(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167679
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】マッサージ機
(51)【国際特許分類】
A61H 15/00 20060101AFI20241127BHJP
A61H 7/00 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
A61H15/00 350A
A61H7/00 323H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083913
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000136491
【氏名又は名称】株式会社フジ医療器
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古谷 毅
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100BA03
4C100BA05
4C100BB05
4C100BC14
4C100CA03
4C100CA09
4C100DA10
(57)【要約】
【課題】利便性を向上できる椅子式マッサージ機を提供する。
【解決手段】マッサージ機100は、座部1と、フレーム7と、オットマン6と、を備える。座部1は、着座する被施療者の臀部及び大腿部を支持する。フレーム7は、座部1の左右方向両側に立設され、座部1を支持する。オットマン6は、下腿部を支持する。オットマン6の上端部は、フレーム7に支持される。座部1の前端部は、座部1の少なくとも一部が左右方向に延びる座部回転軸Ja1、Ja2回りに回動することにより、後端部よりも下方に位置可能である。オットマン6は、壁部61と、逃げ部62と、を有する。壁部61は、脹脛の下側部分の後側に配置されて、下側部分に接する。逃げ部62は、壁部61の上方に配置された空間である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座する被施療者の臀部及び大腿部を支持する座部と、
前記座部の左右方向両側に立設され、前記座部を支持するフレームと、
被施療者の下腿部を支持するオットマンと、
を備え、
前記オットマンの上端部は、前記フレームに支持され、
前記座部の前端部は、前記座部の少なくとも一部が左右方向に延びる座部回転軸回りに回動することにより、前記座部の後端部よりも下方に位置可能であって、
前記オットマンは、
被施療者の脹脛の下側部分の後側に配置されて前記下側部分に接する壁部と、
前記壁部の上方に配置された空間から成る逃げ部と、
を有する、マッサージ機。
【請求項2】
前記座部の前端部が後端部よりも下方に位置した状態において、前記座部の少なくとも前側部分は、前記逃げ部に向かって交差する方向に延びる、請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記座部の前端部が後端部よりも下方に位置した状態において、前記座部の少なくとも前側部分における上面は、前記逃げ部に向かって交差する方向に延びる、請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記座部の前端部は、前記座部の後端部よりも下方に位置した状態において、前記逃げ部に収容される、請求項1乃至請求項3に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記逃げ部は、前記オットマンの上端部から下方に凹んで開口する凹部である、請求項1乃至請求項3に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記オットマンは、前記壁部から前方に突出し、着座する被施療者の左右一対の下腿部間に配置される隔壁部をさらに有し、
前記隔壁部の上端部は、前記逃げ部の下端部よりも下方に配置される、請求項1乃至請求項3に記載のマッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被施療者の立ち上がり補助機能を有するマッサージ機が知られている。たとえば特許文献1の健康チェアーでは、床面に据えられるベース部に対して、座部、背凭れ部、及び、肘掛け部が設けられた可動部が前に傾斜するように持ち上げることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、多くのマッサージ機では、被施療者が着座する座部の前端部には、被施療者の下肢部を支持するオットマンが接続されている。そのため、座部から立ち上がる際、被施療者の下腿部の上部が、オットマンの上端部に当接し易い。従って、被施療者は、立ち上がり難く感じるなどの不快感を覚え、利便性が悪いと感じることがある。
