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特開2024-167642シート搬送装置及び画像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167642
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】シート搬送装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/38 20060101AFI20241127BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20241127BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241127BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20241127BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241127BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20241127BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
B65H5/38
B65H5/06 P
G03G15/00 463
G03G21/16 120
G03G21/00 530
B41J29/00 B
B41J29/38 350
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083856
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 潔
【テーマコード(参考)】
2C061
2H072
2H171
2H270
3F049
3F101
【Fターム(参考)】
2C061AQ05
2C061AR03
2C061AS02
2C061BB11
2C061BB35
2C061CF08
2C061HJ02
2H072CB01
2H072EA11
2H072JA02
2H072JA04
2H171FA03
2H171FA22
2H171GA11
2H171KA05
2H171KA26
2H171KA29
2H171NA03
2H171SA15
2H270SA09
2H270SB16
2H270SC13
3F049AA01
3F049DA12
3F049DB02
3F049LA01
3F049LB03
3F101FA00
3F101FB08
3F101FC05
3F101FC11
3F101FC16
3F101FE02
3F101FE08
3F101FE22
3F101LA01
3F101LB03
(57)【要約】
【課題】シート搬送路のジャム時やメンテナンス時における作業性を向上する。
【解決手段】フレームの構成部材のうちの2つを連結するピラー15と、搬送されるシートの第1面をガイドする第1ガイド部21と、下搬送ユニットに設けられ、かつ、搬送されるシートの第2面をガイドし、第1ガイド部21との間に、引出方向から視たときにピラー15に対して交差するシート搬送路を形成可能な搬送ガイドユニット8と、を備える。搬送ガイドユニット8は、下搬送ユニットが装着位置に位置するときに、第1ガイド部21に対向してシート搬送路を形成する第1位置と、下搬送ユニットが装着位置に位置するときに、シート搬送路を開放し、かつ、引出方向から視たときにピラー15に対して交差せずに、下搬送ユニットを引出位置に移動可能にする第2位置と、に移動可能である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体に設けられ、複数の構成部材を組み付けて形成された枠体と、
前記枠体の前記構成部材のうちの2つを連結する補強部材と、
前記装置本体に装着された装着位置と、前記装置本体から引出方向に引き出された引出位置と、の間で移動可能に設けられた移動部と、
搬送されるシートの第1面をガイドする第1ガイド部と、
前記移動部に設けられ、かつ、搬送されるシートの前記第1面とは反対の第2面をガイドし、前記第1ガイド部との間に、前記引出方向から視たときに前記補強部材に対して交差するシート搬送路を形成可能な第2ガイド部と、を備え、
前記第2ガイド部は、
前記移動部が前記装着位置に位置するときに、前記第1ガイド部に対向して前記シート搬送路を形成する第1位置と、
