(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167615
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】支持部材
(51)【国際特許分類】
F01N 13/08 20100101AFI20241127BHJP
【FI】
F01N13/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083813
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】兼松 雅斗
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004BA06
3G004DA01
3G004DA13
3G004FA01
3G004FA04
3G004GA06
(57)【要約】
【課題】排気部品を好適に支持する。
【解決手段】支持部材は、複数のアーム部と、第1及び第2回転部と、少なくとも1つの第3回転部とを備える。第1回転部は、第1アーム部に設けられ、第1アーム部が車両の一部に対し第1回転軸を中心に回転可能な状態となるように、車両の一部に接合される。第2回転部は、第2アーム部に設けられ、第2アーム部が排気部品に対し第2回転軸を中心に回転可能な状態となるように、排気部品に接合される。第3回転部は、隣接して配置された2つのアーム部を、第3回転軸を中心に互いに回転可能な状態となるように接続する。第1~第3回転軸は、略同一方向に延びる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエンジンからの排ガスが流下する排気部品を支持するよう構成された支持部材であって、
連なるように配置される複数のアーム部と、
前記アーム部である第1アーム部に設けられた部位であって、前記第1アーム部が、前記車両の一部に対し、予め定められた方向に延びる第1回転軸を中心に回転可能な状態となるように、前記車両の一部に接合される部位である第1回転部と、
前記アーム部である第2アーム部に設けられた部位であって、前記第2アーム部が、前記排気部品に対し、前記第1回転軸と略同一方向に延びる第2回転軸を中心に回転可能な状態となるように、前記排気部品に接合される部位である第2回転部と、
隣接して配置された2つの前記アーム部を、前記第1及び第2回転軸と略同一方向に延びる第3回転軸を中心に、互いに回転可能な状態となるように接続する少なくとも1つの第3回転部と、
を備える支持部材。
【請求項2】
請求項1に記載の支持部材であって、
前記排気部品とは、触媒コンバータである
支持部材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の支持部材であって、
前記支持部材は、隣接する少なくとも2つの前記アーム部が、前記第3回転部にて屈曲した状態で、前記車両に搭載される
支持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の排気部品を支持する支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、板ばね部材として構成されたステーにより、触媒コンバータを支持する支持部材が知られている。特許文献1の支持部材は、ステーの第1端が触媒コンバータに接合されていると共に、ステーの第2端は、弾性部材を介して車両のボデーに接合される。そして、支持部材は、ステー及び弾性部材の弾性変形により振動を吸収しつつ、触媒コンバータを支持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の支持部材は、弾性部材により振動を吸収する構成であることから、触媒コンバータが様々な方向に揺動する可能性がある。このため、触媒コンバータが不適切な位置に変位してしまう恐れがある。
【0005】
本開示の一態様では、排気部品を好適に支持するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、車両のエンジンからの排ガスが流下する排気部品を支持するよう構成された支持部材であって、複数のアーム部と、第1回転部と、第2回転部と、少なくとも1つの第3回転部と、を備える。アーム部は、連なるように配置される。第1回転部は、アーム部である第1アーム部に設けられた部位であって、第1アーム部が、車両の一部に対し、予め定められた方向に延びる第1回転軸を中心に回転可能な状態となるように、車両の一部に接合される部位である。第2回転部は、アーム部である第2アーム部に設けられた部位であって、第2アーム部が、排気部品に対し、第1回転軸と略同一方向に延びる第2回転軸を中心に回転可能な状態となるように、排気部品に接合される部位である。第3回転部は、隣接して配置された2つのアーム部を、第1及び第2回転軸と略同一方向に延びる第3回転軸を中心に、互いに回転可能な状態となるように接続する。
