(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167663
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】無線構成提案装置、無線構成提案システム、無線構成提案方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/22 20090101AFI20241127BHJP
H04W 72/0457 20230101ALI20241127BHJP
【FI】
H04W16/22
H04W72/0457 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083888
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】大津 誠
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA11
(57)【要約】
【課題】顧客要求に応じて、マルチチャネルアグリゲーションを構成する無線機器の組み合わせを含む提案情報を提供できる無線構成提案装置等を提供する。
【解決手段】顧客要求情報および構成関連情報を取得する取得部と、顧客要求に応じた周波数帯域幅に応じて、顧客要求に応じたスループットを超える無線回線の組み合わせを抽出する抽出部と、抽出された無線回線の組み合わせに関して、顧客要求に応じた可用性を満たす無線機器の組み合わせを計算する可用性計算部と、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な無線機器の組み合わせごとのコストを計算するコスト計算部と、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な無線機器の組み合わせに、算出されたコストが紐づけられた提案情報を生成する提案情報生成部と、生成された提案情報を出力する出力部と、を備える無線構成提案装置とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客要求を含む顧客要求情報と、マルチチャネルアグリゲーションの構成に用いられる構成関連情報とを取得する取得部と、
前記顧客要求情報に含まれる前記顧客要求に応じた周波数帯域幅に応じて、前記顧客要求情報に含まれる前記顧客要求に応じたスループットを超える無線回線の組み合わせを抽出する抽出部と、
抽出された前記無線回線の組み合わせに関して、前記顧客要求情報に含まれる前記顧客要求に応じた可用性を満たす無線機器の組み合わせを計算する可用性計算部と、
マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な前記無線機器の組み合わせごとのコストを計算するコスト計算部と、
マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な前記無線機器の組み合わせに、算出された前記コストが紐づけられた提案情報を生成する提案情報生成部と、
生成された前記提案情報を出力する出力部と、を備える無線構成提案装置。
【請求項2】
前記コスト計算部は、
マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な前記無線機器の組み合わせごとのアンテナサイズ、モデム、および屋外無線装置に関する初期コストと、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な前記無線回線の組み合わせごとの使用料金に関する運用コストとの和を、前記コストとして算出する請求項1に記載の無線構成提案装置。
【請求項3】
前記可用性計算部は、
前記顧客要求に応じた可用性を満たすアンテナの種類およびサイズに応じて、前記無線機器の組み合わせを抽出する請求項1に記載の無線構成提案装置。
【請求項4】
前記可用性計算部は、
顧客が保有する周波数および周波数帯域幅、前記構成関連情報に含まれる変調方式および年間降水量、前記アンテナの種類およびサイズに応じて定まるアンテナゲイン、およびリンク間距離に基づいて、顧客が保有する周波数と周波数帯域幅の組み合わせに相当するチャネルごとの可用性を計算する請求項3に記載の無線構成提案装置。
【請求項5】
前記抽出部は、
前記無線回線の組み合わせ制限に従って、前記顧客要求情報に含まれる前記顧客要求に応じたスループットを超える前記無線回線の組み合わせを抽出する請求項1に記載の無線構成提案装置。
【請求項6】
前記取得部は、
抽出された前記無線回線の組み合わせにおける遅延情報を取得し、
前記抽出部は、
取得された前記遅延情報に基づいて、遅延が最大となる前記無線回線と遅延が最小となる前記無線回線の遅延差の組み合わせを抽出し、
抽出された前記無線回線の組み合わせに関して、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能であるか計算する請求項4に記載の無線構成提案装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の無線構成提案装置が実装されたサーバと、
無線帯域情報およびサイト情報を含む顧客要求情報の入力を受け付け、入力された前記顧客要求情報を前記無線構成提案装置に送信する端末装置と、
マルチチャネルアグリゲーションの構成に用いられる構成関連情報が蓄積され、前記無線構成提案装置からの要求に応じて前記構成関連情報を前記無線構成提案装置に送信するデータベースサーバと、を備える無線構成提案システム。
【請求項8】
前記端末装置の画面には、前記顧客要求情報に応じて前記無線構成提案装置によって生成された前記提案情報が表示される請求項7に記載の無線構成提案システム。
【請求項9】
コンピュータが、
顧客要求を含む顧客要求情報と、マルチチャネルアグリゲーションの構成に用いられる構成関連情報とを取得し、
前記顧客要求情報に含まれる前記顧客要求に応じた周波数帯域幅に応じて、前記顧客要求情報に含まれる前記顧客要求に応じたスループットを超える無線回線の組み合わせを抽出し、
抽出された前記無線回線の組み合わせに関して、前記顧客要求情報に含まれる前記顧客要求に応じた可用性を満たす無線機器の組み合わせを計算し、
マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な前記無線機器の組み合わせごとのコストを計算し、
マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な前記無線機器の組み合わせに、算出された前記コストが紐づけられた提案情報を生成し、
生成された前記提案情報を出力する無線構成提案方法。
【請求項10】
