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特開2024-167618音響レンズ用シリコーンゴム組成物及びその製造方法
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  • 特開-音響レンズ用シリコーンゴム組成物及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167618
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】音響レンズ用シリコーンゴム組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083819
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】西尾 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】小林 圭
(72)【発明者】
【氏名】中島 翔真
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE03
4C601GB33
4C601GB41
4C601GB45
4C601GB46
4C601GB47
(57)【要約】
【課題】超音波の減衰量が少ない音響レンズの製造に適した音響レンズ用シリコーンゴム組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】シリコーンゴムとナノシリカ粒子を含む音響レンズ用シリコーンゴム組成物であって、組成物全体の総質量100質量部のうち、前記ナノシリカ粒子が82~86質量部の割合で含まれる音響レンズ用シリコーンゴム組成物;硬化前のシリコーンゴムとナノシリカ粒子を混錬した混錬物を得る工程と、前記混錬物を所望の形状に成形し、未硬化成形体を得る工程と、前記未硬化成形体を所定の温度及び時間で加熱処理し、硬化した成形体を得る工程とを有する音響レンズ用シリコーンゴム組成物の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンゴムとナノシリカ粒子を含む音響レンズ用シリコーンゴム組成物であって、組成物全体の総質量100質量部のうち、前記ナノシリカ粒子が82~86質量部の割合で含まれる、音響レンズ用シリコーンゴム組成物。
【請求項2】
前記ナノシリカ粒子の平均粒子径が50~70nmである、請求項1に記載の音響レンズ用シリコーンゴム組成物。
【請求項3】
硬化前のシリコーンゴムとナノシリカ粒子を混錬した混錬物を得る工程と、
前記混錬物を所望の形状に成形し、未硬化成形体を得る工程と、
前記未硬化成形体を所定の温度及び時間で加熱処理し、硬化した成形体を得る工程と、
を有する、音響レンズ用シリコーンゴム組成物の製造方法。
【請求項4】
前記所望の形状が厚さ3~7mmのシート状であり、
前記所定の温度及び時間が150~170℃で18~30時間である、
請求項3に記載の音響レンズ用シリコーンゴム組成物の製造方法。
【請求項5】
前記混錬物中に硬化用の加硫剤を配合しない、
請求項3に記載の音響レンズ用シリコーンゴム組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響レンズ用シリコーンゴム組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
健康診断等に使用される超音波診断装置は、被検者に超音波を送信し、その反射波を受信することで被検者の臓器等を画像化することができる。このような超音波診断装置は、超音波探触子を備え、超音波を送受信する部位であって被験者に密着される部位には音響レンズが備えられている(例えば特許文献1)。音響レンズと被験者の体表面との間で超音波が反射することを抑制する観点から、音響レンズは生体に近い音響インピーダンスを示すことが望ましい。また、被験者から受信する超音波の検出感度を高める観点から、音響レンズにおける超音波の減衰量が少ないことが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-95178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、超音波の減衰量が少ない音響レンズの製造に適した音響レンズ用シリコーンゴム組成物及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1] シリコーンゴムとナノシリカ粒子を含む音響レンズ用シリコーンゴム組成物であって、組成物全体の総質量100質量部のうち、前記ナノシリカ粒子が82~86質量部の割合で含まれる、音響レンズ用シリコーンゴム組成物。
[2] 前記ナノシリカ粒子の平均粒子径が50~70nmである、[1]に記載の音響レンズ用シリコーンゴム組成物。
