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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167626
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】農作業機
(51)【国際特許分類】
   A01B 73/04 20060101AFI20241127BHJP
   A01D 34/64 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
A01B73/04
A01D34/64 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083836
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】村松 竜一
(72)【発明者】
【氏名】湯原 光治
(72)【発明者】
【氏名】池内 善活
(72)【発明者】
【氏名】戸谷 貴之
(72)【発明者】
【氏名】川上 裕雅
【テーマコード(参考)】
2B041
2B083
【Fターム(参考)】
2B041AA11
2B041AA15
2B041AB05
2B041AC09
2B041BA09
2B041HA05
2B041HA06
2B041HA15
2B041HA26
2B083AA01
2B083BA06
2B083BA17
2B083HA03
2B083HA07
2B083HA17
(57)【要約】
【課題】作業者の負担軽減を図ることができる農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機1は、格納状態及びオフセット状態に変更可能でかつ水平姿勢及び傾斜姿勢に変更可能な作業部6と、この作業部6の状態及び姿勢を変更するための駆動部と、この駆動部を制御する制御部とを備える。そして、作業者が自動格納スイッチを1回押し操作すると、制御部は、作業部6が傾斜姿勢のままオフセット状態から格納状態に自動的に変更されるように、駆動部を制御する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
格納状態及びオフセット状態に変更可能で、かつ、水平姿勢及び傾斜姿勢に変更可能な作業部と、
前記作業部の状態及び姿勢を変更するための駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記作業部が傾斜姿勢のまま格納状態に自動的に変更されるように、前記駆動部を制御する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
格納状態及びオフセット状態に変更可能で、かつ、水平姿勢及び傾斜姿勢に変更可能な作業部と、
前記作業部の状態及び姿勢を変更するための駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記作業部が傾斜姿勢のまま格納状態に自動的に変更された後、設定姿勢に自動的に変更されるように、前記駆動部を制御する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項3】
格納状態及びオフセット状態に変更可能で、かつ、水平姿勢及び傾斜姿勢に変更可能な作業部と、
前記作業部の状態及び姿勢を変更するための駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記作業部が設定姿勢に自動的に変更されつつ格納状態に自動的に変更されるように、前記駆動部を制御する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項4】
格納状態及びオフセット状態に変更可能で、かつ、水平姿勢及び傾斜姿勢に変更可能な作業部と、
前記作業部の状態及び姿勢を変更するための駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記作業部の姿勢が上向きの傾斜姿勢である場合に限り、前記作業部が格納状態に自動的に変更されるように、前記駆動部を制御する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項5】
格納状態及びオフセット状態に変更可能で、かつ、水平姿勢及び傾斜姿勢に変更可能な作業部と、
前記作業部の状態及び姿勢を変更するための駆動部と、
前記作業部のオフセット量を検知する第1検知部と、
前記作業部の水平方向に対する姿勢角度を検知する第2検知部と、
前記第1検知部及び前記第2検知部からの情報に基づいて、前記駆動部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記作業部が水平方向に対する姿勢角度を変えずに格納状態に自動的に変更されるように、前記駆動部を制御する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項6】
格納状態及びオフセット状態に変更可能で、かつ、水平姿勢及び傾斜姿勢に変更可能な作業部と、
前記作業部の状態及び姿勢を変更するための駆動部と、
前記作業部のオフセット量を検知する第1検知部と、
