(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167589
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
G03G21/16 133
G03G21/16 147
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083770
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】木村 俊之
【テーマコード(参考)】
2H171
【Fターム(参考)】
2H171FA01
2H171FA03
2H171FA12
2H171GA11
2H171HA23
2H171JA05
2H171JA23
2H171JA27
2H171JA29
2H171JA31
2H171JA48
2H171KA05
2H171KA25
2H171KA26
2H171KA27
2H171KA29
2H171QA04
2H171QA08
2H171QB03
2H171QB16
2H171QB32
2H171QC05
2H171SA10
2H171SA12
2H171SA15
2H171SA18
2H171SA22
2H171SA26
2H171SA31
2H171SA32
(57)【要約】
【課題】露光ユニットの保守・点検作業を容易に実行可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置(1)は、カバー部材(3)と、カバー部材(3)が閉位置から開位置まで開放された場合に、第1の位置から、第1の位置にある状態に対してカバー部材(3)に対する角度が異なる第2の位置まで移動する露光ユニット(7)と、ロック機構(8)とを備える。露光ユニット(7)は、カバー部材(3)が開位置にある場合において、第2の位置と、第2の位置にある状態に対してカバー部材(3)に対する角度が異なる第3の位置との間で移動自在であり、露光ユニット(7)が第3の位置にある場合に、ロック機構(8)は露光ユニット(7)の位置をロックし、露光ユニット(7)が第3の位置にある状態で、カバー部材(3)が開位置から閉位置に向けて移動させられた場合に、ロック機構(8)による露光ユニット(7)の位置のロックが解除される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に対して、閉位置と開位置との間で開閉自在に支持されるカバー部材と、
前記カバー部材が前記閉位置から前記開位置まで開放された場合に、第1の位置から、前記第1の位置にある状態に対して前記カバー部材に対する角度が異なる第2の位置まで移動する露光ユニットと、
前記露光ユニットの位置をロックするロック機構と
を備え、
前記露光ユニットは、
前記カバー部材が前記開位置にある場合において、前記第2の位置と、前記第2の位置にある状態に対して前記カバー部材に対する角度が異なる第3の位置との間で移動自在であり、
前記露光ユニットが前記第3の位置にある場合に、前記ロック機構は前記露光ユニットの位置をロックし、
前記露光ユニットが前記第3の位置にある状態で、前記カバー部材が前記開位置から前記閉位置に向けて移動させられた場合に、前記ロック機構による前記露光ユニットの位置のロックが解除される
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記カバー部材に対して、少なくとも第1の方向及び前記第1の方向の反対の第2の方向において移動自在に支持されるリンクユニットをさらに有し、
前記カバー部材は、前記装置本体に対して、第1の回動軸を中心に回動自在に設けられ、
前記第1の方向は、前記第1の回動軸から遠ざかる、前記カバー部材が延在する方向であり、
前記リンクユニットは、
前記カバー部材に対して少なくとも前記第1の方向において移動自在に保持されるリンク部材と、
前記リンク部材に対して少なくとも前記第1の方向において移動自在に保持され、前記第1の方向における移動に伴って前記露光ユニットに作用し、前記カバー部材に対する角度が異なる位置まで移動させるスライド部材と
を有し、
前記ロック機構は、
前記リンク部材に設けられた第1の係合部と、
前記スライド部材に設けられた第2の係合部と
を有し、
前記第1の係合部と前記第2の係合部との係合により、前記露光ユニットは前記第3の位置にロックされる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記露光ユニットが前記第3の位置にある状態で、前記カバー部材が前記開位置から前記閉位置に向けて移動させられた場合に、前記第1の係合部又は前記第2の係合部の少なくとも一方と当接して前記係合を解除するロック解除部32を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記露光ユニットは、
