(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167667
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23N 5/20 20060101AFI20241127BHJP
F24H 1/12 20220101ALI20241127BHJP
F24H 15/10 20220101ALI20241127BHJP
F24H 15/219 20220101ALI20241127BHJP
F24H 15/36 20220101ALI20241127BHJP
F23N 5/00 20060101ALI20241127BHJP
F24H 15/238 20220101ALI20241127BHJP
【FI】
F23N5/20 H
F24H1/12 B
F24H15/10
F24H15/219
F24H15/36
F23N5/00 C
F24H15/238
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083894
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】春本 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐介
【テーマコード(参考)】
3K003
3K005
3L034
【Fターム(参考)】
3K003EA01
3K003EA02
3K003FA01
3K003FB01
3K003FC04
3K003GA03
3K005GA15
3K005JA03
3L034BA22
3L034BA25
3L034BA26
3L034BB03
(57)【要約】
【課題】熱交換器における結露の発生を低減させることができる燃焼装置を提供すること。
【解決手段】要求熱量に応じた燃焼熱を発生させる燃焼手段(10)と、燃焼手段(10)に燃焼用空気を供給する送風手段(2)と、燃焼熱により流体を加熱する熱交換器(3)と、熱交換器(3)を流通する流体の流量を調整する流量調整手段(4,5)と、熱交換器(3)で加熱された流体の温度を検知する温度検知手段(6)と、燃焼手段(10)の燃焼制御及び流量調整手段の流量制御を行う制御手段(20)を備えた燃焼装置(1)において、制御手段(20)は、燃焼状態を継続する連続燃焼モードと、燃焼状態と燃焼停止状態を交互に繰り返して燃焼熱を断続的に発生させる間欠燃焼モードの何れか一方を選択して燃焼制御を行うと共に、温度検知手段(6)の検知温度が所定の設定温度に維持されるように流量制御を行い、間欠燃焼モードの流量制御では、燃焼停止状態へ移行する際に熱交換器(3)を流通する流体の流量を燃焼状態よりも減少させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
要求熱量に応じた燃焼熱を発生させる燃焼手段と、前記燃焼手段に燃焼用空気を供給する送風手段と、前記燃焼熱によって流体を加熱する熱交換器と、前記熱交換器を流通する流体の流量を調整する流量調整手段と、前記熱交換器で加熱された流体の温度を検知する温度検知手段と、前記燃焼手段の燃焼制御及び前記流量調整手段の流量制御を行う制御手段を備えた燃焼装置において、
前記制御手段は、燃焼状態を継続する連続燃焼モードと、燃焼状態と燃焼停止状態を交互に繰り返して燃焼熱を断続的に発生させる間欠燃焼モードの何れか一方を選択して前記燃焼制御を行うと共に、前記温度検知手段の検知温度が所定の設定温度に維持されるように前記流量制御を行い、
前記間欠燃焼モードの前記流量制御では、前記制御手段は燃焼停止状態へ移行する際に、前記熱交換器を流通する流体の流量を燃焼状態よりも減少させることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記間欠燃焼モードでは、燃焼状態で前記温度検知手段の検知温度が前記設定温度を中心とする設定温度帯の上限温度以上になった場合に燃焼停止状態に移行し、燃焼状態で前記温度検知手段の検知温度が前記設定温度を超えてから前記上限温度に到達する前に前記熱交換器を流通する流体の流量を減少させることを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記間欠燃焼モードでは、燃焼状態で前記温度検知手段の検知温度が前記設定温度を中心とする設定温度帯の上限温度以上になった場合に燃焼停止状態に移行し、燃焼停止状態に移行してから前記温度検知手段の検知温度が下がり始めたときに前記熱交換器を流通する流体の流量を減少させることを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記間欠燃焼モードでは、燃焼停止状態で前記温度検知手段の検知温度が前記設定温度よりも低下してから前記設定温度帯の下限温度になる前に燃焼状態に移行することを特徴とする請求項2又は3に記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記熱交換器を流通する流体の流量検知手段を備え、
前記制御手段は、前記流量検知手段によって流体の流通停止を検知した場合に前記燃焼手段の燃焼を終了して前記送風手段により燃焼ガスのパージ動作を行い、
前記間欠燃焼モードでの燃焼終了時の前記パージ動作では、前記連続燃焼モードでの燃焼終了時の前記パージ動作よりもパージ風量を増加させることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料の燃焼熱を利用して流体を加熱する燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば燃料ガスをバーナで燃焼させ、この燃焼熱を利用して熱交換器で流体を加熱する燃焼装置が利用されている。この燃焼装置を有する例えば特許文献1の給湯装置は、熱交換器に上水を流通させ、熱交換器で加熱された湯水と非加熱の上水とを混合することによって温度を調整して給湯する。熱交換器はフィンアンドチューブ型熱交換器であり、複数のフィンが設けられた水管に上水を流通させ、フィンの間に燃焼ガスを流通させる。燃焼装置の燃焼量は、給湯の要求熱量に応じて制御される。
【0003】
また、特許文献2のように、燃焼装置の熱交換器に暖房熱媒を流通させ、熱交換器で加熱された暖房熱媒を暖房端末である温水マットに供給するように構成された温水暖房装置が知られている。この燃焼装置の熱交換器は、燃焼ガスの顕熱を回収する一次熱交換器と、顕熱が回収された燃焼ガスの潜熱を回収する二次熱交換器を備えており、二次熱交換器で燃焼ガス中の水分が結露する。一次熱交換器はフィンアンドチューブ型熱交換器であり、二次熱交換器は、燃焼ガスに含まれる窒素酸化物等が溶解した強酸性の結露によって腐食しない複数の細い水菅によって形成されることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-21443号公報
【特許文献2】特開2010-117100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の給湯装置は、例えば小流量の給湯が可能なように、燃焼装置において間欠燃焼をさせることによって発生させる燃焼熱を少なくする。間欠燃焼において燃焼停止状態に移行したときに行う掃気では、上水が流通する熱交換器の温度は上昇し過ぎることがないので、上水の流通が停止する燃焼終了時の掃気よりも送風量を少なくしている。しかし、燃焼熱量が小さい間欠燃焼では燃焼ガスの温度が下がり易く、燃焼ガス中の水分が熱交換器の表面で凝縮して結露する虞があり、結露がバーナに落下して燃焼の不具合を発生させる虞がある。また、強酸性の結露は、熱交換器を腐食させ、熱交換が妨げられると共に、熱交換器の耐久性を劣化させる。
【0006】
特許文献2の温水暖房装置は、温度が低下して燃焼装置に戻ってくる暖房熱媒を再加熱して温水マットに供給する。暖房開始からある程度時間が経過すると、燃焼装置に戻ってくる暖房熱媒の温度の低下が小さくなるので、発生させる燃焼熱量を小さくするために燃焼装置において間欠燃焼させる。温度低下が小さい暖房熱媒なので上水よりも高温であり熱交換器での結露は発生し難いが、燃焼ガスの温度が低下し易く、二次熱交換器を通過した燃焼ガスが排気筒内で結露する虞がある。それ故、間欠運転が一定時間以上継続している場合に、燃焼量を増加させて結露を乾燥させる結露乾燥モード運転を行う。しかし、間欠運転時に途中で燃焼熱量を増加させることは、例えば給湯用の燃焼装置の場合には給湯する湯水が高温になって危険であり、用途によって結露を乾燥させることが困難な場合がある。
