(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167668
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
B21D 5/02 20060101AFI20241127BHJP
B21D 37/04 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
B21D5/02 P
B21D37/04 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083895
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】萩野 有哉
【テーマコード(参考)】
4E050
4E063
【Fターム(参考)】
4E050CA01
4E050CC04
4E050CD01
4E050CD04
4E063BA07
4E063DA14
4E063DA17
4E063GA04
4E063LA02
(57)【要約】
【課題】プレス機械を用いたプレス作業の作業効率の低下を抑制することができる情報処理装置及び情報処理方法を提供する。
【解決手段】金型200を用いてワークWに対して曲げ加工を行うプレス機械100に用いられる情報処理装置4であって、ワークの曲げ線の数と、曲げ線の長さと、曲げ線の一端からワークに設けられているフランジまでの距離と、の少なくともいずれか1つのデータを含む対象データをワークごとに格納する記憶部と、ワークごとの対象データ同士を比較する処理部と、処理部51による比較結果を出力する出力部52と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型を用いてワークに対して曲げ加工を行うプレス機械に用いられる情報処理装置であって、
前記ワークの曲げ線の数と、前記曲げ線の長さと、前記曲げ線の一端から前記ワークに設けられているフランジまでの距離と、の少なくともいずれか1つのデータを含む対象データを前記ワークごとに格納する記憶部と、
前記ワークごとの前記対象データ同士を比較する処理部と、
前記処理部による比較結果を出力する出力部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、第1ワークの前記対象データである第1対象データと第2ワークの前記対象データである第2対象データとを比較し、前記第1対象データと前記第2対象データとの差分が許容範囲内であるかを判定し、
前記出力部は、前記差分が許容範囲内であるか否かの判定結果を前記比較結果として出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1ワークへの曲げ加工に使用される前記金型を示す第1使用金型データと、前記第2ワークへの曲げ加工に使用される前記金型を示す第2使用金型データとを有し、
前記処理部は、前記差分が許容範囲内である場合には、前記第1ワークへの曲げ加工に使用される前記金型と、前記第2ワークへの曲げ加工に使用される前記金型とが同じになるように前記第1使用金型データ及び前記第2使用金型データのいずれかを更新する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、第1ワークへの曲げ加工に使用される前記金型として第1金型が設定され、第2ワークへの曲げ加工に使用される前記金型として前記第1金型とは異なる第2金型が設定されている場合に、前記第1ワークの第1対象データと前記第2ワークの第2対象データとを比較して前記第2ワークへの曲げ加工が前記第1金型で実行可能か否かを判定し、
前記出力部は、前記第2ワークへの曲げ加工が前記第1金型で実行可能か否かの判定結果を前記比較結果として出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記第2ワークへの曲げ加工が前記第1金型で実行可能であると判定した場合には、前記第2ワークへの曲げ加工に使用される前記金型として前記第1金型を設定する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記記憶部には、前記プレス機械に配置される前記金型の位置及び種類を含む金型設定データが前記ワークごとに格納されており、
前記処理部は、前記記憶部に格納されている前記ワークごとの前記金型設定データを共通化し、共通化した後に前記ワークごとの前記対象データ同士を比較する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
金型を用いてワークに対して曲げ加工を行うプレス機械に用いられる情報処理方法であって、
前記ワークの曲げ線の数と、前記曲げ線の長さと、前記曲げ線の一端から前記ワークのフランジまでの距離と、の少なくともいずれかのデータを含む対象データが前記ワークごとに記憶部に記憶されており、
前記ワークごとの同種の前記対象データ同士を比較することと、
前記対象データ同士の比較結果を出力することと、
を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プレス機械は、ワークを金型である上型と下型とで挟み込み、ワークに対して曲げ加工を行う。プレス機械には、複数の金型が一方向に並べられて取り付けられており、作業者は、プレス機械に取り付けられた複数の金型のうち、指定された金型の位置に移動して、その位置で曲げ作業を行うことでワークに対する曲げ加工が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のワークをプレス機械で曲げ加工するにあたって、一方向に並べられた複数の金型のうちのどの金型でプレス加工するかの情報は、ワークごとにプレス機械によって設定されている。そのため、第1ワークの曲げ加工に使用される金型の位置と、第2ワークの曲げ加工に使用される金型の位置とが異なる場合がある。従って、第1ワーク及び第2ワークを含む複数のワークに対する曲げ作業は、作業者の移動を必要とする場合があり、作業効率が低下する場合がある。
【0005】
