(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167684
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20241127BHJP
A61K 8/42 20060101ALI20241127BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20241127BHJP
A61K 8/9767 20170101ALI20241127BHJP
A61K 8/68 20060101ALI20241127BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20241127BHJP
A61K 8/14 20060101ALI20241127BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/42
A61K8/67
A61K8/9767
A61K8/68
A61K8/55
A61K8/14
A61Q19/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083921
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】514090658
【氏名又は名称】プレミアアンチエイジング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑畑 明穂
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健志
(72)【発明者】
【氏名】森山 昌明
(72)【発明者】
【氏名】小林 伸次
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB032
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC422
4C083AC532
4C083AC641
4C083AC642
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD352
4C083AD411
4C083AD412
4C083AD492
4C083AD571
4C083AD572
4C083AD621
4C083AD622
4C083AD631
4C083AD632
4C083AD641
4C083AD642
4C083AD661
4C083AD662
4C083BB47
4C083CC04
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD45
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】保湿効果に優れ、使用感にも優れた皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】以下の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)及び(F)を含有し、(C)、(D)及び(E)が(F)水素添加大豆リン脂質を膜の構成成分として含むリポソームに内包された組成物である、皮膚外用剤。
(A)ナイアシンアミド。
(B)D-パントテニルアルコール。
(C)3-O-エチルアスコルビン酸。
(D)松樹皮抽出物。
(E)グルタチオン及びセラミド類から選ばれる少なくとも1種。
(F)水素添加大豆リン脂質。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)及び(F)を含有し、(C)、(D)及び(E)が、(F)水素添加大豆リン脂質を膜の構成成分として含むリポソームに内包された組成物である、皮膚外用剤。
(A)ナイアシンアミド。
(B)D-パントテニルアルコール。
(C)3-O-エチルアスコルビン酸。
(D)松樹皮抽出物。
(E)グルタチオン及びセラミド類から選ばれる少なくとも1種。
(F)水素添加大豆リン脂質。
【請求項2】
さらに、(G)抗酸化剤、保湿剤、抗炎症剤、美白剤、ビタミン類及びピーリング剤から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記(G)が、ビルベリー葉エキス、アスタキサンチン、ツボクサ葉エキス、ビスグリセリルアスコルビン酸、トコフェロール及び乳酸から選ばれる1種以上である請求項2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
(A)ナイアシンアミドの含有量が5質量%以上である請求項1~3のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚外用剤には種々の活性成分が提案され、それら活性成分を配合した化粧品及び医薬品が上市されている。例えば、α-ヒドロキシカルボン酸等の細胞賦活成分;コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸又はその塩等の細胞外マトリックス成分;尿素等の保湿剤;が挙げられる。さらに、植物由来の抗酸化剤や保湿剤も提案されている。
例えば特許文献1には、ナイアシンアミドとクロウメモドキ科ナツメ属のナツメ(Ziziphus jujuba)の果実の抽出物を有効成分とする皮膚外用剤によれば皮膚のバリア機能の向上、乾燥肌の予防及び改善、皮膚菲薄化の予防及び改善が図れることが記載され、ナイアシンアミドとセラミドを含むエッセンスが記載されている(例えば、特許文献1)。
また、特許文献2には、D-パントテニルアルコール及びナイアシンアミドを含有するシワ改善用皮膚外用剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-163643号公報
【特許文献2】特開2021-063076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ナイアシンアミドを用い、保湿効果及び使用感に優れた皮膚外用剤は従来得られていなかった。
本発明は、ナイアシンアミドを用い、保湿効果及び使用感に優れた皮膚外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下の〔1〕~〔4〕を提供する。
〔1〕
ナイアシンアミド以下の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)及び(F)を含有し、(C)、(D)及び(E)が(F)水素添加大豆リン脂質を含むリポソームに内包された組成物である、皮膚外用剤。
(A)ナイアシンアミド。
(B)D-パントテニルアルコール。
(C)3-O-エチルアスコルビン酸。
(D)松樹皮抽出物。
(E)グルタチオン及びセラミド類から選ばれる少なくとも1種。
(F)水素添加大豆リン脂質。
〔2〕
さらに、(G)抗酸化剤、保湿剤、抗炎症剤、美白剤、ビタミン類、ピーリング剤から選ばれる少なくとも1種を含有する〔1〕に記載の皮膚外用剤。
〔3〕
前記(G)が、ビルベリー葉エキス、アスタキサンチン、ツボクサ葉エキス、ビスグリセリルアスコルビン酸、トコフェロール及び乳酸から選ばれる1種以上である〔2〕に記載の皮膚外用剤。
〔4〕
(A)ナイアシンアミドの含有量が組成物中に5質量%以上である〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、ナイアシンアミドを用い、保湿効果に優れ、使用感に優れた皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明についてその好適な形態を説明する。本発明において、「使用感」としては、塗布時のなめらかさ、使用後の肌の透明感及びハリ感の向上が挙げられる。また本発明において、保湿効果としては、角質水分量を向上させる効果が挙げられる。
本発明は、上記の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)及び(F)を含有し、(C)、(D)及び(E)が(F)水素添加大豆リン脂質を含むリポソームに内包された組成物である、皮膚外用剤を提供する。リポソームとはレシチン等の脂質を含む脂質二重膜により形成される閉鎖小胞体であり、閉鎖小胞の空間内に水相(内水相)を有する。また、多くの場合、リポソームは、閉鎖小胞外の水溶液(外水相)に分散した状態で存在する。
本明細書において、所定の成分がリポソームに内包されているとは、外水相のみに当該成分があるのではなく、当該成分の少なくとも一部が、リボソームの膜中に、或いはリポソーム内の内水相に存在することを指す。
【0008】
(A)ナイアシンアミド
本発明の皮膚外用剤は、(B)~(F)の存在下にて(A)ナイアシンアミドを含有することで、保湿効果を高めるとともに、塗布時のなめらかさ、使用後の肌のハリ感といった使用感の向上効果を得ることができる。ナイアシンアミドは、別名をニコチン酸アミドともいう。ナイアシンアミドは、米ぬかなどの天然物から抽出した抽出物であってもよいし、公知の製法によって合成した合成品であってもよく、上市された市販品を入手して用いてもよい。具体的には、第17改正日本薬局方に収載されているニコチン酸アミドを用いることができる。
【0009】
(A)ナイアシンアミドは、(F)水素添加大豆リン脂質を含むリポソームに内包されていてもよく、リポソームの外側の外水相に存在していてもよい。