顧客要求を含む顧客要求情報と、マルチチャネルアグリゲーションの構成に用いられる構成関連情報とを取得する処理と、
前記顧客要求情報に含まれる前記顧客要求に応じた周波数帯域幅に応じて、前記顧客要求情報に含まれる前記顧客要求に応じたスループットを超える無線回線の組み合わせを抽出する処理と、
抽出された前記無線回線の組み合わせに関して、前記顧客要求情報に含まれる前記顧客要求に応じた可用性を満たす無線機器の組み合わせを計算する処理と、
マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な前記無線機器の組み合わせごとのコストを計算する処理と、
マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な前記無線機器の組み合わせに、算出された前記コストが紐づけられた提案情報を生成する処理と、
生成された前記提案情報を出力する処理と、をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線構成提案装置、無線構成提案システム、無線構成提案方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯通信網では、トラフィックの増大に伴い、単一の無線回線の帯域だけでは十分な伝送容量を確保できない場合がある。そのため、複数の無線回線を束ねて、仮想的に伝送容量の大きい1本の回線として使用するケースが増えている。
【0003】
本開示においては、複数の無線回線を束ねて、スループットを拡張させる機能を「マルチチャネルアグリゲーション」と呼ぶ。マルチチャネルアグリゲーションにおいては、複数の無線回線を束ねることによって、スループットを拡張させる。無線回線に送信されるパケットは、送信側で分割される。分割されたパケットは、回線帯域に応じて振り分けられる。送信されたパケットは、受信側で併合される。
【0004】
特許文献1には、マルチリンク通信を行う通信装置について開示されている。特許文献1のマルチリンク通信では、通信相手装置との間で、少なくとも1つのフローが設定された複数の通信経路が同時に用いられる。特許文献1の手法では、複数の回線に対して、フローを振り分けて伝送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マルチチャネルアグリゲーションを構成する無線機器(ハードウェア)の組み合わせには、数多くの候補がある。そのため、顧客要求を満たすために、無線機器をどのように組み合わせればよいかを決定することは困難であった。また、マルチチャネルアグリゲーションは、顧客が保有する無線チャネルに合わせて、無線機器の構成を検討する必要があった。
【0007】
本開示の目的は、顧客要求に応じて、マルチチャネルアグリゲーションを構成する無線機器の組み合わせを含む提案情報を提供できる無線構成提案装置、無線構成提案システム、無線構成提案方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様の無線構成提案装置は、顧客要求を含む顧客要求情報と、マルチチャネルアグリゲーションの構成に用いられる構成関連情報とを取得する取得部と、顧客要求情報に含まれる顧客要求に応じた周波数帯域幅に応じて、顧客要求情報に含まれる顧客要求に応じたスループットを超える無線回線の組み合わせを抽出する抽出部と、抽出された無線回線の組み合わせに関して、顧客要求情報に含まれる顧客要求に応じた可用性を満たす無線機器の組み合わせを計算する可用性計算部と、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な無線機器の組み合わせごとのコストを計算するコスト計算部と、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な無線機器の組み合わせに、算出されたコストが紐づけられた提案情報を生成する提案情報生成部と、生成された提案情報を出力する出力部と、を備える。
【0009】
本開示の一態様の無線構成提案方法においては、顧客要求を含む顧客要求情報と、マルチチャネルアグリゲーションの構成に用いられる構成関連情報とを取得し、顧客要求情報に含まれる顧客要求に応じた周波数帯域幅に応じて、顧客要求情報に含まれる顧客要求に応じたスループットを超える無線回線の組み合わせを抽出し、抽出された無線回線の組み合わせに関して、顧客要求情報に含まれる顧客要求に応じた可用性を満たす無線機器の組み合わせを計算し、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な無線機器の組み合わせごとのコストを計算し、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な無線機器の組み合わせに、算出されたコストが紐づけられた提案情報を生成し、生成された提案情報を出力する。
【0010】
本開示の一態様のプログラムは、顧客要求を含む顧客要求情報と、マルチチャネルアグリゲーションの構成に用いられる構成関連情報とを取得する処理と、顧客要求情報に含まれる顧客要求に応じた周波数帯域幅に応じて、顧客要求情報に含まれる顧客要求に応じたスループットを超える無線回線の組み合わせを抽出する処理と、抽出された無線回線の組み合わせに関して、顧客要求情報に含まれる顧客要求に応じた可用性を満たす無線機器の組み合わせを計算する処理と、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な無線機器の組み合わせごとのコストを計算する処理と、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な無線機器の組み合わせに、算出されたコストが紐づけられた提案情報を生成する処理と、生成された提案情報を出力する処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、顧客要求に応じて、マルチチャネルアグリゲーションを構成する無線機器の組み合わせを含む提案情報を提供できる無線構成提案装置、無線構成提案システム、無線構成提案方法、およびプログラムを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る無線構成提案装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る無線構成提案装置が取得する無線帯域情報の一例を示すテーブルである。
【
図3】第1実施形態に係る無線構成提案装置が取得するサイト情報の一例を示すテーブルである。
【
図4】無線回線のスループットの一例について説明するための概念図である。
【
図5】無線回線の可用性の一例について説明するための概念図である。
【
図6】第1実施形態に係る無線構成提案装置が取得する無線データの一例を示すテーブルである。