前記移動部が前記装着位置に位置するときに、前記シート搬送路を開放し、かつ、前記引出方向から視たときに前記補強部材に対して交差せずに、前記移動部を前記引出位置に移動可能にする第2位置と、に移動可能である、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記第1ガイド部は、
前記装置本体に設けられ、シートの前記第1面をガイドし、かつ、前記引出方向から視たときに前記補強部材に対して交差する位置に配置された第1部材と、
前記第1部材と別体であり、前記移動部に設けられ、シートの前記第1面をガイドし、かつ、前記引出方向から視たときに前記補強部材に対して交差しない位置に配置された第2部材と、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記第1ガイド部は、
前記装置本体に設けられ、シートの前記第1面をガイドする第3部材と、
前記第3部材と別体であり、前記装置本体に設けられ、シートの前記第1面をガイドする第4部材と、
前記第3部材及び前記第4部材と別体であり、前記移動部に設けられ、シートの前記第1面をガイドし、かつ、前記引出方向から視たときに前記補強部材に対して交差しない位置に配置された第5部材と、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記第4部材は、前記引出方向から視たときに前記補強部材に対して交差する位置に配置され、前記引出方向に沿った方向を回転中心線とする支持軸を中心に回転可能に設けられ、
前記シート搬送路を形成する第3位置と、前記シート搬送路を開放する第4位置と、に位置可能であり、
前記第4部材が前記第3位置に位置する場合は、前記引出方向から視たときに、前記第4部材のガイド面形成部の前記第5部材側の第1端部が、前記第5部材のガイド面形成部の前記第4部材側の第2端部に重なり、
前記第4部材が前記第4位置に位置する場合は、前記引出方向から視たときに、前記第4部材の前記第1端部が、前記第5部材の前記第2端部に重ならずに、前記第5部材を前記移動部と共に前記引出位置に移動可能にする、
ことを特徴とする請求項3に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記第1端部及び前記第2端部は、それぞれリブ形状を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記移動部は、前記第2ガイド部の端部に設けられた回動軸を有し、
前記第2ガイド部は、前記回動軸を中心に回動することにより前記第1位置と前記第2位置とに移動する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記回動軸は、前記引出方向に沿った方向を回動中心線とする、
ことを特徴とする請求項6に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
前記シート搬送路は、上下方向に沿って配置され、
前記補強部材は、前記引出方向から視たときに前記シート搬送路に対して水平方向に交差して配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項9】
前記第2ガイド部は、シートに接触して搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラを回転させる駆動源と、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項10】
前記シート搬送路を搬送されるシートを冷却する冷却部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項11】
請求項1に記載の前記シート搬送装置と、
前記シート搬送装置に対してシート搬送方向上流に連結された上流装置と、
前記シート搬送装置に対してシート搬送方向下流に連結された下流装置と、を備え、
前記引出方向は、シート搬送方向及び上下方向に直交する幅方向である、
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項12】
前記シート搬送路は、前記シート搬送装置に搬送されてきたシートを前記上流装置に再び搬送する再搬送路である、
ことを特徴とする請求項11に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置と、これを利用した画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の画像形成装置において、出力されたシートを排出口まで搬送するシート搬送部が用いられる。シート搬送部では、ジャム(紙詰まり)時にシートを容易に取り出せるようにするために、あるいは、シート搬送部のメンテナンスを容易に行えるようにすることが望まれる。このため、画像形成装置のフレームからシート搬送部の一部を前方に引出可能なものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、商業印刷機のシート搬送装置のように、厚紙や長尺紙といった様々なシート種を扱うシート搬送装置は搬送部が大型化し、かつ、高寿命に対応するため堅牢性をもって構成されている。それを支える装置のフレームも補強用の支柱であるピラーを使用して、構造体として強固に構成されている。このため、シート搬送部と共にフレームを構成するピラーが、構造体の面部分に設けられることを余儀なくされる場合がある。
