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特開2024-167628情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、制御プログラム、生成装置及び生成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167628
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、制御プログラム、生成装置及び生成方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20241127BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083838
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】富貴澤 伸哉
(72)【発明者】
【氏名】狭間 菜摘
(72)【発明者】
【氏名】神崎 範之
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止をより的確に被検者に提案することが可能な情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、制御プログラム、生成装置及び生成方法を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報が入力された場合に、その被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力するように学習された学習済みモデルを記憶する記憶部と、被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を取得する取得部と、取得された被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を学習済みモデルに入力することにより、その被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を特定する特定部と、特定された情報を出力する出力部と、を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報が入力された場合に、当該被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力するように学習された学習済みモデルを記憶する記憶部と、
被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を取得する取得部と、
前記取得された被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を前記学習済みモデルに入力することにより、当該被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を特定する特定部と、
前記特定された情報を出力する出力部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記被検者の糖代謝指標に関する情報は、前記被検者のHbA1c、空腹時血糖値、食後血糖値、糖負荷後血糖値、平均血糖値、最高血糖値もしくはTIR(Time in Range)の測定値、又は、前記測定値に基づいて推定される食後高血糖タイプを含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記食後高血糖タイプは、食後の血糖値が上がりやすいタイプであるか否か、及び/又は、食後の血糖値が下がりにくいタイプであるか否かを含む、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記被検者の背景情報は、前記被検者の性別、年齢、BMI、食習慣、運動習慣又は健康診断値の何れか一つを含む、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記学習済みモデルは、前記被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報が入力された場合に、さらに疾病発症のリスク情報を出力するように学習され、
前記特定部は、前記取得された被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を前記学習済みモデルに入力することにより、当該被検者の疾病発症のリスク情報を特定し、
前記出力部は、前記特定部により特定されたリスク情報をさらに出力する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報は、特定保健用食品又は機能性表示食品の選択方法、食事由来の栄養成分の摂取量の目標設定、運動量の目標設定、又は、睡眠時間の目標設定を含む、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記特定された情報に従って実施された前記食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止の実施記録情報を取得する実施記録情報取得部と、
前記実施記録情報が、前記特定された情報に対して所定の条件を満たすか否かを判定し、判定結果を出力する判定部と、をさらに有する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報が入力された場合に、当該被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力するように学習された学習済みモデルを記憶する記憶部と、
被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を取得する取得部と、
前記取得された被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を前記学習済みモデルに入力することにより、当該被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を特定する特定部と、
前記特定された情報を出力する出力部と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項9】
被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を取得する取得部と、
被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報が入力された場合に、当該被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力するように学習された学習済みモデルに、前記取得された被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を入力することにより、当該被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を特定する特定部と、
前記特定された情報を出力する出力部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を取得し、
被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報が入力された場合に、当該被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力するように学習された学習済みモデルに、前記取得された被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を入力することにより、当該被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を特定し、
前記特定された情報を出力部から出力する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
出力部を有するコンピュータの制御プログラムであって、
被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を取得し、
被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報が入力された場合に、当該被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力するように学習された学習済みモデルに、前記取得された被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を入力することにより、当該被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を特定し、
前記特定された情報を前記出力部から出力する、
ことをコンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項12】
所定の糖代謝指標に関する情報及び背景情報に対応する被検者が実施した食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止の実施記録情報と、前記実施記録情報に基づく効果情報とを取得する取得部と、
前記糖代謝指標に関する情報、前記背景情報、前記実施記録情報及び前記効果情報を教師データとして、前記糖代謝指標に関する情報及び前記背景情報が入力された場合に良好な食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力可能な学習済みモデルを生成する生成部と、
を有することを特徴とする生成装置。
【請求項13】
所定の糖代謝指標に関する情報及び背景情報に対応する被検者が実施した食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止の実施記録情報と、前記実施記録情報に基づく効果情報とを取得し、
前記糖代謝指標に関する情報、前記背景情報、前記実施記録情報及び前記効果情報を教師データとして、前記糖代謝指標に関する情報及び前記背景情報が入力された場合に良好な食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力可能な学習済みモデルを生成する、