【0005】
本発明は、上記の状況を鑑みて、利便性を向上できるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の一の態様によるマッサージ機は、座部と、フレームと、オットマンと、を備える。前記座部は、着座する被施療者の臀部及び大腿部を支持する。前記フレームは、前記座部の左右方向両側に立設され、前記座部を支持する。前記オットマンは、被施療者の下腿部を支持する。前記オットマンの上端部は、前記フレームに支持される。前記座部の前端部は、前記座部の少なくとも一部が左右方向に延びる座部回転軸回りに回動することにより、前記座部の後端部よりも下方に位置可能である。前記オットマンは、壁部と、逃げ部と、を有する。前記壁部は、被施療者の脹脛の下側部分の後側に配置されて前記下側部分に接する。逃げ部は、前記壁部の上方に配置される空間から成る。
【0007】
本発明の更なる特徴や利点は、以下に示す実施形態によって一層明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、利便性を向上できるマッサージ機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】椅子式マッサージ機の構成例を示す概略的な斜視図
【
図2】第1実施形態における椅子式マッサージ機の要部の構成例を概略的に示す斜視図
【
図3】第1実施形態における椅子式マッサージ機の要部の構成例を概略的に示す側面図
【
図4】第1実施形態における椅子式マッサージ機の要部の第1変形例を概略的に示す斜視図
【
図5】第1実施形態における椅子式マッサージ機の要部の第2変形例を概略的に示す側面図
【
図6】椅子式マッサージ機の動作を制御する制御系を示すブロック図
【
図7】第2実施形態における椅子式マッサージ機の要部の構成例を概略的に示す斜視図
【
図8】第2実施形態における椅子式マッサージ機の要部の構成例を概略的に示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
<1.第1実施形態>
以下に、
図1~
図5を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、椅子式マッサージ機100の構成例を示す概略的な斜視図である。
図2は、第1実施形態における椅子式マッサージ機100の要部の構成例を概略的に示す斜視図である。
図3は、第1実施形態における椅子式マッサージ機100の要部の構成例を概略的に示す側面図である。
図4は、第1実施形態における椅子式マッサージ機100の要部の第1変形例を概略的に示す斜視図である。
図5は、第1実施形態における椅子式マッサージ機100の要部の第2変形例を概略的に示す側面図である。なお、
図2~
図5では、表面に配置される布製又は革製のカバー、緩衝材などの外装を省略している。さらに、要部の構成を見易くするため、施療ユニット3、立設部4、及び肘掛け部5なども省略している。また、
図3及び
図5は、左側から右側を向いて椅子式マッサージ機100を見ている。また、以下では、椅子式マッサージ機100を「マッサージ機100」と称することがある。
【0011】
また、以下の説明において、後述する背凭れ部2が起立した状態のマッサージ機100に着座した被施療者から見て前側(正面側)を「前方」といい、後側(背面側)を「後方」という。また、背凭れ部2が起立した状態のマッサージ機100に着座した被施療者から見て上側(頭側)を「上方」といい、下側(脚側)を「下方」という。なお、後述のオットマン6に関して、オットマン6が前後方向に回動した状態においても、オットマン6の被施療者側を「前方」ということがあり、オットマン6の被施療者とは反対側を「後方」ということがある。さらに、オットマン6において被施療者の足首部から膝部に向かう方向を「上方」ということがあり、オットマン6において被施療者の膝部から足首部に向かう方向を「下方」ということがある。また、背凭れ部2が起立した状態のマッサージ機100に着座した被施療者から見て右側を「右方」といい、左側を「左方」という。
【0012】