本発明の目的は、プレス機械を用いた曲げ作業の作業効率の低下を抑制することができる情報処理装置及び情報処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る情報処理装置は、金型を用いてワークに対して曲げ加工を行うプレス機械に用いられる情報処理装置であって、ワークの曲げ線の数と、曲げ線の長さと、曲げ線の一端からワークに設けられているフランジまでの距離と、の少なくともいずれか1つのデータを含む対象データをワークごとに格納する記憶部と、ワークごとの対象データ同士を比較する処理部と、処理部による比較結果を出力する出力部と、を備える。
【0007】
本発明の態様に係る情報処理方法は、金型を用いてワークに対して曲げ加工を行うプレス機械に用いられる情報処理方法であって、ワークの曲げ線の数と、曲げ線の長さと、曲げ線の一端からワークのフランジまでの距離と、の少なくともいずれかのデータを含む対象データがワークごとに記憶部に記憶されており、ワークごとの同種の対象データ同士を比較することと、対象データ同士の比較結果を出力することと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
上記態様に係る情報処理装置及び情報処理方法によれば、ワークの曲げ線の数と、曲げ線の長さと、曲げ線の一端からワークのフランジまでの距離と、の少なくともいずれかのデータを含む対象データ同士を比較し、その比較結果を出力するため、複数のワーク、例えば第1ワークと第2ワークとを同じ加工位置で加工することができる。そのため、作業者の移動が無くなり、プレス機械を用いた曲げ作業の作業効率の低下を抑制することができる。
【0009】
また、上記態様に係る情報処理装置において、処理部は、第1ワークの対象データである第1対象データと第2ワークの対象データである第2対象データとを比較し、第1対象データと第2対象データと差分が許容範囲内であるかを判定し、出力部は、差分が許容範囲内であるか否かの判定結果を比較結果として出力してもよい。このような構成によれば、作業者は、上記差分が許容範囲内であることを確認し、第1ワークと第2ワークとを同じ加工位置で加工することができる。
【0010】
また、上記態様に係る情報処理装置において、第1ワークへの曲げ加工に使用される金型を示す第1使用金型データと、第2ワークへの曲げ加工に使用される金型を示す第2使用金型データとを有し、処理部は、差分が許容範囲内である場合には、第1ワークへの曲げ加工に使用される金型と、第2ワークへの曲げ加工に使用される金型とが同じになるように第1使用金型データ及び第2使用金型データのいずれかを更新してもよい。このような構成によれば、プレス機械は、第1ワーク及び第2ワークの曲げ加工を行うにあたって、金型設定データを用いて作業者に同じ加工位置を案内することができ、プレス機械を用いた曲げ作業の作業効率の低下を抑制することができる。
【0011】
また、上記態様に係る情報処理装置において、処理部は、第1ワークへの曲げ加工に使用される金型として第1金型が設定され、第2ワークへの曲げ加工に使用される金型として第1金型とは異なる第2金型が設定されている場合に、第1ワークの第1対象データと、第2ワークの第2対象データとを比較して第2ワークへの曲げ加工が第1金型で実行可能か否かを判定し、出力部は、第2ワークへの曲げ加工が第1金型で実行可能か否かの判定結果を比較結果として出力してもよい。このような構成によれば、このような構成によれば、作業者は、第1ワーク及び第2ワークの曲げ加工を行うにあたって、同じ加工位置で加工することができるか否かを容易に把握することができる。
【0012】
また、上記態様に係る情報処理装置において、処理部は、第2ワークへの曲げ加工が第1金型で実行可能であると判定した場合には、第2ワークへの曲げ加工に使用される金型として第1金型を設定してもよい。このような構成によれば、作業者に対しては、第1ワーク及び第2ワークの曲げ加工を行うにあたって、同じ金型で曲げ加工を実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係るプレス機械の一例を示す正面図である。
【
図2】本実施形態に係るプレス機械のブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る加工データを説明する図である。
【
図5】本実施形態に係る加工データの一例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係るプロセッサの機能ブロック図である。
【
図7】本実施形態に係る情報処理方法を説明する図である。
【
図8】本実施形態に係る情報処理方法を説明する図である。
【
図9】本実施形態に係る情報処理方法の第1のフロー図である。
【
図10】本実施形態に係る情報処理方法の第2のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。また、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0015】
部材の位置や方向などは、XYZ直交座標系を参照して説明する場合がある。このXYZ直交座標系において、X方向及びY方向は水平方向であり、Z方向は鉛直方向である。X方向は左右方向であり、Y方向は前後方向である。また、X方向、Y方向、及びZ方向の方向において、矢印が指す方向を+方向(例えば+X方向)と称し、矢印と反対側の方向を-方向(例えば-Z方向)と称す。
【0016】
図1は、本実施形態に係るプレス機械100の一例を示す正面図である。
図2は、本実施形態に係るプレス機械100のブロック図である。プレス機械100は、例えば、ワークに曲げ加工を行うことが可能なプレスブレーキである。本実施形態では、プレス機械100がプレスブレーキである場合を例に挙げて説明するが、これに限定されない。例えば、プレス機械100は、ワークに対して打ち抜き加工(パンチ加工ともいう)を行ってもよいし、曲げ加工以外の成形加工を行ってもよい。
【0017】
図1及び
図2に示すように、プレス機械100は、加工機本体1と、金型交換装置2と、操作盤3と、情報処理装置4とを備える。
