(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167593
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】集電体、電極、電池、飛行体、集電体を生産する方法、電極を生産する方法、及び、電池を生産する方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/66 20060101AFI20241127BHJP
H01M 4/70 20060101ALI20241127BHJP
H01M 50/531 20210101ALI20241127BHJP
H01M 4/02 20060101ALI20241127BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20241127BHJP
H01M 50/543 20210101ALI20241127BHJP
H01M 10/0585 20100101ALI20241127BHJP
H01M 4/04 20060101ALI20241127BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20241127BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20241127BHJP
H01M 50/121 20210101ALI20241127BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20241127BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20241127BHJP
H01M 50/545 20210101ALI20241127BHJP
【FI】
H01M4/66 A
H01M4/70 A
H01M50/531
H01M4/02 Z
H01M10/04 Z
H01M50/543
H01M10/0585
H01M4/04 Z
H01M4/139
H01M4/13
H01M50/121
H01M50/178
H01M50/105
H01M50/545
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083778
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 大成
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 貴也
(72)【発明者】
【氏名】宮川 絢太郎
【テーマコード(参考)】
5H011
5H017
5H028
5H029
5H043
5H050
【Fターム(参考)】
5H011AA03
5H011CC02
5H011DD13
5H011EE04
5H011GG00
5H011HH02
5H011JJ12
5H017AA03
5H017AS02
5H017BB00
5H017CC01
5H017DD06
5H017DD08
5H017EE07
5H017HH03
5H028AA05
5H028BB04
5H028BB05
5H028CC02
5H028CC05
5H028CC07
5H028CC08
5H028EE06
5H028HH05
5H029AJ03
5H029AK01
5H029AK02
5H029AK15
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL11
5H029AL12
5H029AL16
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM12
5H029AM16
5H029BJ12
5H029CJ06
5H029DJ05
5H029DJ07
5H029DJ14
5H029EJ01
5H029EJ12
5H029HJ06
5H043AA05
5H043AA13
5H043BA19
5H043BA24
5H043CA08
5H043CA13
5H043DA02
5H043DA09
5H043EA06
5H043JA02E
5H043JA12E
5H043JA14E
5H043LA03E
5H043LA21E
5H043LA22E
5H050AA08
5H050BA15
5H050BA16
5H050BA17
5H050BA20
5H050CA01
5H050CA02
5H050CA19
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB11
5H050CB12
5H050CB20
5H050DA04
5H050DA20
5H050EA23
5H050FA02
5H050FA15
5H050FA18
5H050GA08
5H050HA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】蓄電セルの単位質量当たりのエネルギー密度を向上することが可能な集電体を提供する。
【解決手段】集電体が、樹脂材料を含む支持層420と、支持層の少なくとも一方の面に形成され、支持層よりも優れた導電性を有する導電層542、544とを備える。上記の導電層には、導電層を貫通し、支持層を貫通することなく支持層の一部を露出させる露出部450、550が形成される。導電層は、本体部562と、本体部の一部から本体部の外部に向かって延伸する延伸部564とを有してよい。露出部は、本体部及び延伸部の境界の近傍に配されてよい。露出部の少なくとも一部は、延伸部の内側に配されてもよい。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料を含む支持層と、
前記支持層の少なくとも一方の面に形成され、前記支持層よりも優れた導電性を有する導電層と、
を備え、
前記導電層には、前記導電層を貫通し、前記支持層を貫通することなく前記支持層の一部を露出させる露出部が形成される、
集電体。
【請求項2】
前記支持層は、熱可塑性の樹脂材料を含む、
請求項1に記載の集電体。
【請求項3】
前記導電層は、
本体部と、
前記本体部の一部から前記本体部の外部に向かって延伸する延伸部と、
を有し、
前記露出部は、前記本体部及び前記延伸部の境界の近傍に配される、
請求項1に記載の集電体。
【請求項4】
前記露出部の少なくとも一部は、前記延伸部の内側に配される、
請求項3に記載の集電体。
【請求項5】
前記導電層には、複数の前記露出部が形成されており、
前記複数の露出部の少なくとも一部は、前記導電層の周縁の少なくとも一部に配される、
請求項1に記載の集電体。
【請求項6】
前記導電層は、
本体部と、
前記本体部の一部から前記本体部の外部に向かって延伸する延伸部と、
を有し、
前記本体部には、複数の前記露出部が形成されている、
請求項1に記載の集電体。
【請求項7】
前記導電層は、
前記支持層の第1面に形成される第1導電層と、
前記支持層の第2面に形成される第2導電層と、
を有し、
前記集電体には、前記第1導電層、前記支持層及び前記第2導電層を貫通する貫通孔が形成されている、
請求項1に記載の集電体。
【請求項8】
前記第1導電層及び前記第2導電層のそれぞれは、
本体部と、
前記本体部の一部から前記本体部の外部に向かって延伸する延伸部と、
を有し、
前記貫通孔は、前記第1導電層の前記延伸部の一部と、前記支持層の一部と、前記第2導電層の前記延伸部の一部とを貫通する、
請求項7に記載の集電体。
【請求項9】
前記貫通孔の内部に配され、前記第1導電層及び前記第2導電層を電気的に接続する接続部材をさらに備える、
請求項7に記載の集電体。
【請求項10】
前記導電層には、1以上の前記露出部が形成されており、
前記集電体には、1以上の前記貫通孔が形成されており、
前記1以上の露出部の円相当径の平均値と、前記1以上の露出部の円相当径の平均値とが異なる、
請求項7に記載の集電体。
【請求項11】
請求項1から請求項10までの何れか一項に記載の集電体と、
前記集電体の少なくとも一方の面に配された活物質層と、
を備える、
電極。
【請求項12】
正極と、
負極と、
前記正極及び前記負極の間に配されるセパレータと、
を備え、
前記正極は、
請求項1から請求項10までの何れか一項に記載の集電体と、
前記集電体の少なくとも一方の面に配された正極活物質層と、
を有し、
前記負極は、
請求項1から請求項10までの何れか一項に記載の集電体と、
前記集電体の少なくとも一方の面に配された負極活物質層と、
を有する、
電池。
【請求項13】
請求項12に記載の電池と、
前記電池に蓄積された電気エネルギーを利用して推進力を発生させる推進力発生装置と、
を備える、飛行体。
【請求項14】
第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極の間に配されるセパレータと、
を備え、
前記第1電極は、
第1集電体と、
前記第1集電体の少なくとも一方の面に配された第1活物質層と、
を有し、
前記第2電極は、
第2集電体と、
前記第2集電体の少なくとも一方の面に配された第2活物質層と、
を有し、
前記第1集電体及び前記第2集電体のそれぞれは、
樹脂材料を含む支持層と、
前記支持層の少なくとも一方の面に形成され、前記支持層よりも優れた導電性を有する導電層と、
を含み、
前記第1集電体及び前記第2集電体により、前記第1活物質層、前記セパレータ及び前記第2活物質層を封止するべく、前記第1集電体の前記支持層の周縁部の少なくとも一部に含まれる前記樹脂材料と、前記第2集電体の前記支持層の周縁部の少なくとも一部に含まれる前記樹脂材料とが一体化されている、
電池。
【請求項15】
前記電池は、外部の機器と前記第1集電体とを電気的に接続するための第1端子をさらに備え、
前記第1端子は、前記第1集電体の前記樹脂材料及び前記第2集電体の前記樹脂材料が一体化された領域の外側において、前記第1集電体の前記導電層と電気的に接続される、
請求項14に記載の電池。
【請求項16】
前記電池は、外部の機器と前記第1集電体とを電気的に接続するための第1端子をさらに備え、
前記第1端子は、前記第1集電体の前記樹脂材料及び前記第2集電体の前記樹脂材料が一体化された領域の内側において、前記第1集電体の前記導電層と電気的に接続される、
請求項14に記載の電池。
【請求項17】
請求項14に記載の電池と、
前記電池に蓄積された電気エネルギーを利用して推進力を発生させる推進力発生装置と、
を備える、飛行体。
【請求項18】
樹脂材料を含む支持層の少なくとも一方の面に、前記樹脂材料よりも優れた導電性を有する導電性材料を含む導電層を形成する導電層形成段階を有し、
前記導電層形成段階は、前記導電性材料が、前記導電層を貫通し前記支持層を貫通することなく前記支持層の一部を露出させる露出部を有する導電層を形成するように、前記支持層の前記少なくとも一方の面に前記導電性材料を配置する配置段階を含む、
集電体を生産する方法。
【請求項19】
集電体を準備する段階と、
前記集電体の少なくとも一方の面に、活物質を含む活物質層を形成する活物質層形成段階と、
を有し、
前記集電体は、
樹脂材料を含む支持層と、
前記支持層の少なくとも一方の面に形成され、前記支持層よりも優れた導電性を有する導電層と、
を備え、
前記導電層には、前記導電層を貫通し、前記支持層を貫通することなく前記支持層の一部を露出させる露出部が形成されており、
前記導電層は、
本体部材と、
前記本体部材の一部から前記本体部材の外部に向かって延伸する延伸部材と、
を有し、
前記活物質層形成段階は、前記導電層の前記本体部材上の少なくとも一部に、活物質層を形成する段階を含む、
電極を生産する方法。
【請求項20】
第1電極、セパレータ及び第2電極をこの順に積層する積層段階と、
前記第1電極の周縁部の少なくとも一部と、前記第2電極の周縁部の少なくとも一部とを一体化させる一体化段階と、
を有し、
前記第1電極は、
第1集電体と、
前記第1集電体の少なくとも一方の面に配された第1活物質層と、
を有し、
前記第2電極は、
第2集電体と、
前記第2集電体の少なくとも一方の面に配された第2活物質層と、
を有し、
前記第1集電体及び前記第2集電体のそれぞれは、
樹脂材料を含む支持層と、
前記支持層の少なくとも一方の面に形成され、前記支持層よりも優れた導電性を有する導電層と、
を含み、
前記一体化段階は、前記第1集電体の前記支持層の周縁部の少なくとも一部に含まれる前記樹脂材料と、前記第2集電体の前記支持層の周縁部の少なくとも一部に含まれる前記樹脂材料とを一体化して、前記第1活物質層、前記セパレータ及び前記第2活物質層を封止する封止段階を含む、
電池を生産する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集電体、電極、電池、飛行体、集電体を生産する方法、電極を生産する方法、及び、電池を生産する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パウチの第1の部分に結合され、第1の電極材料がその上に配置された第1の集電体と、パウチの第2の部分に結合され、第2の電極材料がその上に配置された第2の集電体と、第1の電極材料と第2の電極材料の間に配置されたセパレータとを備える電気化学的セルが記載されている。特許文献1に記載された電気化学的セルにおいては、当該電気化学的セルを封入するために、パウチの第1の部分がパウチの第2の部分に結合される。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2021-012891号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の第1の態様においては、集電体が提供される。上記の集電体は、例えば、樹脂材料を含む支持層を備える。上記の集電体は、例えば、支持層の少なくとも一方の面に形成され、支持層よりも優れた導電性を有する導電層を備える。上記の集電体において、導電層には、例えば、導電層を貫通し、支持層を貫通することなく支持層の一部を露出させる露出部が形成される。
【0004】
上記の何れかの集電体において、支持層は、熱可塑性の樹脂材料を含んでよい。上記の何れかの集電体において、導電層は、本体部と、本体部の一部から本体部の外部に向かって延伸する延伸部とを有してよい。露出部は、本体部及び延伸部の境界の近傍に配されてよい。上記の集電体において、上記の何れかの集電体において、露出部の少なくとも一部は、延伸部の内側に配されてよい。
【0005】
上記の何れかの集電体において、導電層には、複数の露出部が形成されていてもよい。複数の露出部の少なくとも一部は、導電層の周縁の少なくとも一部に配されてよい。上記の何れかの集電体において、導電層は、本体部と、本体部の一部から本体部の外部に向かって延伸する延伸部とを有してよい。本体部には、複数の露出部が形成されてよい。
