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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016760
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】テープ式使い捨てオムツ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/56 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
A61F13/56 213
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119110
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青地 晃平
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA16
3B200BB09
3B200DE01
3B200DE14
3B200DE20
3B200EA09
(57)【要約】
【課題】隣り合う係止部の間の位置で分割された基材シートの間に隙間を生じさせると共に、分割された基材シートの間に残された基材シート片が邪魔にならないテープ式使い捨てオムツを提供すること。
【解決手段】オムツ本体10の背側部10Xに設けられて、腹側部10Zに留められるファスニングテープ20が、オムツ本体10に固定された固定端22と、固定端22と反対側の自由端23と、を有する基材シート21と、自由端23に形成されると共に前後方向Dに沿って並列した複数の係止部24と、を有している。基材シート21は、固定端22の近傍位置で折り返され、隣り合う係止部24の間に自由端23から固定端22まで延びる接合領域25が設定され、接合領域25が接合構造26を介してオムツ本体10に接合されている。接合領域25の両側には、接合領域25に沿って基材シート21を破断可能な一対の破断部27が形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背側部、股部、腹側部が前後方向に順に連なって一体に形成されたオムツ本体と、
前記背側部及び前記腹側部の一方の両側部に設けられ、前記前後方向に分割可能であって、前記オムツ本体の使用時に前記背側部及び前記腹側部の他方に係止されるファスニングテープと、を備え、
前記ファスニングテープは、前記オムツ本体に固定された固定端と、前記固定端と反対側の自由端と、を有する基材シートと、前記自由端に形成されると共に前記前後方向に沿って並列した複数の係止部と、を有し、
前記基材シートは、前記固定端の近傍位置で折り返され、前記前後方向に隣り合う前記係止部の間に前記自由端から前記固定端まで延びる接合領域が設定され、
前記接合領域は、接合構造を介して前記オムツ本体に接合され、
前記接合領域の両側には、前記接合領域に沿って前記基材シートを破断可能な一対の破断部が形成されている
ことを特徴とするテープ式使い捨てオムツ。
【請求項2】
請求項1に記載されたテープ式使い捨てオムツにおいて、
前記接合構造は、前記接合領域の延在方向に沿って間欠的に並ぶ複数の接合部によって構成されている
ことを特徴とするテープ式使い捨てオムツ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載されたテープ式使い捨てオムツにおいて、
前記接合領域は、前記前後方向の幅が、前記基材シートの前記自由端から前記固定端に向かうにつれて次第に大きくなる
ことを特徴とするテープ式使い捨てオムツ。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載されたテープ式使い捨てオムツにおいて、
前記破断部は、前記接合領域の延在方向に沿って間欠的に並ぶと共に、前記基材シートを貫通する複数の細長い貫通孔によって構成され、
前記自由端に近い前記貫通孔の長手方向の一方の端部を第1端部とし、前記固定端に近い前記貫通孔の長手方向の他方の端部を第2端部とするとき、
前記貫通孔は、前記第1端部から前記接合領域までの前記前後方向に沿った長さよりも、前記第2端部から前記接合領域までの前記前後方向に沿った長さの方が短くなるように形成されている
