(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167592
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】電子機器装置、及び、電子素子の冷却方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/44 20060101AFI20241127BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
H01L23/44
H05K7/20 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083777
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】507001117
【氏名又は名称】株式会社ビジサー
(74)【代理人】
【識別番号】100126413
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 太亮
(72)【発明者】
【氏名】楡井 敦
(72)【発明者】
【氏名】菊地 真一
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA09
5E322BB03
5E322DA01
5E322DA03
5E322DA04
5E322FA01
5F136CB01
(57)【要約】
【課題】 環境負荷の削減を実現することの可能な電子機器装置及び電子素子の冷却方法を提供する。
【解決手段】 電子機器装置が、電子的処理を行う電子素子と、前記電子素子を浸漬させて冷却するための冷却液であって、臨界温度を超える温度及び臨界圧力を超える圧力下の状態から常温常圧下の状態へ移行された水である前記冷却液と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子的処理を行う電子素子と、
前記電子素子を浸漬させて冷却するための冷却液であって、臨界温度を超える温度及び臨界圧力を超える圧力下の状態から常温常圧下の状態へ移行された水である前記冷却液と、
を備えたことを特徴とする電子機器装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器装置において、
前記電子素子の端子と金属を用いて電気的に接合される回路配線を有する回路基板を更に備えていることを特徴とする、
電子機器装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器装置において、
前記回路基板が、前記冷却液に浸漬させる浸漬領域と、浸漬させない非浸漬領域とを有し、
前記電子素子が、前記浸漬領域に配置されることを特徴とする、
電子機器装置。
【請求項4】
請求項2に記載の電子機器装置において、
前記回路基板が、防水コーティングされていることを特徴とする、
電子機器装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の電子機器装置において、
前冷却液を貯留する冷却槽を更に備え、
前記冷却槽に、前記冷却液を循環させる循環器が設けられ、
前記循環器は、前記冷却液を放熱可能に構成されていることを特徴とする、
電子機器装置。
【請求項6】
電子的処理を行う電子素子を有する情報処理装置の前記電子素子を冷却する方法において、
前記電子素子が冷却液に浸漬されることにより前記電子素子が冷却されることを含み、
前記冷却液が、臨界温度を超える温度及び臨界圧力を超える圧力下の状態から常温常圧下の状態へ移行された水である、
電子素子の冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器装置、及び、電子素子の冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器装置に設けられた電子素子を効果的に冷却するために電子素子を冷却液に浸漬することで電子素子を冷却する技術が提案されている。特許文献1には、電子素子を冷却するための冷却液として特定のフッ素化合物を使用することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に提案された技術では、冷却液の廃液を処理することに関する課題があり、環境負荷の削減の観点から改善が望まれていた。
【0005】
本発明の一つの目的は、環境負荷の削減を実現することの可能な電子機器装置及び電子素子の冷却方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(1)電子的処理を行う電子素子と、
前記電子素子を浸漬させて冷却するための冷却液であって、臨界温度を超える温度及び臨界圧力を超える圧力下の状態から常温常圧下の状態へ移行された水である前記冷却液と、
を備えたことを特徴とする電子機器装置、
(2)上記(1)に記載の電子機器装置において、
