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特開2024-167652印刷部材の個体管理システム及び個体管理方法並びに個体管理タグ付きの印刷機マスク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167652
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】印刷部材の個体管理システム及び個体管理方法並びに個体管理タグ付きの印刷機マスク
(51)【国際特許分類】
   B41F 33/00 20060101AFI20241127BHJP
   B41F 15/08 20060101ALI20241127BHJP
   B41N 1/24 20060101ALI20241127BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
B41F33/00 200
B41F15/08 303E
B41N1/24
H05K3/34 505D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083873
(22)【出願日】2023-05-22
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 賢志
【テーマコード(参考)】
2C035
2C250
2H114
5E319
【Fターム(参考)】
2C035AA06
2C035FD01
2C035FD42
2C250EA11
2H114AB02
2H114AB08
5E319AA03
5E319AA07
5E319AB05
5E319BB05
5E319CC33
5E319CD26
5E319CD35
5E319GG15
(57)【要約】
【課題】印刷部材の個体管理を適正に行うための技術を提供する。
【解決手段】印刷部材60の個体管理システムは、個体管理タグ70と、印刷部材60と、書込装置と、読出装置と、を備える。個体管理タグ70は、生産ジョブごとの個体管理情報を記録可能な記録部71を有する。印刷部材60は、個体管理タグ70を着脱可能に保持する保持部63を有する。書込装置は、記録部71に生産ジョブごとの個体管理情報を書き込む。読出装置は、記録部71から生産ジョブごとの個体管理情報を読み出す。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産ジョブごとの個体管理情報を記録可能な記録部を有する個体管理タグと、
前記個体管理タグを着脱可能に保持する保持部を有する印刷部材と、
前記記録部に生産ジョブごとの前記個体管理情報を書き込む書込装置と、
前記記録部から生産ジョブごとの前記個体管理情報を読み出す読出装置と、
を備えた、印刷部材の個体管理システム。
【請求項2】
前記記録部に記録された前記個体管理情報を生産ジョブ実施前かつ前記個体管理タグの取付後に読み出して複数種の前記印刷部材の組み合わせ情報を作成するとともに、前記記録部に記録された前記個体管理情報を生産ジョブ完了後かつ前記個体管理タグの取外後に読み出して前記組み合わせ情報を解除する制御装置をさらに備えた、請求項1に記載の印刷部材の個体管理システム。
【請求項3】
前記個体管理タグは、前記保持部に保持可能な大きさのブロック状に形成された個体管理タグブロックである、請求項2に記載の印刷部材の個体管理システム。
【請求項4】
前記印刷部材は、枠体にマスク本体を支持させた構造の印刷機マスクであり、
前記保持部は、前記枠体に設けられた保持凹部であり、
前記個体管理タグブロックは、少なくとも一部が挿入されることで前記保持凹部に着脱可能に保持される、請求項3に記載の印刷部材の個体管理システム。
【請求項5】
前記個体管理タグブロックは、前記保持凹部に磁着される、請求項4に記載の印刷部材の個体管理システム。
【請求項6】
前記記録部は、生産ジョブごとの前記個体管理情報に係るバーコードが印刷されたシールであり、
前記読出装置は、前記シールの前記バーコードに含まれる前記個体管理情報を光学的に読み出すバーコードリーダ装置である、請求項1~5のいずれか1項に記載の印刷部材の個体管理システム。
【請求項7】
前記記録部は、生産ジョブごとの前記個体管理情報が記録されたRFタグであり、
前記読出装置は、前記RFタグとの無線通信により前記個体管理情報を読み出すRFIDリーダ装置である、請求項1~5のいずれか1項に記載の印刷部材の個体管理システム。
【請求項8】
個体管理タグの記録部に、生産ジョブごとの個体管理情報を書き込む情報書込ステップと、