ことを特徴とする生成方法。
【請求項14】
所定の糖代謝指標に関する情報及び背景情報に対応する被検者が実施した食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止の実施記録情報と、前記実施記録情報に基づく効果情報とを取得し、
前記糖代謝指標に関する情報、前記背景情報、前記実施記録情報及び前記効果情報を教師データとして、前記糖代謝指標に関する情報及び前記背景情報が入力された場合に良好な食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力可能な学習済みモデルを生成する、
ことをコンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項15】
被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報が入力された場合に、当該被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力するように学習された学習済みモデルを記憶する記憶部と、
被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を取得する第1取得部と、
前記取得された被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を前記学習済みモデルに入力することにより、当該被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を特定する特定部と、
前記特定された情報に従って実施された前記食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止の実施記録情報と、前記実施記録情報に基づく効果情報とを取得する第2取得部と、
前記実施記録情報及び前記効果情報を用いて、前記学習済みモデルを再学習させる再学習部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項16】
被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報が入力された場合に、当該被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力するように学習された学習済みモデルを記憶する記憶部と、
被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を取得する第1取得部と、
前記取得された被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を前記学習済みモデルに入力することにより、当該被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を特定する特定部と、
前記特定された情報に従って実施された前記食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止の実施記録情報と、前記実施記録情報に基づく効果情報とを取得する第2取得部と、
前記実施記録情報及び前記効果情報を用いて、前記学習済みモデルを再学習させる再学習部と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項17】
被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報が入力された場合に、当該被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力するように学習された学習済みモデルを記憶部に記憶し、
被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を取得し、
前記取得された被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を前記学習済みモデルに入力することにより、当該被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を特定し、
前記特定された情報に従って前記食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止を実施した場合の実施記録情報と、前記実施記録情報に基づく効果情報とを取得し、
前記実施記録情報及び前記効果情報を用いて、前記学習済みモデルを再学習させる、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項18】
記憶部を有するコンピュータの制御プログラムであって、
被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報が入力された場合に、当該被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力するように学習された学習済みモデルを前記記憶部に記憶し、
被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を取得し、
前記取得された被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を前記学習済みモデルに入力することにより、当該被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を特定し、
前記特定された情報に従って前記食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止を実施した場合の実施記録情報と、前記実施記録情報に基づく効果情報とを取得し、
前記実施記録情報及び前記効果情報を用いて、前記学習済みモデルを再学習させる、
ことをコンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、制御プログラム、生成装置及び生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病の患者ではない健常者であっても、食後高血糖の症状を呈している場合がある。食後高血糖は、「食後高血糖の管理に関するガイドライン」(国際糖尿病連合(IDF))で提唱されている概念である。一般的な健康診断(空腹時採血)で食後高血糖を発見することは困難であり、食後高血糖を発見するためには、身体的負担とリスクを伴う経口グルコース負荷試験(OGTT)を実施する必要がある。なお、糖尿病の患者ではない健常者とは、空腹時血糖値及びHbA1cが正常型、正常高値又は境界域である者、経口グルコース負荷試験(OGTT)において糖負荷120分後の血糖値が200mg/dl未満である者等である。経口グルコース負荷試験(OGTT)は、朝食を摂取しない空腹時条件において、被検者が75gのグルコースを含む糖液を摂取した後、複数の時点で血液を採取し、採取した血液の血糖値を測定することにより、血糖値の時間変化を測定する試験である。
【0003】
食後高血糖は、糖尿病又は認知症等の疾病の発症リスク因子となるため、食後高血糖に対する適切な対策が取られることが望まれる。
【0004】
非特許文献1には、体重、血圧、歩数(活動量)の測定データ及び食生活等の行動の自己評価が入力された場合に、応援、励まし、賞賛、注意メッセージを出力する技術が開示されている。
【0005】
非特許文献2には、食後血糖改善に効果的と思われる生活改善項目の中から実践した項目を記録表に記録するとともに、血糖値を測定し記録表に記録する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「IoT情報に基づく対象に応じた「七福神アプリ」ロジック開発のための研究」(あいち健康の森健康科学総合センター、国立研究開発法人日本医療研究開発機構 令和元年度IoT等活用行動変容研究事業 成果報告会 報告資料)
【非特許文献2】「多忙な従業員の血糖管理に Flash glucose monitoring(FGM)プログラムが有効であった一例―健康管理室での FGM プログラムの活用方法について―」(産衛誌 2021; 63(6): 304-309)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止をより的確に被検者に提案することが要求されている。
【0008】
情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、制御プログラム、生成装置及び生成方法の目的は、食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止をより的確に被検者に提案することを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係る情報処理装置は、被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報が入力された場合に、その被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力するように学習された学習済みモデルを記憶する記憶部と、被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を取得する取得部と、取得された被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を学習済みモデルに入力することにより、その被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を特定する特定部と、特定された情報を出力する出力部と、を有する。
【0010】
実施形態に係る情報処理装置において、被検者の糖代謝指標に関する情報は、被検者のHbA1c、空腹時血糖値、食後血糖値、糖負荷後血糖値、平均血糖値、最高血糖値もしくはTIR(Time in Range)の測定値、又は、測定値に基づいて推定される食後高血糖タイプを含む。
【0011】
実施形態に係る情報処理装置において、食後高血糖タイプは、食後の血糖値が上がりやすいタイプであるか否か、及び/又は、食後の血糖値が下がりにくいタイプであるか否かを含む。
【0012】
実施形態に係る情報処理装置において、被検者の背景情報は、被検者の性別、年齢、BMI、食習慣、運動習慣又は健康診断値の何れか一つを含む。