【0004】
加えて、特に商業印刷機ではそれぞれ独立の機能を持つ複数の装置が連結されて構成される場合が多く、メンテナンスのために装置の連結を切り離して装置を移動させてメンテナンス空間をつくることは印刷機のダウンタイムを引き延ばすことになる。したがって、装置の連結を解除しないままメンテナンスできるように、装置の連結側からではなく、装置の正面側からメンテナンス箇所にアクセスすることが望まれる。このため、メンテナンス時にシート搬送部にアクセス容易となるように、シート搬送部を装置の手前側に引き出す構成をとることが重要となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-317940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の画像形成装置では、シートカセットと搬送ユニットとを結ぶ縦方向にシート搬送路の手前側に、水平方向のピラーが配置されている。このため、前側から視てシート搬送路の一部がピラーに重なってしまうため、その部分はシート搬送路を形成するガイド部材を引き出すことができず、ジャム時やメンテナンス時に直接アクセスすることができず、作業性が悪いものとなっている。
【0007】
本発明は、シート搬送路のジャム時やメンテナンス時における作業性を向上できるシート搬送装置及び画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、装置本体と、前記装置本体に設けられ、複数の構成部材を組み付けて形成された枠体と、前記枠体の前記構成部材のうちの2つを連結する補強部材と、前記装置本体に装着された装着位置と、前記装置本体から引出方向に引き出された引出位置と、の間で移動可能に設けられた移動部と、搬送されるシートの第1面をガイドする第1ガイド部と、前記移動部に設けられ、かつ、搬送されるシートの前記第1面とは反対の第2面をガイドし、前記第1ガイド部との間に、前記引出方向から視たときに前記補強部材に対して交差するシート搬送路を形成可能な第2ガイド部と、を備え、前記第2ガイド部は、前記移動部が前記装着位置に位置するときに、前記第1ガイド部に対向して前記シート搬送路を形成する第1位置と、前記移動部が前記装着位置に位置するときに、前記シート搬送路を開放し、かつ、前記引出方向から視たときに前記補強部材に対して交差せずに、前記移動部を前記引出位置に移動可能にする第2位置と、に移動可能であることを特徴とするシート搬送装置である。
【0009】
本発明の他の一態様は、上記のシート搬送装置と、前記シート搬送装置に対してシート搬送方向上流に連結された上流装置と、前記シート搬送装置に対してシート搬送方向下流に連結された下流装置と、を備え、前記引出方向は、シート搬送方向及び上下方向に直交する幅方向であることを特徴とする画像形成システムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シート搬送路のジャム時やメンテナンス時における作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る画像形成システムを示す断面図である。
図2】第1の実施形態に係る冷却モジュールを示す断面図である。
図3】第1の実施形態に係る冷却モジュールの下搬送ユニットが装着位置に位置する状態を示す右側断面図である。
図4】第1の実施形態に係る搬送ガイドユニットが第1位置に位置する状態を示す断面図である。
図5】第1の実施形態に係る搬送ガイドユニットが第2位置に位置する状態を示す断面図である。
図6】第1の実施形態に係る冷却モジュールの下搬送ユニットが引出位置に位置する状態を示す右側断面図である。
図7】第2の実施形態に係る搬送ガイドユニットが第1位置に位置する状態を示す断面図である。
図8】第2の実施形態に係る第1ガイド部を示す側面図である。
図9】第2の実施形態に係る搬送ガイドが第3位置に位置する状態を示す正面図である。
図10】第2の実施形態に係る搬送ガイドユニットが第2位置に位置する状態を示す断面図である。
