(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167617
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】スピーカ、スピーカバッフル、スピーカフレーム
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20241127BHJP
H04R 9/02 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
H04R1/02 105B
H04R9/02 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083818
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】長岡 聡史
【テーマコード(参考)】
5D012
5D017
【Fターム(参考)】
5D012CA08
5D017AG08
(57)【要約】
【課題】省スペースで十分な防振効果を得ることができ、スピーカユニットの取り付け方法及び構造は今までと変える必要がないスピーカを提供する。
【解決手段】スピーカ1は、振動板11を有するスピーカユニット1Aと、スピーカユニット1Aの取り付け対象に取り付ける取り付け部材1Bと、スピーカユニット1Aと取り付け部材1Bとの間に介在させる弾性体1Cとを備える。弾性体1Cは、薄板構造であり、振動板11の振動方向に板厚方向を一致させた状態で、弾性体1Cの両端でスピーカユニット1Aと取り付け部材1Bとを接続している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカであって、
振動板を有するスピーカユニットと、
前記スピーカユニットの取り付け対象に取り付ける取り付け部材と、
前記スピーカユニットと前記取り付け部材との間に介在させる弾性体とを備え、
前記弾性体は、薄板構造であり、前記振動板の振動方向に板厚方向を一致させた状態で、前記弾性体の両端で前記スピーカユニットと前記取り付け部材とを接続していることを特徴とするスピーカ。
【請求項2】
前記取り付け部材は、前記スピーカユニットのスピーカバッフル又はスピーカフレームに接続されていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ。
【請求項3】
前記弾性体は、板厚方向に曲げられた曲げ部を有することを特徴とする請求項1に記載のスピーカ。
【請求項4】
前記取り付け部材は、前記弾性体により前記スピーカユニットのスピーカバッフル又はスピーカフレームに接続され、前記取り付け部材、前記弾性体、前記スピーカバッフル又は前記スピーカフレームがインサート成形により一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ。
【請求項5】
前記取り付け部材は、前記弾性体により前記スピーカユニットのスピーカバッフル又はスピーカフレームに接続され、前記取り付け部材、前記弾性体、前記スピーカバッフル又は前記スピーカフレームが2色成形により一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ。
【請求項6】
前記振動板の外形が円形形状の場合、前記弾性体は、円形形状に1以上の内側凸形状が付けられた内形と、内形より大径の円形形状に1以上の外側凸形状が付けられた外形とを有することを特徴とする請求項1に記載のスピーカ。
【請求項7】
スピーカバッフルであって、
音孔を有しスピーカユニットのスピーカフレームに固定されるバッフル本体と、
前記スピーカユニットの取り付け対象に取り付ける取り付け部材と、
前記バッフル本体と前記取り付け部材との間に介在させる弾性体とを備え、
前記弾性体は、薄板構造であり、前記スピーカユニットの振動板の振動方向に板厚方向を一致させた状態で、前記弾性体の両端で前記バッフル本体と前記取り付け部材とを接続していることを特徴とするスピーカバッフル。
【請求項8】
スピーカフレームであって、
スピーカユニットの振動板を保持するフレーム本体と、
前記スピーカユニットの取り付け対象に取り付ける取り付け部材と、
前記フレーム本体と前記取り付け部材との間に介在させる弾性体とを備え、