【
図7】第1実施形態に係る無線構成提案装置が取得するコストデータの一例を示すテーブルである。
【
図8】第1実施形態に係る無線構成提案装置が取得する年間降水量データの一例を示すテーブルである。
【
図9】第1実施形態に係る無線構成提案装置の提案情報生成部によって生成された提案情報の一例を示すテーブルである。
【
図10】第1実施形態に係る無線構成提案装置の動作の一例について説明するためのフローチャートである。
【
図11】第1実施形態に係る無線構成提案装置を含む無線構成提案システムを構成する構成要素間における情報のやり取りの一例を示す相関図である。
【
図12】第2実施形態に係る無線構成提案装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図13】第2実施形態に係る無線構成提案装置の動作の一例について説明するためのフローチャートである。
【
図14】各実施形態に係る処理を実行するハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本開示を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本開示を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお、以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様箇所には同一符号を付す。また、以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。また、図面中の矢印の向きは、一例を示すものであり、信号等の向きを限定するものではない。
【0014】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る無線構成提案装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態は、複数の無線回線を束ねて、スループットを拡張させる機能(マルチチャネルアグリゲーション)に関する。本実施形態の無線構成提案装置は、顧客要求に応じて、マルチチャネルアグリゲーションを構成する無線機器(ハードウェア)の組み合わせを含む提案情報を提案する。以下においては、無線回線が回線と略記される場合がある。
【0015】
(構成)
図1は、本実施形態に係る無線構成提案装置10の構成の一例を示すブロック図である。無線構成提案装置10は、取得部11、抽出部12、可用性計算部13、コスト計算部15、提案情報生成部16、および出力部17を備える。
【0016】
取得部11は、顧客要求に応じた顧客要求情報を取得する。例えば、顧客要求情報は、顧客が使用する端末装置(図示しない)を用いて入力される。例えば、取得部11は、インターネットなどのネットワークを介して、顧客要求情報を取得する。
【0017】
顧客要求情報は、顧客要求に応じた無線帯域情報およびサイト情報を含む。無線帯域情報は、ユーザが保有する無線チャネルに関する情報を含む。無線帯域情報は、顧客が使用可能な無線回線の周波数帯域幅、周波数、およびライセンス料金を含む。サイト情報は、無線機器を設置可能な場所の位置情報や、無線回線のLink Availability(以下、可用性)、無線回線のスループットを含む。例えば、顧客要求情報は、顧客が使用する端末装置(図示しない)を用いて入力される。
【0018】
図2は、無線帯域情報の一例を示すテーブル(無線帯域情報テーブル111)である。無線帯域情報テーブル111には、顧客の使用可能な周波数、周波数帯域幅(CS:Channel Separation)、顧客が保有するチャネル、チャネルごとのライセンス料金が含まれる。
【0019】
図3は、サイト情報の一例を示すテーブル(サイト情報テーブル112)である。サイト情報テーブル112には、無線回線の設置場所に関する位置情報、リンク間の距離、顧客要求を満たす可用性、および顧客要求を満たす要求スループットが含まれる。
【0020】
図4は、無線回線のスループットの一例について説明するための概念図である。周波数がA通り、周波数帯域がB通り、変調方式がC通り、回線数がD通りの場合、マルチチャネルアグリゲーションのスループットは、A×B×C×D通りである。すなわち、周波数や、周波数帯域幅、変調方式、回線数などのパラメータが増えるほど、束ねた回線で実現可能なスループットが増加する。
【0021】
無線回線が1回線であれば、周波数帯域幅、周波数、およびデータベースサーバ(図示しない)に格納された変調方式の組み合わせで、スループットが定まる。しかし、マルチチャネルアグリゲーションでは、複数の無線回線が組み合わされるため、周波数、周波数帯域幅、および変調方式の組み合わせがN通りあると、回線数に応じた組み合わせがある(Nは自然数)。例えば、1回線のアグリゲーションの場合、N通りの組み合わせがある。例えば、2回線のアグリゲーションの場合、N2通りの組み合わせがある。例えば、M回線のアグリゲーションの場合、NM通りの組み合わせがある(Mは自然数)。ただし、アグリゲーションできる回線数には上限がある。上限を超える回線数のアグリゲーションについては、検討されなくてよい。
【0022】
また、取得部11は、データベースサーバに蓄積された構成関連情報を取得する。構成関連情報は、マルチチャネルアグリゲーションの構成に用いられる情報を含む。構成関連情報は、無線データ、コストデータ、および年間降水量データを含む。例えば、取得部11は、顧客要求情報に含まれる無線帯域情報に基づいて、スループットの要求条件を満たす無線回線の組み合わせを抽出する。例えば、取得部11は、スループットの要求条件を満たす無線回線の組み合わせを全て抽出する。例えば、取得部11は、ユーザが使用可能な周波数および周波数帯域幅の組み合わせにおける変調方式の構成関連情報を、データベースサーバから取得する。また、取得部11は、周波数、周波数帯域幅、および変調方式を組み合わせた場合におけるスループットに関する構成関連情報を、データベースサーバから取得する。
【0023】
構成関連情報には、変調方式ごとに出力可能な最大パワーや、マルチチャネルアグリゲーションを構成する無線機器が配置される地域における年間降水量情報が含まれる。取得部11は、端末装置から取得したサイトの位置情報に基づいて、その地域の年間降水量データをデータベースサーバから取得する。
【0024】