【0007】
そこで、本発明は、熱交換器における結露の発生を低減させることができる燃焼装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明の燃焼装置は、要求熱量に応じた燃焼熱を発生させる燃焼手段と、前記燃焼手段に燃焼用空気を供給する送風手段と、前記燃焼熱によって流体を加熱する熱交換器と、前記熱交換器を流通する流体の流量を調整する流量調整手段と、前記熱交換器で加熱された流体の温度を検知する温度検知手段と、前記燃焼手段の燃焼制御及び前記流量調整手段の流量制御を行う制御手段を備えた燃焼装置において、前記制御手段は、燃焼状態を継続する連続燃焼モードと、燃焼状態と燃焼停止状態を交互に繰り返して燃焼熱を断続的に発生させる間欠燃焼モードの何れか一方を選択して前記燃焼制御を行うと共に、前記温度検知手段の検知温度が所定の設定温度に維持されるように前記流量制御を行い、前記間欠燃焼モードの前記流量制御では、前記制御手段は燃焼停止状態へ移行する際に、前記熱交換器を流通する流体の流量を燃焼状態よりも減少させることを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、燃焼装置は、連続燃焼モードと間欠燃焼モードの何れか一方で燃焼制御され、その燃焼熱を利用して熱交換器を流通する流体を加熱する。このとき、加熱された流体の温度が所定の設定温度となるように、熱交換器を流通する流体の流量が調整される。そして間欠燃焼モードでは、燃焼状態から燃焼停止状態への移行の際に、熱交換器を流通する流体の流量を燃焼状態の流量よりも減少させる。それ故、流体への熱の移動が緩やかになって熱交換器が冷却され難くなり、結露が発生し難くなるので、熱交換器における結露の発生を低減させることができる。
【0010】
請求項2の発明の燃焼装置は、請求項1の発明において、前記制御手段は、前記間欠燃焼モードでは、燃焼状態で前記温度検知手段の検知温度が前記設定温度を中心とする設定温度帯の上限温度以上になった場合に燃焼停止状態に移行し、燃焼状態で前記温度検知手段の検知温度が前記設定温度を超えてから前記上限温度に到達する前に前記熱交換器を流通する流体の流量を減少させることを特徴としている。
上記構成によれば、燃焼装置は、燃焼状態において温度検知手段の検知温度が設定温度を中心とする設定温度帯の上限温度以上になった場合に、燃焼停止状態に移行する。この燃焼停止状態への移行の際、温度検知手段の検知温度が設定温度を超えて上限温度に到達する前に、熱交換器を流通する流体の流量を減少させる。従って、燃焼停止状態への移行前に燃焼熱で熱交換器の温度を上昇させることができるので、熱交換器に結露が発生していても蒸発を促進させることができる。また、熱交換器が冷却され難くなり、結露の発生を低減させることができる。
【0011】
請求項3の発明の燃焼装置は、請求項1の発明において、前記制御手段は、前記間欠燃焼モードでは、燃焼状態で前記温度検知手段の検知温度が前記設定温度を中心とする設定温度帯の上限温度以上になった場合に燃焼停止状態に移行し、燃焼停止状態に移行してから前記温度検知手段の検知温度が下がり始めたときに前記熱交換器を流通する流体の流量を減少させることを特徴としている。
上記構成によれば、燃焼装置は、燃焼状態において温度検知手段の検知温度が設定温度を中心とする設定温度帯の上限温度以上になった場合に、燃焼停止状態に移行する。この燃焼停止状態への移行の際、温度検知手段の検知温度が下がり始めたときに、熱交換器を流通する流体の流量を減少させる。従って、熱交換器が冷却され難くなり、結露の発生を低減させることができる。
【0012】
請求項4の発明の燃焼装置は、請求項2又は3の発明において、前記制御手段は、前記間欠燃焼モードでは、燃焼停止状態で前記温度検知手段の検知温度が前記設定温度よりも低下してから前記設定温度帯の下限温度になる前に燃焼状態に移行することを特徴としている。
上記構成によれば、燃焼停止状態から燃焼状態に移行する際、温度検知手段の検知温度が設定温度帯の下限温度まで低下する前に燃焼状態に移行する。従って、燃焼状態への移行を早めて熱交換器で加熱された湯水の温度が下がり過ぎないようにすることができる。また、熱交換器の温度が下がり過ぎないので、熱交換器における結露の発生を低減させることができる。
【0013】
