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特開2024-167629エレベータのドア制御装置及びエレベータのドア開閉プログラム
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  • 特開-エレベータのドア制御装置及びエレベータのドア開閉プログラム 図1
  • 特開-エレベータのドア制御装置及びエレベータのドア開閉プログラム 図2
  • 特開-エレベータのドア制御装置及びエレベータのドア開閉プログラム 図3
  • 特開-エレベータのドア制御装置及びエレベータのドア開閉プログラム 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167629
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】エレベータのドア制御装置及びエレベータのドア開閉プログラム
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/16 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
B66B13/16 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083839
(22)【出願日】2023-05-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】太田 天志
(72)【発明者】
【氏名】廣畑 圭司朗
【テーマコード(参考)】
3F307
【Fターム(参考)】
3F307CB18
3F307EA00
(57)【要約】
【課題】製造及びメンテナンスが容易に行えるエレベータのドア制御装置及びエレベータのドア開閉プログラムを提供する。
【解決手段】各階に設けられた乗場と、該乗場に着床可能なかご1と、乗場の出入り口及びかごの出入り口2に設けられたエレベータドア3を開閉する開閉駆動部4と、を有するエレベータにおける開閉駆動部の駆動を制御するドア制御装置は、エレベータドア3を扉開した状態及び扉閉した状態のうち、少なくとも一方の状態を保持するように開閉駆動部4の駆動を制御する保持モードと、保持モードを有効にする状態と無効にする状態とに切り替える切替部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各階に設けられた乗場と、該乗場に着床可能なかごと、前記乗場の出入り口及び前記かごの出入り口に設けられたエレベータドアを開閉する開閉駆動部と、を有するエレベータにおける前記開閉駆動部の駆動を制御するドア制御装置であって、
前記エレベータドアを扉開した状態及び扉閉した状態のうち、少なくとも一方の状態を保持するように前記開閉駆動部の駆動を制御する保持モードと、前記保持モードを有効にする状態と無効にする状態とに切り替える切替部と、を有することを特徴とするエレベータのドア制御装置。
【請求項2】
前記切替部は、エレベータが前記エレベータドアの扉開した状態及び扉閉した状態のうち、一方の状態を保持する保持機構を有する場合には、前記保持モードを無効にする状態に切り替える一方、前記保持機構を有さない場合には、前記保持モードを有効にする状態に切り替えることを特徴とする請求項1に記載のエレベータのドア制御装置。
【請求項3】
前記エレベータドアの扉開又は扉閉が完了したことを検出する検出手段を備え、前記切替部が前記保持モードを有効とした状態では、前記検出手段が前記エレベータドアの扉開又は扉閉が完了したことを検出した後に、前記開閉駆動部に対して扉開又は扉閉の状態を保持する保持動作を実行するように指示することを特徴とする請求項1又は2に記載のエレベータのドア制御装置。
【請求項4】
各階に設けられた乗場と、該乗場に着床可能なかごと、前記乗場の出入り口及び前記かごの出入り口に設けられたエレベータドアを開閉する開閉駆動部と、を有するエレベータにおける前記開閉駆動部の駆動を制御するドア制御装置を、
前記エレベータドアを扉開した状態及び扉閉した状態のうち、少なくとも一方の状態を保持するように前記開閉駆動部の駆動を制御する保持モードと、前記保持モードを有効にする状態と無効にする状態とに切り替える切替部と、を含む制御装置として動作させるためのエレベータのドア開閉プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗場の出入り口及びかごの出入り口に設けられたエレベータドアの開閉を制御するためのエレベータのドア制御装置及びエレベータのドア開閉プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記エレベータドアは、かごの出入り口を開閉するかごドア及び各階の乗場の出入り口を開閉する乗場ドアを備えている。前記かごドアは、かごに設けられた電動機の駆動により開閉される。また、乗場ドアは、かごドアと係合され、かごドアの開閉に連動して開閉される。