抽出部12は、顧客要求情報に含まれる無線帯域から、顧客要求を満たすスループットを超える無線回線の組み合わせを抽出する。例えば、抽出部12は、抽出された無線回線の組み合わせから、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な無線回線の組み合わせを全て抽出する。抽出部12は、全てのアグリゲーションパターンにおいてスループットを算出する。抽出部12は、顧客の要求するスループットを満たす無線回線の組み合わせを抽出する。顧客の要求するスループットを満たす無線回線の組み合わせがなければ、抽出部12は、処理を終了させる。この場合、実現可能なスループットの値を算出し、算出された値を顧客に提示してもよい。このようにすれば、顧客は、スループットの要求値を変更して、組み合わせ計算処理(提案情報生成処理)を再要求できる。例えば、実現可能なスループットの値に応じた提案値を顧客に提示してもよい。例えば、提案値は、実現可能なスループットの最大値である。このようにすれば、顧客は、提案値に応じてスループットの要求値を変更して、組み合わせ計算処理(提案情報生成処理)を再要求できる。
【0025】
マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な無線回線の組み合わせは、回線間の遅延差や、使用されるモデム種別の違いによって判定できる。回線の遅延は、モデムの種類、屋外無線装置の種類、周波数、周波数帯域幅、および変調方式によって定まる。データベースサーバには、これらの全ての構成における遅延情報が記憶される。例えば、取得部11は、抽出された全ての無線回線の組み合わせにおける遅延情報を、データベースサーバに要求する。抽出部12は、データベースサーバから転送された遅延情報に基づいて、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な無線回線の組み合わせに関して、遅延が最大となる回線と遅延が最小となる回線との遅延差を計算する。抽出部12は、算出された遅延差に応じて、抽出された無線回線の組み合わせに関して、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能であるかを計算する。このようにして、抽出部12は、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な全ての無線回線の組み合わせを抽出する。マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な無線回線の組み合わせが1つもなければ、抽出部12は、候補がないことを示す情報を出力する。例えば、回線間の遅延差以外にも、モデム種別によるマルチチャネルアグリゲーションのアルゴリズムの違いなど、ベンダー固有の問題によりマルチチャネルアグリゲーションを構成できない組み合わせがある。例えば、構成できない組み合わせをデータベースサーバに登録しておき、抽出部12による抽出において構成できない組み合わせが除外されてもよい。
【0026】
〔検討要素〕
ここで、マルチチャネルアグリゲーションの構成における検討要素について説明する。具体的には、マルチチャネルアグリゲーションの構成における検討要素としては、スループット、Link Availability(可用性)、組み合わせ制限、およびコストの4つの要素があげられる。以下において、これらの4つの検討要素について個別に説明する。
【0027】
<スループット>
無線回線のスループットは、無線の周波数、周波数帯域幅、変調方式、および回線数によって定まる。マルチチャネルアグリゲーション機能により複数の回線を束ねる場合でも、これらのパラメータで決定される各回線におけるスループットの和により、束ねた回線のスループットが定まる。ここで、使用可能な2つの回線(第1回線、第2回線)がある事例を想定する。第1回線は、回線の周波数が15GHz(ギガヘルツ)、周波数帯域幅28MHz(メガヘルツ)、変調方式がQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、スループットが100Mbps(メガビット毎秒)である。第2回線は、回線の周波数が18GHz(ギガヘルツ)、周波数帯域幅56MHz(メガヘルツ)、変調方式が16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、スループットが250Mbps(メガビット毎秒)である。これらの回線を、マルチチャネルアグリゲーション機能を使用して束ねた場合のスループットは、第1回線のスループット(100Mbps)と第2回線のスループット(250Mbps)の和(350Mbps)である。
【0028】
上記のように、周波数や、周波数帯域幅、変調方式などのパラメータが一意に定まれば、マルチチャネルアグリゲーションの構成が決定される。しかし、実際には、これらのパラメータは一意ではない。顧客が保有する周波数と周波数帯域幅の組み合わせ(チャネル)は、複数ある。また、複数のチャネルにおいて使用可能な変調方式も、複数ある。
【0029】
<可用性>
無線回線の可用性は、周波数や、周波数帯域幅、変調方式、アンテナサイズ、リンク間距離、および大気の状態によって定まる。特定の回線を対象として可用性を計算する場合、リンク間距離は、一意に定まる。顧客が保有するチャネルと変調方式には複数の組み合わせがある。また、アンテナサイズにも複数の選択肢がある。そのため、これらの組み合わせの数だけ、可用性がある。可用性の算出において、逐次変化する大気の状態は、地域の年間降水量を用いて計算される。年間降水量は、機器の設置場所により異なる。また、組み合わせを行う回線数は、2種類とは限らない。例えば、各回線の変調方式を低く設定し、1回線当たりのスループットを落とす代わりに可用性を向上させれば、組み合わせ可能な回線数を増加できる。
【0030】
図5は、無線回線の可用性の一例について説明するための概念図である。周波数がA通り、周波数帯域がB通り、変調方式がC通り、アンテナゲインがE通りの場合、マルチチャネルアグリゲーションの可用性は、A×B×C×E通りである。すなわち、周波数や、周波数帯域幅、変調方式、アンテナサイズなどのパラメータが増えるほど、束ねた回線で実現可能な可用性が増加する。
【0031】
<組み合わせ制限>
マルチチャネルアグリゲーションによって複数の回線が束ねられる場合、回線によっては、組み合わせ制限が生じる場合がある。マルチチャネルアグリゲーションでは、分割された複数のパケットが、それぞれ異なる回線に送信される場合がある。そのような場合、各回線で送信された分割パケットは、受信側で併合される。遅延が非常に大きい回線と、遅延が非常に小さい回線との組み合わせで分割パケットが転送された場合、遅延が非常に小さい回線で送信されたパケットが、遅延が非常に大きい回線で送信されたパケットを待つことになる。パケットを待っている間、先行して到着したパケットが保持されるバッファが必要である。遅延差が大きすぎる場合、どれだけ大きいバッファがあっても、パケットを保持できなくなる可能性がある。このような場合、パケットロスが発生してしまう。そのため、遅延差が大きすぎる回線同士の組み合わせでは、マルチチャネルアグリゲーションによって回線を束ねることができない。また、遅延差以外でも、回線によって使用されるモデムの種類や、モデムに実装されるマルチチャネルアグリゲーションのアルゴリズムが異なることによって、回線を組み合わせられない場合もある。これらの組み合わせ制限は、非常に複雑であり、ベンダーに確認しないと分からない場合が多い。