前記作業部の水平方向に対する姿勢角度を検知する第2検知部と、
前記第1検知部及び前記第2検知部からの情報に基づいて、前記駆動部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記作業部が水平方向に対する姿勢角度を変えずに格納状態に自動的に変更された後、設定姿勢に自動的に変更されるように、前記駆動部を制御する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項7】
格納状態及びオフセット状態に変更可能で、かつ、水平姿勢及び傾斜姿勢に変更可能な作業部と、
前記作業部の状態及び姿勢を変更するための駆動部と、
前記作業部のオフセット量を検知する第1検知部と、
前記作業部の水平方向に対する姿勢角度を検知する第2検知部と、
前記第1検知部及び前記第2検知部からの情報に基づいて、前記駆動部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記作業部が設定姿勢に自動的に変更されつつ格納状態に自動的に変更されるように、前記駆動部を制御する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項8】
格納状態及びオフセット状態に変更可能で、かつ、水平姿勢及び傾斜姿勢に変更可能な作業部と、
前記作業部の状態及び姿勢を変更するための駆動部と、
前記作業部のオフセット量を検知する第1検知部と、
前記作業部の水平方向に対する姿勢角度を検知する第2検知部と、
前記第1検知部及び前記第2検知部からの情報に基づいて、前記駆動部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記作業部の水平方向に対する姿勢角度が設定範囲内である場合に限り、前記作業部が格納状態に自動的に変更されるように、前記駆動部を制御する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項9】
作業者が操作する操作部を備え、
前記操作部は、少なくとも自動格納用の操作手段を有する
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一記載の農作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者の負担軽減を図ることができる農作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された農作業機が知られている。
【0003】
この従来の農作業機は、例えばトラクタ等の走行車の後部に連結されるオフセット作業機であって、格納状態及びオフセット状態に変更可能でかつ水平姿勢及び傾斜姿勢に変更可能な作業部と、この作業部の状態及び姿勢を変更するための駆動部と、この駆動部を制御する制御部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-99286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そして、この種の農作業機においては、作業者の負担軽減を図ることが求められている。
【0006】
したがって、本発明の課題の一つは、作業者の負担軽減を図ることができる農作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る農作業機は、格納状態及びオフセット状態に変更可能で、かつ、水平姿勢及び傾斜姿勢に変更可能な作業部と、前記作業部の状態及び姿勢を変更するための駆動部と、前記駆動部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記作業部が傾斜姿勢のまま格納状態に自動的に変更されるように、前記駆動部を制御するものである。
【0008】
また、本発明の実施形態に係る農作業機は、格納状態及びオフセット状態に変更可能で、かつ、水平姿勢及び傾斜姿勢に変更可能な作業部と、前記作業部の状態及び姿勢を変更するための駆動部と、前記駆動部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記作業部が傾斜姿勢のまま格納状態に自動的に変更された後、設定姿勢に自動的に変更されるように、前記駆動部を制御するものである。
【0009】
さらに、本発明の実施形態に係る農作業機は、格納状態及びオフセット状態に変更可能で、かつ、水平姿勢及び傾斜姿勢に変更可能な作業部と、前記作業部の状態及び姿勢を変更するための駆動部と、前記駆動部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記作業部が設定姿勢に自動的に変更されつつ格納状態に自動的に変更されるように、前記駆動部を制御するものである。
【0010】
また、本発明の実施形態に係る農作業機は、格納状態及びオフセット状態に変更可能で、かつ、水平姿勢及び傾斜姿勢に変更可能な作業部と、前記作業部の状態及び姿勢を変更するための駆動部と、前記駆動部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記作業部の姿勢が上向きの傾斜姿勢である場合に限り、前記作業部が格納状態に自動的に変更されるように、前記駆動部を制御するものである。