ことを特徴とするテープ式使い捨てオムツ。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載されたテープ式使い捨てオムツにおいて、
前記基材シートは、前記前後方向の両端部に前記自由端から前記固定端まで延びる第2接合領域が設定され、前記第2接合領域が第2接合構造を介して前記オムツ本体に接合され、
前記第2接合領域よりも前記前後方向の内側の位置には、前記第2接合領域に沿って前記基材シートを破断可能な第2破断部が形成されている
ことを特徴とするテープ式使い捨てオムツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ式使い捨てオムツに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オムツ本体の背側部の両側部に設けられたファスニングテープを、オムツ本体の腹側部の外表面に係止することで装着されるテープ式使い捨てオムツが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
ここで、特許文献1には、ファスニングテープに設けられた二つの係止部の間に線状の引裂き部が形成され、引裂き部を破断することでファスニングテープの基材シートを分割可能なテープ式使い捨てオムツが記載されている。また、特許文献2には、ファスニングテープに設けられた二つの係止部の間に、二本の切り裂き線が形成されると共に、二本の切り裂き線の基端相互をつなぐつまみ部が形成されたテープ式使い捨てオムツが記載されている。この場合、つまみ部の摘持状態で二本の切り裂き線を破断することで、二つの係止部の間の位置でファスニングテープの基材シートを分割可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-52937号公報
【特許文献2】特許第6052728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のテープ式使い捨てオムツでは、ファスニングテープを引裂き線で分割した際、分割された基材シートの間に隙間が生じない。そのため、分割された基材シート片の一方を上向きに引き上げて係止し、他方を下向きに引き下げて係止するいわゆるクロス止めを行う際、各基材シート片の基部が干渉し、基材シート片を適切に止めることが難しいという問題があった。
【0006】
また、特許文献2に記載のテープ式使い捨てオムツでは、分割された基材シートの間に、二本の切り裂き線の間分の隙間が生じる。しかしながら、二本の切り裂き線の間に残された基材シート片は、つまみ部だけオムツ本体に固定され、その他の部分が垂れ下がる。そのため、二本の切り裂き線の間に残された基材シート片が、係止部を係止するときの邪魔になるおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、隣り合う係止部の間の位置で分割された基材シートの間に隙間を生じさせると共に、分割された基材シートの間に残された基材シート片が邪魔にならないテープ式使い捨てオムツを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、背側部、股部、腹側部が前後方向に順に連なって一体に形成されたオムツ本体と、前記背側部及び前記腹側部の一方の両側部に設けられ、前記前後方向に分割可能であって、前記オムツ本体の使用時に前記背側部及び前記腹側部の他方に係止されるファスニングテープと、を備え、前記ファスニングテープは、前記オムツ本体に固定された固定端と、前記固定端と反対側の自由端と、を有する基材シートと、前記自由端に形成されると共に前記前後方向に沿って並列した複数の係止部と、を有し、前記基材シートは、前記固定端の近傍位置で折り返され、前記前後方向に隣り合う前記係止部の間に前記自由端から前記固定端まで延びる接合領域が設定され、前記接合領域は、接合構造を介して前記オムツ本体に接合され、前記接合領域の両側には、前記接合領域に沿って前記基材シートを破断可能な一対の破断部が形成されている構成とした。
【発明の効果】
【0009】
