(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167686
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】二成分現像剤及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 9/097 20060101AFI20241127BHJP
G03G 9/113 20060101ALI20241127BHJP
G03G 9/10 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
G03G9/097 372
G03G9/113 352
G03G9/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083926
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】高綱 徹
【テーマコード(参考)】
2H500
【Fターム(参考)】
2H500AA10
2H500AB04
2H500CA03
2H500CA16
2H500CA24
2H500EA42D
2H500EA51E
2H500EA52D
2H500EA65D
2H500FA00
2H500FA04
(57)【要約】
【課題】環境に拠らず、所望の画像濃度を有する画像を形成できると共に、かぶりの発生を抑制できる二成分現像剤を提供する。
【解決手段】二成分現像剤は、キャリア粒子を含むキャリアと、トナー粒子を含むトナーとを備える。前記キャリア粒子は、キャリアコアと、前記キャリアコアの表面を被覆するコート層とを含む。前記コート層は、シリコーン樹脂を含有する。前記キャリア粒子の表面の静止摩擦係数は、0.10以上0.22以下である。前記トナー粒子は、トナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に付着する外添剤とを含む。前記外添剤は、樹脂粒子を含む。前記樹脂粒子の個数平均一次粒子径は、35nm以上160nm以下である。温度160℃かつ圧力0.1kgf/mm
2での5分間加圧後に目開き75μmのメッシュにより測定される前記樹脂粒子のブロッキング率は、17質量%以上42質量%以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア粒子を含むキャリアと、トナー粒子を含むトナーとを備える二成分現像剤であって、
前記キャリア粒子は、キャリアコアと、前記キャリアコアの表面を被覆するコート層とを含み、
前記コート層は、シリコーン樹脂を含有し、
前記キャリア粒子の表面の静止摩擦係数は、0.10以上0.22以下であり、
前記トナー粒子は、トナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に付着する外添剤とを含み、
前記外添剤は、樹脂粒子を含み、
前記樹脂粒子の個数平均一次粒子径は、35nm以上160nm以下であり、
温度160℃かつ圧力0.1kgf/mm2での5分間加圧後に目開き75μmのメッシュにより測定される前記樹脂粒子のブロッキング率は、17質量%以上42質量%以下である、二成分現像剤。
【請求項2】
前記樹脂粒子は、スチレン-(メタ)アクリル樹脂を含有し、
前記スチレン-(メタ)アクリル樹脂は、スチレン化合物に由来する第一繰り返し単位と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する第二繰り返し単位と、架橋剤に由来する第三繰り返し単位とを有し、
前記スチレン-(メタ)アクリル樹脂の有する全繰り返し単位に対して、前記第三繰り返し単位の含有割合は、20.0質量%以上40.0質量%以下である、請求項1に記載の二成分現像剤。
【請求項3】
前記架橋剤は、ジビニルベンゼンを含む、請求項2に記載の二成分現像剤。
【請求項4】
前記トナー粒子における前記樹脂粒子の含有量は、トナー母粒子100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下である、請求項1又は2に記載の二成分現像剤。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の二成分現像剤と、
像担持体と、
前記像担持体の表面を帯電させる帯電装置と、
帯電した前記像担持体の前記表面に露光を行うことにより、前記像担持体の前記表面に静電潜像を形成する露光装置と、
前記像担持体の前記表面に前記トナーを供給して、前記静電潜像をトナー像として現像する現像装置とを備え、
前記像担持体は、有機感光体である、画像形成装置。
【請求項6】
システム線速は、250mm/秒以上500mm/秒以下である、請求項5に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二成分現像剤及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法においては、例えば、キャリア粒子を含むキャリアと、トナー粒子を含むトナーとを備える二成分現像剤が用いられる。二成分現像剤には、環境に拠らず、所望の画像濃度を有する画像を形成すると共に、かぶりの発生を抑制することが要求される。
【0003】
そこで、二成分現像剤のキャリアとして、キャリアコアと、キャリアコアの表面を被覆するコート層とを備えるキャリア粒子を含むキャリアを用いることが検討されている。コート層は、例えば、コート樹脂(例えば、フッ素樹脂又はシリコーン樹脂)を含有する。このうち、コート樹脂としてシリコーン樹脂を用いたキャリア(シリコーン樹脂キャリア)は、コート層の耐久性が高く、かつキャリア粒子の表面に他の成分(例えば、トナーに含まれる外添剤)が付着し難い。そのため、二成分現像剤のキャリアとしてシリコーン樹脂キャリアを用いることにより、トナーに帯電安定性及び流動性をある程度付与できる。シリコーン樹脂キャリアを用いた二成分現像剤として、例えば、非磁性着色樹脂粒子及び樹脂微粒子を含む非磁性トナーと、シリコーン樹脂キャリアとを備える二成分現像剤が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の二成分現像剤によっても、環境に拠らず、所望の画像濃度を有する画像を形成すると共に、かぶりの発生を抑制することは困難である。
【0006】
本発明の目的は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、環境に拠らず、所望の画像濃度を有する画像を形成できると共に、かぶりの発生を抑制できる二成分現像剤と、上述の二成分現像剤を用いる画像形成装置とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一実施形態に係る二成分現像剤は、キャリア粒子を含むキャリアと、トナー粒子を含むトナーとを備える。前記キャリア粒子は、キャリアコアと、前記キャリアコアの表面を被覆するコート層とを含む。前記コート層は、シリコーン樹脂を含有する。前記キャリア粒子の表面の静止摩擦係数は、0.10以上0.22以下である。前記トナー粒子は、トナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に付着する外添剤とを含む。前記外添剤は、樹脂粒子を含む。前記樹脂粒子の個数平均一次粒子径は、35nm以上160nm以下である。温度160℃かつ圧力0.1kgf/mm2での5分間加圧後に目開き75μmのメッシュにより測定される前記樹脂粒子のブロッキング率は、17質量%以上42質量%以下である。
【0008】
本発明の第二実施形態に係る画像形成装置は、二成分現像剤と、像担持体と、前記像担持体の表面を帯電させる帯電装置と、帯電した前記像担持体の前記表面に露光を行うことにより、前記像担持体の前記表面に静電潜像を形成する露光装置と、前記像担持体の前記表面に前記トナーを供給して、前記静電潜像をトナー像として現像する現像装置とを備える。前記像担持体は、有機感光体である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第一実施形態に係る二成分現像剤及び第二実施形態に係る画像形成装置は、環境に拠らず、所望の画像濃度を有する画像を形成できると共に、かぶりの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第一実施形態に係る二成分現像剤が含むキャリア粒子の一例を示す図である。
【
図2】第一実施形態に係る二成分現像剤が含むトナー粒子の一例を示す図である。
【
図3】第二実施形態に係る画像形成装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、キャリアは、キャリア粒子の集合体(例えば粉体)である。トナーは、トナー粒子の集合体(例えば粉体)である。外添剤は、外添剤粒子の集合体(例えば粉体)である。粉体(より具体的には、トナー粒子の粉体、外添剤粒子の粉体、磁性粉、キャリア粒子の粉体等)に関する評価結果(形状、物性等を示す値)は、何ら規定していなければ、粉体から粒子を相当数選び取って、それら粒子の各々について測定した値の個数平均である。
【0012】
粉体の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば、株式会社堀場製作所製「LA-920V2」又はベックマン・コールター株式会社製の「コールターカウンターマルチサイザー3」)を用いて測定した値である。