請求項5の発明の燃焼装置は、請求項1~3の何れか1項の発明において、前記熱交換器を流通する流体の流量検知手段を備え、前記制御手段は、前記流量検知手段によって流体の流通停止を検知した場合に前記燃焼手段の燃焼を終了して前記送風手段により燃焼ガスのパージ動作を行い、前記間欠燃焼モードでの燃焼終了時の前記パージ動作では、前記連続燃焼モードでの燃焼終了時の前記パージ動作よりもパージ風量を増加させることを特徴としている。
上記構成によれば、燃焼装置は流量検知手段によって熱交換器を流通する流体の流通停止、即ち流体の使用終了を検知すると、燃焼を終了させ、内部に残存する燃焼ガスを排気すると共に熱交換器を冷却するパージ動作を行う。そして、間欠燃焼モードで燃焼終了したときには、パージ動作のパージ風量を、連続燃焼モードで燃焼終了したときのパージ動作のパージ風量よりも増加させる。間欠燃焼によって熱交換器に結露が発生していても、パージ風量の増加によって燃焼ガスを排気すると共に結露の蒸発を促進させて、熱交換器に対する結露の影響を抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の燃焼装置によれば、熱交換器における結露の発生を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例に係る燃焼装置を有する給湯装置の構成図である。
【
図2】実施例に係る給湯運転の制御フローチャートである。
【
図3】実施例に係る燃焼制御のフローチャートである。
【
図4】連続燃焼モードのタイムチャートの例である。
【
図5】間欠燃焼モードのタイムチャートの第1の例である。
【
図6】間欠燃焼モードのタイムチャートの第2の例である。
【
図7】間欠燃焼モードのタイムチャートの第3の例である。
【
図8】間欠燃焼モードが一定時間継続した場合のタイムチャートの例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例0017】
最初に、本発明の燃焼装置が適用された給湯装置について説明する。
図1に示すように、燃焼装置1は、燃焼手段10と、送風手段として送風ファン2と、熱交換器3と、流量調整手段として分配弁4及び流量調整弁5と、温度検知手段として熱交出口温度センサ6と、流量検知手段として流量センサ16と、制御手段として制御部20を有する。熱交換器3の入口には給水通路8が接続され、熱交換器3の出口には給湯通路9が接続されている。分配弁4と流量センサ16は、給水通路8に配設されている。流量調整弁5と熱交出口温度センサ6は、給湯通路9に配設されている。
【0018】
燃焼手段10は、燃料供給部11と、バーナ12と、点火装置13と、立ち消え安全装置14を有する。燃料供給部11は、バーナ12に燃料ガスを供給する。点火装置13は燃料ガスが供給されるバーナ12に点火する。バーナ12は、送風ファン2から供給される燃焼用空気を使用して燃料ガスを燃焼させ、高温の燃焼ガスを発生させる。熱交換器3は、この燃焼ガスの熱(燃焼熱)を利用して、熱交換器3を流通する流体として給水通路8から供給される上水を加熱する。熱交換器3で加熱された湯水は、給湯通路9に出湯される。上水の加熱に利用された燃焼ガスは、排気口15から外部に排気される。
【0019】
バーナ12は、燃焼ガスを発生させるための複数の燃焼区画(例えば3つの燃焼区画12a~12c)を有する。燃料供給部11は、燃焼量の調整のために燃焼区画毎に燃料ガスの供給/停止を切替える複数の切替電磁弁11a~11cと、ガス流量調整弁11dと、元ガス電磁弁11eを有する。元ガス電磁弁11eは、ガス流量調整弁11dへの燃料ガスの供給/停止を切替える。ガス流量調整弁11dは、切替電磁弁11a~11cへの燃料ガスの供給流量を調整する。
【0020】
燃焼手段10の燃焼量は、燃焼させる燃焼区画の切替えと、燃料ガスの供給流量及び送風ファン2の送風量によって調整される。制御部20は、送風ファン2の送風量と、切替電磁弁11a~11cの開閉と、ガス流量調整弁11dの開度調整によって、燃焼区画及び燃焼量を調整する。尚、最初に燃焼が開始される燃焼区画12aは、他の燃焼区画よりも小さい最小燃焼量の燃焼が可能である。
【0021】
