戻って、左外側の内箱レール2,3は、内箱1の左側に対応し、左内側の内箱レール2,3は、内箱1の右側に対応している。また、
図4の右外側の内箱レール4,5は、内箱1の右側に対応し、右内側の内箱レール4,5は、内箱1の左側に対応している。なお、
図4に示すレール箱50の構成は、一例であって本実施形態に限定されるものではなく適宜変更することができる。
【0026】
レール挿入ロボット30は、内箱レール2~5を内箱1に挿入する6軸ロボットであり、中間バッファ11に保持していた内箱レール2~5を受け取り、内箱1のガイド部1a~1dに挿入する。本実施形態では、1台のレール挿入ロボット30は、2本の内箱レール2,3(または内箱レール4,5)を把持して内箱1に取り付ける。
【0027】
また、レール挿入ロボット30は、先端に内箱レール2~5を把持する把持部30aを備えている。この把持部30aは、2本の内箱レール2,3(4,5)を吸着して保持する機構を備えている。なお、レール挿入ロボット30は、2本の内箱レール2,3(4,5)を把持する構成に限定されるものではなく、1本の内箱レール2(3,4,5)を把持するものであってもよい。
【0028】
図5に示すように、レール供給ロボット10は、レール箱50に沿って移動する駆動部10aと、レール箱50の内箱レール2~5を取り出す把持部10bとを備え、把持部10bを駆動部10aによって中間バッファ11まで移動させる。把持部10bは、内箱レール2~5の上端部を把持し、レール箱50から内箱レール2~5を引き抜くようになっている。また、レール供給ロボット10は、レール箱50から内箱レール2~5を引き抜き、中間バッファ11まで移動させる。
【0029】
中間バッファ11は、U字状に形成された保持部を備え、内箱レール2~5の先端が挿入され、保持される。詳述すると、中間バッファ11では、まず内箱レール2~5の先端の左右両側が押えられ、さらに後側が押えられることで、内箱レール2~5が立ったままの状態で保持される。ところで、内箱レール2~5は、細長い形状であるため、反り(ばらつき)が大きく、空中においてレール供給ロボット10とレール挿入ロボット30との間において直接受け渡すことが困難であった。さらに説明すると、レール挿入ロボットの把持部30a(
図4参照)に吸着部(不図示)が設けられているため、レール供給ロボット10から内箱レール2~5を直接に受け取ろうとすると、内箱レール2~5の反りによって内箱レール2~5を吸着することができないという事象が発生していた。そこで、本実施形態では、中間バッファ11を追加することで、内箱レール2~5の先端部分を基準にして押えつけて内箱レール2~5の反りを一定の範囲内に抑えることで、内箱レール2~5が多少反っていてもレール挿入ロボット30で吸着して保持できるようにしたものである。
【0030】
図7Aは、内箱レールを保持した状態を示す上面図、
図7Bは、内箱レールを保持した状態を示す側面図である。
図7Aに示すように、内箱1がコンベア40(
図5参照)によって所定の位置に搬送されると、内箱1の左右の側面1L,1Rと対向する位置に配置されたアングル21,21が内箱1に近づく方向に移動し、内箱1が側面1L,1Rの左右両側から押さえ込まれる。これにより、内箱1の傾きが所定の向きになるように補正される。
【0031】
図7Bに示すように、アングル21は、内箱1の左右の側面1L,1Rに配置され、内箱1の下部を押えて保持するようになっている。換言すると、アングル21の高さ位置は、内箱1に形成されたガイド部1a~1dの端部と重なる位置である。
【0032】
内箱1には、ガイド部1a~1dの上端(内箱1の開口側)に、内箱レール2~5の爪9(
図3B参照)が挿入される孔1eが形成されている。
【0033】
図8Aは、内箱レールの型式を判別する装置を示す斜視図、
図8Bは、内箱レールの型式を判別する装置を示す側面図である。
図8Aおよび
図8Bに示すように、レール供給ロボット10は、内箱レール2~5の型式(種類)を判別するレール判別センサ13を備えている。このレール判別センサ13は、内箱レール2~5の刻印部6(
図3B参照)を撮像する撮像部7と、刻印部6(
図3B参照)を照らす照明部8と、を備えて構成されている。刻印部6に光を当てて影をつくることで、輪郭を強調させ、刻印部6の文字や記号が読み取り易くなる。これにより、内箱レール2~5の誤挿入を防止することができる。
【0034】
このように、内箱レール自動取付装置200は、刻印部6を読み取って、内箱レール2~5の正誤を判定する機能を備えている。内箱レール2~5が適用している機種に合っている場合には、内箱レール2~5を中間バッファ11に送り、内箱レール2~5が適用している機種に合っていない場合には、エラー用の収納部(不図示)に送られる。
【0035】
次に、内箱1に内箱レール2~5を取り付けるまでの工程を
図9ないし
図11を参照して説明する。
図9は、内箱を保持してから内箱を吸着するまでの工程図、
図10Aは、内箱レールを内箱に取り付ける途中の状態を示す断面図、
図10Bは、内箱レールを内箱に取り付けた状態を示す断面図、
図11は、内箱レールを取り付ける途中の状態から内箱の保持を解除するまでの工程図である。
図9の上段の図に示すように、内箱1がコンベア40(
図4、
図5参照)によって所定の位置まで搬送されると、内箱1の搬送が停止する。そして、コンベア40の両側に設けられているアングル21,21が、黒矢印で示すように、内箱1に近づく方向に移動して、内箱1の側面1L,1Rが押え込まれ、内箱1が固定される。このアングル21の動作によって内箱1の傾きが所定の向きになるように補正される。
【0036】
そして、
図9の中段の図に示すように、吸着パッド22(
図5参照)によって内箱1の側面が吸着される。なお、吸着パッド22で内箱1を吸着する前に、内箱1の孔1eの位置を図示しないセンサによって検知し、吸着パッド22の位置を孔1eの位置になるように移動させる。また、側面1Lのガイド部1aを吸着パッド22で吸着する位置は、符号P1で示すように、孔1eより下側である。側面1Lのガイド部1bを吸着パッド22で吸着する位置は、符号P2で示すように、孔1eより下側である。側面1Rのガイド部1cを吸着パッド22で吸着する位置は、符号P3で示すように、孔1eより上側である。側面1Rのガイド部1dを吸着パッド22で吸着する位置は、符号P4で示すように、孔1eより下側である。
【0037】
そして、
図9の下段の図に示すように、内箱1を吸着パッド22で吸着した状態で黒矢印方向に引っ張る。これにより、内箱1の左右の側面1L,1Rが外側に拡がるように変形する。
【0038】
図10Aに示すように、アングル21によって内箱1が固定された状態において、レール挿入ロボット30(
図4,
図5参照)によって把持された内箱レール2~5は、内箱1のガイド部1a~1d(
図9参照)に挿入される。そして、内箱レール2~5の爪9が内箱1のフランジ1sに接触する手前において、吸着パッド22によって内箱1の側面1Lが外側へ引っ張られる。なお、このとき内箱レール2~5を側面1Lから離れる方向に移動させてもよい。これにより、内箱1の側面1Lと内箱レール2~5との間に隙間Sが形成される。この隙間Sは、内箱レール2~5を挿入しても、爪9が内箱1(側面1L)に干渉しない間隔である。
【0039】
そして、吸着パッド22によって内箱1を吸引して引っ張ったまま、内箱レール2~5をさらに挿入する。内箱レール2~5の爪9が側面1Lの孔1eと対向する位置まで挿入されると、吸着パッド22で吸着したまま、内箱1を前記とは逆に内側(内箱レール2~5側)に押し込む。これにより、爪9が孔1eに挿入された状態になる。さらに、爪9が孔1eに挿入された状態において、内箱レール2~5をさらに挿入する。これにより、爪9が側面1Lの孔1eの縁に引っ掛かり、内箱レール2~5が側面1Lに固定され、
図10Bに示す状態に至る。
【0040】
また、
図11の上段の図に示すように、内箱1の側面1Lの側では、内箱レール2,3が内箱1のガイド部1a,1bに挿入される。また、内箱1の側面1Rの側では、内箱レール4,5が内箱1のガイド部1c,1dに挿入される。このように、斜向かいに位置する(対角に位置する)ガイド部1a~1dに内箱レール2~5が同時に取り付けられる。このようにすることで、内箱1の撓みと浮き上がりを抑えることができる。
【0041】
なお、本実施形態では、対角に位置する内箱レール2,3と内箱レール4,5を同時に取り付けた場合を例に挙げて説明したが、対角に位置する片側1本ずつの内箱レールを同時に取り付けるようにしてもよい。例えば、側面1Lのガイド部1aに内箱レール2を挿入し、側面1Rのガイド部1bに内箱レール3を挿入してもよく、また側面1Lのガイド部1cに内箱レール4を挿入し、側面1Rのガイド部1dに内箱レール5を挿入してもよい。また、側面1Lのガイド部1aに内箱レール2を挿入し、側面1Rのガイド部1dに内箱レール5を挿入してもよく、また側面1Lのガイド部1bに内箱レール3を挿入し、側面1Rのガイド部1cに内箱レール4を挿入してもよい。また、片側が3本の内箱レール2,4,5が取り付けられる冷蔵庫の場合には、側面1Lのガイド部1aに内箱レール2を挿入し、側面1Rのガイド部1c,1dに内箱レール4,5を挿入してもよい。
【0042】
