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特開2024-167579送風機およびこの送風機を備えた洗濯機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167579
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】送風機およびこの送風機を備えた洗濯機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/42 20060101AFI20241127BHJP
   D06F 58/02 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
F04D29/42 H
D06F58/02 L
F04D29/42 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083757
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 聡凜
(72)【発明者】
【氏名】塚本 和寛
(72)【発明者】
【氏名】本多 武史
(72)【発明者】
【氏名】曽我 丈
【テーマコード(参考)】
3B166
3H130
【Fターム(参考)】
3B166AA02
3B166AA15
3B166AB22
3B166AB30
3B166AE01
3B166BA23
3B166BA83
3B166BA84
3B166CA01
3B166CA11
3B166CB01
3B166CB11
3B166DA28
3B166DA35
3B166DB02
3B166DB03
3B166DB17
3B166DC02
3B166DC03
3B166DC12
3B166DC22
3B166DC32
3B166DC44
3B166DD06
3B166DE02
3B166DE04
3B166EA03
3B166EA12
3B166EB02
3B166EB17
3B166EC02
3B166EC13
3B166EC22
3B166EC40
3B166ED05
3B166EE01
3B166FA12
3B166FA14
3B166FB01
3B166FB08
3B166GA02
3B166GA04
3B166GA07
3B166GA14
3B166GA22
3B166GA45
3B166JM02
3B166JM03
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB46
3H130AC23
3H130BA13A
3H130BA66A
3H130CA05
3H130CA21
3H130EA06A
3H130EB01A
(57)【要約】
【課題】本発明は、送風機性能の低下を抑制しつつ、低騒音化が可能な送風機を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の送風機30は、電動機200と、電動機200の回転軸201に設けられる遠心羽根車300と、遠心羽根車300を収容するケーシング500とを備える。ケーシング500の内部には、遠心羽根車300に向かって突出すると共に、遠心羽根車300の外周側の位置から内周側に向かって伸びたリブ400突起部を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機と、前記電動機の回転軸に設けられる遠心羽根車と、前記遠心羽根車を収容するケーシングとを備えた送風機において、
前記ケーシングの内部には、前記遠心羽根車に向かって突出すると共に、前記遠心羽根車の外周側の位置から内周側に向かって伸びた突起部を備えたことを特徴とする送風機。
【請求項2】
請求項1に記載の送風機において、
前記突起部の外周側の位置は、前記遠心羽根車の外周端と重なる位置としたことを特徴とする送風機。
【請求項3】
請求項2に記載の送風機において、
前記突起部は、前記遠心羽根車の周方向に複数備えたことを特徴とする送風機。
【請求項4】
請求項2に記載の送風機において、
前記突起部の長さは、前記遠心羽根車の外径の半分以下の長さとしたことを特徴とする送風機。
【請求項5】
請求項3に記載の送風機において、
前記複数の突起部は、それぞれ異なる長さとしたことを特徴とする送風機。
【請求項6】
請求項2に記載の送風機において、
前記突起部は、前記遠心羽根車の羽根枚数の2倍以上の数としたことを特徴とする送風機。
【請求項7】
筐体の内部に備えられた外槽と、前記外槽の内側に回転可能に備えられた内槽と、前記内槽に送風する送風機を備えた洗濯機において、