【0032】
<コスト>
マルチチャネルアグリゲーションでは、組み合わせ制限の範囲内で、顧客が期待するスループットおよび可用性を満たす無線回線の組み合わせを選択することは非常に難しい。さらに、顧客要求を満たすスループットおよび可用性が得られる無線回線の組み合わせが見つかったとしても、どの組み合わせのコストが最適であるか判断する必要がある。マルチチャネルアグリゲーションに関するコストは、主に、ハードウェアコストと、使用される回線の使用料金とによって見積もられる。ハードウェアコストは、アンテナサイズや、モデム、屋外無線装置などの導入コスト(初期コスト)で見積もられる。回線の使用料金(運用コスト)は、周波数や周波数帯域幅で定まることが多いが、実際の使用料金は国ごとに異なる。
【0033】
組み合わせ制限がある中で、顧客の求めるスループットおよび可用性を満たし、最適なコストの組み合わせを顧客側で見つけることは難しい。また、無線機器を提供するベンダー側でも、顧客要求に沿った組み合わせを満たす提案をすることは、非常に困難である。
【0034】
可用性計算部13は、サイト情報に基づいて、抽出部12によって抽出されたマルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な全ての無線回線の組み合わせに関して、顧客要求に応じた可用性を満たす無線機器の構成を計算する。可用性計算部13は、周波数、周波数帯域幅、変調方式、アンテナゲイン、リンク間距離、および年間降水量を用いて、チャネルごとの可用性を計算する。アンテナゲインは、アンテナの種類やサイズによって定まるパラメータである。アンテナゲインは、データベースサーバから取得される。可用性計算部13は、これらのパラメータに基づいて、顧客要求に応じた可用性を満たすアンテナの種類およびサイズを含むパラメータの組み合わせを抽出する。例えば、可用性計算部13は、顧客要求に応じた可用性を満たすアンテナの種類およびサイズを含むパラメータの組み合わせを全て抽出する。
【0035】
顧客要求に応じた可用性を満たす組み合わせが1つもなければ、可用性計算部13は、候補なしとして処理を終了する。例えば、顧客要求に応じた可用性を満たす組み合わせが1つもない場合、可用性計算部13は、実現可能な可用性の値を算出し、算出された値を顧客に提示して処理終了してもよい。このようにすれば、顧客がスループットや可用性の要求値を変更することによって、組み合わせ計算処理(提案情報生成処理)を再要求できる。例えば、実現可能なスループットや可用性の値に応じた提案値を顧客に提示してもよい。例えば、提案値は、実現可能なスループットや可用性の最大値である。このようにすれば、顧客は、提案値に応じてスループットや可用性の要求値を変更して、組み合わせ計算処理(提案情報生成処理)を再要求できる。
【0036】
図6は、無線データの一例を示すテーブル(無線データテーブル115)である。無線データテーブル115には、周波数帯域幅、変調方式、最大パワー、スループット、対応モデム、対応屋外無線装置、および遅延時間が含まれる。
【0037】
図7は、コストデータの一例を示すテーブル(コストデータテーブル116)である。コストデータテーブル116には、屋外無線装置、モデム、およびアンテナサイズごとのコストが含まれる。
【0038】
図8は、年間降水量データの一例を示すテーブル(年間降水量データテーブル117)である。年間降水量データテーブル117には、代表的な都市の年間降水量が含まれる。例えば、年間降水量データテーブル117には、アムステルダムや、アテネ、バグダット、バンコク、バルセロナなどの年間降水量が含まれる。例えば、年間降水量データテーブル117は、アジアやヨーロッパなどのエリアごとにまとめられてもよい。
【0039】
コスト計算部15は、顧客要求に応じた可用性を満たす無線機器の構成に関して、コストを計算する。すなわち、コスト計算部15は、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な無線機器の組み合わせに関して、コストを計算する。例えば、コスト計算部15は、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な全ての無線機器の組み合わせに関して、コストを計算する。すなわち、コスト計算部15は、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能なハードウェア(無線機器)の組み合わせに基づいて、組み合わせごとのコストを計算する。
【0040】
コストには、初期コストと運用コストが含まれる。初期コストは、ハードウェアを導入するためのコストである。例えば、コスト計算部15は、モデム、屋外無線装置、アンテナサイズごとのコストの総和を、初期コストとして計算する。運用コストは、継続的に支払われる無線回線のライセンス料金(使用料金)に関するコストである。例えば、コスト計算部15は、初期コストと、10年間などの決められた期間における運用コストとの和を、コストとして計算する。初期コストは、マルチチャネルアグリゲーションの構成に含まれるモデム、屋外無線装置、およびアンテナの種類や台数によって決まる。単価の安い機器を少ない台数で構成できれば、初期コストが安くなる。また、ライセンス料金の安い回線を少ない本数で運用できれば、運用コストが安くなる。
【0041】
提案情報生成部16は、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な全ての無線機器の組み合わせに、算出されたコストが紐づけられた提案情報を生成する。提案情報には、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な全ての無線機器の組み合わせが含まれる。提案情報には、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な無線機器の組み合わせの各々に、コストが対応付けれる。
【0042】
例えば、提案情報生成部16は、スループットや可用性、コストなどに応じて、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な無線機器の組み合わせをランク付けしてもよい。無線機器の組み合わせのランクは、任意に設定できる。例えば、提案情報生成部16は、スループットが高い無線機器の組み合わせのランクを高く設定する。例えば、提案情報生成部16は、可用性が高い無線機器の組み合わせのランクを高く設定する。例えば、提案情報生成部16は、コストが安い無線機器の組み合わせのランクを高く設定する。