【0006】
上記の何れかの集電体において、導電層は、支持層の第1面に形成される第1導電層と、支持層の第2面に形成される第2導電層とを有してよい。集電体には、第1導電層、支持層及び第2導電層を貫通する貫通孔が形成されていてよい。
【0007】
上記の何れかの集電体において、第1導電層及び第2導電層のそれぞれは、本体部と、本体部の一部から本体部の外部に向かって延伸する延伸部とを有してよい。貫通孔は、第1導電層の延伸部の一部と、支持層の一部と、第2導電層の延伸部の一部とを貫通してよい。上記の何れかの集電体は、貫通孔の内部に配され、第1導電層及び第2導電層を電気的に接続する接続部材を備えてよい。上記の何れかの集電体において、導電層には、1以上の露出部が形成されていてよい。集電体には、1以上の貫通孔が形成されていてよい。1以上の露出部の円相当径の平均値と、1以上の露出部の円相当径の平均値とは異なってよい。
【0008】
本発明の第2の態様においては、電極が提供される。上記の電極は、例えば、上記の第1の態様に係る何れかの集電体を備える。上記の電極は、例えば、集電体の少なくとも一方の面に配された活物質層を備える。
【0009】
本発明の第3の態様においては、電池が提供される。上記の電池は、例えば、正極を備える。上記の電池は、例えば、負極を備える。上記の電池は、例えば、正極及び負極の間に配されるセパレータを備える。上記の電池において、正極は、例えば、上記の第1の態様に係る何れかの集電体と、当該集電体の少なくとも一方の面に配された正極活物質層とを有する。上記の電池において、負極は、例えば、上記の第1の態様に係る何れかの集電体と、当該集電体の少なくとも一方の面に配された負極活物質層とを有する。
【0010】
本発明の第4の態様においては、飛行体が提供される。上記の飛行体は、例えば、上記の第3の態様に係る何れかの電池を備える。上記の飛行体は、例えば、電池に蓄積された電気エネルギーを利用して推進力を発生させる推進力発生装置を備える。
【0011】
本発明の第5の態様においては、電池が提供される。上記の電池は、例えば、第1電極を備える。上記の電池は、例えば、第2電極を備える。上記の電池は、例えば、第1電極及び第2電極の間に配されるセパレータを備える。上記の電池において、第1電極は、例えば、第1集電体を有する。上記の電池において、第1電極は、例えば、第1集電体の少なくとも一方の面に配された第1活物質層を有する。上記の電池において、第2電極は、例えば、第2集電体を有する。上記の電池において、第2電極は、例えば、第2集電体の少なくとも一方の面に配された第2活物質層を有する。上記の電池において、第1集電体及び第2集電体のそれぞれは、例えば、樹脂材料を含む支持層を含む。上記の電池において、第1集電体及び第2集電体のそれぞれは、例えば、支持層の少なくとも一方の面に形成され、支持層よりも優れた導電性を有する導電層を含む。上記の電池において、第1集電体及び第2集電体により、第1活物質層、セパレータ及び第2活物質層を封止するべく、第1集電体の支持層の周縁部の少なくとも一部に含まれる樹脂材料と、第2集電体の支持層の周縁部の少なくとも一部に含まれる樹脂材料とが一体化されている。
【0012】
上記の何れかの電池は、外部の機器と第1集電体とを電気的に接続するための第1端子を備えてよい。上記の何れかの電池において、第1端子は、第1集電体の樹脂材料及び第2集電体の樹脂材料が一体化された領域の外側において、第1集電体の導電層と電気的に接続されてよい。
【0013】
上記の何れかの電池は、外部の機器と第1集電体とを電気的に接続するための第1端子を備えてよい。上記の何れかの電池において、第1端子は、第1集電体の樹脂材料及び第2集電体の樹脂材料が一体化された領域の内側において、第1集電体の導電層と電気的に接続されてよい。
【0014】
本発明の第6の態様においては、飛行体が提供される。上記の飛行体は、例えば、上記の第5の態様に係る何れかの電池を備える。上記の飛行体は、例えば、電池に蓄積された電気エネルギーを利用して推進力を発生させる推進力発生装置を備える。
【0015】
本発明の第7の態様においては、集電体を生産する方法が提供される。上記の方法は、例えば、樹脂材料を含む支持層の少なくとも一方の面に、樹脂材料よりも優れた導電性を有する導電性材料を含む導電層を形成する導電層形成段階を有する。上記の方法において、導電層形成段階は、例えば、導電性材料が、導電層を貫通し支持層を貫通することなく支持層の一部を露出させる露出部を有する導電層を形成するように、支持層の少なくとも一方の面に導電性材料を配置する配置段階を含む。
【0016】
本発明の第8の態様においては、電極を生産する方法が提供される。上記の方法は、例えば、集電体を準備する段階を有する。上記の方法は、例えば、集電体の少なくとも一方の面に、活物質を含む活物質層を形成する活物質層形成段階を有する。上記の方法において、集電体は、例えば、樹脂材料を含む支持層を備える。上記の方法において、集電体は、例えば、支持層の少なくとも一方の面に形成され、支持層よりも優れた導電性を有する導電層を備える。上記の方法において、導電層には、例えば、導電層を貫通し、支持層を貫通することなく支持層の一部を露出させる露出部が形成されている。上記の方法において、導電層は、例えば、本体部材と、当該本体部材の一部から本体部材の外部に向かって延伸する延伸部材とを有する。上記の方法において、活物質層形成段階は、例えば、導電層の本体部材の少なくとも一部の上に、活物質層を形成する段階を含む。
【0017】
本発明の第9の態様においては、電池を生産する方法が提供される。上記の方法は、例えば、第1電極、セパレータ及び第2電極をこの順に積層する積層段階を有する。上記の方法は、例えば、第1電極の周縁部の少なくとも一部と、第2電極の周縁部の少なくとも一部とを一体化させる一体化段階を有する。上記の方法において、第1電極は、例えば、第1集電体を有する。第1電極は、例えば、第1集電体の少なくとも一方の面に配された第1活物質層を有する。上記の方法において、第2電極は、例えば、第2集電体を有する。第2電極は、例えば、第2集電体の少なくとも一方の面に配された第2活物質層を有する。上記の方法において、第1集電体及び第2集電体のそれぞれは、例えば、樹脂材料を含む支持層を含む。第1集電体及び第2集電体のそれぞれは、例えば、支持層の少なくとも一方の面に形成され、支持層よりも優れた導電性を有する導電層を含む。上記の方法において、一体化段階は、例えば、第1集電体の支持層の周縁部の少なくとも一部に含まれる樹脂材料と、第2集電体の支持層の周縁部の少なくとも一部に含まれる樹脂材料とを一体化して、第1活物質層、セパレータ及び第2活物質層を封止する封止段階を含む。
【0018】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】飛行体100のシステム構成の一例を概略的に示す。
【
図2】蓄電セル112の内部構成の一例を概略的に示す。
【
図3】蓄電セル112の断面の一例を概略的に示す。
【
図6】集電体400の断面の他の例を概略的に示す。
【
図7】集電体400の各部の位置関係の一例を概略的に示す。
【
図8】集電体400と他の部材との位置関係の一例を概略的に示す。
【
図11】正極220又は負極240を生産する方法の一例を概略的に示す。
【
図12】蓄電セル112を生産する方法の一例を概略的に示す。
【
図13】蓄電セル112の上面の一例を概略的に示す。
【
図14】蓄電セル1412の断面の一例を概略的に示す。
【
図15】蓄電セル1512の断面の一例を概略的に示す。
【
図16】蓄電セル1612の上面の一例を概略的に示す。
【
図17】蓄電セル1612を構成する部品の一例を概略的に示す。
【
図18】蓄電セル1612を構成する部品の他の例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書において例示される一実施形態(本実施形態と称される場合がある。)によれば、樹脂材料を含む支持層と、当該支持層の少なくとも一方の面に形成された導電層とを備える集電体を用いて、蓄電セルが作製される。導電層は、支持層よりも優れた導電性を有する。本実施形態において、樹脂材料の種類は、例えば、支持層の密度が導電層の密度よりも小さくなるように決定される。これにより、従来の蓄電セルと比較して、蓄電セルの単位質量当たりのエネルギー密度[Wh/kg-蓄電セル]、及び/又は、活物質の単位質量あたりの容量[mAh/g-活物質]が向上し得る。
【0021】
例えば、従来、集電体として、8~20μm程度の厚さを有するアルミニウム箔、銅箔などが用いられている。そのため、従来の蓄電セルにおいては、蓄電セルの質量に対する正極及び負極の集電体の質量の割合は、20~25%であった。これに対して、本実施形態によれば、集電体の一部が、アルミニウム箔又は銅箔よりも密度の小さな物質(典型的には、空気、又は、樹脂材料である。)により形成される。その結果、単位質量当たりのエネルギー密度及び/又は活物質の単位質量あたりの容量に優れた蓄電セルが提供され得る。例えば、本実施形態によれば、単位質量あたりのエネルギー密度が350[Wh/kg-蓄電セル]以上の蓄電セルが提供され得る。また、本実施形態に係る蓄電セルは、単位質量あたりのエネルギー密度が大きいので、飛行体の用途に特に適している。
【0022】
上記の蓄電セルは、例えば、正極と、負極と、正極及び負極の間に配されるセパレータとを備える。上記の集電体は、上記の蓄電セルの正極及び/又は負極の一部を構成する。例えば、上記の蓄電セルにおいて、正極は、上記の集電体と、当該集電体の少なくとも一方の面に配された層状の正極活物質(正極活物質層と称される場合がある。)とを有する。負極は、上記の集電体と、当該集電体の少なくとも一方の面に配された層状の負極活物質(負極活物質層と称される場合がある。)とを有する。
【0023】
本実施形態によれば、集電体の支持層が、蓄電セルの外装の全部又は一部を構成する。これにより、蓄電セルが、正極、セパレータ及び負極の積層体とは別に外装を備える場合と比較して、蓄電セルの質量が小さくなる。その結果、蓄電セルの単位質量当たりのエネルギー密度[Wh/kg-蓄電セル]、及び/又は、活物質の単位質量あたりの容量[mAh/g-活物質]が向上し得る。また、本実施形態によれば、蓄電セルに含まれる少なくとも1個の集電体の両面に活物質層を形成することができる。
【0024】
上述されたとおり、支持層は樹脂材料を含む。上記の樹脂材料の種類は特に限定されるものではないが、樹脂材料の種類は、例えば、正極活物質、負極活物質、電解液、蓄電セルの外装形成時の温度、及び、蓄電セルに要求される電池特性、並びに、これらの組み合わせに応じて決定される。樹脂材料として、任意の熱可塑性の樹脂材料が用いられてもよい。上記の樹脂材料の融点又は軟化点は、導電層の主成分の融点又は軟化点より小さくてよい。支持層は、実質的に熱可塑性の樹脂材料により構成されていてもよく、支持層は、熱可塑性の樹脂材料であってもよい。
【0025】
例えば、電池を構成する少なくとも2個の電極がセパレータを介して積層された後、各電極に含まれる集電体の支持層の一部が加熱及び押圧されると、隣接する2個の電極に含まれる支持層同士が溶着する。これにより、隣接する2個の集電体が一体化する。その結果、当該2個の集電体の間に配された正極活物質層及び負極活物質層が、当該2個の集電体により封止される。
【0026】
上述されたとおり、本実施形態において、支持層の表面には導電層が形成される。導電層が支持層の周縁部に配されている場合、当該導電層が支持層の一体化を阻害する可能性がある。そこで、本実施形態に係る集電体の導電層には、当該導電層を貫通し、上記の支持層の一部を露出させる露出部が形成される。上記の導電層には、複数の露出部が形成されてもよい。
【0027】
1以上の露出部は、例えば、上述された支持層が一体化される領域の近傍に配される。一実施形態において、1以上の露出部が形成される領域の全体が、上記の支持層が一体化される領域の内部に配される。他の実施形態において、1以上の露出部が形成される領域の一部と、上記の支持層が一体化される領域の一部とが重畳する。さらに他の実施形態において、上記の支持層が一体化される領域の全体が、1以上の露出部が形成される領域の内部に配される。
【0028】
これにより、本実施形態によれば、導電層に露出部が形成されない場合と比較して、隣接する2個の集電体を良好に一体化させることができる。その結果、正極活物質層及び負極活物質層が良好に封止される。
【0029】
なお、少なくとも2個の集電体を一体化させる手法は、熱溶着に限定されない。他の実施形態において、少なくとも2個の集電体は、接着により一体化し得る。
【0030】
蓄電セルは、電池の一例であってよい。一実施形態において、単一のセパレータにより隔離される正極及び負極は、第1電極及び第2電極の一例であってよい。この場合、正極は第1電極及び第2電極の一方の一例であり、負極は、第1電極及び第2電極の他方の一例であってよい。正極活物質層は、第1活物質層及び第2活物質層の一方の一例であり、負極活物質層は、第1活物質層及び第2活物質層の他方の一例であってよい。他の実施形態において、電池が、1以上の正極、1以上のセパレータ及び1以上の負極の積層体を備える場合、当該積層体の最も外側に配される2個の電極は、第1電極及び第2電極の一例であってよい。上記の2個の電極のそれぞれに配される2個の活物質層は、第1活物質層及び第2活物質層の一例であってよい。
【0031】
以上のとおり、本実施形態によれば、例えば、充電式電池における重量当たりのエネルギー量を改善することができ、より軽量でより多くの電力を蓄えることができる充電式電池を実現できる。充電式電池は、例えば、災害現場へ持ち込まれ、被災者へのエネルギー供給などに活用され得る。そのため、本実施形態に係る積層体、電極構造体及び電池、並びに、これらの製造方法は、持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」又は目標13「気候変動に具体的な対策を」などの達成に貢献できる。
【0032】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0033】
本明細書において、数値範囲が「A~B」と表記される場合、当該表記はA以上B以下を意味する。また、「置換又は非置換」とは、「任意の置換基で置換されている、又は、置換基で置換されていない」ことを意味する。上記の置換基の種類は、明細書中で言及されない限り、特に制限されない。また、上記の置換基の個数は、明細書中で言及されない限り、特に制限されない。
【0034】
(飛行体100の概要)
