(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167656
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】カートリッジ
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20241127BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20241127BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20241127BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
G03G21/00 388
G06K19/07 230
G06K7/10 192
G03G21/00 502
G03G21/16 157
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083880
(22)【出願日】2023-05-22
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】砂川 寛行
【テーマコード(参考)】
2H171
2H270
【Fターム(参考)】
2H171FA02
2H171FA05
2H171FA13
2H171FA30
2H171GA14
2H171GA40
2H171JA01
2H171JA50
2H171MA07
2H171XA11
2H171XA20
2H270KA58
2H270KA60
2H270LA53
2H270LA60
2H270LD05
2H270MF14
2H270MF20
2H270MF21
2H270MF22
2H270NB02
2H270NB04
2H270NB06
2H270NB09
2H270PA80
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】対象となる印刷装置のインクが不足した場合に、類似のインクを代用して使用することを可能とするカートリッジを提供する。
【解決手段】インクの属性情報を記憶するメモリ18と、他のカートリッジとの間で非接触通信を行うBLEアンテナ16と、メモリ18へのアクセス、及び通信部13による非接触通信を制御するRFマイコン11と、を備える。RFマイコン11は、他のカートリッジとの間で非接触通信を行い、属性情報が同一である他のカートリッジが存在する場合に、他のカートリッジの属性情報に含まれるインクの適応機種、及び適応地域の情報のうちの少なくとも一方を変更する制御を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消耗品を収納したカートリッジであって、
前記消耗品の属性情報を記憶するメモリと、
他のカートリッジとの間で非接触通信を行うアンテナと、
前記メモリへのアクセス、及び前記非接触通信を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、他のカートリッジとの間で非接触通信を行い、前記属性情報が同一である他のカートリッジが存在する場合に、前記他のカートリッジの属性情報に含まれる消耗品の適応機種、及び適応地域の情報のうちの少なくとも一方を変更する制御を行うこと
を特徴とするカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置で用いられるインクなどの消耗品を搭載したカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置を用いた印刷業務では、インクカートリッジなどの消耗品が無くなると、消耗品を入手するまでの間は、印刷業務を行うことができなくなる。また、近くに消耗品があったとしても、類似印刷装置の消耗品である場合には、販売地域や仕様などの設定が対象となる印刷装置と異なるので、使用することができない。更に、印刷装置の管理者は、消耗品の在庫が近くにあるか否かを認識していないことが多い。このため、印刷業務が滞ってしまうという問題が発生する。
【0003】
非常時の場合には、印刷は一刻を争う業務となり、消耗品が入手できず印刷できないことにより人的・物理的損失が発生する恐れがある。
【0004】
また、例えば対象となる印刷装置の消耗品に類似する類似消耗品が有る場合には、この類似消耗品のインクの物性は、対象となる印刷装置の消耗品と類似しており、代用することが可能である。しかし、消耗品に書き込まれている仕様情報が異なるため、代用することができないという問題がある。
【0005】