【0018】
加工機本体1において、-Y方向における正面側は、作業者の作業エリアである。加工機本体1には、金型200が配置される。金型200は、例えば、上型であってもよいし、下型であってもよいし、その両方であってもよい。作業者は、加工機本体1の正面側からワークを所定位置に配置する。そして、加工機本体1は、所定位置に配置されたワークを、上型と下型とで挟み込むことにより、ワークWに対して曲げ加工を行う。
【0019】
加工機本体1は、本体フレーム10と、テーブル11と、下型案内レール12と、側部カバー13と、駆動装置14と、ラム15と、上型案内レール16と、投影装置17とを備える。本体フレーム10は、プレス機械100の外郭を形成する。テーブル11は、本体フレーム10の正面側に取り付けられており、下型案内レール12を固定している。
【0020】
下型案内レール12は、例えばテーブル11の上面に設けられ、下型(図示せず)を±X方向(搬送方向)に沿って案内する。下型は、下型案内レール12に案内されながら移動可能であり、任意の位置で固定される。また、加工機本体1は、例えば、ワークを±Y方向に突き当てて位置決めするためのバックゲージ(図示せず)を備える。
【0021】
側部カバー13は、本体フレーム10の±X方向の両側の側部上方にそれぞれ設けられている。側部カバー13は、それぞれラム15の±X方向の側部の上方を覆うように配置されている。
【0022】
駆動装置14は、本体フレーム10に支持されて左右一対設けられている。一対の駆動装置14は、ラム15をZ方向に移動(昇降)させる。駆動装置14には、例えば、ボールねじ又はナットを電動モータ等により回転させてラム15を昇降させる機構、あるいは油圧シリンダ装置又は空圧シリンダ装置を用いてラム15を昇降させる機構などが適用される。駆動装置14は、情報処理装置4により制御される。
【0023】
ラム15は、本体フレーム10のガイド部(図示せず)により、本体フレーム10に昇降可能に支持されている。ラム15は、駆動装置14の駆動によって昇降し、テーブル11上の下型220に対して近接又は離間する。
【0024】
ラム15の下部には、上型案内レール16が取り付けられている。上型案内レール16は、±X方向に沿って設けられている。上型案内レール16は、±X方向に搬送する上型を案内する。上型案内レール16は、上型を吊り下げた状態で支持可能である。
【0025】
上型は、上型案内レール16の所定位置においてラム15に固定される。上型は、上型案内レール16の任意の位置で固定された際、下端である刃先が下型の凹部(図示せず)に対向しており、かつ刃先が±X方向に沿うように配置される。ラム15に固定された上型は、ラム15とともに昇降する。上型案内レール16に保持される複数の上型は、それぞれ±X方向の寸法が同一であってもよいし、±X方向の寸法が異なる上型と組み合わせて用いられてもよい。プレス機械100は、ラム15の下降に伴って上型が下型に向かって下降し、上型と下型とでワークを挟み込むことでワークに対して曲げ加工を行う。
【0026】
投影装置17は、加工機本体1に設けられ、ラム15の少なくとも一部を含む投影領域PAに、曲げ作業における複数の曲げ工程のそれぞれを支援するための画像を投影する。当該画像とは、静止画像であってもよいし、動画像であってもよい。当該画像は、ワークをどの位置で曲げ加工させるのか、やバックゲージに突き当てるワークWの向きなどを作業者に知らせるための画像である。例えば、加工機本体1に配置された複数の金型200のうち、ワークWによって曲げ加工に使用する金型200が異なる場合がある。作業者は、各ワークWや各曲げ工程において、投影領域PAに表示された画像を確認することで、実際にどの位置(金型200)で加工を行うのかを把握し、把握した位置で、上型と下型とでワークWを挟み込むことによりワークWに対して曲げ加工を行う。
【0027】
金型交換装置2は、加工機本体1に対して金型200を交換する。金型交換装置2は、例えば、ストッカ20と、搬送装置21とを備える。
【0028】
ストッカ20は、1つ以上の金型200を収容する。搬送装置21は、加工機本体1とストッカ20との間で金型200を搬送する。搬送装置21は、例えば、ストッカ20内の金型200を、加工機本体1の上型案内レール16や下型案内レール12に搬送し、加工機本体1に配置する。また、搬送装置21は、加工機本体1に取り付けられている金型200をストッカ20に搬送可能である。搬送装置21は、例えば、搬送用ガイド30と、搬送部31とを有する。
【0029】
搬送用ガイド30は、搬送部31を±X方向に案内する。搬送用ガイド30は、例えば、テーブル11に設けられている。搬送用ガイド30は、±X方向に沿って直線状に延びている。搬送用ガイド30は、例えば、上型案内レール16と並行している。搬送部31は、搬送用ガイド30に案内されながら、±X方向に沿って移動可能である。搬送部31は、プレス機械100に対して金型200を配置したり、プレス機械100に取り付けられている金型200をストッカ20に搬送したりする。搬送部31は、例えば、スライダ31aと、昇降ロッド31bと、ヘッド31cとを有する。
【0030】
スライダ31aは、図示しない駆動部により搬送用ガイド30に沿って±X方向に往復移動が可能である。昇降ロッド31bは、スライダ31aに昇降可能に設けられ、図示しない駆動部により±Z方向に沿って昇降可能である。ヘッド31cは、昇降ロッド31bの上端に設けられ、昇降ロッド31bの昇降とともに±Z方向に沿って昇降する。このような構成により、搬送部31は、搬送用ガイド30及び昇降ロッド31bのそれぞれの可動範囲においてヘッド31cを±X方向及び±Z方向の任意の位置に配置させることができる。ヘッド31cには、棒状体(図示せず)が設けられている。ヘッド31cは、棒状体を±Y方向に進退させて金型200の穴HLに挿入することで金型200を保持可能である。
【0031】
情報処理装置4は、プレス機械100の動作を統括して制御する。