【0013】
実施形態に係る情報処理装置において、学習済みモデルは、被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報が入力された場合に、さらに疾病発症のリスク情報を出力するように学習され、特定部は、取得された被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を学習済みモデルに入力することにより、その被検者の疾病発症のリスク情報を特定し、出力部は、特定部により特定されたリスク情報をさらに出力する。
【0014】
実施形態に係る情報処理装置において、被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報は、特定保健用食品又は機能性表示食品の選択方法、食事由来の栄養成分の摂取量の目標設定、運動量の目標設定、又は、睡眠時間の目標設定を含む。
【0015】
実施形態に係る情報処理装置において、特定された情報に従って実施された食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止の実施記録情報を取得する実施記録情報取得部と、実施記録情報が、特定された情報に対して所定の条件を満たすか否かを判定し、判定結果を出力する判定部と、をさらに有する。
【0016】
実施形態に係る情報処理システムは、被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報が入力された場合に、その被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力するように学習された学習済みモデルを記憶する記憶部と、被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を取得する取得部と、取得された被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を学習済みモデルに入力することにより、その被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を特定する特定部と、特定された情報を出力する出力部と、を有する。
【0017】
実施形態に係る情報処理装置は、被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を取得する取得部と、被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報が入力された場合に、その被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力するように学習された学習済みモデルに、取得された被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を入力することにより、その被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を特定する特定部と、特定された情報を出力する出力部と、を有する。
【0018】
実施形態に係る情報処理方法は、被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を取得し、被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報が入力された場合に、その被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力するように学習された学習済みモデルに、取得された被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を入力することにより、その被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を特定し、特定された情報を出力部から出力する。
【0019】
実施形態に係る制御プログラムは、出力部を有するコンピュータの制御プログラムであって、被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を取得し、被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報が入力された場合に、その被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力するように学習された学習済みモデルに、取得された被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を入力することにより、その被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を特定し、特定された情報を出力部から出力することをコンピュータに実行させる。
【0020】
実施形態に係る生成装置は、所定の糖代謝指標に関する情報及び背景情報に対応する被検者が実施した食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止の実施記録情報と、実施記録情報に基づく効果情報とを取得する取得部と、糖代謝指標に関する情報、背景情報、実施記録情報及び効果情報を教師データとして、糖代謝指標に関する情報及び背景情報が入力された場合に良好な食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力可能な学習済みモデルを生成する生成部と、を有する。
【0021】
実施形態に係る生成方法は、所定の糖代謝指標に関する情報及び背景情報に対応する被検者が実施した食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止の実施記録情報と、実施記録情報に基づく効果情報とを取得し、糖代謝指標に関する情報、背景情報、実施記録情報及び効果情報を教師データとして、糖代謝指標に関する情報及び背景情報が入力された場合に良好な食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力可能な学習済みモデルを生成する。
【0022】
実施形態に係る制御プログラムは、所定の糖代謝指標に関する情報及び背景情報に対応する被検者が実施した食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止の実施記録情報と、実施記録情報に基づく効果情報とを取得し、糖代謝指標に関する情報、背景情報、実施記録情報及び効果情報を教師データとして、糖代謝指標に関する情報及び背景情報が入力された場合に良好な食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力可能な学習済みモデルを生成することをコンピュータに実行させる。
【0023】
実施形態に係る情報処理装置は、被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報が入力された場合に、その被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力するように学習された学習済みモデルを記憶する記憶部と、被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を取得する第1取得部と、取得された被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を学習済みモデルに入力することにより、その被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を特定する特定部と、特定された情報に従って実施された食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止の実施記録情報と、実施記録情報に基づく効果情報とを取得する第2取得部と、実施記録情報及び効果情報を用いて、学習済みモデルを再学習させる再学習部と、を有する。
【0024】
実施形態に係る情報処理システムは、被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報が入力された場合に、その被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力するように学習された学習済みモデルを記憶する記憶部と、被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を取得する第1取得部と、取得された被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を学習済みモデルに入力することにより、その被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を特定する特定部と、特定された情報に従って実施された食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止の実施記録情報と、実施記録情報に基づく効果情報とを取得する第2取得部と、実施記録情報及び効果情報を用いて、学習済みモデルを再学習させる再学習部と、を有する。
【0025】
実施形態に係る情報処理方法は、被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報が入力された場合に、その被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力するように学習された学習済みモデルを記憶部に記憶し、被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を取得し、取得された被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を学習済みモデルに入力することにより、その被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を特定し、特定された情報に従って食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止を実施した場合の実施記録情報と、実施記録情報に基づく効果情報とを取得し、実施記録情報及び効果情報を用いて、学習済みモデルを再学習させる。
【0026】