【0013】
粉体の個数平均一次粒子径は、何ら規定していなければ、走査型電子顕微鏡を用いて測定した一次粒子の円相当径(ヘイウッド径:一次粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。粉体の個数平均一次粒子径は、例えば100個の一次粒子の円相当径の個数平均値である。なお、粒子の個数平均一次粒子径は、特に断りがない限り、粉体中の粒子の個数平均一次粒子径を指す。
【0014】
帯電性は、何ら規定していなければ、摩擦帯電における帯電性を意味する。例えば、日本画像学会から提供される標準キャリア(負帯電極性トナー用標準キャリア:N-01、正帯電極性トナー用標準キャリア:P-01)と測定対象(例えばトナー)とを混ぜて攪拌することで、測定対象を摩擦帯電させる。摩擦帯電させる前と後とでそれぞれ、例えば吸引式小型帯電量測定装置(トレック社製「MODEL 212HS」)で測定対象の帯電量を測定し、摩擦帯電の前後での帯電量の変化が大きい測定対象ほど帯電性が強いことを示す。
【0015】
材料の「主成分」は、何ら規定していなければ、質量基準で、その材料に最も多く含まれる成分を意味する。
【0016】
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰り返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。以下に記載する各成分については、特に断りのない限り、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
<第一実施形態:二成分現像剤>
本発明の第二実施形態は、二成分現像剤に係る。本実施形態の二成分現像剤は、キャリア粒子を含むキャリアと、トナー粒子を含むトナーとを備える。キャリア粒子は、キャリアコアと、キャリアコアの表面を被覆するコート層とを含む。コート層は、シリコーン樹脂を含有する。キャリア粒子の表面の静止摩擦係数は、0.10以上0.22以下である。トナー粒子は、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着する外添剤とを含む。外添剤は、樹脂粒子を含む。樹脂粒子の個数平均一次粒子径は、35nm以上160nm以下である。温度160℃かつ圧力0.1kgf/mm2での5分間加圧後に目開き75μmのメッシュにより測定される樹脂粒子のブロッキング率は、17質量%以上42質量%以下である。
【0018】
本実施形態の二成分現像剤は、例えば電子写真装置(画像形成装置)において画像の形成に用いることができる。本実施形態の二成分現像剤は、現像装置内においてキャリア及びトナーが攪拌されることで、トナーが帯電する。
【0019】
本実施形態の二成分現像剤は、例えば、混合機(より具体的には、例えば、ボウルミル及びロッキングミキサ(登録商標))を用いて、キャリアとトナーとを攪拌しながら混合することで得られる。本実施形態の二成分現像剤におけるトナーの含有割合(トナー濃度)としては、1質量%以上20質量%以下が好ましく、4質量%以上10質量%以下がより好ましい。
【0020】
本実施形態の二成分現像剤は、上述の構成を備えることにより、環境に拠らず、所望の画像濃度を有する画像を形成できると共に、かぶりの発生を抑制できる。その理由は、以下のように推察される。本実施形態の二成分現像剤が含むトナー粒子は、外添剤として樹脂粒子を含む。樹脂粒子は、スペーサー粒子として機能し、トナー粒子が他の成分(例えば、他のトナー粒子又はキャリア粒子)と接触した際に、トナー粒子の表面の状態が変化することを抑制する。これにより、樹脂粒子は、画像形成に伴ってトナー粒子の帯電性が変化することを抑制する。ここで、樹脂粒子は、粒子の硬さの指標となるブロッキング率が17質量%以上42質量%以下である。樹脂粒子に適度な硬さを付与する(ブロッキング率が42質量%以下)ことにより、スペーサー粒子としての機能を十分に発揮できる。一方、樹脂粒子に過度な硬さを付与しない(ブロッキング率が17質量%以上)ことにより、感光体の表面が研磨されることを抑制できる。なお、感光体の表面が研磨されると、感光体の表面電位が低下し、かぶりの原因となる。
【0021】
更に、本実施形態の二成分現像剤が含むキャリア粒子は、摩擦係数が低い樹脂であるシリコーン樹脂を含有するコート層を備えることにより、表面の静止摩擦係数が0.10以上0.22以下である。キャリア粒子の表面の静止摩擦係数を比較的低くする(0.22以下)ことにより、感光体の表面が研磨されることを抑制できる。一方で、キャリア粒子の表面の静止摩擦係数を過度に低くしない(0.10以上)ことにより、トナー粒子を十分に摩擦帯電させることができる。このように、本実施形態の二成分現像剤は、トナー粒子に含まれる樹脂粒子が良好なスペーサー粒子として機能すると共に、キャリア粒子及びトナー粒子による感光体の表面の研磨を抑制できる。その結果、本実施形態の二成分現像剤は、環境に拠らず、所望の画像濃度を有する画像を形成できると共に、かぶりの発生を抑制できる。
【0022】
また、本実施形態の二成分現像剤は、有機感光体(OPC)を備える画像形成装置に用いる二成分現像剤として、特に好適である。有機感光体は、他の感光体(例えば、アモルファスシリコン感光体)と比べて柔らかく、表面が研磨され易い。これに対して、本実施形態の二成分現像剤は、上述の通り、キャリア粒子及びトナー粒子による感光体の表面の研磨を抑制できる。そのため、本実施形態の二成分現像剤は、有機感光体(OPC)を備える画像形成装置に用いた場合においても、環境に拠らず、かぶりの発生を抑制できる。
【0023】
[キャリア粒子]
以下、図面に沿って、キャリアが含むキャリア粒子の一例を説明する。
図1は、キャリア粒子の一例であるキャリア粒子1を示す。キャリア粒子1は、キャリアコア2と、キャリアコア2の表面を被覆するコート層3とを備える。コート層3は、シリコーン樹脂を含有する。コート層3は、キャリアコア2の表面の全面を被覆している。
【0024】
以上、
図1に基づいてキャリア粒子1について説明した。但し、キャリアが含むキャリア粒子は、
図1に示すキャリア粒子1に限定されない。例えば、コート層は、キャリアコアの少なくとも一部を被覆していればよい。すなわち、キャリアコアの一部は、露出していてもよい。また、コート層は、多層構造を有していてもよい。
【0025】
キャリア粒子の表面の静止摩擦係数は、0.10以上0.22以下であり、0.13以上0.17以下が好ましい。キャリア粒子の表面の静止摩擦係数を0.10以上とすることで、キャリア粒子はトナー粒子を十分に摩擦帯電させることができる。その結果、本実施形態の二成分現像剤は、環境に拠らず、所望の画像濃度を有する画像を形成できる。キャリア粒子の表面の静止摩擦係数を0.22以下とすることで、キャリア粒子が感光体の表面を研磨することを抑制できる。その結果、本実施形態の二成分現像剤は、環境に拠らず、かぶりの発生を抑制できる。なお、キャリア粒子の表面の静止摩擦係数は、温度25℃において、実施例に記載の方法又はこれに準拠した方法により測定される。
【0026】
キャリア粒子の表面の静止摩擦係数を上述の範囲に調整する方法としては、例えば、コート層に摩擦係数の低い樹脂(例えば、シリコーン樹脂)を添加する方法、及びコート層を形成する際の加熱温度を高くし、コート層の硬度を増大させる方法が挙げられる。
【0027】
(キャリアコア)
キャリアコアは、磁性材料を含有することが好ましい。キャリアコアは、磁性材料の粒子であってもよく、結着樹脂と、結着樹脂中に分散した磁性材料の粒子とを備える粒子(以下、樹脂キャリアコアと記載することがある)であってもよい。
【0028】
キャリアコアに含有される磁性材料としては、例えば、強磁性金属(より具体的には、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、及びこれら金属のうち1種以上を含む合金)、並びに強磁性金属酸化物が挙げられる。強磁性金属酸化物としては、フェライトと、スピネルフェライトの1種であるマグネタイトとが挙げられる。フェライトとしては、例えば、Baフェライト、Mnフェライト、Mn-Znフェライト、Ni-Znフェライト、Mn-Mgフェライト、Ca-Mgフェライト、Liフェライト、Cu-Znフェライト、及びMn-Mg-Srフェライトが挙げられる。キャリアコアの製造方法としては、例えば、磁性材料を粉砕及び焼成する工程を含む方法が挙げられる。キャリアコアの製造において、磁性材料の添加量(特に、強磁性材料の割合)を変更することで、キャリアの飽和磁化を調整できる。また、キャリアコアの製造において、焼成温度を変更することで、キャリアコアの円形度を調整できる。なお、キャリアコアは、市販品を使用してもよい。
【0029】
キャリアコアとして用いる磁性材料の粒子としては、例えば、フェライト粒子が挙げられる。フェライト粒子は、二成分現像剤による画像形成のために十分な磁性を有する傾向がある。なお、一般的な製法により製造されたフェライト粒子は、真球にはならず、表面に適度な凹凸を有する傾向がある。キャリアコアがフェライト粒子(フェライトコア)である場合、フェライトコアの表面とコート層との密着性を向上させる観点から、フェライトコアの表面の算術平均粗さ(詳しくは、JIS(日本産業規格)B0601-2013で規定される算術平均粗さRa)としては、0.3μm以上2.0μm以下が好ましい。