前記電子素子の端子と金属を用いて電気的に接合される回路配線を有する回路基板を更に備えていることを特徴とする、
電子機器装置、
(3)上記(2)に記載の電子機器装置において、
前記回路基板が、前記冷却液に浸漬させる浸漬領域と、浸漬させない非浸漬領域とを有し、
前記電子素子が、前記浸漬領域に配置されることを特徴とする、
電子機器装置、
(4)上記(2)に記載の電子機器装置において、
前記回路基板が、防水コーティングされていることを特徴とする、
電子機器装置、
(5)上記(1)または上記(2)に記載の電子機器装置において、
前冷却液を貯留する冷却槽を更に備え、
前記冷却槽に、前記冷却液を循環させる循環器が設けられ、
前記循環器は、前記冷却液を放熱可能に構成されていることを特徴とする、
電子機器装置、
(6)電子的処理を行う電子素子を有する情報処理装置の前記電子素子を冷却する方法において、
前記電子素子が冷却液に浸漬されることにより前記電子素子が冷却されることを含み、
前記冷却液が、臨界温度を超える温度及び臨界圧力を超える圧力下の状態から常温常圧下の状態へ移行された水である、
電子素子の冷却方法、を要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、環境負荷の削減を実現することの可能な電子機器装置及び電子素子の冷却方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態にかかる電子機器装置の一実施例を説明するための図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態にかかる電子機器装置の構成の一実施例を説明するための構成図である。
【
図3】
図3は、超臨界経由水の製造方法を示す図である。
【
図4】
図4Aは、第1の実施形態の変形例1にかかる電子機器装置の一実施例を説明するための図である。
図4Bは、
図4AのF-F線縦断面の状態の一例を模式的に示すための断面図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態の変形例3にかかる電子機器装置の一実施例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態にかかる電子機器装置の一実施例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、電子素子の冷却方法の一実施例を説明するためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、順に、「電子装置機器」、「電子素子の冷却方法」を説明する。「電子装置機器」については、「1.第1の実施形態」、「2.第2の実施形態」の順に説明する。
【0010】
なお、本発明は、以下に説明する実施の形態等に限定されない。
【0011】
[電子機器装置]
本発明にかかる電子機器装置としては、その作動に伴って発熱する可能性を有する装置類等を例示することができる。例えば、電子機器装置としては、コンピュータ、スーパーコンピュータ、量子コンピュータ、インバータ、コンバータ、モータ駆動装置、通信装置(例えば5G(5th Generation Mobile Communication System)や、6G(6th Generation Mobile Communication System)等)、ロボット等の制御装置(パワー系装置類)等を例示することができる。
【0012】
[1.第1の実施形態]
[1-1.構成]
図1等を参照しつつ第1の実施形態にかかる電子機器装置について説明する。
図1は、第1の実施形態にかかる電子機器装置の一実施例を説明するための断面図である。
図1には、電子機器装置がコンピュータ等の情報処理装置である場合の一実施例が示されている。「1 電子装置機器」の第1の実施形態においては、電子機器装置が情報処理装置である場合を一例として説明を続ける。なお、
図1では、Z軸方向を上下方向とし、矢印+Z方向側を上側、矢印-Z方向側を下側としている。これは、
図4A、
図4B及び
図5についても同様であり、後述する第2の実施形態を示す
図6についても同様である。
【0013】
第1の実施形態にかかる電子機器装置10は、電子素子11を含み、さらに、
図1の例に示すように、電子素子11を浸漬させて冷却するための冷却液12を含む。
【0014】
(電子素子)
電子素子11は、電子的処理を行う素子である。電子素子11としては、例えば半導体素子によるチップセット等を例示することができる。電子素子11の種類は、特に限定されないが、例えば、電気信号のやり取り等の諸条件に伴い熱を生じる可能性を有するものや、熱によって機能が損なわれる可能性を有するもの(後述する「他の素子」に比べて耐熱性の脆弱な素子)等を例示することができる。具体的に、電子素子11としては、情報処理素子、メモリ素子、パワー素子を例示することができる。情報処理素子としては、演算素子、制御素子、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)等を例示することができる。メモリ素子としては、フラッシュメモリ等の不揮発メモリ、RAM等の揮発メモリ等を例示することができる。パワー素子は、パワー半導体、又はパワー半導体を含む素子である。パワー半導体は、高い電圧、大きな電流を扱うことができる半導体である。一般に、パワー半導体は、高い電圧及び/又は大きな電流に対しても壊れないよう通常の半導体とは違った構造を有する。このようなパワー半導体は、大きな電力を扱うことから熱を発して高温となりやすいとされている。