これにより、本発明のテープ式使い捨てオムツは、隣り合う係止部の間の位置で分割された基材シートの間に隙間を生じさせると共に、分割された基材シートの間に残された基材シート片が邪魔にならない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1のテープ式使い捨てオムツを示す一部破断展開図である。
図2】実施例1のテープ式使い捨てオムツの着用状態を示す斜視図である。
図3図1におけるA部の拡大図である。
図4】実施例1のファスニングテープに形成された一方の破断部を破断した状態を示す説明図である。
図5】実施例1のファスニングテープに形成された他方の破断部を破断した状態を示す説明図である。
図6】第1変形例のファスニングテープを示す要部拡大図である。
図7】第2変形例のファスニングテープを示す要部拡大図である。
図8】第3変形例のファスニングテープを示す要部拡大図である。
図9】第4変形例のファスニングテープを示す要部拡大図である。
図10】第5変形例のファスニングテープを示す要部拡大図である。
図11】第6変形例のファスニングテープを示す要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明によるテープ式使い捨てオムツを実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【0012】
実施例1におけるテープ式使い捨てオムツ1は、図1に示すように、背側部10Xと、股部10Yと、腹側部10Zとを有するオムツ本体10と、オムツ本体10に設けられたファスニングテープ20と、を備えている。そして、実施例1のテープ式使い捨てオムツ1は、図2に示す使用時に、オムツ本体10によって着用者Pの背中から股を介して腹に亘って覆い、ファスニングテープ20がターゲットシート16に係止されて背側部10Xの両側部が腹側部10Zに綴じ合わせられる。なお、テープ式使い捨てオムツ1は、内側にインナーパッドがセットされて使用されてもよい。
【0013】
以下の説明では、テープ式使い捨てオムツ1の背側部10X、股部10Y、腹側部10Zが順に連なる方向を前後方向Dとし、前後方向Dに直交する方向を幅方向Eとする。前後方向Dは、オムツ本体10の延在方向であり、前側が着用者Pの腹側に対応し、後側が着用者Pの背中側に対応する。また、テープ式使い捨てオムツ1の着用者Pを基準として「上下」「内外」等の用語を用いる。
【0014】
実施例1のオムツ本体10は、図1に示すように、背側部10Xと、腹側部10Zと、背側部10Xと腹側部10Zとの間の股部10Yとが一体に連なって形成されている。なお、背側部10Xと股部10Yの間や、腹側部10Zと股部10Yの間には、境界や構造的な差異があるわけではない。そして、オムツ本体10は、トップシート11と、バックシート12と、吸収体13と、ギャザーシート14と、を備えている。オムツ本体10は、トップシート11とバックシート12と間に吸収体13を積層した状態で、トップシート11の上にさらにギャザーシート14が重ねられ、少なくとも周縁部を含む適宜の領域がホットメルト等の接着剤や溶着等によって固定されて形成される。
【0015】
トップシート11は、着用者Pの身体側(内側)に配置されたシート材である。トップシート11は、液体を透過する特性である液透過性を有し、例えば、液透過性の不織布等で形成されている。トップシート11は、吸収体13に向けて、体液を速やかに通過させる。
【0016】
バックシート12は、トップシート11に対向して衣類側(外側)に配置されたシート材である。バックシート12は、液体を透過させない特性である液不透過性を有し、例えば、樹脂フィルム等で形成されている。バックシート12は、吸収体13が保持した体液の透過を阻止して、衣類等を濡らさないようにする。
【0017】
吸収体13は、トップシート11とバックシート12との間に積層された液体吸収材である。吸収体13は、吸収性ポリマー粒子とパルプ繊維を含んで構成され、クレープ紙や不織布等からなる図示しないコアラップシートによって包まれてもよい。吸収体13は、トップシート11及びバックシート12より、小さい外形を有する。吸収体13は、単層であっても複層であってもよい。
【0018】
