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  • 特開-回転電機用ハウジング及び回転電機 図1
  • 特開-回転電機用ハウジング及び回転電機 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167681
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】回転電機用ハウジング及び回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/00 20060101AFI20241127BHJP
   H02K 5/20 20060101ALI20241127BHJP
   H02K 5/02 20060101ALI20241127BHJP
   H02K 5/08 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
H02K5/00 B
H02K5/20
H02K5/02
H02K5/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083918
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
(74)【代理人】
【識別番号】100137316
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 宏
(72)【発明者】
【氏名】関根 謙克
(72)【発明者】
【氏名】篠田 敦裕
(72)【発明者】
【氏名】入口 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】武部 潤哉
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA01
5H605AA11
5H605BB05
5H605BB10
5H605BB17
5H605CC01
5H605DD01
5H605DD13
(57)【要約】
【課題】筒形状を有する樹脂製ハウジング部材の寸法精度に依らず、電磁波シールド性能とステータ冷却性能を確保し得る回転電機用ハウジング及び回転電機を提供する。
【解決手段】回転電機用ハウジングは、回転電機のロータとステータを収容する筒状部を有する。筒状部が、筒形状を有する樹脂製ハウジング部材と、樹脂製ハウジング部材の内周側に設けられ、外筒部材と内筒部材からなる2重筒形状を有する金属製ハウジング部材からなる。金属製ハウジング部材が、外筒部材と内筒部材の間に形成された冷媒流路を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機のロータとステータを収容する筒状部を有する回転電機用ハウジングであって、
前記筒状部が、筒形状を有する樹脂製ハウジング部材と、前記樹脂製ハウジング部材の内周側に設けられ、外筒部材と内筒部材からなる2重筒形状を有する金属製ハウジング部材からなり、
前記金属製ハウジング部材が、前記外筒部材と前記内筒部材の間に形成された冷媒流路を有する
ことを特徴とする回転電機用ハウジング。
【請求項2】
前記樹脂製ハウジング部材が、前記樹脂製ハウジング部材の少なくとも一方の端部に外周側に突出したフランジ部を有することを特徴とする請求項1に記載の回転電機用ハウジング。
【請求項3】
前記樹脂製ハウジング部材が、前記樹脂製ハウジング部材の一方の端部に内周側に突出して前記外筒部材に接し且つ周方向全周にわたって沿った突条部を有し、
前記突条部が、前記樹脂製ハウジング部材と前記外筒部材との間に接着材充填部を形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の回転電機用ハウジング。
【請求項4】
前記筒状部の少なくとも一方の端部を塞ぐ金属製カバー部材を更に有することを特徴とする請求項1に記載の回転電機用ハウジング。
【請求項5】
前記金属製カバー部材と前記金属製ハウジング部材とがボルト締結されていることを特徴とする請求項4に記載の回転電機用ハウジング。
【請求項6】
ロータシャフトと、前記ロータシャフトの外周に一体的に設けられたロータと、前記ロータの外周に隙間を設けて配置された環状のステータと、前記ロータを収容すると共に前記ロータシャフトを回転可能に支持し、且つ前記ステータを収容すると共に固定するハウジングを備えた回転電機であって、
前記ハウジングが、前記ロータと前記ステータを収容する筒状部を有し、
前記筒状部が、筒形状を有する樹脂製ハウジング部材と、前記樹脂製ハウジング部材の内周側に設けられ、外筒部材と内筒部材からなる2重筒形状を有する金属製ハウジング部材からなり、