【0015】
上述したような各種の電子素子11は、電子機器装置10の機能等の諸条件に応じて選択されてよい。例えば、
図2の例では、電子機器装置10は、電子素子11として、CPU11A、GPU11B、メモリ11C等を有しており、CPU11A、GPU11B及びメモリ11Cとが電気的に接続されている。
図2は、
図1に示す電子機器装置10の例における主な電子素子11の構成の一例を説明するための構成図である。なお、
図2に示す電子機器装置10の例では、GPU11B及びメモリ11Cは、CPU11Aに電気的信号伝達可能となるように接続され、CPU11AはI/Oポート40に電気的信号伝達可能となるように接続されている。また、
図2の例では、I/Oポート40は、他の装置類に対して信号伝達可能となるように構成されており、例えば
図1の外部接続端子13を備える。
図2においては、外部接続端子13が外部装置14に接続されている場合について図示されている。また、
図2においては、説明の便宜上、配線は信号線のみを示し、電子素子11に信号線を介して電気的に接続する他の構造や装置(外部装置14等)、電源および電源線の記載を省略している。なお、
図2の例は、電子素子11の構成の一例であり、電子素子11の種類、レイアウト及び電子素子11の相互の接続状態のいずれについても限定するものではない。また、I/Oポート40で接続される装置(外部装置14等)は、電子機器装置10に含まれてもよいし、電子機器装置10に含まれていなくてもよい。
【0016】
電子機器装置10は、回路基板15を有しており、
図1に示すように、電子素子11が、回路基板15に取り付けられる。電子素子11は、回路基板15に形成された配線16に電気的に接続されている。
図1の例では、電子素子11の例としてのCPU11A、GPU11B及びメモリ11Cが、回路基板15の所定位置に取り付けられている。なお、
図1では、説明の便宜上、配線16の一部について図示し、他の配線についての記載を省略する。これは、
図4A及び
図5についても同様である。
【0017】
(回路基板)
回路基板15は、基板本体17と、配線16とを有する。配線16は、電子素子11の端子18に対して電気的に接合されており、配線16と電子素子11の端子18との接合部分としての素子接合部19を有する。
【0018】
素子接合部19は、配線16と電子素子11との間に冷却液12が介在する状態の形成を規制するための構造(望ましくは、配線16と電子素子11との間に冷却液12が侵入することを遮断するための構造)を有していることが好適である。このような観点からは、素子接合部19は、金属を用いて配線16と電子素子11の端子18とを接合することで形成されていることが好ましい。したがって、素子接合部19の形成方法は、特に限定されないが、金属を用いた接合方法を採用されることが好ましい。
【0019】
素子接合部19の形成方法として採用可能な「金属を用いた接合方法」としては、金属の融着による接合、圧着接合等を例示することができる。金属の融着による接合は、配線16と電子素子11の端子18を半田で接合する半田付け法や、ワイヤーボンディング法等を例示することができる。圧着接合は、配線16と電子素子11の端子18とを直接接合(金属接合)する方法を例示することができる。
【0020】
基板本体17の材質は、特に限定されず、例えば、ガラスエポキシ基板、ベークライト基板、フッ素樹脂基板、PETフィルム等を用いたフレキシブル基板等を例示することができる。また、配線16の材質は、基板本体17に回路を形成することが可能な金属であれば特に限定されず、銅、銀、金及びアルミニウムからなる群から選ばれた少なくとも一種類であってもよい。配線16と電子素子11の端子18とをワイヤーボンディング法で接続する場合においては、ワイヤの材質は特に限定されず、上述した配線16の材質として使用可能な金属等(例えば、金等)を例示することができる。
【0021】
なお、
図1の例では、一つの回路基板15に、半導体素子によるチップセット(例えばCPU11A、GPU11B)及びメモリ11C等の各種の電子素子11を取り付けられており、さらに外部接続端子13が取り付けられている。電子機器装置10は、CPU11A及びGPU11Bの他の電子素子11として、半導体素子によるチップセットを更に配置していてもよい。更に配置されるチップセットの機能は、電子機器装置10の機能等の諸条件に応じて定められてよい。
【0022】