前記弾性体は、薄板構造であり、前記振動板の振動方向に板厚方向を一致させた状態で、前記弾性体の両端で前記フレーム本体と前記取り付け部材とを接続していることを特徴とするスピーカフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカユニットの取り付け対象にスピーカユニットの振動が伝わるのを抑えることができるスピーカ、スピーカバッフル、スピーカフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
スピーカはスピーカユニットの振動によって音がでるが、それらはスピーカユニットの取り付け対象(例えばキャビネット)に伝わって不要な音をだす。これらをカットするスピーカとして、スピーカユニットとスピーカユニットの取り付け対象との間に弾性体を介在させ、振動を遮断するようにするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述したような従来のスピーカでは、弾性体は、厚みに対して圧縮方向での力の印加となるため、防振効果を得るためには弾性体に厚みが必要となり、スペース的な問題を生じる。また、スピーカユニットとスピーカユニットの取り付け対象との間に弾性体を介在させるため、スピーカユニットの取り付け方法及び構造は今までと変える必要がある。
【0005】
本発明は、前述したような課題に鑑みてなされたものであり、省スペースで十分な防振効果を得ることができ、スピーカユニットの取り付け方法及び構造は今までと変える必要がないスピーカ、スピーカバッフル、スピーカフレームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るスピーカは、
振動板を有するスピーカユニットと、
前記スピーカユニットの取り付け対象に取り付ける取り付け部材と、
前記スピーカユニットと前記取り付け部材との間に介在させる弾性体とを備え、
前記弾性体は、薄板構造であり、前記振動板の振動方向に板厚方向を一致させた状態で、前記弾性体の両端で前記スピーカユニットと前記取り付け部材とを接続していることを特徴とするものである。
【0007】
本発明に係るスピーカバッフルは、
スピーカユニットの振動板を覆うバッフル本体と、
前記スピーカユニットの取り付け対象に取り付ける取り付け部材と、
前記バッフル本体と前記取り付け部材との間に介在させる弾性体とを備え、
前記弾性体は、薄板構造であり、前記スピーカユニットの振動板の振動方向に板厚方向を一致させた状態で、前記弾性体の両端で前記バッフル本体と前記取り付け部材とを接続していることを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係るスピーカフレームは、
スピーカユニットの振動板を保持するフレーム本体と、
前記スピーカユニットの取り付け対象に取り付ける取り付け部材と、
前記フレーム本体と前記取り付け部材との間に介在させる弾性体とを備え、
前記弾性体は、薄板構造であり、前記振動板の振動方向に板厚方向を一致させた状態で、前記弾性体の両端で前記フレーム本体と前記取り付け部材とを接続していることを特徴とするものである。
【0009】
なお、本発明に係るスピーカ、スピーカバッフル、スピーカフレームにおいて、取り付け部材は、1部品で構成してもよく、複数の部品に分割して備えてもよい。それに対応して、弾性体も、1部品で構成してもよく、複数の部品に分割して備えてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るスピーカ、スピーカバッフル、スピーカフレームによれば、省スペースで十分な防振効果を得ることができ、取り付け方法及び構造は今までと変える必要がないスピーカ、スピーカバッフル、スピーカフレームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るスピーカを示す外観斜視図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係るスピーカを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係るスピーカについて、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るスピーカの外観斜視図、
図2は、