[3] 硬化前のシリコーンゴムとナノシリカ粒子を混錬した混錬物を得る工程と、前記混錬物を所望の形状に成形し、未硬化成形体を得る工程と、前記未硬化成形体を所定の温度及び時間で加熱処理し、硬化した成形体を得る工程と、を有する、音響レンズ用シリコーンゴム組成物の製造方法。
[4] 前記所望の形状が厚さ3~7mmのシート状であり、前記所定の温度及び時間が150~170℃で18~30時間である、[3]に記載の音響レンズ用シリコーンゴム組成物の製造方法。
[5] 前記混錬物中に硬化用の加硫剤を配合しない、[3]又は[4]に記載の音響レンズ用シリコーンゴム組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明の音響レンズ用シリコーンゴム組成物及びその製造方法によれば、超音波の減衰量を低減することができ、例えば7dB/mm以下とすることができる。また、音響インピーダンスを1.45±0.05MRaylの範囲とすることができる。さらに、測定時に界面活性剤を含む水溶液を使用することにより、測定値のバラツキを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】試験例1~3で作製した組成物の音響特性を調べた結果である。
図2】試験例2で作製した組成物の加熱硬化前後での重量変化率を調べた結果である。
図3】試験例4で界面活性剤の有無による音響特性の変化を調べた結果である。
図4】試験例4で界面活性剤の有無による測定値のバラツキを調べた結果である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
≪音響レンズ用シリコーンゴム組成物≫
本発明の第一態様は、シリコーンゴムとナノシリカ粒子を含む音響レンズ用シリコーンゴム組成物である。
【0009】
シリコーンゴムとしては、例えば、オルガノポリシロキサンを骨格とするものが挙げられ、加えてメチル基やビニル基を含むもの(例えばジメチルポリシロキサン構造のシリコーンゴム)が好ましいが、これに限定されない。前記シリコーンゴムは、アルキドシリコーン、エポキシシリコーン等の変性シリコーンゴムを含んでいてもよい。
【0010】
ナノシリカ粒子は粒子径が1μm未満のナノレベルのシリカ粒子の集合体である。いわゆるフュームドシリカとして製造及び販売されているものが好適である。ナノシリカ粒子は複数が凝集してサブミクロンサイズの凝集体を形成していてもよい。
ナノシリカ粒子の総質量に対するシリカ(SiO)の含有量は99%以上が好ましい。
ナノシリカ粒子の平均粒子径は、50~70nmであることが好ましい。この粒子径は、本態様のシリコーンゴム組成物の表面又は断面を電子顕微鏡で観測し、観察視野内に含まれるナノシリカ粒子から無作為に選択した10個以上のナノシリカ粒子の最長径(最も長い差し渡し)の長さの平均値とする。
ナノシリカ粒子の比表面積は、例えば50~380m/gの範囲が好ましい。
ナノシリカ粒子の表面には、シラノール基が存在することが好ましい。
ナノシリカ粒子の真比重は、例えば2.0~2.4の範囲が好ましい。
上記の好適な特性を有するナノシリカ粒子は市販されており、例えば日本アエロジル社から購入することができる。
【0011】
本態様の音響レンズ用シリコーンゴム組成物において、当該組成物全体の総質量100質量部のうち、前記ナノシリカ粒子が82~86質量部の割合で含まれることが好ましい。残部はシリコーンゴムであることが好ましい。
上記の好ましい含有量の割合であると、音響減衰量を充分に低減することができる。
【0012】
本態様の音響レンズ用シリコーンゴム組成物は、前記シリコーンゴム及び前記ナノシリカ粒子以外の任意成分を含んでいてもよい。
任意成分としては、例えば、製造時に不可避的に混入しうる水分、シリコーンゴムの硬化に使用される加硫剤、染料・顔料等が挙げられる。
ただし、後述する好ましい製造方法においては、加硫剤を含有させずに、加熱硬化処理を行い、音響レンズ用シリコーンゴム組成物内の水分を充分に除去することができる。
本組成物によって形成された音響レンズの音響インピーダンスを好適な範囲に保ちつつ、超音波の減衰量を低減する観点から、本組成物に含まれる任意成分の含有量は、本組成物の総質量に対して0~10質量%が好ましく、0~5質量%がより好ましく、0~1質量%がさらに好ましい。
【0013】
本態様の音響レンズ用シリコーンゴム組成物に含まれる水分量は、本組成物の総質量に対して100ppm以下であることが好ましく、80ppm以下がより好ましく、50ppm以下がさらに好ましい。
上記の好適な含有割合であると、音響インピーダンスを上記の好適な範囲としつつ、超音波の減衰量を低減する効果がより一層得られる。
本組成物に含まれる水分量は、カールフィシャー法により測定した値である。
【0014】
加硫剤としては、シリコーンゴムの一般的な加硫剤を適用することができ、例えば、2,5-ジメチル-2,5-ジターシャリーブチルパーオキシシヘキサン、p-メチルベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイド等が挙げられる。