(電子素子の冷却)
電子機器装置10は、上述したように冷却液12を含む。電子機器装置10は、電子素子11を冷却液12に浸漬させた構造を有する。電子機器装置10においては、一部の電子素子11が冷却液12に浸漬されてもよく、全ての電子素子11が冷却液12に浸漬されてもよい。
【0023】
(浸漬領域と非浸漬領域)
第1の実施形態にかかる電子機器装置10において、回路基板15が、全体的に冷却液12に浸漬されてもよいが、
図1に示す電子機器装置10の例のように、回路基板15は、冷却液12に浸漬させる浸漬領域R1と、冷却液12に浸漬させない非浸漬領域R2とを有してもよい。すなわち、回路基板15の一部が冷却液12に浸漬されてもよい。浸漬領域R1とは、回路基板15の表面のうち、冷却液12に浸漬させる領域を示す。非浸漬領域R2とは、回路基板15の表面のうち、冷却液12に浸漬させない領域を示す。非浸漬領域R2は、回路基板15の表面のうち浸漬領域R1を除いた領域となっている。
【0024】
電子機器装置10では、回路基板15における電子素子11のレイアウトは、電子素子11が浸漬領域R1に配置されるようなレイアウトであることが好適である。この場合、電子素子11を確実に冷却液12に浸漬することができる。なお、電子機器装置10では、冷却液12に浸漬させる必要性の乏しいような素子又は部品(例えば、熱を発生しにくい素子又は部品、及び熱に強い素子又は部品)、及び冷却液12に接触させないほうが好ましいような素子又は部品(例えば、外部接続端子13等)については、非浸漬領域R2に配置されることが好ましい。
【0025】
図1に示す電子機器装置10の例では、冷却液12は、冷却槽20に収容されており、冷却槽20の内部空間SPに回路基板15の少なくとも一部が配置されており、回路基板15の浸漬領域R1が冷却液12に浸漬されている。また、
図1の例では、回路基板15の上側端部近傍の領域が非浸漬領域R2となっており、非浸漬領域R2よりも下側の領域が浸漬領域R1となっている。そして、回路基板15の上端部近傍の非浸漬領域R2に外部接続端子13が設けられており、外部接続端子13が冷却槽20の外側に配置されている。浸漬領域R1には、CPU11A、GPU11Bやメモリ11C等の電子素子11が設けられており、いずれもが冷却液12に浸漬されている。
【0026】
(冷却槽)
冷却槽20は、冷却液12を収容でき、且つ、冷却液12に電子素子11を浸漬した状態を形成することができるように構成されていれば、特に限定されない。
図1の例では、冷却槽20は、上面側(
図1において+Z方向側)を開口させた筐体となっている。なお、
図1に示す冷却槽20は、一例であり、冷却槽20の形状や構造を限定するものではない。冷却槽20の材質は、冷却液12を貯留可能なものであり、電子素子11の駆動や回路基板15に配置された配線16の通電を妨害するものでなければ特に限定されず、例えばアクリル樹脂等のプラスチック類やガラス類等を例示することができる。
【0027】
(冷却液)
冷却液12は、電子素子11を浸漬させて冷却するための液体である。具体的には、冷却液12は、超臨界経由水21である。冷却液12は、それに浸漬される電子素子11や回路基板15の駆動に影響を与えない限度で超臨界経由水21にその他の成分を含む液体であることを禁止されないが、冷却の安定性の観点からは、超臨界経由水21に対してその他の成分を添加することを避けられているものであることがより好ましい。
【0028】
(超臨界経由水)
本明細書において、超臨界経由水21とは、超臨界状態から常温常圧下の状態への移行を施された水を示す。超臨界状態とは、臨界温度を超える温度及び臨界圧力を超える圧力下の状態を示す。なお、臨界温度及び臨界圧力の組み合わせを臨界条件と呼ぶことがある。本明細書においては、常温とは、例えば、温度が1℃から35℃程度であることを示す。常圧とは、例えば、圧力が1atm(約0.1013MPa)程度であることを示す。なお、常温は、人間の生活圏の室温でもよい。常圧は、人間の生活圏の大気圧でもよい。
【0029】
(超臨界経由水の製造装置及び製造方法)
超臨界経由水21は、例えば、
図3に示すような装置を用いて製造することができる。
図3は、超臨界経由水21の製造装置の一例を示す図である。
図3を用いた下記の説明は一例であり、超臨界経由水21の製造装置及び製造方法は、ここに述べる例に限定されるものではない。
【0030】
図3に例示された超臨界経由水21の製造装置は、昇圧部100と昇温部110とを備えており、昇圧部100と昇温部110とを繋げる配管120を設けられている。昇圧部100は、例えば高圧ポンプ等による加圧装置を挙げることができる。昇温部110は、例えば公知の加熱ヒーター等を挙げることができる。
【0031】
図3の製造装置では、原料となる水(原水と呼ぶ。)(