図11】第2の実施形態に係る搬送ガイドが第4位置に位置する状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態を、図1図6を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、画像形成システムをインクジェット記録システム1に適用した場合について説明している。図1は、インクジェット記録システム1の概略構成の一例を示す模式図である。このインクジェット記録システム1は、反応液とインクとの2液を用いてシートSにインク像を形成する記録物を製造する枚葉式のインクジェット記録システムである。図1に示すように、インクジェット記録システム1は、給送モジュール100、プリントモジュール200、乾燥モジュール300、定着モジュール400、冷却モジュール500、反転モジュール600、排出モジュール700から構成されている。給送モジュール100から供給されるカット紙状のシートSは、搬送経路に沿って搬送され、各モジュールで処理がなされ、排出モジュール700で排出される。
【0013】
シート給送装置の一例である給送モジュール100は、シートSを収容する3つの収納庫110a,110b,110cを有している。各収納庫110a,110b,110cは、装置正面側へ引き出し可能な構成になっている。シートSは、各収納庫110a,110b,110cにおいて不図示の分離ベルトおよび搬送ローラにより1枚ずつ給送され、プリントモジュール200へ搬送される。なお、収納庫110a,110b,110cは3つであることに限定はされず、1つや2つ、あるいは4つ以上を有する構成であってもよい。
【0014】
画像形成装置の一例であるプリントモジュール200は、不図示の作像前レジ補正部、プリントベルトユニット220、記録部230を有している。給送モジュール100から搬送されたシートSは、作像前レジ補正部によりシートの傾きや位置が補正されプリントベルトユニット220へ搬送される。記録部230は、搬送経路に対し、プリントベルトユニット220と対向する位置に配置されている。記録部230は、搬送されるシートSに対して上方から記録ヘッドによりシートS上に記録処理(印字)を行なって画像を形成するシート処理部である。記録ヘッドは搬送方向に沿って複数並べられている。本実施形態では、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の4色に加えて、反応液に対応した計5つのライン型記録ヘッドを有している。なお、色数および記録ヘッドの数は5つに限定はされない。インクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。各色のインクは、不図示のインクタンクからそれぞれインクチューブを介して記録ヘッドに供給される。記録部230で印字されたシートSは、プリントベルトユニット220により吸着搬送されることにより、記録ヘッドとのクリアランスを確保しつつ搬送される。記録部230で印字されたシートSは、記録部のシート搬送方向下流側に配置された不図示のインラインスキャナによりシートSに形成された画像のズレや色濃度が検出される。検出結果は印刷画像の補正に利用される。
【0015】
乾燥モジュール300は、デカップリング部320、乾燥ベルトユニット330、温風吹付部340を有しており、プリントモジュール200の記録部230でシートS上に付与されたインクに含まれる液体分を減少させ、シートSとインクの定着性を高める。プリントモジュール200の記録部230で印字されたシートSは、乾燥モジュール300のシート搬送方向上流側に配置されたデカップリング部320に搬送される。デカップリング部320では、上方から風圧とベルトの摩擦でシートSを搬送することができ、ベルト上のシートSを弱く保持して搬送することで、インク像を形成するプリントベルトユニット220上のシートSのズレを防ぐ。乾燥ベルトユニット330はベルトの下方に、温風吹付部340はベルトの上方に、ベルトを挟んで対向して配置されている。デカップリング部320から搬送されたシートSは、乾燥ベルトユニット330にて吸着搬送されると同時に、温風吹付部340から熱風を受けてインク付与面が乾燥される。なお、乾燥方式は熱風を付与する方式の他に、電磁波(紫外線や赤外線など)をシートSの表面に照射する方式や、発熱体の接触による伝導伝熱方式を組み合わせて構成してもよい。
【0016】
定着モジュール400は、定着ベルトユニット410を有している。定着ベルトユニット410は上ベルトユニットと下ベルトユニットとを有しており、乾燥モジュール300から搬送されたシートSを、加熱した上ベルトユニットと下ベルトユニットの間を通過させることで、インクをシートSに定着させることができる。
【0017】