図1は、飛行体100のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、飛行体100は、蓄電池110と、電力制御回路120と、1又は複数の電動機130と、1又は複数のプロペラ140と、1又は複数のセンサ150と、制御装置160とを備える。本実施形態において、蓄電池110は、1又は複数の蓄電セル112を有する。
【0035】
本実施形態において、飛行体100は、蓄電池110に蓄積された電気エネルギーを利用して飛行する。飛行体100としては、飛行機、飛行船又は風船、気球、ヘリコプター、ドローンなどが例示される。
【0036】
本実施形態において、蓄電池110は、電力制御回路120を介して、外部の充電装置(図示されていない。)から電気エネルギーを受領し、当該電気エネルギーを1以上の蓄電セル112に蓄積する。また、蓄電池110は、電力制御回路120を介して、1以上の蓄電セル112に蓄積された電気エネルギーを電動機130に供給する。
【0037】
本実施形態において、蓄電セル112は、電気エネルギーを蓄積する(蓄電セル112の充電と称される場合がる)。また、蓄電セル112は、蓄積された電気エネルギーを放出する(蓄電セル112の放電と称される場合がある)。蓄電セル112は、二次電池であってよい。
【0038】
蓄電セル112は、電解液又はゲル電解質を含んでもよく、電解液又はゲル電解質を含まなくてもよい。電解液は、例えば、支持電解質塩及び溶媒を含む。溶媒は、水系溶媒であってもよく、非水溶媒であってもよい。ゲル電解質は、例えば、支持電解質塩、有機高分子化合物及び有機溶媒を含む。
【0039】
蓄電セル112は、全固体電池であってよい。蓄電セル112は、全固体二次電池であってよい。全固体二次電池は、上述された電解液又はゲル電解質を実質的に含まない二次電池であり、例えば、一対の電極と、当該一対の電極の間に配される固体電解質層とを備える。
【0040】
二次電池が電解液又はゲル電解質を実質的に含まないとは、二次電池が電解液又はゲル電解質を含まない場合だけでなく、二次電池が少量の電解液又はゲル電解質を含む場合をも意味する。二次電池の構成材料が電解液又はゲル電解質に含まれる溶媒に溶解する場合であっても、二次電池に含まれる溶媒の量が少なければ、二次電池の構成材料が溶媒に溶解することの電池性能に対する影響が無視し得るからである。
【0041】
一実施形態において、蓄電セル112は、(i)支持電解質塩及び溶媒を含む電解液、及び、(ii)支持電解質塩、有機高分子化合物及び有機溶媒を含むゲル電解質の少なくとも一方を含まない。他の実施形態において、活物質として用いられる有機化合物の質量[kg]に対する、電解液及びゲル電解質の質量[kg]の割合は、5%未満である。
【0042】
二次電池のキャリアイオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどが例示される。二次電池としては、ナトリウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウム金属二次電池、リチウム空気二次電池、リチウム硫黄二次電池、マグネシウムイオン二次電池などが例示される。
【0043】
例えば、車両に搭載される二次電池用の活物質としては、単位体積あたりに蓄積できる電荷量の大きな材料が選択されることが多い。一方、本実施形態において、蓄電セル112は飛行体100に搭載される。そのため、蓄電セル112に用いられる活物質は、単位質量あたりに蓄積できる電荷量の大きな材料であることが好ましい。
【0044】
蓄電セル112の質量エネルギー密度は、350[Wh/kg‐蓄電セル]以上であることが好ましく、400Wh/kg‐蓄電セル]以上であることがより好ましく、500Wh/kg‐蓄電セル]以上であることがより好ましく、600Wh/kg‐蓄電セル]以上であることがより好ましく、700[Wh/g‐蓄電セル]以上であることがさらに好ましい。これにより、飛行体の電源の用途に特に適した蓄電セルが得られる。
【0045】
蓄電セル112の体積エネルギー密度は、300[Wh/m3‐蓄電セル]以上1200[Wh/m3‐蓄電セル]以下であってもよく、400[Wh/m3‐蓄電セル]以上1000[Wh/m3‐蓄電セル]以下であってもよい。蓄電セル112が飛行体100の電源の一部として飛行体100に搭載される場合、蓄電セル112の体積エネルギー密度は、600[Wh/m3‐蓄電セル]以下であってもよく、800[Wh/m3‐蓄電セル]以下であってもよい。
【0046】
蓄電セル112は、上記の数値範囲内の質量エネルギー密度と、上記の数値範囲内の体積エネルギー密度を有してもよい。これにより、車両の電源に用いることが比較的困難な蓄電セルを、飛行体の電源として利用することができる。蓄電セル112の詳細は後述される。
【0047】
本実施形態において、電力制御回路120は、蓄電池110の電力の入力及び出力を制御する。電力制御回路120は、制御装置160からの命令に基づいて、蓄電池110の電力の入力及び出力を制御してよい。電力制御回路120は、例えば、制御装置160からの制御信号に基づいて動作する複数のスイッチング素子を含む。
【0048】
本実施形態において、電動機130は、電力制御回路120を介して、蓄電池110から電気エネルギーを受領する。電動機130は、蓄電池110から受領した電気エネルギーを利用して、プロペラ140を回転させる。これにより、電動機130は、蓄電セル112に蓄積された電気エネルギーを利用して、飛行体100の推進力を発生させることができる。
【0049】
本実施形態において、センサ150は、飛行体100の位置及び姿勢に関する各種の物理量を測定する。飛行体100の位置及び姿勢に関する各種の物理量を測定するためのセンサとしては、GPS信号受信機、加速度センサ、角加速度センサ、ジャイロセンサなどが例示される。センサ150は、蓄電池110の状態に関する各種の物理量を測定してよい。蓄電池110の状態に関する各種の物理量を測定するためのセンサとしては、温度センサ、電流センサ、電圧センサなどが例示される。
【0050】
本実施形態において、制御装置160は、飛行体100を制御する。制御装置160は、電力制御回路120を制御することで、蓄電池110の電力の入出力を制御してよい。例えば、制御装置160は、蓄電池110の出力電流、出力電圧、入力電流、入力電圧などを制御する。これにより、制御装置160は、飛行体100の位置及び姿勢を制御することができる。制御装置160は、センサ150からの出力に基づいて電力制御回路120を制御することで、飛行体100の位置及び姿勢を制御してよい。
【0051】
蓄電池110は、二次電池の一例であってよい。蓄電セル112は、二次電池の一例であってよい。電動機130は、推進力発生装置の一例であってよい。二次電池は、電池の一例であってよい。
【0052】
(蓄電セル112の概要)
図2及び
図3を用いて、蓄電セル112の一例が説明される。
図2は、蓄電セル112の内部構成の一例を概略的に示す。
図3は、蓄電セル112の断面図の一例を概略的に示す。
【0053】
本実施形態においては、電池の一例である蓄電セル112がラミネート型(パウチ型と称される場合がある。)の二次電池である場合を例として、蓄電セル112の詳細が説明される。しかしながら、電池又は蓄電セルは、ラミネート型の二次電池に限定されないことに留意されたい。電池が二次電池である場合、任意の形式の蓄電セルが用いられてよい。電池は、一次電池であってもよい。
【0054】
(蓄電セル)
図2に示されるとおり、本実施形態において、蓄電セル112は、端子202と、端子204と、外装206とを備える。本実施形態において、外装206の内部には、積層体212と、液体又はゲル状の電解質214とが収容される。本実施形態において、積層体212は、1個の正極220と、2個のセパレータ230と、2個の負極240とを備える。
【0055】
本実施形態によれば、負極240と、セパレータ230と、正極220と、セパレータ230と、負極240とがこの順に積層される。2個のセパレータ230のそれぞれは、各セパレータを挟む正極220及び負極240を隔離する。本実施形態において、セパレータ230の一方の面は正極活物質層224と接する。また、セパレータ230の他方の面は負極活物質層244と接する。
【0056】
本実施形態において、端子202は、蓄電セル112の正極端子である。端子202は、積層体212に含まれる正極集電体222と電気的に接続される。本実施形態において、端子204は、蓄電セル112の負極端子である。端子204は、積層体212に含まれる2個の負極集電体242のそれぞれと電気的に接続される。
【0057】
本実施形態において、外装206は、積層体212に含まれる正極集電体222及び負極活物質層244を封止する。外装206は、積層体212に含まれる正極集電体222負極活物質層244及びセパレータ230を封止してもよい。本実施形態において、外装206の一部又は全部は、積層体212の最も外側に配される2個の負極集電体242により構成される。これにより、蓄電セル112の単位質量当たりのエネルギー密度[Wh/kg-蓄電セル]、及び/又は、蓄電セル112に含まれる活物質の単位質量あたりの容量[mAh/g-活物質]が向上し得る。
【0058】
また、本実施形態によれば、積層体212の最も外側に配される2個の電極を除く1以上の電極の両面に、活物質層が形成され得る。より具体的には、積層体212の最も外側には2個の負極集電体242が配されており、正極集電体222の両面に正極活物質層224が形成されている。これに対して、特開2021-012891号公報に開示された電気化学的セルによれば、正極活物質層は、正極集電体の一方の面にしか形成されない。同様に、負極活物質層は、負極集電体の一方の面にしか形成されない。
【0059】
本実施形態において、電解質214の種類は特に限定されない。電解質214としては、公知の任意の電解質が用いられる。液体又はゲル状の電解質214は、公知の任意の溶媒を含んでよい。上記の溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ブチレンカーボネート(BC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、γ-ブチロラクトン、スルホラン、アセトニトリル、1,2-ジメトキシメタン、1,3-ジメトキシプロパン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、及び、これらの混合物が例示される。
【0060】
(正極集電体)
本実施形態において、正極集電体222は、正極活物質層224を保持する。正極集電体222は、例えば、0.01mΩ~1Ωの電気抵抗を有する。正極集電体222の密度は、例えば、1.1~2.0g/cm3程度に調整される。これにより、正極220の質量が非常に軽くなり、蓄電セル112の質量エネルギー密度が大きくなる。
【0061】
本実施形態において、正極集電体222の少なくとも一部は、金属よりも密度の小さな材料により形成される。正極集電体222の少なくとも一部は、アルミニウムよりも密度の小さな材料により形成されてもよい。例えば、正極集電体222の少なくとも一部は、樹脂により形成される。例えば、正極集電体222は、導電性材料を含む導電層と、当該導電層を支持する支持層とを備える。導電層及び支持層の詳細は後述される。
【0062】
本実施形態において、正極活物質層224は、正極集電体222の少なくとも一方の面に形成される。正極活物質層224の厚さは、正極集電体222の片面あたり0超200μm以下であってもよく、1以上100μm以下であってもよく、5以上50μm以下であってもよい。
【0063】
正極活物質層224は、例えば、正極活物質と、結着材料(バインダーと称される場合がある。)とを含む。正極活物質層224は、導電性材料及びイオン伝導性材料の少なくとも一方をさらに含んでよい。正極活物質層224は、正極活物質と、イオン伝導性材料とを含んでもよい。
【0064】
一実施形態において、正極活物質層224は、正極集電体222の少なくとも一方の面の上に、正極活物質層224を構成する材料及び溶媒を含むスラリーを塗布し、当該スラリーを乾燥させることで形成される。上記の溶媒としては、各種の溶媒物質又はその混合物が例示される。上記の溶媒物質の種類は特に限定されるものではないが、上記の溶媒物質としては、N-メチルピロリドン(NMP)、水などが例示される。他の実施形態において、正極活物質層224は、正極活物質層224を構成する材料を混合してシート状に成型し、当該シート状の混合物を正極集電体222の少なくとも一方の面に圧着することで形成される。
【0065】
(正極活物質)
正極活物質層224に含まれる正極活物質としては、蓄電セル112のキャリアイオンを吸蔵及び放出することができる各種の物質が用いられる。正極活物質は、単一若しくは複数の種類の有機化合物、単一若しくは複数の種類の無機化合物、又は、これらの混合物であってもよい。
【0066】
正極活物質として用いられる無機化合物(無機正極活物質と称される場合がある。)としては、金属酸化物、金属ケイ酸塩、金属リン酸塩、金属ホウ酸塩などが例示される。上記の金属としては、V、Mn、Ni、Coなどの遷移金属が例示される。
【0067】
正極活物質として用いられる有機化合物(有機正極活物質と称される場合がある。)としては、各種の酸化還元活性な化合物が有機正極活物質として用いられる。有機正極活物質としては、共役系高分子、ジスルフィド、キノン、局在型ラジカル、非局在型ラジカルなどが例示される。
【0068】
有機正極活物質は、芳香族炭化水素、芳香族複素環化合物、1以上のシアノ基により置換されたアルケン、ジスルフィド、及び、その誘導体、並びに、これらに由来する構造又は構造単位を含む化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であってよい。有機正極活物質が上記の構造単位を含む化合物である場合、その重合度は100以下であってよい。上記の誘導体は、1以上の水素が、ケトン基、OH基、OM基(Mは、金属である。Mとしては、電池のキャリア金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属などが例示される)、ニトロ基などにより置換された化合物であってよい。
【0069】
有機正極活物質は、ベンゼン環に少なくとも2個の酸素原子が結合した構造を含む化合物、ベンゼン環に少なくとも2個の水酸基が結合した構造を含む化合物、ベンゼン環の少なくとも2個の炭素原子が窒素原子に置換された構造を含む化合物、炭素の二重結合に少なくとも2個のシアノ基が結合した構造を含む化合物、ジスルフィド結合を含む化合物、及び、その誘導体、並びに、これらに由来する構造又は構造単位を含む化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であってよい。有機正極活物質が上記の構造単位を含む化合物である場合、その重合度は100以下であってよい。上記の誘導体は、1以上の水素が、ケトン基、OH基、OM基(Mは、金属である。Mとしては、電池のキャリア金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属などが例示される)、ニトロ基などにより置換された化合物であってよい。