前記カバー部材に支持され、前記カバー部材に対する第2の回動軸上に配設される保持部材と、
前記保持部材に、第2の回動軸から離間して配設される露光ヘッド部と
を有し、
前記露光ユニットが前記第3の位置にある状態は、前記第2の位置にある状態よりも、前記露光ヘッド部が前記カバー部材から離間した状態である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記露光ユニットは、
前記カバー部材に支持され、前記カバー部材に対する第2の回動軸上に配設される保持部材と、
前記保持部材に、第2の回動軸から離間して配設される露光ヘッド部と
を有し、
前記露光ユニットが前記第3の位置にある状態は、前記第2の位置にある状態よりも、前記露光ヘッド部が前記第1の回動軸から離間した状態である
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記リンク部材に備えられ、前記第1の方向に向かう第1の付勢力を前記スライド部材に付与する第1の付勢部材と、
前記カバー部材に備えられ、前記第2の方向に向かう第2の付勢力を前記リンクユニットに付与する第2の付勢部材と、
をさらに有し、
前記第1の付勢力は、前記第2の付勢力よりも大きい
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記スライド部材は、前記カバー部材に対する移動に伴って、前記露光ユニットに設けられる被作用部に作用し、前記露光ユニットを前記カバー部材に対して移動させる作用部を有する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記リンク部材に備えられ、前記第1の方向に向かう第1の付勢力を前記スライド部材に付与する第1の付勢部材をさらに有し、
前記ロック機構によるロックが解除された場合に、前記スライド部材は、前記第1の付勢部材の付勢力によって、前記リンク部材に対して前記第1の方向に移動し、前記露光ユニットは、前記第3の位置から前記第2の位置に向けて移動する
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記カバー部材に備えられ、前記第2の方向に向かう第2の付勢力を前記リンク部材に付与する第2の付勢部材と、
前記カバー部材が前記閉位置から前記開位置まで回動する際に前記リンクユニットを押圧し、前記カバー部材に対して前記リンクユニットを前記第1の方向に移動させる押圧部材と
をさらに有することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、装置本体と、装置本体に対して開閉自在なカバー部材と、カバー部材に支持された露光ユニットとを有し、カバー部材が閉位置から開位置まで開放されると、カバー部材に対する露光ユニットの角度が変わる画像形成装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カバー部材に対する露光ユニットの角度が変わる位置まで、露光ユニットが移動することで、露光ユニットの保守・点検作業がしづらくなるという問題があった。
【0005】
本開示は、露光ユニットの保守・点検作業を容易に実行可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の画像形成装置は、装置本体に対して、閉位置と開位置との間で開閉自在に支持されるカバー部材と、前記カバー部材が前記閉位置から前記開位置まで開放された場合に、第1の位置から、前記第1の位置にある状態に対して前記カバー部材に対する角度が異なる第2の位置まで移動する露光ユニットと、前記露光ユニットの位置をロックするロック機構とを備え、前記露光ユニットは、前記カバー部材が前記開位置にある場合において、前記第2の位置と、前記第2の位置にある状態に対して前記カバー部材に対する角度が異なる第3の位置との間で移動自在であり、前記露光ユニットが前記第3の位置にある場合に、前記ロック機構は前記露光ユニットの位置をロックし、前記露光ユニットが前記第3の位置にある状態で、前記カバー部材が前記開位置から前記閉位置に向けて移動させられた場合に、前記ロック機構による前記露光ユニットの位置のロックが解除されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、露光ユニットの保守・点検作業を容易に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す概略断面図である。