図1のA-A線断面図、
図3は、弾性体1Cの外観斜視図である。
【0013】
図1は、背面側を上にした状態の後述するスピーカユニット1Aを斜め上方から見た外観を示す。
図1、
図2においては、紙面上側がスピーカユニット1Aの背面側であり、紙面下側がスピーカユニット1Aの正面側である。
【0014】
図2の一点鎖線で示すスピーカユニット1Aの中心線CLは、スピーカユニット1Aの後述する振動系(振動板11及びボイスコイル12)の振動方向に平行で、かつ、振動系の中心及びスピーカユニット1Aの後述する駆動系(磁気回路13)の中心を通る。この中心線CLと直交する方向は、スピーカユニット1Aの径方向Rである。
【0015】
図2では、
図1のA-A線断面図のうち、中心線CLより右半部を示し、中心線CLより左半部は右半部と左右対称に表れるため省略した。
【0016】
図1、
図2に示すように、スピーカ1は、振動板11を有するスピーカユニット1Aと、スピーカユニット1Aの取り付け対象に取り付ける取り付け部材1Bと、スピーカユニット1Aと取り付け部材1Bとの間に介在させる弾性体1Cとを備え、弾性体1Cは、薄板構造であり、振動板11の振動方向に板厚方向を一致させた状態で、弾性体1Cの両端でスピーカユニット1Aと取り付け部材1Bとを接続している。取り付け部材1Bは、弾性体1Cによりスピーカユニット1Aの後述するスピーカバッフル15に接続されている。
【0017】
スピーカユニット1Aは、振動板11と、ボイスコイル12と、磁気回路13と、スピーカフレーム14と、スピーカバッフル15とを備える。
【0018】
振動板11は、それ自体の振動によって周囲の空気を押して振動させ音を発生させるため、空気を通さない薄膜、例えば樹脂膜等からなる。振動板11は、背面中央部に振動板11を振動させる筒状のボイスコイル12の正面側の端部が同芯で接着結合される。振動板11は、ボイスコイル12とでスピーカユニット1Aの振動系を構成する。この振動板11の外周縁部には、振動板11をスピーカフレーム14に繋ぐためのエッジ部111が形成される。
【0019】
振動板11は、ドーム型である。振動板11の形状は、ドーム型に限定されず、例えば、コーン型等でもよい。エッジ部111は、ロール型であり、円弧状の断面形状を有する。エッジ部111は、振動板11の材料の延長をエッジ部111としたもの(フィックスドエッジ)であるが、別材料で形成して接着するもの(フリーエッジ)でもよい。
【0020】
ボイスコイル12は、筒状のボビン121の外周面に沿って巻回され、ボビン121を介して、振動板11に接着結合される。
【0021】
磁気回路13は、スピーカユニット1Aの駆動部を構成する。磁気回路13は、磁性材料からなる有底筒状のヨーク131と、このヨーク131の内側に配置される永久磁石からなる柱状のマグネット132と、このマグネット132の正面側に配置される磁性材料からなる板状のポールピース133とで構成され、ヨーク131の周側壁上部とポールピース133との間に磁気ギャップ134が形成される。
【0022】
磁気回路13は、磁気ギャップ134(ボイスコイル12)の内側にマグネット132が配置される内磁型である。磁気回路13の構成は、内磁型に限定されず、例えば、磁気ギャップ(ボイスコイル)の外側にマグネットが配置される外磁型でもよい。
【0023】
スピーカフレーム14は、樹脂材料からなり、インサート成形によってヨーク131と一体に形成される。スピーカフレーム14は、ヨーク131の周側壁から径方向Rの外側に張り出すフランジ状に形成され、中央部に磁気回路13を保持される。このスピーカフレーム14には、平坦な外周縁部141と、この外周縁部141の外周縁部から正面側に延びる周側壁142とが形成される。
【0024】
スピーカフレーム14の材料は、樹脂材料に限定されず、例えば、金属材料でもよい。スピーカフレーム14とヨーク131との結合方法は、接着でもよい。スピーカフレーム14の形状は、振動板11と磁気回路13とを保持できればよく、
図1、
図2に示す形状に限定されず、任意である。
【0025】
振動板11は、スピーカフレーム14の外周縁部141にエッジ部111の外周縁部が接着結合され、スピーカフレーム14の周側壁142の内側に保持される。ボイスコイル12は、磁気回路13の正面側から磁気ギャップ134に挿入した状態で保持される。
【0026】