【0030】
樹脂キャリアコアにおける結着樹脂としては、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、又はフェノール樹脂が好ましく、フェノール樹脂がより好ましい。樹脂キャリアコアにおける磁性材料の粒子としては、例えば上記磁性材料において例示した磁性材料のうち1種以上の磁性材料を含む粒子が挙げられる。
【0031】
キャリア粒子において、キャリアコア及びコート層の合計質量に対するキャリアコアの質量割合としては、80質量%以上99質量%以下が好ましく、95質量%以上99質量%以下がより好ましい。
【0032】
キャリアコアの個数平均一次粒子径としては、20μm以上60μm以下が好ましい。キャリアコアの個数平均一次粒子径を20μm以上とすることで、本実施形態の二成分現像剤は、キャリア現像の発生を抑制できる。キャリアコアの個数平均一次粒子径を60μm以下とすることで、本実施形態の二成分現像剤の現像性を最適化できる。
【0033】
印加磁場3000Oeでのキャリアコアの飽和磁化としては、60emu/g以上80emu/g以下が好ましい。キャリアコアの飽和磁化を60emu/g以上とすることで、本実施形態の二成分現像剤は、キャリア現像の発生を抑制できる。キャリアコアの飽和磁化を80emu/g以下とすることで、本実施形態の二成分現像剤の現像性を最適化できる。
【0034】
(コート層)
コート層は、シリコーン樹脂を含有する。コート層の厚さとしては、例えば、0.3μm以上2.0μm以下である。
【0035】
キャリアコア100質量部に対するコート層の質量としては、0.5質量部以上10.0質量部以下が好ましく、1.0質量部以上3.0質量部以下がより好ましい。コート層の質量を0.5質量部以上とすることで、キャリアコアの露出を抑制できる。コート層の質量を5.0質量部以下とすることで、キャリアがトナーを帯電させ易くなる。
【0036】
(シリコーン樹脂)
シリコーン樹脂は、ポリシロキサン構造(例えば、アルキルポリシロキサン構造)を有する樹脂である。シリコーン樹脂としては、例えば、メチル基を有するシリコーン樹脂、及びエポキシ樹脂変性シリコーン樹脂が挙げられる。メチル基を有するシリコーン樹脂としては、例えば、メチル基を有し、かつフェニル基を有しないシリコーン樹脂(以下「メチルシリコーン樹脂」と記載することがある)、並びにメチル基及びフェニル基を有するシリコーン樹脂(以下「メチルフェニルシリコーン樹脂」と記載することがある)が挙げられる。シリコーン樹脂としては、メチルシリコーン樹脂が好ましい。
【0037】
コート層は、シリコーン樹脂のみを含有することが好ましいが、少量であれば他の成分を更に含有してもよい。他の成分としては、例えば、シリコーン樹脂以外の樹脂、無機粒子(例えば、金属酸化物粒子及びカーボンブラック粒子)、電荷制御剤、密着向上剤及び架橋剤が挙げられる。コート層におけるシリコーン樹脂の含有割合としては、90質量%以上が好ましく、100質量%がより好ましい。
【0038】
(キャリアの製造方法)
キャリアの製造方法の一例について説明する。キャリアの製造方法は、キャリアコアの表面にコート液を塗布する塗布工程と、塗布工程後のキャリアコアを加熱する加熱工程とを備える。
【0039】
(塗布工程)
本工程では、キャリアコアの表面にコート液を塗布する。コート液は、シリコーン樹脂及び溶媒を含有する。シリコーン樹脂は、熱硬化型シリコーン樹脂であってもよい。コート液の固形分濃度としては、10質量%以上30質量%以下が好ましい。
【0040】
コート液の溶媒としては、例えば、ラクタム化合物(例えば、2-ピロリドン及びN-メチル-2-ピロリドン)、ケトン化合物(例えば、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン)、環状エーテル化合物(例えば、テトラヒドロフラン及びテトラヒドロピラン)、アルコール化合物(例えば、ノルマルブタノール及びイソブタノール)、エステル溶媒(例えば、酢酸エチル及び酢酸イソブチル)及び芳香族炭化水素化合物(例えば、トルエン及びキシレン)が挙げられる。コート液の溶媒としては、トルエンが好ましい。
【0041】
キャリアコアの表面にコート液を塗布する方法としては、例えば、コート液にキャリアコアを浸漬させる方法、及び流動層中のキャリアコアにコート液を噴霧する方法が挙げられる。コート液にキャリアコアを浸漬させる方法では、キャリアコアの表面の凸部には少量のコート液が塗布される一方で、キャリアコアの表面の凹部には多量のコート液が塗布されるため、コート液の塗布量が不均一になる傾向がある。これに対して、流動層中のキャリアコアにコート液を噴霧する方法では、キャリアコアの表面の凸部及び凹部の何れに対してもコート液を均一に塗布できる傾向がある。以上から、キャリアコアの表面にコート液を塗布する方法としては、流動層中のキャリアコアにコート液を噴霧する方法が好ましい。
【0042】
(加熱工程)
本工程では、塗布工程後のキャリアコアを加熱し、コート液に含まれる溶媒を除去する。また、コート液に未硬化のシリコーン樹脂が含まれる場合、未硬化のシリコーン樹脂を熱硬化させる。その結果、コート液からコート層が形成される。加熱時の加熱温度としては、260℃以上390℃以下が好ましく、300℃以上350℃以下がより好ましい。加熱時の加熱時間としては、30分以上90分以下が好ましく、50分以上70分以下がより好ましい。
【0043】
[トナー]
トナーは、トナー粒子を含む。トナー粒子は、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着する外添剤とを備える。外添剤は、樹脂粒子を含む。以下、トナーの詳細について、適宜図面を参照しながら説明する。
【0044】
図2は、トナーに含まれるトナー粒子4の一例を示す。
図2に示すトナー粒子4は、トナー母粒子5と、トナー母粒子5の表面に付着した外添剤6とを備える。外添剤6は、樹脂粒子6a及びシリカ粒子6bを含む。
【0045】
以上、図面に基づいてトナー粒子について説明した。但し、トナー粒子は、
図2に示すトナー粒子4とは異なる構造であってもよい。具体的には、外添剤は、樹脂粒子のみを含んでいてもよい。また、外添剤は、樹脂粒子及びシリカ粒子以外のその他の外添剤粒子を含んでいてもよい。トナー母粒子は、トナーコアと、トナーコアを被覆するシェル層とを含むカプセルトナー粒子であってもよい。
【0046】
(外添剤)
外添剤は、トナー母粒子の表面に付着する。外添剤は、樹脂粒子を含む。外添剤は、シリカ粒子を更に含むことが好ましい。外添剤は、樹脂粒子及びシリカ粒子以外の他の粒子を更に含んでもよいが、樹脂粒子及びシリカ粒子のみを含むことが好ましい。外添剤における樹脂粒子及びシリカ粒子の合計含有割合としては、90質量%以上が好ましく、99質量%以上がより好ましく、100質量%が更に好ましい。
【0047】
(樹脂粒子)
樹脂粒子は、樹脂を主成分とする粒子である。温度160℃かつ圧力0.1kgf/mm2での5分間加圧後に目開き75μmのメッシュにより測定される樹脂粒子のブロッキング率は、17質量%以上42質量%以下であり、25質量%以上42質量%以下が好ましく、35質量%以上42質量%以下がより好ましい。樹脂粒子のブロッキング率は、樹脂粒子の硬さを示す指標である。樹脂粒子が硬いほど、樹脂粒子のブロッキング率が低くなる。樹脂粒子のブロッキング率を17質量%以上とすることで、トナー粒子が感光体の表面を研磨することを抑制できる。その結果、本実施形態の二成分現像剤は、環境に拠らず、かぶりの発生を抑制できる。樹脂粒子のブロッキング率を42質量%以下とすることで、樹脂粒子がスペーサーとしての機能を発揮し易くなる。その結果、本実施形態の二成分現像剤は、環境に拠らず、所望の画像濃度を有する画像を形成できる。
【0048】
樹脂粒子が含有する樹脂としては、スチレン-(メタ)アクリル樹脂が好ましい。樹脂粒子におけるスチレン-(メタ)アクリル樹脂の含有割合としては、70質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、100質量%が更に好ましい。
【0049】
スチレン-(メタ)アクリル樹脂は、スチレン化合物と、(メタ)アクリル酸化合物との共重合体である。(メタ)アクリル酸化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル(特に、エステル部に炭素原子数1以上4以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル)が挙げられる。
【0050】
スチレン-(メタ)アクリル樹脂は、スチレン化合物に由来する第一繰り返し単位と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する第二繰り返し単位とを有することが好ましい。
【0051】
スチレン化合物としては、例えば、スチレン、アルキルスチレン(より具体的には、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、エチルスチレン、2,3-ジメチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、o-tert-ブチルスチレン、m-tert-ブチルスチレン、及びp-tert-ブチルスチレン等)、及びハロゲン化スチレン(より具体的には、α-クロロスチレン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、及びp-クロロスチレン等)が挙げられる。スチレン化合物としては、スチレンが好ましい。