特許文献1には、画像形成装置に初期的に記録されている仕様情報とは異なる仕様情報を有する消耗品供給装置が画像形成装置に装着された場合において、仕様情報の相違が所定の範囲内の相違であれば、そのまま画像形成装置での使用を継続させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし特許文献1は、トナーカートリッジのICチップに記憶された仕様情報を画像形成装置が読み込むことにより、画像形成装置の表示部の表示言語を変更するという発明であり、対象となる印刷装置で使用する消耗品が不足しているときに、これに類似する類似消耗品を代用して使用することができないという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、対象となる印刷装置の消耗品が不足した場合に、類似の消耗品を代用して使用することを可能とするカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本願発明は、消耗品を収納したカートリッジであって、前記消耗品の属性情報を記憶するメモリと、他のカートリッジとの間で非接触通信を行うアンテナと、前記メモリへのアクセス、及び前記非接触通信を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、他のカートリッジとの間で非接触通信を行い、前記属性情報が同一である他のカートリッジが存在する場合に、前記他のカートリッジの属性情報に含まれる消耗品の適応機種、及び適応地域の情報のうちの少なくとも一方を変更する制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、対象となる印刷装置の消耗品として、類似の消耗品を代用して使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係るインクカートリッジと印刷装置に搭載される制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る制御モジュールの詳細な構成を示すブロック図である。
【
図3A】
図3Aは、インクカートリッジに搭載される制御モジュールの第1の例を示す斜視図である。
【
図3B】
図3Bは、インクカートリッジに搭載される制御モジュールの第2の例を示す斜視図である。
【
図3C】
図3Cは、インクカートリッジに搭載される制御モジュールの第3の例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、複数のインクカートリッジを複数のランクに分類し更に世代を設定する様子を示す説明図である。
【
図5】
図5は、制御モジュールのメモリに書き込まれるタグ情報の例を示す説明図である。
【
図6A】
図6Aは、インクカートリッジのタグ情報を上書きする流れを示す説明図の第1の分図である。
【
図6B】
図6Bは、インクカートリッジのタグ情報を上書きする流れを示す説明図の第2の分図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態ではカートリッジの一例として、印刷装置に搭載して該印刷装置にインクを供給するインクカートリッジを例に挙げて説明する。
【0013】
図1は、印刷装置に搭載される制御装置100、及びインクカートリッジ10(以下、「カートリッジ10」と略す)の概略構成を示すブロック図である。
図2は、実施形態に係るカートリッジ10に搭載される制御モジュール1の電気的な構成を示すブロック図である。
図3A~
図3Cは、カートリッジ10に搭載される制御モジュール1の例を示す斜視図である。
【0014】
図1に示すように、カートリッジ10は、制御モジュール1と、印刷装置で使用するインク2を備えている。制御装置100は、CPU21と、ROM22と、RAM23と、データ処理回路24と、モータ駆動回路25と、RFID(Radio Frequency Identification)R/W26、を備えている。
【0015】
制御モジュール1は、制御装置100との間で無線通信を行う。制御モジュール1はまた、他のカートリッジに搭載されている制御モジュールとの間で無線通信を行う。制御モジュール1はまた、ユーザが所持する携帯端末(例えば、スマートフォン)の間で無線通信を行う。制御モジュール1は、例えば中央演算ユニット(CPU)や、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶手段で構成することができる。
【0016】
制御装置100に搭載されるCPU21は、印刷装置の総括的な制御を行う。ROM22は、制御プログラムなどの印刷制御に関連するデータを記憶する。RAM23は、制御演算で使用するパラメータなどの情報を一時的に記憶する。
【0017】
RFIDR/W26は、印刷装置にカートリッジ10が取り付けられた際に、このカートリッジ10との間で通信を行い、カートリッジ10に設定されているインクの属性情報を書き込む。
【0018】
データ処理回路24は、RFIDR/W26に書き込まれているインクの属性情報を読み取り、RAM23に書き込む処理を行う。