【0043】
図9は、提案情報生成部16によって生成された提案情報の一例を示すテーブル(提案情報テーブル161)である。提案情報テーブル161には、顧客要求に応じた可用性を満たす構成の候補と、それらの候補のコストが含まれる。
【0044】
出力部17は、提案情報生成部16によって生成された提案情報を、顧客が使用する端末装置に出力する。顧客が使用する端末装置の画面(図示しない)には、無線構成提案装置10から出力された提案情報が表示される。端末装置の画面に表示された提案情報を視認したユーザは、無線構成提案装置10によって生成された提案情報を確認できる。提案情報には、ユーザの要望に応じたマルチチャネルアグリゲーションを構成する無線機器の組み合わせが含まれる。ユーザは、提案情報に含まれる無線機器の組み合わせを参照して、マルチチャネルアグリゲーションを構成する無線機器を組み合わせについて検討できる。
【0045】
(動作)
次に、本実施形態に係る無線構成提案装置10の動作について図面を参照しながら説明する。
図10は、無線構成提案装置10の動作の一例について説明するためのフローチャートである。
図10のフローチャートに沿った処理に関する説明においては、無線構成提案装置10の構成要素を動作主体として説明する。
図10のフローチャートに沿った処理の動作主体は、無線構成提案装置10であってもよい。
【0046】
図10において、まず、無線構成提案装置10の取得部11は、顧客要求情報および構成要素関連情報を取得する(ステップS11)。
【0047】
次に、無線構成提案装置10の抽出部12は、要求されたスループットを超える無線回線の組み合わせを全て抽出する(ステップS12)。
【0048】
次に、無線構成提案装置10の抽出部12は、抽出された無線回線の組み合わせの中で、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な組み合わせを全て抽出する(ステップS13)。
【0049】
次に、無線構成提案装置10の抽出部12は、顧客要求情報のサイト情報に含まれる位置情報に基づいて、該当エリアの年間降水量を特定する(ステップS14)。
【0050】
次に、無線構成提案装置10の可用性計算部13は、構成関連情報を用いて、要求された可用性を満たす各組み合わせにおけるアンテナサイズを計算する(ステップS15)。
【0051】
次に、無線構成提案装置10のコスト計算部15は、マルチチャネルアグリゲーションの構成にかかるコストを計算する(ステップS16)。
【0052】
次に、無線構成提案装置10の提案情報生成部16は、マルチチャネルアグリゲーションの構成の組み合わせと、組み合わせごとのコストとを含む提案情報を生成する(ステップS17)。
【0053】
次に、無線構成提案装置10の出力部17は、生成された提案情報を出力する(ステップS18)。例えば、無線構成提案装置10から出力された提案情報は、顧客が使用する端末装置の画面(図示しない)に表示される。
【0054】
(無線構成提案システム)
図11は、無線構成提案装置10を含む無線構成提案システムを構成する構成要素間における情報のやり取りの一例を示す相関図である。無線構成提案システムは、サーバ100、端末装置110、およびデータベースサーバ120を含む。無線構成提案装置10は、サーバ100に実装される。例えば、端末装置110は、クライアントPC(Personal Computer)などのハードウェアによって実現される。例えば、端末装置110は、ネットワーク上の機器を監視するネットワーク管理システムNMS(Network Management System)によって実現されてもよい。データベースサーバ120には、提案情報の生成に用いられる構成関連情報が格納されたデータベースが実装される。
【0055】
端末装置110は、顧客(ユーザ)によって入力された顧客要求情報を受け付ける(ステップS101)。端末装置110は、受け付けた顧客要求情報をサーバ100に送信する(ステップS102)。
【0056】
サーバ100は、端末装置110から送信された顧客要求情報を受信する。サーバ100は、顧客要求情報の受信に応じて、データベースサーバ120に構成関連情報の送信要求を送信する(ステップS103)。
【0057】
データベースサーバ120は、サーバ100から送信された構成関連情報の送信要求を受信する。データベースサーバ120は、構成関連情報の送信要求の受信に応じて、サーバ100に構成関連情報を送信する(ステップS104)。
【0058】
サーバ100は、データベースサーバ120から送信された構成関連情報を受信する。サーバ100に実装された無線構成提案装置10は、顧客要求情報および構成関連情報を用いて、提案情報生成処理を実行する(ステップS105)。サーバ100は、提案情報生成処理によって生成された提案情報を端末装置110に送信する(ステップS106)。
【0059】
端末装置110は、サーバ100から送信された提案情報を受信する。端末装置110は、受信された提案情報を画面(図示しない)に表示させる(ステップS107)。端末装置110の画面に表示された提案情報を視認したユーザは、無線構成提案装置10によって生成された提案情報を確認できる。提案情報には、ユーザの要望に応じたマルチチャネルアグリゲーションを構成する無線機器の組み合わせが含まれる。ユーザは、提案情報に含まれる無線機器の組み合わせを参照して、マルチチャネルアグリゲーションを構成する無線機器を組み合わせについて検討できる。
【0060】
以上のように、本実施形態の無線構成提案装置は、取得部、抽出部、可用性計算部、コスト計算部、提案情報生成部、および出力部を備える。取得部は、顧客要求を含む顧客要求情報と、マルチチャネルアグリゲーションの構成に用いられる構成関連情報とを取得する。抽出部は、顧客要求に応じた周波数帯域幅に応じて、顧客要求に応じたスループットを超える無線回線の組み合わせを抽出する。可用性計算部は、抽出された無線回線の組み合わせに関して、顧客要求に応じた可用性を満たす無線機器の組み合わせを計算する。コスト計算部は、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な無線機器の組み合わせごとのコストを計算する。提案情報生成部は、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な無線機器の組み合わせに、算出されたコストが紐づけられた提案情報を生成する。出力部は、生成された提案情報を出力する。
【0061】