前記送風機は、請求項1乃至6の何れか1項であることを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風機およびこれを備えた洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯から乾燥まで連続して行える洗濯乾燥機による衣類の乾燥は、送風機と加熱手段により高温、低湿度の空気を作り、これを洗濯槽内に吹き込み、衣類の温度を高くし、衣類から水分を蒸発させ、蒸発した水分を機外へ排出することにより行う。このとき、空気の流れを発生させる送風機は、より低騒音であることが望ましい。
【0003】
低騒音化を図った送風機として、例えば、特許文献1に記載の技術が提案されている。特許文献1は、電動機に回転自在に設けられた回転軸と、回転軸に設けられた遠心羽根車と、遠心羽根車の吸込開口に設けられたベルマウスと、遠心羽根車の下流に設けられ、周方向に配置された複数のディフューザベーンによって構成されたディフューザと、遠心羽根車とディフューザを格納するファンケーシング及びファンカバーと、ファンカバーの内側、且つファンカバーの吸込口の径方向外側に設けられた非円形の突起部と、を有する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-56643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術は、送風機の吸込口付近に非円形の突起部を設けることで、突起部周辺の圧力脈動の振幅を低減し、低騒音化を図っている。しかしながら、特許文献1に記載された技術においては、主な騒音発生源であるインペラ外周から突起部までの距離が長いため、圧力脈動の低減効果が小さく、低騒音化の効果が十分に得られないという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、前記課題を解決し、送風機性能の低下を抑制しつつ、低騒音化が可能な送風機およびこれを備えた洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために本発明は、電動機と、前記電動機の回転軸に設けられる遠心羽根車と、前記遠心羽根車を収容するケーシングとを備えた送風機において、前記ケーシングの内部には、前記遠心羽根車に向かって突出すると共に、前記遠心羽根車の外周側の位置から内周側に向かって伸びた突起部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、送風機性能の低下を抑制しつつ、低騒音化が可能な送風機およびこれを備えた洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例に係る洗濯機を示す外観斜視図である。
図2】本発明の実施例に係る洗濯機の内部を示す斜視図である。
図3】本発明の実施例に係る洗濯機の内部を示す概略構成図である。
図4】本発明の実施例に係る送風機を示す外観斜視図である。
図5】本発明の実施例に係る送風機をファンカバー側から見たときの分解斜視図である。
図6】本発明の実施例に係るファンケーシングをファンカバー側から見たときの平面図である。
図7】本発明の実施例に係るファンケーシングの変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。なお、同一の要素については、全ての図において、原則として同一の符号を付している。また、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。なお、以下に説明する構成はあくまで実施例に過ぎず、本発明に係る実施様態が、以下の具体的様態に限定されることを意図する趣旨ではない。
【0011】
図1は、本発明の実施例に係る洗濯機を示す外観斜視図である。図1に示すように、洗濯機Sは、乾燥機を備えたドラム式の洗濯乾燥機であり、合成樹脂製のベース1hの上部に、主に鋼板で形成された左右側と背側に設けられる側板1a及び補強材1b(図2参照)などを組み合わせて骨格を構成し、さらにその上に樹脂成形品で作られた前面カバー1c、下部前面カバー1d、上面カバー1eを取り付けることで筐体1を構成している。また、前面カバー1cには、洗濯物を出し入れする際に開閉されるドア9が備えられている。
【0012】
図2は、本発明の実施例に係る洗濯機の内部を示す斜視図である。なお、図2は、前面カバー1c、下部前面カバー1d、給水ユニット70(図3参照)、洗剤ケースなどを取り外した状態を示している。
【0013】
