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  • 特開-半導体加工用粘着シート 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016762
(43)【公開日】2024-02-07
(54)【発明の名称】半導体加工用粘着シート
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240131BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20240131BHJP
   C09J 7/24 20180101ALI20240131BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20240131BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
H01L21/304 631
C09J7/38
C09J7/24
C09J133/00
C09J11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119113
(22)【出願日】2022-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100193172
【弁理士】
【氏名又は名称】上川 智子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 友二
(72)【発明者】
【氏名】秋山 淳
(72)【発明者】
【氏名】植野 大樹
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
5F057
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AB01
4J004CA04
4J004CA06
4J004FA08
4J040DF051
4J040HC16
4J040KA16
4J040KA38
4J040MA04
4J040MB05
4J040MB09
4J040NA20
4J040PA42
5F057AA12
5F057BA15
5F057BA26
5F057CA14
5F057DA11
5F057EC07
5F057FA16
(57)【要約】
【課題】凹凸を有する被着体の凹凸への追従性、および、投錨性に優れる半導体加工用粘着シートを提供すること。
【解決手段】本発明の実施形態の半導体加工用粘着シートは、紫外線硬化型粘着剤から構成される粘着剤層と、基材と、を含む。この紫外線硬化型粘着剤は、ベースポリマーと、光重合開始剤と、リン酸エステル系界面活性剤と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線硬化型粘着剤から構成される粘着剤層と、基材と、を含み、
該紫外線硬化型粘着剤が、ベースポリマーと、光重合開始剤と、リン酸エステル系界面活性剤と、を含む、半導体加工用粘着シート。
【請求項2】
前記リン酸エステル系界面活性剤の含有量が、前記ベースポリマー100重量部に対して0.03重量部以上である、請求項1に記載の半導体加工用粘着シート。
【請求項3】
前記粘着剤層の紫外線硬化後の投錨力が1N/20mm以上である、請求項1に記載の半導体加工用粘着シート。
【請求項4】
前記紫外線硬化型粘着剤が、架橋剤をさらに含み、かつ、該架橋剤の含有量が前記ベースポリマー100重量部に対して1重量部以下である、請求項1に記載の半導体加工用粘着シート。
【請求項5】
前記架橋剤がイソシアネート系架橋剤である、請求項4に記載の半導体加工用粘着シート。
【請求項6】
前記ベースポリマーが炭素-炭素二重結合を有するポリマーである、請求項1に記載の半導体加工用粘着シート。
【請求項7】
前記基材がポリオレフィン系樹脂を含む、請求項1に記載の半導体加工用粘着シート。
【請求項8】
溶剤洗浄工程を含む半導体加工工程に用いられる、請求項1から7のいずれかに記載の半導体加工用粘着シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体加工用粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハは、パーソナルコンピューター、スマートフォン、自動車等、様々な用途に用いられている。半導体ウエハの加工工程では、加工時に表面を保護するために粘着テープが用いられている。近年、大規模集積回路(LSI)の微細化、および、高機能化が進んでおり、ウエハの表面構造が複雑化している。具体的には、はんだバンプ、または、電極等によりウエハ表面の立体構造の複雑化が挙げられる。そのため、半導体加工工程に用いられる粘着テープにはウエハ表面の凹凸への追従性が求められる。凹凸への追従性を有する粘着シートの粘着剤層としては柔軟性のある粘着剤が用いられる。このような粘着シートは凹凸への追従性には優れるものの基材との投錨力に問題がある。
【0003】
近年、各製品の小型化および薄型化に伴い、半導体ウエハの薄型化が進められている。薄型に加工されたウエハにおいては、粘着テープの粘着力が高すぎる場合、粘着テープの剥離時にウエハを破損する場合がある。そのため、被着体への糊残り、および、剥離時のウエハの破損を防止するために、紫外線硬化型粘着剤を用いた粘着テープが提案されている(例えば、特許文献1および2)。基材と粘着剤層との投錨力が十分でない場合、紫外線硬化させ、粘着テープを剥離する際に投錨破壊が起こり、被着体に糊残りするという問題がある。このような課題に対し、基材に下塗り層を形成し、粘着剤層の基材への投錨力を高めることが提案されている。しかしながら、粘着シートの製造工程が増え、歩留まりが低下し得る。また、半導体ウエハの加工工程では、溶剤による洗浄工程が含まれる場合がある。このような工程を含む場合、下塗り層が溶剤で溶解し、粘着剤層の投錨力向上効果が十分に得られない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-017758号公報
【特許文献2】特開2013-213075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは凹凸への追従性、および、投錨性に優れた半導体加工用粘着シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1.本発明の実施形態の半導体加工用粘着シートは、紫外線硬化型粘着剤から構成される粘着剤層と、基材と、を含む。この紫外線硬化型粘着剤は、ベースポリマーと、光重合開始剤と、リン酸エステル系界面活性剤と、を含む。
2.上記1.に記載の半導体加工用粘着シートにおいて、上記リン酸エステル系界面活性剤の含有量は、上記ベースポリマー100重量部に対して0.03重量部以上であってもよい。
3.上記1.または2.に記載の半導体加工用粘着シートにおいて、上記粘着剤層の紫外線硬化後の投錨力は1N/20mm以上であってもよい。
4.上記1.から3.のいずれかに記載の半導体加工用粘着シートにおいて、上記紫外線硬化型粘着剤は、架橋剤をさらに含み、かつ、該架橋剤の含有量が上記ベースポリマー100重量部に対して1重量部以下であってもよい。
5.上記4.に記載の半導体加工用粘着シートにおいて、上記架橋剤はイソシアネート系架橋剤であってもよい。
