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特開2024-167653ダイ部品供給装置及びダイ部品供給方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167653
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】ダイ部品供給装置及びダイ部品供給方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/67 20060101AFI20241127BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20241127BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
H01L21/68 E
H01L21/78 Y
H01L21/52 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083876
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 友則
【テーマコード(参考)】
5F047
5F063
5F131
【Fターム(参考)】
5F047FA02
5F047FA08
5F047FA73
5F047FA74
5F047FA75
5F047FA83
5F063AA29
5F063AA48
5F063DD69
5F063DD75
5F063DD86
5F063DD87
5F063EE21
5F131AA04
5F131BA52
5F131BA53
5F131BA54
5F131CA32
5F131DA03
5F131DA22
5F131DB22
5F131EC74
5F131EC75
5F131KA14
5F131KA43
5F131KA51
5F131KB32
(57)【要約】
【課題】不要な吸着前画像処理を無くすことで生産効率を向上する。
【解決手段】ダイ部品供給装置は、吸着ノズルと、撮像装置と、画像処理装置と、テンプレートマップ読出手段と、範囲指定案内手段と、決定手段と、を備える。画像処理装置は、撮像装置によりダイ部品D1を撮像した結果に基づいて吸着前画像処理を行う。テンプレートマップ読出手段は、ウェハからピックアップするダイ部品D1の配置位置の情報をマップ化したテンプレートマップを読み出す。範囲指定案内手段は、読み出されたテンプレートマップで指定されたテンプレート範囲A1よりも狭い狭小範囲A2の指定を促す。決定手段は、狭小範囲A2が指定された場合に、当該狭小範囲A2内に限り吸着前画像処理を行うことと、当該吸着前画像処理に基づくダイ部品D1の吸着処理を行うことを決定する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイシングされたウェハからダイ部品を吸着する吸着ノズルと、
前記ダイ部品を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置により前記ダイ部品を撮像した結果に基づいて吸着前画像処理を行う画像処理装置と、
前記ウェハからピックアップする前記ダイ部品の配置位置の情報をマップ化したテンプレートマップを読み出すテンプレートマップ読出手段と、
読み出された前記テンプレートマップで指定されたテンプレート範囲よりも狭い狭小範囲の指定を促す範囲指定案内手段と、
前記狭小範囲が指定された場合に、当該狭小範囲内に限り前記吸着前画像処理を行うことと、当該吸着前画像処理に基づく前記ダイ部品の吸着処理を行うことを決定する決定手段と、
を備えた、ダイ部品供給装置。
【請求項2】
前記ダイシングされたウェハが貼着されたシートが供給されるウェハテーブルをさらに備えており、
前記吸着ノズルは、前記ウェハテーブルに供給された前記シートから前記ダイ部品を吸着し、
前記テンプレート範囲よりも狭いダイ部品配置範囲に前記ウェハが貼着された状態の前記シートが前記ウェハテーブルに供給される場合において、前記狭小範囲は、前記ダイ部品配置範囲又は前記ダイ部品配置範囲よりも狭い範囲である、請求項1に記載のダイ部品供給装置。
【請求項3】
前記ダイシングされたウェハが貼着されたシートが供給されるウェハテーブルをさらに備えており、
前記吸着ノズルは、前記ウェハテーブルに供給された前記シートから前記ダイ部品を吸着し、