図3は、本実施形態に係る情報処理装置4のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3に示すように、情報処理装置4は、通信装置40と、プロセッサ41と、記憶部42とを備える。なお、記憶部42は、情報処理装置4の構成ではなく外部の記憶装置であってもよい。記憶部42が外部の記憶装置である場合には、情報処理装置4は、記憶部42に有線又は無線で接続され、記憶部42と情報を送受する。
【0032】
通信装置40は、外部の装置と通信するための通信インタフェースである。通信装置40が通信する通信ネットワークは、有線でもよいし、無線でもよいし、その両方であってもよい。
【0033】
プロセッサ41は、プレス機械100の動作を制御する。一例として、プロセッサ41は、記憶部42に記憶されているプログラム等を読み出して金型交換装置2の動作を制御したり、プレス機械100の表示部の表示を制御したりする。プレス機械100の表示部とは、例えば、操作盤3の表示装置3aであってもよいし、投影領域PAであってもよい。ただし、これに限定されず、プレス機械100の表示部とは、プレス機械100に設けられていればよく、その設置位置には特に限定されない。プロセッサ41は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)の少なくとも1つ以上を含む。
【0034】
記憶部42は、例えば、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)及びSSD(Solid State Drive)を含む。プロセッサ41で実行されるプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体によって提供されてもよいし、有線又は無線の通信ネットワークにより外部装置から提供されてもよい。提供されたプログラムは、記憶部42に格納され、プロセッサ41によって実行される。
【0035】
コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(ERPOM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EERPOM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0036】
記憶部42には、ワークWに対して曲げ加工を行うための曲げ加工データがワークWごとに格納されている。曲げ加工データは、ワークWに対する曲げ加工における各曲げ工程の加工機本体1の動作を定めたプログラムを含む。例えば、曲げ加工データは、曲げ加工における各曲げ工程の順番と、共通化された1つの金型200で複数のワークの曲げ加工できるかの判定に用いる対象データと、曲げ加工に使用する金型200のデータ(以下、「使用金型データ」という。)を含む。対象データは、例えば、ワークWの曲げ線の数と、曲げ線の長さと、曲げ線の一端からワークWのフランジFLまでの距離と、の少なくともいずれかのデータを含む。また、曲げ加工データは、各曲げ工程におけるラム15の移動条件(例えば、開始位置、速度、終了位置)などの情報を含んでもよい。
【0037】
また、記憶部42には、加工機本体1に取り付けられる金型200の金型設定データがワークWごとに格納されている。金型設定データは、加工機本体1に取り付ける金型の種類と、その金型を取り付ける位置と、その金型200を取り付ける向きとを含む。例えば、加工機本体1に3つの異なる金型200が配置される場合には、金型設定データには、その3つの金型200の種類の情報と、その3つの金型200のそれぞれの取り付け位置の情報と、その3つの金型200を取り付ける向きとが設定される。すなわち、金型設定データは、どの金型200を加工機本体1のどの位置に配置するのかを示すデータである。この金型設定データは、記憶部42において、各曲げ加工データに対応付けられて格納されてもよいし、曲げ加工データの一部として含まれてもよい。プロセッサ41は、金型設定データに基づいて加工機本体1に取り付ける金型を選択し、その選択した金型200を金型交換装置2で加工機本体1に配置する。
【0038】
使用金型データは、金型設定データによって加工機本体1に取り付けられた複数の金型200のうち、どの金型200を用いてワークWの曲げ加工を行うかを示す情報である。すなわち、第1ワークW1の使用金型データが第1ワークW1の曲げ加工に用いる金型200を示し、第2ワークW2の使用金型データが第2ワークW2の曲げ加工に用いる金型200を示す。
【0039】
このように、プレス加工の対象が、第1ワークW1と第2ワークW2とである場合には、記憶部42には、第1ワークW1の第1曲げ加工データと第1金型設定データとが対応付けられて格納され、第2ワークW2の第2曲げ加工データと第2金型設定データとが対応付けられて格納されている。第2ワークW2は、例えば、第1ワークW1の形状や材質が異なる。
【0040】
図4は、本実施形態に係る対象データを説明する図である。
図4(A)は、加工前のワークWの一部を示す。
図4(B)は、フランジFLを有するワークWを示す。ここで、1つのワークWに対する曲げ作業は、複数の曲げ工程を含む場合がある。この場合には、作業者は、複数の曲げ工程で加工機本体1による曲げ加工を実行させることで、1つのワークWを所定の形状の部品に加工する。
図4(B)に示す例では、ワークWは、4つの曲げ工程で曲げ加工が実行されることで箱形形状の部品に加工される。
【0041】
対象データは、例えば、ワークWの曲げ線の数(以下、「曲げ線数」という。)MNと、曲げ線の長さ(以下、「曲げ線長さ」という。)MLと、曲げ線の一端からワークWに設けられているフランジFLまでの距離(以下、「干渉距離」という。)FDと、の少なくともいずれか1つのデータを含む。本実施形態では、対象データは、例えば、曲げ工程数もさらに含んでもよい。一例として、
図4(B)に示すワークWの曲げ工程数は、「4」である。例えば、対象データは、曲げ工程ごとに設定されている。なお、曲げ工程ごとの対象データのデータ項目数は、同じであってよい。すなわち、各曲げ工程における対象データの項目数はすべて同じである必要はなく、一部の対象データのデータ項目の項目数は、他の曲げ工程の対象データの項目数と異なってもよい。