【0010】
保湿効果に優れ、塗布時のなめらかさ、使用後の肌のハリ感にも優れているという効果を一層優れたものとする観点から、(A)ナイアシンアミドは、本発明の皮膚外用剤中1質量%以上含有されていることが好ましく、2質量%以上含有されていることがより好ましい。特に保湿効果を高める点からは、(A)ナイアシンアミドは皮膚外用剤中、3質量%以上含有されていることが更に一層好ましく、4質量%以上含有されていることが特に好ましく、5質量%以上含有されていることが最も好ましい。(A)ナイアシンアミドの量の上限としては、皮膚外用剤中、15質量%以下であることが使用感に優れた皮膚外用剤を得られる点から好ましく、12質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが最も好ましい。
【0011】
(B)D-パントテニルアルコール
本発明の皮膚外用剤は、(A)、(C)~(F)の存在下にて、(B)D-パントテニルアルコールを含有することで、保湿効果に優れ、塗布時のなめらかさ、使用後の肌の透明感及びハリ感にも優れているという効果を得ることができる。D-パントテニルアルコールとしては、市販品を用いることができ、具体的には、医薬部外品原料規格2021に収載されているD-パントテニルアルコールを用いることができる。
【0012】
本発明の皮膚外用剤において、(B)D-パントテニルアルコールの量は、皮膚外用剤中、0.01質量%以上であることが、(B)D-パントテニルアルコールを用いることによる本発明の効果を優れたものとする点で好ましい。この観点から、(B)D-パントテニルアルコールの量は、皮膚外用剤中、0.05質量%以上であることが更に一層好ましく、0.1質量%以上であることが特に好ましい。また、同様の観点から、皮膚外用剤中、(B)D-パントテニルアルコールは20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることが更に一層好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
【0013】
(B)D-パントテニルアルコールは、(F)水素添加大豆リン脂質を含むリポソームに内包されていてもよく、リポソームの外側の外水相に存在していてもよい。
【0014】
本発明の皮膚外用剤において、(B)D-パントテニルアルコールの量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、0.1~100質量部であることが、本発明の効果を一層良好とする点で好ましい。この観点から、(B)D-パントテニルアルコールの量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、1質量部以上が更に一層好ましく、5質量部以上が特に好ましい。本発明の効果を一層良好とする点で(B)D-パントテニルアルコールの量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、80質量部以下であることが更に一層好ましく、50質量部以下であることが特に好ましい。
【0015】
(C)3-O-エチルアスコルビン酸
本発明の皮膚外用剤は、(A)、(B)(D)~(F)の存在下にて、(C)3-O-エチルアスコルビン酸を含有することで、保湿効果を高めるほか、塗布時のなめらかさ、使用後の肌のハリ感を高めるという効果を奏する。
【0016】
3-O-エチルアスコルビン酸とは、医薬品、医薬部外品又は化粧品において皮膚外用剤の成分として用いられるものであれば、特に限定はされない。3-O-エチルアスコルビン酸は、合成品を用いることができる。合成方法としては、アスコルビン酸の3位の水酸基をエトキシ化する方法が挙げられ、例えば、特開平8-134055号公報に記載されている。3-O-エチルアスコルビン酸は、市販品をそのまま用いることもできる。
【0017】
(C)3-O-エチルアスコルビン酸は、(F)水素添加大豆リン脂質を含むリポソームに内包されている。これにより、本発明の皮膚外用剤において、(C)3-O-エチルアスコルビン酸の安定性が向上し、これにより保湿効果を高めるほか、塗布時のなめらかさ、使用後の肌のハリ感を高めるという効果を高めることができる。(C)成分が(F)水素添加大豆リン脂質を含むリポソームに内包されていることは、皮膚外用剤からリポソームを取り出した後、各成分の確認試験を行う事で確認可能である。リポソーム内の(C)成分の存在は、例えばリポソームの外側の外水相をゲルろ過クロマトグラフィーで除いた後、液体クロマトグラフィーなどで確認することができる。
【0018】
本発明の皮膚外用剤において、(C)3-O-エチルアスコルビン酸の量は、皮膚外用剤中、0.00001質量%以上であることが、(C)3-O-エチルアスコルビン酸を用いることによる本発明の効果を優れたものとする点で好ましい。この観点から、(C)3-O-エチルアスコルビン酸の量は、皮膚外用剤中、0.00005質量%以上であることが更に一層好ましく、0.0001質量%以上であることが特に好ましい。また、同様の観点から、皮膚外用剤中、(C)3-O-エチルアスコルビン酸は10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることが更に一層好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
【0019】
本発明の皮膚外用剤において、(C)3-O-エチルアスコルビン酸の量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、0.0001~50質量部であることが、本発明の効果を一層良好とする点で好ましい。この観点から、(C)3-O-エチルアスコルビン酸の量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、0.001質量部以上が更に一層好ましく、0.005質量部以上が特に好ましい。本発明の効果を一層良好とする点で(C)3-O-エチルアスコルビン酸の量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、30質量部以下であることが更に一層好ましく、10質量部以下であることが特に好ましい。
【0020】
(D)松樹皮抽出物
本発明の皮膚外用剤は、(A)~(C)、(E)及び(F)の存在下にて、(D)松樹皮抽出物を含有することで、保湿効果を効果的に高めるほか、塗布時のなめらかさ、使用後の肌のハリ感を高めるという効果を奏する。
【0021】
本発明において(D)松樹皮抽出物の由来として使用できる松は、例えば、フランス海岸松、カラマツ、クロマツ、アカマツ、ヒメコマツ、ゴヨウマツ、チョウセンマツ、ハイマツ、リュウキュウマツ、ウツクシマツ、ダイオウマツ、シロマツ、カナダのケベック地方のアネダなどのマツ目に属する植物が挙げられるが、これらに限定されない。これらの中でも、皮膚外用剤として安全性が確認されており、カテキン等の抗酸化性物質を高濃度で含有している観点から、南仏の大西洋沿岸などに生育している海洋性松であるフランス海岸松(Pinus pinaster)が好ましい。
【0022】
(D)松樹皮抽出物は、松樹皮を溶媒で抽出して得られる。溶媒としては、例えば、水、有機溶媒、含水有機溶媒(含水エタノールなどの含水アルコール)が挙げられる。抽出に用いる有機溶媒としては、通常天然物成分を抽出するのに際して許容される有機溶媒が用いられ、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール等の1価のアルコール、プロピレングリコールなどのグリコール、グリセリンなどの多価アルコール、ブタン、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、含水エタノール、含水プロピレングリコール、エチルメチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,2-トリクロロエテンなどが挙げられる。これらの溶媒は1種を単独で、又は2種以上を組合せて用いられ得る。抽出の際の温度は、室温から抽出溶媒の沸点以下の温度まで、適宜調整することができる。本発明においては、保湿効果、塗布時のなめらかさ、使用後の肌のハリ感を効率的に向上させる観点から、水、含水エタノール及び含水プロピレングリコールから選ばれる少なくとも一種が好ましく用いられる。
【0023】
抽出方法は、通常天然物成分を抽出するのに際して許容される方法であれば特に限定されないが、例えば、加温抽出法、超臨界流体抽出法などの固液抽出法が挙げられる。加温抽出法は、例えば、被験物質と溶媒とを接触させ、溶媒の沸点以下の温度などで処理して、被験物質に含まれる成分を溶媒に抽出する方法である。還流抽出法であってもよい。超臨界流体抽出法は、例えば、物質の気液の臨界点(臨界温度、臨界圧力)を超えた状態の流体である超臨界流体を用いて抽出を行う。超臨界流体としては、二酸化炭素、エチレン、プロパン、亜酸化窒素(笑気ガス)などが挙げられる。超臨界流体抽出法として、エントレーナー添加法を行ってもよい。この方法は、抽出流体に、例えば、エタノール、プロパノール、n-ヘキサン、アセトン、トルエン、その他の脂肪族低級アルコール類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類を2~20W/V%程度添加し、この流体を用いて超臨界流体抽出を行う。松樹皮からの抽出は、上述の抽出法以外に、液体二酸化炭素回分法、液体二酸化炭素還流法、超臨界二酸化炭素還流法などにより行ってもよい。超臨界流体抽出法では、目的成分を超臨界流体によって抽出する抽出工程と、目的成分と超臨界流体を分離する分離工程とを行う。分離工程では、圧力変化による抽出分離、温度変化による抽出分離、吸着剤・吸収剤を用いた抽出分離のいずれを行ってもよい。