前記ウェハテーブルに供給された前記シートに前記ダイ部品が残存している場合において、前記狭小範囲は、前記ダイ部品が残存する実部品範囲又は前記実部品範囲よりも狭い範囲である、請求項1に記載のダイ部品供給装置。
【請求項4】
前記範囲指定案内手段は、前記テンプレート範囲及び前記ダイ部品配置範囲の少なくとも一つを表示画面に表示する表示装置を含む、請求項2に記載のダイ部品供給装置。
【請求項5】
前記範囲指定案内手段は、前記テンプレート範囲及び前記実部品範囲の少なくとも一つを表示画面に表示する表示装置を含む、請求項3に記載のダイ部品供給装置。
【請求項6】
前記狭小範囲の指定は、前記表示画面上で矩形状の領域を規定することにより行われる、請求項4又は5に記載のダイ部品供給装置。
【請求項7】
前記狭小範囲の指定は、前記表示画面上で任意の2点を選択して矩形状の領域を規定することにより行われる、請求項7に記載のダイ部品供給装置。
【請求項8】
前記狭小範囲の指定は、前記表示画面上で任意の2点を選択して矩形状の領域を規定した後、前記矩形状の領域から不要な範囲を除去することにより行われる、請求項4又は5に記載のダイ部品供給装置。
【請求項9】
ダイシングされたウェハからピックアップするダイ部品の配置位置の情報をマップ化したテンプレートマップを読み出すテンプレートマップ読出ステップと、
読み出された前記テンプレートマップで指定されたテンプレート範囲よりも狭い狭小範囲の指定を促す範囲指定案内ステップと、
前記狭小範囲が指定された場合に、当該狭小範囲内に限り、前記ダイ部品の撮像結果に基づく吸着前画像処理と、当該吸着前画像処理に基づく吸着ノズルによる前記ダイ部品の吸着処理と、を行うことを決定する決定ステップと、
を含む、ダイ部品供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、ダイ部品供給装置及びダイ部品供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回路基板の生産時に基板にダイ部品を供給するダイ部品供給装置がよく知られている。ダイ部品供給装置は、一般的に、吸着ノズル、撮像装置、画像処理装置、テンプレートマップ読出手段などを備えている。吸着ノズルは、ダイシングされたウェハからダイ部品を吸着する。撮像装置は、テンプレートマップ読出手段が読み出したテンプレートマップを参照して、所定範囲内のダイ部品を撮像する。画像処理装置は、撮像装置によりダイ部品を撮像した結果に基づいて吸着前画像処理を行い、ダイ部品の良品不良品の判定を行う。この種の技術としては、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-36028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ダイ部品供給装置では、ウェハからピックアップするダイ部品の配置位置に関する情報をマップ化したテンプレートマップが、供給されるウェハに共通で使用される。しかしながら、実際に供給されるウェハにおいてダイ部品が存在している範囲が、テンプレートマップで指定されたテンプレート範囲と異なることがある。例えば、テンプレートマップに対してウェハの大きさ(面積)が小さい場合は、テンプレート範囲よりも狭い範囲にダイ部品が存在する。あるいは、使用途中のウェハからダイ部品を供給する場合も、テンプレート範囲よりも狭い範囲にダイ部品が存在する。このような場合、テンプレートマップで指定されたテンプレート範囲内に実際にはダイ部品が無いにも関わらず、余分な吸着前画像処理が行われてしまう。これによって、生産効率が悪くなるという問題がある。本明細書は、ウェハからダイ部品を吸着する範囲を個別に指定可能とすることで生産効率を向上するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、ダイ部品供給装置を開示する。ダイ部品供給装置は、吸着ノズルと、撮像装置と、画像処理装置と、テンプレートマップ読出手段と、範囲指定案内手段と、決定手段と、を備える。吸着ノズルは、ダイシングされたウェハからダイ部品を吸着する。撮像装置は、ダイ部品を撮像する。画像処理装置は、撮像装置によりダイ部品を撮像した結果に基づいて吸着前画像処理を行う。テンプレートマップ読出手段は、ウェハからピックアップするダイ部品の配置位置の情報をマップ化したテンプレートマップを読み出す。範囲指定案内手段は、読み出されたテンプレートマップで指定されたテンプレート範囲よりも狭い狭小範囲の指定を促す。決定手段は、狭小範囲が指定された場合に、当該狭小範囲内に限り吸着前画像処理を行うことと、当該吸着前画像処理に基づくダイ部品の吸着処理を行うことを決定する。上述した構成によると、テンプレートマップで指定されたテンプレート範囲より狭い狭小範囲を指定することで、余分な吸着前画像処理が行われることを回避でき、生産効率を向上させることができる。