図3において、符号W(in)で示す)が、昇圧部100に注入され、昇圧部100内で水の臨界圧力(約22MPa)を超える圧力まで上昇される。昇圧部100内の温度は、昇圧部100内で原水の固化が規制される温度とされている。次に昇圧部100で昇圧された流体が配管120から昇温部110に送られる。昇温部110では、水の臨界温度(約374℃)を超える温度まで流体が加熱される。このとき、昇温部110内の流体は、水の臨界条件(圧力:約22MPa、温度:約374℃)を超える温度及び圧力の状態となっており、すなわち超臨界状態となっている。昇温部110で加熱された後、昇温部110内の流体は、温度と圧力を常温常圧まで下げられる。これにより、流体が常温常圧下の状態に移行し、すなわち水の状態に移行する。その後、昇温部110内から外部に流出された流体が、超臨界経由水21(
図3において、符号W(out)にて示す。)をなす。なお、昇温部110の温度と圧力を常温常圧まで下げる工程は、例えば、昇温部110に冷却装置と減圧装置を設けることで実現できる。
【0032】
超臨界経由水21を製造する際に用いられる原水は、特に限定されるものではなく、水道水、ミネラルウォーター、純水等を例示することができるが、不純物をできるだけ除かれている点で純水であることが好ましい。
【0033】
昇圧部100の昇圧機構は、水を臨界圧力以上に昇圧することができれば、その昇圧機構を特に限定されるものでなく、高圧ポンプによる加圧の他、高所から低所まで連続する管内を原水で満たすことで原水の水面を高所に位置させて低所の静水圧を高めた状態を形成して低所に位置する原水を加圧する機構等でもよい。水の臨界圧力を実現する高所は、低所を基準におおむね2200m以上となる高さの位置とされればよい。
【0034】
昇温部110の昇温機構は、水の臨界温度を超える温度まで昇温することができれば、その昇温機構を特に限定されるものではなく、有機物等の燃焼熱の利用、太陽光などの光エネルギーの利用、電熱線等の通電による発熱の利用などを例示することができる。
【0035】
上記の製造装置では、昇圧部100と昇温部110とが配管120で繋がっており昇圧と昇温が個別に実施されていたが、昇温部110が昇圧部100内に設けられる等により昇圧と昇温とが同時に実施されてもよい。
【0036】
(他の素子及び他の基板)
電子機器装置10は、上述したような電子素子とは別に「他の素子」を有してよい。他の素子としては、冷却の必要性の乏しい素子等を例示することができる。他の素子としては、コンデンサ、抵抗、及びコイル(インダクタンス)等を例示することができる。
図2に示すように、冷却の必要性の乏しい素子22は、非浸漬領域R2に配置されていることが好ましい。水に強いコンデンサや抵抗等は浸漬領域R1に配置され、水に弱いコンデンサや抵抗等は非浸漬領域R2に配置されるようにしてもよい。なお、
図2は一例であり、電子機器装置10における素子22のレイアウトは、
図2に示すレイアウトに限定されない。
【0037】
また、電子機器装置10は、後述する超臨界経由水21に浸漬された場合に電子機器装置10の機能低下又は機能異常を生じる可能性を有する素子及び/又は部品が含まれていることを禁止されない。このような素子及び/又は部品は、冷却液に接触させないほうが好ましいような素子又は部品である。このような素子及び/又は部品としては、外部装置14及び/又は電源に対して電気的に接続するための端子(例えば上述したような外部接続端子13等)を例示することができる。
【0038】
電子機器装置10では、回路基板15とは異なる基板として、冷却液12に浸漬されていない他の基板を更に有してもよい(図示しない)。
【0039】
冷却液12に浸漬されていない「他の基板」としては、上述した「他の素子」を取付けられた回路基板等を例示することができる。例えば、電子機器装置10は、CPU、GPU及びメモリを取り付けられた回路基板15(第1の回路基板)を有し、さらに第1の回路基板とは異なる回路基板として「他の基板」(第2の回路基板)を有してもよい(図示しない)。この場合、電子機器装置10では、外部接続端子13等の「他の素子」が第2の回路基板に取り付けられてよい。また、第1の回路基板の少なくとも一部が冷却液12に浸漬され、第2の回路基板が冷却液12に浸漬されていない状態となっている。なお、第1の回路基板と第2の回路基板とは電気的に接続されてよい。
【0040】
[1-2.作用及び効果]
電子機器装置の作動に伴う電子素子の発熱による電子機器装置の機能の低下や破壊を避けるため、電子素子を冷却するための技術が提案されている。電子素子を冷却する技術としては、冷却液として特定のフッ素化合物を使用し、冷却液に電子素子を浸漬する技術が提案されている。しかしながら、フッ素化合物を使用するため冷却液の廃液を処理することに関する問題があり、環境負荷の削減の観点から改善が望まれていた。
【0041】
第1の実施形態にかかる電子機器装置10によれば、冷却液12は、超臨界経由水21であるため、廃液処理の問題を解消することができる。一般的に、電子素子を取付けた回路基板を純水に浸漬した場合には、電子素子や配線を構成する金属が純水に溶け出し、短期間のうちにショートや電子素子の破壊を生じることで回路基板の作動が損なわれることが指摘されている。この点に関して、本発明にかかる電子機器装置10によれば、冷却液12として超臨界経由水21が用いられることで短期間のうち回路基板15の作動が損なわれる虞を低減することができる。