【0070】
(結着材料)
正極活物質層224に含まれる結着材料は、正極活物質層224を構成する材料を結着し、正極220の電極形状を保持する。結着材料としては、例えば、各種の高分子材料が用いられる。上記の高分子材料としては、カルボキシメチルセルロース、スチレン-ブタジエンゴム、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、及び、これらの誘導体などが例示される。
【0071】
(導電性材料)
正極活物質層224に含まれる導電性材料は、正極活物質層224の導電率を向上させる。これにより、正極220の抵抗が小さくなる。導電性材料は、電子伝導性を有する材料であれば特に限定されない。導電性材料としては、炭素系材料、金属系材料、導電性高分子材料などが例示される。これらの導電性材料は、単独で用いられてもよく、2種以上の導電助剤が組み合せられてもよい。
【0072】
炭素系材料としては、黒鉛、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどである)、コークス、非晶質炭素、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラフェンなどが例示される。金属系材料としては、アルミニウム、金、銀、銅、鉄、白金、クロム、スズ、インジウム、チタン、ニッケルなどが例示される。導電性高分子材料としては、ポリフェニレン誘導体などが例示される。
【0073】
(伝導性材料)
正極活物質層224に含まれる伝導性材料は、正極活物質層224におけるキャリアイオンの伝導性を向上させる。伝導性材料としては、例えば、各種の固体電解質が用いられる。固体電解質としては、硫化物系固体電解質、酸化物系固体電解質、高分子固体電解質などが例示される。伝導性材料として、高分子固体電解質が用いられてよい。高分子固体電解質としては、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、及び、これらの誘導体から選択される少なくとも1種の化合物が例示される。
【0074】
(セパレータ)
本実施形態において、セパレータ230は、正極220及び負極240の間に配され、正極220及び負極240を隔離する。より具体的には、セパレータ230は、正極活物質層224及び負極活物質層244の間に配され、正極活物質層224及び負極活物質層244を隔離する。また、セパレータ230は、正極220及び負極240の間におけるキャリアイオンの伝導性を確保する。
【0075】
セパレータ230としては、公知の任意のセパレータが用いられる。例えば、多孔質材料、固体電解質などがセパレータ230として用いられる。セパレータ230の厚さは、特に限定されるものではないが、10~50μmであることが好ましい。
【0076】
本実施形態において、負極集電体242は、負極活物質層244を保持する。負極集電体242は、正極集電体222と同様の構成を有してよい。例えば、負極集電体242は、導電性材料を含む導電層と、当該導電層を支持する支持層とを備える。
【0077】
本実施形態において、負極活物質層244は、負極集電体242の少なくとも一方の面に形成される。負極活物質層244の厚さは、負極集電体242の片面あたり0超200μm以下であってもよく、1以上100μm以下であってもよく、5以上50μm以下であってもよい。
【0078】
負極活物質層244は、例えば、負極活物質と、結着材料(バインダーと称される場合がある。)とを含む。負極活物質層244は、導電性材料及びイオン伝導性材料の少なくとも一方をさらに含んでよい。負極活物質層244は、負極活物質と、イオン伝導性材料とを含んでもよい。
【0079】
一実施形態において、負極活物質層244は、負極集電体242の少なくとも一方の面の上に、負極活物質層244を構成する材料及び有機溶媒を含むスラリーを塗布し、当該スラリーを乾燥させることで作製される。上記の溶媒としては、各種の溶媒物質又はその混合物が例示される。上記の溶媒物質の種類は特に限定されるものではないが、上記の溶媒物質としては、N-メチルピロリドン(NMP)、水などが例示される。他の実施形態において、負極活物質層244は、負極活物質層244を構成する材料を混合してシート状に成型し、当該シート状の混合物を負極集電体242の少なくとも一方の面に圧着することで形成される。
【0080】
(負極活物質)
負極活物質層244に含まれる負極活物質としては、蓄電セル112のキャリアイオンを吸蔵及び放出することができる各種の物質が用いられる。負極活物質は、無機化合物であってもよく、有機化合物であってもよい。これらの負極活物質は単独で用いられてもよく、2種以上の負極活物質が組み合せられてもよい。例えば、蓄電セル112のキャリアイオンを放出可能な金属箔が、負極活物質層244として用いられる。これにより、蓄電セル112の質量エネルギー密度が向上する。
【0081】
負極活物質として用いられる無機化合物(無機負極活物質と称される場合がある。)としては、(i)キャリア金属及びこれを含む合金、(ii)スズ、シリコン及びこれらを含む合金、(iii)珪素酸化物、(iv)チタン酸化物などが例示される。例えば、蓄電セル112がリチウム二次電池である場合、負極活物質として、金属リチウム、リチウム・チタン酸化物(LTO)などが用いられる。キャリア金属を含まない材料が負極活物質として用いられる場合、当該材料にキャリア金属がプレドープされてよい。
【0082】
負極活物質として用いられる有機化合物(有機負極活物質と称される場合がある。)としては、芳香族複素環化合物及びその誘導体、並びに、これらに由来する構造又は構造単位を含む化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であってよい。有機負極活物質が上記の構造単位を含む化合物である場合、その重合度は100以下であってよい。上記の誘導体は、1以上の水素が、ケトン基、OH基、OM基(Mは、金属である。Mとしては、電池のキャリア金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属などが例示される)、ニトロ基などにより置換された化合物であってよい。
【0083】
上述されたとおり、負極活物質層244は、箔状のキャリア金属を含んでよい。例えば、負極活物質層244は、リチウム金属箔を含む。これにより、蓄電セル112にキャリア金属が供給される。金属箔の厚さは、1~200μmであってよく、10~100μmであってよく、20~50μmであってよい。金属箔の厚さ及び/又は質量は、正極活物質層224における正極活物質の含有量に応じて決定されてよい。
【0084】
(結着材料)
負極活物質層244に含まれる結着材料は、負極活物質層244を構成する材料を結着し、負極240の電極形状を保持する。結着材料としては、例えば、各種の高分子材料が用いられる。上記の高分子材料としては、カルボキシメチルセルロース、スチレン-ブタジエンゴム、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、及び、これらの誘導体などが例示される。
【0085】
(導電性材料)
負極活物質層244に含まれる導電性材料は、負極活物質層244の導電率を向上させる。これにより、負極240の抵抗が小さくなる。導電性材料は、電子伝導性を有する材料であれば特に限定されない。導電性材料としては、炭素系材料、金属系材料、導電性高分子材料などが例示される。これらの導電性材料は、単独で用いられてもよく、2種以上の導電助剤が組み合せられてもよい。
【0086】
炭素系材料としては、黒鉛、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどである)、コークス、非晶質炭素、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラフェンなどが例示される。金属系材料としては、アルミニウム、金、銀、銅、鉄、白金、クロム、スズ、インジウム、チタン、ニッケルなどが例示される。導電性高分子材料としては、ポリフェニレン誘導体などが例示される。
【0087】
(伝導性材料)
負極活物質層244に含まれる伝導性材料は、負極活物質層244におけるキャリアイオンの伝導性を向上させる。伝導性材料としては、例えば、各種の固体電解質が用いられる。固体電解質としては、硫化物系固体電解質、酸化物系固体電解質、高分子固体電解質などが例示される。伝導性材料として、高分子固体電解質が用いられてよい。高分子固体電解質としては、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、及び、これらの誘導体から選択される少なくとも1種の化合物が例示される。
【0088】
図3に示されるとおり、本実施形態において、積層体212の最も外側に配される2個の負極240に含まれる2個の負極集電体242が、これらの周縁部の少なくとも一部(一体化領域320と称される場合がある。)において一体化している。本実施形態によれば、一体化領域320において、2個の負極集電体242は、正極集電体222を介して一体化している。これにより、2個の負極集電体242のそれぞれの周縁の一部と、正極集電体222の周縁の一部とが一体化している。
【0089】
本実施形態によれば、一体化領域320において一体化した2個の負極集電体242が、外装206を構成する。本実施形態において、外装206は、上記の2個の負極集電体242と、正極集電体222とにより構成される。
【0090】
これにより、2個の負極集電体242により、2個の正極活物質層224と、2個のセパレータ230と、2個の負極活物質層244とが封止される。同様に、2個の負極集電体242の一方と、正極集電体222とにより、1個の正極活物質層224と、1個のセパレータ230と、1個の負極活物質層244とが封止される。
【0091】
正極220は、電極の一例であってよい。正極集電体222は、集電体の一例であってよい。正極活物質層224は、活物質層の一例であってよい。負極240は、電極の一例であってよい。負極集電体242は、集電体の一例であってよい。負極活物質層244は、活物質層の一例であってよい。
【0092】
特定のセパレータ230を介して配される正極220及び負極240の一方は、第1電極の一例であってよく、当該特定のセパレータ230を介して配される正極220及び負極240の他方は、第2電極の一例であってよい。上記の正極220に含まれる正極集電体222は、第1集電体及び第2集電体の一方の一例であってよく、上記の負極240に含まれる負極集電体242は、第1集電体及び第2集電体の他方の一例であってよい。上記の正極220に含まれる正極活物質層224は、第1活物質層及び第2活物質層の一方の一例であってよく、上記の負極240に含まれる負極活物質層244は、第1活物質層及び第2活物質層の他方の一例であってよい。
【0093】
2個の負極240は、積層体212の最も外側に配される電極の一例であってよい。2個の負極240の一方は、第1電極の一例であってよく、2個の負極240の他方は、第2電極の一例であってよい。2個の負極240の一方に含まれる負極集電体242は、第1集電体及び第2集電体の一方の一例であってよく、2個の負極240の他方に含まれる負極集電体242は、第1集電体及び第2集電体の他方の一例であってよい。2個の負極240の一方に含まれる負極活物質層244は、第1活物質層及び第2活物質層の一方の一例であってよく、2個の負極240の他方に含まれる負極活物質層244は、第1活物質層及び第2活物質層の他方の一例であってよい。
【0094】
(別実施形態の一例)
本実施形態においては、積層体212が、1個の正極220と、2個の負極240と、上記の正極220及び負極240のそれぞれを隔離する2個のセパレータ230とを備える場合を例として、蓄電セル112の詳細が説明された。しかしながら、蓄電セル112は、本実施形態に限定されない。
【0095】
他の実施形態において、例えば、積層体212は、2個の正極220と、1個の負極240と、上記の正極220及び負極240のそれぞれを隔離する2個のセパレータ230とを備える。さらに他の実施形態において、積層体212は、n個の正極220と、m個の負極240と、上記の正極220及び負極240のそれぞれを隔離するk個のセパレータ230とを備える。n、m及びkのそれぞれは、2以上の整数である。
【0096】
本実施形態においては、蓄電セル112が液体又はゲル状の電解質214を含む場合を例として、蓄電セル112の詳細が説明された。しかしながら、蓄電セル112は、本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電セル112は、液体又はゲル状の電解質214を実質的に含まなくてもよい。この場合、セパレータ230は、固体電解質を含んでもよく、実質的に固体電解質により構成されていてもよい。
【0097】
(正極集電体222及び/又は負極集電体242の概要)
図4,
図5、
図6、
図7及び
図8を用いて、集電体400の一例が説明される。集電体400は、例えば、正極集電体222及び/又は負極集電体242として用いられる。
【0098】
図4は、集電体400の一例を概略的に示す。
図4は、集電体400の上面図の一例である。
図5は、集電体400のA-A断面の一例を概略的に示す。
図6は、集電体400のB-B断面の一例を概略的に示す。
図7は、集電体400の各部の位置関係の一例を概略的に示す。
図8は、集電体400の各部と、蓄電セル112の他の部材との位置関係の一例を概略的に示す。
【0099】
(集電体400の構造)
図4に示されるとおり、本実施形態において、集電体400は、支持層420と、導電層440とを備える。本実施形態においては、支持層420の周縁部422に導電層440が形成されていない場合を例として、集電体400の詳細が説明される。
【0100】
図5及び
図6に示されるとおり、本実施形態において、支持層420は、第1平面522と、第2平面524と、側面526とを有する。本実施形態において、導電層440は、支持層420の第1平面522に配される導電層542と、支持層420の第2平面524に配される導電層544とを有する。本実施形態において、導電層542には、1以上の開口450が形成される。本実施形態において、導電層544には、1以上の開口550が形成される。
【0101】
図5、
図6及び