本組成物中に加硫剤を配合するか否かは任意であるが、配合する場合、その配合量としては、例えば、前記シリコーンゴム100質量部に対して0.1~1質量部とすることができる。
【0015】
本態様の音響レンズ用シリコーンゴム組成物は、公知のシリコーンゴム組成物と同様に常法により製造することができるが、後述の第二態様の製造方法が好ましい。
本態様の音響レンズ用シリコーンゴム組成物は公知のシリコーンゴム組成物と同様に常法により成形することができ、所望の形状の音響レンズの材料として好適である。
【0016】
本態様の音響レンズ用シリコーンゴム組成物を所望の厚さ(例えば、5mm±0.2mm)のシートに成形し、25℃において10.0MHzの超音波の縦波をその厚さ方向に照射したときの減衰量は7.0dB/mm以下が好ましく、6.5dB/mm以下がより好ましく、6.0dB/mm以下がさらに好ましい。
前記シートは単純な音響レンズに見立てた試験片である。音響レンズにおける減衰量が少ないほど、効率的かつ高感度で超音波測定することができる。
【0017】
本態様の音響レンズ用シリコーンゴム組成物からなる成形体の音響特性は、次のように評価・測定する。いずれも成形体が25℃、1気圧にあるときの音響特性である。
【0018】
<音速>
前記成形体中の音速(単位:m/s)は、生体組織中の音速に近い900~1600m/sであることが好ましく、例えば950~1050m/s(ほぼ1000m/s)とすることができる。
前記成形体中の音速は、シート状の試験片の表面(一方の表面)から超音波(周波数1.0~10.0MHzの縦波)を発して裏面(他方の表面)で反射された超音波が表面に到達するまでに要する時間(伝播時間)を測定し、伝播距離/伝播時間にて算出される。
音速の測定には、例えば、超音波厚さ計「Echometer1060」(日本マテック株式会社製)を利用することができる。
【0019】
<音響インピーダンス>
前記成形体の音響インピーダンスは、生体の音響インピーダンスに近い1.40~1.60MRaylの範囲であることが好ましい。
前記成形体の密度ρ(g/cm)と音速v(m/s)とから、式:ρ×vにより、求められる。ここで、音速vは上記測定方法で求めることができ、密度ρは、前記成形体の質量(g)をその体積(cm)で除すことにより、求められる。
【0020】
<音響減衰量>
前記成形体の音響減衰量(単に減衰量ともいう。)は、高効率かつ高感度で超音波を送受信でき、高品質の画像を得られる点で、周波数1.0~10.0MHzの超音波の縦波における減衰量が少ないことが好ましい。具体的には、上記超音波の減衰量は8.0dB/mm以下が好ましく、7.0dB/mm以下がより好ましく、6.0dB/mm以下がさらに好ましい。
減衰量は下式から求められる。
式: 20×log10[(強度B1/強度B2)]/(伝播距離)
上記式の強度B1は、シート状の試験片の表面(一方の表面)から超音波を発して裏面(他方の表面)で反射させ、表面で受信した超音波の強度値として求められる。ここで、強度B1は当該超音波が試験片中を1往復した後の強度であり、強度B2は、当該超音波が試験片中を2往復した後の強度であり、伝播距離は試験片の厚さ×2である。
上記減衰量の測定には、例えば、超音波厚さ計「Echometer1060」(日本マテック株式会社製)を利用することができる。
【0021】
≪音響レンズ用シリコーンゴム組成物の製造方法≫
本発明の第二態様は、硬化前のシリコーンゴムとナノシリカ粒子を混錬した混錬物を得る工程(混錬工程)と、前記混錬物を所望の形状に成形し、未硬化成形体を得る工程(成形工程)と、前記未硬化成形体を所定の温度及び時間で加熱処理し、硬化した成形体を得る工程(硬化工程)と、を有する、音響レンズ用シリコーンゴム組成物の製造方法である。
本態様の製造方法により、第一態様の音響レンズ用シリコーンゴム組成物を製造することが好ましい。
【0022】
混錬工程では、前述の材料を混錬して混錬物を得る。混錬材料の配合は前述の好ましい範囲が好ましい。混錬方法としては、ニーダーや複数本ロールを用いた公知の樹脂組成物の混錬方法を適用することができる。
得られた混錬物は、次工程における成形を容易にする観点から、一般的に知られる粘土、ペースト、ゲル等の所望の形状に成形可能な材料と同等の粘度や硬さを有することが好ましい。
【0023】
成形工程では、前段で得た混錬物を所望の形状に成形し、未硬化成形体を得る。未硬化成形体はいわゆる半硬化の状態であってもよい。
所望の形状としては、例えば厚さ3~7mmのシート状が挙げられる。シート形状であると、次工程における加熱硬化中にシート内の水分が除去されやすいので好ましい。不定形の塊状の混錬物をシート状に成形する方法は特に制限されず、公知の樹脂組成物を成形する装置(例えばロール成形機)を適用することができる。
【0024】
硬化工程では、前段で得た未硬化成形体を加熱硬化させ、目的の成形体を得る。
加熱硬化の温度及び時間は150~170℃で18~30時間であることが好ましい。