給水通路8は、分配弁4と熱交換器3の間に、入水温度センサ7を有する。入水温度センサ7は、熱交換器3に流入する上水の温度(入水温度)を検知する。給水通路8の分配弁4と熱交換器3の間に配設された流量センサ16は、熱交換器3に流入する上水の流量(入水流量)を検知する。
【0022】
熱交換器3は、燃焼ガスの顕熱を回収して上水を加熱する一次熱交換器3aと、顕熱回収後の燃焼ガスの潜熱を回収して上水を加熱する二次熱交換器3bを有する。給水通路8から流入する上水は、二次熱交換器3bと一次熱交換器3aを通過する際に加熱され、給湯通路9に出湯される。尚、熱交換器3は、一次熱交換器3aのみで構成されていてもよい。一次熱交換器3aは水管に複数のフィンが取付けられたフィンアンドチューブ型の熱交換器であり、熱伝導性に優れた水管内に上水を流通させ、水管の周囲において複数のフィンの間を通過する燃焼ガスと上水の間で熱交換させる。
【0023】
二次熱交換器3bは、例えば耐腐食性に優れた複数の細い水管内に上水を流通させ、複数の水管の周囲を通過する燃焼ガスと上水の間で熱交換させる。このとき、二次熱交換器3bには、燃焼ガスに含まれる水分が冷却されて結露が発生する。この結露は、燃焼ガスに含まれる例えば窒素酸化物が溶解しているため強酸性であるが、耐腐食性の二次熱交換器3bは腐食しない。二次熱交換器3bの下方のドレンパン3cに落下した結露は、中和器3dに導入され、中和されて外部に排水される。
【0024】
分配弁4において、熱交換器3をバイパスするバイパス通路17が給水通路8から分岐され、給湯通路9の流量調整弁5よりも上流側に接続されている。制御部20は、熱交換器3側とバイパス通路17側に上水を分配する分配弁4の分配比調整によって、熱交換器3に流入する上水の流量を調整する。そして制御部20は、この分配比調整と燃焼手段10の燃焼量の調整によって、熱交換器3で加熱された湯水の温度(熱交出口温度)を調整する。また、例えば高温且つ流量が大きい給湯のため燃焼量が不足する場合には、流量調整弁5を調整して熱交換器3に流入する上水の流量を絞り、高温の給湯を行う。
【0025】
制御部20は、分配比調整によって、熱交換器3で加熱された湯水にバイパス通路17からの上水を混合し、給湯通路9から外部に供給される湯水の給湯温度を調整する。分配弁4は、給湯使用がない待機時には、例えばバイパス通路17側への分配が多くなる所定の分配比となるように調整される。尚、分配比は、上水の供給流量に対するバイパス通路17の流量の割合とする。
【0026】
上記のように制御部20は、燃焼手段10の燃焼量を調整する燃焼制御と、分配弁4の分配比調整及び流量調整弁5の流量調整による流量制御を行う。この燃焼制御と流量制御によって、給湯通路9に装備された給湯温度センサ18の検知温度が、例えば不図示の操作リモコンから設定された給湯目標温度になるように調整して給湯するように、給湯装置30が構成されている。
【0027】
給湯装置30は不図示の浴槽の湯水の追焚き機能を備えており、燃焼装置1は追焚きバーナ31と追焚き熱交換器32を有する。そして給湯装置30は、浴槽と追焚き熱交換器32の間で浴槽の湯水を循環させるために、追焚き通路33とふろポンプ34を有する。また、給湯通路9の流量調整弁5において給湯通路9から分岐された注湯通路35が、ふろポンプ34を介して追焚き通路33に接続されている。注湯通路35は注湯電磁弁36を有し、この注湯電磁弁36を開けることにより、注湯通路35と追焚き通路33を介して熱交換器3で加熱された湯水を浴槽に供給する湯張り運転を行うことができる。
【0028】
制御部20は、給湯先の例えば給湯栓が開けられて給湯使用が開始されたことを検知して給湯を開始することができるように、給湯運転制御を常時行っている。この制御部20の給湯運転制御について、
図2のフローチャートに基づいて説明する。図中のSi(i=1,2,・・・)はステップを表す。
【0029】
最初にS1において、入水流量と入水温度と給湯目標温度を取得してS2に進む。そしてS2において、入水流量と分配弁4の分配比から算出される燃焼装置1への上水の供給流量、即ち給湯装置30の給湯流量が、最小作動流量以上か否か判定する。最小作動流量は、給湯目標温度に調整して給湯可能な最小流量として、例えば燃焼装置1の能力等に応じて設定されている。
【0030】