スピーカバッフル15は、スピーカフレーム14に固定されるバッフル本体151と、スピーカユニット1Aの取り付け対象に取り付ける取り付け部材1Bと、バッフル本体151と取り付け部材1Bとの間に介在させる弾性体1Cとを備え、弾性体1Cは、薄板構造であり、スピーカユニット1Aの振動板11の振動方向に板厚方向を一致させた状態で、弾性体1Cの両端でバッフル本体151と取り付け部材1Bとを接続している。
【0027】
バッフル本体151は、スピーカユニット1Aの取り付け対象に取り付ける取り付け部(本実施形態ではフランジ)が一体に形成されたスピーカバッフルからその取り付け部を分離して別部品としたときのスピーカバッフルである。
【0028】
バッフル本体151は、樹脂材料からなり、有底筒状に形成され、振動板11と対向する天板部1511と、この天板部1511の外周縁部から背面側に延びる周側壁1512とを有し、この周側壁1512の背面側の端面には、スピーカフレーム14の周側壁142を嵌合される溝部1513が設けられる。
【0029】
バッフル本体151は、溝部1513にスピーカフレーム14の周側壁142を嵌合した状態で、スピーカフレーム14の正面側に固定され、振動板1を正面側から覆う。バッフル本体151の固定は、周側壁1512の溝部1513と周側壁142との接着結合を行う。
【0030】
振動板11の正面側にあるバッフル本体151の天板部1511には、スピーカユニット1Aの正面側へ音を放出するための音孔1514が設けられ、振動板1の背面側にあるスピーカフレーム14には、振動板11によって遮蔽されたスピーカフレーム14の内部の空気(音)をスピーカユニット1Aの背面側へ逃がすための音孔143が設けられる。
【0031】
取り付け部材1Bは、スピーカバッフルに一体に形成され、スピーカユニット1Aの取り付け対象に取り付ける取り付け部(本実施形態ではフランジ)であって、その取り付け部をスピーカバッフルから分離して別部品としたものである。
【0032】
取り付け部材1Bは、樹脂材料からなり、バッフル本体151の周側壁1512の径方向Rの外側に一定の隙間1Dを設けた状態で、バッフル本体151の周側壁1512を取り囲むような枠状に形成される。この取り付け部材1Bには、スピーカユニット1Aの取り付け対象に対するネジ留め用に、ネジの軸部より大径、かつ、ネジの頭部より小径の孔1B1が複数設けられる。取り付け部材1Bのスピーカユニット1Aの取り付け対象に対する取り付け方法及び取り付け構造は、スピーカバッフルから分離して別部品とする前と同じで変わらない。
【0033】
弾性体1Cは、ゴム、エストラマ―等の弾性材料からなる。弾性体1Cは、振動板11の振動方向に板厚方向を一致させた薄板構造を有する。弾性体1Cは、バッフル本体151の周側壁1512と取り付け部材1Bとの隙間1Dに沿うような枠状に形成される(
図3参照)。弾性体1Cは、バッフル本体151の周側壁1512と取り付け部材1Bとの隙間1Dを正面側から覆うようにバッフル本体151の周側壁1512と取り付け部材1Bとの間に配置される。弾性体1Cの内側の端部は、バッフル本体151の周側壁1512の正面側外周縁部に接続される。弾性体1Cの外側の端部は、取り付け部材1Bの正面側内周縁部に接続される。
【0034】
スピーカバッフル15は、バッフル本体151と、取り付け部材1Bと、弾性体1Cとをインサート成形により一体に形成することで製造することができる。具体的には、例えば、弾性体1Cをインサート部品としてバッフル本体151及び取り付け部材1Bを射出成形する。
【0035】
スピーカバッフル15は、インサート成形に限られず、例えば、バッフル本体151と、取り付け部材1Bと、弾性体1Cとを2色成形により一体に形成することでも製造することができる。具体的には、例えば、弾性体1Cを1次成形品として射出成形し、バッフル本体151と取り付け部材1Bとを2次成形品として射出成形する。
【0036】
スピーカバッフル15は、バッフル本体151と、取り付け部材1Bと、弾性体1Cとを別々に形成し、バッフル本体151と弾性体1Cとを接着により接続すると共に、取り付け部材1Bと弾性体1Cとを接着により接続し、スピーカバッフル15を組み立ててもよい。スピーカバッフル15のバッフル本体151及び取り付け部材1Bは、樹脂材料に限られず、例えば、金属材料でもよい。
【0037】