実施形態に係る制御プログラムは、記憶部を有するコンピュータの制御プログラムであって、被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報が入力された場合に、その被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力するように学習された学習済みモデルを記憶部に記憶し、被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を取得し、取得された被検者の糖代謝指標に関する情報及び被検者の背景情報を学習済みモデルに入力することにより、その被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を特定し、特定された情報に従って食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止を実施した場合の実施記録情報と、実施記録情報に基づく効果情報とを取得し、実施記録情報及び効果情報を用いて、学習済みモデルを再学習させることをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0027】
情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、制御プログラム、生成装置及び生成方法は、食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止をより的確に被検者に提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】実施形態に係る情報処理システム1の概略構成を示す図である。
図2】端末装置100の概略構成を示す図である。
図3】管理テーブル112のデータ構造の一例を示す模式図である。
図4】サーバ装置200の概略構成を示す図である。
図5】学習処理の動作の例を示すフローチャートである。
図6】特定処理の動作の例を示すフローチャートである。
図7】支援処理の動作の例を示すフローチャートである。
図8】更新処理の動作の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、実施形態の一側面に係る情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、制御プログラム、生成装置及び生成方法について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0030】
図1は、実施形態に係る情報処理システム1の概略構成を示す図である。
【0031】
図1に示すように、情報処理システム1は、一又は複数の端末装置100及びサーバ装置200等を有する。各端末装置100と、サーバ装置200とは、ネットワークNを介して相互に通信可能に接続される。また、各端末装置100及び各サーバ装置200は、ネットワークNを介して診断結果登録装置A1、測定装置A2及び/又は情報入力装置A3等と通信可能に接続される。ネットワークNは、インターネット又はイントラネット等の有線ネットワークである。ネットワークNは、無線LAN(Local Area Network)等の無線ネットワークでもよい。
【0032】
情報処理システム1は、被検者と異なる管理者により、被検者の健康管理を行うために使用される。特に、情報処理システム1は、健康経営の推進を目的として使用される。例えば、管理者は企業又は健康保険組合であり、被検者は企業の従業員である。または、管理者は保険会社であり、被検者は保険の加入者である。または、管理者は自治体、鉄道会社又は不動産会社(都市開発従事者)であり、被検者は自治体、鉄道路線沿線又は不動産会社(都市開発従事者)が開発するエリアに居住する居住者である。
【0033】
診断結果登録装置A1は、一又は複数の被検者の一般健康診断の実施後に、各被検者の糖代謝指標情報、背景情報及び/又は発症情報が入力されて登録される装置である。糖代謝指標情報は、被検者の糖代謝指標に関する情報の一例である。診断結果登録装置A1に登録される糖代謝指標情報には、各被検者の一般健康診断における診断結果であるHbA1c、空腹時血糖値、食後血糖値、糖負荷後血糖値、平均血糖値、最高血糖値又はTIR(Time in Range)の測定値等が含まれる。背景情報は、被検者の性別、年齢、BMI、食習慣、運動習慣又は健康診断値の何れか一つを含む。健康診断値は、一般健康診断によって測定される診断値であり、例えば、身長、体重、視力、聴力、尿蛋白、尿糖、GOT、GPT、γ―GTP、HDLコレステロール、LDLコレステロール、総コレステロール、中性脂肪、白血球、赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット値、血圧、心拍の波形、胸部X線に関する値又は画像等である。発症情報は、被検者が、所定期間(例えば5年)内に糖尿病、肥満症、認知症、心筋梗塞、脂質異常症等の疾病を発症させたか否か、及び/又は、疾病を発症させるまでの期間を示す。
【0034】
測定装置A2は、一又は複数の被検者の糖代謝指標がリアルタイムに且つ/又は持続的に測定されるとともに各被検者の背景情報及び/又は発症情報が入力され、各被検者の糖代謝指標情報、背景情報及び/又は発症情報が記憶される装置である。測定装置A2は、例えばアボット社製のFreeStyleリブレ等である。測定装置A2に記憶される糖代謝指標情報には、各被検者の糖代謝指標の測定結果であるHbA1c、空腹時血糖値、食後血糖値、糖負荷後血糖値、平均血糖値、最高血糖値又はTIRの測定値等が含まれる。
【0035】
情報入力装置A3は、一又は複数の被検者の糖代謝指標に関するアンケート等による任意の調査結果、背景情報及び/又は発症情報が入力され、各被検者の糖代謝指標情報、背景情報及び/又は発症情報が登録される装置である。情報入力装置A3は、例えば不図示の操作装置を用いて入力された調査票に基づいて、調査結果を特定する。なお、情報入力装置A3は、不図示の撮像装置により調査票が撮像された画像からOCR(Optical character recognition)技術を利用して文字を認識し、調査結果を特定してもよい。情報入力装置A3に登録される糖代謝指標情報には、各被検者の糖代謝指標に関する調査結果である食後高血糖タイプ等が含まれる。食後高血糖タイプは、食後高血糖の分類を特定する情報であり、食後高血糖の状態のカテゴリー又はクラス等である。食後高血糖タイプには、食後の血糖値が上がりやすいタイプであるか否か、及び/又は、食後の血糖値が下がりにくいタイプであるか否か等が含まれる。
【0036】
図2は、端末装置100の概略構成を示す図である。
【0037】
端末装置100は、情報処理装置及び生成装置の一例である。端末装置100は、パーソナルコンピュータ、ノートPC、タブレットPC、多機能携帯電話(いわゆるスマートフォン)等の情報処理装置である。端末装置100は、入力装置101、表示装置102、第1通信装置103、第1記憶装置110及び第1処理装置120等を有する。入力装置101、表示装置102、第1通信装置103、第1記憶装置110及び第1処理装置120は、CPU(Central Processing Unit)バス等を介して相互に接続される。
【0038】
入力装置101は、タッチパネル式の入力デバイス又はキーボード、マウス等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。
【0039】
表示装置102は、出力部の一例である。表示装置102は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0040】
第1通信装置103は、出力部の一例である。第1通信装置103は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信プロトコルに従った有線通信インタフェース回路を有する。第1通信装置103は、イーサネット(登録商標)等の通信規格に従って、ネットワークNと通信接続する。第1通信装置103は、ネットワークNを介してサーバ装置200、診断結果登録装置A1、測定装置A2及び/又は情報入力装置A3等から受信したデータを第1処理装置120に送る。また、第1通信装置103は、第1処理装置120から受け取ったデータを、ネットワークNを介してサーバ装置200、診断結果登録装置A1、測定装置A2及び/又は情報入力装置A3等に送信する。なお、第1通信装置103は、無線信号を送受信するアンテナと、無線LAN等の通信プロトコルに従った無線通信インタフェース回路とを有し、無線LAN等の通信規格に従って、ネットワークNと通信接続してもよい。
【0041】
第1記憶装置110は、記憶部の一例である。第1記憶装置110は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、第1記憶装置110には、端末装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から公知のセットアッププログラム等を用いて第1記憶装置110にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。コンピュータプログラムは、所定のサーバが有する記録媒体に記憶され、ネットワークNを介してインストールされてもよい。
【0042】
第1記憶装置110には、データとして、学習済みモデル111、管理テーブル112等が記憶される。学習済みモデル111は、被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を特定するためのモデルである。学習済みモデル111は、第1処理装置120又はサーバ装置200により生成される。管理テーブル112には、一又は複数の被検者毎に、各被検者に関する情報が記憶される。管理テーブル112の詳細については後述する。
【0043】
第1処理装置120は、予め第1記憶装置110に記憶されているプログラムに基づいて動作する。第1処理装置120は、例えばCPUである。第1処理装置120として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。第1処理装置120は、入力装置101、表示装置102、第1通信装置103及び第1記憶装置110等と接続され、各装置を制御する。第1処理装置120は、学習済みモデル111を生成するとともに、生成した学習済みモデル111を用いて被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を特定する。