S2の判定がYesの場合はS3に進み、S3において入水流量と入水温度と給湯目標温度に基づいて給湯目標温度の給湯のための要求熱量を設定して、S4に進む。要求熱量の設定により、燃焼装置1が燃焼中であれば燃焼制御により要求熱量に応じた燃焼量に調整され、燃焼装置1が待機中であれば燃焼制御が開始される。そしてS4において、給湯目標温度の湯水を早く安定的に供給可能なように熱交換器3の入水流量及び給湯流量の流量制御を行って、S1に戻る。給湯装置30は、燃焼制御と流量制御を給湯使用の温度及び流量の変化に応じて行うことにより、給湯目標温度の湯水を安定的に供給する。
【0031】
一方、給湯流量が最小作動流量未満でありS2の判定がNoの場合はS5に進み、S5において燃焼制御中であるか否か判定する。給湯使用が開始されていないためS5の判定がNoの場合はS1に戻る。S5の判定がYesの場合は、給湯使用の開始後に給湯流量が最小作動流量未満になったことを給湯使用終了とみなしてS6に進む。そしてS6において、給湯終了動作を行って給湯運転制御を終了し、次の給湯使用に備えて給湯運転制御を開始する。尚、S6からS1に戻るようにしてもよい。
【0032】
次に制御部20の燃焼制御について、
図3に基づいて説明する。
給湯運転制御において要求熱量が設定されると燃焼制御が開始され、S11において要求熱量がゼロよりも大きいか否か判定する。S11の判定がYesの場合はS12に進み、S12において要求熱量が最小連続燃焼熱量以上か否か判定する。最小連続燃焼熱量は、バーナ12の最小燃焼状態で連続的に発生させることができる燃焼熱量であり、燃焼装置1の能力によって定まっている。
【0033】
S12の判定がYesの場合はS13に進み、S13において連続燃焼モードを選択してS14に進む。次にS14において、要求熱量に基づいて、熱交出口温度センサ6によって検知される熱交換器3で加熱された湯水の温度(熱交出口温度)の目標温度を設定し、これを設定温度としてS15に進む。そしてS15において、熱交出口温度が設定温度になるように、連続燃焼させる燃焼装置1の燃焼量を調整してS11に戻る。
【0034】
例えば
図4に示すように、時刻t
0において給湯流量が最小作動流量以上になり、連続燃焼モードが選択されて燃焼装置1の連続燃焼が開始される。その後は燃焼制御と流量制御によって、熱交換器3で加熱されて熱交出口温度センサ6によって検知される湯水の熱交出口温度が設定温度に維持されるように調整される。
【0035】
設定温度は、例えば給湯目標温度(Tt)よりも所定温度(α)だけ高い温度(Tt+α[℃])と、給湯目標温度(Tt)と入水温度(Ti)と分配比(η)に基づいて算出される温度((Tt-ηTi)/(1-η)[℃])とを比較して、低温の方に設定される。熱交換器3の最大流入流量は要求熱量に応じて予め設定されており、ηは熱交換器3の最大流入流量となるときの分配弁4の分配比である。αは給湯装置30に応じて適宜設定され、例えばα=15[℃]である。
【0036】
一方、
図3のS12の判定がNoの場合にはS16に進み、S16において間欠燃焼モードを選択してS17に進む。次にS17において、要求熱量に基づいて、熱交出口温度センサ6によって検知される熱交換器3で加熱された湯水の温度(熱交出口温度)の目標温度を設定し、これを設定温度としてS18に進む。そしてS18において、熱交出口温度が設定温度になるように、間欠燃焼させる燃焼装置1の燃焼量を調整してS11に戻る。設定温度は連続燃焼モードと同様にして設定される。
【0037】
例えば
図5に示すように、連続燃焼モードの途中で給湯流量が減少して要求熱量が減少し、時刻t
1において間欠燃焼モードが選択されて燃焼装置1の間欠燃焼が開始される。間欠燃焼モードにおいても要求熱量に基づいて設定温度が設定され、熱交換器3で加熱された湯水の熱交出口温度が設定温度に維持されるように燃焼制御及び流量制御が行なわれる。尚、給湯開始から間欠燃焼モードが選択される場合もある。
【0038】
間欠燃焼モードでは、燃焼状態で熱交出口温度が設定温度を中心とする設定温度帯の上限温度以上になった場合にバーナ12が非燃焼の燃焼停止状態に移行し、設定温度帯の下限温度以下になった場合に燃焼状態に移行する。燃焼停止状態に移行した場合には、送風ファン2を止めずに所定の送風量を維持して、残存する燃焼ガスを外部に排気(掃気)する。燃焼状態と燃焼停止状態とを交互に繰り返すことにより、間欠燃焼モードで発生させる燃焼熱量の時間平均値を最小連続燃焼熱量未満にすることができるので、連続燃焼では対応できなかった小流量又は低温の給湯に対応することができる。