ギャザーシート14は、吸収体13の幅方向Eの両側に配置され、トップシート11の内側に固定された前後方向Dに延びる細長いシート材である。ギャザーシート14は、例えば、撥水性又は液不透過性の不織布等によって形成されている。ギャザーシート14の幅方向Eの一端は、例えばホットメルト等の接着剤や溶着等によってトップシート11に固定される。ギャザーシート14の幅方向Eの他端には、前後方向Dに延在し、幅方向Eに並列された複数の第1弾性伸縮部材15aが所定の伸張状態で設けられている。第1弾性伸縮部材15aは、例えば、糸状又は帯状の合成ゴム等によって構成される。ギャザーシート14は、第1弾性伸縮部材15aの伸縮力によって伸縮し、着用者Pの排泄物の横漏れを防止する。
【0019】
さらに、着用時に着用者Pの足周りを囲む領域には、前後方向Dに延在し、幅方向Eに並列された複数の第2弾性伸縮部材15bが所定の伸張状態で設けられている。第2弾性伸縮部材15bは、例えば、糸状又は帯状の合成ゴム等によって構成される。第2弾性伸縮部材15bは、第1弾性伸縮部材15aよりも幅方向Eの外側に配置され、オムツ本体10の側縁に沿って延在されている。バックシート12は、第2弾性伸縮部材15bの伸縮力によって伸縮し、着用者Pの足周りにおけるオムツ本体10のフィット感を向上させる。
【0020】
そして、オムツ本体10の腹側部10Zのバックシート12の衣類側の表面には、ターゲットシート16が設けられている。ターゲットシート16は、ファスニングテープ20の係止材24bを剥離可能に係止するシートである。ターゲットシート16は、例えば、係止材24bが係止突起を有するフックテープの場合、シート表面にフックテープが絡まるようなループ糸が多数設けられたものを用いることができる。ターゲットシート16は、例えば、係止材24bが粘着材の場合、表面が平滑なシートの表面に剥離処理を施したものを用いることができる。なお、バックシート12の衣類側の表面が不織布からなる場合には、係止材24bをフックテープによって構成し、ターゲットシート16を省略してもよい。この場合、ファスニングテープ20は、フックテープからなる係止材24bをバックシート12の繊維に絡ませて係止される。
【0021】
ファスニングテープ20は、図1に示すように、オムツ本体10の背側部10Xにおいて、オムツ本体10の幅方向Eの両側部に設けられる。ファスニングテープ20は、基材シート21と、複数(ここでは二つ)の係止部24と、を有している。
【0022】
基材シート21は、例えば、不織布、プラスチックフィルム、ポリエチレンの薄膜で表面を覆ったポリラミ不織布、紙、これらの複合素材等からなるシート材である。基材シート21は、使用中の不要な破れや伸びを防止するため、トップシート11やバックシート12等よりも高目付の素材が用いられる。そのため、基材シート21の一般部の引き裂き強度は、トップシート11やバックシート12等の引き裂き強度よりも高い。ここで、「基材シート21の一般部」とは、基材シート21のうち、後述する破断部27が形成されていない領域である。また、「引き裂き強度」とは、基材シート21をシート面に平行な方向に沿って互いに反対向きに引っ張る力に対する強度と、基材シート21をシート面に垂直な方向に沿って互いに反対向きに引っ張る力に対する強度の少なくとも一方を含む。
【0023】
基材シート21は、オムツ本体10に固定された固定端22と、固定端22と反対側の自由端23と、を有している。固定端22は、ギャザーシート14とバックシート12との間に挟まれ、例えばホットメルト等の接着剤や溶着等によってオムツ本体10に固定される。自由端23は、オムツ本体10から幅方向Eの外側に向けられる。
【0024】
複数(二つ)の係止部24は、基材シート21の自由端23に形成され、前後方向Dに沿って並列している。各係止部24は、自由端23からさらに幅方向Eの外側に突出したフラップ部24aと、フラップ部24aに設けられた係止材24bと、を有している。
【0025】
フラップ部24aは、基材シート21の一部によって形成されている。
【0026】
係止材24bは、フラップ部24aの内側面に設けられ、例えば、メカニカルファスナー(面ファスナー)のフックテープや、粘着材等を用いることができる。なお、フラップ部24aの内側面は、テープ式使い捨てオムツ1の使用時にターゲットシート16に対向する面である。また、係止材24bは、ターゲットシート16に対し、係止と剥離を繰り返すことが可能であれば材質や形状等は問わない。