また、以下の説明において、「足部」は、踝から先の部分(つまり爪先)までを指す。「脚部」は、股関節よりも下側(つまり足部の爪先)までを指す。「下肢部」は、股関節から踝までの部分を指す。「大腿部」は、股関節から膝部までの部分を指す。「下腿部」は、膝部から踝までの部分を指す。「脹脛」は、下腿部の後部の膨らんだ部分を指す。
【0013】
<1-1.マッサージ機100>
マッサージ機100は、座部1と、背凭れ部2と、施療ユニット3と、左右一対の立設部4と、左右一対の肘掛け部5と、オットマン6と、を備える。
【0014】
座部1には、被施療者が着座する。座部1は、着座する被施療者の臀部及び太腿部を支持する。座部1は、後述するフレーム7に支持される。座部1の前端部は、座部1が座部回転軸Ja1回りに回動することにより、座部1の後端部よりも下方に位置可能である。たとえば、本実施形態では、座部1の後端部は、フレーム7に軸支され、座部1用のアクチュエータ10によって座部回転軸Ja1回りに回動可能である(
図3参照)。なお、座部回転軸Ja1は、左右方向に延び、座部1及びフレーム7の接続部分を通る。
【0015】
被施療者が座部1から立ち上がる際、座部1用のアクチュエータ10の収縮駆動により、座部1が回動し、座部1の前端部が後端部よりも下方に位置する。これにより、座部1は、左右方向から見て前方下がりに傾く。従って、被施療者は重心を前方に移動させ易くなるので、被施療者の立ち上がりを補助できる。
【0016】
本実施形態では、座部1の座部回転軸Ja1回りの回動により、座部1の前端部は、座部1の後端部よりも下方に移動可能である。こうすれば、座部1の後端部を前端部よりも上方に移動させる構成と比べて、重力の利用によって容易に座部1の前端部を下降させることができる。従って、後端部を上降させる構成よりも簡易に、座部1の前端部を下降させることができる。
【0017】
但し、この例示は、座部1の後端部が前端部よりも上方に移動可能である構成を排除しない。たとえば、フレーム7には、座部1の前端部が軸支されてもよい。そして、座部1用のアクチュエータ10によって、座部1の後端部が、座部1の前端部を通って左右方向と平行な回転軸回りに回動可能であってもよい。
【0018】
背凭れ部2は、背凭れ部2に凭れ掛かる被施療者の臀部(又は腰部)と頭部との一方から他方に向かう方向を長手方向とするとともに、左右方向を短手方向として広がる。背凭れ部2は、被施療者の頭部、胴部(たとえば肩部、腰部、及び背中)などを支持する。背凭れ部2の下端部は、座部1よりも後方に配置されて、フレーム7に軸支される。背凭れ部2は、背凭れ回転軸Jb回りに回動可能である。なお、背凭れ回転軸Jbは、左右方向に延び、背凭れ部2及びフレーム7の接続部分を通る。背凭れ部2は、背凭れ回転軸Jb回りの回動により、起立状態から後方に回動して傾倒したり、後傾状態から前方に回動したりすることが可能である。たとえば、被施療者が座部1から立ち上がる際、背凭れ部2は、前方に回動してもよい。こうすれば、背凭れ部2により被施療者の胴体部を前方に押すことができるので、被施療者の立ち上がりを補助できる。
【0019】
施療ユニット3は、被施療者の胴部及び首部などを施療可能である。施療ユニット3は、背凭れ部2に配置される(
図1参照)。施療ユニット3は、背凭れ部2に沿って左右方向と垂直な方向に移動可能である。たとえば、施療ユニット3は、背凭れ部2に設けられる左右一対のガイドレール31によって案内される。施療ユニット3は、背凭れ部2の長手方向に昇降可能である。
【0020】
立設部4は、座部1の左右方向の両側に立設して設けられ、肘掛け部5を支持する。
【0021】
肘掛け部5は、立設部4の上部に配置される。一対の肘掛け部5は、座部1の左右方向両側に配置され、被施療者の前腕部及び手を支持する。左右一対の肘掛け部5は、互いに左右対称の形状である。
【0022】
オットマン6は、被施療者の少なくとも下腿部を収容して支持する。オットマン6は、回動により座部1の前端部が後端部よりも下方に位置していない状態において、座部1の前端部よりも下方に配置される。オットマン6の上端部は、フレーム7に支持される(
図2及び
図3参照)。
【0023】
また、本実施形態では、オットマン6は、オットマン回転軸Jc回りに回動可能である。なお、オットマン回転軸Jcは、左右方向に延び、オットマン6及びフレーム7の接続部分を通る。但し、この例示は、オットマン6が回動不能である構成を排除しない。
【0024】
<1-2.要部>
次に、
図2から
図5を参照して、椅子式マッサージ機100の要部を説明する。
図2から