【0006】
また、本明細書は、ダイ部品供給方法を開示する。ダイ部品供給方法は、テンプレートマップ読出ステップと、範囲指定案内ステップと、決定ステップと、を含む。テンプレートマップ読出ステップでは、ダイシングされたウェハからピックアップするダイ部品の配置位置の情報をマップ化したテンプレートマップを読み出す。範囲指定案内ステップでは、読み出されたテンプレートマップで指定されたテンプレート範囲よりも狭い狭小範囲の指定を促す。決定ステップでは、狭小範囲が指定された場合に、当該狭小範囲内に限り、ダイ部品の撮像結果に基づく吸着前画像処理と、当該吸着前画像処理に基づく吸着ノズルによるダイ部品の吸着処理と、を行うことを決定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例のダイ部品供給装置を備えた部品装着機を示す斜視図である。
図2】ダイ部品が突き上げピンに突き上げられるときの状態を示す断面図である。
図3】ウェハを示す平面図である。
図4】部品装着機の電気的構成を示すブロック図である。
図5】テンプレートマップを示す説明図である。
図6】表示装置の表示画面を示す正面図である。
図7】狭小範囲が指定された表示画面を示す正面図である。
図8】ダイ供給処理を示すフローチャートである。
図9】ダイ供給処理を示すフローチャートである。
図10】他の実施例における表示装置の表示画面を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(態様1)本明細書に開示するダイ部品供給装置は、ダイシングされたウェハが貼着されたシートが供給されるウェハテーブルをさらに備えていてもよい。吸着ノズルは、ウェハテーブルに供給されたシートからダイ部品を吸着してもよい。テンプレート範囲よりも狭いダイ部品配置範囲にウェハが貼着された状態のシートがウェハテーブルに供給される場合において、狭小範囲は、ダイ部品配置範囲又はダイ部品配置範囲よりも狭い範囲であってもよい。すなわち、ウェハが貼着された範囲(すなわち、ダイ部品配置範囲)がテンプレート範囲よりも狭い場合は、ダイ部品配置範囲又はダイ部品配置範囲よりも狭い範囲が指定されることで、不要な吸着前画像処理が行われることを回避することができる。
(態様2)本明細書に開示するダイ部品供給装置は、ダイシングされたウェハが貼着されたシートが供給されるウェハテーブルをさらに備えていてもよい。吸着ノズルは、ウェハテーブルに供給されたシートからダイ部品を吸着してもよい。ウェハテーブルに供給されたシートにダイ部品が残存している場合において、狭小範囲は、ダイ部品が残存する実部品範囲又は実部品範囲よりも狭い範囲であってもよい。例えば、使用途中のウェハからダイ部品が供給される場合、ダイ部品が残存する実部品範囲又は実部品範囲よりも狭い範囲が指定されることで、不要な吸着前画像処理が行われることを回避することができる。
(態様3)態様1に記載のダイ部品供給装置において、範囲指定案内手段は、テンプレート範囲及びダイ部品配置範囲の少なくとも一つを表示画面に表示する表示装置を含んでいてもよい。このような構成によると、テンプレート範囲又はダイ部品配置範囲を基準として狭小範囲を指定することができる。
(態様4)態様2に記載のダイ部品供給装置において、範囲指定案内手段は、テンプレート範囲及び実部品範囲の少なくとも一つを表示画面に表示する表示装置を含んでいてもよい。このような構成によると、テンプレート範囲又は実部品範囲を基準として狭小範囲を指定することができる。
(態様5)本明細書に開示するダイ部品供給装置では、狭小範囲の指定は、表示画面上で矩形状の領域を規定することにより行われてもよい。このような構成によると、狭小範囲の指定を簡易に行うことができる。
(態様6)本明細書に開示するダイ部品供給装置では、狭小範囲の指定は、表示画面上で任意の2点を選択して矩形状の領域を規定することにより行われてもよい。このような構成によると、狭小範囲(すなわち、矩形状の領域)の指定を極めて簡易に行うことができる。
(態様7)本明細書に開示するダイ部品供給装置では、狭小範囲の指定は、表示画面上で任意の2点を選択して矩形状の領域を規定した後、矩形状の領域から不要な範囲を除去することにより行われてもよい。このような構成によると、狭小範囲の指定を簡易に行いながら、ダイ部品が存在する状況に合わせて狭小範囲の指定を微調整することができる。