前記金属製ハウジング部材が、前記外筒部材と前記内筒部材の間に形成された冷媒流路を有する
ことを特徴とする回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機用ハウジング及び回転電機に係り、さらに詳細には、樹脂部材と金属部材とを組み合わせた回転電機用ハウジング及びこれを備えた回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ステータの冷却性能を向上させる冷却構造を有する回転電機を開示している。この回転電機の一例であるモータは、ステータのティース部に分布巻きしたコイルをティース部間のスロットに収容している。また、このモータにおいては、スロットの内部空間でステータの内周側で且つコイルと隣接する位置に軸方向に延びるコイル内側冷却用流路が設けられており、これらスロットの内部空間でコイル又はコイル内側冷却用流路を除く隙間に樹脂材料が充填され、コイル内側冷却用流路に冷却液を流すことでステータが冷却されている。
【0003】
一方で、特許文献1には、モータがケースとケースの内部に収容されたロータ及びステータを備えること、ケースが円筒部とこの円筒部の軸方向両端を閉塞する側板部とを有して構成されること、ケースの材料として例えばアルミニウム合金(鋳物鋳造品)や樹脂材料、それらを組み合わせたものを用いることができることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2021/246216号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ケースの円筒部を樹脂材料で形成した場合、樹脂材料の導電率が金属材料に比べて小さいので、円筒部において所望の電磁波シールド性能を確保できないという問題点があった。さらに、ケースの円筒部を樹脂材料で形成した場合、樹脂材料で形成した円筒部において所望の寸法精度、特に真円度を確保することが難しく、樹脂材料の劣化に伴って冷媒流路が損傷し、ステータの冷却性能を確保できなくなるおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであって、筒形状を有する樹脂製ハウジング部材の寸法精度に依らず、電磁波シールド性能とステータ冷却性能を確保し得る回転電機用ハウジング及び回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、筒形状の樹脂製ハウジング部材の内周側に、外筒部材と内筒部材を備え、これらの部材の間に形成された冷媒流路を有する2重筒形状を有する金属製ハウジング部材を設けてハウジングの筒状部を形成することにより、前記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の回転電機用ハウジングは、回転電機のロータとステータを収容する筒状部を有する。
筒状部が、筒形状を有する樹脂製ハウジング部材と、樹脂製ハウジング部材の内周側に設けられ、外筒部材と内筒部材からなる2重筒形状を有する金属製ハウジング部材からなる。
金属製ハウジング部材が、外筒部材と内筒部材の間に形成された冷媒流路を有する。
【0009】
また、本発明の回転電機は、ロータシャフトと、ロータシャフトの外周に一体的に設けられたロータと、ロータの外周に隙間を設けて配置された環状のステータと、ロータを収容すると共にロータシャフトを回転可能に支持し、且つステータを収容すると共に固定するハウジングを備える。
ハウジングが、ロータとステータを収容する筒状部を有する。
筒状部が、筒形状を有する樹脂製ハウジング部材と、樹脂製ハウジング部材の内周側に設けられ、外筒部材と内筒部材からなる2重筒形状を有する金属製ハウジング部材からなる。
金属製ハウジング部材が、外筒部材と内筒部材の間に形成された冷媒流路を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、筒形状の樹脂製ハウジング部材の内周側に、外筒部材と内筒部材を備え、これらの部材の間に形成された冷媒流路を有する2重筒形状を有する金属製ハウジング部材を設けてハウジングの筒状部を形成したため、筒形状を有する樹脂製ハウジング部材の寸法精度に依らず、電磁波シールド性能とステータ冷却性能を確保し得る回転電機用ハウジング及び回転電機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の回転電機の一実施形態を模式的に示す斜視図である。