図2に示すように、筐体1の内部には、ほぼ中央部に外槽2を備えている。この外槽2は、有底円筒状に形成され、複数個のダンパ5により支持されている。また、外槽2は、外槽本体2aの前面開口2a1に槽カバー2bが取り付けられて構成されている。槽カバー2bは、後側が外槽本体2aの前面開口2a1と接続され、前側に洗濯物が出し入れされる円形の開口部2b1が形成されている。
【0014】
また、外槽2の内側には、回転可能に支持されたドラム3(図3参照)が設けられている。ドラム3(内槽)は、有底円筒状に形成され、前側に開口が位置するように配置されている。また、ドラム3の回転軸は、前側が後側よりも高くなるように傾斜している。なお、ドラム3の回転軸は、略水平となるように構成されていてもよい。
【0015】
ドラム3の側壁である円筒部の内壁には、洗濯物を持ち上げる複数個のリフタ3a(図3参照)が設けられている。また、ドラム3は、円筒部に遠心脱水および通風用の多数の貫通孔を有している。
【0016】
ドア9は、ドア枠9b(図1参照)にドアガラス9a(図1参照)を固定したものであり、ヒンジ9c(図1参照)によって筐体1に取り付けられている。ドラム3の開口の外周には、脱水時の洗濯物のアンバランスによる振動を低減するための、流体バランサ(不図示)が設けられている。
【0017】
槽カバー2bには、弾性体からなるゴム製のベローズ10が取り付けられている。このベローズ10は、奥側(後側)の開口縁部が開口部2b1に取り付けられ、手前側の開口縁部がドア枠9b(図1参照)の裏側の筐体1に取り付けられている。ドア9を閉じることで、ドア9がベローズ10に密着し、外槽2内とドア9との水密性を維持する役割をしている。これにより、洗い、すすぎ及び脱水時の水漏れの防止が図られている。
【0018】
図3は、本発明の実施例に係る洗濯機の内部を示す概略構成図である。図3に示すように、筐体1内には、ドラム3内の洗濯物に気流を導く送風ダクト20が設けられている。この送風ダクト20には、送風機30とヒートポンプユニット40が設けられている。ヒートポンプユニット40の下流側には送風機30が位置している。また、送風ダクト20は、外槽2の背部とヒートポンプユニット40とを接続する吸込ダクト21と、外槽2と送風機30とを接続する吐出ダクト22と、を備えている。吸込ダクト21は、外槽2とヒートポンプユニット40とを接続する風路を有している。吐出ダクト22は、送風機30と乾燥用吐出口25と接続する風路を有している。また、外槽2と吸込ダクト21との間には、乾燥用フィルタ6a、6bが設けられている。
【0019】
ヒートポンプユニット40は、乾燥運転時に、洗濯物を通過して外槽2から排出された高温、高湿の空気を除湿、加熱して高温、低湿にするものであり、除湿、加熱された温風(乾燥風)は、送風機30によって吐出ダクト22を通り、外槽2の上部に設けられた乾燥用吐出口25からドラム3内の洗濯物に吹き付けられる。洗濯物に吹き付けられた温風は、高温高湿の空気となって、吸込ダクト21を通って、ヒートポンプユニット40に戻る。なお、ヒートポンプユニット40に替えて水冷除湿機構を用いて、高温高湿の空気を冷却除湿してもよい。
【0020】
また、洗濯機Sは、外槽2内に給水する給水ユニット70(給水手段)、外槽2内の水位を検出する水位センサ71、給水ユニット70、送風機30などを制御する制御装置90(制御部)を備えている。
【0021】
給水ユニット70は、給水電磁弁を含む複数の電磁弁を備え、第1の電磁弁を開くことにより給水管を介して洗剤ケースの粉末洗剤投入室および液体洗剤投入室に給水し、第2の電磁弁を開くことにより給水管を介して柔軟仕上剤投入室に給水し、第3の電磁弁を開くことにより給水管を介して外槽2の給水口2c(図2参照)に直接給水する。
【0022】
水位センサ71は、外槽2の後部端面の最下部にはエアトラップ(不図示)が設けられ、チューブ(不図示)を介してセンサ部(不図示)と接続することで、外槽2内の水位を検出する。水位センサ71によって検出された信号は、制御装置90に出力される。
【0023】
外槽2の鉛直直下の内底部には、窪み部2dが設けられている。この窪み部2dは、略凹状かつドラム3の軸方向に延在するように設けられている。窪み部2dの底面2d1には、排水口2d2が設けられている。
【0024】
また、外槽2の下方には、循環ポンプ11が設けられている。この循環ポンプ11は、外槽2内の洗濯水を排水口2d2からホース11aを通して吸い込み、ホース11bを通して外槽2の上部までくみ上げて、ドラム3内の洗濯物に散布する機能を有し、筐体1のベース1h(図1参照)側に固定されている。洗濯水は、外槽2の窪み部2dの排水口2d2から、糸屑フィルタ13(図2参照)を通して循環ポンプ11の吸込口側に入り、循環ポンプ11で昇圧されたのち、散水ノズル(不図示)からドラム3内に向けて散水される。また、窪み部2dの排水口2d2は、糸屑フィルタ13(図2参照)と排水弁12を介して、排水ホース12aに通じており、窪み部2d内の水を機外に排出できるようになっている。