6.上記1.から5.のいずれかに記載の半導体加工用粘着シートにおいて、上記ベースポリマーは炭素-炭素二重結合を有するポリマーであってもよい。
7.上記1.から6.のいずれかに記載の半導体加工用粘着シートにおいて、上記基材はポリオレフィン系樹脂を含んでいてもよい。
8.上記1.から7.のいずれかに記載の半導体加工用粘着シートにおいて、上記半導体加工用粘着シートは、溶剤洗浄工程を含む半導体加工工程に用いられてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、凹凸への追従性、および、投錨性に優れた半導体加工用粘着シートを提供することができる。本発明の実施形態の半導体ウエハ加工用粘着シートは、紫外線照射により粘着剤層を硬化させた後であっても基材と粘着剤層と投錨性が維持され得る。したがって、紫外線照射後の半導体加工用粘着シートを剥離する際に被着体(例えば、半導体ウエハ)への糊残りを防止し得る。また、溶剤洗浄工程を含む半導体加工工程に用いられる場合であっても、粘着剤層の基材への投錨力が低下することを抑制し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の1つの実施形態による半導体加工用粘着シートの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.半導体加工用粘着シートの全体構成
図1は、本発明の実施形態による半導体加工用粘着シートの概略断面図である。図示例において、半導体加工用粘着シート100は、基材10と基材の一方の面に配置された粘着剤層20とを有する。半導体加工用粘着シートは任意の適切なその他の層を備え得る(図示せず)。例えば、基材と粘着剤層との間に、任意の適切な層(例えば、中間層)が形成されていてもよい。図示例では基材10は単一の層であるが、2以上の積層体であってもよい。半導体加工用粘着シートは、使用に供するまでの間、粘着剤層を保護する目的で、粘着剤層の外側にはく離ライナーが設けられていてもよい。
【0010】
本発明の実施形態の半導体加工用粘着シートの厚みは、任意の適切な厚みに設定され得る。半導体加工用粘着シートの厚みは、例えば、好ましくは10μm~1000μmであり、より好ましくは50μm~300μmであり、さらに好ましくは100μm~300μmである。
【0011】
B.基材
基材は、任意の適切な樹脂から構成され得る。基材を構成する樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)などのポリエステル系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリイミド、セルロース類、フッ素系樹脂、ポリエーテル、ポリスチレンなどのポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン等が挙げられる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)などのポリエステル系樹脂、および、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂が用いられ、より好ましくはポリオレフィン系樹脂が用いられる。これらの樹脂を用いることにより、凹凸への追従性が向上し、表面に凹凸を有する被着体への密着性が向上し得る。基材は単一の層であってもよく、2以上の積層体であってもよい。基材が2以上の積層体である場合、積層体である基材の少なくとも粘着剤層と接する側の層を構成する樹脂が上記好ましい樹脂であることが好ましい。
【0012】
基材は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらにその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐熱安定剤等が挙げられる。その他の成分の種類および使用量は、目的に応じて任意の適切な量で用いることができる。
【0013】
基材の厚みは、好ましくは10μm~200μmであり、より好ましくは20μm~150μmである。
【0014】
C.粘着剤層
粘着剤層は紫外線硬化型粘着剤から構成される。紫外線硬化型粘着剤は、代表的にはベースポリマーと光重合開始剤とを含む。紫外線硬化型粘着剤で形成された粘着剤層は、紫外線硬化前には被着体に対する優れた粘着力を、紫外線硬化後には優れた剥離性を有する粘着シートを提供することができる。本発明の実施形態の半導体ウエハ加工用粘着シートは、粘着剤層を構成する紫外線硬化型粘着剤がリン酸エステル系界面活性剤を含む。このような粘着剤を用いて形成された粘着剤層は、凹凸追従性を向上させるために柔らかい(例えば、架橋度が低い)粘着剤とした場合であっても基材への投錨性に優れる。したがって、紫外線硬化後の粘着シート剥離時に基材と粘着剤層との界面での投錨破壊が抑制され、被着体への糊残りを抑制し得る。また、半導体加工用粘着シートが用いられる半導体加工工程に溶剤洗浄工程が含まれる場合であっても、溶剤により粘着剤層が溶解することが抑制される。したがって、溶剤洗浄工程を含む半導体加工工程にも好適に用いることができる。
【0015】
粘着剤層の紫外線硬化前の弾性率は好ましくは0.05MPa~1.20MPaであり、より好ましくは0.10MPa~1.00MPaであり、さらに好ましくは0.17MPa~0.95MPaである。粘着剤層の紫外線硬化前の弾性率が上記範囲であれば、被着体の凹凸に追従することができ、凹凸の埋め込み性に優れた半導体加工用粘着シートを提供することができる。粘着剤層の弾性率は、例えば、ナノインデンターを用いることにより測定することができる。
【0016】
粘着剤層の紫外線硬化後の投錨力は好ましくは1N/20mm以上であり、より好ましくは1.5N/20mm~10N/20mmであり、さらに好ましくは2N/20mm~8N/20mmである。紫外線硬化後の投錨力が上記範囲であれば、基材と粘着剤層との界面での投錨破壊が抑制され得る。本明細書において、投錨力は以下の方法により測定された剥離力をいう。(i)半導体加工用粘着シートを幅20mm×長さ150mmに切り出し、この粘着シートの粘着剤層とは反対側の面(例えば、基材/粘着剤層構成の粘着シートの場合は基材の粘着剤層が形成されていない面(外面))の全面に所定の両面テープを介してSUS板を貼着する。(ii)切り出した粘着シートの粘着剤層の外面(基材と接していない面)に、サイズが幅20mm×長さ150mmであるポリエステル系樹脂を含む粘着性評価用シート(ポリエチレンテレフタレートに対して10N/20mm~20N/20mmの引きはがし粘着力を有するシート、例えば、日東電工社製の商品名「No.315テープ」)の粘着面を貼り付けて評価用試料とする。(iii)評価用試料の基材と粘着剤層との間の剥離力を引っ張り試験により測定する。なお、上記(i)~(iii)は、23℃の環境温度下で行われる。剥離力を測定する際の引っ張り試験の条件は、剥離速度が50mm/分であり、剥離角度が180°である。
【0017】
C-1.紫外線硬化型粘着剤
紫外線硬化型粘着剤としては、任意の適切な粘着剤を用いることができる。例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤等の任意の適切な粘着剤に紫外線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマーを添加した粘着剤であってもよく、ベースポリマーとして炭素-炭素二重結合を有するポリマーを用いた粘着剤であってもよい。好ましくは炭素―炭素二重結合を有するポリマーをベースポリマーとする粘着剤が用いられる。