【0007】
上記構成によれば、支持部材は、排気部品が第1~第3回転軸の方向に変位するのを抑制できると共に、各アーム部が回転部により回転することで、車両の振動や、排気部品における熱による変形の影響を吸収できる。したがって、排気部品を好適に支持できる。
【0008】
本開示の一態様では、排気部品とは、触媒コンバータであってもよい。
上記構成によれば、触媒コンバータを好適に支持できる。
本開示の一態様では、支持部材は、隣接する少なくとも2つのアーム部が、第3回転部にて屈曲した状態で、車両に搭載されてもよい。
【0009】
上記構成によれば、車両の一部と排気部品との間の相対位置の変化を、より柔軟に吸収できる。したがって、より好適に排気部品を支持できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】第1実施形態の第1回転部における第1回転軸を含む断面図である。
【
図3】第1実施形態の第2回転部における第2回転軸を含む断面図である。
【
図4】第1実施形態の第3回転部における第3回転軸を含む断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本開示の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0012】
[1.第1実施形態]
[(1)概要]
第1実施形態の支持部材1は、車両に搭載され、車両のエンジンからの排ガスが流下する排気部品を支持するよう構成される(
図1参照)。第1実施形態では、支持部材1は、一例として、触媒コンバータ4を支持する。触媒コンバータ4は、車両に搭載されたエンジンのエキマニの下流側に隣接して設けられ、エンジンからの排ガスの流路を形成する排気管として構成されている。また、触媒コンバータ4の内部には、排ガスを浄化するための浄化部材が収容される。浄化部材は、例えば、排ガスとの接触により排ガス中の汚染物質を改質又は捕集する触媒として構成されていても良い。無論、これに限らず、支持部材1は、触媒コンバータ4以外の排気部品、例えば、排ガスの浄化装置、パイプ、マフラ等を支持しても良い。
【0013】
また、一例として、支持部材1の第1端部(以後、ボデー側端部10)は、ボデー5に接合され、第2端部(以後、コンバータ側端部11)は、ブラケット40を介して触媒コンバータ4に接合される。無論、これに限らず、ボデー側端部10は、ブラケットを介してボデー5に接合されてもよいし、ボデー5以外の車両の一部に接合されてもよい。また、コンバータ側端部11は、ブラケット40を介さず、触媒コンバータ4に直接接合されてもよい。
【0014】
支持部材1は、第1及び第2アーム部2A,2B(以後、単にアーム部とも記載)と、第1~第3回転部3A~3C(以後、単に回転部とも記載)と、を備える。なお、各アーム部及び各回転部は、耐熱性を有し、且つ、弾力性を有さない材料(一例として金属)により構成される。つまり、支持部材1は、一例として、ゴム等の弾性部材を含んでいないが、これに限らず、支持部材1は様々な材料で構成され得る。また、第1~第3回転部3A~3Cは、それぞれ、略同一方向に延びる第1~第3回転軸3D~3Fを中心に回転するよう構成されている。
【0015】
[(2)アーム部]
第1及び第2アーム部2A,2Bは、長手方向に延びる矩形の平板状の部材である(
図1参照)。以後、アーム部における厚さ方向に対面する2つの矩形の面を、それぞれ、第1及び第2主面20,21と記載する。
【0016】
各アーム部における長手方向の両端の付近には、それぞれ、当該アーム部を厚さ方向に貫通する円形の穴が形成されている。以後、各アーム部の第1端部の付近に形成された穴を、第1穴22と記載し、第2端部の付近に形成された穴を、第2穴23と記載する。第1及び第2穴22,23には、それぞれ、回転部が配置される。
【0017】
また、第1及び第2アーム部2A,2Bは、連なるように配置されており、各アーム部は、後述する第3回転部3Cにより、互いに回転可能な状態で端部同士が接続される。つまり、第1及び第2アーム部2A,2Bは、第3回転部3Cにより一列に並ぶように接続される。そして、第1アーム部2Aの長手方向の第1端部は、ボデー側端部10として構成され、第2アーム部2Bの長手方向の第2端部は、コンバータ側端部11として構成される。
【0018】
[(3)第1回転部]
第1アーム部2Aにおける第1端部(換言すれば、ボデー側端部10)の付近に設けられた第1穴22には、第1回転部3Aが設けられる(