【0011】
さらに、本発明の実施形態に係る農作業機は、格納状態及びオフセット状態に変更可能で、かつ、水平姿勢及び傾斜姿勢に変更可能な作業部と、前記作業部の状態及び姿勢を変更するための駆動部と、前記作業部のオフセット量を検知する第1検知部と、前記作業部の水平方向に対する姿勢角度を検知する第2検知部と、前記第1検知部及び前記第2検知部からの情報に基づいて、前記駆動部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記作業部が水平方向に対する姿勢角度を変えずに格納状態に自動的に変更されるように、前記駆動部を制御するものである。
【0012】
また、本発明の実施形態に係る農作業機は、格納状態及びオフセット状態に変更可能で、かつ、水平姿勢及び傾斜姿勢に変更可能な作業部と、前記作業部の状態及び姿勢を変更するための駆動部と、前記作業部のオフセット量を検知する第1検知部と、前記作業部の水平方向に対する姿勢角度を検知する第2検知部と、前記第1検知部及び前記第2検知部からの情報に基づいて、前記駆動部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記作業部が水平方向に対する姿勢角度を変えずに格納状態に自動的に変更された後、設定姿勢に自動的に変更されるように、前記駆動部を制御するものである。
【0013】
さらに、本発明の実施形態に係る農作業機は、格納状態及びオフセット状態に変更可能で、かつ、水平姿勢及び傾斜姿勢に変更可能な作業部と、前記作業部の状態及び姿勢を変更するための駆動部と、前記作業部のオフセット量を検知する第1検知部と、前記作業部の水平方向に対する姿勢角度を検知する第2検知部と、前記第1検知部及び前記第2検知部からの情報に基づいて、前記駆動部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記作業部が設定姿勢に自動的に変更されつつ格納状態に自動的に変更されるように、前記駆動部を制御するものである。
【0014】
また、本発明の実施形態に係る農作業機は、格納状態及びオフセット状態に変更可能で、かつ、水平姿勢及び傾斜姿勢に変更可能な作業部と、前記作業部の状態及び姿勢を変更するための駆動部と、前記作業部のオフセット量を検知する第1検知部と、前記作業部の水平方向に対する姿勢角度を検知する第2検知部と、前記第1検知部及び前記第2検知部からの情報に基づいて、前記駆動部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記作業部の水平方向に対する姿勢角度が設定範囲内である場合に限り、前記作業部が格納状態に自動的に変更されるように、前記駆動部を制御するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の実施形態によれば、作業者の負担軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態に係る農作業機(作業部の格納状態)の平面図である。
図2】同上農作業機の側面図である。
図3】同上農作業機の部分正面図である。
図4】同上農作業機の部分斜視図である。
図5】同上農作業機の操作部(リモコン装置)の正面図である。
図6】同上農作業機の制御系のブロック図である。
図7】同上農作業機の作業部の動作範囲を示す概要図である。
図8】同上作業部の格納動作(A-1)を示す概要図である。
図9】同上作業部の格納動作(A-2)を示す概要図である。
図10】同上作業部の格納動作(A-3)を示す概要図である。
図11】同上作業部のオフセット動作(B-1)を示す概要図である。
図12】同上作業部のオフセット動作(B-2)を示す概要図である。
図13】本発明の第2の実施形態に係る農作業機の作業部の動作を示す概要図である。
図14】同上作業部の格納動作(C-1)を示す概要図である。
図15】同上作業部の格納動作(C-2)を示す概要図である。
図16】同上作業部の格納動作(C-3)を示す概要図である。
図17】同上作業部のオフセット動作(D-1)を示す概要図である。
図18】同上作業部のオフセット動作(D-2)を示す概要図である。
図19】同上作業部のオフセット動作(D-3)を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の実施形態について図1ないし図12を参照して説明する。
【0018】
図中の1は農作業機で、この農作業機1は、例えば走行車であるトラクタ2の後部に連結され、このトラクタ2の走行により前方(進行方向)に移動しながら、農作業である草刈作業をする草刈機である。そして、農作業機1は、トラクタ2に対して側方、すなわち例えば右側方にオフセット可能なオフセット作業機である。
【0019】
農作業機1は、図1ないし図4等に示すように、トラクタ2の後部の3点リンク部(農作業機装着装置)に着脱可能に連結(装着)される装着部5と、格納状態及びオフセット状態に変更可能でかつ水平姿勢及び傾斜姿勢に変更可能であり、主としてトラクタ2に対するオフセット状態で所定の草刈作業(農作業)をする作業部6と、これら装着部5と作業部6とを連結する連結部(オフセット機構部)7とを備えている。