【0018】
C-1-1.ベースポリマー
炭素-炭素二重結合を有するベースポリマーは、主鎖に炭素-炭素二重結合を有していてもよく、側鎖に炭素-炭素二重結合を有していてもよく、末端に炭素-炭素二重結合を有していてもよい。炭素-炭素二重結合を有するベースポリマーを用いる場合、ベースポリマーとしては重合性炭素-炭素二重結合を有し、かつ、粘着性を有するポリマーが用いられる。このようなポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルアルキルエーテル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン-ジエンブロック共重合体等の樹脂に炭素-炭素二重結合を導入したポリマーが挙げられる。好ましくは、(メタ)アクリル系樹脂に炭素-炭素二重結合が導入された(メタ)アクリル系ポリマーが用いられる。(メタ)アクリル系ポリマーを用いることにより、粘着剤層の貯蔵弾性率および引っ張り弾性率の調整がしやすく、また、粘着力と剥離性とのバランスに優れた粘着シートを得ることができる。さらに、粘着剤由来の成分による被着体の汚染が低減され得る。なお、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルをいう。
【0019】
(メタ)アクリル系樹脂としては、任意の適切な(メタ)アクリル系樹脂を用いることができる。(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、直鎖または分岐のアルキル基を有するアクリル酸またはメタクリル酸のエステルを1種または2種以上含むモノマー組成物を重合して得られる重合体が挙げられる。
【0020】
直鎖または分岐のアルキル基は、好ましくは炭素数が30個以下のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1個~20個のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数4個~18個のアルキル基である。アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、へキシル基、ヘプチル基、シクロヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、テトラデシル基、ステアリル基、オクタデシル基、ドデシル基等が挙げられる。
【0021】
直鎖または分岐のアルキル基を有するアクリル酸またはメタクリル酸のエステルとしては、具体的には、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0022】
モノマー組成物は、凝集力、耐熱性、架橋性等の改質を目的として、必要に応じて、上記アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な他のモノマーを含んでいてもよい。このようなモノマーとして、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イコタン酸等の酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等のヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルフォリン等の窒素含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N-シクロヘキシルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド等のマレイミド系モノマー;N-メチルイタコンイミド、N-エチルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー;スクシンイミド系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N-ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン等のビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノアクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール等のグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等の複素環、ハロゲン原子、ケイ素原子等を有するアクリル酸エステル系モノマー;イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;ビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー等が挙げられる。これらの単量体成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。モノマー組成物の全モノマー100重量部に対して、好ましくは1重量部~30重量部であり、より好ましくは3重量部~25重量部である。
【0023】
(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量は、好ましくは30万以上であり、より好ましくは50万以上であり、さらに好ましくは60万~200万である。このような範囲であれば、低分子量成分のブリードを防止し、低汚染性の粘着シートを得ることができる。(メタ)アクリル系樹脂の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は、好ましくは1~20であり、より好ましくは3~10である。分子量分布の狭いポリマーを用いることにより、低分子量成分のブリードを防止し、低汚染性の粘着シートを得ることができる。なお、重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ測定(溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)により求めることができる。
【0024】
炭素-炭素二重結合を有するポリマーは、任意の適切な方法により得ることができる。例えば、任意の適切な重合方法により得られた樹脂と、重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物とを反応(例えば、縮合反応、付加反応)させることにより得られ得る。具体的には、(メタ)アクリル系樹脂を用いる場合、任意の適切な官能基を有するモノマー由来の構成単位を有する(メタ)アクリル系樹脂(共重合体)を任意の適切な溶媒中で重合し、その後、該アクリル系樹脂の官能基と、該官能基と反応し得る重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物とを反応させることにより、上記樹脂を得ることができる。反応させる重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物の量は、上記樹脂100重量部に対して、好ましくは4重量部~30重量部であり、より好ましくは4重量部~20重量部である。溶媒としては任意の適切な溶媒を用いることができ、例えば、酢酸エチル、メチルチルケトン、トルエン等の各種有機溶剤が挙げられる。