【0027】
そして、実施例1のテープ式使い捨てオムツ1におけるファスニングテープ20は、オムツ本体10の未使用時、基材シート21が、固定端22の近傍位置でオムツ本体10の内側に折り返されている。また、基材シート21には、図3において一点鎖線で囲んで示されたように、前後方向Dに隣り合う係止部24の間に位置する接合領域25が設定されている。なお、図3には、オムツ本体10の両側部に設けられたファスニングテープ20のうち、図1において右側に示すもののみが図示されているが、図1において左側に示す他方のファスニングテープ20も同様の構成である。
【0028】
実施例1の接合領域25は、基材シート21の前後方向Dの中央部に位置し、幅方向Eに沿って自由端23から固定端22まで延びた領域である。なお、実施例1の接合領域25は、前後方向Dの幅が自由端23から固定端22まで一定である。そして、接合領域25は、接合構造26(図3において斜線を付して示される)を介してオムツ本体10に接合されている。接合構造26は、超音波接着や融着等、基材シート21をオムツ本体10に接合する構造である。実施例1の接合構造26は、オムツ本体10に対し、接合領域25のほぼ全面を一様に接合する。
【0029】
さらに、基材シート21には、接合領域25の前後方向Dの両側に一対の破断部27が形成されている。各破断部27は、接合領域25の延在方向(幅方向E)に沿って一定の間隔で間欠的に並ぶと共に、基材シート21を貫通する複数の貫通孔27aによって構成されている。ここで、「貫通孔」は、開口面積を有する穴(開口)や、開口面積を有さないスリット(切れ目)を含み、円形や細長い楕円の穴、線状のスリット等任意の形状に設定可能である。実施例1の貫通孔27aは、幅方向Eに沿って所定の長さを有する線状のスリット形状に設定されている。
【0030】
そして、基材シート21は、破断部27を構成する複数の貫通孔27aの間のアンカット部分が破断されることで、接合領域25に沿って破断される。つまり、基材シート21は、図4に示されたように、接合領域25よりも腹側に形成された一方の破断部27によって破断されると、基材シート21の一部が展開して第1テープ20aが形成される。また、基材シート21は、図5に示されたように、接合領域25よりも背側に形成された他方の破断部27によって破断されると、基材シート21の一部が展開して第2テープ20bが形成される。このように、基材シート21は、破断部27が設けられたことで前後方向Dに分割可能である。
【0031】
また、基材シート21に設定された接合領域25は、基材シート21の一部が展開して第1テープ20aや第2テープ20bが形成されても、オムツ本体10に接合したままとなる(図5参照)。これにより、第1テープ20aと第2テープ20bの間には、前後方向Dに隙間Sが生じる。
【0032】
次に、実施例1のテープ式使い捨てオムツ1の作用を説明する。
【0033】
実施例1のテープ式使い捨てオムツ1を使用する際、まず、介助者は、オムツ本体10を図1に示された状態に広げる。このとき、ファスニングテープ20の基材シート21は、固定端22でオムツ本体10側に折り返され、接合領域25が接合構造26を介してオムツ本体10に接合されている。
【0034】
次に、介助者は、オムツ本体10を所定の位置(例えば、仰臥状態の着用者Pの下)に置き、ファスニングテープ20を展開する。すなわち、介助者は、接合領域25よりも腹側に配置された一方の係止部24を把持し、基材シート21を幅方向Eの外側に向かって引っ張る。これにより、基材シート21は、接合領域25よりも腹側に形成された一方の破断部27によって破断される。そして、基材シート21は接合領域25に沿って破断され、基材シート21の一部が展開されて第1テープ20aが形成される(図4参照)。
【0035】
続いて、介助者は、接合領域25よりも背側に配置された他方の係止部24を把持し、基材シート21を幅方向Eの外側に向かって引っ張る。これにより、基材シート21は、接合領域25よりも背側に形成された他方の破断部27によって破断される。そして、基材シート21は接合領域25に沿って破断され、基材シート21の一部が展開されて第2テープ20bが形成される(図5参照)。
【0036】