図7に示されるとおり、本実施形態において、導電層542及び導電層544のそれぞれは、集電部562と、タブ部564とを備える。本実施形態において、導電層542及び導電層544のそれぞれのタブ部564は、接続領域566と、露出領域568とを有する。
【0102】
本実施形態において、支持層420は、集電部562と、タブ部564の露出領域568とを支持する本体領域762を有する。本体領域762は、任意の形状を有してよい。一体化領域320は、本体領域762の内側に設定される。また、支持層420は、タブ部564の接続領域566を支持する突出領域764を有する。突出領域764は、一体化領域320の外側に配される。突出領域764は、本体領域762の外縁の一部から、本体領域762の外側に向かって突出する。突出領域764は、任意の形状を有してよい。
【0103】
タブ部564の接続領域566は、端子202若しくは端子204、又は、端子202若しくは端子204と導電層440とを電気的に接続する配線(図示されていない。)と接続される。導電層542のタブ部564の露出領域568には、1以上の開口450が形成される。導電層544のタブ部564の露出領域568には、1以上の開口550が形成される。
【0104】
図8に示されるとおり、本実施形態において、上述された一体化領域320は、支持層420の周縁部422の少なくとも一部、及び、導電層440の露出領域568に設定される。周縁部422及び露出領域568においては、支持層420に含まれる樹脂材料が、導電層440に覆われることなく、集電体400の表面に露出している。これにより、例えば、少なくとも2個の集電体400が積層された状態で、一体化領域320が加熱及び押圧されると、少なくとも2個の支持層420のそれぞれに含まれる樹脂材料が溶融して一体化する。
【0105】
図8に示されるとおり、本実施形態において、導電層542及び導電層544の少なくとも一方の集電部562は、正極活物質層224又は負極活物質層244が配される活物質領域840を有する。例えば、集電体400が、積層体212の最も外側に配される電極用の集電体として用いられる場合、導電層542及び導電層544の一方の集電部562が活物質領域840を有する。例えば、集電体400が、積層体212の最も外側に配される電極以外の電極用の集電体として用いられる場合、導電層542及び導電層544の両方の集電部562が活物質領域840を有する。
【0106】
(集電体400の各部の説明)
本実施形態において、支持層420は、導電層542及び導電層544を支持する。これにより、導電層542及び導電層544の破損が抑制される。支持層420の密度は、導電層542及び導電層544の密度より小さい。例えば、支持層420は、密度が導電層542又は導電層544の密度よりも小さな材料により構成される。支持層420は、樹脂材料を含むシートであってもよく、シート状の樹脂材料であってもよい。
【0107】
上記の樹脂材料は、熱可塑性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよい。支持層420は、単一の種類の樹脂材料により構成されてもよく、複数の種類の樹脂材料を含んでもよい。上述されたとおり、積層された複数の集電体400の一部を溶着により一体化させる場合、上記の樹脂材料は、主に熱可塑性樹脂を含むこと、又は、実質的に熱可塑性樹脂により構成されることが好ましい。上記の樹脂材料の融点又は軟化点は、導電層440の主成分の融点又は軟化点より小さくてもよい。
【0108】
支持層420の導電率は特に限定されるものではないが、支持層420の導電率は、導電層542又は導電層544の導電率より小さくてもよい。支持層420の厚さは特に限定されるものではないが、支持層420の厚さは、導電層542又は導電層544の厚さより大きくてもよい。支持層420の厚さが大きくなると、支持層420の質量も大きくなる。そこで、支持層420がシート状の樹脂材料である場合、支持層420の厚さは、10μm以下であってもよく、7μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがさらに好ましい。
【0109】
本実施形態において、導電層440は、支持層420の少なくとも一方の面に形成される。本実施形態において、導電層440は、支持層420よりも優れた導電性を有する。
【0110】
本実施形態において、導電層542及び導電層544は、導電性材料を含む。導電性材料は、支持層420に含まれる樹脂材料よりも優れた導電性を有してよい。導電性材料は、抵抗率が8.0×10-8[Ω・m]以上の材料であってよい。導電性材料は、金属であってよい。上記の金属としては、アルミニウム、ステンレススチール、ニッケル又はこれらの合金などが例示される。ステンレススチールとしては、SUS-430、SUS-304などが例示される。導電性材料は、アルミニウムであってもよい。
【0111】
導電層542及び/又は導電層544の厚さ(
図5又は
図6の図中、上下方向の長さとして示される。)は、0.05μm~7μmであってよい。導電層542及び/又は導電層544の厚さは、0.05μm~5μmであってもよく、0.1μm~3μmであってもよく、0.1μm~2μmであってもよく、0.5μm~1μmであってもよい。導電層542及び/又は導電層544の厚さは、0.05μm~4μmであってもよく、0.05μm~3μmであってもよく、0.05μm~2μmであってもよく、0.05μm~1μmであってもよい。導電層542及び/又は導電層544の厚さは、0.1μm~5μmであることが好ましく、0.1μm~1μmであることがさらに好ましい。
【0112】
市販のアルミニウム箔は、比較的薄いアルミニウム箔であっても6~10μmの厚さを有する。そのため、集電体400が、5μm以下の厚さを有する導電層542及び/又は導電層544を備えることにより、導電層542及び/又は導電層544として市販のアルミニウム箔が用いられた場合と比較して、蓄電セルの単位質量当たりのエネルギー密度[Wh/kg-蓄電セル]が向上する。
【0113】
導電層542及び/又は導電層544の少なくとも一方は、上記の厚さを有する層状又は箔状のアルミニウムであってよい。層状又は箔状のアルミニウムは、貼り付けにより支持層420の表面に配されてもよく、蒸着法、堆積法などにより支持層420の表面に形成されてもよい。
【0114】
導電層542及び/又は導電層544の厚さが7μm以下である場合、蓄電セル112の質量エネルギー密度が向上する。導電層542及び/又は導電層544の厚さが5μm以下である場合、蓄電セル112の質量エネルギー密度がさらに向上する。導電層542及び/又は導電層544の厚さが1μm以下である場合、蓄電セル112の質量エネルギー密度が大きく向上する。一般的に、導電層の厚さが0.1μm以下又は0.1μm未満になると、導電層が破損しやすくなる。しかしながら、本実施形態に係る導電層542及び導電層544は、支持層420により支持されている。そのため、導電層542及び/又は導電層544の厚さが0.05~0.1μm程度の場合であっても、導電層542及び/又は導電層544の破損が抑制され得る。
【0115】
本実施形態において、1以上の開口450のそれぞれは、導電層542を貫通し、支持層420を貫通することなく支持層420の一部を露出させる。1以上の開口450のそれぞれは、任意の形状を有してよい。同様に、1以上の開口550のそれぞれは、導電層544を貫通し、支持層420を貫通することなく支持層420の一部を露出させる。1以上の開口550のそれぞれは、任意の形状を有してよい。
【0116】
開口450は、例えば、円相当径で10~1000μmの大きさを有する。開口450の大きさは、円相当径で100~700μmであってもよく、300~500μmであることが好ましい。開口450の大きさが小さいほど、導電層542の電気抵抗が小さくなる。一方、開口450の大きさが小さいほど、開口内における溶融した樹脂材料の流動性が低下し、複数の集電体400の一体化が困難になる。導電層542に複数の開口450が形成される場合、複数の開口450の中心間の距離は、80~1000μmであってよく、300~700μmであることが好ましい。
【0117】
一体化領域320において、導電層542の面積に対する、1以上の開口450の面積の合計値の割合(開口率と称される場合がある。)は、5~80%であってよい。上記の一体化領域320における導電層542の開口率は、10~70%であることが好ましい。上記の開口率は、一体化領域320の内部に配された1以上の開口450の面積の合計値を、一体化領域320及び導電層542の重複領域の面積で除して得られた値に、100を乗じることで算出される。なお、一体化領域320の内部に配された1以上の開口450の面積の合計値は、一体化領域320と、1以上の開口450のそれぞれとの重複部分の面積の合計値として算出される。
【0118】
同様に、開口550は、例えば、0~1000μmの大きさを有する。開口450の大きさは、円相当径で100~700μmであってもよく、300~500μmであることが好ましい。導電層544に複数の開口550が形成される場合、複数の開口550の中心間の距離は、80~1000μmであってよく、300~700μmであることが好ましい。
【0119】
一体化領域320において、導電層544の面積に対する、1以上の開口550の面積の合計値の割合(開口率と称される場合がある。)は、5~80%であってよい。上記の一体化領域320における導電層544の開口率は、10~70%であることが好ましい。上記の開口率は、一体化領域320の内部に配された1以上の開口550の面積の合計値を、一体化領域320及び導電層544の重複領域の面積で除して得られた値に、100を乗じることで算出される。なお、一体化領域320の内部に配された1以上の開口550の面積の合計値は、一体化領域320と、1以上の開口550のそれぞれとの重複部分の面積の合計値として算出される。
【0120】
本実施形態において、集電部562には、正極活物質層224又は負極活物質層244が形成される。集電部562は、正極活物質層224又は負極活物質層244と、タブ部564とを電気的に接続する。
【0121】
本実施形態において、タブ部564は、集電部562の一部から集電部562の外部に向かって延伸するように形成される。タブ部564は、集電部562と、端子202又は端子204とを電気的に接続する。タブ部564の幅Wtは、集電部562の幅Wbより小さくてよい。タブ部564の長さLtは、集電部562の長さLbより小さくてよい。
【0122】
本実施形態において、タブ部564における接続領域566の位置は特に限定されるものではないが、接続領域566は、例えば、タブ部564の端部に配される。接続領域566は、露出領域568と比較して、集電部562及びタブ部564の境界から離れた位置に配されてよい。
【0123】
本実施形態において、露出領域568は、例えば、集電部562及びタブ部564の境界の近傍に配される。一実施形態において、露出領域568は、例えば、露出領域568の少なくとも一部がタブ部564の内側に配される。他の実施形態において、露出領域568の少なくとも一部が集電部562の内側に配される。さらに他の実施形態において、露出領域568の全体がタブ部564の内側に配される。
【0124】
露出領域568の幅Weは、タブ部564の幅Wtと略同一であってもよく、タブ部564の幅Wtより小さくてもよい。一体化領域320が略多角形の形状を有する場合、タブ部564の幅Wtは、上記の略多角形を構成する複数の辺のうちタブ部564が配される辺に含まれる周縁部422の最長の幅Wpeより小さくてもよい。露出領域568の長さLeは、タブ部564の長さLtより小さくてよい。
【0125】
集電部562に隣接する周縁部422の幅Wbr及びWblは、0.5mm以上であってよい。これにより、十分な強度を有する一体化領域320が容易に形成され得る。
【0126】
集電部562に隣接する周縁部422の長さLpbは、0.5mm以上であってよい。これにより、十分な強度を有する一体化領域320が容易に形成され得る。
【0127】
集電部562に隣接する周縁部422の長さLpeは、0.5mm以上であってよい。これにより、十分な強度を有する一体化領域320が容易に形成され得る。上記の長さLpeは、上記のLpbと略同一であってもよく、上記のLpbより大きくてもよい。
【0128】
タブ部564に隣接する周縁部422の幅Wtr及びWtlは特に限定されるものではないが、上記の幅Wtr及びWtlは0.5mm以上であってよい。タブ部564に隣接する周縁部422の長さLptは特に限定されるものではないが、上記の長さLptは0.5mm以上であってよい。
【0129】
一体化領域320の幅Wjrは、集電部562に隣接する周縁部422の幅Wbrと略同一であってもよく、上記の幅Wbrより小さくてもよい。一体化領域320の幅Wjlは、集電部562に隣接する周縁部422の幅Wblと略同一であってもよく、上記の幅Wblより小さくてもよい。一体化領域320の長さLjbは、集電部562に隣接する周縁部422の長さLpbと略同一であってもよく、上記の長さLpbより小さくてもよい。一体化領域320の長さLjbは、上記の長さLjbと略同一であってもよく、上記の長さLjbと異なってもよい。一体化領域320が略多角形の形状を有する場合、上記の略多角形を構成する複数の辺のうちタブ部564が配される辺における一体化領域320の長さLjtは、上記の長さLjbより大きくてよい。
【0130】
本実施形態において、活物質領域840は、集電部562の内部に形成される。そのため、活物質領域840の幅Waは、集電部562の幅Wbと略同一であってもよく、上記の幅Wbより小さくてもよい。活物質領域840の長さLaは、集電部562の長さLbと略同一であってもよく、上記の長さLbより小さくてもよい。活物質領域840の面積Wa×Laと、集電部562の面積Wb×Lbとの比は、1:1~1.5であってもよく、1:1~1:1.2であることが好ましい。上記の比は、1:1~1:1.1であってもよい。
【0131】
開口450は、露出部又は露出部の一部の一例であってよい。開口550は、露出部又は露出部の一部の一例であってよい。第1平面522及び第2平面524の一方は、第1面及び第2面の一方の一例であってよい。第1平面522及び第2平面524の他方は、第1面及び第2面の他方の一例であってよい。導電層542及び導電層544の一方は、第1導電層及び第2導電層の一方の一例であってよい。導電層542及び導電層544の他方は、第1導電層及び第2導電層の他方の一例であってよい。集電部562は、本体部の一例であってよい。本体部は、本体部材の一例であってよい。タブ部564は、延伸部の一例であってよい。延伸部は、延伸部材の一例であってよい。露出領域568は、露出部の一例であってよい。
【0132】
(別実施形態の一例)