図11の中段の図に示すように、内箱レール2~5の挿入が完了した場合には、側面1L,1Rを吸着パッド22で吸着したまま内側(側面1L,1Rが互いに近づく方向)に押し込んで、内箱レール2~5の爪9を側面1L,1Rの孔1eに挿入する。なお、内箱レール2~5に爪9が形成されている場合には、爪9を孔1eに挿入した後、内箱レール2~5の爪9が孔1eの縁に引っ掛かるようにさらに挿入する。なお、本実施形態では、内箱レール2~5に爪9が形成された場合を例に挙げて説明したが、爪9ではなく突起であってもよく、この場合には吸着パッド22で内箱レール2~5を押し込むことで、突起を孔に挿入して嵌合させる。
【0043】
そして、側面1Lの内箱レール2,3と、側面1Rの内箱レール4,5の取り付けが完了すると、吸着パッド22を側面1Lのガイド部1c,1dに対応する孔1e,1eと、側面1Rのガイド部1a,1bに対応する孔1e,1eに移動させる。また、レール挿入ロボット30は、中間バッファ11から対応した内箱レール2~5を受け取りに行く。そして、前記と同様な工程を繰り返すことで、左右両側の内箱レール2~5の取り付けが完了する。
【0044】
図11の下段の図に示すように、内箱レール2~5の内箱1への取り付けが完了した後は、アングル21,21を内箱1から離れるように動作させる。これにより、内箱レール2~5の取り付けられた内箱1は、コンベア40(
図4、
図5参照)によって次の工程に送られる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態の内箱レール自動取付装置200は、冷蔵庫の内箱に内箱レールを取り付けるものであって、内箱1を搬送するコンベア40と、内箱レール2~5を内箱1に設けられたガイド部1a~1dに挿入するレール挿入ロボット30と、レール挿入ロボット30によって内箱レール2~5を内箱1に挿入する際、内箱レール2~5に設けられた爪9が内箱1に干渉しないように内箱1を吸引して、内箱1と内箱レール2~5との間に隙間Sを形成する吸着パッド22と、を備える(
図10A参照)。また、内箱レール自動取付方法は、内箱レール2~5を内箱1のガイド部1a~1dに挿入して取り付ける際、内箱レール2~5に設けられた爪9が内箱1に干渉しないように内箱レール2~5を吸引して、内箱1と内箱レール2~5との間に隙間Sを形成する。これによれば、内箱レール2~5に設けられた爪9が内箱1に衝突するのを防止することができる。その結果、爪9を備えた内箱レール2~5を内箱1に自動で取り付けることが可能になる。
【0046】
また、本実施形態において、吸着パッド22は、爪9が内箱1に形成された孔1eに対向する位置まで挿入された場合、内箱1を吸引したまま押し込み、爪9を孔1eに挿入する。これによれば、爪9を孔1eに引掛けることができ、内箱レール2~5を内箱1に固定することが可能になる。
【0047】
また、本実施形態は、内箱レール2~5を内箱1に挿入する前に内箱1の左右両側を押えて固定するアングル21,21(内箱押え部材)を備える。これによれば、内箱1を所定の向きに補正することができ、内箱レール2~5の取付が容易になる。
【0048】
また、本実施形態において、レール挿入ロボット30は、斜向かいに位置するガイド部1a~1dに内箱レール2~5を同時に取り付ける。これによれば、内箱1の撓みと浮き上がりを抑えることが可能になる。
【0049】
また、本実施形態は、内箱レール2~5が収納されたレール箱50から当該内箱レール2~5を取り出すレール供給ロボット10と、内箱レール2~5の型式を判別するレール判別センサ13と、を備える。これによれば、内箱レール2~5の誤挿入を防止することができる。
【0050】
また、本実施形態は、内箱レール2~5には、内箱1の型式を判別するための刻印部6が形成され、レール判別センサ13は、刻印部6を撮像する撮像部7と、刻印部6を照らす照明部8と、を備える。これによれば、照明部8から照らされる光によって刻印部6の印影が明確になり、刻印部6の型式が読み取り易くなる。
【0051】
また、本実施形態は、レール供給ロボット10からレール挿入ロボット30に内箱レール2~5を受け渡す前に、レール箱50から取り出した内箱レール2~5を保持する中間バッファ11を備える。これによれば、内箱レール2~5を一旦中間バッファ11に載置することで、レール挿入ロボット30への受け渡しが容易になる。
【符号の説明】
【0052】
1 内箱
1a,1b,1c,1d ガイド部(内箱レール被差込部)
1e 孔
1L,1R 側面
2,3,4,5 内箱レール
6 刻印部
7 撮像部
8 照明部
9 爪
10 レール供給ロボット
11 中間バッファ
13 レール判別センサ
21 アングル(内箱押え部材)
22 吸着パッド(内箱吸引装置)
30 レール挿入ロボット
40 コンベア(搬送部)
50 レール箱
100 冷蔵庫
200 内箱レール自動取付装置
S 隙間