生産ジョブごとの前記個体管理情報が前記記録部に書き込まれた前記個体管理タグを、印刷部材の保持部に着脱可能に保持させるタグ保持ステップと、
前記記録部に記録された前記個体管理情報を生産ジョブ実施前かつ前記個体管理タグの取付後に読み出す読み出しステップと、
を含む、印刷部材の個体管理方法。
【請求項9】
保持部を有する印刷機マスクと、
生産ジョブごとの個体管理情報を記録可能な記録部を有する個体管理タグと、
を備え、前記保持部に前記個体管理タグが着脱可能に保持されている、個体管理タグ付きの印刷機マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、印刷部材の個体管理システム及び方法並びに個体管理タグ付きの印刷機マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回路基板の生産に用いる装置として、基板にはんだペーストを印刷する印刷機がよく知られている。この種の印刷機では、印刷部材の個体管理が行われる。例えば、印刷機に用いる印刷部材のセットアップ(組み合わせ)が、所定の生産ジョブごとに適切であるか否かを管理するようにしている。このような個体管理を行うために、個体管理情報を記録するバーコードを印刷したバーコード付きシールが複数の印刷部材のそれぞれに貼り付けられている。この種の従来技術としては、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-108569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、印刷作業を行うと、印刷作業によって印刷部材に汚れが付着してゆくため、汚れを除去するためのメンテナンス作業が必要となる。例えば、印刷部材の一種であるマスクには印刷作業によってはんだが付着してゆくため、付着したはんだを除去するためにマスクを洗浄する必要がある。しかしながら、従来のバーコード付きシールにより個体管理情報を管理する技術では、マスク洗浄時にマスクからシールが剥がれることがあり、その場合には剥がれたシールを再び貼り付ける必要がある。また、マスク洗浄時にシールが剥がれたことに気付かず、後でマスクを使用するときにはじめてシールがないことに気付いた場合には、剥がれたシールを探して貼り付けるか、あるいはバーコード付きシールを新たに作製して貼り付ける必要があり、非常に煩雑な作業となる。また、作業ミスによってシールの貼り間違いが生じる可能性があり、その場合にはマスクが誤って別の生産ジョブに使用されることが起こり得る。そこで本明細書は、印刷部材の個体管理を適正に行うための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、印刷部材の個体管理システムを開示する。この個体管理システムは、個体管理タグと、印刷部材と、書込装置と、読出装置と、を備える。個体管理タグは、生産ジョブごとの個体管理情報を記録可能な記録部を有する。印刷部材は、個体管理タグを着脱可能に保持する保持部を有する。書込装置は、記録部に生産ジョブごとの個体管理情報を書き込む。読出装置は、記録部から生産ジョブごとの個体管理情報を読み出す。上述した構成によると、例えば、印刷部材の洗浄前に個体管理タグを印刷部材から取り外すことにより、洗浄時において、個体管理タグからの記録部の脱落を防ぐことができる。また、洗浄後は、取り外した個体管理タグが印刷部材に再び取付けられ、読取装置によって個体管理タグの記憶部から個体管理情報を読み出すことができる。このため、個体管理タグを保持する印刷部材が誤って別の生産ジョブに使用されることを防ぐことができる。よって、印刷部材の個体管理を適正に行うことができる。
【0006】
また、本明細書は、印刷部材の個体管理方法を開示する。この個体管理方法は、情報書込ステップと、タグ保持ステップと、読み出しステップと、を含む。情報書込ステップでは、個体管理タグの記録部に、生産ジョブごとの個体管理情報を書き込む。タグ保持ステップでは、生産ジョブごとの個体管理情報が記録部に書き込まれた個体管理タグを、印刷部材の保持部に着脱可能に保持させる。読み出しステップでは、記録部に記録された個体管理情報を生産ジョブ実施前かつ個体管理タグの取付後に読み出す。さらに本明細書は、印刷機マスクと、個体管理タグと、を備える個体管理タグ付きの印刷機マスクを開示する。印刷機マスクは保持部を有する。個体管理タグは、生産ジョブごとの個体管理情報を記録可能な記録部を有する。保持部には個体管理タグが着脱可能に保持されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例の印刷機を示す側面図である。
図2】印刷機マスクを示す斜視図である。
図3】印刷機マスクの個体管理システムの電気的構成を示すブロック図である。