【0039】
間欠燃焼モードにおいて、燃焼停止状態で低温の上水の流通により熱交換器3が冷却されるので、連続燃焼モードと比べて熱交換器3の温度が低下する。それ故、連続燃焼では到達しない温度まで燃焼ガスが冷却され、燃焼ガスに含まれる水分が一次熱交換器3aにおいても結露する場合がある。通常は結露が発生しない一次熱交換器3aの結露は、一次熱交換器3aを腐食させて燃焼ガスと上水の熱交換を妨げると共に熱交換器3の耐久性を劣化させ、結露がバーナ12に落下して燃焼に悪影響を与える虞がある。
【0040】
このような結露の弊害を回避するため、制御部20は、例えば間欠燃焼モードになった後の時刻t2において燃焼状態から燃焼停止状態に移行する際に、流量制御によって熱交換器3の入水流量を燃焼状態の例えば80%相当にして、燃焼状態時よりも熱交換器3を流通する上水の流量を減少させる。これにより、熱交出口温度が到達する最高温度が上昇するが、熱交換器3が上水によって冷却され難くなり、上水への熱の移動が緩やかな間に燃焼ガスを掃気して、熱交換器3の温度が低下してからの熱交換器3(一次熱交換器3a)の結露発生を低減する。燃焼停止状態への移行時に減少させる熱交換器3の入水流量は、例えば給湯流量等の給湯条件等に応じて適宜設定することができる。流量制御は、分配弁4と流量調整弁5の一方又は両方の調整によって行うことができる。
【0041】
その後、制御部20は、燃焼停止状態から燃焼状態に移行する例えば時刻t3において、熱交換器3に流入する入水流量を燃焼停止状態時よりも増加させる。例えば給湯流量のような給湯条件に変更がなければ、元の燃焼状態における入水流量に戻る。このような燃焼制御と流量制御によって、熱交換器3で加熱された湯水の温度を設定温度の近傍で繰り返し上下させ、熱交出口温度が時間平均的に設定温度に維持される。
【0042】
図6のように、間欠燃焼モードの例えば時刻t
2,t
4において燃焼停止状態に移行する際に、熱交出口温度が設定温度を超えて上限温度に到達する前の時刻t
2’,t
4’で熱交換器3に流入する入水流量を減少させることもできる。これにより燃焼停止状態への移行前に燃焼熱で熱交換器3の温度を上昇させ、結露が発生していても蒸発を促進させることができる。また、熱交換器3が上水によって冷却され難くなり、結露の発生を低減させることができる。
【0043】
図7のように、間欠燃焼モードの例えば時刻t
2,t
4において燃焼停止状態に移行する際に、熱交出口温度が上限温度を超えてから下がり始める時刻t
2”,t
4”で熱交換器3に流入する流量を減少させることもできる。これにより、熱交出口温度が到達する最高温度を低くして温度変動を小さくすることができ、熱交出口温度が下がり始めた後は熱交換器3が上水によって冷却され難くなり、結露の発生を低減させることができる。
【0044】
また、
図6、
図7のように、間欠燃焼モードの燃焼停止状態で、熱交出口温度が設定温度よりも低下してから設定温度帯の下限温度になる例えば時刻t
3よりも前の時刻t
3’で、燃焼状態に移行することもできる。燃焼状態への移行を早めて熱交出口温度が下がり過ぎないようにして温度変動を小さくすることができ、熱交換器3が冷却され過ぎないので結露の発生を低減させることができる。尚、燃焼状態への移行に伴い、制御部20は、燃焼停止状態への移行時に減少させた熱交換器3に流入する入水流量を増加させる。
【0045】
図8に示すように、燃焼停止状態での入水流量の減少動作を伴わない間欠燃焼モードが所定の時間継続された場合に、燃焼停止状態での入水流量の減少動作を開始させることもできる。例えば時刻t
kで入水流量の減少動作を伴わない燃焼停止状態に移行した後で所定の時間が経過し、次の燃焼停止状態への移行のとき(時刻t
k+2)から燃焼停止状態での入水流量の減少動作を開始させる。間欠燃焼モードへの移行直後は、結露しない又は結露の量が僅かであって影響が小さいので熱交出口温度の変動を小さくすることを優先し、結露がある程度蓄積してから燃焼停止状態での流体流量の減少動作を開始させて結露を抑制することができる。
【0046】
図2のS6において、給湯終了動作として例えば要求熱量がゼロに設定され、