冷却モジュール500は、冷却部510を複数有しており、定着モジュール400からシート搬送路を搬送された高温のシートSを冷却する。冷却部510は、外気をファンで冷却ボックス内に取り込んで、冷却ボックス内の圧力を高め、搬送ガイドに形成されたノズルから噴き出す風をシートSに当てることにより、シートSを冷却するように構成されている。冷却部510は、搬送経路に対し上側と下側の両方に配置され、シートSを両面から冷却する。
【0018】
また、冷却モジュール500は搬送経路切替部を有しており、シートSを反転モジュール600に搬送する場合と、両面印刷時に使用する両面搬送経路に搬送する場合とに応じて、シートSの搬送経路を切り替えることができる。両面印刷時には、シートSは冷却モジュール500の下部の搬送経路に搬送される。この場合、冷却モジュール500から、定着モジュール400、乾燥モジュール300、プリントモジュール200、給送モジュール100の両面搬送経路に沿って更に搬送される。定着モジュール400の両面搬送経路には、シートSの表裏を反転させる第1反転部420が設けられている。そして、再度、給送モジュール100から、プリントモジュール200の作像前レジ補正部、プリントベルトユニット220、記録部230へ搬送され、記録部230で印字される。
【0019】
ここで、定着モジュール400は、上流装置の一例であり、冷却モジュール500に対してシート搬送方向上流に連結されている。反転モジュール600は、下流装置の一例であり、冷却モジュール500に対してシート搬送方向下流に連結されている。
【0020】
反転モジュール600は第2反転部640を有し、搬送されるシートSの表裏を反転させることができ、排出されるシートSの表裏向きを変更することができる。排出モジュール700は、トップトレイ720と積載部750を有し、反転モジュール600から搬送されたシートSを整列積載する。
【0021】
[冷却モジュール]
次に、冷却モジュール500の構成について、図2及び図3を用いて説明する。冷却モジュール500は、シート搬送装置の一例であり、装置本体501と、装置本体501に設けられ、複数の構成部材を組み付けて形成された枠体であるフレーム1aとを有している。冷却モジュール500のフレーム1aは、底板11、右フレーム12、左フレーム13,後フレーム14、ピラー15とを有している。これら底板11、右フレーム12、左フレーム13,後フレーム14は、フレーム1aの構成部材に相当する。ピラー15は、フレーム1aの前側において右フレーム12と左フレーム13を水平方向に連結し、フレーム1aの剛性を保持する。即ち、ピラー15は、補強部材の一例であり、フレーム1aの構成部材のうちの2つを連結している。シート搬送路は、水平な上搬送路2、縦上搬送路3、縦下搬送路4、水平な下搬送路5を有している。上搬送路2と縦上搬送路3との分岐部には、切替部6が配置され、回動支点7を中心にして揺動可能となっている。切替部6により、シートSを上搬送路2から水平に搬送して反転モジュール600へ搬送するか、下方に搬送して、縦上搬送路3、縦下搬送路4、下搬送路5を経て定着モジュール400へ搬送するかを切り替えるようになっている。即ち、縦上搬送路3、縦下搬送路4、下搬送路5は、冷却モジュール500に搬送されてきたシートを定着モジュール400に再び搬送する再搬送路(両面搬送経路)である。
【0022】
上搬送路2には、搬送ローラ対111と冷却部510とがそれぞれ複数設けられ、シートSを冷却しながら搬送できるようになっている。同様に、下搬送路5にも搬送ローラ対112と冷却部510とが複数設けられ、シートSを冷却しながら搬送できるようになっている。縦上搬送路3及び縦下搬送路4は、いずれも垂直なシート搬送路であり、ピラー15を境に上下に分かれている。縦上搬送路3には、搬送ローラ対121が設けられ、縦下搬送路4には、搬送ローラ対122、123、124が設けられ、上搬送路2からの分岐から下搬送路5へシートSを搬送できるようになっている。各搬送ローラ対121、122、123、124は、駆動ローラ121b、122b、123b、124bと従動ローラ121a、122a、123a、124aとを有している。
【0023】
冷却モジュール500の下部には、縦下搬送路4と下搬送路5を支持する下搬送ユニット16が設けられている。下搬送ユニット16は、スライドレール25、26によりフレーム1aに取り付けられており、フレーム1aに収容された位置と、フレーム1aから手前に引き出した位置とに移動可能になっている。
【0024】