【0020】
また、農作業機1は、図5ないし図7等にも示すように、トラクタ2に乗った作業者(操作者)が操作する操作部(リモコン装置)11と、作業部6を動かして作業部6の状態及び姿勢を変更するための駆動部12と、トラクタ(装着部)2に対する作業部6のオフセット量(作業部の状態)を検知する第1検知部13と、トラクタ(装着部)2に対する作業部6の姿勢角度(作業部の姿勢)を検知する第2検知部14と、これら第1検知部13、第2検知部14及び操作部11からの情報(信号)に基づいて駆動部12を制御する制御部15とを備えている。
【0021】
そして、駆動部12は、装着部5に対して作業部6を左右方向に移動させる伸縮可能なオフセット用の第1駆動手段である第1シリンダ(オフセットシリンダ)16と、連結部7に対して作業部6を前後方向の回動中心軸(回動支点)10を中心として上下方向に回動させる伸縮可能な姿勢変更用の第2駆動手段である第2シリンダ(チルトシリンダ)17とを有している。これらの各シリンダ16,17は、例えば電動油圧シリンダである。また、各検知部13,14は、例えば回動角度検知手段であるポテンショメータである。
【0022】
ここで、作業部6は、トラクタ2に対してオフセットされたオフセット状態のみならず、トラクタ2の後方部に格納された格納状態でも草刈作業が可能である。
【0023】
なお、格納状態とは、作業部6がトラクタ2の後方の格納位置(作業部6の略全体がトラクタの幅内に格納される位置)に位置する状態である。他方、オフセット状態とは、作業部6がトラクタ2の後方の格納位置から右側方に所望のオフセット量(移動量)だけずれたオフセット位置に位置する状態である。
【0024】
そして、作業部6は、格納位置と最大のオフセット位置(格納位置から右側方に最大オフセット量だけずれた位置)との間で、第1シリンダ16の伸縮により、トラクタ(装着部)2に対して(基準として)左右方向に移動可能であり、これら両位置及び当該両位置間の任意位置に位置決め可能となっている。つまり、作業部6は、第1シリンダ16の作動によって無段階に左右位置調整可能である。
【0025】
なお、図7(a)において、実線の状態は、作業部6が格納位置に位置した格納状態であり、2点鎖線の状態は、作業部6が最大のオフセット位置に位置した最大のオフセット状態(通常はこの状態において作業対象面に対応した所望姿勢で作業をする)である。なお、この最大オフセット状態では、例えば作業部6の略全体がトラクタ2の右側の後輪よりも外側に突出して位置する。
【0026】
また、作業部6は、オフセット状態において、左右方向に沿った水平姿勢及び上向き・下向きの傾斜姿勢(左低右高の上向き傾斜姿勢及び左高右低の下向き傾斜姿勢)のいずれの姿勢でも草刈作業が可能である。
【0027】
そして、作業部6は、最大の上向き位置と最大の下向き位置との間で、第2シリンダ17の伸縮により、トラクタ(装着部)2に対して(基準として)前後方向の回動中心軸線Xを中心として上下方向に回動可能であり、これら両位置及び当該両位置間の任意位置(水平位置を含む)に位置決め可能となっている。つまり、作業部6は、第2シリンダ17の伸縮によって無段階に傾斜角度調整可能である。この作業部6の回動支点である回動中心軸線Xは、丸軸状の回動中心軸10の軸芯を通る線である。
【0028】
なお、図7(b)において、実線の状態は、最大のオフセット状態の作業部6が水平位置に位置した水平姿勢の状態であり、2点鎖線の一の状態は、最大のオフセット状態の作業部6が最大の上向き位置に位置して最大の角度(例えば70°)をもって先端上向きに傾斜した最大の上向き傾斜姿勢の状態であり、2点鎖線の他の状態は、最大のオフセット状態の作業部6が最大の下向き位置に位置して最大の角度(例えば55°)をもって先端下向きに傾斜した最大の下向き傾斜姿勢の状態である。
【0029】
以下において、上向きの傾斜角度を「+」で示し、下向きの傾斜角度を「-」で示す場合がある。すなわち、この図示した作業部6は、作業対象面の角度に応じて、例えば-55°以上+70°以下の範囲で、トラクタ2に対して(基準として)上下方向に回動可能である。この回動範囲(-55°~+70°)は一例であり、これには限定されず、他の範囲でもよく、また例えば最大の傾斜角度が上向きと下向きとで同じ範囲等でもよい。
【0030】
装着部5は、装着フレームであるヒッチフレーム21を有し、このヒッチフレーム21には、トラクタ2の後部の3点リンク部に着脱可能に連結される3点連結部22が設けられている。3点連結部22は、トップピン23を有したトップマスト24と、ロワピン25を有した左右一対のロワアーム26とを有している。
【0031】
また、ヒッチフレーム21の中央側には、トラクタ2側からの動力を入力する入力軸28を回転方向に保持した入力軸保持部29が設けられている。入力軸28は、トラクタ2のPTO軸にジョイントを介して接続される。
【0032】
さらに、ヒッチフレーム21の左側(オフセット側とは反対側)にはウェイト取付部30が設けられ、このウェイト取付部30には重量バランスを安定させるためのカウンターウェイト31が取り付けられている。ヒッチフレーム21の右側には、アーム取付部32が設けられている。
【0033】