【0052】
スチレン-(メタ)アクリル樹脂の有する全繰り返し単位に対して、第一繰り返し単位の含有割合としては、5.0質量%以上30.0質量%以下が好ましく、10.0質量%以上14.0質量%以下がより好ましく、12.0質量%以上13.5質量%以下が更に好ましい。
【0053】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸iso-プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル(詳しくは、(メタ)アクリル酸n-ブチル)、(メタ)アクリル酸iso-ブチル、及び(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸ブチルが好ましい。
【0054】
スチレン-(メタ)アクリル樹脂の有する全繰り返し単位に対して、第二繰り返し単位の含有割合としては、40.0質量%以上80.0質量%以下が好ましく、50.0質量%以上70.0質量%以下がより好ましく、60.0質量%以上65.0質量%以下が更に好ましい。
【0055】
スチレン-(メタ)アクリル樹脂は、架橋剤に由来する第三繰り返し単位を更に有することが好ましい。即ち、スチレン-(メタ)アクリル樹脂は、スチレン化合物に由来する第一繰り返し単位と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する第二繰り返し単位と、架橋剤に由来する第三繰り返し単位とを有する架橋されたスチレン-(メタ)アクリル樹脂であることが好ましい。樹脂粒子がこのような架橋されたスチレン-(メタ)アクリル樹脂を含有することで、樹脂粒子に適度な剛性が付与され、樹脂粒子がスペーサーとしての機能を発揮し易くなる。
【0056】
架橋剤としては、例えば、2個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。具体的な架橋剤としては、例えば、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、及び1,6-ヘキサンジオールジメタクリレートが挙げられる。架橋剤としては、ジビニルベンゼンが好ましい。
【0057】
スチレン-(メタ)アクリル樹脂の有する全繰り返し単位に対して、第三繰り返し単位の含有割合としては、20.0質量%以上40.0質量%以下が好ましく、20.0質量%以上32.0質量%以下がより好ましく、20.0質量%以上25.0質量%以下が更に好ましい。第三繰り返し単位の含有割合を20.0質量%以上とすることで、樹脂粒子に適度な剛性が付与され、樹脂粒子がスペーサーとしての機能を更に発揮し易くなる。第三繰り返し単位の含有割合を40.0質量%以下とすることで、樹脂粒子の硬度が過度に高くなり、感光体の表面が研磨されることを効果的に抑制できる。
【0058】
架橋樹脂は、スチレンに由来する繰り返し単位と、メタクリル酸ブチルに由来する繰り返し単位と、ジビニルベンゼンに由来する繰り返し単位とを有することが好ましい。
【0059】
樹脂粒子の個数平均一次粒子径は、35nm以上160nm以下であり、50nm以上100nm以下が好ましく、60nm以上80nm以下がより好ましい。樹脂粒子の個数平均一次粒子径を35nm以上とすることで、トナー母粒子に樹脂粒子が埋没することを抑制できる。また、樹脂粒子の個数平均一次粒子径を160nm以下とすることで、トナー母粒子から樹脂粒子が脱離することを抑制できる。
【0060】
トナー母粒子からの脱離を抑制しながら樹脂粒子の機能を十分に発揮させる観点から、トナー粒子における樹脂粒子の含有量は、トナー母粒子100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下であり、0.2質量部以上1.5質量部以下がより好ましく、0.4質量部以上0.8質量部以下がより好ましい。樹脂粒子の含有量を0.1質量部以上とすることで、樹脂粒子は、スペーサーとしての機能を十分に発揮できる。樹脂粒子の含有量を5.0質量部以下とすることで、樹脂粒子がトナー母粒子から脱離することを抑制できる。
【0061】
樹脂粒子は、例えば、イオン性界面活性剤(乳化剤)の存在下、原料となるモノマー(例えば、スチレン化合物、(メタ)アクリル酸化合物及び架橋剤)を乳化重合させることによって製造できる。乳化重合に用いる重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイドを用いることができる。イオン性界面活性剤の使用量としては、例えば、原料となるモノマー100質量部に対して、2質量部以上7質量部以下である。重合開始剤の使用量としては、例えば、原料となるモノマー100質量部に対して、5質量部以上15質量部以下である。
【0062】
(イオン性界面活性剤)
トナー粒子は、樹脂粒子の表面に付着するイオン性界面活性剤を更に有することが好ましい。イオン性界面活性剤は、上述の樹脂粒子の製造において使用したイオン性界面活性剤に由来する。イオン性界面活性剤は、トナー粒子の帯電性能を調整する。イオン性界面活性剤としては、カチオン界面活性剤又はアニオン界面活性剤が挙げられる。イオン性界面活性剤としては、カチオン界面活性剤が好ましい。
【0063】
カチオン界面活性剤としては、例えば、炭素原子数10以上25以下のアルキル基を有するアルキルトリメチルアンモニウム塩が挙げられる。具体的なカチオン界面活性剤としては、セチルトリメチルアンモニウム塩が好ましく、塩化セチルトリメチルアンモニウムがより好ましい。
【0064】
アニオン界面活性剤としては、例えば、炭素原子数10以上25以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。具体的なアニオン界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸塩が好ましく、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。
【0065】
(シリカ粒子)
シリカ粒子としては、疎水性を付与する表面処理が施されたシリカ粒子が好ましい。シリカ粒子の個数平均一次粒子径としては、20nm以上100nm以下が好ましく、20nm以上35nm以下がより好ましい。シリカ粒子の個数平均一次粒子径を20nm以上とすることで、シリカ粒子がトナー母粒子に埋没することを抑制できる。また、シリカ粒子の個数平均一次粒子径を100nm以下とすることで、シリカ粒子がトナー母粒子から脱離することを抑制できる。
【0066】
トナー母粒子からの脱離を抑制しながらシリカ粒子の機能を十分に発揮させる観点から、トナー粒子におけるシリカ粒子の含有量としては、トナー母粒子100質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下が好ましく、0.4質量部以上2.5質量部以下がより好ましい。
【0067】
(トナー母粒子)
トナー母粒子は、例えば、結着樹脂と、着色剤、電荷制御剤、及び離型剤からなる群から選択される少なくとも1つとを含有する。以下、結着樹脂、着色剤、電荷制御剤、及び離型剤について、説明する。
【0068】
(結着樹脂)
低温定着性に優れたトナーを得るために、トナー母粒子は、結着樹脂として熱可塑性樹脂を含有することが好ましく、結着樹脂全体の85質量%以上の割合で熱可塑性樹脂を含有することがより好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂(より具体的には、アクリル酸エステル重合体、メタクリル酸エステル重合体等)、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、ビニル樹脂(より具体的には、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、N-ビニル樹脂等)、ポリアミド樹脂、及びウレタン樹脂が挙げられる。また、これら各樹脂の共重合体、すなわち上記樹脂中に任意の繰り返し単位が導入された共重合体(より具体的には、スチレン-アクリル樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂等)も、結着樹脂として使用できる。
【0069】
結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂は、1種以上の多価アルコールモノマーと、1種以上の多価カルボン酸モノマーとの重合体である。なお、多価カルボン酸モノマーの代わりに、多価カルボン酸誘導体(より具体的には、多価カルボン酸の無水物、多価カルボン酸ハライド等)を使用してもよい。
【0070】
多価アルコールモノマーとしては、例えば、ジオールモノマー、ビスフェノールモノマー、及び3価以上のアルコールモノマーが挙げられる。
【0071】
ジオールモノマーとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-ベンゼンジオール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
【0072】