図1参照)。第1回転部3Aの第1回転軸3Dは、第1アーム部2Aの第1及び第2主面20,21に対し略垂直となる。第1回転部3Aは、一例として、ボールベアリングとして構成されており、内輪30と、外輪31と、複数の転動体32とを備える(
図2参照)。
【0019】
内輪30は、円筒状の部位であり、ボルトにより挿通される貫通穴30Aを有する。
外輪31は、円筒状の部位であり、内輪30を外側から囲むように配置される。つまり、内輪30及び外輪31は、同心円状に配置され、内輪30と外輪31との間には、隙間が形成される。また、内輪30の軸方向の長さは、外輪31の軸方向の長さよりも長くなっており、内輪30の第1端は、外輪31の第1端からはみ出した状態となる。なお、第1端とは、軸方向の2つの端部のうち、ボデー5の反対側に位置する端部である。
【0020】
複数の転動体32は、一例としてボールであり、内輪30と外輪31との間の隙間に配置される。複数の転動体32が回転することで、内輪30(又は外輪31)は、第1回転軸3Dを中心として、外輪31(又は内輪30)に対し相対的に滑らかに回転可能となる。
【0021】
なお、第1回転部3Aは、ボールベアリングに限らず、例えば、ローラベアリングやニードルベアリングとして構成されていてもよい。つまり、複数の転動体32は、円柱状の部材として構成されていてもよい。また、第1回転部3Aにおいて、複数の転動体32に替えて、例えば、ワイヤメッシュ等の部材を配置し、該部材により内輪30と外輪31とを摺動させることで、内輪30及び外輪31の回転を実現してもよい。また、第1回転部3Aは、例えば、すべり軸受けとして構成されていてもよい。
【0022】
第1回転部3Aの内輪30は、一例として、貫通穴30Aに挿通されたボルト50により、ボデー5に接合される。この場合、ボデー5にはボルト50に締結されるネジ溝が形成されている。これにより、支持部材1のボデー側端部10は、ボデー5に固定される。なお、第1回転部3Aの内輪30は、ボルト50以外の手段(例えば、溶接)でボデー5に接合されてもよい。
【0023】
一方、第1回転部3Aの外輪31の外周面は、第1アーム部2Aにおける第1穴22を囲む縁部に接合される。一例として、外輪31の外周面は、該縁部に溶接されてもよい。
このように第1回転部3Aを設けたことで、第1アーム部2Aは、ボデー5に対し、第1回転軸3Dを中心として、相対的に回転可能となる。
【0024】
なお、第1回転部3Aの内輪30を、第1アーム部2Aにおける第1穴22を囲む縁部に接合すると共に、外輪31を、溶接等によりボデー5に接合してもよい。なお、この場合、内輪30と第1アーム部2Aとは、例えば、ボルトにより接合されてもよいし、溶接により接合されてもよい。
【0025】
[(4)第2回転部]
第2アーム部2Bの第2端部(換言すれば、コンバータ側端部11)の付近に設けられた第2穴23には、第1回転部3Aと同様の構成を有する第2回転部3Bが設けられる(
図3参照)。第1回転部3Aと同様、第2回転部3Bの第2回転軸3Eは、第2アーム部2Bの第1及び第2主面20,21に対し略垂直となり、第2回転部3Bでは、内輪30及び外輪31は、第2回転軸3Eを中心として回転可能となる。
【0026】
第2回転部3Bの内輪30は、一例として、貫通穴30Aに挿通されたボルト41によりブラケット40に接合され、内輪30は、ブラケット40を介して触媒コンバータ4に接合される。これにより、支持部材1のコンバータ側端部11は、触媒コンバータ4に固定される。なお、第2回転部3Bの内輪30もまた、ボルト41以外の手段でブラケット40に接合されてもよい。
【0027】
一方、第2回転部3Bの外輪31の外周面は、第1回転部3Aと同様、第2アーム部2Bにおける第2穴23を囲む縁部に接合される。
このように第2回転部3Bを設けたことで、第2アーム部2Bは、触媒コンバータ4に対し、第2回転軸3Eを中心として、相対的に回転可能となる。
【0028】
なお、第1回転部3Aと同様、第2回転部3Bの内輪30を、第2アーム部2Bにおける第2穴23を囲む縁部に接合すると共に、外輪31を触媒コンバータ4に接合してもよい。
【0029】
[(5)第3回転部]
第1アーム部2Aの第2端部の付近に設けられた第2穴23と、第2アーム部2Bの第1端部の付近に設けられた第1穴22とには、第1及び第2回転部3A,3Bと同様の構成を有する第3回転部3Cが設けられる(
図4参照)。第1及び第2回転部3A,3Bと同様、第3回転部3Cの第3回転軸3Fは、第1及び第2アーム部2A,2Bの第1及び第2主面20,21に対し略垂直となり、第3回転部3Cでは、内輪30及び外輪31は、第3回転軸3Fを中心として回転可能となる。
【0030】