【0024】
(D)松樹皮抽出物は、液状であってもよいが、ペースト状や乾燥粉末として用いることもできる。ペースト状や乾燥粉末とする場合は、そのもののみを用いて製造しても良いし、賦形剤と共に加工しても良い。
抽出により得られた松樹皮抽出物は、限外濾過、吸着性担体(ダイヤイオンHP-20、Sephadex-LH20、キチンなど)を用いたカラム法、バッチ法などにより精製を行ってもよい。
【0025】
皮膚外用剤に添加混合される松樹皮抽出物は、保存性や加工性の観点から、粉末状のものであることが好ましく、乾燥粉末状のものであることがより好ましい。乾燥手段は特に限定されず、例えば、溶媒を含む松樹皮抽出物を、加温、日干し、熱風乾燥、凍結乾燥、減圧などによる乾燥手段を挙げることができる。また固形状の松樹皮抽出物を粉砕してもよい。
【0026】
松樹皮抽出物は市販されているものでもよく、市販の松樹皮抽出物としては、例えば、フラバンジェノール(登録商標;株式会社東洋新薬)などが挙げられる。
【0027】
(D)松樹皮抽出物は、(F)水素添加大豆リン脂質を含むリポソームに内包されている。これにより、本発明の皮膚外用剤において、(D)松樹皮抽出物の安定性が向上し、皮膚外用剤による保湿効果を高めるほか、塗布時のなめらかさ、使用後の肌のハリ感を高めるという効果を高めることができる。リポソーム内の(D)成分の存在はリポソームを取り出した後、例えば液体クロマトグラフィー法により(D)成分に由来するポリフェノールの存在を確認することにより行うことができる。
【0028】
本発明の皮膚外用剤において、(D)松樹皮抽出物の量は、皮膚外用剤中、0.000001質量%以上であることが、(D)松樹皮抽出物を用いることによる本発明の効果を優れたものとする点で好ましい。この観点から、(D)松樹皮抽出物の量は、皮膚外用剤中、0.000005質量%以上であることが更に一層好ましく、0.00001質量%以上であることが特に好ましい。また、同様の観点から、皮膚外用剤中、(D)松樹皮抽出物は10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることが更に一層好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
【0029】
本発明の皮膚外用剤において、(D)松樹皮抽出物の量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、0.0001~10質量部であることが、本発明の効果を一層良好とする点で好ましい。この観点から、(D)松樹皮抽出物の量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、0.0005質量部以上が更に一層好ましく、0.001質量部以上が特に好ましい。本発明の効果を一層良好とする点で(D)松樹皮抽出物の量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、8質量部以下であることが更に一層好ましく、5質量部以下であることが特に好ましい。
上記(D)成分の各量は固形分の量とすることができる。
【0030】
(E)グルタチオン及びセラミド類から選ばれる少なくとも1種
本発明の皮膚外用剤は、(E)グルタチオン及びセラミド類から選ばれる少なくとも1種を含有することで、保湿効果を効果的に高めるほか、塗布時のなめらかさ、使用後の肌のハリ感を高めるという効果を奏する。
【0031】
グルタチオンとしては、還元型グルタチオン、酸化型グルタチオン、及びこれらの混合物のいずれでもよいが、抗酸化作用の発揮が期待できる点から、還元型グルタチオンが好ましい。
【0032】
セラミド類のうち、セラミドとしては、セラミド1、セラミド2、セラミド3等のヒト型セラミドの他、牛、馬、豚等の脳、脊髄等から抽出した動物由来のセラミド、小麦、稲、大豆、ホウレンソウ、トウモロコシ、こんにゃく、パイナップル等から抽出した植物由来のセラミドを用いることができる。また、本発明に用いられるセラミドとしては、糖セラミドであってもよく、具体的に例えば、ガラクトシルセラミド、グルコシルセラミド等の単糖が結合したものや、オリゴ糖が結合したものを挙げることができる。
【0033】
本発明の皮膚外用剤においては、ヒト型セラミドを用いることが好ましく、N-ステアロイルフィトスフィンゴシン(「セラミドNP」又は「セラミド3」)、N-オレオイルフィトスフィンゴシン(「セラミドNP」又は「セラミド3」)、N-ステアロイルジヒドロスフィンゴシン(「セラミドNG」又は「セラミド2」)、ステアロイルオキシヘプタコサノイルフィトスフィンゴシン(「セラミドEOP」又は「セラミド1」)、ヒドロキシステアリルフィトスフィンゴシン(「セラミドAP」又は「セラミド6」)から選ばれる少なくとも一種が好ましく、中でも、N-ステアロイルフィトスフィンゴシン(「セラミドNP」又は「セラミド3」)、N-ステアロイルジヒドロスフィンゴシン(「セラミドNG」又は「セラミド2」)及びヒドロキシステアリルフィトスフィンゴシン(「セラミドAP」又は「セラミド6」)、から選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0034】
(E)グルタチオン及びセラミド類から選ばれる少なくとも1種は、(F)水素添加大豆リン脂質を含むリポソームに内包されている。これにより、本発明の皮膚外用剤において、(E)グルタチオン及びセラミド類から選ばれる少なくとも1種の安定性が向上し、これにより保湿効果を高めるほか、塗布時のなめらかさ、使用後の肌のハリ感を高めるという効果を高めることができる。リポソーム内の(E)成分の存在は皮膚外用剤からリポソームを取り出した後、例えばIR(赤外分光)法により確認することにより行うことができる。
【0035】
本発明の皮膚外用剤において、グルタチオンを含有する場合、その量は、皮膚外用剤中、0.000001質量%以上であることが、グルタチオンを用いることによる本発明の効果を優れたものとする点で好ましい。この観点から、グルタチオンの量は、皮膚外用剤中、0.000005質量%以上であることが更に一層好ましく、0.00001質量%以上であることが特に好ましい。また、同様の観点から、皮膚外用剤中、グルタチオンは10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることが更に一層好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
【0036】
本発明の皮膚外用剤において、グルタチオンを含有する場合、その量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、0.01~50質量部であることが、本発明の効果を一層良好とする点で好ましい。この観点から、グルタチオンの量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、0.05質量部以上が更に一層好ましく、0.1質量部以上が特に好ましい。本発明の効果を一層良好とする点で(C)グルタチオンの量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、30質量部以下であることが更に一層好ましく、10質量部以下であることが特に好ましい。
【0037】
本発明の皮膚外用剤において、セラミド類を含有する場合、その量は、皮膚外用剤中、0.000001質量%以上であることが、セラミド類を用いることによる本発明の効果を優れたものとする点で好ましい。この観点から、セラミド類の量は、皮膚外用剤中、0.000005質量%以上であることが更に一層好ましく、0.00001質量%以上であることが特に好ましい。また、同様の観点から、皮膚外用剤中、セラミド類は0.01質量%以下であることが好ましく、0.005質量%以下であることが更に一層好ましく、0.001質量%以下であることが特に好ましい。
【0038】
本発明の皮膚外用剤において、セラミド類を含有する場合、その量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、0.00001~1質量部であることが、本発明の効果を一層良好とする点で好ましい。この観点から、セラミド類の量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、0.00005質量部以上が更に一層好ましく、0.0001質量部以上が特に好ましい。本発明の効果を一層良好とする点でセラミド類の量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、0.1質量部以下であることが更に一層好ましく、0.01質量部以下であることが特に好ましい。
【0039】
本発明では、(E)グルタチオン及びセラミド類を両方用いることが、保湿効果を一層高める上で最も好ましい。
【0040】
(F)水素添加大豆リン脂質