連結部7は、左右一対で2本の回動アームである連結アーム(平行リンク)41と、アーム取付部材42とを有している。そして、連結アーム41の前端部は、装着部5のアーム取付部32に取付軸43を介して回動可能に取り付けられ、かつ、連結アーム41の後端部は、アーム取付部材42に取付軸44を介して回動可能に取り付けられている。
【0034】
また、アーム取付部材42には回動中心軸10が固着されており、この回動中心軸10は、作業部6の軸保持部材46の軸保持部47によって保持されている。つまり、作業部6は、連結部7のアーム取付部材42に固定された回動中心軸10を中心として上下方向に回動可能となっている。
【0035】
そして、第2検知部(例えばポテンショメータ)14は、連結部7の回動中心軸10に対する軸保持部材46の回動角度、換言すると、装着部(トラクタ)5に対する作業部6の回動角度を検知して、その情報を制御部15に送信するものである。
【0036】
また、第1検知部(例えばポテンショメータ)13は、装着部5の取付軸43に対する連結アーム41の回動角度を検知してその情報を制御部15に送信するものである。なお、第1検知部13はアーム取付部32に取り付けられ、第2検知部14は軸保持部材46の取付部48に取り付けられている。
【0037】
作業部6は、所定方向に回転しながら草刈作業(農作業)をする作業手段51と、この作業手段51を覆うカバー体52と、このカバー体52の左側面部に取り付けられた第1伝動ケース体であるプーリケース53と、このプーリケース53の左側面部に取り付けられた第2伝動ケース体であるギアケース54とを有している。なお、作業部6の軸保持部材46は、取付具(例えばボルト及びナット)55によってカバー体52の上面左側に取り付けられている。また、軸保持部材46は、例えば補強板部46aと、この補強板部46a上にボルト50で固定された本体部46bとで構成されている。
【0038】
そして、作業手段51は、左右方向の回転軸56と、この回転軸56に取り付けられた複数の作業爪である草刈爪57とを有している。また、この作業手段51の後方には、作業時に作業対象面に接地する接地輪であるゲージローラ58が設けられている。
【0039】
さらに、ギアケース54によって中間入力軸61が回転可能に保持され、この中間入力軸61には入力軸28からの動力を伝達する動力伝達手段62が接続されている。そして、動力伝達手段62から中間入力軸61に入力された動力(回転動力)は、ギアケース54内のギア、プーリケース53内のプーリ及びベルト等からなる伝動手段(図示せず)を経て作業手段51の回転軸56に伝達され、この回転軸56が草刈爪57とともに所定方向に回転して草刈作業が行われる。
【0040】
操作部(操作ボックス)11は、図5に示すように、制御部(制御ボックス)15に有線又は無線で電気的に接続される装置本体71を有している。そして、装置本体71には、例えばオフセット量、姿勢角度及びモード等を含む所定の情報を表示する表示部72が設けられている。また、装置本体71には、作業者(操作者)が押し操作可能な操作スイッチ部(操作スイッチ群である押しボタンスイッチ群)73が設けられている。
【0041】
操作スイッチ部73は、電源スイッチ76と、表示切替スイッチ77と、モード選択スイッチ(自動モード、手動モード及び設定モードのうちのいずれか一つを選択するためのスイッチ)78と、決定スイッチ(設定モードにおいて設定姿勢等を含む項目等を決定するためのスイッチ)79とを有している。
【0042】
また、操作スイッチ部73は、手動格納スイッチ(手動モードにおいて作業部を左側方に移動させるためのスイッチ)81と、手動オフセットスイッチ(手動モードにおいて作業部を右側方に移動させるためのスイッチ)82と、手動上回動スイッチ(手動モードにおいて作業部を上方に回動させるためのスイッチ)83と、手動下回動スイッチ(手動モードにおいて作業部を下方に回動させるためのスイッチ)84とを有している。
【0043】
そして、これら手動用のスイッチ81~84は、作業者によって押し操作されている間のみ、作業部6が動作する。このため、例えば手動モードで作業部6を格納状態にするためには、作業者は手動格納スイッチ81を長押しする必要があり、他のスイッチ82~84についても同様で長押しする必要がある。
【0044】
さらに、操作スイッチ部73は、自動格納スイッチ(自動モードにおいて作業部を左側方に移動させるためのスイッチ)86と、自動オフセットスイッチ(自動モードにおいて作業部を右側方に移動させるためのスイッチ)87と、自動水平スイッチ(自動モードにおいて作業部を水平姿勢にするためのスイッチ)88と、走行姿勢である自動格納・回動スイッチ(自動モードにおいて作業部を左側方に移動させかつ回動させるためのスイッチ)89と、作業姿勢である自動オフセット・回動スイッチ(自動モードにおいて作業部を右側方に移動させかつ回動させるためのスイッチ)90とを有している。
【0045】
そして、これら自動用のスイッチ86~90は、作業者によって1回押し操作(ワンアクション操作)されるだけで、予め設定された状態(姿勢を含む)になるまで、作業部6が自動的に動作する。つまり、作業者がスイッチを1回押し操作しただけで、制御部15が検知部13,14からの検知情報に基づいて駆動部12を適宜制御することにより、作業部6が所定の動作(格納動作、オフセット動作等)を自動的に行う。それゆえ、上記した手動用のスイッチ81~84とは異なり、作業者は自動用のスイッチ86~90を長押しする必要がない。