【0042】
第1の実施形態にかかる電子機器装置10によれば、電子素子11を冷却液12に浸漬するため、電子素子11と冷却媒(冷却液)との接触面積の大きさの観点からも効果的に電子素子11を冷却することができる。
【0043】
[1-3.変形例]
(変形例1)
第1の実施形態にかかる電子機器装置10において、
図4A、
図4Bに示すように、冷却液12に浸漬される回路基板は複数個であってもよい。
図4Aは、第1の実施形態にかかる変形例1(電子機器装置10A)の一実施例を説明するための側面図である。
図4Bは、
図4Aの電子機器装置10Aについて、F-F線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。なお、
図4A、
図4Bでは、複数の回路基板15が冷却槽20における共通の内部空間SPに配置されているがこれは一例である。冷却槽20内の内部空間SPを複数に区切り、区切られた個々の空間に回路基板15を配置してもよい。この場合、それぞれの回路基板15の少なくとも一部を、個々の空間に収容された冷却液12に対して浸漬させることができる。なお、
図4Bでは、説明の便宜上、配線16、電子素子11及び素子22の記載を省略している。
【0044】
(変形例2)
第1の実施形態にかかる電子機器装置10において、回路基板15が、防水コーティング、または、防湿コーティングされていること好ましい。防水コーティングすることを防水処理と称呼する。防水処理は、回路基板15の所定の部分に対して防水層を形成することで具体的に実現することができる。防水層としては、有機樹脂層や無機絶縁層等を例示することができる。防水層としては、具体的には、シリコン系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂等といった封止材として使用可能な各種の樹脂を例示することができる。防水処理の実施方法としては、スプレーコーティング等を例示することができる。
【0045】
防水処理は、回路基板15の全体に防水層を形成することで実現されてもよい。防水処理は、回路基板15の一部に防水層を形成することで実現されてもよい。具体的に、防水処理は、回路基板15が浸漬領域R1と非浸漬領域R2を有する場合に、少なくとも浸漬領域R1に対して適用されていることが好ましい。このような電子機器装置10では、回路基板15のうち冷却液12となる超臨界経由水21に接する部分が防水コーティングされる。したがって、電子機器装置10では、回路基板15そのものが水分を含みやすい場合や、水を含むことで回路に異常を生じやすい場合等でも、回路基板15の水分浸透による膨張、変形及び回路の異常を抑制することができる。
【0046】
防水処理は、回路基板15のうち、少なくとも、冷却液12に接触させないほうが好ましいような素子又は部品(例えば、外部接続端子13等)を配置した部分や異なる素子又は部品を接合する接合部(例えば、外部装置14の接続用端子41との接続部23及び素子接合部19)に対して、防水処理が適用されることが好ましい。なお、接続部23及び素子接合部19は、接続部分と総称されることがある。このような電子機器装置10では、接続部分に上述した超臨界経由水が入り込むことで、外部装置14の接続用端子41と回路基板15の外部接続端子13とが絶縁される虞や異なる素子又は部品が絶縁されてしまう虞を抑制することができる。
【0047】
なお、接続部分に対しては一般的な水(水道水等)が接することも抑制されたほうが好ましいが、これは接続部分に水道水が入り込む場合に、接続部分やその周囲で回路基板にショートを生じるためである。したがって、防水処理を適用する場合の効果は、接続部分への超臨界経由水の侵入を防ぐ効果と、接続部分への水道水の侵入を防ぐ効果との間で異なっているものと考えられる。
【0048】
(変形例3)
第1の実施形態にかかる電子機器装置10において、冷却液12を貯留する冷却槽20を備えている場合に、冷却槽20に、
図5に示すように、冷却液12を循環させる循環器24が設けられていてもよい。
図5は、電子機器装置10の変形例3(電子機器装置10B)の一実施例を説明するための図である。
【0049】
(循環器)
循環器24は、冷却槽20に収容された冷却液12を流出させ及び冷却槽20内に再び冷却液12を流入させることが可能となるように構成されていれば特に限定されるものではない。循環器24は、
図5の例では、液体流路PWを形成する流路形成体25と、流路形成体25に冷却液12を流す機能を有する送液部26と、を有する。流路形成体25は、プラスチック等で形成された配管等で構成されてよい。流路形成体25は、液体流路PWの端口(流入口27と流出口28)を冷却槽20に接続させている。冷却槽20に収容された冷却液12は、流入口27から矢印LF1方向に流路形成体25へと流れ、さらに流路形成体25を通って、流出口28から矢印LF2方向に再び冷却槽20内へと戻される。送液部26は、ポンプ等を具体的に例示することができる。