【0042】
干渉距離FDは、曲げ線の一端から干渉し得るフランジFLまでの距離であって、予め設定されてもよいし、プロセッサ41が算出してもよい。例えば、プロセッサ41は、各工程での曲げ加工に関するデータを解析することで各曲げ工程においてワークWに形成されるフランジFLの有無や形成されるフランジFLの位置や長さなどの情報(以下、「フランジ情報」という。)を得ることができる。そして、プロセッサ41は、フランジ情報と曲げ線の一端の情報とから、干渉距離FDを算出する。なお、曲げ線長さML、曲げ線の一端の情報、及びフランジ情報は、例えば、金型設定データを決定する要因となる情報である。対象データは、予めユーザにより設定されてもよいし、プロセッサ41が算出してもよい。すなわち、対象データの設定方法や作成方法は、特に限定されない。
【0043】
図5は、第1ワークW1及び第2ワークW2の対象データの一例を示す図である。
図5(A)は、第1ワークW1の対象データの一例を示す図である。
図5(B)は、第2ワークW2の対象データの一例を示す図である。以下の説明において、第1ワークW1の対象データを第1対象データと称し、第2ワークW2の対象データを第2対象データと称する場合がある。第1対象データは、
図5(A)に例示するように、第1ワークW1の曲げ工程ごとの曲げ線数MN、曲げ線長さMD、及び干渉距離FDを含む。第2対象データは、
図5(B)に例示するように、第2ワークW2の曲げ工程ごとの曲げ線数MN、曲げ線長さMD、及び干渉距離FDを含む。
【0044】
本実施形態のプロセッサ41の機能部について、
図6を用いて説明する。
図6は、本実施形態に係るプロセッサ41の機能ブロック図である。プロセッサ41は、制御部50と、処理部51と、出力部52を備える。制御部50と、処理部51と、出力部52とは、プロセッサ41が記憶部42内に格納されたプログラムを実行することにより実現される。
【0045】
制御部50は、金型交換装置2を制御する。制御部50は、金型交換装置2を制御し、金型設定データに基づいて複数の金型200を金型交換装置2で加工機本体1に配置する。すなわち、金型交換装置2は、制御部50の指示に応じて、金型設定データが示す金型レイアウトになるように、金型200を加工機本体1に配置する。そして、制御部50は、作業者から曲げ加工の指示を受け付けた場合には、駆動装置14を作動させて曲げ加工を実行させる。
【0046】
処理部51は、曲げ加工を実施する前に、ワークWごとの対象データ同士を比較する。処理部51は、例えば、第1ワークW1及び第2ワークW2に対する曲げ加工を実施する前に、第1ワークW1の第1対象データと、第2ワークW2の第2対象データとを比較する。例えば、処理部51は、第1ワークW1への曲げ加工に使用される金型200として第1金型が設定され、第2ワークへの曲げ加工に使用される金型200として第1金型とは異なる第2金型が設定されている場合に、第1対象データと第2対象データとを比較して第2ワークW2への曲げ加工が第1金型で実行可能か否かを判定する。なお、第2ワークW2への曲げ加工が第1金型で実行可能か否かを判定することと、第1ワークW1への曲げ加工が第2金型で実行可能か否かを判定することは、実質的に同義である。
【0047】
一例として、処理部51は、第1対象データと第2対象データとを比較し、第1対象データと第2対象データと差分が許容範囲内であるかを判定する。そして、処理部51は、その差分が許容範囲内である場合には、第2ワークW2への曲げ加工が第1金型で実行可能か否かを判定する。この差分は、例えば、対象データのデータ項目に応じた差分である。また、許容範囲は、許容誤差の範囲であってもよく、例えばゼロであってもよい。
【0048】
一例として、処理部51は、第1対象データと第2対象データとをデータ項目ごとに比較し、第1対象データと第2対象データとの差分をデータ項目ごとに算出する。換言すれば、処理部51は、同種の対象データ同士を比較して同種の対象データごとの差分を算出する。そして、処理部51は、各差分が許容範囲内であるかを判定する。なお、許容範囲は、例えば、データ項目ごとに設定されている。また、許容範囲は、データ項目ごとのみならず、曲げ工程ごとに設定されてもよい。処理部51は、すべての曲げ工程での各差分が、その差分に対応して設定されている許容範囲内である場合には、第2ワークW2への曲げ加工が第1金型で実行可能か否かを判定する。
【0049】
処理部51は、第2ワークW2への曲げ加工が第1金型で実行可能であると判定した場合には、第2ワークW2への曲げ加工に使用される金型として第1金型を設定する。なお、処理部51は、第2ワークW2への曲げ加工が第1金型で実行可能であると判定した場合には、第1ワークW1への曲げ加工に使用される金型として第2金型を設定してもよい。換言すれば、処理部51は、第1ワークW1へのプレス加工に使用される金型と、第2ワークW2へのプレス加工に使用される金型とが同じになるように第1ワークW1及び第2ワークW2のいずれかの使用金型データを更新する。
【0050】
以下に、処理部51における第1対象データと第2対象データとの比較方法について、具体的に説明する。例えば、第1ワークW1の情報に紐付けられた第1金型設定データと、第2ワークW2の情報に紐付けられた第2金型設定データとが、共通化された金型設定データAであると仮定する。この場合には、
図7に示すように、加工機本体1において、金型設定データAによって一方向に並べられた複数の金型200-1~200-3が配置される。なお、金型設定データAは、処理部51によって作成及び設定されてもよい。少なくともワークWごとの金型設定データのそれぞれを同一の金型設定データ(例えば、金型設定データA)の内容に設定(更新を含む)することを金型設定データの共通化と称する場合がある。ここで、第1ワークW1へのプレス加工に使用される金型(第1ワークW1の使用金型データ)として金型200-1が設定され、第2ワークW2へのプレス加工に使用される金型(第2ワークW2の使用金型データ)として金型200-2が設定されていると仮定する。
【0051】