本実施形態においては、露出領域568が、導電層440のタブ部564と、一体化領域320との重複部分に形成され、導電層440の集電部562には露出領域568が形成されない場合を例として、集電体400の詳細が説明された。しかしながら、集電体400は、本実施形態に限定されない。
【0133】
他の実施形態において、露出領域568が、導電層440と、一体化領域320との重複部分に加えて、導電層440の上記重複部分以外の領域にも露出領域568が形成される。蓄電セル112及び/又は集電体400の設計の自由度が向上する。また、開口450、開口550、及び/又は、一体化領域320の位置決めの精度が低減され得る。その結果、例えば、蓄電セル112及び/又は集電体400の製造工程が簡略化され得る。
【0134】
本実施形態においては、導電層440の導電層542及び導電層544の両方に開口が形成される場合を例として、集電体400の詳細が説明された。しかしながら、集電体400は、本実施形態に限定されない。他の実施形態おいて、導電層440の導電層542及び導電層544の少なくも一方に開口が形成される。
【0135】
本実施形態においては、支持層420に、支持層420を貫通する貫通孔が形成されていない場合を例として、集電体400の詳細が説明された。しかしながら、集電体400は、本実施形態に限定されない。他の実施形態において、支持層420に、支持層420を貫通する貫通孔が形成される。これにより、蓄電セル112の単位質量当たりのエネルギー密度[Wh/kg-蓄電セル]が向上する。上記の貫通孔は、支持層420の露出領域568以外の領域に形成されてもよく、支持層420の露出領域568の内部に形成されてもよい。上記の貫通孔が支持層420の露出領域568の内部に形成される場合、上記の貫通孔は、露出領域568に配された開口から支持層420の一部が露出するように形成される。
【0136】
図9は、集電体900の上面図の一例を概略的に示す。集電体900は、例えば、正極集電体222及び/又は負極集電体242として用いられる。
【0137】
集電体900は、集電体400の他の例であってよい。集電体900は、(i)接続領域566に、支持層420、導電層542及び導電層544を貫通する1以上の貫通孔950が形成される点と、(ii)貫通孔950の内部に、導電層542及び導電層544を電気的に接続する導電部材952が配される点とにおいて、集電体400と相違する。上記の相違点を除き、集電体900は、集電体400と同様の構成を有してよい。
【0138】
本実施形態において、1以上の貫通孔950のそれぞれは、導電層542のタブ部564の一部を貫通し、支持層420の一部を貫通し、導電層544のタブ部564の一部を貫通する。貫通孔950は、支持層420を貫通する点で、開口450又は開口550と相違する。貫通孔950の形状は特に限定されるものではないが、貫通孔950の形状としては、略円形、略楕円形、略多角形などが例示される。
【0139】
上述されたとおり、本実施形態によれば、導電層542には、1以上の開口450が形成されており、導電層544には、1以上の開口550が形成されている。この場合において、1以上の開口450の円相当径の平均値又は1以上の開口550の円相当径の平均値と、1以上の貫通孔950の円相当径の平均値とが異なってよい。
【0140】
タブ部564の面積に対する、1以上の貫通孔950の面積の合計値の割合(貫通孔率と称される場合がある。)は、10~50%であってよい。上記のタブ部564の貫通孔率は、10~30%であることが好ましい。タブ部564の貫通孔率は、タブ部564に形成された1以上の貫通孔950の面積の合計値を、タブ部564の面積で除して得られた値に、100を乗じることで算出される。なお、タブ部564に1以上の開口450が形成されている場合、上記のタブ部564の面積は、当該1以上の開口450の面積を含む。
【0141】
本実施形態において、導電部材952は、支持層420よりも優れた導電性を有する。導電部材952は、導電性材料を含む。導電性材料は、支持層420に含まれる樹脂材料よりも優れた導電性を有してよい。導電部材952に含まれる導電性材料としては、導電層542及び/又は導電層544に関連して説明された導電性材料と同様の材料が用いられ得る。導電部材952の組成は、導電層542及び/又は導電層544の組成と略同一であってよい。例えば、導電部材952は、支持層420の上に導電層542及び/又は導電層544を作製する工程において、導電層542及び/又は導電層544と同一の原料を用いて作製される。
【0142】
一実施形態によれば、導電部材952は、貫通孔950の内壁の表面に形成される。この場合、上記の貫通孔950の内部には、導電層542、支持層420及び導電層544を貫通する孔が存在する。他の実施形態によれば、導電部材952により貫通孔950の内部が充填されるように、導電部材952が形成される。
【0143】
貫通孔950は、第1導電層、支持層及び第2導電層を貫通する貫通孔の一例であってよい。導電部材952は、接続部材の一例であってよい。
【0144】
(別実施形態の一例)
本実施形態においては、貫通孔950が接続領域566の内側に配され、接続領域566の外側には貫通孔950が形成されない場合を例として、集電体400の詳細が説明された。しかしながら、集電体400は、本実施形態に限定されない。他の実施形態において、接続領域566の内側だけでなく、接続領域566の外側にも、貫通孔950が形成されてよい。また、接続領域566の外側に形成された貫通孔950の少なくとも一部の内部に、導電部材952が形成されてよい。
【0145】
図10は、集電体1000の上面図の一例を概略的に示す。集電体1000は、例えば、正極集電体222及び/又は負極集電体242として用いられる。
【0146】
集電体1000は、集電体400又は集電体900の他の例であってよい。集電体1000は、(i)集電体900と比較してLpb、Wbl及びWbrが小さい点と、(ii)露出領域568が、集電部562の略全体に設定されている点とにおいて、集電体900と相違する。上記の相違点を除き、集電体1000は、集電体900と同様の構成を有してよい。
【0147】
上述されたとおり、本実施形態においては、露出領域568が、集電部562の略全体に設定されている。これにより、導電層542の集電部562に複数の開口450が形成される。例えば、複数の開口450が、導電層542の集電部562の全体に略均等に配される。同様に、導電層544の集電部562に複数の開口550が形成される。例えば、複数の開口550が、導電層544の集電部562の全体に略均等に配される。
【0148】
本実施形態においては、複数の開口450及び/又は複数の開口550の少なくとも一部が、集電部562の周縁部の少なくとも一部に配される。これにより、蓄電セル112及び/又は集電体400の設計の自由度が向上する。また、集電体1000を作製する場合に要求される位置合わせの精度を低減させることができる。
【0149】
図11は、正極220又は負極240(単に、電極と称される場合がある。)を生産する方法の一例を概略的に示す。
図11においては、集電体900を備える正極220を生産する場合を例として、集電体又は電極を生産する方法の一例が説明される。また、
図11においては、1枚の樹脂シートを用いて複数の集電体900を作製する場合を例として、集電体又は電極を生産する方法の一例が説明される。
【0150】
本実施形態によれば、まず、ステップ1112(ステップがSと省略される場合がある。)において、熱可塑性樹脂を含む樹脂シートが準備される。樹脂シートは、集電体900の支持層420として機能する。樹脂シートにおいて、複数の集電体900のそれぞれの接続領域566となる複数の領域のそれぞれに、複数の貫通孔を形成する。
【0151】
次に、S1114、S1116、S1118において、樹脂シートの少なくとも一方の面に、導電層440が形成される。まず、S1114において、貫通孔が形成された樹脂シートの少なくとも一方の面に、導電層542又は導電層544を形成するためのマスキング層が形成される。例えば、樹脂シートにおいて、集電体900の周縁部422、及び、開口450又は開口550に対応する位置に、マスキング層が形成される。マスキング層の材料としては、公知の任意の材料が用いられ得る。同様に、マスキング層の作製方法としては、公知の任意の方法が採用され得る。
【0152】
次に、S1116において、マスキング層が形成された樹脂シートの表面に、導電層440の原料を含むペーストが塗布される。上記のペーストは、当該ペーストが樹脂シートに形成された貫通孔の内部に侵入するように調整されてよい。これにより、導電部材952を有する貫通孔950が形成される。
【0153】
その後、ペーストを乾燥するための処理が実施される。これにより、樹脂シートの少なとも一方の面に導電性材料が配置される。具体的には、ペーストに含まれる導電性材料が、開口450を有する導電層542及び/又は開口550を有する導電層544を形成する。
【0154】
上記のペーストが十分に乾燥した後、S1118において、マスキング層が樹脂シートから除去される。これにより、樹脂シートの一方の面に、周縁部422及び開口450を有する導電層542が形成される。同様の手順により、樹脂シートの他方の面に、周縁部422及び開口550を有する導電層544が形成され得る。これにより、正極集電体222として用いられる集電体900が得られる。
【0155】
次に、S1120において、導電層440の少なくとも一方の面に、正極活物質を含む正極活物質層224が形成される。例えば、導電層542及び導電層544のそれぞれの活物質領域840の上に、正極活物質層224の原料を含むペーストが塗布される。上記のペーストを乾燥させることで、正極活物質層224が形成される。
【0156】
上述されたとおり、本実施形態によれば、単一の樹脂シートに複数の電極が形成される。そこで、S1122において、複数の電極のそれぞれが、樹脂シートから切り出される。これにより、正極220が得られる。
【0157】
S1114~S1118は、導電層形成段階の一例であってよい。S1116は、配置段階の一例であってよい。S1112~S1118は、集電体を生産する方法、又は、集電体を準備する段階の一例であってよい。S1120は、活物質層形成段階の一例であってよい。活物質領域840は、導電層の本体部又は本体部材の少なくとも一部の一例であってよい。
【0158】
(別実施形態の一例)
本実施形態においては、マスキング層が形成された樹脂シートの表面に、導電層440の原料を含むペーストが塗布されることで、導電層542、導電層544及び導電部材952が形成される場合を例として、集電体900の製造方法の詳細が説明された。しかしながら、集電体900の製造方法は、本実施形態に限定されない。他の実施形態において、導電層542、導電層544及び導電部材952の少なくとも1つは、各種の堆積法、メッキ法などにより形成されてよい。
【0159】
本実施形態においては、導電層542及び導電層544のそれぞれの活物質領域840の上に、活物質層が形成される場合を例として、電極の製造方法の詳細が説明された。しかしながら、電極の製造方法は、本実施形態に限定されない。他の実施形態において、導電層542及び導電層544の少なくとも一方を覆うように、活物質層が形成されてよい。
【0160】
図12は、蓄電セル112を生産する方法の一例を概略的に示す。本実施形態によれば、まず、
図11に関連して説明された電極を生産する方法により、1個の正極220と、2個の負極240とが作製される。また、リード1222と、リード1242とが作製される。リード1222は、例えば、外部の機器と、正極集電体222とを電気的に接続するために用いられる。リード1242は、例えば、外部の機器と、負極集電体242とを電気的に接続するために用いられる。
【0161】
本実施形態において、正極220は、正極集電体222の両面に正極活物質層224を有する。また、正極220の正極集電体222のタブ部564に配された接続領域566には、蓄電セル112の正極端子として機能するリード1222が接続されている。
【0162】
上述されたとおり、正極集電体222を構成する集電体400の支持層420の第1平面522の表面には、導電層542が形成されている。同様に、上記の支持層420の第2平面524の表面には、導電層544が形成されている。本実施形態においては、説明を簡単にすることを目的として、例えば、リード1222と、タブ部564の接続領域566に配された導電層542とが、溶接により結合される。
【0163】
本実施形態において、2個の負極240のそれぞれは、負極集電体242の一方の面に負極活物質層244を有する。例えば、一方の負極240(説明を簡単にすることを目的として、
図12において最下層に配される負極240が、下側の負極240と称される場合がある。)を構成する集電体400の導電層542の表面に、負極活物質層244が配される。同様に、他方の負極240(上側の負極240と称される場合がある。)を構成する集電体400の導電層544の表面に、負極活物質層244が配される。
【0164】
次に、負極240と、セパレータ230と、リード1222が溶接された正極220と、セパレータ230と、負極240と、リード1242とを用いて、蓄電セル112が組み立てられる。具体的には、まず、負極240、セパレータ230、正極220、セパレータ230及び負極240をこの順に積層する(積層段階と称される場合がある)。また、下側の負極240のタブ部564の接続領域566に配された導電層544の表面に、リード1242が配される。
【0165】
この時、上記の各部材は、2個の負極集電体242の周縁部と、正極集電体222の周縁部とが略一致するように積層される。また、上記の各部材は、2個の負極集電体242のタブ部564の接続領域566が略一致するように積層される。なお、本実施形態において、2個の負極集電体242のタブ部564の接続領域566と、リード1242とは、まだ一体化されていない。
【0166】
上述されたとおり、正極220の導電層542の表面には、リード1222が配される。また、下側の負極240の表面には、リード1242が配される。これにより、
図12に示される実施形態おいては、下から順に、(i)リード1242、(ii)下側の負極240の導電層544、支持層420及び導電層542、(iii)下側の負極240の負極活物質層244、(iv)セパレータ230、(v)正極220の正極活物質層224、(vi)正極220の導電層544,支持層420及び導電層542、(vii)正極220の正極活物質層224と、リード1222、(viii)セパレータ230、(ix)上側の負極240の負極活物質層244、並びに、(x)上側の負極240の導電層544、支持層420及び導電層542が積層される。