【0044】
第1処理装置120は、第1記憶装置110に記憶されたコンピュータプログラムを読み取り、読み取ったコンピュータプログラムに従って動作する。これにより、第1処理装置120は、第1教師データ取得部121、生成部122、被検者情報取得部123、特定部124、出力制御部125、実施記録情報取得部126、判定部127、支援部128、第2教師データ取得部129及び再学習部130として機能する。第1教師データ取得部121は、取得部の一例である。被検者情報取得部123は、取得部及び第1取得部の一例である。第2教師データ取得部129は、第2取得部の一例である。
【0045】
図3は、管理テーブル112のデータ構造の一例を示す模式図である。
【0046】
管理テーブル112には、一又は複数の被検者毎に、各被検者の識別番号(被検者ID)、糖代謝指標情報、背景情報、提案情報、実施記録情報、効果情報及び発症情報等が関連付けて記憶される。
【0047】
第1教師データ取得部121は、第1通信装置103を介して診断結果登録装置A1又は測定装置A2から、各被検者の被検者ID、糖代謝指標情報、背景情報及び/又は発症情報を指定する登録要求信号を受信する。第1教師データ取得部121は、受信した登録要求信号で指定された被検者ID、糖代謝指標情報、背景情報及び/又は発症情報を関連付けて第1記憶装置110に記憶する。第1教師データ取得部121は、登録要求信号で指定された糖代謝指標情報に含まれる診断結果又は測定結果(HbA1c、空腹時血糖値、食後血糖値、糖負荷後血糖値、平均血糖値、最高血糖値又はTIRの測定値)に基づいて、食後高血糖タイプを推定してもよい。例えば、HbA1c、空腹時血糖値、食後血糖値、糖負荷後血糖値、平均血糖値、最高血糖値又はTIRの測定値と、食後高血糖タイプとの対応関係を示す関係式又はテーブルが管理者により予め設定され、第1記憶装置110に記憶される。第1教師データ取得部121は、第1記憶装置110に記憶された関係式又はテーブルを参照し、登録要求信号で指定された糖代謝指標情報に含まれる診断結果又は測定結果に対応する食後高血糖タイプを特定する。
【0048】
または、第1教師データ取得部121は、空腹時血糖値、食後血糖値、糖負荷後血糖値、平均血糖値、最高血糖値又はTIRの測定値が入力された場合に、食後高血糖タイプを出力するように事前学習された学習済みモデルにより、食後高血糖タイプを特定してもよい。この学習済みモデルは、例えばニューラルネットワーク、サポートベクターマシン等の教師あり学習により、各測定値と各測定値に対応する食後高血糖タイプの複数のセットを用いて事前学習され、予め第1記憶装置110に記憶される。第1教師データ取得部121は、登録要求信号で指定された糖代謝指標情報に含まれる診断結果又は測定結果を学習済みモデルに入力し、学習済みモデルから出力された食後高血糖タイプを取得することにより、食後高血糖タイプを特定する。
【0049】
または、第1教師データ取得部121は、第1通信装置103を介して情報入力装置A3から、各被検者の被検者ID、糖代謝指標情報、背景情報及び/又は発症情報を指定する登録要求信号を受信する。第1教師データ取得部121は、受信した登録要求信号で指定された被検者ID、糖代謝指標情報、背景情報及び/又は発症情報を関連付けて第1記憶装置110に記憶する。
【0050】
なお、被検者IDは、登録要求信号で指定されるのでなく、第1教師データ取得部121が登録要求信号を受信したときに第1教師データ取得部121により新たに生成されてもよい。
【0051】
提案情報は、各被検者に対して、各糖代謝指標情報及び背景情報に基づいて提案した食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止の提案内容を示す。提案内容は、例えば所定期間(例えば1週間)において、各被検者が摂取すべき特定保健用食品、機能性表示食品もしくは食事由来の栄養成分及びその摂取量、各被検者が実施すべき運動の種別及びその運動量、並びに/又は、各被検者が取るべき睡眠時間等である。食事由来の栄養成分は、炭水化物、タンパク質、脂質、食物繊維等を含む。運動の種別は、ウォーキング、ジョギング等の有酸素運動、又は、スクワット、腹筋腕立て伏せ、背筋、かかと上げ等のレジスタンス運動を含む。運動量は、回数、時間、歩数等を含む。提案情報は、後述する特定処理において、特定部124により特定されて管理テーブルに設定される。
【0052】
実施記録情報は、被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報の一例である。実施記録情報は、各被検者が提案情報に基づいて実施した食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止の実施記録を示す。実施記録は、例えば所定期間において、各被検者が摂取した特定保健用食品、機能性表示食品もしくは食事由来の栄養成分及びその摂取量、各被検者が実施した運動の種別及びその運動量、並びに/又は、各被検者が取った睡眠時間等である。実施記録情報は、後述する支援処理において、実施記録情報取得部126により特定されて、管理テーブルに設定される。
【0053】
効果情報は、各被検者が、実施記録情報に示されるように食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止を実施したときの食後高血糖の改善効果の度合いを示す。例えば、HbA1c、空腹時血糖値、食後血糖値、糖負荷後血糖値、平均血糖値、最高血糖値又はTIRの変化度合いと、食後高血糖の改善効果の度合いとの対応関係を示す関係式又はテーブルが管理者により予め設定され、第1記憶装置110に記憶される。第1教師データ取得部121は、食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止の実施前後のHbA1c、空腹時血糖値、食後血糖値、糖負荷後血糖値、平均血糖値、最高血糖値又はTIRの平均値の差又は比等をその変化度合いとして算出する。第1教師データ取得部121は、第1記憶装置110に記憶された関係式又はテーブルを参照し、算出した変化度合いに対応する改善効果の度合いを特定し、管理テーブルに記憶する。
【0054】
なお、第1教師データ取得部121は、利用者により、入力装置101又は不図示の情報処理装置を用いて指定された各被検者の被検者ID、糖代謝指標情報、背景情報、提案情報、実施記録情報、効果情報及び/又は発症情報を入力装置101又は第1通信装置103から受信することにより取得し、管理テーブルに記憶してもよい。
【0055】
図4は、サーバ装置200の概略構成を示す図である。
【0056】
サーバ装置200は、生成装置の一例である。サーバ装置200は、第2通信装置201、第2記憶装置210及び第2処理装置220等を有する。第2通信装置201、第2記憶装置210及び第2処理装置220は、CPUバス等を介して相互に接続される。
【0057】
第2通信装置201は、TCP/IP等の通信プロトコルに従った有線通信インタフェース回路を有する。第2通信装置201は、イーサネット(登録商標)等の通信規格に従って、ネットワークNと通信接続する。第2通信装置201は、ネットワークNを介して端末装置100、診断結果登録装置A1、測定装置A2及び/又は情報入力装置A3等から受信したデータを第2処理装置220に送る。第2通信装置201は、第2処理装置220から受け取ったデータを、ネットワークNを介して端末装置100、診断結果登録装置A1、測定装置A2及び/又は情報入力装置A3等に送信する。なお、第2通信装置201は、無線信号を送受信するアンテナと、無線LAN等の通信プロトコルに従った無線通信インタフェース回路とを有し、無線LAN等の通信規格に従って、ネットワークNと通信接続してもよい。
【0058】
第2記憶装置210は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、第2記憶装置210には、サーバ装置200の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、例えばCD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて第2記憶装置210にインストールされてもよい。コンピュータプログラムは、所定のサーバが有する記録媒体に記憶され、ネットワークNを介してインストールされてもよい。
【0059】
第2処理装置220は、予め第2記憶装置210に記憶されているプログラムに基づいて動作する。第2処理装置220は、例えばCPUである。第2処理装置220として、DSP、LSI、ASIC、FPGA等が用いられてもよい。第2処理装置220は、第2通信装置201及び第2記憶装置210等と接続され、各装置を制御する。
【0060】
図5は、端末装置100の学習処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0061】
以下、図5示したフローチャートを参照しつつ、端末装置100の学習処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め第1記憶装置110に記憶されているプログラムに基づき主に第1処理装置120により端末装置100の各要素と協働して実行される。
【0062】
最初に、第1教師データ取得部121は、学習済みモデル111を生成するための教師データを取得する(ステップS101)。教師データには、一又は複数の被検者の糖代謝指標情報、背景情報、実施記録情報、効果情報及び/又は発症情報等が含まれる。即ち、教師データには、所定の糖代謝指標情報及び背景情報と、その糖代謝指標情報及び背景情報に対応する各被検者が実施した食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止の実施記録情報と、その実施記録情報に基づく効果情報とが含まれる。この実施記録情報は、様々な食後高血糖タイプ及び背景情報を有する様々な被験者に対して様々な食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止を実施した場合の実施記録情報である。第1教師データ取得部121は、管理テーブルから、各被検者の糖代謝指標情報、背景情報、実施記録情報、効果情報及び/又は発症情報を読み出し、教師データとして取得する。
【0063】
次に、生成部122は、第1教師データ取得部121が取得した教師データを用いて学習済みモデル111を生成して、第1記憶装置110に記憶し(ステップS102)、一連のステップを終了する。