【0009】
(実施例)
以下、本実施例のダイ部品供給装置及びダイ部品供給方法について図面を参照して説明する。図1に示すように、部品装着機10は、生産装置11及びダイ部品供給装置21を備えている。生産装置11は、基板搬送装置31及び部品移載装置41を備えている。基板搬送装置31は、基板1をX軸方向に搬送する装置である。本実施例の基板搬送装置31は、基台32上に一対のガイドレール33,34を互いに平行に配置することにより構成されている。基板搬送装置31は、コンベアベルト(図示省略)により基板1をガイドレール33,34に沿って搬送し、基板1を所定位置に位置決めする。
【0010】
部品移載装置41は、基板搬送装置31の上方に配置され、XYロボットからなる。部品移載装置41は、Y軸移動台42及びX軸移動台43を備えている。Y軸移動台42は、サーボモータ44を駆動することにより、固定レール45に沿ってY軸方向に移動可能となっている。また、X軸移動台43は、Y軸移動台42に対してX軸方向に移動可能に支持されている。X軸移動台43は、サーボモータ46を駆動することにより、X軸方向に移動可能となっている。
【0011】
ダイ部品供給装置21は、ウェハW1上の複数のダイ部品D1(図2図3参照)から対象となるダイ部品D1をピックアップして生産装置11に供給する装置である。ダイ部品供給装置21は、ヘッドユニット51及び撮像カメラ61(撮像装置)を備えている。ヘッドユニット51は、X軸移動台43に取り付けられ、吸着ヘッド52をZ軸方向(上下方向)に昇降可能に支持している。吸着ヘッド52は、ヘッドユニット51に設けられたサーボモータ53を駆動することにより、Z軸方向に移動可能となっている。そして、吸着ヘッド52には、吸着ノズル54が下方に突出するように設けられている。吸着ノズル54は、ダイシングされたウェハW1からダイ部品D1を吸着するためのものである。なお、本実施例では、形状や大きさの異なる複数種類のダイ部品D1を吸着可能にするために、吸着ヘッド52に複数の吸着ノズル54が装着可能となっている。
【0012】
撮像カメラ61は、X軸移動台43においてヘッドユニット51とは異なる箇所に取り付けられており、ウェハW1上のダイ部品D1を撮像する機能を有している。本実施例では、撮像カメラ61のカメラ中心は、吸着ノズル54の中心に対して、X軸方向に所定距離だけオフセットしている。
【0013】
また、ダイ部品供給装置21はウェハテーブル71を備えている。ウェハテーブル71は、基台32上において基板搬送装置31の側方に配設され、Y軸方向に移動可能となっている。ウェハテーブル71は、平面視矩形状をなし、上面中央に円形状の孔部72(図2参照)を有している。ウェハテーブル71上における孔部72の周囲領域には、リング状をなすエキスパンド装置73が載置されている。エキスパンド装置73は、円形状のウェハW1を構成する粘着シート74(図2参照)の周縁を支持している。なお、粘着シート74の表面(上面)には、ウェハW1をダイシングしてなる複数のダイ部品D1が貼着されている。粘着シート74がエキスパンド装置73によって伸張されることにより、ダイ部品D1間の隙間が広げられる。
【0014】
上述したように、ウェハW1は粘着シート74に貼り付けられた状態でウェハテーブル71上に供給される。粘着シート74に貼り付けられるウェハW1の大きさ(面積)は、ウェハW1の種類(例えば、ダイ部品D1の種類等)に応じて変化する。このため、粘着シート74にウェハW1が貼り付けられる範囲はウェハW1の種類(ウェハ種)によって変化し、その結果、ウェハW1をダイシングして形成される複数のダイ部品D1が配置される範囲(すなわち、ダイ部品配置範囲)もウェハW1の種類によって変化することとなる。なお、ウェハW1が使用されてダイ部品D1が基板1に実装されてゆくと、粘着シート74に貼り付けられているダイ部品D1の数が減少し、ダイ部品D1が残存するダイ残存範囲(すなわち、実部品範囲)も減少してゆく。上記の説明から明らかなように、未使用のウェハW1では、ダイ残存範囲(実部品範囲)は、ウェハW1が貼り付けられた範囲(ダイ部品配置範囲)と同一となる。一方、使用中のウェハW1では、ダイ残存範囲(実部品範囲)は、ウェハW1が貼り付けられた範囲(ダイ部品配置範囲)よりも狭くなる。
【0015】