本発明において皮膚外用剤は、(F)水素添加大豆リン脂質を膜の構成成分として含むリポソームを含有しており、このリポソーム内に、(C)3-O-エチルアスコルビン酸、(D)松樹皮抽出物及び(E)グルタチオン及びセラミド類から選ばれる少なくとも1種を内包する。これにより、皮膚外用剤は、特に保湿効果を効果的に高めるほか、塗布時のなめらかさ、使用後の肌のハリ感を高めるという効果を高めることができる。この理由としては、(C)3-O-エチルアスコルビン酸、(D)松樹皮抽出物及び(E)グルタチオン若しくはセラミド類といった有用成分がリポソームに内包されることにより、皮膚内部への有用成分の浸透性が高まることにあると考えられる。
【0041】
(F)水素添加大豆リン脂質を用いたリポソームは、皮膚外用剤の乳化安定性を保つために特に重要である。本発明に用いる水添大豆リン脂質としては、大豆レシチン等の大豆リン脂質中の不飽和炭素鎖を水素添加により飽和結合に変えた水添大豆レシチン等が使用できる。
【0042】
(F)水素添加大豆リン脂質を膜の構成成分として含むリポソームは、その直径が30nm~300nmの平均粒子径を有することが経時安定性を向上でき、(C)~(E)の内包率を向上させる点や、リポソームの肌等への浸透性を向上することができる点で好ましい。これらの点からリポソームの平均粒子径は、40nm~250nmであることが好ましく、50nm~200nmであることがより好ましい。リポソームの平均粒子径はレーザ回折式粒子径分布計や光散乱光度計といった市販の粒度分布計により測定することができるが、好適には、動的光散乱式粒度分布測定装置により測定される。動的光散乱式粒度分布測定装置としては、マルバーン社製ゼータサイザーSを用いることができる。
【0043】
本発明において、(C)~(E)を内包するリポソームは、以下のようにして調製できる。
まず(F)水素添加大豆リン脂質と有機溶媒とを混合し、リン脂質液を調製する。有機溶媒としては、2価のアルコールを好ましく用いることができる。(C)~(E)を内包するリポソームを首尾よく得るために、リン脂質液の調製は80~90℃で行うことが好適であり、85~90℃で行うことがより好適である。
【0044】
(C)~(E)を内包するリポソームを首尾よく得るために、リン脂質液を調製するための有機溶媒の量は、(F)水素添加大豆リン脂質100質量部に対し、180~400質量部が好ましく、200~350質量部がより好ましい。(C)~(E)成分の内包率に優れたリポソームを首尾よく得るために、後述する水相を添加する前のリン脂質液にはステロールなどの油性成分を含有させておくことが望ましい。また(C)~(E)を内包するリポソームを首尾よく得るために、(C)~(E)の合計量100質量部に対し、(F)水素添加大豆リン脂質の量は後述する皮膚外用剤中の(C)~(E)と(F)との比率であればよいが、中でも、80~250質量部が特に好適であり、100~220質量部が更に一層好適である。
【0045】
次いで、(C)、(D)及び(E)を含む水相を調製する。水相を調製するための水の量は、(C)、(D)及び(E)を分散させるとともに、後述するリン脂質を内包させるために、適切な量を適宜調整すればよいが、(C)、(D)及び(E)の合計量100質量部に対し、1000~5000000質量部、或いは、4000~2000000質量部であってもよい。(C)~(E)成分の内包率に優れたリポソームを首尾よく得るために、(C)、(D)及び(E)を含む水相の調製は、80~90℃で行うことが好適であり、85~90℃で行うことがより好適である。(C)、(D)及び(E)の水に添加するタイミングは、一度であってもよく、異なっていてもよい。
【0046】
続いて、リン脂質液と、水相とを混合する。(C)~(E)成分の内包率に優れたリポソームを首尾よく得るために、この混合は、80~90℃で行うことが好適であり、85~90℃で行うことがより好適である。この混合は、プロペラ等を用いた緩やかな撹拌であっても可能である。
【0047】
上記製造方法において、(A)成分はリポソーム調製後のタイミングで皮膚外用剤中に添加することが好ましい。
また、(B)成分はリポソーム調製後のタイミングで皮膚外用剤中に添加することが好ましい。
【0048】
(F)水素添加大豆リン脂質の含有量は、皮膚外用剤中、0.001質量%以上であることが、(C)~(E)成分の内包率に優れたリポソームを首尾よく得る観点から好ましく、0.01質量%以上であることがより好ましく、0.05質量%以上であることが特に好ましい。また、(F)水素添加大豆リン脂質の含有量は、皮膚外用剤中、20質量%以下であることが、使用感がなめらかで皮膚への浸透性に優れた皮膚外用剤を得る点で好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に一層好ましい。
【0049】
皮膚外用剤における(F)水素添加大豆リン脂質の含有量は、(C)、(D)及び(E)の合計量1質量部に対し、0.01質量部以上であることが、(C)~(E)成分の内包率に優れたリポソーム膜を首尾よく得る観点から好ましく、0.05質量部以上であることがより好ましく、0.1質量部以上であることが特に好ましい。また、皮膚外用剤における(F)水素添加大豆リン脂質の含有量は、(C)、(D)及び(E)の合計量1質量部に対し、20質量部以下であることが、使用感がなめらかで皮膚への浸透性に優れた皮膚外用剤を得る点で好ましく、15質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることが更に一層好ましい。
【0050】
本発明の皮膚外用剤は、さらに、(A)~(F)成分とは異なる成分として、(G1)抗酸化剤、(G2)保湿剤、(G3)抗炎症剤、(G4)美白剤、(G5)ビタミン類及び(G6)ピーリング剤から選ばれる少なくとも1種を含有することが、保湿効果を高め、塗布時のなめらかさ、使用後の肌の透明感、ハリ感を効果的に高めることができる点から好ましい。なお、ピーリング剤とは角質の柔軟性を高めて、角質を取り除く用途で用いられる剤をいう。
【0051】
(G1)抗酸化剤としては、ユビキノン、アスタキサンチンが挙げられ、保湿効果と使用感を高める点から、アスタキサンチンが特に好ましい。アスタキサンチンとしては、ヘマトコッカス藻や、エビ、カニ等の甲殻類、サケ等に含まれることが知られている。本発明で使用できるアスタキサンチンとしては特に限定されないが、簡便に利用できる点点から、ヘマトコッカス藻由来のアスタキサンチンが好ましい。ヘマトコッカス(Haematococcus pluvialis)とは、微細藻類の一種である。
【0052】
本発明の皮膚外用剤において、(G1)抗酸化剤を含有する場合、その量は、皮膚外用剤中、0.000001質量%以上であることが、(G1)抗酸化剤を用いることによる本発明の効果を優れたものとする点で好ましい。この観点から、(G1)抗酸化剤の量は、皮膚外用剤中、0.000005質量%以上であることが更に一層好ましく、0.00001質量%以上であることが特に好ましい。また、同様の観点から、皮膚外用剤中、(G1)抗酸化剤は1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることが更に一層好ましく、0.1質量%以下であることが特に好ましい。
【0053】
本発明の皮膚外用剤において、(G1)抗酸化剤を含有する場合、その量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、(G1)抗酸化剤の量が0.00005~0.2質量部であることが、(G1)抗酸化剤を用いた保湿効果、使用感の向上効果を良好とする点で好ましい。この観点から、(G1)抗酸化剤の量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、0.0002質量部以上が更に一層好ましく、0.0005質量部以上が特に好ましい。本発明の効果を一層良好とする点で、(G1)抗酸化剤の量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、0.08質量部以下であることが更に一層好ましく、0.05質量部以下であることが特に好ましい。
【0054】
(G1)抗酸化剤は、(F)水素添加大豆リン脂質を膜構成成分として含むリポソームに内包されていてもよく、リポソームの外側の外水相に存在していてもよいが、外水相に存在することが好ましい。
【0055】
(G2)保湿剤としては、ビルベリー葉エキス;オウバクエキス;加水分解ヒアルロン酸、アセチル化ヒアルロン酸、ヒアルロン酸Na;2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体;ヘパリン類似物質;異性化糖;プロテオグリカン;アミノ酪酸等が挙げられる。
なかでも保湿効果と使用感を高める点から、ビルベリー葉エキスが特に好ましい。「ビルベリー」(別名:セイヨウスノキ)とは、ツツジ科(Ericaceae)、スノキ属(Vaccinium)の植物:セイヨウスノキ(Vaccinium myrtillus L.)の葉を用いてもよいが、その他、同属植物のスノキ(V.smallii A.Gray var glabrum Koidz.)の葉を用いることもできる。また、抽出部位は葉を含んだものであれば、茎や花等の別の部位を含有していてもよい。
【0056】