【0025】
上記のようにして樹脂と重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物とを反応させる場合、樹脂および重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物はそれぞれ、互いに反応可能な官能基を有することが好ましい。官能基の組み合わせとしては、例えば、カルボキシル基/エポキシ基、カルボキシル基/アジリジン基、ヒドロキシル基/イソシアネート基等が挙げられる。これらの官能基の組み合わせの中でも、反応追跡の容易さから、ヒドロキシル基とイソシアネート基との組み合わせが好ましい。
【0026】
炭素-炭素二重結合を有する化合物としては、例えば、2-イソシアネートエチルメタクリレート、メタクリロイソシアネート、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(2-イソシアナトエチルメタクリレート)、m-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。
【0027】
紫外線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマーを添加した粘着剤を用いる場合、紫外線硬化性モノマーおよびオリゴマーとしては、任意の適切なモノマーまたはオリゴマーを用いることができる。紫外線硬化性モノマーとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。紫外線硬化性のオリゴマーとしては、ウレタン系オリゴマー、ポリエーテル系オリゴマー、ポリエステル系オリゴマー、ポリカーボネート系オリゴマー、ポリブタジエン系オリゴマー等が挙げられる。オリゴマーとしては、好ましくは分子量が100~30000程度のものが用いられる。モノマーおよびオリゴマーは1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
モノマーおよび/またはオリゴマーは、用いる粘着剤の種類に応じて、任意の適切な量で用いられ得る。例えば、粘着剤を構成するベースポリマー100重量部に対して、好ましくは5重量部~500重量部、より好ましくは40重量部~150重量部用いられる。
【0029】
C-2.光重合開始剤
光重合開始剤としては、任意の適切な開始剤を用いることができる。光重合開始剤としては、例えば、エチル2,4,6-トリメチルベンジルフェニルホスフィネート、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤;4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、α-ヒドロキシ-α,α’-ジメチルアセトフェノン、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα-ケトール系化合物;メトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)-フェニル]-2-モルホリノプロパン-1等のアセトフェノン系化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール系化合物;2-ナフタレンスルホニルクロリド等の芳香族スルホニルクロリド系化合物;1-フェノン-1,1-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム等の光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2-クロロチオキサンソン、2-メチルチオキサンソン、2,4-ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4-ジクロロチオキサンソン、2,4-ジエチルチオキサンソン、2,4-ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフォナート、2-ヒドロキシ-1-(4-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル)フェニル)-2-メチルプロパン-1等のα―ヒドロキシアセトフェノン等が挙げられる。好ましくは、アセトフェノン系化合物を用いることができる。光重合開始剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
光重合開始剤としては、市販品を用いてもよい。例えば、IGM Resins社製の商品名:Omnirad 127D、Omnirad 379EGおよびOmnirad 651が挙げられる。
【0031】
光重合開始剤は任意の適切な量で用いられ得る。光重合開始剤の含有量は、上記紫外線硬化型粘着剤100重量部に対して、好ましくは0.5重量部~20重量部であり、より好ましくは0.5重量部~10重量部である。光重合開始剤の含有量が0.5重量部未満である場合、紫外線照射時に十分に硬化しないおそれがある。光重合開始剤の含有量が10重量部を超える場合、粘着剤の保存安定性が低下するおそれがある。
【0032】
C-3.リン酸エステル系界面活性剤
リン酸エステル系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸トリエステル、アルキルリン酸エステル、アルキルエーテルリン酸エステル、および、これらの塩が挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸およびその塩、モノエステル、ジエステル、または、これらの混合物を用いることができる。リン酸エステル系界面活性剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸は、高級アルコールに酸化エチレンを付加重合して得られるもののリン酸エステルである。高級アルコールの炭素数は好ましくは8~22であり、より好ましくは10~20あり、さらに好ましくは12~18である。酸化エチレンの付加モル数は好ましくは1~15であり、より好ましくは2~12であり、さらに好ましくは2~10である。このようなポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸であれば、凹凸追従性に優れる柔らかい粘着剤とした場合であっても基材との投錨力に優れた粘着剤層を形成し得る粘着剤組成物が得られる。その結果、粘着剤層を紫外線硬化した後であっても被着体への糊残りを抑制し得る。
【0034】
リン酸エステル系界面活性剤の含有量は、上記ベースポリマー100重量部に対して好ましくは0.03重量部以上であり、より好ましくは0.1重量部~1重量部であり、さらに好ましくは0.3重量部~0.5重量部である。リン酸エステル系界面活性剤の含有量が上記範囲であれば、凹凸追従性に優れる柔らかい粘着剤とした場合であっても基材との投錨力に優れた粘着剤層を形成し得る粘着剤組成物が得られる。その結果、粘着剤層を紫外線硬化した後であっても被着体への糊残りを抑制し得る。
【0035】
C-4.添加剤