図2図1に示した回転電機の軸方向の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の回転電機用ハウジング及び回転電機の一実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下で引用する図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0013】
図1及び図2に示すように、本実施形態の回転電機1は、ロータシャフト10と、ロータ20と、ステータ30と、ハウジング40を備えている。ロータ20は、ロータシャフト10の外周に一体的に設けられている。ステータ30は、環状をなし、ロータ20の外周に隙間Gを設けて配置されている。ハウジング40は、ロータ20を収容すると共にロータシャフト10を回転可能に支持しており、且つステータ30を収容すると共に固定している。なお、ハウジング40は、ボールベアリング45を介してロータシャフト10を回転可能に支持している。
【0014】
そして、本実施形態のハウジング40は、ロータ20とステータ30を収容する筒状部40Aを有している。筒状部40Aが、円管形状などの筒形状を有する樹脂製ハウジング部材41と、樹脂製ハウジング部材41の内周側に設けられ、外筒部材421と内筒部材423からなる2重円管形状などの2重円筒形状を有する金属製ハウジング部材42からなる。
【0015】
さらに、金属製ハウジング部材42が、外筒部材421と内筒部材423の間に形成された冷媒流路42aを有している。
【0016】
樹脂製ハウジング部材41は、樹脂製ハウジング部材41の両方の端部41A,41Aに樹脂製ハウジング部材41の外周側に突出したフランジ部41B,41Bを有していることが好ましい(図1及び図2参照)。
【0017】
樹脂製ハウジング部材41は、樹脂製ハウジング部材41の一方の端部41Aに樹脂製ハウジング部材41の内周側に突出して外筒部材421に接し且つ樹脂製ハウジング部材41の周方向全周にわたって沿った突条部41Cを有していることが好ましく、突条部41Cが、樹脂製ハウジング部材41と外筒部材421との間に接着材46が充填される接着材充填部41aを形成していることが好ましい(図2参照)。
【0018】
ハウジング40は、筒状部40Aの両方の端部40A,40Aを塞ぐ金属製カバー部材43,43を更に有していることが好ましい(図1及び図2参照)。
【0019】
金属製カバー部材43は、金属製ハウジング部材42とボルト44によって締結されていることが好ましい(図2参照)。
【0020】
次に、本実施形態の利点について説明する。本実施形態においては、筒形状の樹脂製ハウジング部材41の内周側に、外筒部材421と内筒部材423を備え、これらの部材421,423の間に形成された冷媒流路42aを有する2重筒形状を有する金属製ハウジング部材42を設けてハウジング40の筒状部40Aを形成している。このような金属製ハウジング部材を備えているので、ロータやステータが発する電磁波が外部に漏れることをシールする電磁波シールド性能を確保でき、さらに車載した際の過酷な環境下における樹脂材料の劣化によっても冷却流路の損傷が生じず、ステータが発する熱を除去するステータ冷却性能を確保できる。さらに、上述の樹脂製ハウジング部材の寸法精度も一般的な成形精度で問題ない。
【0021】
なお、このようなハウジングや回転電機においては、ハウジングの樹脂化によって、ハウジングや回転電機の軽量化を図ることができ、膜振動減衰効果による回転電機の放射音低減を図ることができるという副次的な利点がある。
【0022】
また、本実施形態においては、樹脂製ハウジング部材41が樹脂製ハウジング部材41の両方の端部41A,41Aに外周側に突出したフランジ部41B,41Bを有している。そのため、筒状部の両方の端部を塞ぐカバー部材と樹脂製ハウジング部材とのボルトなどによる締結箇所を増やすことができ、カバー部材の保持性を向上させることができるという利点がある。
【0023】
さらに、本実施形態においては、樹脂製ハウジング部材41が樹脂製ハウジング部材41の一方の端部41Aに内周側に突出して外筒部材421に接し且つ周方向全周にわたって沿った突条部41Cを有し、突条部41Cが樹脂製ハウジング部材41と外筒部材421との間に接着材充填部41aを形成している。そのため、樹脂製ハウジング部材の他方の端部41A側から接着材充填部41aに向かって、図2中では左方から右方に向かって真空引きを利用して接着材を注入した場合、接着材を突条部で滞留させることができ、接着材を充填しやすいという利点がある。また、このような突条部を有するハウジングや回転電機においては、樹脂製ハウジング部材の位置決めや接着材の塗工が容易になるという副次的な利点もある。