処理部51は、第1ワークW1の曲げ工程数と、第2ワークW2の曲げ工程数とを比較し、第1ワークW1の曲げ工程数と第2ワークW2の曲げ工程数とが一致するか否かを判定する処理(以下、「曲げ工程数判定処理」という。)を実行する。換言すれば、処理部51は、曲げ工程数判定処理として、第1ワークW1の曲げ工程数と、第2ワークW2の曲げ工程数との差分が許容範囲であるか否かを判定する。この場合において、曲げ工程数の差分の許容範囲は、ゼロである。処理部51は、曲げ工程数判定処理において曲げ工程数同士が一致すると判定した場合には、第1ワークW1の曲げ工程の対象データと第2ワークW2の曲げ工程の対象データとの差分が許容範囲内であるか否かを曲げ工程毎に行う処理を実行する。
【0052】
具体例として、第1ワークW1及び第2ワークW2のそれぞれにおいて2つの曲げ工程が設定されている。第1ワークW1の第1対象データでは、
図5(A)に例示したように第1曲げ工程において曲げ線数MN1aと、曲げ線長さMD1aと、干渉距離FD1aとが設定され、第2曲げ工程において曲げ線数MN2aと、曲げ線長さMD2aと、干渉距離FD2aとが設定されている。第2ワークW2の第2対象データでは、
図5(B)に例示したように、第1曲げ工程において曲げ線数MN1bと、曲げ線長さMD1bと、干渉距離FD1bとが設定され、第2曲げ工程において曲げ線数MN2bと、曲げ線長さMD2bと、干渉距離FD2bとが設定されている。
【0053】
処理部51は、第1ワークW1の曲げ線数と第2ワークW2の曲げ線数との差分を曲げ工程ごとに求め、各差分がそれぞれ許容範囲内であるか否かを判定する。すなわち、処理部51は、第1曲げ工程において曲げ線数の差分ΔMN1(=MN1a-MN1b)を求め、その差分ΔMN1が許容範囲H1内であるか否かを判定する。また、処理部51は、第2曲げ工程において曲げ線数の差分ΔMN2(=MN2a-MN2b)を求め、そのΔMN2が許容範囲H2内であるか否かを判定する。
【0054】
処理部51は、第1ワークW1の曲げ線長さと第2ワークW2の曲げ線長さとの差分を曲げ工程ごとに求め、各差分がそれぞれ許容範囲内であるか否かを判定する。すなわち、処理部51は、第1曲げ工程において曲げ線長さの差分ΔMD1(=MD1a-MD1b)を求め、その差分ΔMD1が許容範囲H3内であるか否かを判定する。また、処理部51は、第2曲げ工程において曲げ線長さの差分ΔMD2(=MD2a-MD2b)を求め、その差分ΔMD2が許容範囲H4内であるか否かを判定する。
【0055】
処理部51は、第1ワークW1の干渉距離と第2ワークW2の干渉距離との差分を曲げ工程ごとに求め、各差分がそれぞれ許容範囲内であるか否かを判定する。すなわち、処理部51は、第1曲げ工程において干渉距離の差分ΔFD1(=FD1a-FD1b)を求め、その差分ΔFD1が許容範囲H5内であるか否かを判定する。また、処理部51は、第2曲げ工程において干渉距離の差分ΔFD2(=FD2a-FD2b)を求め、その差分ΔFD2が許容範囲H6内であるか否かを判定する。
【0056】
すべての曲げ工程において、複数の差分(ΔMN1、ΔMN2、ΔMD1、ΔMD2、ΔFD1、ΔFD2)のそれぞれが許容範囲内であれば、
図8に示すように、同一の金型200-1で第1ワークW1及び第2ワークW2の両方の曲げ加工を行うことができる。そのため、処理部51は、すべての曲げ工程において、曲げ線数MNの差分と曲げ線長さMDの差分と干渉距離FDの差分とのすべてがそれぞれに設定された許容範囲内であれば、第1ワークW1へのプレス加工に使用される金型200と、第2ワークW2へのプレス加工に使用される金型200とが同じになるように使用金型データを更新してもよい。例えば、処理部51は、第2ワークW2の使用金型データとして金型200-1を設定する。
【0057】
出力部52は、処理部51による比較結果をプレス機械100の表示部に出力する。例えば、出力部52は、処理部51によって判定された判定結果、例えば第1対象データと第2対象データとの差分が許容範囲内であるか否かの判定結果を比較結果としてプレス機械100の表示部に出力してもよい。例えば、比較結果は、すべての曲げ工程における各差分が許容範囲内であるか否かがわかる情報である。
【0058】
また、出力部52は、第2ワークW2への曲げ加工が第1金型で実行可能か否かの判定結果を比較結果として出力してもよい。この場合の比較結果とは、第1金型の位置で第1ワークW1及び第2ワークW2の両方の曲げ加工を行うことができることを作業者に通知する情報である。なお、この場合に、作業者は、第2ワークW2の曲げ加工を第1金型で行うと判断した場合には、その旨を示す操作を操作盤3に対して実行してもよい。処理部51は、当該操作を受け付けた場合に、第2ワークW2への曲げ加工に使用される金型(使用金型データ)として第1金型を設定してもよい。
【0059】
以下に、本実施形態に係る処理部51による比較方法の流れについて説明する。
図9は、本実施形態に係る処理部51による比較方法のフロー図である。処理部51は、第1ワークW1の曲げ工程数と第2ワークW2の曲げ工程数とが一致するか否かを判定する(ステップS101)。処理部51は、第1ワークW1の曲げ工程数と第2ワークW2の曲げ工程数とが一致すると判定した場合には、第1ワークW1の対象データと第2ワークW2の対象データとの差分を曲げ工程ごとに算出する(ステップS102)。そして、処理部51は、算出した差分が許容範囲内であるか否かを曲げ工程毎に行う(ステップS103)。
【0060】
処理部51は、ステップS101において、第1ワークW1の曲げ工程数と第2ワークW2の曲げ工程数とが一致しないと判定した場合には、ステップS104に移行する。ただし、これに限定されず、処理部51は、ステップS101において、第1ワークW1の曲げ工程数と第2ワークW2の曲げ工程数とが一致しないと判定した場合には、
図9に示すフローの処理を終了してもよい。
【0061】