上記粘着剤層形成組成物は、必要に応じて、任意の適切な添加剤を含み得る。該添加剤としては、例えば、架橋剤、触媒(例えば、白金触媒)、粘着付与剤、可塑剤、顔料、染料、充填剤、老化防止剤、導電材、紫外線吸収剤、光安定剤、剥離調整剤、軟化剤、リン酸エステル系界面活性剤以外の界面活性剤、難燃剤、溶剤、オリゴマー等が挙げられる。
【0036】
1つの実施形態においては、上記紫外線硬化型粘着剤は、架橋剤をさらに含む。架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、キレート系架橋剤等が挙げられる。架橋剤の含有割合は、紫外線硬化型粘着剤に含まれるベースポリマー100重量部に対して、好ましくは1重量部以下であり、より好ましくは0.01重量部~1重量部であり、さらに好ましくは0.02重量部~0.6重量部であり、特に好ましくは0.03重量部~0.5重量部である。架橋剤の含有割合により、粘着剤層の柔軟性を制御することができる。架橋剤の含有量が0.01重量部未満である場合、粘着剤がゾル状となり、粘着剤層を形成できないおそれがある。架橋剤の含有量が1重量部を超える場合、被着体表面の凹凸への追従性が十分に得られないおそれがある。
【0037】
1つの実施形態においては、イソシアネート系架橋剤が好ましく用いられる。イソシアネート系架橋剤は、多種の官能基と反応し得る点で好ましい。特に好ましくは、イソシアネート基を3個以上有する架橋剤が用いられる。架橋剤として、イソシアネート系架橋剤を用い、かつ、架橋剤の含有割合を上記範囲とすることにより、被着体表面の凹凸への追従性、および、基材との投錨性に優れた紫外線硬化型粘着剤を提供することができる。
【0038】
粘着剤層の厚みは、任意の適切な値に設定され得る。粘着剤層の厚みは、好ましくは10μm~500μmであり、より好ましくは15μm~300μmであり、さらに好ましくは20μm~250μmである。粘着剤層の厚みが上記範囲であることにより、被着体に対し十分な粘着力を発揮し得る。
【0039】
紫外線硬化型粘着剤のゲル分率は、好ましくは20%~99%であり、より好ましくは50%~97%であり、さらに好ましくは70%~95%である。ゲル分率は、酢酸エチル等の溶媒に対する不溶分として求めることができ、具体的には、紫外線硬化型粘着剤を酢酸エチル中に23℃で7日間浸漬した後の不溶成分の、浸漬前の試料に対する重量分率(単位:重量%)として求められる。一般に、ポリマーのゲル分率は架橋度に等しく、ポリマー中の架橋された部分が多いほど、ゲル分率が大きくなる。ゲル分率(架橋構造の導入量)は、架橋構造の導入方法や、架橋剤の種類および量等により所望の範囲に調整できる。
【0040】
D.半導体加工用粘着シートの製造方法
半導体加工用粘着シートは、任意の適切な方法により製造され得る。例えば、はく離ライナーに粘着剤溶液(紫外線硬化型粘着剤)を塗布し、乾燥して、はく離ライナー上に粘着剤層を形成した後、それを基材に貼り合せる方法により得られ得る。また、基材上に、紫外線硬化型粘着剤を塗布し、乾燥して、半導体加工用粘着シートを得てもよい。粘着剤層形成組成物の塗布方法としては、バーコーター塗布、エアナイフ塗布、グラビア塗布、グラビアリバース塗布、リバースロール塗布、リップ塗布、ダイ塗布、ディップ塗布、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷など種々の方法を採用することができる。乾燥方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。
【0041】
E.半導体加工用粘着シートの用途
半導体加工用粘着シートは半導体製造プロセスに好適に用いることができる。上記のとおり、本発明の実施形態の半導体加工用粘着シートは、溶剤に接触した場合であっても基材と粘着剤層との投錨力の低下が抑制され得る。したがって、溶剤洗浄工程を含む半導体製造工程にも好適に用いることができる。溶剤洗浄工程に用いられる溶剤としては、例えば、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(DBPA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、イソプロパノール(IPA)、N,N-ジメチルプロピオンアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、酢酸ブチル等の半導体製造方法で通常用いられる溶媒が挙げられる。
【0042】
上記のとおり、本発明の実施形態の半導体ウエハ加工用粘着シートは凹凸への追従性に優れる。そのため、表面に凹凸を有する半導体ウエハを製造プロセスで適切に保持し得る。例えば、シリコン貫通電極(TSV:Through Silicon Via)チップを積層したDRAM(Dynamic Random Access Memory)メモリのようにより複雑な構造を有する半導体を製造するプロセスにも好適に用いることができる。本発明の実施形態の半導体ウエハ加工用粘着シートは、表面に凹凸構造を有する半導体ウエハのダイシングテープとして好適に用いることができる。
【実施例0043】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。また、実施例において、特に明記しない限り、「部」および「%」は重量基準である。
【0044】
[製造例1]ベースポリマー1の調製
ドデシルメタクリレート(LMA)100重量部、ヘキシルメタクリレート(HMA)22重量部、重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル(AIBN))0.2重量部および酢酸エチル500重量部を混合し組成物を調製した。得られた組成物を、1L丸底セパラブルフラスコに、セパラブルカバー、分液ロート、温度計、窒素導入管、リービッヒ冷却器、バキュームシール、攪拌棒、攪拌羽が装備された重合用実験装置に投入し、撹拌しながら、常温で6時間、窒素置換した。その後、窒素流入下、攪拌しながら、65℃で4時間、次いで75℃で2時間保持して重合し、ベースポリマー1の樹脂溶液(固形分:20%)を得た。
【0045】
[製造例2]ベースポリマー2の調製
アクリル酸-2-エチルヘキシル(2EHA)75重量部、アクリロイルモルフォリン(ACMO)25重量部、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA)22重量部、重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル(AIBN))0.2重量部および酢酸エチル500重量部を混合し組成物を調製した。得られた組成物を、1L丸底セパラブルフラスコに、セパラブルカバー、分液ロート、温度計、窒素導入管、リービッヒ冷却器、バキュームシール、攪拌棒、攪拌羽が装備された重合用実験装置に投入し、撹拌しながら、常温で6時間、窒素置換した。その後、窒素流入下、攪拌しながら、65℃で4時間、次いで75℃で2時間保持して重合し、ベースポリマー2の樹脂溶液(固形分:20%)を得た。
【0046】
[製造例3]ベースポリマー3の調製