【0019】
モータ駆動回路25は、印刷装置に搭載されている印刷供給用モータ及び用紙搬送用モータなどの各モータの駆動を制御する。
【0020】
制御モジュール1は
図2に示すように、RFマイコン11(制御部)と、セキュア回路12と、通信部13と、RFIDアンテナ14と、バッテリ15と、BLEアンテナ16と、残量・環境センサ17と、メモリ18を備えている。
【0021】
残量・環境センサ17は、カートリッジ10に搭載されているインクの残量を検出し、更に、周囲温度、湿度を検出する。検出したデータを、RFマイコン11に出力する。
【0022】
メモリ18は、カートリッジ10の属性が記述されたタグ情報を記憶する。タグ情報には、残量・環境センサ17で検出されたインク残量及び周囲温度、湿度の情報が含まれている。またタグ情報には、インク(消耗品)の、処方情報、仕向け情報が含まれている。
【0023】
RFマイコン11は、制御装置100との間でのRFIDアンテナ14によるRF通信を制御する。RFマイコン11は、制御装置100との間でRF通信を行い、メモリ18に記憶されているインクの属性情報を制御装置100に送信する。即ち、RFIDアンテナ14からインクの属性情報を送信することにより、制御装置100のRFIDR/W26にインクの属性情報を書き込むことができる。
【0024】
RFマイコン11はまた、BLE(Bluetooth Low Energy)通信により、他のカートリッジとの間で通信を行い、インクの属性情報の書き換え処理を行う。RFマイコン11はまた、BLE通信により、ユーザが所持するスマートフォンなどの携帯端末に、各種の情報を送信する制御を行う。具体的な属性情報の書き換え処理については後述する。
【0025】
セキュア回路12は、セキュリティを保護する回路である。
【0026】
通信部13は、BLEアンテナ16を経由して他のカートリッジ、及びユーザが所持するスマートフォンなどの携帯端末との間でBLE通信を行う。
【0027】
バッテリ15は、制御モジュール1に搭載される各機器に駆動用の電力を供給する。
【0028】
図3A~
図3Cは、カートリッジ10に搭載される制御モジュール1の例を示す説明図である。
図3Aは、直方体形状をなすカートリッジ10aの先端部に制御モジュール1が搭載されている例を示す説明図である。このような構成により、カートリッジ10aを印刷装置に取り付けるとRFIDアンテナ14とRFIDR/W26が相対峙して配置され、双方の間での通信が可能になる。
【0029】
図3B、
図3Cは、円筒形状をなすカートリッジ10b、10cの先端部に制御モジュール1が搭載されている例を示す説明図である。このような構成においても、カートリッジ10b、10cを印刷装置に取り付けるとRFIDアンテナ14とRFIDR/W26が相対峙して配置され、双方の間での通信が可能になる。
【0030】
次に、複数のカートリッジ間でBLE通信を行うことにより、カートリッジ10の制御モジュール1のメモリ18に記憶されているタグ情報を書き換える処理について説明する。各カートリッジ10の制御モジュール1には、各カートリッジ10の適用機種、適応地域などの属性を含むタグ情報が記憶されている。従って、一の印刷装置に対して、適応機種または適応地域の属性が一致しないカートリッジ10は、一の印刷装置において使用することができない。即ち、カートリッジ10に搭載されているインクの物性に互換性があっても、タグ情報が一致しなければ、このカートリッジ10を一の印刷装置にて使用することができない。
【0031】
本実施形態では、一の印刷装置においてインク供給用のカートリッジ10が不足し、この印刷装置に対応する交換用のカートリッジ10が即時に入手できない場合に、他の印刷装置で使用するカートリッジ10のタグ情報を書き換えることにより、このカートリッジ10が一の印刷装置で使用できるように変更する。以下、詳細に説明する。
【0032】
本実施形態では、複数のカートリッジ10のうち、インクの物性が同一であるけれども、仕向け情報、対応機種が異なるカートリッジに対して、それぞれランクを設定し、各ランクに応じてカートリッジ10のタグ情報を上書きする処理を行う。
【0033】
図4に示すように複数のカートリッジ10を、優先度(詳細は後述する)が異なる複数のランクに分類する。具体的には、優先度「0」の「ランクA」、優先度「1」の「ランクB」、優先度「2」の「ランクC」の3つのランクに分類する。ランクAのカートリッジを符号「10A」、ランクBのカートリッジを符号「10B」、ランクCのカートリッジを符号「10C」で示すことにする。また、上記した各カートリッジ10A、10B、10Cとは特性が異なるカートリッジは対象外カートリッジ10Dに分類する。
【0034】
各カートリッジ10のメモリ18には、タグTが設定されそれぞれタグ情報が記憶されている。
図5は、具体的なタグ情報の例を示す図である。