図4】情報書込ステップを示す説明図である。
図5】タグ保持ステップを示す説明図である。
図6】読み出しステップを示す説明図である。
図7】印刷機マスクから個体管理タグブロックを取り外した状態を示す説明図である。
図8】取外後の個体管理タグブロックから個体管理情報を読み出す状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(形態1)本明細書に開示する部品実装機では、記録部に記録された個体管理情報を生産ジョブ実施前かつ個体管理タグの取付後に読み出して複数種の印刷部材の組み合わせ情報を作成するとともに、記録部に記録された個体管理情報を生産ジョブ完了後かつ個体管理タグの取外後に読み出して組み合わせ情報を解除する制御装置をさらに備えていてもよい。このような構成によると、生産ジョブ毎に、適切な印刷部材が使用されるように印刷部材の個別管理情報を管理することができる。
(形態2)本明細書に開示する部品実装機では、個体管理タグは、保持部に保持可能な大きさのブロック状に形成された個体管理タグブロックであってもよい。このような構成によると、個体管理タグとしてブロック状の個体管理タグブロックを用いることで、作業者による個体管理タグの取扱いを容易にすることができる。
(形態3)本明細書に開示する部品実装機では、印刷部材は、枠体にマスク本体を支持させた構造の印刷機マスクであってもよい。保持部は、枠体に設けられた保持凹部であり、個体管理タグブロックは、少なくとも一部が挿入されることで保持凹部に着脱可能に保持されてもよい。このような構成によると、印刷マスクの個体管理を適切に行うことができる。
(形態4)本明細書に開示する部品実装機では、個体管理タグブロックは、保持凹部に磁着されてもよい。このような構成によると、個体管理タグブロックを保持凹部に容易に着脱することができる。
(形態5)本明細書に開示する部品実装機では、記録部は、生産ジョブごとの個体管理情報に係るバーコードが印刷されたシールであってもよい。読出装置は、シールのバーコードに含まれる個体管理情報を光学的に読み出すバーコードリーダ装置であってもよい。このような構成によると、記憶部への個体管理情報の書き込みと、記憶部からの個体管理情報の読み出しを容易に行うことができる。
(形態6)本明細書に開示する部品実装機では、記録部は、生産ジョブごとの個体管理情報が記録されたRFタグであってもよい。読出装置は、RFタグとの無線通信により個体管理情報を読み出すRFIDリーダ装置であってもよい。このような構成によっても、記憶部への個体管理情報の書き込みと、記憶部からの個体管理情報の読み出しを容易に行うことができる。
【0009】
(実施例)
以下、本実施例の印刷部材の個体管理システムについて図面を参照して説明する。図1に示すように、印刷機10は、基板1にはんだペーストを印刷して、部品装着機(図示省略)に搬送する装置である。印刷機10は、箱状をなすケース11内に、基板搬送装置12、基板保持装置13、スキージユニット20、スキージ駆動装置30及びはんだ供給装置40などを有している。基板搬送装置12は、基板1をX軸方向(図1の紙面手前方向)に搬送する。基板保持装置13は、基板搬送装置12の上側に設けられ、上面に基板1を保持する。また、印刷機10は、ケース11外にモニタ14及び制御装置50を有している。モニタ14は、印刷機10の設定状態や作業状態を表示するとともに、スイッチ(図示省略)等の操作を介して各種の入力を受け付ける装置である。
【0010】
ケース11内には一対の支持台15が設けられている。両支持台15上には、印刷機マスク60(印刷部材の一例)が架け渡されるように配置されている。図1図2に示すように、印刷機マスク60は、矩形枠状の枠体61に矩形板状のマスク本体62を支持させた構造を有している。マスク本体62は、基板1の印刷パターン(図示省略)に対応する複数のパターン孔(図示省略)を有している。なお、基板保持装置13の上面に配置された基板1は、印刷機マスク60の下面に当接する。この状態において、印刷機10は、パターン孔を介してはんだペーストを基板1に印刷する。
【0011】
また、印刷機マスク60における枠体61の側面(外周面)には、側面視矩形状をなす保持凹部63(保持部)が設けられている(図5図7参照)。保持凹部63には、個体管理タグブロック70(個体管理タグ)が着脱可能に保持されている。即ち、本実施例の印刷機マスク60は、個体管理タグブロック70付きの印刷機マスクである。なお、個体管理タグブロック70は、保持凹部63に保持可能な大きさのブロック状に形成されている。個体管理タグブロック70は、その一部が挿入されることで保持凹部63に着脱可能に保持される。詳細には、個体管理タグブロック70は、保持凹部63に磁着されている。本実施例では、個体管理タグブロック70の全体が鉄やニッケルなどの磁性体からなり、枠体61における保持凹部63の底部に永久磁石が埋設されている。なお、個体管理タグブロック70の一部のみが磁性体からなっていてもよい。また、個体管理タグブロック70が永久磁石からなるとともに、枠体61における保持凹部63の底部に磁性体が埋設されていてもよい。