図3は、冷却モジュール500を右側から視た断面図である。搬送ローラ対111の後方には、搬送ローラ対111を回転駆動するように連結されたモータ111mが配置されている。同様に、搬送ローラ対112の後方には、搬送ローラ対112を回転駆動するように連結されたモータ112mが配置されている。また、駆動ローラ121b、122b、123b、124bの後方には、駆動ローラ121b、122b、123b、124bを回転駆動するように連結されたモータ121m、122m、123m、124mが配置されている。
【0025】
下搬送ユニット16は、スライドレール25、26に対してスライドすることにより、フレーム1aから前方に引き出しされる。これにより、下搬送ユニット16に搭載された縦下搬送路4と搬送ローラ対121、122、123、124、モータ121m、122m、123m、124m、下搬送路5と複数の搬送ローラ対112とモータ112mもフレーム1aの前側へ引き出される。即ち、下搬送ユニット16は、移動部の一例であり、装置本体501に装着された装着位置(図3参照)と、装置本体501から引出方向D1に引き出された引出位置(図6参照)と、の間で移動可能に設けられている。尚、引出方向D1は、シート搬送方向及び上下方向に直交する幅方向であり、本実施形態では例えば操作パネルなどが設置される前方である。
【0026】
[搬送路]
次に、図4及び図5を用いて、縦上搬送路3と縦下搬送路4の連結部31について説明する。図4は、搬送ガイドユニット8が第1位置に位置して、縦上搬送路3と縦下搬送路4とが連結された状態を示す正面図である。ピラー15は、フレーム1aの前方において縦上搬送路3と縦下搬送路4の連結部31に交差する。本実施形態では、シート搬送路の一例である縦上搬送路3と縦下搬送路4との連結部31は、上下方向に沿って配置され、ピラー15は、引出方向D1から視たときに連結部31に対して水平方向に交差して配置されている。
【0027】
縦上搬送路3と縦下搬送路4とは、第1ガイド部21と、第2ガイド部の一例である搬送ガイドユニット8の搬送ガイド9とにより形成される。第1ガイド部21は、搬送されるシートの第1面、例えば印字面をガイドする。搬送ガイドユニット8の搬送ガイド9は、搬送されるシートの第1面とは反対の第2面、例えば裏面をガイドする。搬送ガイドユニット8は、第1ガイド部21との間に、引出方向D1から視たときにピラー15に対して交差するシート搬送路の連結部31を形成可能である。
【0028】
第1ガイド部21は、搬送ガイド19、17を有している。搬送ガイド19は、第1部材の一例であり、装置本体501に設けられ、シートの第1面をガイドし、かつ、引出方向D1から視たときにピラー15に対して交差する位置に配置されている。搬送ガイド17は、第2部材の一例であり、搬送ガイド19と別体であり、下搬送ユニット16に設けられ、シートの第1面をガイドし、かつ、引出方向D1から視たときにピラー15に対して交差しない位置に配置されている。
【0029】
縦上搬送路3は、搬送ガイド19、20及び縦下搬送路4から延びる搬送ガイド9で構成される。搬送ガイド19には従動ローラ121aが配置され、搬送ガイド9には従動ローラ121aと対になる駆動ローラ121bが配置されている。縦下搬送路4は、搬送ガイド17、搬送ガイド18、そして縦上搬送路3へ延びる搬送ガイド9で構成される。搬送ガイド17には従動ローラ122a、123aが配置され、搬送ガイド18には従動ローラ123aと対になる駆動ローラ123bが配置されている。
【0030】
搬送ガイド9には、従動ローラ122aと対になる駆動ローラ122bと、駆動ローラ121bが配置され、搬送ガイドユニット8としてユニット化されている。搬送ガイドユニット8は、シートに接触して搬送する搬送ローラの一例である駆動ローラ121b、122bと、駆動ローラ121b、122bを回転させる駆動源の一例であるモータ121m、122mとを有する。したがって、搬送ガイド9が回動するのに伴い、駆動ローラ121b、122bやモータ121m、122mも回動する。下搬送ユニット16は、搬送ガイドユニット8の端部に設けられた回動軸10を有する。搬送ガイドユニット8は、回動軸10を中心に回動することにより、第1位置と第2位置とに移動する。この回動軸10は、引出方向D1に沿った方向を回動中心線とする。搬送ガイド9は、例えば手動で回動可能であるが、電動で回動可能としてもよい。
【0031】
図5は、搬送ガイドユニット8を回動させて第2位置に位置させた状態を示す正面図である。搬送ガイドユニット8はピラー15と交差しない位置まで回動し、縦下搬送路4の構成部品がピラー15と交差しない状態となる。この状態において、下搬送ユニット16を引き出すことができるようになる。図6は、図5の状態で下搬送ユニット16をスライドレール25、26によりスライドさせてフレーム1aの前方に引き出した状態を示す右側から視た断面図である。これにより、開放された連結部31や各モータ121m、122m、123m、124m、112mがフレーム1aの前方に引き出されてアクセス可能となる。