スピーカユニット1Aの振動板11の外形及び磁気回路13の外形は円形形状であるのに対し、
図1に示すように、スピーカフレーム14は、振動板11の外形に沿うような円形形状に1つの凸形状(凸部)144が付けられた外形を有する。また、このスピーカフレーム14の外形に伴い、バッフル本体151の外形には、スピーカフレーム14の外形に沿うように円形形状に1つの凸形状(凸部)1515が付けられる。また、このバッフル本体151の外形に伴い、取り付け部材1Bの内形(孔形)は、バッフル本体151の外形に沿うように円形形状に1つの凸形状(凸部)1B2が付けられる。さらに、
図3に示すように、バッフル本体151の外形に伴い、弾性体1Cの内形(孔形)は、バッフル本体151の外形に沿うように円形形状に1つの内側凸形状1C1が付けられる。また、取り付け部材1Bの内形に伴い、弾性体1Cの外形は、取り付け部材1Bの内形に沿うように円形形状に1つの外側凸形状1C2が付けられる。
【0038】
図1、
図3に示す各凸形状144、1515、1B2、1C1、1C2は、四角形であるが、各凸形状144、1515、1B2、1C1、1C2は、弾性体1Cの全周が一様な形状(円形形状)にならなければよく、
図1、
図3に示す形状に限定されず、任意である。各凸形状144、1515、1B2、1C1、1C2と同様に、各凸形状144、1515、1B2、1C1、1C2の数についても、1つに限定されず、複数でもよい。
【0039】
次にスピーカ1の作用効果について説明する。スピーカユニット1Aは、例えば、車両のメータパネルに取り付け部材1Bの複数個所(孔1B1)をネジ留めで固定することにより取り付けられ、このスピーカユニット1Aのボイスコイル12に車両に搭載された再生装置からウインカー音や警報音等の音声データ(電気信号)が供給され、ボイスコイル12及び振動板11が振動することで、ウインカー音や警告音等の音が出力される。
【0040】
スピーカユニット1Aの取り付け対象への取り付け部材1Bの取り付け方法は、ネジ留めに限定されず、接着等のその他の方法でもよい。
【0041】
振動板11が振動すると、スピーカユニット1Aが振動する。スピーカユニット1Aと取り付け部材1Bとの間に介在させる弾性体1Cを備え、スピーカユニット1Aと取り付け部材1Bとを弾性体1Cによって接続している。より具体的には、スピーカユニット1Aのバッフル本体151と取り付け部材1Bとの間に弾性体1Cを介在させ、スピーカユニット1Aのバッフル本体151と取り付け部材1Bとを弾性体1Cによって接続している。
【0042】
これにより、スピーカユニット1Aが振動しても、弾性体1Cによって、取り付け部材1Bへの振動伝達率を小さく抑えることができる。すなわち、スピーカユニット1Aから取り付け部材1Bに伝達される振動は、弾性体1Cによって減衰又は絶縁、遮断される。この結果、スピーカ1は、スピーカユニット1Aの取り付け対象、すなわち、車両のメータパネルにスピーカユニット1Aの振動が伝わるのを抑えることができ、不要な音をカットすることができる。
【0043】
また、前述のとおり、弾性体1Cは、スピーカユニット1Aと取り付け部材1Bとの間に介在させる。より具体的には、スピーカユニット1Aのバッフル本体151と取り付け部材1Bとの間に介在させる。
【0044】
これにより、スピーカ1では、取り付け方法及び構造は今までと変える必要がない。なお、取り付け方法及び構造は今までと変えることもできる。
【0045】
さらに、弾性体1Cは、薄板構造であり、スピーカユニット1Aの振動板11の振動方向に板厚方向を一致させた状態で、弾性体1Cの両端でスピーカユニット1Aと取り付け部材1Bとを接続している。より具体的には、スピーカユニット1Aのバッフル本体151と取り付け部材1Bとを接続している。
【0046】
これにより、弾性体1Cの厚みに対して圧縮方向での力の印加とならず、弾性体1Cの曲げ方向での力の印加となり、弾性体1Cは、自身の圧縮変形ではなく、曲げ変形により、スピーカユニット1Aから取り付け部材1Bへの振動伝達率を小さく抑えることができる。この結果、スピーカ1は、省スペースで十分な防振効果を得ることができ、スピーカユニット1Aの取り付け対象、すなわち、車両のメータパネルにスピーカユニット1Aの振動が伝わるのを抑えることができ、不要な音をカットすることができる。
【0047】