【0003】
前記かごには、かごドアを、全開位置に保持したり、全閉位置に保持したりするための終端保持装置が設けられているものがある。この終端保持装置は、かごドアを開方向又は閉方向に弾性体を用いて機械的に付勢するものである(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
前記終端保持装置が、かごに設けられていないものも存在する。その場合には、かごドアを開閉動作させるモータを、かごドアが全閉位置になっても駆動し続けることによって、かごドアが全閉を保持するように電気的に閉方向に付勢する(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-131729号公報
【特許文献2】特開2023-6947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の機械的に付勢する場合のかごドアの開閉を制御する制御装置と、特許文献2の電気的に付勢する場合のかごドアの開閉を制御する制御装置とを別々に製作しなければならない。しかも、製作した後の更新時等のメンテナンスにおいても、それぞれの制御装置に対して行わなければならず、煩雑になるという不都合があった。
【0007】
そこで本発明は、製造及びメンテナンスが容易に行えるエレベータのドア制御装置及びエレベータのドア開閉プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のエレベータのドア制御装置は、各階に設けられた乗場と、該乗場に着床可能なかごと、前記乗場の出入り口及び前記かごの出入り口に設けられたエレベータドアを開閉する開閉駆動部と、を有するエレベータにおける前記開閉駆動部の駆動を制御するドア制御装置であって、前記エレベータドアを扉開した状態及び扉閉した状態のうち、少なくとも一方の状態を保持するように前記開閉駆動部の駆動を制御する保持モードと、前記保持モードを有効にする状態と無効にする状態とに切り替える切替部と、を有することを特徴としている。
【0009】
本発明によれば、エレベータドアを扉開した状態及び扉閉した状態のうち、少なくとも一方の状態を保持できない場合には、切替部により保持モードを有効にする状態に切り替えて開閉駆動部の駆動を制御することによって、保持モードで前記少なくとも一方の状態を保持する。また、前記少なくとも一方の状態を保持できる場合には、切替部により保持モードを無効にする状態に切り替えて保持モードによる制御を行わない。要するに、共通のドア制御装置の保持モードを有効にする状態と無効にする状態とに切り替えて、保持できる場合と保持できない場合とに対応して少なくとも一方の状態を保持する。
【0010】
また、本発明のエレベータのドア制御装置において、前記切替部は、エレベータが前記エレベータドアの扉開した状態及び扉閉した状態のうち、一方の状態を保持する保持機構を有する場合には、前記保持モードを無効にする状態に切り替える一方、前記保持機構を有さない場合には、前記保持モードを有効にする状態に切り替えてもよい。
【0011】
上記のように、一方の状態を保持する保持機構を有する場合には、保持モードを無効にする状態に切り替えて保持機構により一方の状態を保持することができる。また、一方の状態を保持する保持機構を有さない場合には、保持モードを有効にする状態に切り替えて開閉駆動部の駆動を保持モードで制御することで一方の状態を保持することができる。
【0012】
また、本発明のエレベータのドア制御装置は、前記エレベータドアの扉開又は扉閉が完了したことを検出する検出手段を備え、前記切替部が前記保持モードを有効とした状態では、前記検出手段が前記エレベータドアの扉開又は扉閉が完了したことを検出した後に、前記開閉駆動部に対して扉開又は扉閉の状態を保持する保持動作を実行するように指示してもよい。
【0013】
上記のように、切替部が前記保持モードを有効とした状態では、検出手段がエレベータドアの扉開又は扉閉が完了したことを検出した後に、開閉駆動部に対して扉開又は扉閉の状態を保持する保持動作を実行することによって、保持動作を確実に行うことができる。
【0014】
また、本発明のエレベータのドア開閉プログラムは、各階に設けられた乗場と、該乗場に着床可能なかごと、前記乗場の出入り口及び前記かごの出入り口に設けられたエレベータドアを開閉する開閉駆動部と、を有するエレベータにおける前記開閉駆動部の駆動を制御するドア制御装置を、前記エレベータドアを扉開した状態及び扉閉した状態のうち、少なくとも一方の状態を保持するように前記開閉駆動部の駆動を制御する保持モードと、前記保持モードを有効にする状態と無効にする状態とに切り替える切替部と、を含む制御装置として動作させてもよい。