【0032】
このように、搬送ガイドユニット8は、回動により図4に示す第1位置と、図5に示す第2位置とに移動可能である。第1位置は、下搬送ユニット16が装着位置に位置するときに、搬送ガイド9が第1ガイド部21に対向してシート搬送路を形成する位置である。第2位置は、下搬送ユニット16が装着位置に位置するときに、シート搬送路を開放し、かつ、引出方向D1から視たときにピラー15に対して交差せずに、下搬送ユニット16を引出位置に移動可能にする位置である。
【0033】
上述したように、本実施形態の冷却モジュール500によれば、搬送ガイドユニット8は、回動により図4に示す第1位置と、図5に示す第2位置とに移動可能である。このため、ピラー15に重なるシート搬送路の部分であってもガイド部材を引き出すことができるようになるので、ジャム時やメンテナンス時に直接アクセスすることができ、作業性を向上することができる。即ち、フレーム1aの構造体として必要な箇所にピラー15を設けることができるようになり、かつ、装置本体501に内蔵されるシート搬送部を引き出すことができる。これにより、インクジェット記録システム1の各モジュールの連結を解除することなく、メンテナンスを要する箇所にアクセスが可能になる。
【0034】
尚、上述した実施形態では、搬送ガイドユニット8を、回動軸10を中心に回動させることで第1位置と第2位置とに移動させる場合について説明したが、これには限られない。例えば、搬送ガイドユニット8を、ピラー15を避けるように、例えば図4中の右斜め下方向に回転せずに移動するようにしてもよい。
【0035】
また、上述した実施形態では、第1ガイド部21の一部が下搬送ユニット16と共に引き出される構成である場合について説明したが、これには限られず、第1ガイド部21は全て下搬送ユニット16とは別に設けられるようにしてもよい。この場合、下搬送ユニット16を引き出した場合でも、第1ガイド部21は装置本体501に残留するようになる。
【0036】
また、上述した実施形態では、ピラー15が水平で、シート搬送路が上下方向に沿っている場合について説明したが、これには限られない。例えば、シート搬送路が水平で、ピラーが縦に設けられた場合でも、本発明を適用することができる。
【0037】
また、上述した実施形態では、シート搬送装置を冷却モジュール500に適用した場合について説明したが、これには限られず、他のモジュールに適用してもよい。あるいは、1つの装置本体のみを有するプリンタなどの画像形成装置に適用してもよい。
【0038】
また、上述した実施形態では、画像形成システムをインクジェット記録方式のインクジェット記録システム1に適用した場合について説明したが、これには限られず電子写真方式の画像形成装置に適用してもよい。
【0039】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態を、図7図11を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、第1ガイド部22が3つのガイド部材を有している点で、第1の実施形態と構成を異にしている。但し、それ以外の構成については、第1の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明を省略する。
【0040】
図7は、縦上搬送路3と縦下搬送路4の連結部31を示す正面図である。縦上搬送路3は、搬送ガイド29、20、28及び縦下搬送路4から延びる搬送ガイド9で構成される。搬送ガイド28は、支持軸30を中心に回動可能になっている。搬送ガイド29には従動ローラ121aが配置され、搬送ガイド9には従動ローラ121aと対になる駆動ローラ121bが配置されている。搬送ガイド28は、例えば手動で回動可能であるが、電動で回動可能としてもよい。
【0041】
縦下搬送路4は、搬送ガイド27、搬送ガイド18、そして縦上搬送路へ延びる搬送ガイド9とで構成される。搬送ガイド27には従動ローラ122a、123aが配置され、搬送ガイド18には従動ローラ123aと対になる駆動ローラ123bが配置されている。搬送ガイド9には従動ローラ122aと対になる駆動ローラ122bと、駆動ローラ121bとが配置され、搬送ガイドユニット8としてユニット化されている。
【0042】
本実施形態では、シートの第1面をガイドする第1ガイド部22は、それぞれシートの第1面をガイドする搬送ガイド29、28、27を有している。搬送ガイド29は、第3部材の一例であり、装置本体501に設けられている。搬送ガイド28は、第4部材の一例であり、搬送ガイド29と別体であり、装置本体501に設けられている。搬送ガイド27は、第5部材の一例であり、搬送ガイド29、28と別体であり、下搬送ユニット16に設けられ、かつ、引出方向D1から視たときにピラー15に対して交差しない位置に配置されている。