ビスフェノールモノマーとしては、例えば、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、及びビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0073】
3価以上のアルコールモノマーとしては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、及び1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
【0074】
多価カルボン酸モノマーとしては、例えば、2価カルボン酸モノマー、及び3価以上のカルボン酸モノマーが挙げられる。
【0075】
2価カルボン酸モノマーとしては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5-スルホイソフタル酸、5-スルホイソフタル酸ナトリウム、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、アルキルコハク酸、及びアルケニルコハク酸が挙げられる。アルキルコハク酸としては、例えば、n-ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n-オクチルコハク酸、n-ドデシルコハク酸、及びイソドデシルコハク酸が挙げられる。アルケニルコハク酸としては、例えば、n-ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n-オクテニルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸、及びイソドデセニルコハク酸が挙げられる。
【0076】
3価以上のカルボン酸モノマーとしては、例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、及びエンポール三量体酸が挙げられる。
【0077】
ポリエステル樹脂としては、ビスフェノールモノマーと、2価カルボン酸モノマーと、3価カルボン酸モノマーとの重合体が好ましく、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物と、テレフタル酸と、イソフタル酸と、トリメリット酸との重合体が更に好ましい。
【0078】
ポリエステル樹脂としては、非晶性ポリエステル樹脂が好ましい。非晶性ポリエステル樹脂については、明確な融点を測定できないことが多い。よって、示差走査熱量計を用いて測定される吸熱曲線において明確に吸熱ピークを判断できないポリエステル樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂と判断して差し支えない。
【0079】
(着色剤)
着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。着色剤としては、例えば、黒色着色剤、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤が挙げられる。
【0080】
黒色着色剤としては、例えば、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
【0081】
トナーにおいて、着色剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましい。
【0082】
(電荷制御剤)
電荷制御剤は、例えば、帯電安定性及び帯電立ち上がり特性に優れたトナーを得る目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。電荷制御剤としては、例えば、正電荷制御剤、及び負電荷制御剤が挙げられる。トナー母粒子に正電荷制御剤を含有させることでトナーのカチオン性(正帯電性)を強めることができ、トナー母粒子に負電荷制御剤を含有させることでトナーのアニオン性(負帯電性)を強めることができる。正電荷制御剤としては、例えば、ピリジン、ニグロシン、及び4級アンモニウム塩が挙げられる。負電荷制御剤としては、例えば、含金属アゾ染料、スルホ基含有樹脂、油溶性染料、ナフテン酸金属塩、アセチルアセトン金属錯体、サリチル酸系金属錯体、ホウ素化合物、脂肪酸石鹸、及び長鎖アルキルカルボン酸塩が挙げられる。但し、トナーにおいて十分な帯電性が確保される場合には、トナー母粒子に電荷制御剤を含有させる必要はない。トナー母粒子において、電荷制御剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下が好ましく、0.4質量部以上2.5質量部以下がより好ましい。
【0083】
(離型剤)
離型剤は、例えば、耐ホットオフセット性に優れたトナーを得る目的で使用される。離型剤としては、例えば、脂肪族炭化水素系ワックス、脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、植物由来ワックス、動物由来ワックス、鉱物由来ワックス、脂肪酸エステルを主成分とするエステルワックス、及び脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスが挙げられる。脂肪族炭化水素系ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス(例えば、低分子量ポリエチレン)、ポリプロピレンワックス(例えば、低分子量ポリプロピレン)、ポリオレフィン共重合体、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、及びフィッシャートロプシュワックスが挙げられる。脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物としては、例えば、酸化ポリエチレンワックス、及び酸化ポリエチレンワックスのブロック共重合体が挙げられる。植物由来ワックスとしては、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、及びライスワックスが挙げられる。動物由来ワックスとしては、例えば、みつろう、ラノリン、及び鯨ろうが挙げられる。鉱物由来ワックスとしては、例えば、オゾケライト、セレシン、及びペトロラタムが挙げられる。脂肪酸エステルを主成分とするエステルワックスとしては、例えば、モンタン酸エステルワックス、及びカスターワックスが挙げられる。脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスとしては、例えば、脱酸カルナバワックスが挙げられる。トナー母粒子において、離型剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましく、3質量部以上10質量部以下がより好ましい。
【0084】
なお、トナー粒子は、必要に応じて、公知の添加剤を含有してもよい。トナー粒子の体積中位径としては、4μm以上12μm以下が好ましい。トナー母粒子の体積中位径としては、4μm以上12μm以下が好ましく、5μm以上9μm以下がより好ましい。トナー粒子は、磁性トナーであっても、非磁性トナーであってもよい。なお、トナー粒子が磁性トナーである場合には、トナー母粒子は、磁性粉を更に含有する。
【0085】
(トナーの製造方法)
トナーの製造方法の一例を説明する。トナーの製造方法は、トナー母粒子を調製するトナー母粒子調製工程と、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる外添工程とを備える。外添剤は、樹脂粒子を含む。
【0086】
(トナー母粒子調製工程)
トナー母粒子調製工程では、例えば粉砕法又は凝集法によりトナー母粒子を調製する。トナー母粒子調製工程では、粉砕法によりトナー母粒子を調製することが好ましい。つまり、トナーにおいて、トナー母粒子は粉砕トナー母粒子であることが好ましい。
【0087】
粉砕法の一例では、まず、結着樹脂と、必要に応じて添加される他の成分とを混合する。続けて、得られた混合物を、溶融混練装置(例えば、1軸又は2軸の押出機)を用いて溶融混練する。続けて、得られた溶融混練物を粉砕及び分級する。これにより、トナー母粒子が得られる。
【0088】
凝集法の一例では、まず、結着樹脂と、必要に応じて添加される他の成分との各々の微粒子を含む水性媒体中で、これらの微粒子を所望の粒子径になるまで凝集させる。これにより、結着樹脂等を含有する凝集粒子が形成される。続けて、得られた凝集粒子を加熱して、凝集粒子に含有される成分を合一化させる。これにより、トナー母粒子が得られる。
【0089】
(外添工程)
本工程では、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる。トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる方法としては、例えば混合装置を用いて、トナー母粒子と、外添剤粒子とを攪拌しながら混合する方法が挙げられる。
【0090】
<第二実施形態:画像形成装置>
第二実施形態は、画像形成装置に係る。本実施形態の画像形成装置は、第一実施形態に記載の二成分現像剤と、像担持体と、像担持体の表面を帯電させる帯電装置と、帯電した像担持体の表面に露光を行うことにより、像担持体の表面に静電潜像を形成する露光装置と、像担持体の表面にトナーを供給して、静電潜像をトナー像として現像する現像装置とを備える。像担持体は、有機感光体である。本実施形態の画像形成装置のシステム線速としては、250mm/秒以上500mm/秒以下が好ましい。