【0064】
学習済みモデル111は、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン等の教師あり学習により事前学習される。生成部122は、被検者の糖代謝指標情報及び背景情報が入力された場合に、改善効果の度合いが高い効果情報に対応する実施記録情報及び/又はその被検者の疾病発症のリスク情報を出力するように、学習済みモデル111を学習させる。即ち、生成部122は、被検者のHbA1c、空腹時血糖値、食後血糖値、糖負荷後血糖値、平均血糖値、最高血糖値又はTIRの測定値及び背景情報が入力された場合に、改善効果の度合いが高い効果情報に対応する実施記録情報及び/又はリスク情報を出力するように、学習済みモデル111を学習させる。または、生成部122は、被検者の食後高血糖タイプが入力された場合に、改善効果の度合いが高い効果情報に対応する実施記録情報及び/又はリスク情報を出力するように、学習済みモデル111を学習させる。リスク情報は、被検者が、所定期間(例えば5年)内に糖尿病、肥満症、認知症、心筋梗塞、脂質異常症等の疾病を発症させる可能性の度合い、及び/又は、疾病を発症させると推定される期間を示す。
【0065】
このように、生成部122は、糖代謝指標情報及び背景情報が入力された場合に良好な食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力可能な学習済みモデル111を生成する。これにより、情報処理システム1は、学習済みモデル111を用いて、簡易且つ適切に、各被検者の糖代謝指標及び背景に応じた予防、改善及び/又は進展防止を提案することができる。
【0066】
また、学習済みモデル111は、糖代謝指標情報及び背景情報が入力された場合にさらに疾病発症のリスク情報を出力するように学習される。これにより、情報処理システム1は、学習済みモデル111を用いて、簡易且つ適切に、各被検者が糖尿病、肥満症、認知症、心筋梗塞、脂質異常症等の疾病を発生させるリスクを推定することができる。
【0067】
図6は、端末装置100の特定処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0068】
以下、図6に示したフローチャートを参照しつつ、端末装置100の特定処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め第1記憶装置110に記憶されているプログラムに基づき主に第1処理装置120により端末装置100の各要素と協働して実行される。
【0069】
最初に、被検者情報取得部123は、被検者の糖代謝指標情報及び背景情報を取得し、管理テーブルに記憶する(ステップS201)。被検者情報取得部123は、第1通信装置103を介して診断結果登録装置A1又は測定装置A2から、新たな被検者の被検者ID、糖代謝指標情報及び背景情報を受信することにより取得する。この場合、被検者情報取得部123は、第1教師データ取得部121と同様に、受信した糖代謝指標情報に含まれる診断結果又は測定結果(HbA1c、空腹時血糖値、食後血糖値、糖負荷後血糖値、平均血糖値、最高血糖値又はTIRの測定値)に基づいて、食後高血糖タイプを推定してもよい。
【0070】
または、被検者情報取得部123は、第1通信装置103を介して情報入力装置A3から、各被検者の被検者ID、糖代謝指標情報及び背景情報を受信することにより取得する。または、被検者情報取得部123は、利用者により、入力装置101又は不図示の情報処理装置を用いて指定された被検者の被検者ID、糖代謝指標情報及び背景情報を入力装置101又は第1通信装置103から受信することにより取得する。被検者情報取得部123は、取得した被検者ID、糖代謝指標情報及び背景情報を対応付けて管理テーブルに記憶する。なお、被検者情報取得部123は、糖代謝指標情報及び背景情報に加えて、発症情報を取得し、管理テーブルに記憶してもよい。
【0071】
次に、特定部124は、被検者情報取得部123により取得された被検者の糖代謝指標情報及び背景情報を学習済みモデル111に入力し、学習済みモデル111から出力された実施記録情報及びリスク情報を取得(特定)する。特定部124は、取得した実施記録情報に示される食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止の内容をその被検者が実施すべき食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止の内容として特定(判別)する。また、特定部124は、取得したリスク情報に示される度合い又は期間を、その被検者が所定期間内に糖尿病、肥満症、認知症、心筋梗塞、脂質異常症等の疾病を発症させる可能性の度合い又は疾病を発症させると推定される期間として特定(判別)する(ステップS202)。特定部124は、特定した実施記録情報を、提案情報として、被検者の被検者ID、糖代謝指標情報及び背景情報と対応付けて管理テーブルに記憶する。
【0072】
このように、特定部124は、被検者情報取得部123により取得された被検者の糖代謝指標情報及び背景情報を学習済みモデル111に入力することにより、その被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を特定(判別)する。これにより、情報処理システム1は、学習済みモデル111を用いて、簡易且つ適切に、各被検者の糖代謝指標及び背景に応じた予防、改善及び/又は進展防止を提案することができる。
【0073】
また、特定部124は、被検者情報取得部123により取得された被検者の糖代謝指標情報及び背景情報を学習済みモデル111に入力することにより、その被検者の疾病発症のリスク情報を特定する。これにより、情報処理システム1は、学習済みモデル111を用いて、簡易且つ適切に、各被検者が糖尿病、肥満症、認知症、心筋梗塞、脂質異常症等の疾病を発生させるリスクを推定することができる。
【0074】
次に、出力制御部125は、特定部124により特定された実施記録情報(提案情報)及びリスク情報を表示装置102に表示することにより、又は、第1通信装置103を介して他の装置に送信することにより出力し(ステップS203)、一連のステップを終了する。
【0075】
出力制御部125は、特定された実施記録情報に示される特定保健用食品又は機能性表示食品及びその摂取量を、被検者の特定保健用食品又は機能性表示食品の選択方法として出力する。出力制御部125は、特定された実施記録情報に示される特定保健用食品又は機能性表示食品を、被検者の特定保健用食品又は機能性表示食品の摂取量の測定指示として出力してもよい。
【0076】
また、出力制御部125は、特定された実施記録情報に示される食事由来の栄養成分及びその摂取量を、被検者の食事由来の栄養成分の摂取量の目標設定として出力する。出力制御部125は、特定された実施記録情報に示される食事由来の栄養成分を、被検者の食事由来の栄養成分の摂取量の測定指示として出力してもよい。
【0077】
また、出力制御部125は、特定された実施記録情報に示される運動の種別及びその運動量を、被検者の運動量の目標設定として出力する。出力制御部125は、特定された実施記録情報に示される運動の種別を、被検者の運動量の測定指示として出力してもよい。
【0078】
また、出力制御部125は、特定された実施記録情報に示される睡眠時間を、被検者の睡眠時間の目標設定として出力する。目標設定として出力される睡眠時間は、例えば1日あたり6時間以上且つ8時間未満等の予め定められた範囲に制限されてもよい。出力制御部125は、被検者の睡眠時間の測定指示を出力してもよい。
【0079】
これらにより、情報処理システム1は、各被検者の糖代謝指標及び背景に応じた適切な予防、改善及び/又は進展防止を各被検者に提案することができる。
【0080】
図7は、端末装置100の支援処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0081】
以下、図7に示したフローチャートを参照しつつ、端末装置100の支援処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め第1記憶装置110に記憶されているプログラムに基づき主に第1処理装置120により端末装置100の各要素と協働して実行される。
【0082】
最初に、実施記録情報取得部126は、出力制御部125により出力された提案情報、即ち特定部124により特定された提案情報に従って実施された食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止の実施記録情報を取得する(ステップS301)。実施記録情報取得部126は、被検者により、入力装置101又は不図示の情報処理装置を用いて指定された被検者ID及び実施記録情報を入力装置101又は第1通信装置103から受信することにより取得する。情報処理装置は、例えば被検者が所有する多機能携帯電話(いわゆるスマートフォン)等である。実施記録情報取得部126は、管理テーブルに登録されている、取得した被検者IDと対応付けて、取得した実施記録情報を記憶する。
【0083】
なお、実施記録情報取得部126は、被検者により、入力装置101又は情報処理装置を用いて指定された食事メニューの名称を入力装置101又は第1通信装置103から受信し、受信した名称から特定保健用食品、機能性表示食品もしくは食事由来の栄養成分及び/又はその摂取量を特定してもよい。その場合、食事メニューの名称と、特定保健用食品、機能性表示食品もしくは食事由来の栄養成分及び/又はその摂取量との対応関係を示すテーブルが管理者により予め設定され、第1記憶装置110に記憶される。実施記録情報取得部126は、第1記憶装置110に記憶されたテーブルを参照し、受信した食事メニューの名称に対応する特定保健用食品、機能性表示食品もしくは食事由来の栄養成分及び/又はその摂取量を特定する。
【0084】