図2に示すように、エキスパンド装置73の下方には、突上装置(図示省略)の突き上げピン75が上向きに配設されている。突き上げピン75の上端部は、円錐形状をなしており、粘着シート74に貼着されたダイ部品D1を突き上げるようになっている。一方、突き上げピン75の下端部は保持部材76に保持されている。保持部材76は、突き上げピン制御ユニット82(図4参照)により、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能になっている。なお、保持部材76及び突き上げピン75をZ軸方向に上昇させてダイ部品D1を突き上げることにより、ダイ部品D1は、粘着シート74から剥離され、吸着ノズル54によって吸着可能となる。
【0016】
図1に示すように、基台32上におけるウェハテーブル71の側方には、吸着ノズル54に吸着されたダイ部品D1を下方から撮像する部品カメラ62が設置されている。吸着ノズル54に吸着されたダイ部品D1を撮像する際には、ダイ部品D1をウェハテーブル71から基板1に搬送する途中で、吸着ヘッド52を部品カメラ62上で一旦停止させる。この状態で、部品カメラ62によりダイ部品D1を撮像して画像処理することにより、吸着ノズル54の中心に対するダイ部品D1の位置ずれを認識することができる。
【0017】
図4に示すように、ダイ部品供給装置21が備える制御装置80は、CPUやメモリ等により構成されたコンピュータからなる。制御装置80には、基板搬送装置31、部品移載装置41、吸着ヘッド52、撮像カメラ61及び部品カメラ62が接続されている。さらに、制御装置80には、吸着ヘッド制御ユニット81及び突き上げピン制御ユニット82が接続されている。吸着ヘッド制御ユニット81は、吸着ヘッド52をY軸方向に駆動するサーボモータ44と、吸着ヘッド52をX軸方向に駆動するサーボモータ46と、吸着ヘッド52をZ軸方向に駆動するサーボモータ53とを制御する。突き上げピン制御ユニット82は、突き上げピン75を保持する保持部材76を、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に駆動する制御を行う。
【0018】
なお、制御装置80のメモリには、基板1にダイ部品D1を実装するための基本プログラムや、吸着ヘッド52等のシーケンス動作を制御するプログラムが格納されている。また、メモリには、ダイ部品D1の配置位置の情報をマップ化したテンプレートマップTM1(図5参照)が、ウェハW1の種類ごとに記憶されている。なお、ダイ部品D1は、ダイシングされたウェハW1からピックアップされるものである。
【0019】
図5に示すように、テンプレートマップTM1には、ダイシングされて格子状に配列された複数のダイ部品D1が示されている。ダイ部品D1が存在する箇所には符号「1」が付与され、ダイ部品D1が存在しない箇所には符号「0」が付与されている。なお、テンプレートマップTM1には、ダイ部品D1が良品であるか不良品であるかの識別情報は付与されていない。また、テンプレートマップTM1には、ウェハW1の種類を識別するID(例えば、Wafer-A、Wafer-B…)と、最初にピックアップすべきダイ部品D1の機械座標(X1,Y1)とが登録されている。
【0020】
なお、テンプレートマップTM1は、ウェハW1の種類ごとに用意されるが、全ての種類について用意されていないときがある。テンプレートマップTM1が用意されていない場合、粘着シート74にウェハW1が貼り付けられる範囲(ダイ部品配置範囲)は、テンプレートマップTM1で指定されたテンプレート範囲とは異なることとなる。すなわち、ウェハW1に適用可能な大きめのテンプレートマップTM1が使用され、その結果、ダイ部品配置範囲がテンプレート範囲よりも狭くなる。したがって、テンプレートマップTM1がウェハW1の種類に応じたものである場合、テンプレート範囲とダイ部品配置範囲が同一となる。一方、テンプレートマップTM1がウェハW1の種類と一致しないものある場合、ダイ部品配置範囲はテンプレート範囲よりも狭くなる。
【0021】
また、図4に示す制御装置80は、画像処理装置83、テンプレートマップ読出手段84及び決定手段85としての機能を有している。そして、制御装置80には表示装置86が接続されている。画像処理装置83は、撮像カメラ61によりダイ部品D1を撮像した結果に基づいて吸着前画像処理を行う。テンプレートマップ読出手段84は、メモリからテンプレートマップTM1を読み出す。表示装置86は、テンプレートマップTM1で指定されたテンプレート範囲A1を表示画面87に表示する(図6参照)。決定手段85は、テンプレート範囲A1よりも狭い狭小範囲A2(図7参照)が指定された場合に、狭小範囲A2内に限り吸着前画像処理を行うことと、吸着前画像処理に基づくダイ部品D1の吸着処理を行うことを決定する。