【0050】
電子機器装置10Bが、循環器24を有することで、冷却槽20内の冷却液12に流れを形成することができ、電子素子11の周囲の冷却液12にも流れを形成することができるようになる。このため、電子素子11等で生じた熱で電子素子11の周囲の冷却液12の温度が上昇することに伴う冷却効果の低下の虞が低減される。
【0051】
電子機器装置10Bにおいては、
図5に示すように、循環器24は、さらに冷却液12を放熱可能に構成されていることが好ましい。
【0052】
図5に示す電子機器装置10Bの例では、循環器24は、冷却液12を放熱する放熱部30を有する。
【0053】
(放熱部)
放熱部30は、流入口27から液体流路PWに流れ込んだ冷却液12の温度を低下させることができるように構成されていれば特に限定されるものではない。放熱部30は、放熱槽31とファン32を有する。
図5の例では、放熱槽31は、流路形成体25を構成する第1の管33と第2の管34を接続されている。第1の管33の一方端は、冷却槽20に繋がっており、流入口27を形成する。流入口27から第1の管33に流入した冷却液12は、第1の管33から放熱槽31に送られる。冷却液12の熱は放熱槽31に伝達され放熱槽31の周囲の空気等の気体に伝達される。放熱槽31の外側にはファン32が設けられており、ファン32により放熱槽31の周囲の気体に流れが生じ、放熱槽31の熱が放散する。これにともない、冷却液12の熱が放散され、冷却液12の温度が低下する。そして、放熱された冷却液12は、第2の管34、第3の管35(第3の管35も、第1の管33と第2の管34と同じく、流路形成体25を構成する。)を通り、流出口28(
図5の例では第3の管35の一方端)から冷却槽20に戻される。
【0054】
電子機器装置10Bが、循環器24に放熱部30を有することで、冷却槽20内の冷却液12の温度を下げることができ、冷却槽20の冷却液12の温度を低く保つことが容易となる。また、冷却液12により、効率的に電子素子11から熱を奪い、効率的に熱を冷却槽20から運び出すことができるので、ファン32を高速で運転する必要が無いため、電子機器装置10Bは、比較的静音になる。
【0055】
[2.第2の実施形態]
[2-1.構成]
第2の実施形態にかかる電子機器装置について説明する。
図6に示すように、第2の実施形態にかかる電子機器装置10Cは、直流または交流の入力(
図6において矢印INにて示す)を、電子機器装置の機能に応じた直流または交流の出力(
図6において矢印OUTにて示す)に変換する回路(機能回路43Aと称呼する)を有する。
図6は、第2の実施形態にかかる電子機器装置の一実施例を説明するための構成図である。
【0056】
(機能回路)
機能回路43Aは、特に限定されるものではないが、例えば、モータ等を駆動する大きな電流や通信の基地局の送信用の電波等といった大きな出力を生じるための回路を例示することができる。このような回路としては、インバータ回路、コンバータ回路、周波数変換回路、レギュレータ回路等を例示することができる。
【0057】
(機能回路基板)
第2の実施形態にかかる電子機器装置10Cにおいては、電子素子を基板本体に設けた回路基板(機能回路基板43と称呼する)が機能回路43Aを有している。機能回路43Aを形成するための電子素子は、第1の実施形態で説明した電子素子11として使用可能な各種の電子素子を用いることが可能である。大きな出力を生じる観点からは、機能回路基板43に設けられる電子素子としては、パワー半導体等を例示することができる。電子素子を基板本体に取り付ける構造は、第1の実施形態で説明した素子接合部19と同様でよい。なお、基板本体の材質は、第1の実施形態で説明した基板本体17と同様の材質を用いられてよい。
【0058】
(入力と出力)
図6に示す第2の実施形態にかかる電子機器装置10Cの例では、入力側に電源等入力部44を有し、出力側にモータ、アンテナ等の出力部45を有し、入力部は機能回路基板43の入力端子に接続され、出力部は機能回路基板43の出力端子に接続されている。ただし、これは一例であり、第2の実施形態にかかる電子機器装置10Cは、機能回路基板43に入力でき及び機能回路基板43から出力できるように構成されていればよい。なお、モータ駆動の場合、機能回路43Aは、パワー半導体から構成されるコンバータ回路とインバータ回路を有し、入力部44は、直流電源装置であり、出力部45は、三相交流モータであり、入力側の配線46は、プラス・マイナスの配線であり、出力側の配線47は、三相の配線である。
【0059】
(冷却液)
第2の実施形態においては、機能回路43Aが冷却液12に浸漬されている。
図6の例では、冷却槽20の内部空間SPに収容された冷却液12に機能回路基板43が浸漬されていることで、機能回路43Aを冷却液12に浸漬した状態が形成している。冷却液12は、第1の実施形態で説明したように超臨界経由水21であるから詳細な説明を省略する。また、冷却槽20についても、第1の実施形態と同様であるから詳細な説明を省略する。