【
図2】(A)から(C)は、実施の形態に係る画像形成装置のカバー部材の状態及び露光ユニットの状態を示す図であり、(A)は、閉位置にあるカバー部材及び露光位置(第1の位置)にある露光ユニットを示し、(B)は、開位置にあるカバー部材及び退避位置(第2の位置)にある露光ユニットを示し、(C)は、開位置にあるカバー部材及び非退避位置(第3の位置)にある露光ユニットを示す。
【
図3】閉位置にあるカバー部材と、露光位置にある露光ユニットと、露光ユニットを移動させるリンクユニット(リンク部材、スライド部材)とを示す図である。
【
図4】カバー部材が閉状態であるときにおける、露光位置にある露光ユニットとスライド部材とを示す図である。
【
図5】カバー部材が閉状態であるときにおける、露光位置にある露光ユニットと、リンクユニットとを示す図である。
【
図6】閉位置にあるカバー部材と、露光位置にある露光ユニットと、リンクユニットとの要部を示す斜視図である。
【
図7】開位置にあるカバー部材と、退避位置にある露光ユニットと、リンクユニットとを示す図である。
【
図8】開位置にあるカバー部材と、退避位置にある露光ユニットと、リンクユニットとの要部を示す斜視図である。
【
図9】
図8に示される部分を矢印D8方向に見た状態を示す図である。
【
図10】開位置にあるカバー部材と、非退避位置にある露光ユニットと、リンクユニットとを示す図である。
【
図11】開位置にあるカバー部材と、非退避位置にある露光ユニットと、リンクユニットとの要部を示す斜視図である。
【
図12】
図11に示される部分を矢印D11方向に見た状態を示す図である。
【
図13】ロック機構(第1の係合部、第2の係合部)の係合の解除動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施の形態に係る画像形成装置を、図面を参照しながら説明する。以下の実施の形態は、例にすぎず、本開示の範囲内で種々の変更が可能である。
【0010】
図には、図相互の関係を理解しやすくするために、xyz直交座標系の座標軸が示されている。本実施の形態では、xy面が水平面であり、画像形成装置が水平面に置かれている場合を説明する。図において、x方向は、画像形成装置の幅方向であり、印刷媒体の幅方向である。y方向は、画像形成装置の奥行方向であり、画像形成装置の前面は-y方向を向いている。z方向は、鉛直方向である。
【0011】
《画像形成装置1の全体構成》
図1は、実施の形態に係る画像形成装置1の構成を示す概略断面図である。画像形成装置1は、電子写真プロセスを用いて用紙などの印刷媒体P上に画像を形成するカラープリンタである。画像形成装置1は、モノクロプリンタであってもよい。画像形成装置1は、外部のコンピュータなどから受け取った画像データに基づいて印刷媒体P上に画像を形成する。
【0012】
画像形成装置1は、装置本体を構成する筐体2と、筐体2の上部に設けられたトップカバーであるカバー部材3と、筐体2の前面に設けられた前面カバー21とを有している。カバー部材3は、筐体2に対し第1の回動軸31を中心に回動自在に支持されている。前面カバー21は、筐体2に対し回動自在に支持されている。
【0013】
画像形成装置1は、筐体2内に、印刷媒体Pを搬送する媒体搬送機構110と、印刷媒体Pにトナー像(現像剤像)を形成する画像形成ユニット(「イメージドラムユニット」ともいう。)10K、10Y、10M、10Cと、トナー像を印刷媒体Pに転写する転写ユニット120と、トナー像を印刷媒体Pに定着する定着ユニット130と、印刷媒体Pを排出する媒体排出機構140とを有している。
【0014】
媒体搬送機構110は、複数の印刷媒体Pを積載状態で収容する給紙トレイ111と、給紙トレイ111に収容された複数の印刷媒体Pのうちの一番上の印刷媒体Pに当接するように配置されたピックアップローラ112と、ピックアップローラ112に隣接して配置されたフィードローラ113と、フィードローラ113に対向するように配置されたリタードローラ114とを有している。ピックアップローラ112は、印刷媒体Pに当接して回転し、給紙トレイ111から印刷媒体Pを引き出す。フィードローラ113は、ピックアップローラ112によって引き出された印刷媒体Pを給紙搬送路F1に送り出す。リタードローラ114は、印刷媒体Pの重送を防止するため、フィードローラ113による送り出し方向とは逆方向に回転し、印刷媒体Pに搬送抵抗を付与する。媒体搬送機構110は、また、印刷媒体Pの給紙搬送路F1に沿って配置された搬送ローラ対115及び搬送ローラ対118を有している。
【0015】