【0015】
上記のように、エレベータドアを扉開した状態及び扉閉した状態のうち、少なくとも一方の状態を保持できない場合には、扉開閉プログラムが保持モードを有効にする状態に切り替えて開閉駆動部の駆動を制御することによって、前記少なくとも一方の状態を保持する。また、前記少なくとも一方の状態を保持できる場合には、ドア開閉プログラムが保持モードを無効にする状態に切り替えて保持モードによる制御を行わない。要するに、ドア開閉プログラムが保持モードを有効にする状態と無効にする状態とに自動的に切り替えて、保持できる場合と保持できない場合とに対応して少なくとも一方の状態を保持する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、保持モードを有効にする状態と無効にする状態とに切り替える構成にすることによって、製造及びメンテナンスが容易に行えるエレベータのドア制御装置及びエレベータのドア開閉プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のエレベータのドア制御装置を備えたかごを乗場側から見た一部省略した正面図である。
図2図1における要部の拡大図である。
図3】かごドアの開閉制御を示すフローチャートである。
図4】本発明のエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るエレベータのドア制御装置の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
図1には、エレベータが示されている。このエレベータは、各階に設けられた乗場(図示せず)と、乗場に着床可能なかご1と、乗場の出入り口(図示せず)及びかご1の出入り口2に設けられたエレベータドア3を開閉する開閉駆動部4と、を備えている。以下において、かご1の間口方向を左右方向とし、かご1の奥行方向手前側を前側とし、かご1の奥行方向奥側を後側とする。
【0020】
エレベータドア3は、かごの出入り口2を開閉する左右一対のかごドア31,32及び各階の乗場の出入り口(図示せず)を開閉する左右一対の乗場ドア(図示せず)を備えている。図示していないが、前記乗場ドアは、かごドア31,32と係合され、かごドア31,32の開閉に連動して開閉される。
【0021】
この実施形態のかごドア31,32は、かごの出入り口2が左右方向一方の端から開く、いわゆるサイドオープンタイプ(片開き式)であり、2枚のかごドア31,32が同一方向に移動し、一方(図1の右側)のかごドア31が他方(図1の左側)のかごドア32よりも多く(速く)移動する構造となっている。
【0022】
かご1の出入り口2の上方には、かご1の出入り口2の左右方向に沿って延びる縦向きで板状のフレーム5が固定されている。このフレーム5の表面側下部には、かごの出入り口2の左右方向に沿って延びるドアレール6が取り付けられている。このドアレール6には、左右一対のかごドア31,32がドアハンガー7,8を介して吊り下げられている。これらドアハンガー7,8のそれぞれには、ドアレール6に沿って転動する左右一対のローラ9,10が設けられている。
【0023】
また、一方(図1の右側)のかごドア31のドアハンガー7に取り付けられた連結部材11が、後述する駆動ベルト42の下側部分に連結されている。他方(左側)のかごドア32は、後述する減速機構43を介して一方(図1の右側)のかごドア31に連結されている。したがって、後述するモータ41の駆動により駆動ベルト42が循環すると、一方のかごドア31がドアレール6に沿って移動するとともに、減速機構43を介して他方のかごドア32が連動してドアレール6に沿って一方のかごドア31の半分の速度で移動する。
【0024】
開閉駆動部4は、フレーム5の上端の右側部に固定されたモータ41と、モータ41の駆動回転力が伝達される駆動ベルト42と、減速機構43と、を備えている。駆動ベルト42は、同一高さ位置に取り付けられた左右一対のプーリ42a,42bに巻回されている。一方(右側)のプーリ42aが駆動プーリであり、他方(左側)のプーリ42bが従動プーリである。駆動プーリ42aの駆動軸には、駆動プーリ42aよりも大径の大径駆動プーリ42Aが一体回転するように外嵌されている。この大径駆動プーリ42Aとモータ41の駆動軸に一体回転するように外嵌された駆動回転体41Aとの間に伝動ベルト44が巻回されている。したがって、モータ41を駆動することによって、モータ41の回転力が大径駆動プーリ42Aを介して駆動プーリ42aに伝達されて駆動ベルト42が循環する。これにより、かごドア31,32が左右方向に移動してかご1の出入り口2を開閉する。図1は、かご1の出入り口2がかごドア31,32で閉じられた状態を示している。