【0046】
自動格納スイッチ(第1格納スイッチ)86及び自動格納・回動スイッチ(第2格納スイッチ)89は、いずれもワンアクション操作で作業部6を自動的に格納動作させるための自動格納用の操作手段である。他方、自動オフセットスイッチ(第1オフセットスイッチ)87及び自動オフセット・回動スイッチ(第2オフセットスイッチ)90は、いずれもワンアクション操作で作業部6を自動的にオフセット動作(展開動作)させるための自動オフセット用の操作手段である。
【0047】
なお、この図5に図示した遠隔操作用の操作部11は、操作スイッチ部73が例えば13個の押しボタンスイッチを有したものであるが、これには限定されず、その個数や配置等は任意であり、例えばジョイスティック式の操作レバーを有したもの等でもよく、また、例えばタッチパネル式の表示部を兼ねた操作装置や、所定のアプリをダウンロードした携帯端末等の端末装置でもよい。
【0048】
次に、農作業機1の作用等を説明する。
【0049】
まず、図8ないし図10を参照して、作業部6の格納動作について説明する。
【0050】
例えば自動モードに設定された状態において、作業者が操作部11の自動格納用の操作手段(スイッチ86,89)を1回押し操作すると、作業部6が制御部15による制御に基づいて格納動作を自動的に行い、所望の格納状態となる。
【0051】
すなわち、制御部15は、例えば図8(a)及び(b)に示すように、作業者による自動格納スイッチ86の1回の押し操作に基づいて、作業部6が、装着部5に対する姿勢角度(第2検知部のポテンショメータの検知角度)を変えずに傾斜姿勢(例えば+30°の上向きの傾斜姿勢)のままオフセット状態(例えば最大のオフセット状態)から格納状態に自動的に変更されるように、駆動部12を制御する。
【0052】
また、制御部15は、例えば図8(a)ないし(c)に示すように、作業者による自動格納・回動スイッチ89の1回の押し操作に基づいて、作業部6が、装着部5に対する姿勢角度(第2検知部のポテンショメータの検知角度)を変えずに傾斜姿勢(例えば+30°の上向きの傾斜姿勢)のままオフセット状態(例えば最大のオフセット状態)から格納状態に自動的に変更された後、その傾斜姿勢から予め設定された設定姿勢(例えば+70°の最大の上向きの傾斜姿勢)に自動的に変更されるように、駆動部12を制御する。なお、設定姿勢は、例えば走行に適した最大上向き傾斜姿勢が好ましいが、これには限定されず、例えば+60°の上向き傾斜姿勢、±0°の水平姿勢、-10°の下向き傾斜姿勢等、その姿勢は任意である(以下でも同様)。
【0053】
また、上述の格納動作には限定されず、制御部15は、例えば図9(a)ないし(c)に示すように、作業者による自動格納・回動スイッチ89の1回の押し操作に基づいて、作業部6が、水平姿勢又は傾斜姿勢(例えば+30°の上向きの傾斜姿勢)から予め設定された設定姿勢(例えば+70°の最大の上向きの傾斜姿勢)に自動的に変更されつつ、オフセット状態(例えば最大のオフセット状態)から格納状態に自動的に変更されるように、駆動部12を制御するようにしてもよい。なお、この格納動作後に作業部6を更に任意角度に回動させてもよい。
【0054】
さらに、上述の格納動作には限定されず、制御部15は、自動格納スイッチ86や自動格納・回動スイッチ89が操作された場合でも、例えば図10(a)に示す下向きの傾斜姿勢や図10(b)に示す水平姿勢では格納動作せず、装着部5に対する作業部6の姿勢が上向きの傾斜姿勢である場合(換言すると作業部の装着部に対する姿勢角度が設定範囲内である場合)に限り、作業部6がオフセット状態(例えば最大のオフセット状態)から格納状態に自動的に変更されるように、駆動部12を制御するようにしてもよい。つまり、作業部6の装着部5に対する姿勢角度(トラクタに装着した装着部を基準とする作業部の上下方向の傾斜角度)が0°以下の場合には、作業部6と地面との干渉を回避するために、制御部15は操作情報を受信しても格納動作の指令を出さない。
【0055】
次いで、図11及び図12を参照して、作業部6のオフセット動作(展開動作)について説明する。
【0056】
例えば自動モードに設定された状態において、作業者が操作部11の自動オフセット用の操作手段(スイッチ87,90)を1回押し操作すると、作業部6が制御部15による制御に基づいてオフセット動作を自動的に行い、所望のオフセット状態となる。
【0057】
すなわち、制御部15は、例えば図11(a)及び(b)に示すように、作業者による自動オフセットスイッチ87の1回の押し操作に基づいて、作業部6が、装着部5に対する姿勢角度(第2検知部のポテンショメータの検知角度)を変えずに水平姿勢又は傾斜姿勢(例えば+70°の最大の上向きの傾斜姿勢)のまま格納状態からオフセット状態(例えば最大のオフセット状態)に自動的に変更されるように、駆動部12を制御する。
【0058】
また、制御部15は、例えば図11(a)ないし(c)に示すように、作業者による自動オフセット・回動スイッチ90の1回の押し操作に基づいて、作業部6が、装着部5に対する姿勢角度(第2検知部のポテンショメータの検知角度)を変えずに水平姿勢又は傾斜姿勢(例えば+70°の最大の上向きの傾斜姿勢)のまま格納状態からオフセット状態(例えば最大のオフセット状態)に自動的に変更された後、その姿勢から予め設定された設定姿勢(例えば水平姿勢や作業対象面に応じた傾斜姿勢等)に自動的に変更されるように、駆動部12を制御する。