画像形成ユニット10K、10Y、10M、10Cは、印刷媒体Pの搬送方向に沿って(ここでは左から右に)配列されている。画像形成ユニット10K、10Y、10M、10Cは、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のトナー像を形成する。画像形成ユニット10K、10Y、10M、10Cの感光体ドラム11K、11Y、11M、11Cに対向するように、露光ユニット7K、7Y、7M、7Cが配置されている。露光ユニット7K、7Y、7M、7Cは、カバー部材3に回動自在に取り付けられている。
【0016】
画像形成ユニット10K、10Y、10M、10Cは、使用するトナーを除いて共通の構成を有する。画像形成ユニット10K、10Y、10M、10Cは、「画像形成ユニット10」として説明する。また、感光体ドラム11K、11Y、11M、11Cは、「感光体ドラム11」として説明する。また、露光ユニット7K、7Y、7M、7Cは、「露光ユニット7」として説明する。
【0017】
画像形成ユニット10は、公知技術である電子写真プロセスを用いて、像担持体である感光体ドラム11上にトナー像を形成する。例えば、画像形成ユニット10は、感光体ドラム11の表面を一様帯電させる帯電部材としての帯電ローラと、感光体ドラム11上に形成された静電潜像を現像する現像剤担持体としての現像ローラと、トナーカートリッジから補給されたトナーを現像ローラに供給する供給部材としての供給ローラと、現像ローラ上のトナー層の厚さを規制する層規制部材としての現像ブレードと、感光体ドラム11の表面の残トナーなどを除去するクリーニング部材とを有している。
【0018】
露光ユニット7は、露光ヘッド部72と、露光ヘッド部72を保持するホルダとしての保持部材71とを有している。保持部材71は、ヘッドホルダとも呼ばれる。
【0019】
露光ヘッド部72は、所定方向に配列された複数の発光素子を含む発光素子アレイと、所定方向に配列された複数のレンズ要素を含むレンズアレイと、これらを支持する部材とを有している。複数の発光素子の配列方向及び複数のレンズ要素の配列方向は、感光体ドラム11の軸方向と平行(すなわち、x方向)である。発光素子は、例えば、LED(発光ダイオード)である。レンズ要素は、ロッドレンズ又はマイクロレンズなどであり、発光素子の光を感光体ドラム11の表面に集光させる。
【0020】
保持部材71は、画像形成装置1のカバー部材3に懸架されて支持されており、カバー部材3が閉位置にあるときに、露光ヘッド部72を感光体ドラム11に対向するように保持している。
【0021】
転写ユニット120は、無端状の転写ベルト122と、転写ベルト122が張架されたドライブローラ123及びアイドルローラ124と、転写ベルト122を介して4つの画像形成ユニット10の感光体ドラム11に対向配置された4つの転写ローラ121とを有している。
【0022】
転写ベルト122は、その表面に印刷媒体Pを静電気力により吸着保持して走行する。ドライブローラ123は、図中時計回りに回転し、転写ベルト122を矢印F2方向に走行させる。アイドルローラ124は、転写ベルト122に張力を付与する。転写ローラ121は転写電圧を印加され、各感光体ドラム11上のトナー像を転写ベルト122上の印刷媒体Pに転写する。
【0023】
定着ユニット130は、印刷媒体Pの搬送方向において転写ユニット120の下流側に配置されている。定着ユニット130は、熱源を有する加熱ローラ131と、加熱ローラ131の表面に押圧される加圧ローラ132とを有している。加熱ローラ131及び加圧ローラ132は、印刷媒体P上のトナー像に熱と圧力を加えて、トナー像を印刷媒体Pに定着させる。
【0024】
媒体排出機構140は、印刷媒体Pの搬送方向において定着ユニット130の下流側に配置された排出ローラ対141、142を有している。排出ローラ対141、142は、排紙口に向かう排出搬送路F3に沿って印刷媒体Pを搬送し、画像形成装置1の外部に印刷媒体Pを排出する。画像形成装置1のカバー部材3上には、排出ローラ対141、142によって排出された印刷媒体Pを積載するスタッカ部143が形成されている。
【0025】
画像形成装置1は、両面印刷のため、トナー像が定着した印刷媒体Pを給紙搬送路F1まで再搬送する再搬送機構150を備えている。再搬送機構150は、印刷媒体Pの搬送路を切り替える切り替えガイド145と、搬送ローラ対151~155とを有している。再搬送機構150は、搬送ローラ対151、152を通して退避路P4に案内された印刷媒体Pを逆向きに送り出して、搬送ローラ対153、154、155によって戻り搬送路F5に沿って搬送する。戻り搬送路F5は、搬送ローラ対118の上流側で給紙搬送路F1に合流する。画像形成装置1が両面印刷機能を有さない場合は、再搬送機構150は備えられていない。
【0026】