図5に示すように、マッサージ機100は、フレーム7をさらに備える。フレーム7は、座部1の左右方向両側に立設され、座部1、背凭れ部2、オットマン6を支持する。フレーム7の上部は座部1、背凭れ部2、及びオットマン6と接続され、下部は床面上に載置される。
【0025】
また、オットマン6の背部には、壁部61及び逃げ部62が設けられる。壁部61は、上下方向及び左右方向に広がる。壁部61は、着座する被施療者の脹脛の下側部分の後側に配置されて、脹脛の下側部分に接する。逃げ部62は、壁部61の上方に配置された空間から成り、被施療者の脹脛の上側部分の後側に配置される。これにより逃げ部62は、脹脛の上側部分とは非接触である。
【0026】
オットマン6が、被施療者の脹脛の上側部分と非接触な逃げ部62を有することにより、立ち上がりの際に、被施療者の脹脛の上側部分とオットマン6(特にその壁部61)との接触を防止できる。従って、被施療者は、不快感を覚えることなく、立ち上がることができる。従って、マッサージ機100の利便性を向上できる。
【0027】
また、オットマン6は、隔壁部63と、左右一対の側壁部64と、をさらに有する。隔壁部63は、壁部61の前面の左右方向中央部から前方に突出し、上下方向に延びる。隔壁部63は、着座する被施療者の左右一対の下腿部間に配置される。左右一対の側壁部64は、壁部61の左右方向両端部から前方に突出し、上下方向に延びる。
【0028】
フレーム7には、
図2~
図3及び
図5に示すように、側壁部64の上端部が接続されてもよい。或いは、フレーム7には、
図4に示すように、壁部61の左右方向両側における上端部が接続されてもよい。
【0029】
このほか、オットマン6は、着座した被施療者の足裏が載置可能な底板部をさらに有してもよい。底板部は、壁部61の下側部分において壁部61の前面から突出し、左右方向に延びる。但し、この例示は、オットマン6が上述の底板部を有さない構成を排除しない。
【0030】
次に、本実施形態では
図2に示すように、逃げ部62は、凹部である。たとえば、逃げ部62は、オットマン6の背部の上端部から下方に凹んで、前面及び後面に開口する。また、逃げ部62は、壁部61の上端部において左右一対の側壁部64間に配置される。或いは、逃げ部62は、壁部61の上端部において、隔壁部63及び左側の側壁部64間と、隔壁部63及び右側の側壁部64間とにそれぞれ配置されてもよい。こうすれば、背部の上端部に凹部を配置することで、逃げ部62を簡易に構成できる。
【0031】
但し、本実施形態の例示に限定されず、逃げ部62は、
図4に示すように、壁部61の上端部の上側に配置される空間であってもよい。たとえば、
図4のように、脹脛の上側部分が非接触となる空間を壁部61の上端部に配置することにより、逃げ部62を簡易に構成できる。
【0032】
次に、座部1の前端部が後端部よりも下方に位置した状態において、座部1の少なくとも前側部分(特にその上面)は、逃げ部62に向かって交差する方向に延びる(
図3参照)。こうすれば、被施療者の立ち上がりを補助する際、脹脛がオットマン6の壁部61と接触しない程度に、被施療者者の大腿部の前側及び膝部を下方に下げることができる。従って、被施療者は、不快感を覚えることなく、楽に立ち上がることができる。
【0033】
特に、座部1の前端部が後端部よりも下方に位置した状態において、座部1の少なくとも前側部分における上面は、逃げ部62に向かって交差する方向に延びる。こうすれば、より確実に、被施療者は、楽に立ち上がることができる。
【0034】
好ましくは
図5に示すように、座部1の前端部は、座部1の後端部よりも下方に位置した状態において、逃げ部62に収容される。こうすれば、オットマン6(特に逃げ部62)を座部1の前端部の近傍に配置できる。従って、被施療者の下腿部は、楽な状態でオットマン6に支持される。但し、この例示は、座部1の前端部が逃げ部62に収容されない構成を排除しない。
【0035】
また、好ましくは、隔壁部63の上端部は、逃げ部62の下端部以下に配置される(
図2及び
図4など参照)。すなわち、隔壁部63の上端部は、逃げ部62の下端部に達していてもよいし、逃げ部62の下端部よりも下方に配置されてもよい。こうすれば、被施療者が立ち上がる際に、隔壁部63の上端部が被施療者の膝部、大腿部などに当接することを防止できる。従って、被施療者は、不快感を覚えることなく、且つ、隔壁部63が邪魔になることなく、立ち上がることができる。但し、この例示は、隔壁部63の上端部が逃げ部62の下端部よりも上方に配置される構成を排除しない。
【0036】