2-メトキシエチルアクリレート(MEA)75重量部、ACMO20重量部、HEA20重量部、重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル(AIBN))0.2重量部および酢酸エチル500重量部を混合し組成物を調製した。得られた組成物を、1L丸底セパラブルフラスコに、セパラブルカバー、分液ロート、温度計、窒素導入管、リービッヒ冷却器、バキュームシール、攪拌棒、攪拌羽が装備された重合用実験装置に投入し、撹拌しながら、常温で6時間、窒素置換した。その後、窒素流入下、攪拌しながら、65℃で4時間、次いで75℃で2時間保持して重合し、ベースポリマー3の樹脂溶液(固形分:19%)を得た。
【0047】
[製造例4]ベースポリマー4の調製
アクリル酸エチル(EA)50重量部、アクリル酸ブチル(BA)50重量部、HEA20重量部、重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル(AIBN))0.2重量部および酢酸エチル500重量部を混合し組成物を調製した。得られた組成物を、1L丸底セパラブルフラスコに、セパラブルカバー、分液ロート、温度計、窒素導入管、リービッヒ冷却器、バキュームシール、攪拌棒、攪拌羽が装備された重合用実験装置に投入し、撹拌しながら、常温で6時間、窒素置換した。その後、窒素流入下、攪拌しながら、65℃で4時間、次いで75℃で2時間保持して重合し、ベースポリマー4の樹脂溶液(固形分:20%)を得た。
【0048】
[実施例1]
1.紫外線硬化型粘着剤組成物の調製
製造例1で得られたベースポリマー1の樹脂溶液の固形分100重量部に対し、ポリイソシアネート架橋剤1(日本ポリウレタン工業社製、商品名「コロネートL」)0.5重量部、リン酸エステル系界面活性剤1(東邦化学工業社製、商品名「フォスファノール RL-210」)0.3重量部、および、光重合開始剤(IGM Resins B.V.社製、商品名「Omnirad127D」)3重量部を添加し、混合した。次いで、酢酸エチルを希釈溶剤として用いて粘度を調整し、紫外線硬化型粘着剤1を得た。
【0049】
2.半導体加工用粘着シートの作製
基材として、ポリプロピレン(PP)/エチレン酢酸ビニル(EVA)/ポリプロピレン(PP)の三層構造のフィルム(クラボウ社製、厚み80μm)を用いた。基材の一方の面に上記で得られた紫外線硬化型粘着剤組成物1を塗布して乾燥させ、厚み20μmの粘着剤層を形成し、半導体加工用粘着シートを作製した。
【0050】
[実施例2]
リン酸エステル系界面活性剤1に代えて、リン酸エステル系界面活性剤2(東邦化学工業社製、商品名「フォスファノール ML-220」)を用いた以外は実施例1と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物2を調製した。この紫外線硬化型粘着剤組成物2を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0051】
[実施例3]
リン酸エステル系界面活性剤1に代えて、リン酸エステル系界面活性剤3(東邦化学工業社製、商品名「フォスファノール RL-310」)を用いた以外は実施例1と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物3を調製した。この紫外線硬化型粘着剤組成物3を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0052】
[実施例4]
リン酸エステル系界面活性剤1に代えて、リン酸エステル系界面活性剤4(東邦化学工業社製、商品名「フォスファノール RS-410」)を用いた以外は実施例1と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物4を調製した。この紫外線硬化型粘着剤組成物4を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0053】
[実施例5]
リン酸エステル系界面活性剤1に代えて、リン酸エステル系界面活性剤5(東邦化学工業社製、商品名「フォスファノール RS-710」)を用いた以外は実施例1と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物5を調製した。この紫外線硬化型粘着剤組成物5を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0054】
[実施例6]
リン酸エステル系界面活性剤1の添加量を0.03重量部とした以外は実施例1と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物6を調製した。この紫外線硬化型粘着剤組成物6を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0055】
[実施例7]
リン酸エステル系界面活性剤1の添加量を0.1重量部とした以外は実施例1と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物7を調製した。この紫外線硬化型粘着剤組成物7を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0056】
[実施例8]
リン酸エステル系界面活性剤1の添加量を0.6重量部とした以外は実施例1と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物8を調製した。この紫外線硬化型粘着剤組成物8を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0057】
[実施例9]
リン酸エステル系界面活性剤1の添加量を1重量部とした以外は実施例1と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物9を調製した。この紫外線硬化型粘着剤組成物9を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0058】
[実施例10]
ベースポリマー1に代えてベースポリマー2を用いたこと、架橋剤1に代えて架橋剤2(三井化学社製、商品名「タケネートD-101A」)を0.1重量部用いたこと、リン酸エステル系界面活性剤1の添加量を0.5重量部としたこと以外は実施例1と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物10を調製した。この紫外線硬化型粘着剤組成物10を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0059】
[実施例11]
架橋剤2の添加量を0.3重量部としたこと以外は実施例10と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物11を調製した。この紫外線硬化型粘着剤組成物11を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0060】
[実施例12]
架橋剤2の添加量を0.5重量部としたこと以外は実施例10と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物12を調製した。この紫外線硬化型粘着剤組成物12を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0061】
[実施例13]