【0060】
第2の実施形態においては、機能回路基板43が第1の実施形態で説明した浸漬領域R1と非浸漬領域R2を有してもよい。第2の実施形態において、浸漬領域R1に電子素子を配置することが好ましい点等についても第1の実施形態と同様であるから、浸漬領域R1と非浸漬領域R2についての説明を省略する。
【0061】
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、第1の実施形態の変形例1から変形例3を適用されてよい。
【0062】
[2-2.作用及び効果]
第2の実施形態にかかる電子機器装置10Cによれば、上述した第1の実施形態にかかる電子機器装置10と同様の効果を得ることができる。
【0063】
次に、電子素子の冷却方法について説明する。以下では、電子素子の冷却方法は、本発明の冷却方法と称呼されることがある。
【0064】
[電子素子の冷却方法]
[1.冷却方法の構成]
本発明の冷却方法は、電子機器装置の電子素子を冷却する方法に対応する。本発明の冷却方法を適用する電子機器装置及び電子素子は、それぞれ、例えば上述した本発明の電子機器装置(例えば、電子機器装置10、10Aから10Cなど)、及び電子素子11である。
【0065】
本発明の冷却方法は、電子素子が冷却液に浸漬されることにより電子素子が冷却されることを含む。本発明の冷却方法は、例えば、
図7に示すように、上述した電子機器装置で説明した冷却槽20と同様の冷却槽を準備し、冷却槽に冷却液を収容し(
図7において工程S1)、電子素子を取付けた回路基板の少なくとも一部を冷却液に浸漬するように回路基板を冷却槽内に配置する(
図7において工程S2)ことで実現することができる。なお、これは一例であり、冷却液を冷却槽に収容するタイミングは、特に限定されず、回路基板を冷却槽に配置した後に、冷却液を冷却槽に収容してもよい。
【0066】
本発明の冷却方法においては、冷却液が、超臨界経由水である。すなわち、冷却液は、臨界温度を超える温度及び臨界圧力を超える圧力下の状態から常温常圧下の状態へ移行された水である。超臨界経由水は、本発明にかかる電子機器装置で説明した超臨界経由水21と同様の製造することができる。
【0067】
冷却液は、冷却槽中に収容された状態で流動されていることが好ましい。冷却液の流動は、冷却槽に循環器を接続することで実現することができる。ただし、このことは、冷却液の流動を実現することができるような構造(流動化構造と称呼する)の一例であり、流動化構造を循環器に限定するものではない。
【0068】
[2.冷却方法の作用及び効果]
本発明の冷却方法によれば、上述した本発明の電子機器装置と同様の効果を得ることができる。
【0069】
本明細書の記載によれば、以下の発明を把握することができる。
(A1)電子的処理を行う電子素子と、
前記電子素子を浸漬させて冷却するための冷却液であって、臨界温度を超える温度及び臨界圧力を超える圧力下の状態から常温常圧下の状態へ移行された水である前記冷却液と、
を備えたことを特徴とする電子機器装置。
(A2)上記(A1)に記載の電子機器装置において、
前記電子素子の端子と金属を用いて電気的に接合される回路配線を有する回路基板を更に備えていることを特徴とする、
電子機器装置。
(A3)上記(A2)に記載の電子機器装置において、
前記回路基板が、前記冷却液に浸漬させる浸漬領域と、浸漬させない非浸漬領域とを有し、
前記電子素子が、前記浸漬領域に配置されることを特徴とする、
電子機器装置。
(A4)上記(A2)または(A3)に記載の電子機器装置において、
前記回路基板が、防水コーティングされていることを特徴とする、
電子機器装置。
(A5)上記(A1)から(A4)のいずれか1つに記載の電子機器装置において、
前冷却液を貯留する冷却槽を更に備え、
前記冷却槽に、前記冷却液を循環させる循環器が設けられ、
前記循環器は、前記冷却液を放熱可能に構成されていることを特徴とする、
電子機器装置。
(A6)上記(A3)に記載の情報処理装置において、
前記回路基板は、外部装置及び/または電源に対して電気的に接続するための端子を備え、
前記端子が、前記非浸漬領域に配置されていることを特徴とする、
電子機器装置。
(A7)電子的処理を行う電子素子を有する情報処理装置の前記電子素子を冷却する方法において、
前記電子素子が冷却液に浸漬されることにより前記電子素子が冷却されることを含み、
前記冷却液が、臨界温度を超える温度及び臨界圧力を超える圧力下の状態から常温常圧下の状態へ移行された水である、
電子素子の冷却方法。
【符号の説明】
【0070】
10 :電子機器装置
11 :電子素子
12 :冷却液
13 :外部接続端子
14 :外部装置
15 :回路基板
20 :冷却槽
21 :超臨界経由水
100 :昇圧部
110 :昇温部
120 :配管
R1 :浸漬領域
R2 :非浸漬領域
SP :内部空間