なお、4つの画像形成ユニット10の配列方向は、
図1ではy方向に対して傾斜しているが、必ずしも傾斜している必要はない。画像形成ユニット10は、感光体ドラム11の軸方向、すなわちx方向に長い形状を有する。
【0027】
《カバー部材3、露光ユニット7、及びリンクユニット4の概要》
図2(A)から(C)は、画像形成装置1のカバー部材3の状態及び露光ユニット7の状態を示す図である。
図2(A)は、閉位置にあるカバー部材3及び露光位置(第1の位置)にある露光ユニット7を示す。
図2(B)は、開位置にあるカバー部材3及び退避位置(第2の位置)にある露光ユニット7を示す。
図2(C)は、開位置にあるカバー部材3及び非退避位置(第3の位置)にある露光ユニット7を示す。
図2(C)の非退避位置は、ユーザが筐体2の内部(例えば、露光ユニット7及びその周辺部)の保守・点検を行うために利用される保守・点検用の位置である。
【0028】
画像形成装置1は、カバー部材3と、露光ユニット7と、露光ユニット7を移動させるリンクユニット4とを有している。リンクユニット4は、カバー部材3に対して移動可能(例えば、スライド可能)に保持されたリンク部材5と、リンク部材5に対して移動可能(例えば、スライド可能)に保持されたスライド部材6とを有している。リンクユニット4は、露光ユニット7を
図2(C)の非退避位置にロックするためのロック機構8と、露光ユニット7の位置のロックを解除して
図2(B)の退避位置に戻すためのロック解除機構であるロック解除部32とを有している。
【0029】
リンクユニット4は、カバー部材3に対して、少なくとも第1の方向D1及び第1の方向D1の反対の第2の方向D2の位置を変更できるように移動自在に支持されている。カバー部材3は、筐体2に対して、支軸である第1の回動軸31を中心に回動自在に設けられている。第1の方向D1は、第1の回動軸31から遠ざかる方向であり、カバー部材3が延在する方向である。
【0030】
例えば、リンク部材5は、カバー部材3に設けられた第1の方向D1に延在するガイド部(例えば、ガイド溝)に係合しながら移動する。リンク部材5の移動方向は、少なくとも第1の方向D1の位置を変更できる方向であればよい。
【0031】
スライド部材6は、リンク部材5に対して少なくとも第1の方向D1及び第2の方向D2において移動自在に保持されている。スライド部材6は、第1の方向D1における移動に伴って露光ユニット7に作用し、露光ユニット7をカバー部材3に対する角度が異なる位置まで移動させる。例えば、スライド部材6は、リンク部材5に設けられた第1の方向D1に延在するガイド部(例えば、ガイド溝)に係合しながら移動する。スライド部材6の移動方向は、少なくとも第1の方向D1の位置を変更できる方向であればよい。
【0032】
カバー部材3は、筐体2に対して、
図2(A)に示される閉位置と
図2(B)及び
図2(C)に示される開位置との間で開閉自在に支持されている。閉位置のときのカバー部材3の開放角度を0度とすると、開位置のときのカバー部材3の開放角度は、例えば、47度である。カバー部材3の開放角度は、47度に限定されないが、開放角度が小さいほど、画像形成装置1の設置に必要なスペース(鉛直方向のスペース)を小さくすることができる。ただし、カバー部材3の開放角度が小さい場合には、筐体2内の保守・点検がしづらくなる傾向がある。
【0033】
本実施の形態に係る画像形成装置1では、ユーザがカバー部材3を開けたとき、露光ユニット7を退避位置(
図2(B))にし、退避位置にある露光ユニット7を
図2(B)における時計回りに回動させたときに、露光ユニット7を非退避位置(
図2(C))に移動してロックさせることができる。また、ユーザは、露光ユニット7が非退避位置(
図2(C))にあるカバー部材3を閉めることで、カバー部材3を
図2(A)の閉位置にすることができる。
【0034】
露光ユニット7は、カバー部材3が閉位置から開位置まで開放された場合に、露光位置(
図2(A))から退避位置(
図2(B))まで移動する。退避位置(
図2(B))は、露光位置にある状態(すなわち、カバー部材3の延伸方向に対する露光ユニット7の延伸方向の角度Q1)に対してカバー部材3に対する角度Q2が異なる位置である。
図2(A)からわかるように、露光ユニット7が露光位置にある場合、カバー部材3が延在する方向(第1の方向D1)に対する露光ユニット7の角度Q1は、約90度である。
図2(B)からわかるように、露光ユニット7が退避位置にある場合、カバー部材3が延在する方向(第1の方向D1)に対する露光ユニット7の角度Q2は、90度より小さい角度(例えば、45度以下)である。
図2(C)からわかるように、露光ユニット7が非退避位置にある場合、カバー部材3が延在する方向(第1の方向D1)に対する露光ユニット7の角度Q3は、約90度である。