【0025】
減速機構43は、アーム43Aと、左右一対の減速プーリ43B,43Cと、減速ワイヤ43Dと、ブラケット43Eと、を備えている。アーム43Aは、一方(右側)のかごドア31に取り付けられ、かご1の左右方向に沿って延びている。左右一対の減速プーリ43B,43Cのうちの一方の減速プーリ43Bが、アーム43Aの一端部(右端部)に取り付けられ、他方の減速プーリ43Cがアーム43Aの他端部(左端部)に取り付けられている。減速ワイヤ43Dは、左右一対の減速プーリ43B,43C間に巻回されている。減速ワイヤ43Dの一部は、ブラケット43Eによってフレーム5の正面に固定されている。減速ワイヤ43Dには、一方(右側)のドアハンガー7に取り付けられた連結部材43Fを介して一方(右側)のかごドア31が連結されている。
【0026】
また、エレベータのドア制御装置には、かごドア31,32をドア開(扉開)した状態及びドア閉(扉閉)した状態を保持する機械式の保持機構12を備えている。
【0027】
保持機構12は、図2に示すように、ベース12Aと、ローラ12Bと、レバー12Cと、弾性部12Dと、を備えている。ベース12Aは、一方(右側)のドアハンガー7に固定されている。ローラ12Bは、フレーム5に支持されたガイドレール12Eに回動可能に当接され、かごドア31,32の移動に伴ってガイドレール12E上を走行する。レバー12Cは、ベース12Aに設けられる軸12aに軸支されている。弾性部12Dは、軸12aを支点としてレバー12Cの一端(図2では右端)を下方へ引っ張ることで、レバー12Cの他端に設けられるローラ12Bからガイドレール12Eに向かって押圧力が発生する。ガイドレール12Eの両端部には、傾斜部12F,12G(12Gは図1参照)が設けられ、傾斜部12F,12G間には左右方向に延びる平坦部12Hが設けられている。
【0028】
したがって、ローラ12Bが一方の傾斜部12Fに達すると、ローラ12Bの押圧力が水平方向の分力をもつので、それに対するガイドレール12Eからの反作用が、ローラ12Bから、レバー12C、軸12a、ベース12A、ドアハンガー7と伝わり、かごドア31,32が全閉位置に向けて誘導される。これにより、かごドア31,32をドア閉(全閉)の状態を保持する。また、ローラ12Bが他方の傾斜部12Gに達した時も前記と同様に、かごドア31,32が全開位置に向けて誘導される。これにより、かごドア31,32をドア開(全開)の状態を保持する。
【0029】
また、エレベータのドア制御装置には、図4に示すように、機械式の保持機構12があるか無いかの情報を記憶させる記憶部13と、記憶部13からの情報に基づいて前記保持機構12の有無を判定する判定部14と、かごドア31,32がドア開(扉開)した状態及びドア閉(扉閉)した状態を保持するように開閉駆動部4を構成するモータ41の駆動を制御する保持モード15と、保持モード15を有効にする状態と無効にする状態とに切り替える切替部16と、切替部16で切り替えた切替情報に基づいて保持モード15の有効又は無効を判定する判定部17と、を備えている。モータ41の駆動を制御する保持モード15を電気式保持機能とも言う。
【0030】
ドア制御装置は、前記保持機構12を有する場合には、前記保持モード15を無効にする状態に切替部16で切り替える一方、前記保持機構12を有さない場合には、保持モード15を有効にする状態に切替部16で切り替える。
【0031】
また、ドア制御装置は、かごドア31,32をドア開(扉開)及びドア閉(扉閉)が完了したこと(この実施形態では全開位置及び全閉位置に位置したこと)を検出するドア開検出手段(図示せず)及びドア閉検出手段(図示せず)を備えている。したがって、ドア制御装置は、切替部16が保持モード15を有効とした状態では、ドア開が完了したことをドア開検出手段で検出した後に、開閉駆動部4に対してドア開の状態を保持する保持動作を実行するように指示する。また、ドア制御装置は、切替部16が保持モード15を有効とした状態では、ドア閉が完了したことをドア閉検出手段で検出した後に、開閉駆動部4に対してドア閉の状態を保持する保持動作を実行するように指示する。尚、ドア開又はドア閉が完了したことをドア開検出手段又はドア閉検出手段で検出した後とは、検出すると同時のタイミングであってもよいし、検出してから設定した時間が経過した後のタイミングであってもよい。
【0032】
本発明は、前記エレベータドア3(この実施形態では、かごドア31,32)を開閉する開閉駆動部4の駆動を制御するドア制御装置を、開閉駆動部4の駆動を制御する保持モード15と、保持モード15を有効にする状態と無効にする状態とに切り替える切替部16と、を含む制御装置として動作させるためのエレベータのドア開閉プログラムを備えている。このエレベータのドア開閉プログラムは、保持モード15を有効にする状態と無効にする状態とに切替部16で自動的に切り替えるように動作させるためのプログラムである。