また、弾性体1Cは、全周が一様な形状で円形形状の場合、ローリングモード(振動板11の振幅が大きくなると不均一な動き、いわゆるローリングと呼ばれる現象で、ねじれるような動きが起こる状態)での共振点が一つとなるため共振周波数において、振動が大きく増幅される場合がある。弾性体1Cは、円形形状に1以上の内側凸形状1C1が付けられた内形と、内形より大径の円形形状に1以上の外側凸形状1C2が付けられた外形とを有する。
【0048】
これにより、ローリングモードの共振点が2つ以上となり、共振周波数が複数となると同時にピークが低くなる。この結果、振動の増幅が抑制され、より振動減衰効果が発揮される。
【0049】
スピーカ1は、車載メータパネルのウインカー音や警告音用途に限られず、車産業用機器、家庭用電気機械器具など様々な用途で利用される。スピーカユニット1Aの取り付け対象は、車載メータパネルに限られず、用途に応じた取り付け対象に取り付けられ、任意であるが、当然、スピーカキャビネットにも、弾性体1Cではなく、固定部1Bを介して取り付けられる。
【0050】
スピーカ1では、1部品で構成された取り付け部材1B及び1部品で構成された弾性体1Cを備えたが、例えば、3つの第1、第2及び第3取り付け部材及び3つの第1、第2及び第3弾性体を備え、例えば、各取り付け部材に1つずつネジ留め用の孔1B1を設け、各取り付け部材を各弾性体によってスピーカユニット1A、より具体的にはスピーカユニット1Aのバッフル本体151に接続してもよい。
【0051】
図4は、本発明の第2実施形態に係るスピーカ10を示す断面図である。なお、
図4は、
図3と同じ切断線に沿って切断した断面を示し、また、
図3と同じく中心線CLより右半部を示し、中心線CLより左半部は右半部と左右対称に表れるため省略した。スピーカ10において、前述の第1実施形態と同様の説明は省略する。
【0052】
第2実施形態のスピーカ10が第1実施形態のスピーカ1と異なる点は、取り付け部材1Bは、弾性体1Cによりスピーカユニット1Aのスピーカフレーム14に接続されている点である。
【0053】
スピーカフレーム140は、スピーカユニット1Aの振動板11を保持するスピーカフレーム14と、スピーカユニット1Aの取り付け対象に取り付ける取り付け部材1Bと、フレーム本体14と取り付け部材1Bとの間に介在させる弾性体1Cとを備え、弾性体1Cは、薄板構造であり、振動板11の振動方向に板厚方向を一致させた状態で、弾性体1Cの両端でフレーム本体14と取り付け部材1Bとを接続している。
【0054】
フレーム本体14は、スピーカユニット1Aの取り付け対象に取り付ける取り付け部が一体に形成されたスピーカフレームからその取り付け部を分離して別部品としたときのスピーカフレームであって、前述したスピーカユニット1Aのスピーカフレーム14である。
【0055】
取り付け部材1Bは、スピーカフレームに一体に形成され、スピーカユニット1Aの取り付け対象に取り付ける取り付け部であって、その取り付け部材をスピーカフレームから分離して別部品としたものである。
【0056】
取り付け部材1Bは、フレーム本体14の周側壁142の径方向Rの外側に一定の隙間1Dを設けた状態で、フレーム本体14の周側壁142を取り囲むような枠状に形成される。取り付け部材1Bのスピーカユニット1Aの取り付け対象に対する取り付け方法及び取り付け構造は、スピーカフレームから分離して別部品とする前と同じで変わらない。
【0057】
弾性体1Cは、フレーム本体14の周側壁142と取り付け部材1Bとの隙間1Dに沿うような枠状に形成される。弾性体1Cは、フレーム本体14の周側壁142と取り付け部材1Bとの隙間1Dを正面側から覆うようにフレーム本体14の周側壁142と取り付け部材1Bとの間に配置される。弾性体1Cの内側の端部は、フレーム本体14の周側壁142の正面側外周縁部に接続される。弾性体1Cの外側の端部は、取り付け部材1Bの正面側内周縁部に接続される。
【0058】
スピーカフレーム140は、フレーム本体14と、取り付け部材1Bと、弾性体1Cとをインサート成形により一体に形成することで製造することができる。具体的には、例えば、弾性体1Cをインサート部品としてフレーム本体14及び取り付け部材1Bを射出成形する。この場合、ヨーク131はフレーム本体14に接着結合できる。なお、スピーカフレーム140は、弾性体1C及びヨーク131をインサート部品として、フレーム本体14及び取り付け部材1Bを射出成形してもよい。