【0022】
次に、ダイ部品供給装置21によるダイ部品供給方法を説明する。なお、以下の説明では、ウェハW1の種類に応じてテンプレートマップTM1が用意されているものとして説明する。すなわち、テンプレート範囲とダイ部品配置範囲が一致しているものとする。
【0023】
図8に示すステップS10において、作業者は、ダイシングされた複数のダイ部品D1からなるウェハW1をエキスパンド装置73に支持させ、ウェハW1を支持したエキスパンド装置73をウェハテーブル71上に載置(供給)する。制御装置80は、ウェハテーブル71を基板搬送装置31の側方位置に移動させる。続くステップS20(テンプレートマップ読出ステップ)において、制御装置80は、メモリに記憶されている複数のテンプレートマップTM1の中から、供給されたウェハW1の種類識別ID(例えば、Wafer-A)に対応するテンプレートマップTM1を選択して読み出す。
【0024】
次に、制御装置80は、吸着ヘッド制御ユニット81によってサーボモータ44,46,53を駆動し、撮像カメラ61を、ウェハW1の上方に位置決めする。そして、制御装置80は、撮像カメラ61を作動させて、ウェハW1の画像を撮像する(ステップS30)。次に、制御装置80は、ウェハW1の画像とテンプレートマップTM1とを対応させた画像を、表示装置86に表示させる(ステップS40)。具体的に言うと、制御装置80は、テンプレートマップTM1により指定されたダイ部品D1の配置位置ごとに、配置位置の画像(「ダイ部品D1が写っている画像」または「ダイ部品D1が映っていない画像」)と、配置位置の情報(図5に示す符号「1」または「0」)とを対応させて表示する。次に、制御装置80は、表示装置86の表示画面87に、狭小範囲A2を指定するための範囲指定ボタン(図示省略)を表示させる(ステップS45)。範囲指定ボタンの表示により、狭小範囲A2の指定が促される。即ち、範囲指定ボタンが表示された表示装置86は、範囲指定案内手段としての機能を有している。
【0025】
次に、制御装置80は、狭小範囲A2を指定するか否かを判定する(ステップS50)。作業者に範囲指定ボタンが押圧されたために、狭小範囲A2を指定すると判定された場合(ステップS50でYES)、制御装置80は、ステップS60(範囲指定案内ステップ)の処理を行い、ダイ部品D1の吸着処理を行う範囲を狭小範囲A2に決定する。具体例を挙げると、本実施例の表示装置86は例えばタッチパネルとなっており、作業者は、表示画面87上で任意の2点(図7の点P1,P2を参照)を選択(指で押圧)するようになっている。このとき、制御装置80は、点P1と点P2とを結ぶ線を対角線とする矩形状の領域を規定し、規定した矩形状の領域を狭小範囲A2とする。なお、点P1,P2の選択は、テンプレートマップTM1で指定されたテンプレート範囲A1内であっても実際にはダイ部品D1が存在しない範囲A3(図7参照)を、狭小範囲A2内に含まないように行われる。そして、制御装置80は、ステップS80の処理へ移行する。
【0026】
一方、作業者に範囲指定ボタンが押圧されなかったために、狭小範囲A2を指定しないと判定された場合(ステップS50でNO)、制御装置80は、ステップS70の処理を行い、テンプレートマップTM1をそのままにして、ダイ部品D1の吸着処理を行う範囲をテンプレート範囲A1に決定する。その後、制御装置80は、ステップS80の処理へ移行する。
【0027】
次に、制御装置80は、読み出されたテンプレートマップTM1が示す位置情報に基づいて、ピックアップの対象となるダイ部品D1の位置(ピックアップ位置)を決定する(ステップS80)。さらに、制御装置80は、吸着ヘッド制御ユニット81によってサーボモータ44,46,53を駆動し、撮像カメラ61を、ダイ部品D1のピックアップ位置に位置決めする(ステップS90)。
【0028】
続くステップS100において、制御装置80は、撮像カメラ61にダイ部品D1の画像を撮像させる。そして、制御装置80の画像処理装置83は、撮像されたダイ部品D1の画像に基づいて吸着前画像処理を行う。なお、制御装置80は、上記のステップS60,S70で決定した吸着処理の範囲(テンプレート範囲A1または狭小範囲A2)内に限り、吸着前画像処理を行うことを決定する(決定ステップ)。
【0029】