【0091】
本実施形態の画像形成装置は、第一実施形態に記載の二成分現像剤を備えるため、環境に拠らず、所望の画像濃度を有する画像を形成できると共に、かぶりの発生を抑制できる。
【0092】
以下、
図3を参照しつつ、本実施形態の画像形成装置の一例である画像形成装置100について説明する。画像形成装置100は、タンデム方式の電子写真装置である。
図3に示すように、画像形成装置100は、現像装置11a~11dと、感光体ドラム12a~12dと、転写装置10と、定着装置17と、クリーニング装置18と、帯電装置21a~21dとを備える。転写装置10は、転写ベルト13と、駆動ローラー14aと、従動ローラー14bと、テンションローラー14cと、1次転写ローラー15a~15dと、2次転写ローラー16とを備える。転写ベルト13は、駆動ローラー14a、従動ローラー14b、及びテンションローラー14cに張架されている。転写ベルト13は、駆動ローラー14aにより駆動されて、
図3中の矢印で示される方向に回転する。定着装置17は、例えば、加熱ローラー及び加圧ローラーを備えるニップ定着方式の定着装置である。クリーニング装置18は、転写ベルト13上に残留するトナーを除去する。画像形成装置100を用いて画像を形成する場合には、第一実施形態に係る二成分現像剤を、現像装置11a~11dの各々にセットする。画像形成装置100は、各種センサーの出力に基づいて、画像形成装置100の動作を電子制御する制御部20を備える。制御部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、プログラムを記憶し、かつ、所定のデータを書換え可能に記憶する記憶装置とを備える。ユーザーは、図示しない入力部(例えば、キーボード、マウス、又はタッチパネル)を通じて、制御部20に指示(電気信号)を与えることができる。
【0093】
画像形成装置100は、画像データに基づいて感光体ドラム12a~12dの各々の表層部(感光層)に静電潜像を形成する。次に、形成された静電潜像を、現像装置11a~11dの各々にセットされた二成分現像剤(トナー及びキャリア)を用いて現像する。帯電装置21a~21dは、感光体ドラム12a~12dの感光層に一様に静電気を帯びさせる。以下、区別する必要がない場合(共通の性質などについて述べる場合)には、現像装置11a~11dの各々を現像装置11と記載し、感光体ドラム12a~12dの各々を感光体ドラム12と記載し、帯電装置21a~21dの各々を帯電装置21と記載する。
【0094】
帯電装置21は、感光体ドラム12の表面に当接する帯電性部材であり、接触帯電方式で感光層を帯電させるように構成される。帯電装置21(例えば、直流電圧の印加により、又は直流電圧に交流電圧を重畳したAC重畳直流電圧の印加により、帯電させた部材)が感光層に接触することで、感光層が帯電する。つまり、画像形成装置100では、帯電装置21a、21b、21c、21dがそれぞれ感光体ドラム12a、12b、12c、12d(それぞれ像担持体)の表面を帯電させる。帯電装置21は、例えばバネの力により感光体ドラム12の表面に押し付けられていてもよい。また、画像形成装置100は、
図3に示すように、感光体ドラム12a~12dの各々の感光層に静電潜像を形成するための露光装置22を備える。露光装置22は、光源として、例えばLED(発光ダイオード)ヘッドを備える。露光装置22は、画像データに基づいて、例えばLEDヘッドから発せられた光を、感光体ドラム12a~12dの各々の感光層に選択的に照射するように構成される。帯電した感光層に露光装置22が露光を行うことにより、静電潜像が感光層に形成される。
【0095】
現像装置11は、トナーで静電潜像を現像するように構成される。初期状態(未使用状態)の画像形成装置100において、現像装置11の内部の収容部には、トナー(初期トナー)及びキャリアを含む二成分現像剤が収容されている。ただし、トナー(初期トナー)及びキャリアは、画像形成装置100を使用開始する時の初期設定(インストール操作)により現像装置11の収容部に自動的に投入されてもよい。
【0096】
現像装置11には、補給用トナーコンテナ(図示略)が設けられている。補給用トナーコンテナは、補給用トナーを現像装置11内へ補給するよう構成される。補給用トナーコンテナは補給用トナーを収容している。補給用トナーコンテナ内の補給用トナーは、現像装置11(詳しくは、収容部)に供給される。
【0097】
初期トナーと補給用トナーとは、互いに同じトナーであってもよいし、異なるトナーであってもよい。ただし、安定して好適な画像の形成を行うためには、初期トナーと補給用トナーとが互いに同じトナーであることが好ましい。なお、2以上のトナーが同じであることは、それらトナーが互換性を有するほどに、それらトナーの間に実質的に性質上の差異がないことを意味する。
【0098】
感光体ドラム12は、有機感光体(OPC:Organic PhotoConductor)ドラムである。感光体ドラム12は、円柱状の外形を有する。感光体ドラム12は、芯材として金属製の筒体(例えば、アルミニウムパイプ)を備え、その芯材の外側に、電荷発生剤及び電荷輸送剤を含有する単層型感光層、又は積層型感光層(例えば、下引き層、電荷発生層、及び電荷輸送層)を更に備える。また、感光層の表面に、感光層を保護するための保護層が設けられてもよい。感光体ドラム12は、回転可能な態様で例えば画像形成装置100の筐体に支持されており、例えばモーター(図示せず)によって駆動される。
【0099】
画像形成装置100では、現像装置11a、11b、11c、11dがそれぞれ、感光体ドラム12a、12b、12c、12d(それぞれ像担持体)に形成された静電潜像を現像する。次に、画像形成装置100は、各感光体ドラム12にトナー像を形成した後、1次転写ローラー15a~15dの各々にバイアス(電圧)をかけて、感光体ドラム12a~12dの各々に付着したトナー(トナー像)を転写ベルト13(中間転写体)に転写(1次転写)する。更に、2次転写ローラー16にバイアス(電圧)をかけることにより、転写ベルト13上のトナー像を、搬送される記録媒体(被転写体)である印刷用紙Pに転写(2次転写)する。その後、定着装置17が、トナーを加熱して、印刷用紙Pにトナーを定着させる。これにより、印刷用紙Pに画像が形成される。
【0100】
画像形成装置100は、複数の感光体ドラム12a~12dを備える。このため、画像形成装置100は、1次転写工程において、複数の感光体ドラム12a~12dの各々に形成されたトナー像を順次、転写ベルト13に転写することにより、転写ベルト13上に、複数種のトナー像(例えば、異なる色のトナー像)を重ねることができる。また、画像形成装置100では、2次転写工程において、転写ベルト13上に重ねたトナー像を印刷用紙Pに一括転写することができる。例えば、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの4色のトナー像を重ね合わせることで、フルカラー画像を形成することができる。
【0101】
以上、
図3を参照して画像形成装置100について説明した。但し、本実施形態の画像形成装置は、
図3に示す画像形成装置100に限定されない。例えば、本実施形態の画像形成装置は、モノクロ画像を形成するための画像形成装置であってもよい。画像形成装置は、ロータリー方式を採用してもよい。帯電装置は、帯電ローラー以外の帯電装置(例えば、スコロトロン帯電器、帯電ブラシ、又はコロトロン帯電器)であってもよい。画像形成装置は、クリーニング装置を備えていなくてもよい。
【実施例0102】
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
【0103】
本実施例において、キャリアコアの飽和磁化及び保磁力は、高感度振動試料型磁力計(東英工業株式会社製「VSM-P7」)を用いて、印加磁場3000Oeの条件で測定した。
【0104】
樹脂粒子、シリカ粒子及びキャリアコアの個数平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(電界放出形走査電子顕微鏡、日本電子株式会社製「JSM-7600F」)を用いて、測定した。個数平均一次粒子径の測定において、100個の一次粒子の円相当径(ヘイウッド径:一次粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)を測定し、その個数平均値を求めた。
【0105】
[静止摩擦係数の測定]
キャリア粒子の表面の静止摩擦係数の測定は、25℃において、以下の方法で行った。平坦なサンプル板の上にキャリアを載置した。この際、サンプル板の表面全体をキャリアが均一に覆うように、キャリアを広げた。次に、ポータブル摩擦計新東科学株式会社製「ミューズTYPE:94i-II」を用いて、上述のサンプル板の表面の静止摩擦係数を測定した。測定は5回行い(n=5)、その平均値をキャリア粒子の表面の静止摩擦係数の測定値として採用した。
【0106】
[ポリエステル樹脂の合成]