【0035】
露光ユニット7は、カバー部材3が開位置にある場合において、退避位置と、退避位置にある状態に対してカバー部材3に対する角度が異なる非退避位置との間で移動自在(例えば、回動自在)である。
【0036】
露光ユニット7が非退避位置にある場合に、ロック機構8は、カバー部材3に対する露光ユニット7の位置をロックする。露光ユニット7が非退避位置にある状態で、カバー部材3が開位置(
図2(C))から閉位置(
図2(A))に向けて移動させられた場合、ロック機構8による露光ユニット7の位置のロックが解除される。露光ユニット7が非退避位置(
図2(C))にある場合、カバー部材3に対する露光ユニット7の角度Q3は、約90度であるが、角度Q3は90度に限定されない。露光ユニット7の角度Q3は、露光ユニット7が退避位置にある場合におけるカバー部材3に対する露光ユニット7の角度Q2より大きい角度であれば、露光ユニット7が露光位置にある場合の角度Q1と異なる角度であってもよい。
【0037】
このように、画像形成装置1では、カバー部材3が開位置にあるときにおける露光ユニット7の位置を、
図2(B)に示される退避位置と、
図2(C)に示される非退避位置とに切り替えることが可能である。
図2(B)に示される退避位置では、筐体2内の消耗品の交換時に、露光ユニット7が消耗品を覆う場合があったため、保守・点検作業がしづらかった。しかし、本実施の形態では、カバー部材3に対する露光ユニット7の角度をQ2(
図2(B))又はQ3(
図2(C))に変更可能であるため、保守・点検作業の内容に応じた露光ユニット7の角度を選択することができる。また、露光ユニット7を非退避位置に固定できるため、ユーザは、露光ユニット7の保守・点検作業を容易に行うことができる。
【0038】
《カバー部材3、露光ユニット7及びリンクユニット4の詳細》
図3から
図6は、カバー部材3が閉位置にあり、露光ユニット7が露光位置(
図2(A))にある場合を示す図である。
図3は、カバー部材3と露光ユニット7とリンクユニット4とを示す図である。
図4は、露光ユニット7とスライド部材6とを示す図である。
図5は、露光ユニット7とリンクユニット4とを示す図である。
図6は、カバー部材3と露光ユニット7とリンクユニット4との要部を示す斜視図である。
【0039】
カバー部材3は、ユーザがロックレバーなどの操作部(図示せず)を操作するにより、閉位置で筐体2に対してロックされる。また、カバー部材3は、ユーザが操作部(図示せず)を操作するにより、筐体2に対するロックを解除することができ、開放可能になる。4つの画像形成ユニット10に対応する4つの露光ユニット7の保持部材71の側面には、一対の支軸である回動軸(第2の回動軸)73が設けられており、カバー部材3の所定の位置に軸支されている。つまり、各露光ユニット7はカバー部材3に回動軸73を中心に回動可能に軸支されている。
【0040】
また、画像形成装置1は、バネなどの弾性部材からなる第1の付勢部材である付勢バネ63と、バネなどの弾性部材からなる第2の付勢部材である付勢バネ52とを備えている。付勢バネ63は、リンク部材5に備えられ、第1の方向D1に向かう第1の付勢力をスライド部材6に付与する。
図3の例では、付勢バネ63は、リンク部材5とスライド部材6の突起部との間に備えられ、第1の方向D1に向かう第1の付勢力をスライド部材6に付与する。付勢バネ52は、カバー部材3に備えられ、第2の方向D2に向かう第2の付勢力をリンクユニット4に付与する。
図3の例では、付勢バネ52は、カバー部材3とリンク部材5との間に備えられ、第2の方向D2に向かう第2の付勢力をリンク部材5に付与する。ここで、第1の付勢力は、第2の付勢力よりも大きい。
【0041】
スライド部材6は、カバー部材3に対する移動に伴って、露光ユニット7に設けられる被作用部74に作用し、露光ユニット7をカバー部材3に対して移動させる作用部64を有している。
図3から
図6の例では、被作用部74は、露光ユニット7に備えられたピン状の突起部であり、作用部64は、被作用部74に係合する溝部である。ただし、被作用部74及び作用部64の構造は、図示の例に限定されず、例えば、被作用部74が、露光ユニット7に備えられた溝部であり、作用部64が、被作用部74に係合する突起部であってもよい。
【0042】
図7から
図9は、カバー部材3が開位置にあり、露光ユニット7が退避位置(
図2(B))にある場合を示す図である。
図7は、カバー部材3と露光ユニット7とリンクユニット4とを示す図である。
図8は、カバー部材3と露光ユニット7とリンクユニット4との要部を示す斜視図である。
図9は、