【0059】
また、上述のオフセット動作には限定されず、制御部15は、例えば図12(a)ないし(c)に示すように、作業者による自動オフセット・回動スイッチ90の1回の押し操作に基づいて、作業部6が、水平姿勢又は傾斜姿勢(例えば+70°の最大の上向きの傾斜姿勢)から予め設定された設定姿勢(例えば水平姿勢や作業対象面に応じた傾斜姿勢等)に自動的に変更されつつ、格納状態からオフセット状態(例えば最大のオフセット状態)に自動的に変更されるように、駆動部12を制御するようにしてもよい。なお、このオフセット動作後に作業部6を更に任意角度に回動させてもよい。
【0060】
そして、このような農作業機1によれば、自動モード時に作業者が操作部11の自動格納用の操作手段(スイッチ86,89)や自動オフセット用の操作手段(スイッチ87,90)を1回押し操作するだけで、制御部15による制御に基づいて作業部6が所定の格納動作又はオフセット動作を自動的に行うため、手動モードのみの場合に比べて操作性が向上し、よって作業者(操作者)の負担軽減を図ることができる。
【0061】
次に、本発明の第2の実施形態について図13ないし図19を参照して説明する。
【0062】
この第2の実施形態に係る農作業機1の第2検知部(センサ)14´は、上記第1の実施形態における作業部6の装着部5に対する姿勢角度を検知するポテンショメータではなく、例えば作業部6の水平方向に対する姿勢角度(作業部自体の角度)を検知する傾斜センサであり、この傾斜センサは作業部6の任意位置(例えばカバー体の上面の位置等)に取り付けられている。なお、この第2の実施形態における作業部6の動作範囲は、例えば上記第1の実施形態と同じである(図13参照)。
【0063】
そして、まず、図14ないし図16を参照して、この作業部6の格納動作について説明する。
【0064】
例えば自動モードに設定された状態において、作業者が操作部11の自動格納用の操作手段(スイッチ86,89)を1回押し操作すると、作業部6が制御部15による制御に基づいて格納動作を自動的に行い、所望の格納状態となる。
【0065】
すなわち、制御部15は、例えば図14(a)及び(b)に示すように、作業者による自動格納スイッチ86の1回の押し操作に基づいて、作業部6が、装着部5とは関係なくそれ自体の水平方向に対する姿勢角度(第2検知部の傾斜センサの検知角度)を変えずに水平姿勢又は傾斜姿勢(例えば+30°の上向きの傾斜姿勢)のままオフセット状態(例えば最大のオフセット状態)から格納状態に自動的に変更されるように、駆動部12を制御する。
【0066】
また、制御部15は、例えば図14(a)ないし(c)に示すように、作業者による自動格納・回動スイッチ89の1回の押し操作に基づいて、作業部6が、装着部5とは関係なくそれ自体の水平方向に対する姿勢角度(第2検知部の傾斜センサの検知角度)を変えずに水平姿勢又は傾斜姿勢(例えば+30°の上向きの傾斜姿勢)のままオフセット状態(例えば最大のオフセット状態)から格納状態に自動的に変更された後、その姿勢から予め設定された設定姿勢(例えば+70°の最大の上向きの傾斜姿勢)に自動的に変更されるように、駆動部12を制御する。
【0067】
また、上述の格納動作には限定されず、制御部15は、例えば図15(a)ないし(c)に示すように、作業者による自動格納・回動スイッチ89の1回の押し操作に基づいて、作業部6が、水平姿勢又は傾斜姿勢(例えば+30°の上向きの傾斜姿勢)から予め設定された設定姿勢(例えば+70°の最大の上向きの傾斜姿勢)に自動的に変更されつつ、オフセット状態(例えば最大のオフセット状態)から格納状態に自動的に変更されるように、駆動部12を制御するようにしてもよい。なお、この格納動作後に作業部6を更に任意角度に回動させてもよい。
【0068】
さらに、上述の格納動作には限定されず、制御部15は、自動格納スイッチ86や自動格納・回動スイッチ89が操作された場合でも、例えば図16に示す下向きの傾斜姿勢では格納動作せず、作業部6の水平方向に対する姿勢角度が予め設定された設定範囲内である場合、すなわち例えば-10°以上+70°以下の設定範囲内である場合に限り、作業部6がオフセット状態(例えば最大のオフセット状態)から格納状態に自動的に変更されるように、駆動部12を制御するようにしてもよい。つまり、作業部6の水平方向に対する姿勢角度(重力の方向と直交する方向を基準とする作業部の上下方向の傾斜角度)が上記設定範囲外の場合には、作業部6と地面との干渉を回避するために、制御部15は操作情報を受信しても格納動作の指令を出さない。
【0069】
次いで、図17ないし図19を参照して、作業部6のオフセット動作(展開動作)について説明する。
【0070】
例えば自動モードに設定された状態において、作業者が操作部11の自動オフセット用の操作手段(スイッチ87,90)を1回押し操作すると、作業部6が制御部15による制御に基づいてオフセット動作を自動的に行い、所望のオフセット状態となる。
【0071】