ビルベリー葉エキスとは、植物体の葉を含む抽出物をそのまま或いは粉砕後、搾取したものであってもよく、又は、そのまま或いは粉砕後、溶媒で抽出したものであってもよい。抽出溶媒としては、水,親水性有機溶媒,または含水親水性有機溶媒を使用することができる。親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の炭素数1~3の低級脂肪族アルコール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~4の多価アルコール等が挙げられる。
【0057】
本発明の皮膚外用剤において、(G2)保湿剤を含有する場合、その量は、皮膚外用剤中、0.000001質量%以上であることが、(G2)保湿剤を用いることによる抗酸化等の効果を優れたものとする点で好ましい。この観点から、(G2)保湿剤の量は、皮膚外用剤中、0.000005質量%以上であることが更に一層好ましく、0.00001質量%以上であることが特に好ましい。また、同様の観点から、皮膚外用剤中、(G2)保湿剤は1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることが更に一層好ましく、0.1質量%以下であることが特に好ましい。
【0058】
本発明の皮膚外用剤において、(G2)保湿剤を含有する場合、その量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、(G2)保湿剤の量が0.0001~0.2質量部であることが、本発明の効果を一層良好とする点で好ましい。この観点から、(G2)保湿剤の量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、0.0005質量部以上が更に一層好ましく、0.001質量部以上が特に好ましい。本発明の効果を一層良好とする点で、(G2)保湿剤の量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、0.1質量部以下であることが更に一層好ましく、0.02質量部以下であることが特に好ましい。
上記(G2)の各量は固形分の量とすることができる。
【0059】
(G2)保湿剤は、(F)水素添加大豆リン脂質を膜構成成分として含むリポソームに内包されていてもよく、リポソームの外側の外水相に存在していてもよいが、外水相に存在することが好ましい。
【0060】
(G3)抗炎症剤としては、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸ステアリル、ツボクサ葉エキス、アラントインが挙げられ、保湿効果と使用感を高める点から、ツボクサ葉エキスが特に好ましい。ツボクサ葉エキスは、ツボクサ(Centella Asiatica)の葉の抽出物である。ツボクサ(Centella Asiatica)葉エキスとは、ツボクサ(Centella Asiatica)の葉に加えて、花や茎等の他の部位を用いたものであってもよい。ツボクサ葉エキスは、ツボクサ(Centella Asiatica)の葉をそのまま、或いは乾燥したもの、粉砕したもの、又は粉砕後搾取したものを、抽出溶媒で抽出したものを用いることができる。抽出溶媒としては、水(熱水を含む)、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル類、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリルなどのニトリル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ペンタン、ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素類、トルエンなどの芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、その他ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの有機溶媒(すべて含水であってもよい)などを適宜用いることができ、1種または2種の任意の混合液であってもよい。抽出溶媒としてはアルコール類が好ましく、エタノール、プロピレングリコール、ブチレングリコールがより好ましい。
【0061】
本発明の皮膚外用剤において、(G3)抗炎症剤を含有する場合、その量は、皮膚外用剤中、0.000001質量%以上であることが、(G3)抗炎症剤を用いることによる抗酸化等の効果を優れたものとする点で好ましい。この観点から、(G3)抗炎症剤の量は、皮膚外用剤中、0.000005質量%以上であることが更に一層好ましく、0.00001質量%以上であることが特に好ましい。また、同様の観点から、皮膚外用剤中、(G3)抗炎症剤は1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることが更に一層好ましく、0.3質量%以下であることが特に好ましい。
【0062】
本発明の皮膚外用剤において、(G3)抗炎症剤を含有する場合、その量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、0.1~25質量部であることが、保湿効果、使用感の向上効果を良好とする点で好ましい。この観点から、(G3)抗炎症剤の量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、0.2質量部以上が更に一層好ましく、0.5質量部以上が特に好ましい。本発明の効果を一層良好とする点で、(G3)抗炎症剤の量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、20質量部以下であることが更に一層好ましく、10質量部以下であることが特に好ましい。
上記の(G3)成分の各量は、固形分の量とすることができる。
【0063】
(G3)抗炎症剤は、(F)水素添加大豆リン脂質を膜構成成分として含むリポソームに内包されていてもよく、リポソームの外側の外水相に存在していてもよいが、外水相に存在することが好ましい。
【0064】
(G4)美白剤としては、アスコルビン酸、3-ラウリルグリセリルアスコルビン酸、ミリスチル3-グリセリルアスコルビン酸、ビスグリセリルアスコルビン酸、3-グリセリルアスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na、テトラへキシルデカン酸アスコルビル、L-アスコルビン酸2-グルコシド、リン酸アスコルビルMg、リン酸アスコルビルNa等のアスコルビン酸誘導体;トラネキサム酸、ハイドロキノン、アルブチン、プラセンタエキス、コウジ酸等があげられる。なかでもアスコルビン酸誘導体が好ましく、とりわけ保湿効果と使用感を高める点から、ビスグリセリルアスコルビン酸が好ましい。
【0065】
本発明の皮膚外用剤において、(G4)美白剤を含有する場合、その量は、固形分として、皮膚外用剤中、0.000001質量%以上であることが、(G4)美白剤を用いることによる透明感向上等の効果を優れたものとする点で好ましい。この観点から、ツボクサ葉エキスの量は、皮膚外用剤中、0.000005質量%以上であることが更に一層好ましく、0.00001質量%以上であることが特に好ましい。また、同様の観点から、皮膚外用剤中、(G4)美白剤は1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることが更に一層好ましく、0.1質量%以下であることが特に好ましい。
【0066】
本発明の皮膚外用剤において、(G4)美白剤を含有する場合、その量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、(G4)美白剤の量が固形分として0.1~25質量部であることが、保湿効果、使用感の向上効果を良好とする点で好ましい。この観点から、(G4)美白剤の量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、0.2質量部以上が更に一層好ましく、0.5質量部以上が特に好ましい。本発明の効果を一層良好とする点で、(G4)美白剤の量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、20質量部以下であることが更に一層好ましく、10質量部以下であることが特に好ましい。
【0067】
(G4)美白剤は、(F)水素添加大豆リン脂質を膜構成成分として含むリポソームに内包されていてもよく、リポソームの外側の外水相に存在していてもよいが、外水相に存在することが好ましい。
【0068】
(G5)ビタミン類としてはビタミンA、B、E、Pの塩や誘導体が挙げられ、例えば、ビオチン、パントテン酸Ca、トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェリルリン酸Na、レチノール、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール、プロピオン酸レチノール、リノール酸レチノール、水添レチノール、シアノコバラミン、葉酸、グルコシルヘスペリンジン、ピリドキシン塩酸塩等が挙げられる。中でも、保湿効果、使用感の点で、トコフェロールが好ましい。トコフェロールとしては、α、β、γ、δのいずれであってもよい。
【0069】