【0012】
また、個体管理タグブロック70の前面には、シール71(記録部)が貼付されている。シール71は、個体管理タグブロック70を保持凹部63に取り付けた際に、作業者から見える位置に貼付されている。シール71には、生産ジョブごとの個体管理情報に係るバーコード72が印刷されることにより、個体管理情報が記録可能となる。なお、本実施例の個体管理情報は、印刷機マスク60を識別するための識別情報である。また、本実施例のバーコード72は、一次元バーコード(一般的なJANコード)である。
【0013】
図1に示すように、スキージユニット20は、ユニット本体21と、ユニット本体21の前側(図1では左側)に設けられた第1スキージ22(印刷部材の一例)と、ユニット本体21の後側(図1では右側)に設けられた第2スキージ23(印刷部材の一例)とを備えている。また、スキージユニット20は、第1角度調整装置24、第1昇降装置25、第2角度調整装置26及び第2昇降装置27を備えている。第1角度調整装置24は、第1スキージ22の先端を印刷機マスク60の表面に押し当てる角度を調整する。第1昇降装置25は、第1スキージ22を昇降させるとともに、第1スキージ22を印刷機マスク60に押し当てる圧力を調整する。第2角度調整装置26は、第2スキージ23の先端を印刷機マスク60の表面に押し当てる角度を調整する。第2昇降装置27は、第2スキージ23を昇降させるとともに、第2スキージ23を印刷機マスク60に押し当てる圧力を調整する。
【0014】
スキージ駆動装置30は、スキージユニット20を印刷機10の前後方向(Y軸方向)に移動させる装置である。スキージ駆動装置30は、ガイドレール31、送りねじ32及びサーボモータ33を備えている。ガイドレール31は、印刷機10の前後方向に延びており、スキージユニット20をY軸方向に摺動可能に支持している。送りねじ32は、印刷機10の前後方向に延びており、ガイドレール31に対して平行に配置されている。サーボモータ33は、送りねじ32を介してスキージユニット20に接続されている。サーボモータ33は、送りねじ32を回転させることにより、スキージユニット20をガイドレール31に沿って移動させる。
【0015】
はんだ供給装置40は、スキージユニット20のユニット本体21に取り付けられている。はんだ供給装置40は、ペースト保管容器41(印刷部材)及びノズル42を備えている。はんだ供給装置40は、ペースト保管容器41内のはんだペーストを、ノズル42から印刷機マスク60の表面に供給する。
【0016】
図3に示すように、印刷機マスク60の個体管理システム80は制御装置50を備えている。制御装置50は、CPU51、RAM52、ROM53、HDD54及び入出力インターフェース55等により構成されたコンピュータからなる。なお、ROM53には、基板1にはんだペーストを供給するための基本プログラムが格納されている。
【0017】
制御装置50には、基板搬送装置12、基板保持装置13、モニタ14、第1角度調整装置24、第1昇降装置25、第2角度調整装置26、第2昇降装置27、スキージ駆動装置30及びはんだ供給装置40が接続されている。さらに、制御装置50には、書込装置であるバーコードプリンタ装置81(図4参照)と、読出装置であるバーコードリーダ装置82(図6図8参照)とが接続されている。バーコードプリンタ装置81は、個体管理タグブロック70に貼付されるシール71に生産ジョブごとの個体管理情報(バーコード72)を書き込むための装置である。バーコードリーダ装置82は、シール71のバーコード72に含まれる個体管理情報を光学的に読み出す装置である。
【0018】
次に、印刷機マスク60の個体管理方法を説明する。
【0019】
まず、生産ジョブを作成(セットアップ名を決定)し、生産ジョブを制御装置50に伝送する。次に、制御装置50は、今回の作業の案内をモニタ14に表示させる制御を行う。そして、情報書込ステップにおいて、制御装置50は、バーコードプリンタ装置81を駆動し、シール71に対してバーコード72を印刷する。そして、作業者は、バーコード72が印刷されたシール71を個体管理タグブロック70に貼付する(図4参照)。さらに、作業者は、タグ保持ステップを行い、個体管理タグブロック70を、印刷機マスク60の保持凹部63に着脱可能に保持させる(図5参照)。