架橋剤2の添加量を1重量部としたこと以外は実施例10と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物13を調製した。この紫外線硬化型粘着剤組成物13を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0062】
[実施例14]
ベースポリマー2に代えてベースポリマー3を用いたこと以外は実施例12と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物14を調製した。この紫外線硬化型粘着剤組成物14を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0063】
[実施例15]
ベースポリマー2に代えてベースポリマー4を用いたこと以外は実施例12と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物15を調製した。この紫外線硬化型粘着剤組成物15を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0064】
[実施例16]
基材としてポリエチレン(PE)の単層フィルム(大倉工業社製、商品名「NSOフィルム」)を用いたこと以外は実施例12と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0065】
[実施例17]
基材としてポリエチレンテレフタレート(PET)の単層フィルム(東レ社製、商品名「ルミラー#50 S105」)を用いたこと以外は実施例12と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0066】
[実施例18]
ベースポリマー2に代えてベースポリマー1を用いたこと、および、軽剥離剤(ポリプロピレングリコール)3重量部と多官能オリゴマー(ウレタンアクリレート、日本合成化学社製、商品名「UV-3000TL」)5重量部とをさらに添加したこと以外は実施例12と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物18を調整した。この紫外線硬化型粘着剤組成物18を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0067】
(比較例1)
リン酸エステル系界面活性剤1を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物C1を調製した。この紫外線硬化型粘着剤組成物C1を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0068】
(比較例2)
リン酸エステル系界面活性剤1に代えて、アルキル硫酸塩型界面活性剤1(東邦化学工業社製、商品名「アルスコープ NS-230」)を0.3重量部添加したこと以外は実施例1と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物C2を調製した。この紫外線硬化型粘着剤組成物C2を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0069】
(比較例3)
リン酸エステル系界面活性剤1に代えて、アルキル硫酸塩型界面活性剤2(東邦化学工業社製、商品名「アルスコープ TH-330K」)を0.3重量部添加したこと以外は実施例1と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物C3を調製した。この紫外線硬化型粘着剤組成物C3を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0070】
(比較例4)
リン酸エステル系界面活性剤1に代えて、スルホン酸型界面活性剤(東邦化学工業社製、商品名「ルノックス S-40TD」)を0.3重量部添加したこと以外は実施例1と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物C4を調製した。この紫外線硬化型粘着剤組成物C4を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0071】
(比較例5)
リン酸エステル系界面活性剤1に代えて、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型界面活性剤(東邦化学工業社製、商品名「ペグノール S-4DV」)を0.3重量部添加したこと以外は実施例1と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物C5を調製した。この紫外線硬化型粘着剤組成物C5を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0072】
(比較例6)
架橋剤2の添加量を0.01重量部としたこと以外は実施例10と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物C6を調製した。この紫外線硬化型粘着剤組成物C6を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0073】
(比較例7)
リン酸エステル系界面活性剤を添加しなかったこと以外は実施例12と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物C7を調製した。この紫外線硬化型粘着剤組成物C7を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0074】
(比較例8)
リン酸エステル系界面活性剤を添加しなかったこと、および、架橋剤2の添加量を3重量部としたこと以外は実施例12と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物C8を調製した。この紫外線硬化型粘着剤組成物C8を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0075】
(比較例9)
リン酸エステル系界面活性剤を添加しなかったこと、および、架橋剤2の添加量を5重量部としたこと以外は実施例12と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物C9を調製した。この紫外線硬化型粘着剤組成物C9を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0076】
(比較例10)
リン酸エステル系界面活性剤を添加しなかったこと以外は実施例16と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物C10を調製した。この紫外線硬化型粘着剤組成物C10を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例17と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0077】
(比較例11)
リン酸エステル系界面活性剤を添加しなかったこと以外は実施例17と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物C11を調製した。この紫外線硬化型粘着剤組成物C11を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例18と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0078】