マントルヒーターをセットした脱水管と、窒素導入管と、攪拌機と、滴下ノズル2個と、温度計と、循環ポンプとを備えたステンレス容器(ジャケット附属)を反応容器として用いた。テレフタル酸500質量部と、イソフタル酸500質量部と、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの平均付加モル数:0.8モル)298質量部と、エチレングリコール298質量部とを反応容器に投入した。次に、反応容器内部を窒素雰囲気とし、反応容器の内容物を攪拌しながら反応容器内部の温度を250℃まで上昇させた。次に、常圧(101kPa)かつ250℃の条件で、反応容器の内容物を4時間反応させた。次に、反応容器内に、三酸化アンチモン0.35質量部と、トリフェニルホスフェート0.22質量部と、テトラブチルチタネート0.04質量部とを更に加えた。次に、反応容器の内部の圧力を8kPaに減圧すると共に、反応容器内部の温度を280℃まで上昇させた。次に、圧力8kPa、280℃の条件で、反応容器の内容物を6時間反応させた。次に、反応容器の内部の圧力を常圧(101kPa)に戻した。次に、反応容器の内部の温度を270℃まで降下させた。次に、反応容器内に、トリメリット酸12質量部を更に加えた。次に、常圧(101kPa)、270℃の条件で、反応容器の内容物を1時間反応させた。次に、反応容器の内部の温度を室温まで降下させた後、反応生成物(ポリエステル樹脂)を反応容器から取り出した。これにより、結着樹脂として用いるポリエステル樹脂を得た。
【0107】
[樹脂粒子の調製]
以下の方法により、樹脂粒子(P-1)~(P-7)を調製した。
【0108】
(樹脂粒子(P-1))
攪拌装置、冷却管、温度計、及び窒素導入管を備えた容量1Lの4つ口フラスコを反応容器として用いた。反応容器に、スチレン20質量部と、メタクリル酸n-ブチル(BMA)100質量部と、ジビニルベンゼン(DVB)35質量部と、重合開始剤(ベンゾイルパーオキサイド)15質量部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム6質量部と、600質量部のイオン交換水とを、内容物を攪拌しながら投入した。
【0109】
続けて、反応容器内容物を攪拌しながら、反応容器内に窒素ガスを導入して、反応容器内を窒素雰囲気にした。更に、反応容器内容物を攪拌しながら、窒素雰囲気で反応容器内容物の温度を90℃に上昇させた。その後、窒素雰囲気かつ温度90℃の条件で、反応容器内容物を攪拌しながら、下記表1示す反応時間T(樹脂粒子(P-1)においては3.0時間)ほど反応(詳しくは、重合反応)させて、反応生成物(樹脂粒子(P-1))を含むエマルションを得た。続けて、得られたエマルションを冷却した後、洗浄及び脱水した。これにより、個数平均一次粒子径70nmの樹脂粒子(P-1)の粉体を得た。樹脂粒子(P-1)は、架橋樹脂を含有していた。樹脂粒子(P-1)の表面には、界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)が付着していた。
【0110】
(樹脂粒子(P-2)~(P-7))
モノマーの使用量及び反応時間Tを下記表1に示す通りに変更した以外は、樹脂粒子(P-1)の調製と同様の方法により、樹脂粒子(P-2)~(P-7)を調製した。なお、下記表1において、「粒子径」は、個数平均一次粒子径を示す。
【0111】
[ブロッキング率の測定]
以下の方法により、樹脂粒子(P-1)~(P-7)のブロッキング率を測定した。測定結果を下記表1に示す。測定用治具として、円柱状の穴(直径:10mm、深さ:10mm)が形成された台(材質:SUS304)と、円柱状の圧子(直径:10mm、材質:SUS304)と、ヒーターとを備える装置(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製)を使用した。なお、SUS304は、ニッケル含有率8質量%、クロム含有率18質量%の鉄-クロム-ニッケル合金(オーステナイトステンレス鋼)である。
【0112】
温度23℃かつ湿度50%RHの環境下において、上記治具の穴(測定部位)に、測定対象となる樹脂粒子の粉体(樹脂粒子(P-1)~(P-7)の粉体いずれか)10mgを投入した。続いて、上記治具のヒーターで測定部位を160℃に加熱し、上記治具の圧子(荷重:100N)で測定部位(ひいては、測定部位に存在する樹脂粒子)に0.1kgf/mm2の圧力を5分間加えた。その後、測定部位(詳しくは、穴の中)にある樹脂粒子を全量回収し、質量既知の目開き75μmのメッシュ(JIS(日本産業規格)Z8801-1で規定される、正方形のふるい目を有する平織の篩、メッシュ数:200、線径:50μm)上に静置した。そして、樹脂粒子を含む篩の質量を測定し、篩上の樹脂粒子の質量(吸引前の樹脂粒子の質量)を求めた。
【0113】
続けて、吸引機(アマノ株式会社製「V-3SDR」)を用いて、篩の下方から篩上の樹脂粒子を吸引した。この吸引により、篩上の樹脂粒子のうちブロッキングしていない樹脂粒子のみが篩を通過した。吸引後、篩を通過しなかった樹脂粒子(篩上に残留した樹脂粒子)の質量(吸引後の樹脂粒子の質量)を測定した。そして、吸引前の樹脂粒子の質量と、吸引後の樹脂粒子の質量とに基づいて、次の式に従ってブロッキング率(単位:質量%)を求めた。
ブロッキング率=100×吸引後の樹脂粒子の質量/吸引前の樹脂粒子の質量
【0114】
【0115】
[トナー母粒子の調製]
上記のようにして得られたポリエステル樹脂100質量部(結着樹脂)と、着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3、成分:銅フタロシアニン顔料)4質量部と、電荷制御剤(オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)P-51」、成分:4級アンモニウム塩)1質量部と、離型剤としてのワックス(日油株式会社製「ニッサンエレクトール(登録商標)WEP-3」、融点73℃のエステルワックス)5質量部とを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM-10C/I」)を用いて回転速度2400rpmで混合(乾式混合)した。
【0116】
続けて、得られた混合物を、2軸押出機(株式会社池貝製「PCM-30」)を用いて溶融混練した。その後、得られた混練物を冷却した。続けて、冷却された混練物を、機械式粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミルT250」)を用いて粉砕した。続けて、得られた粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ-LABO型」)を用いて分級した。その結果、体積中位径(D50)6.8μmのシアントナー母粒子の粉体が得られた。
【0117】
着色剤を以下に示すイエロー顔料、マゼンタ顔料又はブラック顔料に変更した以外は、シアントナー母粒子の調整と同様の方法により、マゼンタトナー母粒子、イエロートナー母粒子、及びブラックトナー母粒子を調製した。
イエロー顔料:C.I.ピグメントイエロー74(大日精化工業株式会社製「セイカファースト(登録商標)イエロー2021」)
マゼンタ顔料:C.I.ピグメントレッド269(山陽色素株式会社製「Permanent Carmine 3810」)
ブラック顔料:カーボンブラック(三菱ケミカル株式会社製「三菱(登録商標)カーボンブラック MA100」)
【0118】
[トナーセットの調製]
以下の方法により、それぞれシアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、及びブラックトナーからなるトナーセット(T-1)~(T-9)を調製した。
【0119】
(トナーセット(T-1)の調製)
上述のシアントナー母粒子100.0質量部と、樹脂粒子(P-1)0.6質量部と、疎水性シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「RA-200H」)1.0質量部とを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM-10B」)を用いて攪拌速度3500rpmで5分間混合した。その結果、シアントナー母粒子の表面に外添剤(樹脂粒子(P-1)及び疎水性シリカ粒子)が付着した。これにより、シアントナー(T-1C)を得た。
【0120】
シアントナー母粒子の代わりにマゼンタトナー母粒子、イエロートナー母粒子、及びブラックトナー母粒子をそれぞれ用いた以外は、シアントナー(T-1C)の調製と同様の方法により、マゼンタトナー(T-1M)、イエロートナー(T-1Y)及びブラックトナー(T-1K)を調製した。以下、シアントナー(T-1C)、マゼンタトナー(T-1M)、イエロートナー(T-1Y)及びブラックトナー(T-1K)をまとめてトナーセット(T-1)と記載する。
【0121】
(トナーセット(T-2)~(T-9)の調製)
樹脂粒子の種類及び使用量を下記表2に示す通りに変更した以外は、トナーセット(T-1)の調製と同様の方法により、トナーセット(T-2)~(T-9)を調製した。下記表2において、樹脂粒子の「質量部」は、トナー母粒子100質量部に対する樹脂粒子の質量部を示す。
【0122】
【0123】
[キャリアの調製]
以下の方法により、キャリア(C-1)~(C-5)を調製した。キャリア(C-1)~(C-5)は、キャリアコアと、シリコーン樹脂を含有するコート層とを備えていた。なお、キャリアコアとしては、パウダーテック株式会社製「EF-35B」を用いた。このキャリアコアは、マンガン、マグネシウム、ストロンチウム及び鉄を含む球状のフェライトコア(個数平均粒子径35μm、飽和磁化68Am2/kg)であった。