次に、制御装置80は、図9に示すステップS110において、ダイ部品D1が良品であるか不良品であるかを判定する。ダイ部品D1が良品であると判定された場合(ステップS110でYES)、制御装置80は、サーボモータ44,46を駆動して、吸着ヘッド52の吸着ノズル54を、ピックアップするダイ部品D1の上方位置(ピックアップ位置)に位置決めする(ステップS120)。これと同時に、制御装置80は、突き上げピン制御ユニット82を駆動して保持部材76をX軸方向及びY軸方向に移動させ、突き上げピン75を、ピックアップするダイ部品D1の下方位置に位置決めする。
【0030】
次に、制御装置80は、突き上げピン制御ユニット82を駆動して保持部材76をZ軸方向に移動させ、突き上げピン75をZ軸方向に上昇させる。それとともに、制御装置80は、サーボモータ53を駆動して、吸着ノズル54をZ軸方向に下降させる。その結果、粘着シート74に粘着されたダイ部品D1が突き上げピン75によって突き上げられて粘着シート74から剥離され、その剥離されたダイ部品D1が吸着ノズル54によって吸着される(ステップS130)。なお、制御装置80は、上記のステップS60,S70で決定した吸着処理の範囲(テンプレート範囲A1または狭小範囲A2)内に限り、吸着前画像処理に基づく吸着ノズル54によるダイ部品D1の吸着処理を行うことを決定する(決定ステップ)。そして、制御装置80は、サーボモータ44,46を駆動して吸着ヘッド52を基板1の上方位置に移動させた後、サーボモータ53を駆動して吸着ノズル54を下降させるとともに、吸着ノズル54によるダイ部品D1の吸着状態を解除させる。これにより、ダイ部品D1が基板1の所定位置に実装される(ステップS140)。
【0031】
また、上記したステップS110において、ダイ部品D1が不良品であると判定された場合(ステップS110でNO)、制御装置80は、ステップS120~S140の処理を行わずに、不良品と判定されたダイ部品D1を吸着せずにウェハW1上に残して、ステップS150の処理へ移行する。なお、制御装置80は、吸着ノズル54を駆動して不良品と判定せれたダイ部品D1を吸着し、サーボモータ44,46を駆動して吸着ノズル54を廃棄ボックス(図示省略)の上方に移動させた後、吸着ノズル54によるダイ部品D1の吸着状態を解除して、ダイ部品D1を廃棄ボックスに廃棄するようにしてもよい。
【0032】
次に、制御装置80は、決定した吸着処理の範囲内の全てのダイ部品D1について、処理(実装または廃棄の処理)が完了したか否かを判定する(ステップS150)。処理が完了していないと判定された場合(ステップS150でNO)、制御装置80は、再度ステップS80の処理を行い、次にピックアップすべきダイ部品D1を決定する。つまり、制御装置80は、ピックアップすべきダイ部品D1の位置を1つずつ移動して画像認識処理を行う。また、制御装置80は、吸着処理の範囲内の全てのダイ部品D1の処理が完了するまで、ステップS80~S150の処理を繰り返し行う。そして、吸着処理の範囲内の全てのダイ部品D1の処理が完了したと判定されると(ステップS150でYES)、作業者は、ウェハW1を支持したエキスパンド装置73をウェハテーブル71から排出する(ステップS160)。その後、作業者は、新たなウェハW1を支持したエキスパンド装置73をウェハテーブル71上に供給する。
【0033】
以上説明したように、本実施例のダイ部品供給装置21では、表示装置86は、読み出されたテンプレートマップTM1で指定されたテンプレート範囲A1よりも狭い狭小範囲A2の指定を促し、狭小範囲A2が指定された場合は、当該狭小範囲A2内に限り吸着前画像処理と吸着処理が行われる。従って、ダイ部品D1が存在しない範囲A3(図7参照)を含まないように矩形状の狭小範囲A2を指定することで、余分な吸着前画像処理が行われることを回避することができる。その結果、ダイ部品D1を基板1に供給する時間が短縮され、生産効率が向上する。例えば、テンプレートマップTM1に対してウェハW1の大きさ(面積)が小さい場合は、ウェハW1が貼り付けられた範囲(ダイ部品配置範囲)はテンプレート範囲A1よりも狭くなる。このため、ウェハW1が貼り付けられた範囲(ダイ部品配置範囲)を狭小範囲A2として指定することで、余分な吸着前画像処理を回避し、生産効率を向上することができる。また、使用途中のウェハW1からダイ部品D1を供給する場合も、テンプレート範囲A1よりも狭いダイ残存範囲(実部品範囲)を狭小範囲A2として指定することで、余分な吸着前画像処理を回避し、生産効率を向上することができる。