(比較例12)
リン酸エステル系界面活性剤を添加しなかったこと以外は実施例18と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物C12を調製した。この紫外線硬化型粘着剤組成物C12を用いて粘着剤層を形成した以外は実施例19と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。
【0079】
<評価>
実施例および比較例で得られた粘着シートを用いて下記評価を行った。結果を表1および表2に示す。
1.粘着剤層の弾性率
実施例または比較例で得られた粘着シートの粘着剤層の弾性率をナノインデンター(Hysitron Inc.社製、製品名「Triboindenter」)を用いて測定した。圧子はConical(球形;半径10μm)を使用し、単一押し込み測定を行った。測定温度は25℃、押し込み深さ2000nm、押し込み速度および引き抜き速度は1000nm/s、遮光環境下で測定した。得られた荷重(μN)と変異(nm)をJKR法により解析し、下記式より弾性率を算出した。
【数1】
:弾性率
R:圧子半径
h:変位
P:荷重
【0080】
2.剥離強度
(1)紫外線照射前(UV前)粘着力
実施例または比較例で得られた粘着シートを長さ150mm×幅20mmの短冊状に切断した。23℃下、鏡面処理したシリコンウエハ(信越半導体社製、商品名「CZN<100>2.5-3.5」、直径4インチ)に、粘着シートの粘着剤層を、2kgローラーを1往復させて貼り付けた。貼り付け部分は、長さ80mm×幅20mmとした。その後、無荷重、23℃雰囲気下で30分静置した。次いで、JIS Z 0237に準拠して、下記の条件で90度引き剥がし試験を行い、粘着シートの粘着力を測定した。
<90度引き剥がし試験>
繰り返し試験数:3回
温度:23℃
剥離角度:90度
引張速度:300mm/分
初期長さ(チャック間隔):150mm
【0081】
(2)紫外線照射後(UV後)粘着力
実施例または比較例で得られた粘着シートを長さ150mm×幅20mmの短冊状に切断した。23℃下、鏡面処理したシリコンウエハ(信越半導体社製、商品名「CZN<100>2.5-3.5」、直径4インチ)に、セパレーターを剥離した上記粘着シートを、2kgローラーを1往復させて貼り付けた。貼り付け部分は、長さ80mm×幅20mmとした。その後、無荷重、23℃雰囲気下で30分静置した。30分静置後、下記UV照射条件でテープの基材背面側からUVを照射した。その後、30分静置し、JIS Z 0237に準拠して、(1)の評価と同様にして、90度引き剥がし試験を行った。
<紫外線照射条件>
紫外線照射装置:日東精機社製、商品名:UM810
光源:高圧水銀灯
照射強度:46mW/cm(測定機器:ウシオ社製「紫外線照度計UT-101」)
照射時間:10秒
積算光量:460mJ
【0082】
3.投錨力
(1)紫外線照射前(UV前)投錨力
実施例または比較例で得られた半導体加工用粘着シートを幅20mm×長さ150mmに切り出した。切り出した粘着シートの基材の背面(粘着剤層が形成されていない面)全面に、両面テープ(日東電工社製、商品名「No.5000NS」)を介してSUS板を貼着した。次いで、粘着シートの粘着剤層(基材と接していない面)に、幅20mm×長さ150mmの粘着テープ(日東電工社製、商品名「No.315テープ」(BT-315))の粘着面を貼り付け、評価用試料とした。次いで、評価用試料の基材と粘着剤層との間の剥離力を引っ張り試験により測定した。なお、評価用試料の作製および引張試験は、いずれも23℃の環境温度下で行った。剥離力を測定する際の引っ張り試験は、引張速度が300mm/分、剥離角度が180°の条件で行った。
(2)紫外線照射後(UV後)投錨力
実施例または比較例で得られた半導体加工用粘着シートを幅20mm×長さ150mmに切り出した。切り出した粘着シートの基材の背面(粘着剤層が形成されていない面)全面に、両面テープ(日東電工社製、商品名「No.5000NS」)を介してSUS板を貼着した。次いで、粘着シートの粘着剤層(基材と接していない面)に、幅20mm×長さ150mmの粘着テープ(日東電工社製、商品名「No.315テープ」(BT-315))の粘着面を貼り付け、評価用試料とした。次いで、下記UV照射条件で粘着テープ側からUVを照射した。その後、30分静置し、評価用試料の基材と粘着剤層との間の剥離力を引っ張り試験により測定した。なお、評価用試料の作製および引張試験は、いずれも23℃の環境温度下で行った。剥離力を測定する際の引っ張り試験は、引張速度が300mm/分、剥離角度が180°の条件で行った。また、剥離後の粘着シートの破壊モードを目視で確認し、実施例または比較例で得られた半導体加工用粘着シートと粘着剤層に貼り合わせた粘着テープとの界面で剥離した場合(界面破壊が起こった場合)には「界面」、実施例または比較例で得られた半導体加工用粘着シートと粘着剤層が、粘着剤層に貼り合わせた粘着テープの粘着剤層側に付着した場合(投錨破壊が起こった場合)には「投錨」として評価した。
<紫外線照射条件>
紫外線照射装置:日東精機社製、商品名:UM810
光源:高圧水銀灯
照射強度:46mW/cm(測定機器:ウシオ社製、製品名「紫外線照度計UT-101」)
照射時間:10秒
積算光量:460mJ
【0083】
4.基材埋め込み
実施例または比較例で得られた半導体加工用粘着シートの基材側から顕微鏡(キーエンス社製、製品名:VK-X200、対物レンズ10倍)にて基材と粘着剤層との層間の空隙の有無を確認した。
【0084】
5.被着体埋め込み
TSVウエハ(ピラー5μmt、20μmφ)に真空マウンター(日東精機社製、製品名「MSA-840V3」)を用いて実施例または比較例で得られた粘着シートをマウントした。次いで、粘着シートの基材背面から顕微鏡(キーエンス社製、製品名「VK-X200」、対物レンズ10倍)にて粘着剤層とピラーとの間の空隙の有無を確認した。
【0085】
6.ピックアップ(糊残り)
TSVウエハ(ピラー5μmt、20μmφ)に真空マウンター(日東精機社製、製品名「MSA-840V3」)を用いて粘着テープをマウントした。次いで、TSVウエハをダイサー(ディスコ社製、製品名「DFD6450」でダイシングを行い、ウエハを10mm×10mmに小片化した。次いで、ダイソーター(キャノンマシナリー社製、製品名「BESTEM-S500」)にて小片化したウエハのピックアップを実施した。ピックアップしたチップ裏面(粘着テープの粘着剤層と接した面)を顕微鏡(キーエンス社製、製品名「VK-X200」、対物レンズ10倍)にて観察し、チップへの糊残りの有無を確認した。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の半導体加工用粘着シートは、凹凸への追従性、および、投錨性に優れる。したがって、表面が凹凸を有する半導体の加工工程に好適に用いることができる。また、溶剤による投錨力の低下が抑制され、溶剤洗浄工程を含む半導体製造工程に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0089】
10 基材
20 粘着剤層
100 半導体加工用粘着シート
図1