【0124】
(キャリア(C-1)の調製)
トルエンと加熱硬化型シリコーン樹脂(信越化学工業株式会社製「KR-220L」、硬化開始温度:170℃)とを混合し、コート液(固形分濃度10質量%)を調製した。
【0125】
流動層コーティング装置(株式会社パウレック製「FD-MP-01 D型」)を用いて、キャリアコア100質量部を流動させながら、キャリアコアにコート液20質量部を噴霧した。このようにして、コート液でコーティングされたキャリアコアを得た。コーティングの条件は、給気温度80℃、給気風量0.3m3/分、ローター回転数400rpmとした。次に、流動層コーティング装置の流動層内の温度を下記表3に示すコーティング温度T(キャリア(C-1)においては330℃)まで昇温させた。そして、コート液でコーティングされたキャリアコアをコーティング温度Tで1時間加熱処理した。これにより、キャリア(C-1)を得た。キャリア(C-1)において、キャリア100質量部に対するコート層の含有量は2質量部であった。
【0126】
(キャリア(C-2)~(C-5)の調製)
下記表3に示す通りにコーティング温度Tを変更した以外は、キャリア(C-1)の調製と同様の方法により、キャリア(C-2)~(C-5)を調製した。下記表3には、キャリア(C-1)~(C-5)の静止摩擦係数を併せて示す。
【0127】
【0128】
<二成分現像剤セットの調製>
ロッキングミキサー(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製「ターブラー(登録商標)ミキサーT2F」)を用い、下記表4に示す組み合わせの通り、6質量部のトナー(詳しくは、トナーセット(T-1)~(T~9)が含むトナー(T-1C)~(T~9K)の何れか)と、100質量部のキャリア(詳しくは、キャリア(C-1)~(C-5)の何れか)とを30分間混合した。これにより、実施例1~7及び比較例1~6の二成分現像剤セットを得た。各二成分現像剤セットは、シアン現像剤、マゼンタ現像剤、イエロー現像剤及びブラック現像剤を含んでいた。
【0129】
【0130】
<評価>
以下の方法により、実施例1~7及び比較例1~6の二成分現像剤セットについて、常温常湿環境下又は高温高湿環境下において、形成される画像の画像濃度及びかぶりの評価を行った。評価結果を下記表5に示す。
【0131】
[評価機]
有機感光体を搭載するカラープリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「ECOSYS(登録商標)P6230cdn」)を改造し、二成分現像方式にすると共に、システム線速を270mm/秒に変更した。これを、評価機として用いた。評価機のシアン用現像装置、マゼンタ用現像装置、イエロー用現像装置、又はブラック用現像装置に、評価対象となる二成分現像剤セットに含まれる二成分現像剤(詳しくは、実施例1~7及び比較例1~6の二成分現像剤セットに含まれるシアン現像剤、マゼンタ現像剤、イエロー現像剤及びブラック現像剤の何れか)を投入した。また、評価機のシアン用トナーコンテナ、マゼンタ用トナーコンテナ、イエロー用トナーコンテナ、又はブラック用トナーコンテナに、トナー(詳しくは、評価対象の二成分現像剤セットに含まれる二成分現像剤に含まれるトナーと同一のトナー)を投入した。
【0132】
[記録媒体]
記録媒体として、富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社製「ゼロックスペーパーC2」を用いた。
【0133】
[常温常湿環境]
常温常湿環境(23℃、50%RH)において、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色により構成されるパターン画像(印字率5%)を200,000枚の記録媒体に対して連続で形成した。次に、シアンソリッド画像、マゼンタソリッド画像、イエローソリッド画像、ブラックソリッド画像及び白紙部(非印刷部)を含む評価用画像(NN)を1枚の記録媒体に形成した。
【0134】
(画像濃度)
蛍光分光濃度計(コニカミノルタジャパン株式会社製「FD-7」)を用いて、評価用画像(NN)に含まれるシアンソリッド画像の画像濃度(IDC)、マゼンタソリッド画像の画像濃度(IDM)、イエローソリッド画像の画像濃度(IDY)、及びブラックソリッド画像の画像濃度(IDK)をそれぞれ測定した。IDC、IDM、IDY、及びIDKのうち最小値を、画像濃度の評価値(ID)とした。画像濃度は、以下の基準で判定した。
【0135】
(画像濃度の基準)
A(極めて良好):IDが1.250以上である。
B(良好):IDが1.000以上1.250未満である。
C(不良):IDが1.000未満である。
【0136】
(かぶり)
上述の反射濃度計を用いて、評価用画像(NN)に含まれる白紙部の画像濃度(IDA)(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色合計のかぶり)と、未使用の記録媒体の画像濃度(IDB)(バックグラウンド値)とを測定した。式「FD=IDA-IDB」により求められる値を、かぶりの評価値(FD)とした。かぶりは、以下の基準で判定した。
【0137】
(かぶりの基準)
A(極めて良好):FDが0.003以下である。
B(良好):FDが0.003超0.010以下である。
C(不良):FDが0.010超である。
【0138】
[高温高湿環境]
高温高湿環境(32.5℃、80%RH)において、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色により構成されるパターン画像(印字率1%)を100,000枚の記録媒体に対して連続で形成した。次に、シアンソリッド画像、マゼンタソリッド画像、イエローソリッド画像、ブラックソリッド画像及び白紙部(非印刷部)を含む評価用画像(HH)を1枚の記録媒体に形成した。評価用画像(NN)の代わりに評価用画像(HH)を用いた以外は、常温常湿環境における評価と同様の方法により、高温高湿環境における評価対象の画像濃度及びかぶりを評価した。
【0139】
【0140】
表1~5に示すように、実施例1~7の二成分現像剤セットに含まれる各二成分現像剤は、キャリア粒子を含むキャリアと、トナー粒子を含むトナーとを備えていた。キャリア粒子は、キャリアコアと、前記キャリアコアの表面を被覆するコート層とを含んでいた。コート層は、シリコーン樹脂を含有していた。キャリア粒子の表面の静止摩擦係数は、0.10以上0.22以下であった。トナー粒子は、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着する外添剤とを含んでいた。外添剤は、樹脂粒子を含んでいた。樹脂粒子の個数平均一次粒子径は、35nm以上160nm以下であった。温度160℃かつ圧力0.1kgf/mm2での5分間加圧後に目開き75μmのメッシュにより測定される樹脂粒子のブロッキング率は、17質量%以上42質量%以下であった。実施例1~7の二成分現像剤セットに含まれる各二成分現像剤は、環境に拠らず、所望の画像濃度を有する画像を形成できると共に、かぶりの発生を抑制できた。
【0141】
一方、比較例1の二成分現像剤セットは、樹脂粒子のブロッキング率が過度に高かった。ブロッキング率が過度に高い樹脂粒子は、柔らかすぎるためスペーサー効果を十分に発揮できないと判断される。その結果、比較例1の二成分現像剤セットは、高温高湿環境において、所望の画像濃度を有する画像を形成することができなかった。
【0142】
比較例2の二成分現像剤セットは、樹脂粒子のブロッキング率が過度に低かった。ブロッキング率が過度に低い樹脂粒子は、硬すぎるため、感光体(特に、有機感光体)を研磨し易いと判断される。その結果、比較例2の二成分現像剤セットは、常温常湿環境において、かぶりの発生を抑制することができなかった。
【0143】
比較例3の二成分現像剤セットは、樹脂粒子の個数平均一次粒子径が過度に小さかった。個数平均一次粒子径が過度に小さい樹脂粒子は、スペーサー効果を十分に発揮できないと判断される。その結果、比較例3の二成分現像剤セットは、高温高湿環境において、所望の画像濃度を有する画像を形成することができなかった。
【0144】
比較例4の二成分現像剤セットは、樹脂粒子の個数平均一次粒子径が過度に大きかった。個数平均一次粒子径が過度に大きい樹脂粒子は、画像形成に伴ってトナー母粒子から脱離すると判断される。その結果、比較例4の二成分現像剤セットは、高温高湿環境において、所望の画像濃度を有する画像を形成できなかった。また、比較例4の二成分現像剤セットは、常温常湿環境において、かぶりの発生を抑制することができなかった。
【0145】
比較例5の二成分現像剤セットは、キャリア粒子の表面の静止摩擦係数が過度に小さかった。表面の静止摩擦係数が過度に小さいキャリア粒子は、トナー粒子を十分に摩擦帯電させることができないと判断される。その結果、比較例5の二成分現像剤セットは、高温高湿環境において、かぶりの発生を抑制することができなかった。
【0146】
比較例6の二成分現像剤セットは、キャリア粒子の表面の静止摩擦係数が過度に大きかった。表面の静止摩擦係数が過度に大きいキャリア粒子は、感光体(特に、有機感光体)を研磨し易いと判断される。その結果、比較例6の二成分現像剤セットは、常温常湿環境において、かぶりの発生を抑制することができなかった。