【0167】
次に、正極集電体222及び負極集電体242の周縁部に設定された一体化領域320を加熱する(一体化段階と称される場合がある)。これにより、一体化領域320において、正極集電体222の支持層420に含まれる樹脂材料と、負極集電体242の支持層420に含まれる樹脂材料とが溶着して一体化する。その結果、1個の正極集電体222と、2個の負極集電体242とが一体化して、正極活物質層224、セパレータ230及び負極活物質層244を封止する(封止段階と称される場合がある)。
【0168】
その後、2個の負極集電体242のタブ部564の接続領域566と、リード1242とが、溶接により一体化される。これにより、上述された蓄電セル112が得られる。
【0169】
(別実施形態の一例)
本実施形態においては、蓄電セル112の最も外側に配される2個の負極集電体242の両面に導電層が配される場合を例として、蓄電セル112の詳細が説明された。しかしながら、蓄電セル112は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電セル112の最も外側に配される2個の集電体の少なくとも一方は、外側の面に導電層を備えなくてもよい。蓄電セル112の最も外側に配される電極の種類は、例えば、正極220及び負極240のうち、価格の低い電極の個数が多くなるように決定される。
【0170】
本実施形態においては、蓄電セル112が、1個の正極220と、2個の負極240とを備える場合を例として、蓄電セル112を生産する方法の詳細が説明された。しかしながら、蓄電セル112は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電セル112は、正極活物質層224及び負極活物質層244がセパレータ230を介して対向するように配されていればよく、正極220及び負極240の個数は特に限定されない。
【0171】
本実施形態においては、全ての正極220が正極集電体222を備え、全ての負極240が負極集電体242を備える場合を例として、蓄電セル112を生産する方法の詳細が説明された。しかしながら、蓄電セル112は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電セル112の最も外側に配される2個の電極を除く1以上の電極の少なくとも一部は、集電体を備えなくてもよい。例えば、負極活物質としてリチウム箔のような金属箔が用いられる場合、負極の一部は負極集電体を備えない。
【0172】
本実施形態においては、2個の負極240のそれぞれの接続領域566にリード1242が接続されている場合を例として、蓄電セル112を生産する方法の詳細が説明された。しかしながら、蓄電セル112は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、2個の負極240の少なくとも一方の接続領域566にリード1242が接続される。
【0173】
リード1222は、第1端子、及び、外部の機器と第2集電体とを電気的に接続するための第2端子の一方の一例であってよい。リード1242は、第1端子及び第2端子の他方の一例であってよい。蓄電池110は、外部の機器の一例であってよい。蓄電池110を充電する充電装置は、外部の機器の一例であってよい。電力制御回路120は、外部の機器の一例であってよい。電動機130は、外部の機器の一例であってよい。センサ150は、外部の機器の一例であってよい。制御装置160は、外部の機器の一例であってよい。
【0174】
図13は、蓄電セル112の上面の一例を概略的に示す。
図13に示されるとおり、本実施形態において、リード1222は、一体化領域320の外側において、正極集電体222の導電層440の接続領域566と電気的に接続される。具体的には、溶接箇所1322において、リード1222と、導電層440とが溶接される。同様に、リード1242は、一体化領域320の外側において、負極集電体242の導電層440の接続領域566と電気的に接続される。具体的には、溶接箇所1342において、リード1242と、導電層440とが溶接される。本実施形態によれば、2個の負極集電体242のそれぞれに含まれる導電層440は、貫通孔950に配された導電部材952を介して電気的に接続される。
【0175】
図14は、蓄電セル1412の断面の一例を概略的に示す。蓄電セル1412は、蓄電セル112の他の例を示す。本実施形態によれば、蓄電セル1412は、2個の正極220と、1個の負極240とが、2個のセパレータ230を介して積層されている点で、蓄電セル112と相違する。また、本実施形態によれば、負極240が負極集電体242を有しない点で、蓄電セル112と相違する。この場合において、負極活物質層244は、
図4~
図10に関連して説明された導電層440と同様の形状を有してよい。
【0176】
上記の相違点を除き、蓄電セル1412は、蓄電セル112と同様の構成を有してよい。これにより、本実施形態においては、蓄電セル1412の最も外側に配される2個の正極集電体222の一部が一体化されることにより、正極活物質層224、セパレータ230、負極活物質層244、セパレータ230及び正極活物質層224がこの順に積層されてなる積層体が、上記の2個の正極集電体222の内部に封止される。
【0177】
(別実施形態の一例)
本実施形態においては、2個の正極220と、1個の負極240とが、2個のセパレータ230を介して積層されている場合を例として、蓄電セル1412の詳細が説明された。しかしながら、蓄電セル1412は、本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電セル112は、正極活物質層224及び負極活物質層244がセパレータ230を介して対向するように配されていればよく、正極220及び負極240の個数は特に限定されない。
【0178】
蓄電セル1412の他の例によれば、(i)蓄電セル1412は、1個の正極220と、2個の負極240とが、2個のセパレータ230を介して積層された積層体を備え、(ii)蓄電セル1412の最も外側に配される2個の負極集電体242の一部が一体化されることにより、上記の積層体が上記の2個の負極集電体242の内部に封止される。この場合において、正極220は、正極集電体222を有してもよく、正極集電体222を有しなくてもよい。
【0179】
図15は、蓄電セル1512の断面の一例を概略的に示す。蓄電セル1512は、蓄電セル112の他の例を示す。本実施形態によれば、蓄電セル1512は、最も外側に配される2個の集電体の一方が正極集電体222であり、上記の2個の集電体の他方が負極集電体242である点で、蓄電セル112と相違する。本実施形態においては、蓄電セル1512の最も外側に配される電極が集電体を備え、それ以外の電極は集電体を備えない場合を例として、蓄電セル1512の詳細が説明される。しかしながら、蓄電セル1512は本実施形態に限定されない。例えば、上記の相違点を除き、蓄電セル1512は、蓄電セル112及び/又は蓄電セル1412と同様の構成を有してよい。
【0180】
図15に示されるとおり、本実施形態において、蓄電セル1512は、(i)正極集電体222と、正極活物質層224と、セパレータ230と、負極活物質層244と、セパレータ230と、正極活物質層224と、セパレータ230と、負極活物質層244と、負極集電体242とが、この順に積層され、(ii)蓄電セル1512の最も外側に配される正極集電体222及び負極集電体242の一部が一体化されることにより作製される。これにより、正極活物質層224と、セパレータ230と、負極活物質層244と、セパレータ230と、正極活物質層224と、セパレータ230と、負極活物質層244とがこの順に積層されてなる積層体が、正極集電体222及び負極集電体242により封止される。
【0181】
図16は、蓄電セル1612の上面の一例を概略的に示す。蓄電セル1612は、蓄電セル112の他の例を示す。本実施形態においては、蓄電セル1612の最も外側に配される2個の電極のそれぞれを構成する集電体の支持層の形状が矩形であり、当該2個の電極の間に配される1以上の電極のそれぞれを構成する集電体が、上述された集電体400と同様の形状(すなわち、L字型の形状である。)を有する場合を例として、蓄電セル1612の詳細が説明される。
【0182】
なお、蓄電セル1612の最も外側に配される2個の電極のそれぞれを構成する集電体は、支持層420の形状が矩形である点と、導電層440に開口450が形成されていない点とを除いて、集電体400、集電体900又は集電体1000と同様の構成を有してよい。また、上記以外の電極を構成する集電体は、導電層440に開口450が形成されていない点を除いて、集電体400、集電体900又は集電体1000と同様の構成を有してよい。
【0183】
より具体的には、蓄電セル1612は、複数の正極220と、複数の負極240とを備える点で、蓄電セル112と相違する。加えて、本実施形態に係る蓄電セル1612は、一体化領域320の内側において、正極集電体222の導電層440のタブ部564に設定された接続領域566に配された導電層542及び導電層544と、リード1222とが電気的に接続されている点で、蓄電セル112と相違する。同様に、蓄電セル1612は、一体化領域320の内側において、負極集電体242の導電層440のタブ部564に設定された接続領域566に配された導電層542及び導電層544と、リード1242とが電気的に接続されている点で、蓄電セル112と相違する。
【0184】
本実施形態において、リード1222には、正極集電体222の支持層420を露出させるための開口450が形成されていない。そのため、例えば溶着により一体化領域320を一体化させるときに、リード1222と、正極集電体222とを一体化させることができない。そこで、本実施形態において、蓄電セル1612は、リード1222及び正極集電体222の間に配されるシール部材1622を備える。シール部材1622としては、タブ用のシーラントとして公知の材料が用いられる。
【0185】
シール部材1622は、例えば、リード1222の一体化領域320に対応する部分を覆うように配される。例えば、接続領域566において、リード1222が、第1の正極220の導電層440と、第2の正極220の導電層440とに接して配置される場合、一体化領域320において、第1の正極220の支持層420と、リード1222と、シール部材1622と、第2の正極220の支持層420とがこの順に積層する。これにより、一体化領域320が溶着されることで、一体化領域320の内部が封止される。第1の正極220及び第2の正極220の一方は、蓄電セル1612を構成する複数の正極220のうち、最も外側に配される正極220であってよい。
【0186】
同様に、例えば、接続領域566において、リード1222が、第1の正極220の導電層440と、第1の負極240の導電層440とに接して配置される場合、一体化領域320において、第1の正極220の支持層420と、リード1222と、シール部材1622と、第1の負極240の支持層420とがこの順に積層する。これにより、一体化領域320が溶着されることで、一体化領域320の内部が封止される。第1の正極220及び第1の負極240の一方は、蓄電セル1612を構成する複数の電極のうち、最も外側に配される電極であってよい。
【0187】
同様に、本実施形態において、リード1242には、負極集電体242の支持層420を露出させるための開口が形成されていない。そのため、例えば溶着により一体化領域320を一体化させるときに、リード1242と、負極集電体242とを一体化させることができない。そこで、本実施形態において、蓄電セル1612は、リード1242及び負極集電体242の間に配されるシール部材1642を備える。シール部材1642としては、タブ用のシーラントとして公知の材料が用いられる。
【0188】
シール部材1642は、例えば、リード1242の一体化領域320に対応する部分を覆うように配される。例えば、接続領域566において、リード1242が、第1の負極240の導電層440と、第2の負極240の導電層440とに接して配置される場合、一体化領域320において、第1の負極240の支持層420と、リード1242と、シール部材1642と、第2の負極240の支持層420とがこの順に積層する。これにより、一体化領域320が溶着されることで、一体化領域320の内部が封止される。第1の負極240及び第2の負極240の一方は、蓄電セル1612を構成する複数の負極240のうち、最も外側に配される負極240であってよい。
【0189】
同様に、例えば、接続領域566において、リード1242が、第1の負極240の導電層440と、第1の正極220の導電層440とに接して配置される場合、一体化領域320において、第1の負極240の支持層420と、リード1242と、シール部材1642と、第1の正極220の支持層420とがこの順に積層する。これにより、一体化領域320が溶着されることで、一体化領域320の内部が封止される。第1の負極240及び第1の正極220の一方は、蓄電セル1612を構成する複数の電極のうち、最も外側に配される電極であってよい。
【0190】
上記の相違点を除き、蓄電セル1612は、蓄電セル112、蓄電セル1412及び/又は蓄電セル1512と同様の構成を有してよい。例えば、蓄電セル1612においては、正極活物質層224及び負極活物質層244がセパレータ230を介して対向するように配されていればよく、蓄電セル1612に含まれる正極220及び負極240の個数は特に限定されない。また、蓄電セル1612の最も外側に配される2個の電極を除く1以上の電極の少なくとも一部は、集電体を備えなくてもよい。
【0191】
図17は、蓄電セル1612を構成する部品の一例を概略的に示す。本実施形態によれば、蓄電セル1612は、複数の正極220と、複数の負極240とを備える。本実施形態において、蓄電セル1612の最も外側には、例えば、正極220と、負極240とが配される。
【0192】
蓄電セル1612の最も外側に配される正極220(最外層の正極220と称される場合がある。)は、例えば、支持層420と、支持層420の一方の面に配された導電層440と、導電層440の上に配された正極活物質層224とを備える。上述されたとおり、本実施形態において、蓄電セル1612の最も外側に配される正極220の支持層420は、例えば、矩形の形状を有する。
【0193】
最外層の正極220以外の正極220は、例えば、支持層420と、支持層420の両方の面のそれぞれに配された2個の導電層440と、2個の導電層440のそれぞれの上に配された2個の正極活物質層224とを備える。本実施形態において、上記の支持層420は、例えば、集電部562を支持する本体領域762と、タブ部564の接続領域566を支持する突出領域764とからなるL字型の形状を有する。