図5に示すように、タグ情報にはインクの残量情報、インク処方、仕向け情報、自滅情報、世代情報、優先度情報が書き込まれている。
【0035】
インク残量は、カートリッジ10の残量をパーセントで示す情報である。インク処方は、インクの物性、特性、使用条件、及びパラメータなどの情報である。仕向け情報は、インクの使用を許可する国、地域、販売店、対応機種などの情報である。
【0036】
自滅情報には、タグ情報の上書きを禁止する条件が書き込まれている。具体的には、カートリッジ10内のインクの消費期限が過ぎた場合、上書き制限が上限に達した場合、などの条件が書き込まれている。
【0037】
世代情報には、属性情報の書き換えを行う元となるカートリッジからの、上書き回数の情報が書き込まれている。例えば、初期的な属性情報が記憶されているカートリッジ10Aは第0世代、カートリッジ10Aの指令により属性情報が上書きされるカートリッジ10Bは第1世代(上書き回数が1回)、カートリッジ10Bの指令により属性情報が上書きされるカートリッジ10Cは第2世代(上書き回数が2回)、カートリッジ10Cの指令により属性情報が上書きされるカートリッジ10Cは第3世代(上書き回数が3回)である。
【0038】
優先度は、タグ情報の上書きを制限する指標を示している。カートリッジ10Aは優先度「0」、カートリッジ10Bは優先度「1」、カートリッジ10Cは優先度「2」に設定されている。優先度「0」のカートリッジは、優先度「1」のカートリッジに対してタグ情報の上書きが許可されている。優先度「1」のカートリッジは、優先度「2」のカートリッジに対してタグ情報の上書きが許可されている。優先度「2」のカートリッジは、他の優先度「2」のカートリッジに対して、1回だけタグ情報の上書きが許可されている。
【0039】
図6A、
図6Bは、具体的なタグ情報の上書き処理の流れを示す説明図である。
図6Aに示す第0世代のカートリッジとしてランクAのカートリッジ10Aが設定されている。第0世代のカートリッジは、例えばカートリッジを管理する管理者、或いは販売店、支店の責任者などが所持するカートリッジである。
【0040】
カートリッジ10Aのメモリ18に記憶されているタグT0には、残量情報、インク処方、仕向け情報、自滅情報、世代情報、優先度などのタグ情報が書き込まれている。
【0041】
タグT0のタグ情報には優先度「0」が設定され、且つ自滅情報が1個に設定されている。カートリッジ10Aは、ランクBのカートリッジ10Bとの間で近距離通信を行い、タグT0に書き込まれているタグ情報を、ランクBのカートリッジ10BのタグT1に対してタグ情報を上書きする処理を行う。
【0042】
具体的には、カートリッジ10Aは、タグT1の仕向け情報にタグT0の仕向け情報を上書きする。また、カートリッジ10Aは、タグT1の自滅情報を予め設定した設定値に上書きする。例えば、「第3世代、3個」などの自滅情報をタグT1に対して上書きする。
【0043】
また、カートリッジ10Aは、タグT0に書き込まれている世代情報及び優先度を、+1だけインクリメントした情報を、タグT1に上書きする。具体的には、タグT0は第0世代であるので、これを+1とした第1世代を、タグT1の世代情報に上書きする。タグT0は優先度「0」であるので、タグT1の優先度を優先度「1」に上書きする。
【0044】
ランクBのカートリッジ10BのタグT1には、上記の処理により、仕向け情報、自滅情報、世代情報、及び優先度が上書きされる。ランクAのカートリッジ10Aは、自滅情報が「1」に設定されているので、カートリッジ10Bのタグ情報を上書きした時点(1回上書きした時点)で上書き処理を終了し、これ以上の上書き処理を行わない。
【0045】
カートリッジ10Bは、ランクCのカートリッジ10C-1(
図6B参照)との間で近距離通信を行い、タグ情報の上書き処理を行う。カートリッジ10BのタグT1には優先度「1」が設定され、且つ自滅情報が3個に設定されている。カートリッジ10Bは、タグT1に書き込まれているタグ情報を、ランクCのカートリッジ10C-1のタグT2に対して上書きする処理を行う。具体的には、カートリッジ10Bは、タグT2の仕向け情報にタグT1の仕向け情報を上書きする。また、カートリッジ10Bは、タグT2の自滅情報を予め設定した設定値に上書きする。例えば、「第3世代、1個」などの自滅情報をタグT2に対して上書きする。
【0046】
また、カートリッジ10Bは、タグT1に書き込まれている世代情報及び優先度を、+1だけインクリメントした情報を、タグT2に上書きする。具体的には、タグT1は第1世代であるので、これを+1とした第2世代を、タグT2の世代情報に上書きする。タグT1は優先度「1」であるので、タグT2を優先度「2」に上書きする。タグT1からタグT2への上書きは、3個実施される。
【0047】
ランクCのカートリッジ10C-1のタグT2には、上記の処理により、仕向け情報、自滅情報、世代情報、及び優先度が上書きされる。カートリッジ10C-1は、他のランクCのカートリッジ10C-2との間で近距離通信を行い、タグ情報の上書き処理を行う。即ち、