つまり、ファスニングテープ20は、展開されると同時に第1テープ20a又は第2テープ20bが形成され、結果的に前後方向Dに二つに分割される。
【0037】
そして、介助者は、オムツ本体10によって着用者Pの下腹部を覆い、ファスニングテープ20の係止部24をターゲットシート16に係止して背側部10Xと腹側部10Zを綴じ合わせる。このとき、ファスニングテープ20は、例えばクロス止め(図2参照)される。「クロス止め」とは、第1テープ20aの自由端23を上側に引き上げた状態でターゲットシート16に係止し、第2テープ20bの自由端23を下側に引き下げた状態でターゲットシート16に係止し、第1テープ20aと第2テープ20bをターゲットシート16上でほぼX字状に交差させる止め方である。なお、介助者は、ファスニングテープ20をターゲットシート16に係止する際、止め方を調整することで、オムツ本体10の大きさを着用者Pの体格に合わせることができる。
【0038】
このように、実施例1のテープ式使い捨てオムツ1では、ファスニングテープ20の基材シート21が、固定端22で折り返され、前後方向Dに隣り合う係止部24の間に設定された接合領域25が接合構造26を介してオムツ本体10に接合されている。また、接合領域25の前後方向Dの両側には、接合領域25に沿って基材シート21を破断可能な一対の破断部27が形成されている。
【0039】
このため、ファスニングテープ20は展開されると、基材シート21が破断部27で破断され、係止部24の間に設定された接合領域25を挟んで、前後方向Dに第1テープ20aと第2テープ20bの二つに分割される。またこのとき、接合領域25は、接合構造26によってオムツ本体10に接合したままとなる。これにより、第1テープ20aと第2テープ20bの間には、接合領域25の分だけ前後方向Dに隙間Sが生じる。この結果、実施例1のテープ式使い捨てオムツ1は、前後方向Dに隣り合う係止部24の間の位置で分割された基材シート21(第1テープ20aと第2テープ20b)の間に隙間Sを生じさせることができる。
【0040】
そして、分割された基材シート21(第1テープ20aと第2テープ20b)の間に隙間Sが生じることで、ファスニングテープ20をクロス止めする際、第1テープ20aの基部(固定端22)と第2テープ20bの基部(固定端22)とが干渉しにくくなる。これにより、介助者は容易にクロス止めを行うことができ、着用者Pの脚まわりに生じる隙間を適切に抑制することができる。
【0041】
また、介助者は、係止部24を把持してファスニングテープ20を展開すると同時に、破断部27から基材シート21を破断することができる。そのため、実施例1のテープ式使い捨てオムツ1は、例えば仮止め用の接着剤等でオムツ本体10に接着されたファスニングテープ20を剥離、展開した後、基材シートに設けられたミシン目から破断するテープ式のオムツと比べて、介助者の手間を軽減することが可能となる。
【0042】
また、実施例1のテープ式使い捨てオムツ1では、第1テープ20a及び第2テープ20bを展開した状態であっても、接合領域25はオムツ本体10に接合したままとなる。このため、分割された基材シート21(第1テープ20aと第2テープ20b)の間に残された接合領域25(基材シート片)は全域がオムツ本体10に固定され、係止部24を係止するときの邪魔になることはない。
【0043】
そして、実施例1のテープ式使い捨てオムツ1では、ファスニングテープ20を使用時に二つに分割するため、一枚の基材シート21によって第1テープ20aと第2テープ20bを形成することができる。これにより、実施例1のテープ式使い捨てオムツ1は、オムツ本体10を製造する際の操業性の悪化を抑制することができる。
【0044】
さらに、実施例1のテープ式使い捨てオムツ1では、オムツ本体10側に折り返された基材シート21が、接合構造26によってオムツ本体10に接合されている。そのため、実施例1のテープ式使い捨てオムツ1は、折り返されたファスニングテープ20を仮止めするための接着剤を不要とすることができる。
【0045】
以上、本発明のテープ式使い捨てオムツを実施例1に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、実施例1に限られるものではなく、各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0046】