【0194】
蓄電セル1612の最も外側に配される負極240(最外層の負極240と称される場合がある。)は、例えば、支持層420と、支持層420の一方の面に配された導電層440と、導電層440の上に配された負極活物質層244とを備える。上述されたとおり、本実施形態において、蓄電セル1612の最も外側に配される負極240の支持層420は、例えば、矩形の形状を有する。
【0195】
最外層の負極240以外の負極240は、例えば、支持層420と、支持層420の両方の面のそれぞれに配された2個の導電層440と、2個の導電層440のそれぞれの上に配された2個の負極活物質層244とを備える。本実施形態において、上記の支持層420は、例えば、集電部562を支持する本体領域762と、タブ部564の接続領域566を支持する突出領域764とからなるL字型の形状を有する。
【0196】
本実施形態によれば、セパレータ230を介して最外層の負極240に隣接する正極220(全体として2層目の正極220と称される場合がある。)の導電層440の接続領域566には、リード1222が配される。また、リード1222の一体化領域320に対応する部分を覆うように、シール部材1622が配される。これにより、一体化領域320において、全体として2層目の正極220の支持層420と、リード1222と、シール部材1622と、最外層の負極240の支持層420とがこの順に積層する。
【0197】
本実施形態によれば、セパレータ230を介して全体として2層目の正極220に隣接する負極240(全体として3層目の負極240と称される場合がある。)の導電層440の接続領域566には、リード1242が配される。また、リード1242の一体化領域320に対応する部分を覆うように、シール部材1642が配される。これにより、一体化領域320において、全体として3層目の負極240の支持層420と、リード1242と、シール部材1642と、最外層の負極240の支持層420とがこの順に積層する。
【0198】
本実施形態においては、複数の正極220と、複数の負極240とが、正極活物質層224及び負極活物質層244が対向するように配される。正極活物質層224及び負極活物質層244の間にはセパレータ230が配される。これにより、正極220及び負極240がセパレータ230を介して交互に積層された積層体が作製される。
【0199】
本実施形態によれば、まず、最外層の正極220以外の1以上の正極220(上述されたL字型の形状を有する正極220である。)と、最外層の負極240以外の1以上の負極240(上述されたL字型の形状を有する負極240である。)とが、1以上のセパレータ230を介して交互に積層される。これより、最外層の正極220と、最外層の負極240とを含まない積層体が作製される。
【0200】
次に、1以上の正極220の接続領域566において、リード1222と、1以上の正極220のタブ部564の導電層440とが溶接により一体化される。同様に、1以上の負極240の接続領域566において、リード1242と、1以上の負極240のタブ部564の導電層440とが溶接により一体化される。溶接手法及び溶接手順としては、公知の任意の手法及び手順が採用され得る。
【0201】
次に、上記の積層体の一方の側に、セパレータ230と、最外層の正極220とが配される。また、上記の積層体の他方の側に、セパレータ230と、最外層の負極240とが配される。上述されたとおり、最外層の正極220及び最外層の負極240は、矩形の形状を有する。その後、最外層の正極220及び最外層の負極240を含む積層体の一体化領域320が、一体化される。例えば、上記の積層体の一体化領域320が加熱される。これにより、積層体に含まれる正極220の正極集電体222の一体化領域320と、積層体に含まれる負極240の負極集電体242の一体化領域320とが、溶着により一体化される。以上の手順により、蓄電セル1612が作製される。
【0202】
(別実施形態の一例)
本実施形態においては、最外層の正極220の支持層420と、最外層の負極240の支持層420とが、矩形の形状を有する場合として、蓄電セル1612の詳細が説明された。しかしながら、蓄電セル1612は、本実施形態に限定されない。複数の正極220のそれぞれの支持層420の形状、及び、複数の負極240のそれぞれの支持層420の形状は、一体化領域320が一体化された場合に、一体化領域320の内部を封止することができる範囲で、任意に決定され得る。他の実施形態において、最上層の電極の支持層420が上述されたL字型の形状を有し、全体として上から2番目の電極の支持層420が矩形の形状を有してもよい。同様に、最下層の電極の支持層420が上述されたL字型の形状を有し、全体として下から2番目の電極の支持層420が矩形の形状を有してもよい。
【0203】
図18は、蓄電セル1612を構成する部品の他の例を概略的に示す。本実施形態においては、蓄電セル1612の最も外側に配される電極に含まれる支持層420は、本体領域762及び突出領域764を有し、上記以外の電極に含まれる支持層420が突出領域764を有しない点で、
図17に関連して説明された蓄電セル1612と相違する。
図18に関連して説明される蓄電セル1612は、上記の相違点を除き、
図17に関連して説明された蓄電セル1612と同様の構成を有してよい。
【0204】
(別実施形態の一例)
本実施形態においては、最外層の2個の電極のそれぞれの支持層420の一体化領域320が溶着されることにより、一体化領域320の内部が封止される場合を例として、蓄電セル1612の他の例の詳細が説明された。しかしながら、蓄電セル1612の他の例は、本実施形態に限定されない。他の実施形態において、最外層の2個の電極の間に配される1以上の電極のそれぞれの支持層420は、任意の形状を有してよい。上記の支持層420の形状によっては、最外層の2個の電極の間に配される1以上の電極の一部が、最外層の2個の電極のそれぞれの支持層420の一体化領域320が溶着されるときに、最外層の2個の電極のそれぞれの支持層420と一緒に溶着され得る。
【0205】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0206】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0207】
100 飛行体、110 蓄電池、112 蓄電セル、120 電力制御回路、130 電動機、140 プロペラ、150 センサ、160 制御装置、202 端子、204 端子、206 外装、212 積層体、214 電解質、220 正極、222 正極集電体、224 正極活物質層、230 セパレータ、240 負極、242 負極集電体、244 負極活物質層、320 一体化領域、400 集電体、420 支持層、422 周縁部、440 導電層、450 開口、522 第1平面、524 第2平面、526 側面、542 導電層、544 導電層、550 開口、562 集電部、564 タブ部、566 接続領域、568 露出領域、762 本体領域、764 突出領域、840 活物質領域、900 集電体、950 貫通孔、952 導電部材、1000 集電体、1222 リード、1242 リード、1322 溶接箇所、1342 溶接箇所、1412 蓄電セル、1512 蓄電セル、1612 蓄電セル、1622 シール部材、1642 シール部材
【手続補正書】
【提出日】2024-10-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料を含む支持層と、
前記支持層の少なくとも一方の面に形成され、前記支持層よりも優れた導電性を有する導電層と、
を備え、
前記導電層には、前記導電層を貫通し、前記支持層を貫通することなく前記支持層の一部を露出させる露出部が形成される、
集電体。
【請求項2】
前記支持層は、熱可塑性の樹脂材料を含む、
請求項1に記載の集電体。
【請求項3】
前記導電層は、
本体部と、
前記本体部の一部から前記本体部の外部に向かって延伸する延伸部と、
を有し、
前記露出部は、前記本体部及び前記延伸部の境界の近傍に配される、
請求項1に記載の集電体。
【請求項4】
前記露出部の少なくとも一部は、前記延伸部の内側に配される、
請求項3に記載の集電体。
【請求項5】
前記導電層には、複数の前記露出部が形成されており、
前記複数の露出部の少なくとも一部は、前記導電層の周縁の少なくとも一部に配される、
請求項1に記載の集電体。
【請求項6】
前記導電層は、
本体部と、
前記本体部の一部から前記本体部の外部に向かって延伸する延伸部と、
を有し、
前記本体部には、複数の前記露出部が形成されている、
請求項1に記載の集電体。
【請求項7】
前記導電層は、
前記支持層の第1面に形成される第1導電層と、
前記支持層の第2面に形成される第2導電層と、
を有し、
前記集電体には、前記第1導電層、前記支持層及び前記第2導電層を貫通する貫通孔が形成されている、
請求項1に記載の集電体。
【請求項8】
前記第1導電層及び前記第2導電層のそれぞれは、
本体部と、
前記本体部の一部から前記本体部の外部に向かって延伸する延伸部と、
を有し、
前記貫通孔は、前記第1導電層の前記延伸部の一部と、前記支持層の一部と、前記第2導電層の前記延伸部の一部とを貫通する、
請求項7に記載の集電体。
【請求項9】
前記貫通孔の内部に配され、前記第1導電層及び前記第2導電層を電気的に接続する接続部材をさらに備える、
請求項7に記載の集電体。
【請求項10】
前記導電層には、1以上の前記露出部が形成されており、
前記集電体には、1以上の前記貫通孔が形成されており、
前記1以上の露出部の円相当径の平均値と、前記1以上の露出部の円相当径の平均値とが異なる、
請求項7に記載の集電体。
【請求項11】
請求項1から請求項10までの何れか一項に記載の集電体と、
前記集電体の少なくとも一方の面に配された活物質層と、
を備える、
電極。
【請求項12】
正極と、
負極と、
前記正極及び前記負極の間に配されるセパレータと、
を備え、
前記正極は、
請求項1から請求項10までの何れか一項に記載の集電体と、
前記集電体の少なくとも一方の面に配された正極活物質層と、
を有し、
前記負極は、
請求項1から請求項10までの何れか一項に記載の集電体と、
前記集電体の少なくとも一方の面に配された負極活物質層と、
を有する、
電池。
【請求項13】
請求項12に記載の電池と、
前記電池に蓄積された電気エネルギーを利用して推進力を発生させる推進力発生装置と、
を備える、飛行体。
【請求項14】
第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極の間に配されるセパレータと、
を備え、
前記第1電極は、
第1集電体と、
前記第1集電体の少なくとも一方の面に配された第1活物質層と、
を有し、
前記第2電極は、
第2集電体と、
前記第2集電体の少なくとも一方の面に配された第2活物質層と、
を有し、
前記第1集電体及び前記第2集電体のそれぞれは、
樹脂材料を含む支持層と、
前記支持層の少なくとも一方の面に形成され、前記支持層よりも優れた導電性を有する導電層と、
を含み、
前記導電層には、前記導電層を貫通し、前記支持層を貫通することなく前記支持層の一部を露出させる露出部が形成され、
前記第1集電体及び前記第2集電体により、前記第1活物質層、前記セパレータ及び前記第2活物質層を封止するべく、前記第1集電体の前記支持層の周縁部の少なくとも一部及び前記露出部の領域に含まれる前記樹脂材料と、前記第2集電体の前記支持層の周縁部の少なくとも一部及び前記露出部の領域に含まれる前記樹脂材料とが一体化されている、
電池。
【請求項15】
前記電池は、外部の機器と前記第1集電体とを電気的に接続するための第1端子をさらに備え、
前記第1端子は、前記第1集電体の前記樹脂材料及び前記第2集電体の前記樹脂材料が一体化された領域の外側において、前記第1集電体の前記導電層と電気的に接続される、
請求項14に記載の電池。
【請求項16】
前記電池は、外部の機器と前記第1集電体とを電気的に接続するための第1端子をさらに備え、
前記第1端子は、前記第1集電体の前記樹脂材料及び前記第2集電体の前記樹脂材料が一体化された領域の内側において、前記第1集電体の前記導電層と電気的に接続される、
請求項14に記載の電池。
【請求項17】
請求項14に記載の電池と、
前記電池に蓄積された電気エネルギーを利用して推進力を発生させる推進力発生装置と、
を備える、飛行体。
【請求項18】
樹脂材料を含む支持層の少なくとも一方の面に、前記樹脂材料よりも優れた導電性を有する導電性材料を含む導電層を形成する導電層形成段階を有し、
前記導電層形成段階は、前記導電性材料が、前記導電層を貫通し前記支持層を貫通することなく前記支持層の一部を露出させる露出部を有する導電層を形成するように、前記支持層の前記少なくとも一方の面に前記導電性材料を配置する配置段階を含む、
集電体を生産する方法。
【請求項19】
集電体を準備する段階と、
前記集電体の少なくとも一方の面に、活物質を含む活物質層を形成する活物質層形成段階と、
を有し、
前記集電体は、
樹脂材料を含む支持層と、
前記支持層の少なくとも一方の面に形成され、前記支持層よりも優れた導電性を有する導電層と、
を備え、
前記導電層には、前記導電層を貫通し、前記支持層を貫通することなく前記支持層の一部を露出させる露出部が形成されており、
前記導電層は、
本体部材と、
前記本体部材の一部から前記本体部材の外部に向かって延伸する延伸部材と、
を有し、
前記活物質層形成段階は、前記導電層の前記本体部材上の少なくとも一部に、活物質層を形成する段階を含む、
電極を生産する方法。
【請求項20】
第1電極、セパレータ及び第2電極をこの順に積層する積層段階と、
前記第1電極の周縁部の少なくとも一部と、前記第2電極の周縁部の少なくとも一部とを一体化させる一体化段階と、
を有し、
前記第1電極は、
第1集電体と、
前記第1集電体の少なくとも一方の面に配された第1活物質層と、
を有し、
前記第2電極は、
第2集電体と、
前記第2集電体の少なくとも一方の面に配された第2活物質層と、
を有し、
前記第1集電体及び前記第2集電体のそれぞれは、
樹脂材料を含む支持層と、
前記支持層の少なくとも一方の面に形成され、前記支持層よりも優れた導電性を有する導電層と、
を含み、
前記導電層には、前記導電層を貫通し、前記支持層を貫通することなく前記支持層の一部を露出させる露出部が形成され、
前記一体化段階は、前記第1集電体の前記支持層の周縁部の少なくとも一部及び前記露出部の領域に含まれる前記樹脂材料と、前記第2集電体の前記支持層の周縁部の少なくとも一部及び前記露出部の領域に含まれる前記樹脂材料とを一体化して、前記第1活物質層、前記セパレータ及び前記第2活物質層を封止する封止段階を含む、
電池を生産する方法。