【0043】
ここで、搬送ガイド29、28、27の形状について説明する。図8に示すように、搬送ガイド29には搬送リブ29aがシート幅方向に複数設けられ、搬送ガイド28には搬送リブ28aがシート幅方向に複数設けられ、搬送ガイド27には搬送リブ27aがシート幅方向に複数設けられている。これら搬送リブ29a、28a、27aは、ガイド面形成部の一例である。搬送ガイド29と搬送ガイド28の搬送方向の接続部分では、搬送リブ29aと搬送リブ28aがシート幅方向で交互に配置されるようになっている。搬送ガイド28と搬送ガイド27の搬送方向の接続部分では、搬送リブ28aと搬送リブ27aがシート幅方向で交互に配置されるようになっている。このように、搬送ガイド同士の搬送方向の接続部分において、搬送リブがシート幅方向で交互に配置される関係となっている。これにより、図9に示すように、搬送ガイド同士の隙間やつなぎ目を無くすことで、シートSの先端が搬送ガイドのつなぎ目で引っ掛かってしまうことを抑制できる。
【0044】
図11は、搬送ガイド28を回動させた状態を示す図で、搬送ガイド29と搬送ガイド27の連結が完全に解かれている。搬送ガイドユニット8はピラー15と交差しない位置まで回動し、縦下搬送路4の構成部品がピラー15と交差しない状態となる。この状態にすると、第1の実施形態と同様に、下搬送ユニット16をフレーム1aの前方に引き出せるようになり、下搬送ユニット16の奥側に配置されたモータにアクセスできるようになる。
【0045】
即ち、搬送ガイド28は、引出方向D1から視たときにピラー15に対して交差する位置に配置され、引出方向D1に沿った方向を回転中心線とする支持軸30を中心に回転可能に設けられている。搬送ガイド28は、シート搬送路を形成する第3位置(図7図9参照)と、シート搬送路を開放する第4位置(図10図11参照)とに位置可能である。図9に示すように、搬送ガイド28が第3位置に位置する場合、引出方向D1から視て、搬送ガイド28の搬送リブ28aの搬送ガイド27側(第5部材側)の第1端部28bが、搬送ガイド27の搬送リブ27aの搬送ガイド28側の第2端部27bに重なる。図11に示すように、搬送ガイド28が第4位置に位置する場合は、引出方向D1から視たときに、搬送ガイド28の第1端部28bが、搬送ガイド27の第2端部27bに重ならずに、搬送ガイド27を下搬送ユニット16と共に前出位置に移動可能にする。尚、第1端部28bと第2端部27bとは、それぞれリブ形状を有している。
【0046】
上述したように、本実施形態の冷却モジュール500によれば、搬送ガイドユニット8は、回動により第1位置と、第2位置とに移動可能である。また、搬送ガイド28は第3位置と第4位置とに移動可能である。このため、ピラー15に重なるシート搬送路の部分であってもガイド部材を引き出すことができるようになるので、ジャム時やメンテナンス時に直接アクセスすることができ、作業性を向上することができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、搬送ガイド28が第3位置に位置するとき、搬送ガイド同士の隙間やつなぎ目を無くすことができるので、シートSの先端が搬送ガイドのつなぎ目で引っ掛かってしまうことを抑制できる。
【符号の説明】
【0048】
1…インクジェット記録システム(画像形成システム)、1a…フレーム(枠体)、8…搬送ガイドユニット(第2ガイド部)、10…回動軸、11…底板(構成部材)、12…右フレーム(構成部材)、13…左フレーム(構成部材)、14…後フレーム(構成部材)、15…ピラー(補強部材)、16…下搬送ユニット(移動部)、17…搬送ガイド(第2部材)、19…搬送ガイド(第1部材)、21…第1ガイド部、22…第1ガイド部、27…搬送ガイド(第5部材)、27a…搬送リブ(ガイド面形成部)、27b…第2端部、28…搬送ガイド(第4部材)、28a…搬送リブ(ガイド面形成部)、28b…第1端部、29…搬送ガイド(第3部材)、29a…搬送リブ(ガイド面形成部)、121b…駆動ローラ(搬送ローラ)、121m…モータ(駆動源)、122b…駆動ローラ(搬送ローラ)、122m…モータ(駆動源)、400…定着モジュール(上流装置)、500…冷却モジュール(シート搬送装置)、501…装置本体、510…冷却部、600…反転モジュール(下流装置)、D1…引出方向
図1
図2
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図6
図7
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図10
図11