図8に示される部分を矢印D8方向に見た状態を示す図である。
【0043】
図10から
図12は、カバー部材3が開位置にあり、露光ユニット7が非退避位置にある場合を示す図である。
図10は、カバー部材3と、露光ユニット7と、リンクユニット4とを示す図である。
図11は、カバー部材3と、露光ユニット7と、リンクユニット4との要部を示す斜視図である。
図12は、
図11に示される部分を矢印D11方向に見た状態を示す図である。
図13は、ロック機構8(第1の係合部としての突起部51、第2の係合部としての突起部62)の係合の解除動作を示す図である。
【0044】
図8に示されるように、ロック機構8は、リンク部材5に設けられた突起部(第1の係合部)51と、スライド部材6に設けられた突起部(第2の係合部)61とから構成される。突起部61は、x方向に突出する突起部であり、矢印D1方向を向く係合面61a(突起部の側面)と、矢印D2方向を向く傾斜面61bとを有している。スライド部材6が矢印D1方向に移動すると、突起部51は、傾斜面61bに当たり、傾斜面61bに沿って突起部61の上面に移動し、さらに矢印D1方向に進み、突起部61の係合面61aに当接する。突起部51と突起部61とが係合している状態は、
図11及び
図12に示される。
【0045】
露光ユニット7は、カバー部材3に支持され、カバー部材3に対して回動自在な回動軸73上に配設される保持部材71と、保持部材71に、回動軸73から離間して配設される露光ヘッド部72とを有している。露光ユニット7が非退避位置にある状態は、退避位置にある状態よりも、露光ヘッド部72がカバー部材3から離間した状態である。また、露光ユニット7が非退避位置にある状態は、退避位置にある状態よりも、露光ヘッド部72が第1の回動軸31から離間した状態である。
【0046】
リンク部材5に対して、第1の方向D1に向けて、スライド部材6を付勢する付勢バネ63と、カバー部材3に対して、第2の方向D2に向けて、リンクユニット4を付勢する付勢バネ52とを有し、付勢バネ63の付勢力は、付勢バネ52の付勢力よりも大きい。
【0047】
スライド部材6は、カバー部材3に対する移動に伴って、露光ユニット7に設けられる被作用部74に作用し、露光ユニット7を前記カバー部材3に対して移動させる作用部64を有している。
【0048】
リンク部材5に対して、第1の方向D1に向けて、スライド部材6を付勢する付勢バネ63をさらに有している。ロック機構8によるロックが解除された場合に、スライド部材6は、付勢バネ63の付勢力によって、リンク部材5に対して第1の方向D1に移動し、露光ユニット7は、非退避位置から退避位置に向けて移動する。
【0049】
カバー部材3に対して、第2の方向D2に向けて、リンク部材5を付勢する付勢バネ52と、カバー部材3が閉位置から開位置まで回動する際にリンクユニット4を押圧し、カバー部材3に対してリンクユニット4を第1の方向D1に移動させる押圧部材22とを有している。
【0050】
リンク部材5は、カバー部材3に対し移動可能に支持されており、スライド部材6は、リンク部材5に対して移動可能に支持されている。
図3、
図7及び
図10に示されるように、スライド部材6の溝部である作用部64と露光ユニット7の係合部(図ではピン状の突起部)である被作用部74とは係合しており、スライド部材6が移動することで、露光ユニット7には回動軸73を中心とする回転モーメントが働き、露光ユニット7は、回動軸73を中心にして回転する。作用部64と被作用部74とは、図示の例に限定されない。例えば、作用部64が突起部であり、被作用部74が溝部であってもよい。
【0051】
図7及び
図10に示されるように、筐体2には押圧部材22が設けられており、リンク部材5における押圧部材22に向き合う位置に当接部53が設けられている。カバー部材3が開放状態にあるときに、押圧部材22にリンク部材5の当接部53が当たり、リンク部材5は押圧部材22から矢印D1方向の押し込む力を受ける。このとき、カバー部材3に対してリンク部材5が矢印D1方向に移動する。リンク部材5には突起部51(第1の係合部)が設けられており、スライド部材6には突起部61(第2の係合部)が設けられている。
図8に示されるように、突起部61は、係合面61aと傾斜面61bを有している。カバー部材3には突起部61の相対する位置にロック解除部32が設けられている。
【0052】
カバー部材3とリンク部材5との間には、カバー部材3に対してリンク部材5を装置後側に付勢するように、付勢バネ52が備えられている。リンク部材5とスライド部材6の間には、リンク部材5に対してスライド部材6を装置前側に付勢するように、付勢バネ63が備えられている。
【0053】