本発明の皮膚外用剤において、(G5)ビタミン類を含有する場合、その量は、固形分として、皮膚外用剤中、0.000001質量%以上であることが、(G5)ビタミン類を用いることによる抗酸化等の効果を優れたものとする点で好ましい。この観点から、(G5)ビタミン類の量は、皮膚外用剤中、0.000005質量%以上であることが更に一層好ましく、0.00001質量%以上であることが特に好ましい。また、同様の観点から、皮膚外用剤中、(G5)ビタミン類は1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることが更に一層好ましく、0.2質量%以下であることが特に好ましい。
【0070】
本発明の皮膚外用剤において、(G5)ビタミン類を含有する場合、その量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、(G5)ビタミン類の量が0.1~25質量部であることが、保湿効果、使用感の向上効果を良好とする点で好ましい。この観点から、(G5)ビタミン類の量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、0.2質量部以上が更に一層好ましく、0.5質量部以上が特に好ましい。本発明の効果を一層良好とする点で、(G5)ビタミン類の量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、20質量部以下であることが更に一層好ましく、10質量部以下であることが特に好ましい。
【0071】
(G5)ビタミン類は、(F)水素添加大豆リン脂質を膜構成成分として含むリポソームに内包されていてもよく、リポソームの外側の外水相に存在していてもよいが、外水相に存在することが好ましい。
【0072】
(G6)ピーリング剤としては、有機酸が好適であり、例えば、乳酸、サリチル酸、グリコール酸、リンゴ酸、マンデル酸、ラクトビオン酸が挙げられ、特に乳酸が中でも、保湿効果、使用感の点で好ましい。
【0073】
本発明の皮膚外用剤において、(G6)ピーリング剤を含有する場合、その量は、皮膚外用剤中、0.000001質量%以上であることが、ピーリング剤を用いることによるピーリング等の効果を優れたものとする点で好ましい。この観点から、(G6)ピーリング剤の量は、皮膚外用剤中、0.000005質量%以上であることが更に一層好ましく、0.00001質量%以上であることが特に好ましい。また、同様の観点から、皮膚外用剤中、(G6)ピーリング剤は1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることが更に一層好ましく、0.2質量%以下であることが特に好ましい。
【0074】
本発明の皮膚外用剤において、(G6)ピーリング剤を含有する場合、その量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、(G6)ピーリング剤の量が0.1~25質量部であることが、保湿効果、使用感の向上効果を良好とする点で好ましい。この観点から、(G6)ピーリング剤の量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、0.2質量部以上が更に一層好ましく、0.5質量部以上が特に好ましい。本発明の効果を一層良好とする点で、(G6)ピーリング剤の量は、(A)ナイアシンアミド100質量部に対し、20質量部以下であることが更に一層好ましく、10質量部以下であることが特に好ましい。
【0075】
(G6)ピーリング剤は、(F)水素添加大豆リン脂質を膜構成成分として含むリポソームに内包されていてもよく、リポソームの外側の外水相に存在していてもよいが、外水相に存在することが好ましい。
【0076】
(G)抗酸化剤、(G2)保湿剤、(G3)抗炎症剤、(G4)美白剤、(G5)ビタミン類、(G6)ピーリング剤から選ばれる少なくとも1種としては、(g1)アスタキサンチン、(g2)ビルベリー葉エキス、(g3)ツボクサ葉エキス、(g4)ビスグリセリルアスコルビン酸、(g5)トコフェロール及び(g6)乳酸から選ばれる1種以上であることが好ましく、とりわけ、ビルベリー葉エキスを含有することが、角質水分量を高める点で好ましい。また、(G1)抗酸化剤、(G2)保湿剤、(G3)抗炎症剤、(G4)美白剤、(G5)ビタミン類、(G6)ピーリング剤を全て含有することが好ましく、特に、(g1)アスタキサンチン、(g2)ビルベリー葉エキス、(g3)ツボクサ葉エキス、(g4)ビスグリセリルアスコルビン酸、(g5)トコフェロール及び(g6)乳酸を全て含有することが、保湿効果を顕著に高めるほか、塗布時のなめらかさ、使用後の肌の透明感、ハリ感を優れて顕著なものとする点で好ましい。
【0077】
皮膚外用剤には、上記成分以外に、(H)その他の成分を用いることができる。その他の成分としては、例えば有機溶媒、ステロール、ステロール以外の油剤、増粘剤、キレート剤、pH調整剤、香料、界面活性剤、防腐剤など、一般的に皮膚外用剤に用いられる成分が挙げられる。
有機溶媒としては、上記で挙げた、リン脂質液を調製するために用いられる有機溶媒として、或いは、当該有機溶媒に加えて、エタノール、2-プロパノール(イソプロピルアルコール)、ブタノール、イソブチルアルコール等の炭素原子数4以下の一価のアルコール;プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンチレングリコール、イソペンチルジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチルヘキシルグリセリン、1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール等の炭素原子数5~12の二価のアルコール;ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エトキシジグリコール)、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル類;コハク酸ジエトキシエチル、エチレングリコールジサクシネート等のグリコールエステル類等が挙げられる。
なかでも、炭素数5~12の二価のアルコールを用いることが保湿性や使用感、静菌性の点で好ましく、とりわけ、1,3-ブチレングリコール及び/又はペンチレングリコールを用いることが特に好ましい。
【0078】
使用時のなめらかさや保湿性、静菌性の点から、有機溶媒の量は、皮膚外用剤中、1~35質量%が好適に挙げられ、3~25質量%がより好ましい。また、1,3-ブチレングリコール及び/又はペンチレングリコールを用いる場合、1,3-ブチレングリコール100質量部に対し、ペンチレングリコールの量としては10~50質量部が好適に挙げられる。
【0079】
ステロールとしては、(F)水素添加大豆リン脂質を含む膜の構成成分として含まれるものが挙げられる。例えば、リポソームは、膜構成成分として、(F)水素添加大豆リン脂質に加えてステロールを含有していてもよい。当該構成を有する皮膚外用剤によれば、リポソーム膜が安定化し、これにより、上述した(C)、(D)及び(E)による組み合わせによる保湿効果、塗布時のなめらかさ、使用後の透明性、ハリ感効果を一層優れたものとしやすい。ステロールとしては、コレステロールやフィトステロールが挙げられ、使用感やリポソームの安定性の点でフィトステロールが好ましい。フィトステロールは、植物に含まれるステロールの総称であり、主な成分としてはβ-シトステロール、スチィグマステロール、カンペステロール、ブラシカステロール等が知られている。ステロールは複数のステロールの混合物でもよい。
【0080】
ステロールを含有する場合、その含有量は、皮膚外用剤中、0.01質量%以上であることが、(C)~(E)成分の内包率に優れたリポソーム膜を一層首尾よく得る観点から好ましく、0.04質量%以上であることがより好ましく、0.08質量%以上であることが特に好ましい。また、ステロールを含有する場合、その含有量は、皮膚外用剤中、10質量%以下であることが、使用感がなめらかで皮膚への浸透性に優れた皮膚外用剤を得やすい点や、リポソームの良好な安定性の点で好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが更に一層好ましい。
ステロールを上記のリポソームの製造工程にて添加する場合、ステロールはリポソームを調製するためのリン脂質液に添加するか、或いは水素添加大豆リン脂質と内包成分の混合のタイミングで添加することが使用感やリポソームの安定性の点で好ましい。
【0081】