また、側壁部64の上端部は、逃げ部62の下端部に達していてもよいし、逃げ部62の下端部よりも下方に配置されてもよい。或いは、側壁部64の上端部は、逃げ部62の下端部よりも上方に配置されてもよい。
【0037】
<1-3,マッサージ機100の制御系>
次に、
図6を参照して、マッサージ機100の制御系の構成例を説明する。
図6は、マッサージ機100の動作を制御する制御系を示すブロック図である。
【0038】
図6に示すように、マッサージ機100は、操作部81と、記憶部82と、制御部83と、アクチュエータ群91と、ポンプ92と、電磁弁群93と、をさらに備える。
【0039】
操作部81は、被施療者などの入力操作を受け付け、入力操作に基づく信号を制御部83に出力する。入力操作は、座部1、背凭れ部2、及びオットマン6の回動、施療パターンの選択、施療の強弱調整などを含む。操作部81はコード線を介して制御部83に接続される。操作部81は、スタンド(符号省略)に対して装着及び取り外しが可能である。スタンドは、座部1の左側に配置された肘掛け部5に固定される。
【0040】
記憶部82は、電力供給が停止しても記憶した情報を保持する非一過性の記憶媒体である。記憶部82は、たとえば、制御部83がマッサージ機100の動作を制御するために必要なプログラム及びデータを記憶している。
【0041】
制御部83は、たとえば座部1の下側に配置され、操作部81から出力される信号などに基づいて、マッサージ機100の各部を制御する。たとえば、制御部83は、施療ユニット3の駆動及び昇降、アクチュエータ群91、ポンプ92、及び、電磁弁群93などを制御する。
【0042】
アクチュエータ群91は、複数のアクチュエータを含む。たとえば、アクチュエータ群91は、座部1を回動させるアクチュエータ10、背凭れ部2を回動させるアクチュエータ(図示省略)、オットマン6を回動させるアクチュエータ60などを含む。
【0043】
電磁弁群93は、エアバッグ群(図示省略)に設けられる電磁弁を含む。ポンプ92は、電磁弁群93を介してエアバッグ群に給気する。各々の電磁弁は、エアバッグ群の膨張,膨縮状態の維持,収縮を切り替える。詳細には、電磁弁は、ポンプ92とエアバッグ群との間の連通/遮断を切り替える。たとえば、電磁弁の動作によりポンプ92とエアバッグとが連通すると、ポンプ92から電磁弁を介してエアバッグに空気が供給される。これにより、エアバッグが膨張する。また、電磁弁は、エアバッグ群と外部との間の連通/遮断を切り替える。たとえば、電磁弁の動作により外部とエアバッグとが連通すると、エアバッグが電磁弁を介して外部に開放される。これにより、エアバッグ内の空気が排出され、エアバッグが収縮する。また、電磁弁の動作により、エアバッグがポンプ92とも外部とも連通しなくなると、エアバッグ内の空気の量が保持され、エアバッグの膨縮状態が維持される。
【0044】
<2.第2実施形態>
次に、
図7及び
図8を参照して、第2実施形態を説明する。
図7は、第2実施形態における椅子式マッサージ機100の要部の構成例を概略的に示す斜視図である。
図8は、第2実施形態における椅子式マッサージ機100の要部の構成例を概略的に示す側面図である。なお、
図7及び
図8では、表面に配置される布製又は革製のカバー、緩衝材などの外装を省略している。さらに、要部の構成を見易くするため、施療ユニット3、立設部4、及び肘掛け部5なども省略している。また、
図8は、左側から右側を向いて椅子式マッサージ機100を見ている。
【0045】
なお、第2実施形態では、第1実施形態とは異なる構成を説明する。また、第1実施形態と同様の構成部には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
【0046】
第2実施形態では、座部1の前端部は、座部1の一部が左右方向に延びる座部回転軸Ja2回りに回動することにより、座部1の後端部よりも下方に位置可能である。たとえば
図7及び
図8に示すように、座部1は、後側座部11と、前側座部12と、を有する。
【0047】
後側座部11及び前側座部12は、たとえば前後方向及び左右方向に広がる板状である。後側座部11は、被施療者の臀部を支持する。後側座部11の左右方向両端部は、フレーム7に接続される。前側座部12は、後側座部11よりも前方に配置されて、被施療者の大腿部を支持する。本実施形態では、前側座部12の左右方向両端部は、フレーム7に支持される。或いは、この例示に限定されず、前側座部12は、後側座部11の前端部に支持されてもよい。また、前側座部12は、座部1用のアクチュエータ10によって座部回転軸Ja2回りに回動可能である。なお、座部回転軸Ja2は、左右方向に延び、前側座部12の後端部を通る。