また、実施記録情報取得部126は、被検者により、不図示の撮像装置又は情報処理装置を用いて撮像された画像を撮像装置又は第1通信装置103から受信し、受信した画像から特定保健用食品、機能性表示食品もしくは食事由来の栄養成分及び/又はその摂取量を特定してもよい。その場合、実施記録情報取得部126は、公知の画像処理技術を利用して、画像に含まれる食品もしくはその食品に含まれる栄養成分及び/又はその摂取量を特定する。または、実施記録情報取得部126は、画像が入力された場合に、入力された画像に含まれる食品もしくはその食品に含まれる栄養成分及び/又はその摂取量を出力するように事前学習された学習済みモデルにより、特定保健用食品、機能性表示食品もしくは食事由来の栄養成分及び/又はその摂取量を特定してもよい。この学習済みモデルは、例えばニューラルネットワーク、サポートベクターマシン等の教師あり学習により、所定の食品が含まれる画像と、その画像に含まれる食品もしくはその食品に含まれる栄養成分及び/又はその摂取量の複数のセットを用いて事前学習され、予め第1記憶装置110に記憶される。第1教師データ取得部121は、受信した画像を学習済みモデルに入力し、学習済みモデルから出力された食品もしくはその食品に含まれる栄養成分及び/又はその摂取量を取得することにより、特定保健用食品、機能性表示食品もしくは食事由来の栄養成分及び/又はその摂取量を特定する。
【0085】
また、実施記録情報取得部126は、被検者により、情報入力装置A3を用いて指定された被検者ID及び実施記録情報を第1通信装置103から受信することにより取得してもよい。その場合、実施記録情報取得部126は、情報入力装置A3の撮像装置を用いて調査票が撮像された画像を受信し、OCR技術を利用して文字を認識し、実施記録情報を特定してもよい。
【0086】
また、実施記録情報取得部126は、不図示の歩数計を用いて測定された歩数を受信することにより運動量として取得してもよい。
【0087】
次に、判定部127は、実施記録情報取得部126により取得された実施記録情報が、図6のステップS203で出力した提案情報に対して予め定められた判定条件を満たすか否かを判定する(ステップS302)。判定条件は、所定の条件の一例である。例えば、判定条件は、取得した実施記録情報に示される各食品の摂取量が、その被検者に対して出力した提案情報に示される各食品の摂取量又はその補正量以上であることに設定される。補正量は、例えば基準値(摂取量)から所定のマージンを加減した値又は所定の係数を乗じた値に設定される。判定条件は、取得した実施記録情報に示される栄養成分の摂取量が、その被検者に対して出力した提案情報に示される栄養成分の摂取量又はその補正量以上であることに設定されてもよい。判定条件は、取得した実施記録情報に示される各運動の運動量が、その被検者に対して出力した提案情報に示される各運動の運動量又はその補正量以上であることに設定されてもよい。判定条件は、取得した実施記録情報に示される睡眠時間が、その被検者に対して出力した提案情報に示される睡眠時間又はその補正量以上であることに設定されてもよい。
【0088】
また、判定条件は、上記の各条件のうち、予め定められた数又は割合の条件を満たすことでもよい。また、判定条件は、提案情報に示される各値(摂取量、運動量、睡眠時間)に対する実施記録情報に示される各値(摂取量、運動量、睡眠時間)の差又は比の統計値(平均値、中央値、最小値、最大値等)が予め定められた閾値以上であることでもよい。
【0089】
次に、判定部127は、判定結果を表示装置102に表示することにより、又は、第1通信装置103を介して他の装置に送信することにより出力する。これにより、情報処理システム1は、被検者に、提案情報に示される提案を適切に実施できているか否かを提示し、食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止を推進させることができる。
【0090】
取得された実施記録情報が判定条件を満たす場合、支援部128は、特に処理を実行せずに、一連のステップを終了する。
【0091】
一方、取得された実施記録情報が判定条件を満たさない場合、支援部128は、支援強化情報を表示装置102に表示することにより、又は、第1通信装置103を介して他の装置に送信することにより出力し(ステップS303)、一連のステップを終了する。例えば、支援部128は、支援強化情報として、各被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止のランキングを出力する。または、支援部128は、支援強化情報として、各被検者の提案情報及び実施記録情報の比較結果を出力してもよい。これにより、情報処理システム1は、被検者に、提案情報に示される提案を実施するためのモチベーションを向上させて、食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止を推進させることができる。
【0092】
図8は、端末装置100の更新処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0093】
以下、図8示したフローチャートを参照しつつ、端末装置100の更新処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め第1記憶装置110に記憶されているプログラムに基づき主に第1処理装置120により端末装置100の各要素と協働して実行される。
【0094】
最初に、第2教師データ取得部129は、第1通信装置103を介して診断結果登録装置A1又は測定装置A2から、各被検者の被検者ID及び食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止の実施後の糖代謝指標情報を受信する。上記したように、HbA1c、空腹時血糖値、食後血糖値、糖負荷後血糖値、平均血糖値、最高血糖値又はTIRの変化度合いと、食後高血糖の改善効果の度合いとの対応関係を示す関係式又はテーブルが予め第1記憶装置110に記憶される。第2教師データ取得部129は、食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止の実施前後のHbA1c、空腹時血糖値、食後血糖値、糖負荷後血糖値、平均血糖値、最高血糖値又はTIRの平均値の差又は比等をその変化度合いとして算出する。第2教師データ取得部129は、第1記憶装置110に記憶された関係式又はテーブルを参照し、算出した変化度合いに対応する改善効果の度合いを特定し、管理テーブルに記憶する(ステップS401)。第2教師データ取得部129は、食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止を実施後の糖代謝指標情報を任意のタイミングで受信し、改善効果の度合いを設定する。
【0095】
次に、第1処理装置120は、図5に示した学習処理を実行し(ステップS402)、一連のステップを終了する。但し、ステップS101において、第2教師データ取得部129が、教師データを取得する。また、ステップS102において、再学習部130が、第2教師データ取得部129が取得した教師データを用いて、第1記憶装置110に記憶された学習済みモデル111を再学習させて、学習済みモデル111を更新する。これにより、情報処理システム1は、各被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止の実施結果に基づいて学習済みモデル111を更新することができ、被検者の食後高血糖の状態をより高精度に特定することができる。
【0096】
以下、本実施形態に係る情報処理システム1による食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止の提案の一例について説明する。以下に示す各被検者は、糖質を約75g含む食事の2時間後の血糖値が140mg/dL以上であり且つ200mg/dL未満である健常者、又は、健康診断におけるHbA1cの測定値が5.6%以上であり且つ6.5%未満である健常者の中から選抜されている。
【0097】
被検者Aは、BMI値が18.4である34歳の男性である。被検者Aの食後高血糖タイプは、食後の血糖値が上がりやすく且つ下がりやすいタイプであった。被検者Aの食後高血糖タイプ及び背景情報を学習済みモデル111に入力することにより、食事由来の栄養成分の摂取量として1日あたりの糖質の摂取量が130g以下となることを提案する提案情報が出力された。被検者Aがその対策を3か月間実施した結果、米飯200g(糖質量目安:70~75g)を摂取した2時間後の血糖値が150mg/dLから135mg/dLに改善された。
【0098】
被検者Bは、BMI値が26.2である52歳の女性である。被検者Bの食後高血糖タイプは、食後の血糖値が上がりにくく且つ下がりにくいタイプであった。被検者Bの食後高血糖タイプ及び背景情報を学習済みモデル111に入力することにより、被検者が実施すべき運動量として有酸素運動について歩数を過去1か月の平均値よりも1日あたり1000歩増大させることを提案する提案情報が出力された。被検者Bがその対策を3か月間実施した結果、米飯200gを摂取した2時間後の血糖値が160mg/dLから162mg/dLに変化(微増)した。被検者Bは、元々食後高血糖の症状を呈しておらず、提案情報に従って対策を実行しても効果が得られなかった。この場合、この実施記録情報と、改善効果の度合いが低いことを示す効果情報とを用いて学習済みモデル111を再学習させることにより、情報処理システム1は、学習済みモデル111が適切な提案情報を出力する精度を向上させることができる。
【0099】
被検者Cは、BMI値が24.2である46歳の男性である。被検者Cの食後高血糖タイプは、食後の血糖値が上がりやすく且つ下がりにくいタイプであった。被検者Cの食後高血糖タイプ及び背景情報を学習済みモデル111に入力することにより、腕立て伏せ又は腹筋を30回実施するレジスタンス運動を週に3回実施すること及び食事とともに血糖値上昇を抑えるペットボトル飲料を摂取することを提案する提案情報が出力された。被検者Aがその対策を3か月間実施した結果、HbA1cの測定値は、5.7%(正常高値)から5.5%(正常域)に低下(改善)した。
【0100】
以上詳述したように、情報処理システム1は、被検者の糖代謝指標情報及び背景情報に基づいて生成された学習済みモデル111を用いて、その被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止を特定する。これにより、情報処理システム1は、食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止をより簡易且つ的確に被検者に提案することが可能となる。
【0101】