油剤としては、サフラワー油、大豆油、月見草油、ブドウ種子油、ローズヒップ油、ククイナッツ油、アルモンド油、ごま油、コムギ胚芽油、とうもろこし油、綿実油、アボガド油、オリブ油、ツバキ油、パーシック油、ヒマシ油、ラッカセイ油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、メドフォーム油などの植物油、スクワランなどの動物油、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ワセリンなどの炭化水素油、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、オクタン酸セチル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸セトステアリル、オクタン酸ステアリル、オクタン酸イソステアリル、パルミチン酸セチル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、トリカプリル酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル(トリエチルヘキサノイン)、トリラウリン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、トリオキシステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリウンデシレン酸グリセリル、トリベヘン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリン、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジノナン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジステアリン酸プロピレングリコール、ジイソジステアリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコールなどのエステル油、環状シリコン、メチルフェニルシリコン、ジメチコンなどのシリコン油などが挙げられ、これらより1種又は2種以上を選択して用いることができる。とりわけ、エステル油及び/又はシリコン油を用いることが好ましい。
エステル油としては、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリルが好ましく、シリコン油としてはジメチコンが好ましい。
【0082】
上記油剤を含有する場合、その含有量は、皮膚外用剤中、0.5質量%以上30質量%以下であることが、使用感の点で好ましく、1質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。また、エステル油とシリコン油を組み合わせる場合は、両者の質量比は、エステル油100質量部に対し、シリコン油0.1~60質量部が好適に挙げられる。
【0083】
増粘剤の例としては、化粧料、医薬品分野において用いられ得る各種のものが挙げられる。例えば、天然多糖、セルロース系高分子、合成高分子、粘土鉱物などが使用できる。
【0084】
天然多糖とは、動植物由来あるいは微生物醗酵由来の多糖が挙げられ、具体的には、キサンタンガム、サクシノグリカン、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、ガラクタン、アラビアガム、トラガントガム、タマリンドガム、寒天、アガロース、マンナン、カードラン、アルギン酸又はその塩類、アラビアガム、ペクチン、クインシード、デンプン、アルゲコロイド、コンドロイチン硫酸又はその塩類、キトサン及びその誘導体、核酸又はその塩類、リボ核酸又はその塩類、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、フィブロイン、エラスチン、ケラチン、セリシンなどの水溶性タンパク質、ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸などのムコ多糖類などが挙げられる。これらの中でも、使用感の点から、キサンタンガム、が好ましい。
【0085】
セルロース系高分子とは、セルロースまたはその誘導体を単位として構成される高分子である。具体的には、カルボキシメチルセルロース又はその塩類、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スルホン化セルロース誘導体などが挙げられる。
【0086】
合成高分子とは、構成単位とするモノマーを用いて、人工的に合成された高分子である。具体的には、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール等のビニル系高分子、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリレーツ/アクリル酸アルキルクロスポリマー、ポリアクリル酸などのアクリル酸系高分子、ポリアクリルアミド、ポリアルキルアクリルアミド/ポリアクリルアミドコポリマー等のアクリルアミド系高分子、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、使用感の点から、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体が好ましい。
【0087】
粘土鉱物とは、粘土を構成する主成分鉱物として通常知られている物質を指す。具体的には、ラポナイト、ベントナイト、スメクタイトカオリナイト、モンモリロナイトなどが挙げられる。
【0088】
本発明では、天然多糖及び/又は合成高分子を用いることが好ましい。
【0089】
増粘剤の量は、皮膚外用剤中、0.1~3質量%が好適に挙げられまた、天然多糖と合成高分子を組み合わせる場合は、両者の質量比は、天然多糖100質量部に対し、合成高分子50~350質量部が好適に挙げられる。
【0090】
抗菌・防腐剤としては、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン(ヒドロキシ安息香酸エステル)類;フェノキシエタノール;2-エチルヘキシルグリセリルエーテル(エチルヘキシルグリセリン)等のアルキルグリセリルエーテル類;サリチル酸;ラノリン脂肪酸及びその塩;安息香酸ナトリウム;メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン等のイソチアゾリンオン誘導体;イミダゾリニウムウレア;デヒドロ酢酸及びその塩;フェノール類;トリクロサン等のハロゲン化ビスフェノール類、酸アミド類、四級アンモニウム塩類;トリクロロカルバニド、ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ソルビン酸、クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、ハロカルバン、ヘキサクロロフェン、ヒノキチオール;フェノール、イソプロピルフェノール、クレゾール、チモール、パラクロロフェノール、フェニルフェノール、フェニルフェノールナトリウム等のその他フェノール類;フェニルエチルアルコール、感光素類、抗菌性ゼオライト、銀イオンが挙げられる。なお、ペンチレングリコールなどの1,2-アルカンジオール類は抗菌・防腐剤としても使用できる。本発明の皮膚外用剤に1,2-アルカンジオール類を使用する場合、1,2-アルカンジオール類の量は有機溶媒の量に含めるものとし、下記の抗菌・防腐剤の量には含めないものとする。
【0091】
抗菌・防腐剤の量は、皮膚外用剤中、0.01~1質量%が好適に挙げられ、0.05~0.5質量%がより好ましい。
【0092】
キレート剤としては、EDTA、EDTA2Na、EDTA3Na、EDTA4Na等のエデト酸塩(エチレンジアミン四酢酸塩);HEDTA3Na等のヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩;ペンテト酸塩(ジエチレントリアミン五酢酸塩);フィチン酸;エチドロン酸等のホスホン酸及びそのナトリウム塩等の塩類;シュウ酸ナトリウム;ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸等のポリポリアミノ酸類;ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸;クエン酸ナトリウム、クエン酸が挙げられる。
【0093】
キレート剤の量は、皮膚外用剤中、0.008~1質量%が好適に挙げられ、0.01~0.5質量%がより好ましい。
【0094】
pH調整剤・酸・アルカリとしては、酢酸、酢酸ナトリウム、塩酸、硫酸、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3ープロパンジオール、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3ープロパンジオール、アルギニン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、炭酸グアニジン、炭酸アンモニウムが好ましいものとして挙げられる。
【0095】
限定されるものではないが、例えば水の量は、皮膚外用剤中、40~90質量%が好適に挙げられる。
【0096】
本発明の皮膚外用剤の種類としては、毛髪化粧料、皮膚化粧料、メイクアップ化粧料、芳香化粧料、ボディ化粧料等が挙げられる。本発明の皮膚外用剤は、通常の方法に従って製造することができる。
【0097】
本発明の皮膚外用剤の種類をさらに詳細に説明すると、毛髪化粧料としては、オイルシャンプー、クリームシャンプー、コンディショニングシャンプー、ふけ用シャンプー、ヘアカラー用シャンプー、リンス一体型シャンプー等のシャンプー;リンス、コンディショナー、トリートメント、ヘアパック、ヘアミスト、ヘアオイル等のヘアケア剤;ヘアフォーム、ヘアムース、ヘアスプレー、ヘアワックス、ヘアジェル、ヘアクリーム、ウォーターグリース、セットローション、ポマード、チック等の整髪料;カラーローション、ヘアカラートリートメント、ヘアマニキュア、酸化染毛剤等の染毛剤;ヘアトニック、ヘアリキッド、ヘアブロー、枝毛コート、パーマネントウェーブ用剤、ストレートパーマ剤、ヘアブリーチ、ヘアカラープレトリートメント、ヘアカラーアフタートリートメント、パーマプレトリートメント、パーマアフタートリートメント、育毛剤が好ましいものとして挙げられる。