出力部52は、ステップS101及びステップS103の判定結果を出力する(ステップS104)。出力部52は、算出した複数の差分のうち1つでも許容範囲外の差分があれば、その旨をプレス機械100の表示部に出力してもよいし、第1ワークW1及び第2ワークW2の各金型200を1つの金型で兼用できない旨を出力してもよい。一方、出力部52は、曲げ加工ごとの各差分のすべてが許容範囲内であると判定された場合には、その旨をプレス機械100の表示部に出力してもよいし、第1ワークW1及び第2ワークW2の両方の曲げ加工を同一の金型200で兼用できる旨を出力してもよい。
【0062】
なお、処理部51は、ステップS104の後に、作業者からの金型設定データの更新指示を受信した場合には、第1ワークW1へのプレス加工に使用される金型200と、第2ワークW2へのプレス加工に使用される金型200とが同じになるように第1ワークW1又は第2ワークW2の使用金型データを更新してもよい。なお、この使用金型データの更新は、作業者からの使用金型データの更新指示を受信することなく、ステップS104の処理が終了した時点で実行されてもよい。
【0063】
以下において、本実施形態における作用効果について説明する。加工機本体1において、一方向に並べられた複数の金型200-1~200-3が配置されている。そして、例えば、金型設定データとして、第1ワークW1へのプレス加工に使用される金型として金型200-1が設定され、第2ワークW2へのプレス加工に使用される金型として金型200-2が設定されていると仮定する。この場合において、従来では、
図7に示すように、作業者が第1ワークW1に対する曲げ作業を金型200-1の位置で行った後に、金型200-2の位置に移動して第2ワークW2に対する曲げ作業を行う。ただし、作業者は、第1ワークW1の曲げ加工を行ってから第2ワークW2の曲げ加工を行う場合には、金型200-1の位置から金型200-2の位置まで移動する必要があり、作業効率が低下する。
【0064】
そこで、上述したように、処理部51は、第1対象データと第2対象データとを比較して、金型200-1で第2ワークW2を曲げ加工できるか否かを作業者が判断できる情報を出力する。当該情報は、金型200-1で第2ワークW2を曲げ加工できるか否かの情報であってもよいし、第1対象データと第2対象データとの差が許容範囲内であるか否かの情報であってもよい。このような構成により、
図8に示すように、作業者は、金型200-1の位置で第1ワークW1及び第2ワークW2の両方の曲げ加工を行うことができ、作業効率の低下を抑制することができる。
【0065】
また、作業者は、第1ワークW1の形状と第2ワークW2の形状とを比較して、その形状が類似していると判断した場合には、同じ金型200の位置(加工位置)で第1ワークW1及び第2ワークW2の両方の曲げ加工を行ってもよい。ただし、見た目による形状の判断は、作業者によってばらつきがあり、例えば、
図8の第1ワークW1と第2ワークW2とは類似していないと判断してしまう場合がある。本実施形態では、単純な形状の比較ではなく、プレス加工の対象データの比較を行い、その比較結果を出力する。
【0066】
そのため、作業者は、その比較結果を確認して第1ワークW1と第2ワークW2とを類似かどうかを判断すればよく、作業者による上記ばらつきを低減することができる。また、本実施形態の情報処理装置4は、同じ金型200の位置で第1ワークW1及び第2ワークW2の両方の曲げ加工を行うことができるか否かを装置自体が判断してもよい。このような構成によれば、作業者による上記ばらつきを無くすことができる。
【0067】
なお、上記曲げ工程数判定処理、すなわちステップS101の処理は省略してもよい。例えば、曲げ工程数が一致しなくても1つ以上の曲げ工程での曲げ対象データが一致していれば、その曲げ工程において第1ワークW1の曲げ加工に使用する金型200と第2ワークW2の曲げ加工に使用する金型200とを1つの金型200で兼用でき、作業効率の低下を抑制することができる。例えば、処理部51は、一部の曲げ工程において、第1対象データと第2対象データとの差が許容範囲内である場合には、その曲げ工程においてのみ金型を兼用するように金型設定データを更新してもよい。
【0068】
次に、金型設定データの共通化について、金型設定データAを例に挙げて説明する。例えば、記憶装置には、第1ワークW1の金型設定データとして第1金型設定データと、第2ワークW2の金型設定データとして第1金型設定データとは異なる第2金型設定データと、第3ワークW3の金型設定データとして第1金型設定データ及び第2金型設定データとは異なる第3金型設定データとが事前に格納されているとする。第1金型設定データは、金型200-1で第1ワークW1の曲げ加工を行うための金型設定データである。第2金型設定データは、金型200-2で第2ワークW2の曲げ加工を行うための金型設定データである。
【0069】
第3金型設定データは、金型200-3で第3ワークW3の曲げ加工を行うための金型設定データである。この場合には、金型200-1で第1ワークW1の曲げ加工を行った後に金型200-1が外され、その後に第2金型設定データによって金型200-2がプレス機械100に取り付けられ、第2ワークW2の曲げ加工を行うことになる。さらに、金型200-2で第2ワークW2の曲げ加工を行った後に金型200-2が外され、その後に第3金型設定データによって金型200-3がプレス機械100に取り付けられ、第3ワークW3の曲げ加工を行うことになる。すなわち、第1ワークW1の曲げ加工と第2ワークW2の曲げ加工との間、第2ワークW2の曲げ加工と第3ワークW3の曲げ加工との間において、それぞれ金型200の交換作業が必要となり、作業効率が低下する場合がある。
【0070】
そこで、処理部51は、金型200の交換作業が極力発生しないように、例えば第1ワークW1、第2ワークW2及び第3ワークW3を1つの金型設定データで配置される複数の金型200で曲げ加工ができるような金型設定データAを作成する。例えば、
図7に例示するように、処理部51は、金型200-1、金型200-2及び金型200-3を一度にプレス機械100に配置する金型設定データAを作成し、第1金型設定データ、第2金型設定データ及び第3金型設定データをそれぞれ金型設定データAに更新することで共通化する。
【0071】