【0025】
次に送風機の構成を説明する。図4は、本発明の実施例に係る送風機を示す外観斜視図である。
【0026】
図4に示すように、送風機30は、外郭を形成するケーシング500、電動機200、遠心羽根車300を備えて構成されている。なお、ケーシング500はファンカバー501とファンケーシング502により構成される。
【0027】
ファンカバー501には、吸込口510が形成されている。吸込口510は、ヒートポンプユニット40(図3参照)に接続される。また、ファンケーシング502には排出口511が形成されている。排出口511は、吐出ダクト22(図3参照)に接続される。
【0028】
図5は、本発明の実施例に係る送風機をファンカバー側から見たときの分解斜視図である。
【0029】
図5に示すように、ファンカバー501の周縁部には、ファンケーシング502とねじ固定されるねじ固定部512が複数箇所に形成されている。
【0030】
ファンケーシング502は、ファンカバー501に対応する形状を有している。ファンケーシング502には、電動機200の回転軸201が挿入される軸挿入孔514が形成されている。また、ファンケーシング502の外周縁部には、ファンカバー501のねじ固定部512に対応する位置に、ねじ(不図示)が挿通されるねじ挿通部513が形成されている。
【0031】
また、ファンケーシング502とファンカバー501とを組み合わせたときに、ファンカバー501とファンケーシング502との間に、遠心羽根車300が配置される空間600が形成されるように構成されている。
【0032】
また、ファンケーシング502には、空間600内であり、軸方向Axから見て、遠心羽根車300と重なる位置に、周方向に並んだ複数個の突起形状であるリブ400(突起部)が設けられている。このリブ400は、Axを中心として、径方向外側に向かって放射状に設けられている。リブ400は、ファンケーシング502内面からの突出量が2~3mmに設定されている。
【0033】
ファンケーシング502と、ファンカバー501とにより遠心羽根車300の外周囲には、スクロール流路550が形成されている。このスクロール流路550は、舌部551側の流路幅が狭く形成され、舌部551から時計回り方向に向けて流路幅が徐々に広くなるように構成されている。なお、舌部551は、スクロール流路550の開始点である。
【0034】
電動機200は、径方向の中心に遠心羽根車300と結合される回転軸201を有し、ファンケーシング502に取り付けられる。また、電動機200は、回転軸201に固定されるロータ(回転子)、ロータの周囲に設けられるステータ(固定子)、回転軸201を回転可能に支持する軸受を有している。また、電動機200は、ロータ、ステータおよび軸受を収容する略円柱状のケース202を有している。
【0035】
遠心羽根車300は、シュラウド板301と、ハブ板311と、羽根321とが組み合わされて構成されている。シュラウド板301は、径方向の中央に、円形の吸込開口302が形成されている。ハブ板311は、回転軸201を固定する軸孔(図示せず)が形成されている。羽根321は、シュラウド板301とハブ板311とが軸方向Axの両側から挟まれて構成されている。
【0036】
このように構成された送風機30では、遠心羽根車300がW方向に回転することで、吸込口510を通って吸込開口302から空気が吸い込まれた後、遠心羽根車300の外周から空気が吐出される。吐出された空気はスクロール流路550に流れ込み、排出口511へ流れる。
【0037】
図6は、本発明の実施例に係るファンケーシングをファンカバー側から見たときの平面図である。図6を用いて本実施例の効果について説明する。
【0038】
遠心羽根車300(図5参照)から出た流れは、W方向への速度成分を持ってスクロール流路550へと流れる。このとき、スクロール流路550内の流れは、回転している遠心羽根車300の羽根321(図5参照)からの流れと、静止している舌部551との周期的な干渉によって生じる、W方向に腹と節を持つ圧力脈動を伴っている。この圧力脈動の振幅が送風機30の羽根音に影響するため、振幅を低減することが望ましい。
【0039】
また、この圧力脈動はスクロール流路550だけではなく、遠心羽根車300の背面側の空間600にも伝播する。本実施例においては、この空間600内に、W方向の向きに対して直交する複数のリブ400を設けることによって、空間600内に伝播してきたW方向に腹と節を持つ圧力脈動を低減するようにしている。