【0098】
皮膚化粧料としては、柔軟化粧水、収れん化粧水、洗浄用化粧水、多層式化粧水、リポソーム化粧水等の化粧水;エモリエントローション、モイスチャーローション、ミルキィーローション、ナリシングローション、ナリシングミルク、スキンモイスチャー、モイスャーエマルション、マッサージローション、角質スムーザー、エルボーローション、ハンドローション、ボディローション等の乳液;エモリエントクリーム、栄養クリーム、ナリシングクリーム、バニシングクリーム、モイスチャークリーム、ナイトクリーム、マッサージクリーム、クレンジングクリーム、メイクアップクリーム、ベースクリーム、プレメイクアップクリーム、サンスクリーンクリーム、サンタンクリーム、除毛クリーム、デオドラントクリーム、シェービングクリーム、角質軟化クリーム等のクリーム;保湿ジェル、美白ジェル、オールインワンジェル等のジェル;保湿エッセンス、美白エッセンス、保湿セラム、美白セラム等の美容液;サンプロテクト、サンプロテクター、UVケアミルク、サンスクリーン等の日焼け止め;ピールオフパック、粉末パック、ウォッシングパック、オイルパック、クレンジングマスク等のパック・マスク類;クレンジングフォーム、クレンジングクリーム、クレンジングミルク、クレンジングローション、クレンジングジェル、クレンジングオイル等のメイク落とし;ペースト洗顔フォーム、ジェル洗顔フォーム、泡洗顔フォーム、洗顔パウダー、化粧石鹸、透明石鹸、薬用石鹸、液状石鹸、ひげそり石鹸等の洗顔料;が好ましいものとして挙げられる。
【0099】
メイクアップ化粧料としては、口紅、リップグロス、ファンデーション、頬紅、白粉・打粉、コンシーラー、アイライナー、マスカラ、アイシャドー、眉墨、アイブロー、ネイルエナメル、エナメルリムーバー、ネイルトリートメントが好ましいものとして挙げられる。
【0100】
芳香化粧料としては、香水、パフューム、パルファム、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロン、練香水、芳香パウダー、香水石鹸、ボディローション、バスオイルが好ましいものとして挙げられる。
【0101】
ボディ化粧料としては、ボディシャンプー等のボディ洗浄料、デオドラントローション、デオドラントパウダー、デオドラントスプレー、デオドラントスティック等の防臭化粧料、脱色剤、脱毛・除毛剤、浴用剤、虫よけスプレー等のインセクトリペラーが好ましいものとして挙げられる。
【0102】
中でも、本発明の皮膚外用剤の種類としては、その保湿効果と使用感の向上効果の点から、化粧水、乳液、クリーム、ジェル、美容液、パック、メイク落とし、洗顔料などが好ましい。
【0103】
本発明の皮膚外用剤の剤型としては、水中油(O/W)型、油中水(W/O)型、W/O/W型、O/W/O型等の乳化型化粧料、油性化粧料、固形化粧料、液状化粧料、練状化粧料、スティック状化粧料、揮発性油型化粧料、粉状化粧料、ゼリー状化粧料、ジェル状化粧料、ペースト状化粧料、乳化高分子型化粧料、シート状化粧料、ミスト状化粧料、スプレー型化粧料等の剤型が好ましく挙げられる。本発明の皮膚外用剤は乳化物の場合、連続相が水相であっても、油相であってもよい。後述する実施例では、連続相が水相の組成物を調製している。
【実施例0104】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
なお、各実施例及び比較例1~5において、リポソームの平均粒子径は100~150nmであった。
【0105】
<被験物質>
(A)ナイアシンアミドとしては、純度が98質量%以上のものを用いた。
(B)D-パントテニルアルコールとしては、純度が98質量%以上のものを用いた。
(C)3-O-エチルアスコルビン酸としては、純度が95質量%のものを用いた。
(D)松樹皮抽出物としては、フランス海岸松の樹皮の熱水抽出物(乾燥粉末)を用いた。
【0106】
(E1)グルタチオンとしては、純度が98質量%以上の還元型のものを用いた。
(E2)セラミドとしてはN-ステアロイルフィトスフィンゴシン(セラミドNP)を用いた。
【0107】
(F)水素添加大豆リン脂質:水添大豆レシチン(純度100質量%)を用いた。
(g2)ビルベリー葉エキスとしては、抽出溶媒として水と1,3-ブチレングリコールを質量比1:1で用いて抽出した粉末を用いた。純度が0.2質量%であり、残部は水、1,3-ブチレングリコールであった。
(g1)アスタキサンチンとしては、ヘマトコッカス藻由来であって、純度が50質量%であり、残部としてトリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリルを用いた。
(g3)ツボクサ葉エキスとしては、純度が100質量%の精製エキスを用いた。
(g4)ビスグリセリルアスコルビン酸としては、純度が50質量%のものを用いた。残部は水、グリセリンである。
(g5)トコフェロールとしては、純度が100質量%の天然トコフェノールを用いた。
(g6)乳酸としては、純度が90質量%のものを用いた。残部は水である。
【0108】
(H1)フィトステロール:純度100質量%のものを用いた。
(H2)BG(1,3-ブチレングリコール)
(H3)ペンチレングリコール
(H4)トリエチルヘキサノイン
(H5)ジメチコン
(H6)キサンタンガム
(H7)カルボキシビニルポリマー
(H8)水酸化カリウム
(H9)EDTA-2Na
(H10)フェノキシエタノール
(H11)香料はウッディ調の香りを用いた。
(H12)水
【0109】
(実施例1)
成分として、(A)~(D)、(E1)、(E2)、(F)、(H1)~(H12)を用いた。
(第1工程:リポソームの調製)
上記成分のうち、(F)、(H1)、及び(H3)を85℃で混合した(液1)。混合は(F)に対し、(H1)、(H3)の順で添加して行った。
また、上記成分のうち(C)、(D)、(E1)及び(E2)を、皮膚外用剤総量に対して13質量%に該当する量の(H12)と85℃で混合した(液2)。混合は(H12)に対し、(C)~(E)を(C)、(D)、(E)の順で添加して行った。
液1に対し、液2を投入し、85℃で撹拌して混合した。以上の工程によりリポソーム分散液を得た。
(第2工程)
得られたリポソーム分散液と、予め混合乳化したその他の材料((A)、(B)、(H2)、(H4)~残りの(H12))とを45℃で撹拌混合した。以上により粘性液状の皮膚外用剤を得た。
【0110】
(実施例2及び3)
(A)ナイアシンアミドの量を変更し、(E1)セラミド又は(E2)グルタチオンを用いなかった以外は、実施例1と同様にして、皮膚外用剤を得た。
【0111】
(実施例4)
(A)ナイアシンアミドの量を変更した以外は、実施例1と同様にして、皮膚外用剤を得た。
【0112】
(実施例5)
(g2)ビルベリー葉エキスを第2工程において(A)、(B)、(H2)、(H4)~(H12)とともに追加した。その点以外は、実施例4と同様にして、皮膚外用剤を得た。
【0113】
(実施例6)
(g1)アスタキサンチン、(g3)ツボクサ葉エキス、(g4)ビスグリセリルアスコルビン酸、(g5)トコフェロール及び(g6)乳酸を第2工程において(A)、(B)、(H2)、(H4)~(H12)とともに追加した。その点以外は、実施例5と同様にして、皮膚外用剤を得た。
【0114】
(比較例1~5)
表1に示す通り、(A)、(B)、(C)、(D)又は(E)を用いなかった以外は実施例4と同様として、皮膚外用剤を得た。
【0115】
(比較例6)
(F)水素添加大豆リン脂質及び(H1)フィトステロールは用いなかった。その点以外は、実施例4と同様として、皮膚外用剤を得た。
【0116】
〔評価1:角質水分量〕
被験者として、専門モニター5名(20代~30代の健常な男女)を無作為に選出した。各被験者の前腕内側を洗顔料で洗浄し測定室で15分間安静に過ごさせた。次に前腕内側における4cm×4cmの部分について上記皮膚外用剤を塗布し、10分間静置した。その後、皮膚外用剤を除去し、水で洗浄した。洗浄後における角質水分量(μS)の測定を行った。結果を表1に示す。
角層水分量は、皮表角層水分量測定装置SKICON-200EX(アイ・ビイ・エス社製)で測定した。この皮表角層水分量測定装置は、皮膚のコンダクタンス(電気伝導度、単位:μS)を角層の水分量として評価したものである。
角質水分量の値が高ければ高いほど、保湿効果が高いことを示す。
【0117】
〔評価2:使用感〕
被験者として、専門モニター5名(20代~30代の健常な男女)を無作為に選出した。各被験者の前腕内側を洗顔料で洗浄し測定室で15分間安静に過ごさせた。次に前腕内側における4cm×4cmの部分について上記皮膚外用剤を塗布した。使用後の評価項目(3項目)について、下記評価基準に基づいて評価を行った。評価結果を以下の表1に示す。なお、下記の結果は、5名の評価点の平均値である。
【0118】
〔評価基準〕
5:非常に優れている。
4:若干優れている。
3:基準。
2:若干劣っている。
1:非常に劣っている。
【0119】
【0120】
製造例1~5
実施例1と同様の方法で、製造例1~5に記載の美容液を調製した。製造例1~5の美容液は、実施例と同様、保湿効果に優れ、塗布時のなめらかさ、使用後の肌の透明感及びハリ感にも優れるものである。
【0121】