【0048】
こうすれば、被施療者が座部1から立ち上がる際、座部1用のアクチュエータ10の収縮駆動により、前側座部12の前端部が下方に回動する。これにより、前側座部12は、左右方向から見て前方下がりに傾く。従って、被施療者は重心を前方に移動させ易くなるので、被施療者の立ち上がりを補助できる。
【0049】
好ましくは、前側座部12の前端部が後側座部11よりも下方に位置した状態において、前側座部12(特にその上面)は、逃げ部62に向かって交差する方向に延びる。こうすれば、被施療者の立ち上がりを補助する際、脹脛がオットマン6の壁部61と接触しない程度に、被施療者の大腿部の前側及び膝部を下方に下げることができる。従って、被施療者は、不快感を覚えることなく、楽に立ち上がることができる。
【0050】
また、好ましくは、前側座部12の前端部は、後側座部11よりも下方に位置した状態において、逃げ部62に収容される。こうすれば、オットマン6(特に逃げ部62)を前側座部12の前端部の近傍に配置できる。従って、被施療者の下腿部は、楽な状態でオットマン6に支持される。但し、この例示は、前側座部12の前端部が逃げ部62に収容されない構成を排除しない。
【0051】
<3.備考>
上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0052】
たとえば、上述の実施形態のマッサージ機100は、背凭れ部2を備える。但し、この例示に限定されず、マッサージ機100は、背凭れ部2を備えていなくてもよい。
【0053】
<4.総括>
以下では、これまでに説明してきた実施形態について総括的に述べる。
【0054】
たとえば、本明細書中に開示されているマッサージ機100は、
着座する被施療者の臀部及び大腿部を支持する座部1と、
前記座部1の左右方向両側に立設され、前記座部1を支持するフレーム7と、
被施療者の下腿部を支持するオットマン6と、
を備え、
前記オットマン6の上端部は、前記フレーム7に支持され、
前記座部1の前端部は、前記座部1の少なくとも一部(たとえば、座部1自身、前側座部12)が左右方向に延びる座部回転軸Ja1,Ja2回りに回動することにより、前記座部1の後端部(或いは、後側座部11)よりも下方に位置可能であって、
前記オットマン6は、
被施療者の脹脛の下側部分の後側に配置されて前記下側部分に接する壁部61と、
前記壁部61の上方に配置された空間から成る逃げ部62と、
を有する構成(第1の構成)とされる。
【0055】
上記第1の構成のマッサージ機100は、
前記座部1の前端部が後端部よりも下方に位置した状態において、前記座部1の少なくとも前側部分(たとえば、座部1自身、前側座部12)は、前記逃げ部62に向かって交差する方向に延びる構成(第2の構成)であってもよい。
【0056】
上記第1の構成のマッサージ機100は、
前記座部1の前端部が後端部よりも下方に位置した状態において、前記座部1の少なくとも前側部分(たとえば、座部1自身、前側座部12)における上面は、前記逃げ部62に向かって交差する方向に延びる構成(第3の構成)であってもよい。
【0057】
上記第1から第3のいずれかの構成のマッサージ機100は、
前記座部1の前端部は、前記座部1の後端部よりも下方に位置した状態において、前記逃げ部62に収容される構成(第4の構成)であってもよい。
【0058】
上記第1から第4のいずれかの構成のマッサージ機100は、
前記逃げ部62は、前記オットマン6の上端部から下方に凹んで開口する凹部である構成(第5の構成)であってもよい。
【0059】
上記第1から第5のいずれかの構成のマッサージ機100は、
前記オットマン6は、前記壁部61から前方に突出し、着座する被施療者の左右一対の下腿部間に配置される隔壁部63をさらに有し、
前記隔壁部63の上端部は、前記逃げ部62の下端部よりも下方に配置される構成(第6の構成)であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
100 (椅子式)マッサージ機
1 座部
10 アクチュエータ
11 後側座部
12 前側座部
2 背凭れ部
3 施療ユニット
31 ガイドレール
4 立設部
5 肘掛け部
6 オットマン
60 アクチュエータ
61 壁部
62 逃げ部
63 隔壁部
64 側壁部
7 フレーム
81 操作部
82 記憶部
83 制御部
91 アクチュエータ群
92 ポンプ
93 電磁弁群
Ja1,Ja2 座部回転軸
Jb 背凭れ回転軸
Jc オットマン回転軸