図6Bに示すタグT2からタグT3への上書き処理を行う。また、カートリッジ10Bは、自滅情報が「3」に設定されているので、カートリッジ10C-1のタグ情報を上書きした時点(3回上書きした時点)で上書きを終了し、それ以上の上書きを行わない。
【0048】
タグT2には優先度「2」が設定され、且つ自滅情報が1個に設定されている。カートリッジ10C-1は、タグT2に書き込まれているタグ情報を、他のランクCのカートリッジ10C-2のタグT3のタグ情報に対して上書きする処理を行う。具体的には、カートリッジ10C-1は、タグT3の仕向け情報にタグT2の仕向け情報を上書きする。また、カートリッジ10C-1は、タグT3の自滅情報を予め設定した設定値に上書きする。例えば、「第3世代、1個」などの自滅情報をタグT3に対して上書きする。
【0049】
また、カートリッジ10C-1は、タグT2に書き込まれている世代情報を、+1だけインクリメントした情報を、タグT3に上書きする。具体的には、タグT2は第2世代であるので、これを+1とした第3世代を、タグT3の世代情報に上書きする。
【0050】
また、カートリッジ10C-1は、タグT2に書き込まれている優先度を、カートリッジ10C-2のタグT3に上書きする。具体的には、タグT2は優先度「2」であるので、タグT3を優先度「2」に上書きする。タグT2からタグT3への上書きは、3個実施される。また、カートリッジ10C-1は、自滅情報が「1」に設定されているので、カートリッジ10C-2のタグT3に上書きした時点(1回上書きした時点)で上書きを終了し、にてそれ以上の上書きを行わない。
【0051】
上記の処理により、ランクAのカートリッジ10A(第0世代)のタグT0に書き込まれているタグ情報は、合計7個のカートリッジのタグに上書きされることになる。即ち、第0世代のカートリッジ10Aとの間で互換性を有するカートリッジを7個複製することができる。こうして、同一のタグ情報を有する複数のカートリッジを個複製することが可能になる。
【0052】
このように、本実施形態に係るカートリッジでは、一の印刷装置で使用可能なカートリッジが不足した場合でも、不足したカートリッジのタグ情報が書き込まれている第0世代のカートリッジを用意し、このカートリッジのタグ情報を、近距離通信により他のカートリッジに上書きすることにより、一の印刷装置で使用可能なカートリッジを複製することが可能になる。
【0053】
また、本実施形態によれば、災害発生時などにおいて、販路、販売地域を考慮する余裕がないような状況下において、インクカートリッジなどの消耗品を使用したい場合において、迅速に消耗品のタグ情報を書き換えることにより、即時にこの消耗品を使用することが可能になる。
【0054】
また、消耗品と印刷装置との通信には従来のRFIDを使用することで、旧来の印刷装置においても、ハードウェア及びソフトウェアの変更をすることなく、消耗品管理機能を提供することが可能になる。ネットワークなどの公共通信や屋内通信網が遮断された状態でも、消耗品同士が通信するのでこれらの影響を受けることがない。
【0055】
また、印刷装置を新しい機種に入れ替えたり、他からインクカートリッジを譲り受けたりした場合にも、前の機種のものや仕向け違いのものがあって、中身のインクが似通っていて使えるものを捨てずに有効利用することが可能になる。
【0056】
また、上記した実施形態では消耗品の一例としてインクを例に挙げて説明したが、本発明がこれに限定されるものではなく、他の消耗品についても適用することが可能である。
【0057】
また、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0058】
[付記1]
消耗品を収納したカートリッジであって、
前記消耗品の属性情報を記憶するメモリと、
他のカートリッジとの間で非接触通信を行うアンテナと、
前記メモリへのアクセス、及び前記非接触通信を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、他のカートリッジとの間で非接触通信を行い、前記属性情報が同一である他のカートリッジが存在する場合に、前記他のカートリッジの属性情報に含まれる消耗品の適応機種、及び適応地域の情報のうちの少なくとも一方を変更する制御を行うこと
を特徴とするカートリッジ。
【符号の説明】
【0059】
1 制御モジュール
2 インク
10 インクカートリッジ
11 RFマイコン(制御部)
12 セキュア回路
13 通信部
14 RFIDアンテナ
15 バッテリ
16 BLEアンテナ
17 残量・環境センサ
18 メモリ
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 データ処理回路
25 モータ駆動回路
26 RFIDR/W
100 制御装置