【0040】
また、空間600に伝播する圧力脈動は、遠心羽根車300の外周側の方が大きい。そのため、本実施例においては、リブ400を遠心羽根車300の外周側(径方向外側)の位置から内周側(径方向内側)に向かって伸びるように配置している。リブ400の外周側の位置は、遠心羽根車300の外周端Dよりも外周側に突出するようにしてもよく、また遠心羽根車300の外周端Dよりも内周側にしてもよい。
【0041】
遠心羽根車300の外周端Dよりも外周側に突出してリブ400が設けられた場合、遠心羽根車300からスクロール流路550に流れが向かう際に、流れを阻害してしまい、送風機性能の低下へと繋がるため、送風機性能を維持する観点からも、リブ400の外周側の位置は、軸方向Axから見て遠心羽根車300の外周端Dと重なる位置とし、その位置から内周側(径方向内側)に延伸するようにリブ400を設けることが望ましい。
【0042】
また、空間600に伝播する圧力脈動は、遠心羽根車300の外周側の方が大きいため、軸挿入孔514周辺では、圧力脈動が小さい。そのため、リブ400が軸挿入孔514付近まで延伸する必要はなく、余計な渦構造の発生抑制や、材料削減の観点からリブ400の長さLは遠心羽根車300の外径の50%以下程度で設けることが望ましい。
【0043】
また、リブ400は設けられる本数が多いほど、圧力脈動をより分散して低減できるため低騒音化の効果が得られる。具体的にリブ400は、遠心羽根車300の羽根321の枚数の2倍以上の数とすることが望ましい。
【0044】
さらに、リブ400はファンカバー501側に設けるようにしてもよい。
【0045】
図7は、本発明の実施例に係るファンケーシングの変形例を示す平面図である。
【0046】
変形例のリブ400はそれぞれ異なる長さで設けられている。一般的に、スクロール流路550内の圧力は、遠心羽根車300の回転方向Wに分布を有している。このとき、舌部551付近が最も高く、遠心羽根車300の回転方向Wに向かって徐々に圧力が低下する。そのため、もっとも圧力変動の振幅が大きいのは、舌部551付近であり、その振幅についても、回転方向Wに徐々に小さくなる。そのため、空間600内に伝播する圧力変動は、舌部551付近が最も大きい。これを考慮し、リブ400は、図7に示すように、舌部付近のリブ400Aを、他のリブ(例えば400B)よりも長くすることで、効果的に低騒音化を図ることができる。
【0047】
以上説明したように、本実施例の送風機30は、電動機200と、電動機200に回転可能に設けられる回転軸201と、回転軸201に設けられる遠心羽根車300と、遠心羽根車300を収容するケーシング500とを備える。
【0048】
ケーシング500を構成するファンケーシング502に設けられたリブ400によって、リブ400周辺の圧力脈動を低減でき、低騒音化が可能となる。
【0049】
また、リブ400は遠心羽根車300の外周端Dと重なる位置から径方向内側に延伸するように設けられることで送風機性能を維持しつつ低騒音化が可能となる。
【0050】
また、リブ400の長さは遠心羽根車300の外径の50%以下程度で設けることで、低コストかつ効果的に低騒音化が可能となる。
【0051】
また、遠心羽根車300の羽根321の枚数の2倍以上の本数のリブ400を設けることで、圧力脈動をより分散して低減できるため更なる低騒音化の効果が得られる。
【0052】
また、圧力脈動が大きい舌部551付近のリブ400Aを、他のリブ400Bよりも長くすることで、効果的に低騒音化を図ることができる。
【0053】
また、本実施例の送風機30は、洗濯機Sに備えられている。送風機30は送風機性能を低下させずに低騒音化ができるため、洗濯機Sの省エネと低騒音の両立を図ることができる。
【0054】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成を置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0055】
1…筐体、2…外槽、3…ドラム、30…送風機、200…電動機、201…回転軸、300…遠心羽根車、400…リブ、500…ケーシング、501…ファンカバー、502…ファンケーシング、510…吸込口、511…排出口、550…スクロール流路、551…舌部、600…空間、Ax…軸方向、D…遠心羽根車の外周端、L…リブ400の長さ、S…洗濯機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7