カバー部材3を開放し始めると、リンク部材5の当接部53が押圧部材22に当たる。当接部53が押圧部材22に当たるまでは、リンク部材5は、付勢バネ52の付勢力により矢印D2方向に押し付けられているので、図示しないリミッタが規定する位置で、カバー部材3と共に回動する。
【0054】
それから、カバー部材3の開放が進むと、カバー部材3に対してリンク部材5は押圧部材22との当接によって付勢バネ52が縮んで、装置前側に移動し、リンク部材5の移動に伴い、スライド部材6も付勢バネ63を介して装置前側に移動する。
【0055】
このとき、カバー部材3に回動軸73によって軸支され、スライド部材6の作用部(溝部)64に係合された露光ユニット7が、回動軸73を中心に回動する。カバー部材3が開放状態にあるとき、定着ユニット130及び画像形成ユニット10の上方に空間が得られ、定着ユニット130及び画像形成ユニット10の着脱が容易になる。
【0056】
カバー部材3が開放状態にあり、露光ユニット7が退避位置にあるときに、露光ユニット7のいずれかを手動で回動させると、付勢バネ63が縮んでリンク部材5が動かない状態でスライド部材6のみが装置後側に移動し、スライド部材6とリンク部材5が突起部61と突起部51により係合し、ヘッド退避が解除した状態で維持される。
【0057】
ヘッド退避が解除した状態からカバー部材3を閉じると、押圧部材22と当接部53が離間し、リンク部材5は付勢バネ52の付勢力によりカバー部材3に対して矢印D2方向に移動する。その際、
図13に示されるように、カバー部材3に設けられたロック解除部32(図では、ロック解除部32の先端)が突起部61の傾斜面61bに当接することでスライド部材6自体が移動、もしくはスライド部材6の一部が撓む(例えば、画像形成装置1の幅方向内向きであって、
図13における下向きに撓む)ことにより、突起部61の係合面61aと突起部51との係合が解除される。突起部51との係合が解除されると、スライド部材6は付勢バネ63の付勢力によりリンク部材5に対して装置前側に移動する。その後、カバー部材3を閉じたときには露光ユニット7は露光位置に戻っている状態となる。
【0058】
《実施の形態の効果》
以上のように、本実施の形態に係る画像形成装置1は、ユーザがカバー部材3を開けたときに露光ユニット7を退避位置(
図2(B))に移動させる退避機構を備えているので、筐体2内の清掃又は保守・点検作業がしやすい。
【0059】
また、カバー部材3が開位置にあるときに、露光ユニット7を退避位置(
図2(B))から非退避位置(
図2(C))に切り替えること、又は、露光ユニット7を非退避位置(
図2(C))から退避位置(
図2(B))に切り替えることができる。
【0060】
また、ロック機構8によって、露光ユニット7の非退避位置(
図2(C))をロックすることができるので、退避位置にある露光ユニット7によって隠れていた部分の保守・点検作業を容易に実行可能になる。
【0061】
このような構造によって、ユーザは、筐体2内の露光ユニット7及びその周辺部の保守・点検作業を容易に行うことができ、その結果、保守・点検作業の作業性を向上させることができる。
【0062】
また、露光ユニット7が非退避位置(
図2(C))にあるときに、カバー部材3を閉じることでデフォルトの状態、すなわち、
図2(A)に示される露光位置に戻すことができる。つまり、
図2(B)の退避位置を経由してカバー部材3を閉じること、
図2(B)の退避位置を経由せずにして非退避位置(
図2(C))から直接にカバー部材3を閉じることが可能であるため、保守・点検作業においてロックを解除するための動作を省略することができ、作業性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0063】
1 画像形成装置、 2 筐体(装置本体)、 3 カバー部材、 4 リンクユニット、 5 リンク部材、 6 スライド部材、 7(7K、7Y、7M、7C) 露光ユニット、 8 ロック機構、 10(10K、10Y、10M、10C) 画像形成ユニット、 11(11K、11Y、11M、11C) 感光体ドラム(像担持体)、 21 前面カバー、 22 押圧部材、 31 第1の回動軸、 32 ロック解除部、 51 突起部(第1の係合部)、 52 付勢バネ(第2の付勢部材)、 53 当接部、 61 突起部(第2の係合部)、 61a 係合面、 61b 傾斜面、 63 付勢バネ(第1の付勢部材)、 64 溝部(作用部)、 71 保持部材、 72 露光ヘッド部、 73 第2の回動軸、 74 突起部(被作用部)、 110 媒体搬送機構、 120 転写ユニット、 130 定着ユニット、 140 媒体排出機構、 150 再搬送機構、 D1 第1の方向、 D2 第2の方向、 P 印刷媒体。