本実施形態の無線構成提案装置は、顧客要求を含む顧客要求情報と、構成関連情報とに基づいて、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な無線機器の組み合わせにコストが紐づけられた提案情報を生成する。本実施形態によれば、顧客要求に応じて、マルチチャネルアグリゲーションを構成する無線機器の組み合わせを含む提案情報を提供できる。
【0062】
本実施形態によれば、顧客は、自らが保有する回線情報に基づいてコストが最適化されたマルチチャネルアグリゲーションの構成を、ベンダーへ問い合わせずに認識できる。また、ベンダーは、顧客要求を満たす機器情報を効率的に提供できるため、機器の販売機会を増やすことができる。
【0063】
本実施形態の一態様のコスト計算部は、初期コストと運用コストとの和を、コストとして算出する。初期コストは、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な無線機器の組み合わせごとのアンテナサイズ、モデム、および屋外無線装置に関するコストである。運用コストは、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な組み合わせごとの無線回線の使用料金に関する。本態様によれば、初期コストおよび運用コストに基づいて、提案情報に含まれるコストを具体的に見積もることができる。
【0064】
本実施形態の一態様の可用性計算部は、顧客要求に応じた可用性を満たすアンテナの種類およびサイズに応じて、無線機器の組み合わせを抽出する。本態様によれば、顧客要求に応じた可用性を満たすアンテナの種別に基づいて、具体的な無線機器の組み合わせを抽出できる。
【0065】
本実施形態の一態様の可用性計算部は、顧客が保有する周波数および周波数帯域幅、変調方式、年間降水量、アンテナゲイン、およびリンク間距離に基づいて、顧客が保有する周波数と周波数帯域幅の組み合わせに相当するチャネルごとの可用性を計算する。変調方式および年間降水量は、構成関連情報に含まれる。アンテナゲインは、アンテナの種類およびサイズに応じて定まる。本態様によれば、顧客が保有する周波数と周波数帯域幅に応じたチャネルごとの可用性を計算できる。
【0066】
本実施形態の一態様の抽出部は、無線回線の組み合わせ制限に従って、顧客要求情報に含まれる顧客要求に応じたスループットを超える無線回線の組み合わせを抽出する。本態様によれば、組み合わせが制限された無線回線が除かれ、実際に使用可能な無線回線を抽出できる。
【0067】
本実施形態の一態様の取得部は、抽出された無線回線の組み合わせにおける遅延情報を取得する。抽出部は、取得された遅延情報に基づいて、遅延が最大となる無線回線と遅延が最小となる無線回線の遅延差の組み合わせを抽出する。抽出部は、抽出された無線回線の組み合わせに関して、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能であるか計算する。本態様によれば、無線回線の組み合わせにおける遅延情報に基づいて、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な無線回線の組み合わせを計算できる。
【0068】
本実施形態の一態様の無線構成提案システムは、サーバ、端末装置、およびデータベースサーバを備える。サーバには、本実施形態に係る無線構成提案装置が実装される。端末装置は、無線帯域情報およびサイト情報を含む顧客要求情報の入力を受け付ける。端末装置は、入力された顧客要求情報を無線構成提案装置に送信する。データベースサーバには、マルチチャネルアグリゲーションの構成に用いられる構成関連情報が蓄積される。データベースサーバは、無線構成提案装置からの要求に応じて、構成関連情報を無線構成提案装置に送信する。本態様によれば、顧客要求に応じて、マルチチャネルアグリゲーションを構成する無線機器の組み合わせを含む提案情報を提供するシステムを構成できる。
【0069】
本実施形態の一態様の無線構成提案システムにおいて、端末装置の画面には、顧客要求情報に応じて無線構成提案装置によって生成された提案情報が表示される。本態様によれば、端末装置の画面を介して、顧客要求に応じたマルチチャネルアグリゲーションを構成する無線機器の組み合わせを含む提案情報を顧客に提供できる。
【0070】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る無線構成提案装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る無線構成提案装置は、第1実施形態に係る無線構成提案装置を簡略化した構成である。
【0071】
(構成)
図12は、本実施形態に係る無線構成提案装置20の構成の一例を示すブロック図である。無線構成提案装置20は、取得部21、抽出部22、可用性計算部23、コスト計算部25、提案情報生成部26、および出力部27を備える。
【0072】
取得部21は、顧客要求を含む顧客要求情報と、マルチチャネルアグリゲーションの構成に用いられる構成関連情報とを取得する。抽出部22は、顧客要求に応じた周波数帯域幅に応じて、顧客要求に応じたスループットを超える無線回線の組み合わせを抽出する。可用性計算部23は、抽出された無線回線の組み合わせに関して、顧客要求に応じた可用性を満たす無線機器の組み合わせを計算する。コスト計算部25は、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な無線機器の組み合わせごとのコストを計算する。提案情報生成部26は、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な無線機器の組み合わせに、算出されたコストが紐づけられた提案情報を生成する。出力部27は、生成された提案情報を出力する。
【0073】
(動作)
次に、本実施形態に係る無線構成提案装置20の動作について図面を参照しながら説明する。
図13は、無線構成提案装置20の動作の一例について説明するためのフローチャートである。
図13のフローチャートに沿った処理に関する説明においては、無線構成提案装置20の構成要素を動作主体として説明する。
図13のフローチャートに沿った処理の動作主体は、無線構成提案装置20であってもよい。
【0074】
図13において、まず、無線構成提案装置20の取得部21は、顧客要求を含む顧客要求情報と、マルチチャネルアグリゲーションの構成に用いられる構成関連情報とを取得する(ステップS21)。
【0075】
次に、無線構成提案装置20の抽出部22は、顧客要求に応じた周波数帯域幅に応じて、顧客要求に応じたスループットを超える無線回線の組み合わせを抽出する(ステップS22)。
【0076】
次に、無線構成提案装置20の可用性計算部23は、抽出された無線回線の組み合わせに関して、顧客要求に応じた可用性を満たす無線機器の組み合わせを計算する(ステップS23)。
【0077】