【0059】
スピーカフレーム140は、インサート成形に限られず、例えば、フレーム本体14と、取り付け部材1Bと、弾性体1Cとを2色成形により一体に形成することでも製造することができる。具体的には、例えば、弾性体1Cを1次成形品として射出成形し、フレーム本体14と取り付け部材1Bとを2次成形品として射出成形する。
【0060】
スピーカフレーム140は、フレーム本体14と、取り付け部材1Bと、弾性体1Cとを別々に形成し、フレーム本体14と弾性体1Cとを接着により接続すると共に、取り付け部材1Bと弾性体1Cとを接着により接続し、スピーカフレーム140を組み立ててもよい。スピーカフレーム140のフレーム本体14及び取り付け部材1Bは、樹脂材料に限られず、例えば、金属材料でもよい。
【0061】
スピーカユニット1Aの振動板11の外形及び磁気回路13の外形は円形形状であるのに対し、フレーム本体14は、振動板11の外形に沿うような円形形状に1つの凸形状(凸部)が付けられた外形を有する。また、このフレーム本体14の外形に伴い、取り付け部材1Bの内形(孔形)は、フレーム本体14の外形に沿うように円形形状に1つの凸形状(凸部)が付けられる。さらに、
図3に示すように、フレーム本体14の外形に伴い、弾性体1Cの内形(孔形)は、フレーム本体14の外形に沿うように円形形状に1つの内側凸形状1C1が付けられる。また、取り付け部材1Bの内形に伴い、弾性体1Cの外形は、取り付け部材1Bの内形に沿うように円形形状に1つの外側凸形状1C2が付けられる。
【0062】
前述のように第2実施形態のスピーカ10は、スピーカユニット1Aと取り付け部材1Bとの間に介在させる弾性体1Cを備え、スピーカユニット1Aと取り付け部材1Bとを弾性体1Cによって接続している。より具体的には、スピーカユニット1Aのフレーム本体14と取り付け部材1Bとの間に弾性体1Cを介在させ、スピーカユニット1Aのフレーム本体14と取り付け部材1Bとを弾性体1Cによって接続している。
【0063】
また、弾性体1Cは、薄板構造であり、スピーカユニット1Aの振動板11の振動方向に板厚方向を一致させた状態で、弾性体1Cの両端でスピーカユニット1Aと取り付け部材1B、より具体的には、スピーカユニット1Aのフレーム本体14と取り付け部材1Bとを接続している。
【0064】
さらに、弾性体1Cは、円形形状に1以上の内側凸形状1C1が付けられた内形と、内形より大径の円形形状に1以上の外側凸形状1C2が付けられた外形とを有する。
【0065】
したがって、第2実施形態のスピーカ10においても、第1実施形態のスピーカ1と同様の作用効果を奏する。
【0066】
図5は、弾性体の変形構造を示す断面図である。
図5に示す弾性体10Cの説明において、第1実施形態及び第2実施形態の弾性体1Cと同様の説明は省略する。
【0067】
弾性体10Cは、バッフル本体151の周側壁1512の正面側外周縁部又はフレーム本体14の周側壁142の正面側外周縁部に接続される内側の端部と、取り付け部材1Bの正面側内周縁部に接続される外側の端部との間に、板厚方向に曲げられた曲げ部10C1を有する。曲げ部10C1は、振動板11のロール型のエッジ部111と同様に、円弧状の断面形状を有する。曲げ部10C1の形状は、ロール型に限られず、例えばS字型等でもよい。
【0068】
このような弾性体10Cは、第1実施形態及び第2実施形態の弾性体1Cと同様の作用効果を奏する。また、弾性体10Cでは、径方向Rの長さが弾性体1Cよりも長くなることにより、弾性体1Cよりも柔軟性が増す。これにより、変位が大きくなっても線形性を維持でき、振動が印加された状態でも防振効果を発揮できる。
【0069】
なお、前述した実施形態では、本発明の代表的な実施形態を示したに過ぎず、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更、付加が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1、10 スピーカ
1A スピーカユニット
1B 取り付け部材
1C、10C 弾性体
1C1 内側凸形状
1C2 外側凸形状
10C1 曲げ部
11 振動板
14 スピーカフレーム(フレーム本体)
140 スピーカフレーム
15 スピーカバッフル
151 バッフル本体