【0020】
続く読み出しステップにおいて、作業者は、個体管理タグブロック70に貼付されたシール71のバーコード72を、バーコードリーダ装置82でスキャンする(図6参照)。これにより、制御装置50は、シール71に記録された個体管理情報を、個体管理タグブロック70の取付後であって生産ジョブ実施前に読み出す。そして、制御装置50は、印刷機マスク60の組み合わせ情報を作成する。具体的に言うと、制御装置50は、個体管理タグブロック70のバーコード72に含まれる識別情報と印刷機マスク60の種別を示す情報とを組み合わせた情報を、組み合わせ情報として作成する。
【0021】
その後、生産ジョブを実施する。生産ジョブにおいて、まず、作業者は、個体管理タグブロック70が取り付けられた印刷機マスク60を、印刷機10内の一対の支持台15上に載置する(図1参照)。そして、制御装置50は、基板搬送装置12を駆動して、基板保持装置13に保持された基板1を印刷機マスク60の下側に搬送する。次に、制御装置50は、基板保持装置13を上昇させて、基板1の上面を印刷機マスク60の下面に当接させる。
【0022】
次に、制御装置50は、スキージ駆動装置30のサーボモータ33を駆動して、印刷機マスク60上にスキージユニット20を移動させる。さらに、制御装置50は、はんだ供給装置40を駆動して、ペースト保管容器41のノズル42から印刷機マスク60上にはんだペーストを吐出させる。また、制御装置50は、スキージユニット20の昇降装置(例えば第1昇降装置25)を駆動してスキージ(例えば第1スキージ22)を下降させ、スキージを印刷機マスク60の上面に当接させる。さらに、制御装置50は、サーボモータ33を駆動してスキージを前後方向(図1では左右方向)に移動させることにより、はんだペーストがパターン孔を介して基板1上に印刷される。その後、制御装置50は、基板搬送装置12を駆動して、基板保持装置13及び基板1を印刷機10外に搬出することにより、生産ジョブが完了する。
【0023】
印刷作業の終了後であって印刷機マスク60を洗浄する場合は、作業者は、印刷機マスク60の保持凹部63から個体管理タグブロック70を取り外す(図7参照)。本実施例では、個体管理タグブロック70を保持凹部63に磁着させる磁力よりも強い磁力を有する永久磁石を用いて、個体管理タグブロック70の取り外しを行う。そして、作業者は、取外後の個体管理タグブロック70に貼付されたシール71のバーコード72を、バーコードリーダ装置82でスキャンする(図8参照)。これにより、制御装置50は、シール71に記録された個体管理情報を、生産ジョブ完了後かつ個体管理タグブロック70の取外後に読み出し、組み合わせ情報を解除する。そして、制御装置50は、次の作業の案内をモニタ14に表示させる制御を行う。
【0024】
その後、作業者は、印刷機マスク60を洗浄し、印刷機マスク60に付着したはんだを除去する。そして、作業者は、洗浄した印刷機マスク60をマスク保管棚(図示省略)に戻す。なお、作業者は、取外後の個体管理タグブロック70からシール71を剥してもよい。
【0025】
以上説明したように、本実施例の印刷機マスク60の個体管理システム80では、個体管理タグブロック70が印刷機マスク60の保持凹部63に着脱可能に保持されている。このため、印刷機マスク60の洗浄前に個体管理タグブロック70を取り外すことにより、洗浄時にシール71が洗浄液に晒されたり、洗浄器具で擦られたりすることがなくなる。よって、個体管理タグブロック70からのシール71の剥がれを防ぐことができる。また、個体管理タグブロック70のシール71には、生産ジョブごとの個体管理情報が記録されている。このため、個体管理タグブロック70を保持する印刷機マスク60が誤って別の生産ジョブに使用されることを防ぐことができる。よって、印刷機マスク60の個体管理を適正に行うことができる。
【0026】
本実施例の個体管理システム80では、識別情報(バーコード72)付きの個体管理タグブロック70が印刷機マスク60に着脱可能である。このため、印刷機マスク60に対して単にシール71のみを貼付する場合よりは、個体管理情報を確実に印刷機マスク60に保持させることができる。
【0027】
以上、実施例について説明したが具体的な態様は上記実施例に限定されるものではない。上記の実施例では、個体管理タグは、保持凹部63に保持可能な大きさのブロック状に形成された個体管理タグブロック70としたが、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例では、個体管理タグは、ブロック状以外の形状(例えば板状や棒状など)に形成されていてもよい。
【0028】