次に、無線構成提案装置20のコスト計算部25は、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な無線機器の組み合わせごとのコストを計算する(ステップS24)。
【0078】
次に、無線構成提案装置20の提案情報生成部26は、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な無線機器の組み合わせに、算出されたコストが紐づけられた提案情報を生成する(ステップS25)。
【0079】
次に、無線構成提案装置20の出力部27は、生成された提案情報を出力する(ステップS26)。
【0080】
本実施形態の無線構成提案装置は、顧客要求を含む顧客要求情報と、構成関連情報とに基づいて、マルチチャネルアグリゲーションの構成が可能な無線機器の組み合わせにコストが紐づけられた提案情報を生成する。本実施形態によれば、顧客要求に応じて、マルチチャネルアグリゲーションを構成する無線機器の組み合わせを含む提案情報を提供できる。
【0081】
(ハードウェア)
次に、本開示の各実施形態に係る制御や処理を実行するハードウェア構成について、図面を参照しながら説明する。ここでは、そのようなハードウェア構成の一例として、
図14の情報処理装置90(コンピュータ)をあげる。
図14の情報処理装置90は、各実施形態の制御や処理を実行するための構成例であって、本開示の範囲を限定するものではない。
【0082】
図14のように、情報処理装置90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96を備える。
図14においては、インターフェースをI/F(Interface)と略記する。プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96は、バス98を介して、互いにデータ通信可能に接続される。また、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、および入出力インターフェース95は、通信インターフェース96を介して、インターネットやイントラネットなどのネットワークに接続される。
【0083】
プロセッサ91は、補助記憶装置93等に格納されたプログラム(命令)を、主記憶装置92に展開する。例えば、プログラムは、各実施形態の制御や処理を実行するためのソフトウェアプログラムである。プロセッサ91は、主記憶装置92に展開されたプログラムを実行する。プロセッサ91は、プログラムを実行することによって、各実施形態に係る制御や処理を実行する。
【0084】
主記憶装置92は、プログラムが展開される領域を有する。主記憶装置92には、プロセッサ91によって、補助記憶装置93等に格納されたプログラムが展開される。主記憶装置92は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリによって実現される。また、主記憶装置92として、MRAM(Magneto resistive Random Access Memory)などの不揮発性メモリが構成/追加されてもよい。
【0085】
補助記憶装置93は、プログラムなどの種々のデータを記憶する。補助記憶装置93は、ハードディスクやフラッシュメモリなどのローカルディスクによって実現される。なお、種々のデータを主記憶装置92に記憶させる構成とし、補助記憶装置93を省略することも可能である。
【0086】
入出力インターフェース95は、規格や仕様に基づいて、情報処理装置90と周辺機器とを接続するためのインターフェースである。通信インターフェース96は、規格や仕様に基づいて、インターネットやイントラネットなどのネットワークを通じて、外部のシステムや装置に接続するためのインターフェースである。外部機器と接続されるインターフェースとして、入出力インターフェース95と通信インターフェース96とが共通化されてもよい。
【0087】
情報処理装置90には、必要に応じて、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力機器が接続されてもよい。それらの入力機器は、情報や設定の入力に使用される。入力機器としてタッチパネルが用いられる場合、タッチパネルの機能を有する画面がインターフェースになる。プロセッサ91と入力機器とは、入出力インターフェース95を介して接続される。
【0088】
情報処理装置90には、情報を表示するための表示機器が備え付けられてもよい。表示機器が備え付けられる場合、情報処理装置90には、表示機器の表示を制御するための表示制御装置(図示しない)が備えられる。情報処理装置90と表示機器は、入出力インターフェース95を介して接続される。
【0089】
情報処理装置90には、ドライブ装置が備え付けられてもよい。ドライブ装置は、プロセッサ91と記録媒体(プログラム記録媒体)との間で、記録媒体に格納されたデータやプログラムの読み込みや、情報処理装置90の処理結果の記録媒体への書き込みを仲介する。情報処理装置90とドライブ装置は、入出力インターフェース95を介して接続される。
【0090】
以上が、本開示の各実施形態に係る制御や処理を可能とするためのハードウェア構成の一例である。
図14のハードウェア構成は、各実施形態に係る制御や処理を実行するためのハードウェア構成の一例であって、本開示の範囲を限定するものではない。各実施形態に係る制御や処理をコンピュータに実行させるプログラムも、本開示の範囲に含まれる。
【0091】
各実施形態に係るプログラムを記録したプログラム記録媒体も、本開示の範囲に含まれる。記録媒体は、例えば、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体で実現できる。記録媒体は、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)カードなどの半導体記録媒体によって実現されてもよい。また、記録媒体は、フレキシブルディスクなどの磁気記録媒体、その他の記録媒体によって実現されてもよい。プロセッサが実行するプログラムが記録媒体に記録されている場合、その記録媒体はプログラム記録媒体に相当する。
【0092】
各実施形態の構成要素は、任意に組み合わせられてもよい。各実施形態の構成要素は、ソフトウェアによって実現されてもよい。各実施形態の構成要素は、回路によって実現されてもよい。
【0093】
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0094】
10、20 無線構成提案装置
11、21 取得部
12、22 抽出部
13、23 可用性計算部
15、25 コスト計算部
16、26 提案情報生成部
17、27 出力部
100 サーバ
110 端末装置
120 データベースサーバ