この範囲であると、加熱硬化処理中に未硬化成形体内の水分が除去され、音響減衰量が低減された目的の成形体が得られやすいので好ましい。
【実施例0025】
[試験例1]
シリコーンゴム(信越シリコーン社製、硬度70°Hs、比重1.4のSRレンズ汎用材)と、シリコーンゴム(信越シリコーン社製、硬度17°Hs、比重0.98、生ゴム)と、ナノシリカ粒子(40nmナノシリカ)と、加硫剤(信越シリコーン社製、加硫剤A)0.5質量部をニーダーでよく混練し、音響レンズ用シリコーンゴム組成物(混錬物)を得た。
得られた混錬物を厚さ1~2mm程度のシートに成形し、180℃、10分で加熱硬化した。
得られたシート試料を音響レンズに見立てて、前述の方法により、音響インピーダンス(単位:MRayl)と、音響減衰量(10MHz換算値;単位:dB/mm)を25℃で測定した。その結果を図1に示す。
【0026】
[試験例2]
シリコーンゴム(信越シリコーン社製)と、シリコーンゴム(信越シリコーン社製)と、ナノシリカ粒子をニーダーでよく混練し、音響レンズ用シリコーンゴム組成物(混練物)を得た。ここで、一般的に使用される加硫剤は配合せず、得られた混練物を厚さ5mmのシートに成形し、160℃、24時間で加熱処理した。加熱処理後に加硫剤を配合した。
得られたシート試料を音響レンズに見立てて、試験例1と同様に音響特性を測定した。その結果を図1に示す。
【0027】
[試験例3]
試験例2と同じ材料を配合し、3本ロールで30回混錬した。
得られた音響レンズ用シリコーンゴム組成物を厚さ5mmのシートに成形し、160℃、24時間で加熱処理した。
得られたシート試料を音響レンズに見立てて、試験例1と同様に音響特性を測定した。その結果を図1に示す。
【0028】
(予備試験)
試験例2と同様にして加硫剤の入っていない音響レンズ用シリコーンゴム組成物を得た。これを厚さ5mmのシートに成形し、180℃、16時間で加熱し、加熱前と後の重量を測定し、その変化率を求めた。
この試験を3回行い、重量の変化率をプロットした。この結果を図2に示す。
図2の結果から、加熱硬化時に組成物中の水分が除去されていることが分かった。
【0029】
[試験例4]
試験例3と同様にして得たシート試料(厚さ1~2mm)を用い、その音響減衰量を25℃で測定した。
測定に際して、測定プローブとシート試料の間に、水を塗布した場合と、界面活性剤水溶液を塗布した場合とで比較した。この試験を5つのシート試料について行った。その結果を図3に示す。これら5つの結果の平均値を求めた結果を図4に示す。
【0030】
同一のシートを測定した場合に関して、界面活性剤の有無によって最大0.9dB/mmの差が生じた。
5つのシートの測定値を比較すると、界面活性剤が有ると、差は-0.1~0.5dB/mmと小さくなった。
以上の図3~4の結果から、界面活性剤水溶液を用いると、音響測定のバラツキを低減できることが分かった。
【0031】
[試験例5]
試験例1と同様にして得られた混錬物を厚さ1~2mmのシートに成形し、180℃、10分で加熱硬化した。得られたシート試料を音響レンズに見立てて、試験例1と同様にして音響特性を25℃で測定した。その結果を表1に示す。
なお、前記40nmナノシリカ(表中、ナノシリカAと表記した。)の表面にはシラノール基が存在し、親水性であることが知られている。
【0032】
[試験例6]
試験例2と同様にして得られた混錬物を厚さ5mmのシートに成形し、160℃、24時間で加熱処理した。得られたシート試料に、加硫剤を添加し、音響レンズに見立てて、試験例5と同様に音響特性を測定した。その結果を表1に示す。
【0033】
[試験例7]
前記40nmシリカの表面を市販のシランカップリング剤で処理し、表面を疎水化したシリカナノ粒子を得た。これを用いたこと以外は、試験例1と同様にしてシート試料を得て、音響特性を測定した。その結果を表1に示す。
【0034】
[試験例8]
ナノシリカ粒子(前記40nmシリカの表面処理品)(表中、ナノシリカBと表記した。)を用いたこと以外は、試験例1と同様にしてシート試料を得て、音響特性を測定した。その結果を表1に示す。なお、ナノシリカBの表面はトリメチルシランで処理され、疎水性となっている。
【0035】
【表1】
【0036】
試験例5~8の結果から、加硫剤を含まない硬化前のシリコーンゴム組成物を150~170℃で18~30時間加熱硬化処理することにより、音響減衰量が低減した音響レンズが得られることが分かった。
【0037】
<音響レンズの成型>
本発明に係るシリコーンゴム組成物を凹型にチャージし、プレスすることにより、音響レンズを成型することができる。使用する金型形状に応じて、例えばフランジ付きの音響レンズを成型することもできる。
試験結果の詳細は示さないが、本発明者らが検討したところ、チャージしたシリコーンゴム組成物がプレス中に型内で流動したり、変形したりする割合が少ないほど、音響特性、特に減衰量が低減された音響レンズが得られることが分かった。
図1
図2
図3
図4