上記の実施例では、個体管理タグブロック70は、一部が保持凹部63内に挿入されることで保持凹部63に着脱可能に保持されていたが、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例では、個体管理タグブロック70は、全体が保持凹部63内に挿入されることで保持凹部63に着脱可能に保持されていてもよい。あるいは、個体管理タグブロック70は保持凹部63内に挿入されていなくてもよく、凹状でない保持部に対して着脱可能に保持されていてもよい。
【0029】
上記の実施例では、個体管理タグブロック70を保持するための保持凹部63は、印刷機マスク60における枠体61の側面に設けられていたが、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例では、保持凹部63は、印刷機マスク60における枠体61の上面または下面に設けられていてもよい。保持凹部63を枠体61の上面に形成した場合、シール71は、個体管理タグブロック70の上面に貼付されてもよい。このようにすれば、バーコード72が上方を向くため、印刷機マスク60の上方に設けたカメラで読み込むことも可能になる。また、保持凹部63を枠体61の下面に形成した場合、シール71は、個体管理タグブロック70の下面に貼付されてもよい。
【0030】
上記の実施例では、個体管理タグブロック70が保持凹部63に磁着されるものとしたが、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例では、個体管理タグブロック70が保持凹部63に対して係着されるものであってもよく、吸着されるものであってもよい。
【0031】
上記の実施例では、記録部が、バーコード72(一次元バーコード)が印刷されたシール71であったが、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例では、記録部は一次元バーコード以外のバーコード、例えば、QRコードなどの二次元バーコードが印刷されたシールであってもよい。また、バーコード72は印刷以外の方法でシール71に付されていてもよい。さらには、記録部はシール71でなくてもよく、例えば、生産ジョブごとの個体管理情報が記録された電子ペーパーなどであってもよい。
【0032】
上記の実施例では、記録部が、バーコード72が印刷されたシール71であり、読出装置がバーコードリーダ装置82であったが、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例では、記録部は、生産ジョブごとの個体管理情報が記録されたRFタグであってもよい。この場合、読出装置は、RFタグとの無線通信により個体管理情報を読み出すRFIDリーダ装置であってもよい。
【0033】
上記の実施例では、個体管理タグブロック70を着脱可能に保持する保持凹部63を有する印刷部材が、印刷機マスク60であったが、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例では、印刷部材は、印刷機10に着脱可能に装備されるスキージ22,23やペースト保管容器41などであってもよい。
【0034】
上記の実施例では、スキージユニット20が2つのスキージ22,23を備えていたが、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例では、スキージユニット20が、スキージを1つのみ備えていてもよいし、3つ以上のスキージを備えていてもよい。
【0035】
上記の実施例では、はんだ供給装置40が、はんだペーストを印刷機マスク60の表面に供給していたが、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例では、はんだ供給装置40を省略し、作業者が手作業によりはんだペーストを印刷機マスク60の表面に供給してもよい。
【0036】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0037】
22: 印刷部材としての第1スキージ
23: 印刷部材としての第2スキージ
41: 印刷部材としてのペースト保管容器
50: 制御装置
60: 印刷部材としての印刷機マスク
61: 枠体
62: マスク本体
63: 保持部としての保持凹部
70: 個体管理タグとしての個体管理タグブロック
71: 記録部としてのシール
72: バーコード
80: 印刷部材の個体管理システム
81: 書込装置としてのバーコードプリンタ装置
82: 読出装置としてのバーコードリーダ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8