【0024】
さらに、本実施形態においては、ハウジング40が筒状部40Aの両方の端部40A,40Aを塞ぐ金属製カバー部材43,43を更に有しており、金属製カバー部材43,43と金属製ハウジング部材42とがボルト44によって締結されている。そのため、ステータの内側で回転するロータの組付け精度を確保しやすいという利点がある。
【0025】
ここで、各構成要素の仕様や材種について更に詳細に説明する。
【0026】
(回転電機)
回転電機1としては、例えば、車両に搭載される電動機(モータ)、発電機(ジェネレータ)、電動機及び発電機として機能し得るモータジェネレータを挙げることができる。
【0027】
(ロータ)
ロータ20としては、例えば、従来公知のロータシャフト10の外周に固定され、且つ、円環状をなすステータ30の内側に配置され、従来公知の電磁鋼板等を積層してなるロータコアに、永久磁石が介挿されたもの、コイルを巻回して設けたものを挙げることができる。また、ロータコアに巻回されたコイルとしては、例えば、分布巻コイル、集中巻コイルを挙げることができる。
【0028】
(ステータ)
ステータ30としては、例えば、円環状をなし周方向に複数のスロットを有するステータコアに、コイルを巻回して設けたものを挙げることができる。このようなステータコアとしては、例えば、複数の電磁鋼板をステータコアの軸方向に積層して形成されたステータコアを用いることができる。
【0029】
(ハウジング)
樹脂製ハウジング部材41の形状は、例えば、両方の端部に開口部を有する筒形状であってもよく、一方の端部に開口部を有する有底筒形状であってもよい。
【0030】
樹脂製ハウジング部材41の材種としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、これらの繊維強化樹脂などの樹脂材料を挙げることができる。ここで、繊維状強化材としては、例えば、ガラス繊維や炭素繊維などを挙げることができる。また、樹脂材料としては、軽量化、射出成形による成形容易性、コスト低減などの観点からは、熱可塑性樹脂を好適に用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ナイロン6/6などのポリアミドを好適に用いることができる。
【0031】
接着材充填部41aの形状は、高さ0.3~2mm程度であることが好ましく、0.5~1mm程度であることがより好ましい。突条部41Cの高さも接着材充填部41aの高さと同程度であることが好ましい。
【0032】
金属製ハウジング部材42としては、例えば、外筒部材と内筒部材との間に冷媒流路を形成するリブを有するもの、外筒部材と内筒部材を繋ぐリブを有するものを挙げることができる。外筒部材と内筒部材を繋ぐリブとしては、例えば、溶接や圧入で形成されたものを挙げることができる。
【0033】
外筒部材421の形状は、例えば、両方の端部に開口部を有する筒形状であってもよく、一方の端部に開口部を有する有底筒形状であってもよい。内筒部材423の形状も同様である。
【0034】
外筒部材や内筒部材の板厚は、電磁波シールド性能とステータ冷却性能の確保という観点からは、0.5~3mm程度であることが好ましく、0.8~3mm程度であることがより好ましく、2~3mm程度であることが更に好ましい。また、外筒部材の内周面や内筒部材の外周面には上述の冷媒流路を形成するためのリブを有していてもよい。さらに、上述の冷媒流路を形成するに際して、例えば、厚さ2~3mm程度の平形のメタルガスケットを用いてもよく、適切なサイズを有するOリングを用いてもよい。
【0035】
冷媒流路を流れる冷媒としては、例えば、水や油など従来公知の回転電機において用いられる従来公知の冷媒を用いることができる。
【0036】
金属製カバー部材43の形状は、上述したボールベアリングを介してロータシャフトを回転可能に支持できれば特に限定されず、例えば、板状であることが好ましい。
【0037】
また、接着材46の材種としては、金属製の外筒部材と樹脂製ハウジング部材とを接着することができれば、従来公知の接着材を適宜用いることができる。
【0038】
ここで、上述した回転電機の製造方法について好適例を挙げて説明する。
【0039】
まず、外周面に冷媒流路42aを形成するリブを有する内筒部材423を加熱する。次いで、内筒部材423の内周側にステータ30を配置し、焼き嵌めによって内筒部材423の内周側にステータ30を固定する。
【0040】
次いで、ステータ30を固定した内筒部材423を外筒部材421の内周側に圧入し、外筒部材421と内筒部材423の間に冷媒流路42aを設けて2重筒形状を有する金属製ハウジング部材42を形成する。