【0033】
コンピュータを用いて前記プログラムを動作させてかごドア31,32の開閉制御を行うことを、図3のフローチャートを用いて説明する。尚、エレベータを構成するかご1には、ドア制御装置を備えており、対象(制御対象)となるドア制御装置に機械式の保持機構12があるか無いかの情報をドア制御装置に備える記憶部13に予め記憶させておくことになる。
【0034】
まず、対象の(制御対象となる)ドア制御装置に機械式の保持機構12があるかどうかをドア制御装置の判定部14(図4参照)が判定する(ステップS1)。具体的には、ドア制御装置は、記憶部13に記憶している情報に基づいて対象のドア制御装置に機械式の保持機構12があるかどうかを判定し、機械式の保持機構12があると判定すると、電気式保持機能(保持モード15)を切替部16で無効に切り替える(ステップS2)。一方、ドア制御装置は、記憶部13に記憶されている情報に基づいて対象のドア制御装置に機械式の保持機構12が無いと判定すると、電気式保持機能(保持モード15)を切替部16で有効に切り替える(ステップS3)。尚、電気式保持機能(保持モード15)で保持する保持時間は、予め所定時間に設定しておく。この所定時間は、設置場所の状況等に応じて変更することができる。
【0035】
続いて、ドア制御装置がドア開信号を受信したかどうかを判定する(ステップS4)。ドア制御装置がドア開信号を受信すると、ドア制御装置は、モータ41を駆動してかごドア31,32の開動作が完了するまで(ステップS6)、かごドア31,32の開動作を実施する(ステップS5)。かごドア31,32の開動作が完了すると、ドア制御装置の判定部17(図4参照)は、電気式保持機能が有効かどうかを判定する(ステップS7)。電気式保持機能が有効と判定されると、保持動作を開始し(ステップS8)、ドア開方向に保持トルクを印加する(ステップS9)。この保持トルクは、開動作が完了するまでのトルクよりも小さいトルクにすることが好ましいが、小さいトルクでは保持できない場合には、同等又は同等以上のトルクにする。ステップS7で電気式保持機能が無効であると判定されると、ステップS4へ戻る。次に、ドア制御装置は、保持トルクの印加後に、かごドア開信号又はかごドア閉信号を受信したかどうかを判定する(ステップS10)。ドア制御装置は、かごドア開信号又はかごドア閉信号を受信すると、前記保持動作を終了する(ステップS12)。ドア制御装置は、かごドア開信号又はかごドア閉信号を受信しない場合には、電気式保持機能の保持時間が予め設定されている所定時間に達したかどうかを判定する(ステップS11)。所定時間に達していない場合には、ステップS9に戻り、所定時間に達した場合には、保持動作を終了し(ステップS12)、ステップS4へ戻る。
【0036】
ステップS4においてドア開信号を受信していない場合には、ステップS13へ移行する。ステップS13では、ドア制御装置が、ドア閉信号を受信したかどうかを判定する。ドア閉信号を受信していない場合には、ステップS4へ戻り、ドア閉信号を受信した場合には、ドア閉動作を実施する。ドア閉動作を実施してから、ドア制御装置は、ドア閉動作が完了したかどうかを判定する(ステップS15)。ドア閉動作が完了したと判定すると、ドア制御装置の判定部17(図4参照)は、電気式保持機能が有効かどうかを判定する(ステップS16)。電気式保持機能が有効ではない、つまり無効であると判定すると、ステップS4へ戻り、電気式保持機能が有効であると判定すると、保持動作を開始し(ステップS17)、ドア閉方向に保持トルクを印加する(ステップS18)。この保持トルクは、閉動作が完了するまでのトルクよりも小さいトルクにすることが好ましいが、小さいトルクでは保持できない場合には、同等又は同等以上のトルクにする。次に、ドア制御装置は、保持トルクの印加後に、かごドア開信号又はかごドア閉信号を受信したかどうかを判定する(ステップS19)。ドア制御装置は、かごドア開信号又はかごドア閉信号を受信すると、前記保持動作を終了する(ステップS12)。ドア制御装置は、かごドア開信号又はかごドア閉信号を受信しない場合には、電気式保持機能の保持時間が予め設定されている所定時間に達したかどうかを判定する(ステップS20)。所定時間に達していない場合には、ステップS18に戻り、所定時間に達した場合には、保持動作を終了し(ステップS12)、ステップS4へ戻る。
【0037】