また、情報処理システム1は、所定の糖代謝指標情報及び背景情報に対応する被検者が実施した食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止の実施記録情報に基づいて、良好な食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力可能な学習済みモデル111を生成する。これにより、情報処理システム1は、食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止をより簡易且つ的確に被検者に提案することが可能となる。
【0102】
また、情報処理システム1は、所定の糖代謝指標情報及び背景情報に対応する被検者が実施した食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止の実施記録情報に基づいて、食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止に関する情報を出力する学習済みモデル111を再学習させる。これにより、情報処理システム1は、食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止をより簡易且つ的確に被検者に提案することが可能となる。
【0103】
例えば、「Eur Rev Med Pharmacol Sci 2022. 26: 2765-2774. Characteristics of the glycometabolic categories based on the oral glucose tolerance test results in Japanese adults without diabetes(T Uchida, T Teramoto, S Fukizawa, H Kato, Y Nonaka, M Suematsu, N Murayama)」には、経口グルコース負荷試験(OGTT)の結果、血糖値の健康診断値が正常であった健常者のうち、約50%の被検者が、食後高血糖に分類される可能性がある、という実験結果が示されている。血糖値の健康診断値が正常であるにもかかわらず、食後高血糖の症状を呈する可能性がある者については、一般的な健康診断では食後高血糖が発見されない可能性がある。食後高血糖は、糖尿病等の疾病のリスク因子となり、糖尿病発症前の健常な段階から適切な対策を取ることが肝要である。
【0104】
情報処理システム1は、被検者の糖代謝指標情報及び背景情報に基づいて生成された学習済みモデル111を用いて、その被検者の食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止を特定する。これにより、情報処理システム1は、糖尿病又は認知症等の疾病の発症前の健常な段階から、食後高血糖に対する適切な対策を被検者に提案することができる。被検者は、情報処理システム1からの提案に従って、食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止を実施することにより、各疾病の発症を予防することができる。また、情報処理システム1は、多数の被検者に対して、それぞれの被検者の状態に応じた適切な対策を各被検者に提案することができる。これにより、情報処理システム1は、被検者をサポートするための人的リソースを低減させることができる。
【0105】
また、食後高血糖タイプ毎に、特に食後の血糖値が上がりやすいタイプであるか否か及び/又は食後の血糖値が下がりにくいタイプであるか否かにより、その原因と考えられるメカニズム(インスリン分泌低下/抵抗性)に応じた対策が求められる。食後の血糖値変動は、膵臓β細胞から分泌され、肝臓や筋肉等で作用発揮するホルモンであるインスリン等によって制御されるため、食後高血糖の主な原因はインスリンの分泌低下やインスリン抵抗性であると考えられる。
【0106】
食後の血糖値が上がりやすいタイプの原因となる主なメカニズムは、膵臓β細胞からのインスリン分泌低下であり、食後の血糖値が上がりやすいタイプに対する適切な対策は、食事の管理である。食後の血糖値が上がりやすいタイプについては、食後の糖吸収を穏やかにすることで、急激な血糖値上昇を抑制し、膵臓のβ細胞機能を維持することが求められる。
【0107】
食後の血糖値が下がりにくいタイプの原因となる主なメカニズムは、インスリン抵抗性の進展であり、食後の血糖値が下がりにくいタイプに対する適切な対策は、運動や睡眠時間の管理である。食後の血糖値が下がりにくいタイプについては、レジスタンス運動を通じて筋肉量を増やして糖代謝を促進することや、有酸素運動を通じて体重や体脂肪重量を減少させて、インスリン抵抗性を改善することが求められる。
【0108】
情報処理システム1は、被検者の食後高血糖タイプに応じて、食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止を提案することにより、被検者により適した対策を提案することができる。特に、情報処理システム1は、食後の血糖値が上がりやすいタイプであるか否か及び/又は食後の血糖値が下がりにくいタイプであるか否かに応じて、食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止を提案することにより、被検者により適した対策を提案することができる。
【0109】
また、情報処理システム1は、被検者のHbA1c、空腹時血糖値、食後血糖値、糖負荷後血糖値、平均血糖値、最高血糖値又はTIRの測定値に応じて、食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止を提案する場合も、被検者に適した対策を提案することができる。さらに、情報処理システム1は、被検者の背景(性別、年齢、BMI、食習慣、運動習慣又は健康診断値)に応じて、食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止を提案することにより、被検者により適した対策を提案することができる。
【0110】
また、情報処理システム1は、学習済みモデル111を用いることによって、糖代謝指標情報及び背景情報等の様々な種類のパラメータの様々な組み合わせに対する適切な提案情報を高精度に且つ効率よく算出することができる。また、情報処理システム1は、学習モデル111を用いることによって、様々な種類のパラメータの様々な組み合わせについて対応する提案情報を記憶しておくことなく、提案情報を特定できるため、記憶装置の記憶容量を低減させることができる。また、情報処理システム1は、学習モデル111を用いることによって、様々な種類のパラメータの様々な組み合わせに応じた複雑な判定を実行することなく、提案情報を特定できるため、特定処理の処理時間の低減及び処理負荷の低減を図ることができる。
【0111】
なお、図5に示す学習処理及び/又は図8に示す更新処理は、端末装置100でなく、サーバ装置200により実行されてもよい。その場合、サーバ装置200は、第1教師データ取得部121、生成部122、第2教師データ取得部129及び/又は再学習部130と同様の第1教師データ取得部、生成部、第2教師データ取得部及び/又は再学習部を有する。また、サーバ装置200は、第2記憶装置210に管理テーブル112と同様の管理テーブルを記憶する。第2記憶装置210記憶される管理テーブルには、提案情報は記憶されていなくてもよい。生成部及び/又は再学習部は、ステップS102において、生成又は再学習した学習済みモデルを第2記憶装置210に記憶するとともに、第2通信装置201を介して一又は複数の端末装置100に送信する。各端末装置100は、第1通信装置103を介してサーバ装置200から学習済みモデルを受信し、第1記憶装置110に記憶する。
【0112】
この場合、サーバ装置200は、複数の端末装置100のそれぞれから教師データ(各被検者の糖代謝指標情報、背景情報、実施記録情報、効果情報及び/又は発症情報)を取得して学習済みモデルを生成してもよい。これにより、情報処理システム1は、多種多様な教師データを用いて、高精度な学習済みモデルを生成することができる。また、情報処理システム1は、各端末装置100が利用する学習済みモデルをサーバ装置200で一元管理することが可能となり、各端末装置100が利用する学習モデルの精度にばらつきが発生することを抑制することが可能となる。
【0113】
また、端末装置100は、自装置に記憶された学習モデルを用いる代わりに、サーバ装置200に記憶された学習モデルを用いて実施記録情報及びリスク情報を取得してもよい。その場合、図6のステップS201において、被検者情報取得部123は、第1通信装置103を介してサーバ装置200に被検者の糖代謝指標情報及び背景情報を送信する。サーバ装置200の第2処理装置220は、第2通信装置201を介して端末装置100から糖代謝指標情報及び背景情報を受信し、第2記憶装置210に記憶された学習済みモデルに入力し、学習済みモデルから出力された実施記録情報及びリスク情報を取得する。第2処理装置220は、取得した実施記録情報及びリスク情報を、第2通信装置201を介して端末装置100に送信し、特定部124は、実施記録情報及びリスク情報を、第1通信装置103を介してサーバ装置200から受信することにより取得する。
【0114】
端末装置100は、サーバ装置200に記憶された学習済みモデルを利用することにより、サーバ装置200によって更新されている最新の学習済みモデルを用いて被検者へ食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止を提案することができる。また、情報処理システム1は、各端末装置100の記憶容量の低減を図ることできる。一方、端末装置100は、自装置に記憶された学習済みモデル111を利用することにより、サーバ装置200との通信接続が切断されている状態でも被検者へ食後高血糖の予防、改善及び/又は進展防止を提案することができる。また、情報処理システム1は、端末装置100とサーバ装置200の間の通信量の低減を図ることできる。
【0115】
また、情報処理システム1において、複数の端末装置100及び/又は複数のサーバ装置200が協働して、上記した各処理の各ステップを分担してもよい。
【符号の説明】
【0116】
1 情報処理システム、100 端末装置、110 第1記憶装置、111 学習済みモデル、121 第1教師データ取得部、122 生成部、123 被検者情報取得部、124 特定部、125 出力制御部、126 実施記録情報取得部、127 判定部、128 支援部、129 第2教師データ取得部、130 再学習部、200 サーバ装置、210 第2記憶装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8