第3回転部3Cの内輪30の外周面は、第2アーム部2Bの第1穴22を囲む縁部に接合される。また、第3回転部3Cの外輪31の外周面は、第1アーム部2Aの第2穴23を囲む縁部に接合される。なお、一例として、内輪30及び外輪31の外周面は、これらの縁部に溶接されてもよい。
【0031】
このように第3回転部3Cを設けたことで、第1及び第2アーム部2A,2Bの各々は、隣接する他方のアーム部に対し、第3回転軸3Fを中心として相対的に回転可能となる。また、第1~第3回転部3A~3Cにおける第1~第3回転軸3D~3Fは、略同一方向に延びた状態となる。
【0032】
[(6)アーム部の配置]
図1に示すように、支持部材1は、第1及び第2アーム部2A,2Bが、第3回転部3Cにて屈曲した状態で、車両に搭載されるのが好ましい。しかし、これに限らず、支持部材1は、第1及び第2アーム部2A,2Bが、真っ直ぐに並んだ状態で車両に搭載されてもよい。
【0033】
また、上述したように、第1実施形態では、第3回転部3Cの内輪30は第2アーム部2Bに接合され、外輪31は第1アーム部2Aに接合されており、これにより、第1アーム部2Aの第1主面20と、第2アーム部2Bの第2主面21とが対面する。しかし、第3回転部3Cの内輪30及び外輪31をいずれのアーム部に接合するかは、適宜選択できる。つまり、内輪30を第1アーム部2Aに、外輪31を第2アーム部2Bにそれぞれ接合することで、第1アーム部2Aの第2主面21と、第2アーム部2Bの第1主面20とが対面するようにしてもよい。そして、該選択に応じて、第1~第3回転軸3D~3Fの方向(以後、回転軸方向)における第1及び第2アーム部2A,2B同士の相対的な位置が変化する。第1及び第2アーム部2A,2Bの相対的な位置は、ボデー側端部10が接合されるボデー5の位置や、触媒コンバータ4の位置に応じて、適宜定められ得る。
【0034】
さらに、第1実施形態では、ボデー側端部10とボデー5との接合箇所と、コンバータ側端部11と触媒コンバータ4との接合箇所とは、支持部材1に対し同一側に位置する。つまり、ボデー側端部10とボデー5との接合箇所は、第1アーム部2Aの第2主面21側に位置し、コンバータ側端部11と触媒コンバータ4との接合箇所は、第2アーム部2Bの第2主面21側に位置する。しかし、これに限らず、ボデー側端部10とボデー5との接合箇所と、コンバータ側端部11と触媒コンバータ4との接合箇所とは、支持部材1の両側に位置してもよい。
【0035】
[2.第2実施形態]
[(1)概要]
第2実施形態の支持部材1は、3つ以上のアーム部を有する点において第1実施形態と相違する(
図5~7参照)。以下では、第1実施形態との相違点について説明する。
【0036】
すなわち、第2実施形態の支持部材1は、一例として、第1及び第2アーム部2A,2Bと、2つの第3アーム部2Cとを有する(
図5参照)。なお、第3アーム部2Cの数は、1つでもよいし(
図6,7参照)、3つ以上でもよい。
【0037】
これらのアーム部は、第1実施形態と同様、連なるように配置されており、各アーム部は、第3回転部3Cにより端部同士が接続され、第3回転部3Cにより隣接するアーム部に対し回転可能となる。また、支持部材1の両端に位置するアーム部は、それぞれ、第1実施形態と同様に構成された第1及び第2アーム部2A,2Bとして構成される。また、第1及び第2アーム部2A,2Bの間には、2つの第3アーム部2Cが配置される。
【0038】
つまり、第1アーム部2Aは、第1実施形態と同様、ボデー側端部10が形成されており、第1穴22に設けられた第1回転部3Aによりボデー5に接合される。また、第2アーム部2Bは、第1実施形態と同様、コンバータ側端部11が形成されており、第2穴23に設けられた第2回転部3Bによりブラケット40を介して触媒コンバータ4に接合される。
【0039】
さらに、第2アーム部2B以外のアーム部の第2穴23は、第1実施形態と同様にして、第3回転部3Cを介して他のアーム部の第1穴22に接続される。また、第1アーム部2A以外のアーム部の第1穴22は、第1実施形態と同様にして、第3回転部3Cを介して他のアーム部の第2穴23に接続される。
【0040】
なお、第1及び第2回転部3A,3Bにおける第1及び第2回転軸3D,3Eと、各第3回転部3Cにおける第3回転軸3Fとは、第1実施形態と同様、略同一方向に延びる。
[(2)アーム部の配置]
第2実施形態においても、支持部材1は、少なくとも2つの隣接するアーム部が、第3回転部3Cにて屈曲した状態で、車両に搭載されるのが好ましい。一例として、
図5では、支持部材1は、各アーム部が隣接するアーム部に対し第3回転部3Cにて屈曲した状態で、車両に搭載される。しかし、これに限らず、支持部材1は、
図6,7に示すように、各アーム部が真っ直ぐに並んだ状態で車両に搭載されてもよい。
【0041】
また、