この実施形態では、記憶部13、判定部14、切替部16を設けているが、設定値を入力することによって、保持モード15の有効又は無効を自動的に切り替えるように構成してもよい。例えば、ある特定の設定値を、保持機構12が有る場合は「1」を入力し、保持機構12が無い場合は「0」を入力しておき、その入力された設定値を読み出し、その読み出した設定値に基づいて保持モード15を有効にする状態と無効にする状態とに自動的に切り替えるプログラムを作成することになる。具体的には、図3のステップS1において、読み出した設定値が「1」の場合は、機械式保持機構が有るとして、保持モード15を無効に切り替える(図3のステップS2)。また、図3のステップS1において、読み出した設定値が「0」の場合は、機械式保持機構が無いとして、保持モード15を有効に切り替える(図3のステップS3)。また、図3のステップS7及びステップS16では、読み出した設定値が「1」の場合は、電気式保持機能(保持モード15)が無効であると認識して、次のステップへ移行する。また、前記読み出した設定値が「0」の場合は、電気式保持機能(保持モード15)が有効であると認識して次のステップへ移行する。前記設定値は、あるアドレスに例えば数値(この実施形態では「1」または「0」)を書き込んで格納されている値のことである。
【0038】
本発明では、機械式の保持機構12を有する場合には、保持モード(電気式保持機能)15を無効にする状態に切替部16で切り替えることで保持機構12によりドア開した状態及びドア閉した状態の少なくとも一方の状態(この実施形態では両方の状態)を保持することができる。また、一方の状態(この実施形態では両方の状態)を保持する保持機構12を有さない場合には、電気的保持機能(保持モード15)を有効にする状態に切り替えて開閉駆動部4の駆動を保持モード15で制御することで一方の状態を保持することができる。
【0039】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではない。
【0040】
前記実施形態では、かごドア31,32が同一方向に移動してかごの出入り口2を開閉する片開き式のドアであったが、異なる方向に移動して出入り口2を開閉する両開き式のドアであってもよい。また、かごドアの枚数は、1枚又は3枚以上の任意の枚数に自由に変更できる。
【0041】
また、前記実施形態では、保持モード15が、エレベータドア3をドア開(扉開)した状態及びドア閉(扉閉)した状態の両方の状態を保持するように開閉駆動部4の駆動を制御するように構成したが、エレベータドア3をドア開した状態及びドア閉した状態のうちのいずれか一方の状態を保持するように開閉駆動部4の駆動を制御するように構成してもよい。
【0042】
また、前記実施形態では、かごドア31,32を開閉駆動部4で駆動し、かごドア31,32と係合された乗場ドアが、かごドア31,32の開閉に連動して開閉されるように構成したが、乗場毎に乗場ドアを開閉するための乗場用の開閉駆動部を設けて、開閉駆動部4で開閉されるかごドア31,32の開閉に連動して乗場ドアが開閉するように乗場用の開閉駆動部の駆動を制御するように構成してもよい。
【0043】
また、前記実施形態では、ドア制御装置に備える記憶部13に、対象のドア制御装置に機械式保持機構があるか無いかの情報を予め記憶させたが、対象のドア制御装置に機械式保持機構があるか無いかを検出する検出手段を備えて、検出手段からの検出情報に基づいて、機械式保持機構があるか無いかをドア制御装置が判定するように構成してもよい。
【0044】
また、前記実施形態では、対象のドア制御装置に機械式保持機構が有る場合には、電気的保持機能(保持モード15)を無効に切り替え、対象のドア制御装置に機械式保持機構が無い場合には、電気的保持機能(保持モード15)を有効に切り替えるように構成したが、機械式保持機構だけではエレベータドア3を保持する保持力が不足する場合、電気的保持機能(保持モード15)を有効にすることで、エレベータドア3を保持する保持力が不足しないように電気的保持機能(保持モード15)で補助してもよい。また、機械式保持機構がオモリを使っている場合、電気的保持機能(保持モード15)を有効にすることで、オモリを無くしたり減らしたりすることができる。
【符号の説明】
【0045】
1…かご、2…出入り口、3…エレベータドア、4…開閉駆動部、5…フレーム、6…ドアレール、7,8…ドアハンガー、9,10…ローラ、11…連結部材、12…保持機構、12A…ベース、12B…ローラ、12C…レバー、12D…弾性部、12E…ガイドレール、12F,12G…傾斜部、12H…平坦部、12a…軸、13…記憶部、14…判定部、15…保持モード、16…切替部、17…判定部、31,32…かごドア、41…モータ、41A…駆動回転体、42…駆動ベルト、42A…大径駆動プーリ、42a,42b…プーリ、43…減速機構、43A…アーム、43B,43C…減速プーリ、43D…減速ワイヤ、43E…ブラケット、43F…連結部材、44…伝動ベルト
図1
図2
図3
図4