【0034】
本実施例のダイ部品供給装置21では、作業者が表示装置86の表示画面87上で任意の2点(図7の点P1,P2)を指で押圧するだけで、制御装置80が、点P1と点P2とを結ぶ線を対角線とする矩形状の領域(狭小範囲A2)を自動的に指定する。このため、狭小範囲A2を指定する作業を容易に行うことができる。
【0035】
以上、実施例について説明したが具体的な態様は上記実施例に限定されるものではない。上記の実施例では、表示装置86が、テンプレートマップTM1で指定されたテンプレート範囲A1を表示画面87に表示していたが(図6参照)、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例のように、表示装置86は、テンプレート範囲A1と、ウェハW1において実際にダイ部品D1が存在する実部品範囲A4との両方を表示画面87に表示するものであってもよい(図10参照)。また、表示装置86は、テンプレート範囲A1の代わりに、実部品範囲A4を表示画面87に表示するものであってもよい。また、テンプレート範囲A1とウェハW1が貼り付けられた範囲(ダイ部品配置範囲)が異なる場合は、テンプレート範囲A1の代わりにダイ部品配置範囲を表示してもよい。
【0036】
上記の実施例では、作業者が表示装置86の表示画面87上で任意の2点(図7の点P1,P2)を指で押圧することにより、狭小範囲A2を指定していたが、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例では、作業者がマウス操作などを行って任意の2点を選択することにより、狭小範囲A2を指定するようにしてもよい。また、表示画面87に矩形状の枠(領域)をあらかじめ表示し、その枠を所望の位置にドラッグすることにより、狭小範囲A2を指定するようにしてもよい。
【0037】
上記の実施例では、表示装置86の表示画面87上で任意の2点(図7の点P1,P2)を選択して矩形状の領域を規定することにより、狭小範囲A2を指定していたが、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例では、表示画面87上で任意の2点(図10の点P3,P4)を選択して矩形状の領域(図示省略)を規定した後、矩形状の領域から、ダイ部品D1が存在しない不要な範囲A5(図10参照)を除去することにより、狭小範囲A2(=実部品範囲A4)を指定してもよい。この方法によると、例えばウェハW1上にある全てのダイ部品D1を含むように狭小範囲A2を指定できるため、使用可能なダイ部品D1の廃棄数を減らすことができる。
【0038】
上記の実施例では、ダイ部品D1が存在しない範囲A3を含まないように、狭小範囲A2を指定していたが(図7参照)、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施例では、範囲A3を含むように狭小範囲を指定してもよい。
【0039】
上記の実施例では、表示装置86の表示画面87上で矩形状の領域を規定することにより、狭小範囲A2を指定していたが、この構成に限定されるものではない。例えば、他の実施形態では、表示画面87上で三角形状、六角形状、円形状、楕円形状などの他の形状の領域を規定することにより、狭小範囲を指定してもよい。
【0040】
上記の実施例では、吸着ヘッド52及び撮像カメラ61が、共通のX軸移動台43に設けられて一緒に移動するようになっていたが、この構成に限定されるものではない。例えば、吸着ヘッド52及び撮像カメラ61を、別々の移動台に設け、ダイ部品D1の上方に順番に移動させるようにしてもよい。この方法によると、吸着ヘッド52に吸着したダイ部品D1を基板1に装着しているときに、撮像カメラ61は次のダイ部品D1を撮像できるため、作業時間をさらに短縮することができる。
【0041】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0042】
21: ダイ部品供給装置
54: 吸着ノズル
61: 撮像装置としての撮像カメラ
83: 画像処理装置
84: テンプレートマップ読出手段
85: 決定手段
86: 範囲指定案内手段としての表示装置
87: 表示画面
A1: ダイ部品配置範囲
A2: 狭小範囲
A4: 実部品範囲
A5: 不要な範囲
D1: ダイ部品
TM1: テンプレートマップ
W1: ウェハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10