【0041】
次いで、金属製ハウジング部材42の外周側に樹脂製ハウジング部材41を組付ける。この際、突条部41Cによって樹脂製ハウジング部材41の位置決めを行いながら、接着材充填部41aを形成する。
【0042】
更に、接着材充填部41aが形成された組立体を型に配置し、次いで、接着材充填部41aの真空引きを行い、しかる後、接着材46を注入して硬化させる。
【0043】
しかる後、このようにして得られた筒状部40Aに対して、ロータシャフト10に固定されたロータ20を組み込み、筒状部40Aの両方の端部にボールベアリング45を有する金属性カバー部材43をボルト44によって締結して、回転電機1を得る。
【0044】
本発明の回転電機は、このような製造方法によって製造されたものに限定されない。例えば、2重筒形状を有する金属製ハウジング部材を形成した後に、金属製ハウジング部材にステータを組付けてもよい。
【0045】
以上、本発明を若干の実施形態によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0046】
本発明においては、筒形状を有する樹脂製ハウジング部材の寸法精度に依らず、電磁波シールド性能とステータ冷却性能を確保するべく、筒形状の樹脂製ハウジング部材41の内周側に、外筒部材421と内筒部材423を備え、これらの部材421,423の間に形成された冷媒流路42aを有する2重筒形状を有する金属製ハウジング部材42を設けてハウジング40の筒状部40Aを形成することを骨子とする。
【0047】
従って、上述した実施形態においては、樹脂製ハウジング部材41が樹脂製ハウジング部材41の両方の端部41A,41Aに外周側に突出したフランジ部41B,41Bを有する場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明においては、例えば、筒状部40Aの他方の端部40Aのカバー部材の大きさが金属製ハウジング部材42の開口部の大きさと同程度である場合には、樹脂製ハウジング部材41が樹脂製ハウジング部材41の一方の端部41Aのみに外周側に突出したフランジ部41Cを有していてもよい。また、本発明においては、例えば、樹脂製ハウジング部材41がフランジ部41Bを有していなくてもよい。
【0048】
また、上述した実施形態においては、樹脂製ハウジング部材41が樹脂製ハウジング部材41の一方の端部41Aに内周側に突出して外筒部材421に接し且つ周方向全周にわたって沿った突条部41Cを有し、突条部41Cが樹脂製ハウジング部材41と外筒部材421との間に接着材充填部41aを形成する場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明においては、例えば、樹脂製ハウジング部材41が樹脂製ハウジング部材41の一方の端部41Aに内周側に突出して外筒部材421に接し且つ周方向全周にわたって形成され、その一部に空気抜き穴を有する突条部41Cを有し、突条部41Cが樹脂製ハウジング部材41と外筒部材421との間に接着材充填部41aを形成していてもよい。また、本発明においては、例えば、樹脂製ハウジング部材41が突条部41Cを有していなくてもよい。
【0049】
さらに、上述した実施形態においては、筒状部40Aの両方の端部40A,41Aを塞ぐ金属製カバー部材43,43を更に有し、金属製カバー部材43と金属製ハウジング部材42とがボルトボルト44によって締結されている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明においては、例えば、回転電機の構造によっては、筒状部40Aの他方の端部41Aを塞ぐカバー部材のみを金属製としてもよい。このような回転電機の構造としては、例えば、筒状部40Aの一方の端部41A側に、回転電機と組み合わされた歯車箱が配置されており、この歯車箱においてロータシャフトが回転可能に支持されている構造を挙げることができる。
【0050】
さらに、例えば、上述した構成要素は特に限定されず、ロータシャフト、ロータ、ステータ、ハウジングの仕様や材質の細部を変更することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 回転電機
10 ロータシャフト
20 ロータ
30 ステータ
40 ハウジング
40A 筒状部
40A,40A 端部
41 樹脂製ハウジング部材
41a 接着材充填部
41A,41A 端部
41B フランジ部
41C 突条部
42 金属製ハウジング部材
42a 冷媒流路
421 外筒部材
423 内筒部材
43 金属製カバー部材
44 ボルト
45 ボールベアリング
46 接着材
G 隙間
図1
図2