実施例1のテープ式使い捨てオムツ1では、接合構造26が、接合領域25のほぼ全面を一様にオムツ本体10に接合する例が示された。しかしながら、図6に示された第1変形例のファスニングテープ20Aのように、接合構造26Aが、接合領域25Aの延在方向(幅方向E)に沿って間欠的に並ぶ複数の接合部28によって構成されてもよい。
【0047】
ここで、接合部28は、基材シート21や接着剤等が接合によりオムツ本体10と一体化した部分である。つまり、実施例1のテープ式使い捨てオムツ1では、接合領域25の全面が接合部になっている。そして、接合部28は、基材シート21の一般部よりも硬くなる。
【0048】
これに対し、第1変形例のファスニングテープ20Aでは、接合領域25の全面が接合構造26によって一様に接合された実施例1のファスニングテープ20と比べて、接合部28の面積が小さくなり、接合領域25Aを柔らかくすることができる。これにより、第1変形例のファスニングテープ20Aは、接合領域25Aの肌あたりをソフトにできる。
【0049】
なお、図6に示された例では、同じ大きさの複数の接合部28が一定の間隔をあけて並んでいる。しかしながら、各接合部28の大きさは任意に設定可能であり、異なる大きさの接合部28が並んでもよい。また、接合部28の間隔は、不等間隔であってもよい。
【0050】
また、実施例1のテープ式使い捨てオムツ1では、接合領域25の前後方向Dの幅が、自由端23から固定端22まで一定である例が示された。しかしながら、図7に示された第2変形例のファスニングテープ20Bや、図8に示された第3変形例のファスニングテープ20Cのように、接合領域25Bの前後方向Dの幅αが、基材シート21の自由端23から固定端22に向かうにつれて次第に大きくなってもよい。なお、第2変形例のファスニングテープ20Bでは、接合構造26Bは、接合領域25Bの前後方向Dの両端部のみをオムツ本体10に接合する(図7参照)。また、第3変形例のファスニングテープ20Cでは、接合構造26Bは、接合領域25Bの全面を一様にオムツ本体10に接合する(図8参照)。
【0051】
第2変形例のファスニングテープ20B及び第3変形例のファスニングテープ20Cは、基材シート21が前後方向Dに二分割された際、分割された基材シート21(第1テープ20aと第2テープ20b)の間に生じた隙間Sの前後方向Dの幅を、基部(固定端22)に向かって広げることができる。これにより、第2変形例のファスニングテープ20B及び第3変形例のファスニングテープ20Cは、第1テープ20aの基部(固定端22)と第2テープ20bの基部(固定端22)とを、実施例1よりもさらに干渉しにくくできる。
【0052】
さらに、第2変形例のファスニングテープ20Bは、第3変形例のファスニングテープ20Cと比べて、接合構造26Bが設けられた面積が小さい。そのため、第2変形例のファスニングテープ20Bの方が、第3変形例のファスニングテープ20Cよりも、接合領域25Bを柔らかくすることができる。
【0053】
また、第2変形例のファスニングテープ20Bでは、接合構造26Bは、接合領域25Bの前後方向Dの両端部が接合構造26Bによって直線状に接合されている。そして、第3変形例のファスニングテープ20Cでは、接合領域25Bの全面が接合構造26Bによって一様に接合されている。しかしながら、第2変形例のファスニングテープ20Bと第3変形例のファスニングテープ20Cのいずれであっても、接合構造26Bは、接合領域25Bの延在方向(幅方向E)に沿って間欠的に並ぶ複数の接合部によって構成されてもよい。
【0054】
また、実施例1のテープ式使い捨てオムツ1では、破断部27を構成する複数の貫通孔27aが、幅方向Eに沿って所定の長さを有する線状の切り込みに設定された例が示された。ここで、実施例1では、各貫通孔27aの延在方向が、接合領域25の延在方向(幅方向E)と平行に設定されている。しかしながら、破断部27を構成する貫通孔27aの間のアンカット部分が破断される際に、基材シート21が前後方向Dに破断(いわゆる横裂け)しなければよく、各貫通孔27aの延在方向は任意に設定可能である。
【0055】