すなわち、制御部15は、例えば図17(a)及び(b)に示すように、作業者による自動オフセットスイッチ87の1回の押し操作に基づいて、作業部6が、装着部5とは関係なくそれ自体の水平方向に対する姿勢角度(第2検知部の傾斜センサの検知角度)を変えずに水平姿勢又は傾斜姿勢(例えば+70°の最大の上向きの傾斜姿勢)のまま格納状態からオフセット状態(例えば最大のオフセット状態)に自動的に変更されるように、駆動部12を制御する。
【0072】
また、制御部15は、例えば図17(a)ないし(c)に示すように、作業者による自動オフセット・回動スイッチ90の1回の押し操作に基づいて、作業部6が、装着部5とは関係なくそれ自体の水平方向に対する姿勢角度(第2検知部の傾斜センサの検知角度)を変えずに水平姿勢又は傾斜姿勢(例えば+70°の最大の上向きの傾斜姿勢)のまま格納状態からオフセット状態(例えば最大のオフセット状態)に自動的に変更された後、その姿勢から予め設定された設定姿勢(例えば水平姿勢や作業対象面に応じた傾斜姿勢等)に自動的に変更されるように、駆動部12を制御する。
【0073】
また、上述のオフセット動作には限定されず、制御部15は、例えば図18(a)ないし(c)に示すように、作業者による自動オフセット・回動スイッチ90の1回の押し操作に基づいて、作業部6が、水平姿勢又は傾斜姿勢(例えば+70°の最大の上向きの傾斜姿勢)から予め設定された設定姿勢(例えば水平姿勢や作業対象面に応じた傾斜姿勢等)に自動的に変更されつつ、格納状態からオフセット状態(例えば最大のオフセット状態)に自動的に変更されるように、駆動部12を制御するようにしてもよい。なお、このオフセット動作後に作業部6を更に任意角度に回動させてもよい。
【0074】
さらに、上述のオフセット動作には限定されず、制御部15は、自動オフセットスイッチ87や自動オフセット・回動スイッチ90が操作された場合でも、例えば図19に示す下向きの傾斜姿勢ではオフセット動作せず、作業部6の水平方向に対する姿勢角度が予め設定された設定範囲内である場合、すなわち例えば-10°以上+70°以下の設定範囲内である場合に限り、作業部6が格納状態からオフセット状態(例えば最大のオフセット状態)に自動的に変更されるように、駆動部12を制御するようにしてもよい。つまり、作業部6の水平方向に対する姿勢角度(重力の方向と直交する方向を基準とする作業部の上下方向の傾斜角度)が上記設定範囲外の場合には、作業部6と地面との干渉を回避するために、制御部15は操作情報を受信してもオフセット動作の指令を出さない。
【0075】
そして、この第2の実施形態に係る農作業機1でも、上記第1の実施形態と同様、自動モード時に作業者が操作部11の自動格納用の操作手段(スイッチ86,89)や自動オフセット用の操作手段(スイッチ87,90)を1回(1度)押し操作するだけで、制御部15による制御に基づいて作業部6が所定の格納動作又はオフセット動作を自動的に行うため、手動モードのみの場合に比べて操作性が向上し、よって作業者(操作者)の負担軽減を図ることができる。
【0076】
また、第2検知部14´が傾斜センサであるため、それとは異なるポテンショメータである場合と比べて、その取付位置が限定されず、第2検知部14´(傾斜センサ)を作業部6の任意位置に取り付けることができる。
【0077】
さらに、その第2検知部14´(傾斜センサ)は、作業部6に取り付けられることでトラクタ本体の傾きやヒッチ部の傾き等に対して作業部6の角度を容易に補正できる。
【0078】
また、トラクタ2と農作業機1との間の通信に使用される通信規格(例えばAG-PORTやISOBUS等)を用いて、トラクタ本体の傾きやヒッチ部の傾き等に関する情報を取得することで、第2検知部14´(傾斜センサ)と合わせて正確な角度の補正が可能となる。
【0079】
なお、上記いずれの実施形態においても、農作業機(オフセット作業機)は、作業部が走行車に対して右側方に移動してオフセットする構成について説明したが、例えば作業部が走行車に対して左側方に移動してオフセットする構成や、左右両方にオフセットする構成等でもよい。
【0080】
また、農作業機は、草刈機には限定されず、例えば散布機、畦塗り機、溝掘機、収穫機等でもよい。
【0081】
さらに、駆動部は、電動油圧シリンダには限定されず、例えば走行車からの外部油圧を利用するシリンダや、例えば電動モータ等のモータを用いてもよい。
【0082】
また、例えばポテンショメータを用いた第1の実施形態に係る農作業機において、傾斜センサを作業部に付加した構成(つまりポテンショメータ及び傾斜センサの両方を用いた作業機)としてもよい。
【0083】
なお、本発明のいくつかの実施形態及びその変形例について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、各実施形態及び各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 農作業機
6 作業部
11 操作部
12 駆動部
13 第1検知部
14,14´ 第2検知部
15 制御部
86 自動格納用の操作手段である自動格納スイッチ
89 自動格納用の操作手段である自動格納・回動スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19