図3のS11の判定がNoとなった場合にはS19に進む。そしてS19において、バーナ12への燃料ガスの供給を停止することにより燃焼を終了させてS20に進む。尚、給湯終了動作として燃焼終了指令により燃焼を終了させることもできる。
【0047】
S20において、燃焼終了時の燃焼モードが連続燃焼モードであったか否か判定する。S20の判定がYesの場合はS21に進み、S21においてパージ動作として送風ファン2の駆動により連続燃焼後の燃焼ガスを排気する連続燃焼パージ動作を行う。一方、S20の判定がNoの場合はS22に進み、S22においてパージ動作として送風ファン2の駆動により間欠燃焼後の燃焼ガスを排気する間欠燃焼パージ動作を行う。
【0048】
間欠燃焼パージ動作は、連続燃焼パージ動作と比べて送風量を増加させて行い、燃焼ガスの排気だけでなく熱交換器3(一次熱交換器3a)の結露を蒸発させることを目的としている。例えば送風ファン2の回転数増加又は送風時間増加によって送風量を増加させることができ、回転数と送風時間の両方を増加させてもよい。この連続燃焼パージ動作又は間欠燃焼パージ動作が終了したら、燃焼制御を終了する。
【0049】
上記の燃焼装置1の作用、効果について説明する。
燃焼装置1の制御部20は、燃焼状態を継続する連続燃焼モードと、燃焼状態と燃焼停止状態を交互に繰り返して燃焼熱を断続的に発生させる間欠燃焼モードの何れか一方を選択して燃焼制御を行う。そして、燃焼制御と共に流量制御を行って、熱交出口温度センサ6の検知温度を所定の設定温度に維持する。間欠燃焼モードの流量制御では、制御部20は燃焼停止状態へ移行する際に熱交換器3を流通する上水(流体)の流量を燃焼状態よりも減少させる。燃焼停止状態への移行の際に、熱交換器3を流通する上水の流量が減少するので、上水への熱の移動が緩やかになって熱交換器3が冷却され難くなる。それ故、結露が発生し難くなるので、熱交換器3における結露の発生の発生を低減させることができる。また、上水への熱の移動が緩やかな間に熱交換器3の近傍に残存する燃焼ガスを掃気して、熱交換器3の温度が低下しても結露の発生を抑制することができる。
【0050】
間欠燃焼モードでは、燃焼状態で熱交出口温度センサ6の検知温度が設定温度を中心とする設定温度帯の上限温度以上になった場合に燃焼停止状態に移行する。この燃焼停止状態への移行の際、燃焼状態で熱交出口温度センサ6の検知温度が設定温度を超えてから上限温度に到達する前に、熱交換器3を流通する上水の流量を減少させる場合には、燃焼停止状態における熱交換器3の温度を上昇させることができる。それ故、熱交換器3に結露が発生していても蒸発を促進させることができる。また、熱交換器3が上水により冷却され難くなり、結露の発生を低減させることができる。
【0051】
間欠燃焼モードで、燃焼停止状態への移行の際、熱交出口温度センサ6の検知温度が下がり始めたときに、熱交換器3を流通する流体の流量を減少させる場合には、熱交換器3が冷却され難くなり、結露の発生を低減させることができる。また、熱交出口温度の最高温度を低くして温度変動を小さくすることができる。
【0052】
間欠燃焼モードの燃焼停止状態で、熱交出口温度センサ6の検知温度が設定温度よりも低下してから設定温度帯の下限温度になる前に燃焼状態に移行する場合には、燃焼状態への移行を早めて熱交出口温度が下がり過ぎないようにすることができる。それ故、熱交出口温度の変動幅を小さくすることができる。また、熱交換器3の温度が下がり過ぎないので、熱交換器3の結露の発生を低減させることができる。
【0053】
制御部20は、流量センサ16によって熱交換器3を流通する上水の流通停止、即ち流体の使用終了(給湯使用終了)を検知すると、燃焼手段10の燃焼を終了し、内部に残存する燃焼ガスの排気と熱交換器3の冷却のために送風ファン2を駆動してパージ動作を行う。間欠燃焼モードで燃焼終了した場合のパージ動作(間欠燃焼パージ動作)では、連続燃焼モードで燃焼終了した場合のパージ動作(連続燃焼パージ動作)よりもパージ風量を増加させる。従って、間欠燃焼によって結露が発生していても、パージ風量の増加によって燃焼ガスを排気すると共に結露の蒸発を促進させて、結露の影響を抑制することができる。
【0054】
本発明の燃焼装置1は、例えば温水暖房装置に適用することもできる。その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。