すなわち、図9に示された第4変形例のファスニングテープ20Dのように、接合領域25Dの延在方向(幅方向E)に沿って間欠的に並ぶ複数の細長い貫通孔29aによって破断部27が構成された際、各貫通孔29aは、第1端部30aから接合領域25Dまでの前後方向Dに沿った長さL1よりも、第2端部30bから接合領域25Dまでの前後方向Dに沿った長さL2の方が短くなるように設定されてもよい。なお、「第1端部30a」とは、各貫通孔29aの長手方向の両端部のうち、自由端23に近い一方の端部である。また、「第2端部30b」とは、各貫通孔29aの長手方向の両端部のうち、固定端22に近い他方の端部である。
【0056】
この場合には、ファスニングテープ20Dが展開される際、基材シート21の破断方向を複数の貫通孔29aによって接合領域25D側に向かうように誘導することができる。このため、第4変形例のファスニングテープ20Dは、基材シート21が前後方向Dに破断することを防止できる。
【0057】
また、実施例1のテープ式使い捨てオムツ1では、基材シート21が二つの係止部24の間に設定された接合領域25だけがオムツ本体10に接合された例が示された。しかしながら、図10に示された第5変形例のファスニングテープ20Eのように、基材シート21Eの前後方向Dの両端部に、それぞれ自由端23から固定端22まで延びる第2接合領域31が設定され、各第2接合領域31が第2接合構造32を介してオムツ本体10に接合されてもよい。なお、図10では、第2接合領域は一点鎖線で囲んで示され、第2接合構造32は斜線を付して示されている。
【0058】
また、第5変形例のファスニングテープ20Eでは、第2接合領域31よりも前後方向Dの内側の位置に、第2接合領域31に沿って基材シート21を破断可能な第2破断部33が形成されている。第2破断部33は、幅方向Eに沿って一定の間隔をあけて並ぶ複数の貫通孔によって構成されている。
【0059】
これにより、第5変形例のファスニングテープ20Eは、前後方向Dの両端部がオムツ本体10に固定される。このため、第5変形例のファスニングテープ20Eは、展開時に、破断部27を構成する複数の貫通孔27aの間のアンカット部分に作用する力の作用方向を、接合領域25の延在方向(幅方向E)に沿わせることができ、アンカット部分をきれいに破断させることができる。
【0060】
さらに、実施例1のテープ式使い捨てオムツ1では、破断部27が、基材シート21を貫通する複数の貫通孔27aによって構成された例が示された。しかしながら、破断部27の構成はこれに限らない。例えば、図11に示された第6変形例のファスニングテープ20Fのように、破断部34が、接合領域25の延在方向(幅方向E)に沿って一定の間隔で間欠的に並ぶ複数の融着部34aによって構成されてもよい。
【0061】
なお、図11に示された第6変形例のファスニングテープ20Fでは、接合構造26Fが、接合領域25Fの延在方向(幅方向E)に沿って間欠的に並ぶ複数の接合部28Fによって構成されている。しかしながら、破断部34が複数の融着部34aによって構成された場合であっても、接合領域25Fの全面が接合構造26Fによって一様に接合されてもよい。
【0062】
また、実施例1のテープ式使い捨てオムツ1では、ファスニングテープ20が前後方向Dに並列した二つの係止部24を有する例が示された。しかしながら、係止部24の数は二つ以上であればよい。また、係止部24が三つ以上設けられた場合には、ファスニングテープ20は、前後方向Dに三分割以上に分割可能とする。
【0063】
また、実施例1のテープ式使い捨てオムツ1では、ファスニングテープ20がオムツ本体10の背側部10Xの両側部に設けられ、腹側部10Zに留められる例が示された。しかしながら、ファスニングテープ20は、オムツ本体10の腹側部10Zの両側部に設けられ、背側部10Xに留められてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 テープ式使い捨てオムツ
10 オムツ本体
10X 背側部
10Z 腹側部
20 ファスニングテープ
21 基材シート
22 固定端
23 自由端
24 係止部
25 接合領域
26 接合構造
27 破断部
D 前後方向
図1
図2
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図10
図11