図5では、各第3アーム部2Cにおける同一の主面が、隣接する他のアーム部に対面する。しかし、各第3アーム部2Cにおけるどちらの主面を隣接する他のアーム部に対面させるようにするかは適宜選択でき、該選択に応じて、回転軸方向における各アーム部同士の相対的な位置が変化する。第1実施形態と同様、各アーム部の相対的な位置は、ボデー側端部10が接合されるボデー5の位置や、ブラケット40を介してコンバータ側端部11が接合される触媒コンバータ4の位置に応じて、適宜定められ得る。
【0042】
一例として、支持部材1が、第1及び第2アーム部2A,2Bと、1つの第3アーム部2Cとを有すると仮定する。この場合、例えば、
図6に示すように、第3アーム部2Cの第2主面21が第1アーム部2Aの第1主面20と対面し、第3アーム部2Cの第1主面20が第2アーム部2Bの第2主面21と対面してもよい。また、例えば、
図7に示すように、第3アーム部2Cの第2主面21が第1アーム部2Aの第1主面20と対面し、第3アーム部2Cの第2主面21が第2アーム部2Bの第1主面20と対面してもよい。
【0043】
さらに、
図5~7では、ボデー側端部10とボデー5との接合箇所と、コンバータ側端部11と触媒コンバータ4(換言すれば、ブラケット40)との接合箇所とは、支持部材1に対し同一側に位置する。しかし、これに限らず、ボデー側端部10とボデー5との接合箇所と、コンバータ側端部11と触媒コンバータ4との接合箇所とは、支持部材1の両側に位置してもよい。
【0044】
[3.効果]
(1)上記実施形態によれば、支持部材1は、触媒コンバータ4が回転軸方向に変位するのを抑制できる。また、支持部材1は、各アーム部が回転部により回転することで、触媒コンバータ4を、ボデー5に対し、回転軸方向に直交する平面に沿って変位させることができる。これにより、車両の振動や、触媒コンバータ4における熱による変形の影響を吸収でき、触媒コンバータ4が適切な位置に保持されるよう促すことができる。したがって、触媒コンバータ4を好適に支持できる。
【0045】
具体的には、例えば車両が振動した場合、支持部材1の各アーム部が回転部を中心に回転するため、隣接するアーム部の角度が変位しやすく、触媒コンバータ4は所望の位置、例えば、車両製造時の位置からずれにくくなる。また、触媒コンバータ4及びボデー5は、直接あるいはブラケット等を介して、回転軸方向に対面するように回転部に接合され、アーム部同士も、回転部を介して回転軸方向に対面して接合される。これにより、触媒コンバータ4は、回転軸方向への変位はしにくく、回転軸方向に直交する平面方向に沿って変位しやすくなる。
【0046】
(2)また、各アーム部及び各回転部は、金属等といった、耐熱性を有し、且つ、弾力性を有さない材料により構成されている。このため、触媒コンバータ4が高温になった場合であっても、第1~第3回転部3A~3Cが熱の影響を受けるのを抑制できると共に、触媒コンバータ4が、回転軸方向に直交する平面に沿った方向とは異なる様々な方向に変位するのを抑制できる。また、熱の影響によりアーム部や回転部が劣化するのを抑制できる。特に、触媒コンバータ4は内燃機関に近い位置に設けられるため、支持部材1は、高温の排ガスの熱の影響を受けやすい。そのため、効果的にアーム部や回転部の劣化抑制できる。
【0047】
(3)また、支持部材1は、隣接する2つのアーム部が第3回転部3Cで屈曲した状態で車両に搭載される。このため、隣接する2つのアーム部の屈曲が浅くなることで、支持部材1におけるボデー側端部10とコンバータ側端部11との間の距離を延長させることができる。つまり、熱による触媒コンバータ4の変形や振動の影響で、コンバータ側端部11と触媒コンバータ4との接合箇所とボデー側端部10とボデー5との接合箇所との距離が拡大したとしても、これに応じて支持部材1も変形する。したがって、支持部材1は、これらの接合箇所同士の相対位置の変化をより柔軟に吸収でき、より好適に触媒コンバータ4を支持できる。
【0048】
[4.他の実施形態]
(1)上記実施形態では、各アーム部は、長手方向に延びる矩形の平板状の形状を有する。しかし、各アーム部の形状は、これに限らず、第1~第3回転軸3D~3Fが略同一方向に延びた状態となる範囲で、適宜定められることができる。具体的には、各アーム部は、例えば、棒状の形状であってもよいし、曲がった形状であってもよい。
【0049】
(2)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…支持部材、10…ボデー側端部、11…コンバータ側端部、2A~2C…第1~第3アーム部、20…第1主面、21…第2主面、22…第1穴、23…第2穴、3A~3C…第1~第3回転部、3D~3F…第1~第3回転軸、30…内輪、30A…貫通穴、31…外輪、32…転動体、4…触媒コンバータ、40…ブラケット、41…ボルト、5…ボデー、50…ボルト。