ただし、例えば、金型200-1から金型200-3の各金型設定データを金型設定データAに共通化したとしても、
図7で例示したように、第1ワークW1の曲げ加工を行ってから第2ワークW2の曲げ加工を行う場合には、金型200-1の位置から金型200-2の位置まで移動する必要があり、作業効率が低下することがある。本実施形態の一例では、このような作業者の移動による作業効率の低下を抑制するために、金型設定データの共通化を行った後に、ワークWごとの対象データ同士を比較して、曲げ加工に使用する金型が共通可能かどうかを確認する。確認の結果、共通可能であれば、曲げ加工に使用する金型を共通化する。
【0072】
なお、この確認は、作業者が行ってもよく、情報処理装置4は、少なくともワークWごとの対象データ同士を比較し、その比較結果を出力する。なお、上述した金型設定データAの作成方法は、あくまでも一例である。すなわち、金型設定データの共通化は、本発明の必須な構成ではない。本発明は、曲げ加工に使用される金型200がワークごとに異なっている場合などの様々な場合に有用である。
【0073】
図10は、金型設定データの共通化を行った後に
図9に例示する処理を行う場合の比較方法のフローの一例を示す図である。
【0074】
図10に示すように、処理部51は、第1ワークW1の金型設定データと、第2ワークW2の金型設定データとを共通化する(ステップS201)。そして、処理部51は、金型設定データの共通化を行った後に、第1ワークW1の対象テータと第2ワークW2の対象テータとを比較し、その比較した結果を出力する(ステップS202)。例えば、処理部51は、ステップS201を実行した後に、ステップS202の処理として、
図9に例示したステップS101~ステップS104の処理を実行する。次に、処理部51は、ステップS202の後に、第1ワークW1へのプレス加工に使用される金型200と、第2ワークW2へのプレス加工に使用される金型200とが同じになるように第1ワークW1又は第2ワークW2の使用金型データを更新する(ステップS203)。例えば、処理部51は、作業者からの金型設定データの更新指示を受信した場合にステップS203を実行してもよい。また、処理部51は、第1対象データと第2対象データとの差分が許容範囲内であるかを判定し、当該差分が許容範囲内である場合には作業者の更新指示の有無に関わらずにステップS203を実行してもよい。
【0075】
上記実施形態は、以下の構成を開示する。
(構成1)
金型200を用いてワークWに対して曲げ加工を行うプレス機械100に用いられる情報処理装置4であって、
ワークの曲げ線の数と、曲げ線の長さと、曲げ線の一端からワークに設けられているフランジまでの距離と、の少なくともいずれか1つのデータを含む対象データをワークごとに格納する記憶部42と、
ワークWごとの対象データ同士を比較する処理部51と、
処理部51による比較結果を出力する出力部52と、
を備える情報処理装置4。
(構成2)
処理部51は、第1ワークW1の対象データである第1対象データと第2ワークW2の対象データである第2対象データとを比較し、第1対象データと第2対象データと差分が許容範囲内であるかを判定し、
出力部52は、上記差分が許容範囲内であるか否かの判定結果を比較結果として出力する、
構成1に記載の情報処理装置4。
(構成3)
第1ワークW1への曲げ加工に使用される金型を示す第1使用金型データと、第2ワークW2への曲げ加工に使用される金型を示す第2使用金型データとを有し、
処理部51は、差分が許容範囲内である場合には、第1ワークW1への曲げ加工に使用される金型と、第2ワークW2への曲げ加工に使用される金型200とが同じになるように第1使用金型データ及び第2使用金型データのいずれかを更新する、
構成1又は構成2に記載の情報処理装置4。
(構成4)
処理部51は、第1ワークW1への曲げ加工に使用される金型として第1金型が設定され、第2ワークW2への曲げ加工に使用される金型として第1金型とは異なる第2金型が設定されている場合に、第1対象データと第2対象データとを比較して第2ワークW2への曲げ加工が第1金型で実行可能か否かを判定し、
出力部52は、第2ワークW2への曲げ加工が第1金型で実行可能か否かの判定結果を比較結果として出力する、
構成1から構成3のいずれかの構成に記載の情報処理装置4。
(構成5)
処理部51は、第2ワークW2への曲げ加工が第1金型で実行可能であると判定した場合には、第2ワークW2への曲げ加工に使用される金型として第1金型を設定する、
構成1から構成4のいずれかに記載の情報処理装置4。
【0076】
(構成6)
記憶部42には、プレス機械100に配置される金型200の位置及び種類を含む金型設定データがワークWごとに格納されており、
処理部51は、記憶部42に格納されているワークWごとの金型設定データを共通化し、共通化した後にワークWごとの対象データ同士を比較する、
構成1から構成5のいずれかに記載の情報処理装置4。
【0077】
以上、実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態に限定されない。また、上記した実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。また、上記した実施形態で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上記した実施形態で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、実施形態において示した各手順の実行順序は、前の手順の結果を後の手順で用いない限り、任意の順序で実現可能である。また、上記した実施形態における動作に関して、便宜上「まず」、「次に」、「続いて」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須ではない。
【符号の説明】
【0078】
1・・・加工機本体
2・・・金型交換装置
3・・・操作盤
4・・・情報処理装置
41・・・プロセッサ
42・・・記憶装置
50・・・制御部
51・・・処理部
52・・・出力部
100・・・プレス機械
200・・・金型