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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167691
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】復水器、及びその運転方法
(51)【国際特許分類】
   F28G 15/02 20060101AFI20241127BHJP
   F28B 1/02 20060101ALI20241127BHJP
   F28G 9/00 20060101ALI20241127BHJP
   F28F 9/013 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
F28G15/02
F28B1/02
F28G9/00 Z
F28F9/013 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083938
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】田頭 正則
(57)【要約】
【課題】蒸気と複数の伝熱管との間の伝熱効率を低下させずに、フラッシング時における複数の伝熱管への異物の衝突を抑える。
【解決手段】複数の伝熱管と、複数の管支持板と、複数の保護板と、複数の取付具と、これらを覆う胴と、を備える。前記複数の管支持板は、前記複数の伝熱管が延びる管延在方向に並ぶ。前記複数の管支持板は、いずれも、前記複数の伝熱管のそれぞれが挿通されて、前記複数の伝熱管のそれぞれを支持する管支持孔を有する。前記複数の保護板は、いずれも、前記複数の伝熱管で構成される伝熱管群の表面に対向した状態で、前記複数の管支持板のうちの二つの管支持板に、前記複数の取付具により、取外可能に取り付けられている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却媒体が流通可能な複数の伝熱管と、
複数の管支持板と、
複数の保護板と、
複数の取付具と、
蒸気タービンから排気された蒸気が流入可能で、前記複数の伝熱管、前記複数の管支持板、及び前記複数の保護板を覆う胴と、
を備え、
前記胴は、蒸気タービンから排気された蒸気が流入可能な排気蒸気口を有し、
前記複数の管支持板は、前記複数の伝熱管が延びる管延在方向に並び、
前記複数の管支持板は、いずれも、前記複数の伝熱管のそれぞれが挿通されて、前記複数の伝熱管のそれぞれを支持する管支持孔を有し、
前記複数の保護板は、いずれも、前記複数の伝熱管で構成される伝熱管群の表面に対向した状態で、前記複数の管支持板のうちの少なくとも一の管支持板に、前記複数の取付具のうちの少なくとも一の取付具により、取外可能に取り付けられている、
復水器。
【請求項2】
請求項1に記載の復水器において、
前記複数の取付具は、いずれも、取付ボルト及び取付ナットを有する、
復水器。
【請求項3】
請求項1に記載の復水器において、
前記複数の保護板は、いずれも、前記少なくとも一の管支持板に取り付けられている際に前記伝熱管群の表面に対向している板本体と、前記板本体の縁に接続されているフランジ部と、を有し、
前記フランジ部が前記取付具により前記少なくとも一の管支持板に取り付けられている、
復水器。
【請求項4】
請求項1に記載の復水器において、
前記複数の保護板は、いずれも、前記伝熱管群の表面であって、前記排気蒸気口と対向する蒸気口対向面を除く側面に対向した状態で、前記複数の管支持板のうちの少なくとも一の管支持板に、前記複数の取付具のうちの少なくとも一の取付具により、取外可能に取り付けられている、
復水器。
【請求項5】
請求項4に記載の復水器において、
前記冷却媒体が流通不能な複数のダミー管を備え、
前記複数のダミー管は、前記伝熱管群の前記蒸気口対向面と前記排気蒸気口との間に、前記蒸気口対向面に沿うように並んで配置されている、
復水器。
【請求項6】
請求項1に記載の復水器において、
複数の接続具を備え、
前記複数の接続具は、いずれも、前記複数の保護板のうち、二つの保護板の縁が互いに対向している状態で、前記二つの保護板を接続可能である、
復水器。
【請求項7】
請求項1に記載の復水器において、
前記胴は、前記複数の伝熱管、前記複数の管支持板、及び前記複数の保護板を覆う胴本体と、マンホールと、を有し、
前記マンホールは、前記胴本体内を外部から臨める円形開口が形成されているマンホール胴と、前記円形開口を塞ぐことが可能なマンホール蓋と、を有し、
前記複数の保護板のそれぞれは、前記マンホールの前記円形開口を介して、前記胴本体内に出し入れ可能なサイズである、
復水器。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の復水器の運転方法において、
前記蒸気タービンに接続されている主蒸気ライン、及び前記胴に接続されているバイパスラインに流体を流して、前記主蒸気ライン、及び前記バイパスライン内を洗浄するフラッシング工程と、
前記フラッシング工程終了後に、前記複数の保護板の全てを、前記複数の管支持板のうちのいずれかから取外して、前記胴の外に搬出する保護板搬出工程と、
前記保護板搬出工程後に、前記主蒸気ラインから前記蒸気タービンに蒸気を供給すると共に、前記複数の伝熱管内に前記冷却媒体を流す運転工程と、
を実行する復水器の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気タービンからの蒸気を凝縮可能な復水器、及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
復水器は、一般的に、複数の伝熱管と、複数の伝熱管を支える管支持板14と、これらを覆う胴と、を備える。胴は、蒸気タービンから排気された蒸気が流入可能な排気蒸気口が形成されている。また、この胴には、蒸気タービンに蒸気を導く主蒸気ラインから分岐しているバイパスラインが接続されている。
【0003】
特許文献1に記載の復水器は、さらに、複数の伝熱管よる蒸気の過冷却を抑制するために、複数の伝熱管で構成される伝熱管群を覆う包囲板を備える。この包囲板は、伝熱管群の表面中で、排気蒸気口と対向する蒸気口対向面及びこの蒸気口対向面に隣接する側面に沿って設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-105982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多くの場合、蒸気タービン及び復水器を設置した後、主蒸気ライン及びバイパスライン内をフラッシングする。つまり、主蒸気ライン及びバイパスライン内に蒸気を流して、主蒸気ライン及びバイパスライン内を洗浄する。復水器の胴内には、バイパスラインから蒸気と共に異物が流入する。特許文献1に記載の復水器では、伝熱管群を覆う包囲板により、胴内流入した異物により、伝熱管が損傷したり、異物が伝熱管に付着することを抑制できる。
【0006】
特許文献1に記載の復水器は、前述したように、伝熱管群を覆う包囲板を設けることで、蒸気と複数の伝熱管との間の伝熱効率を低くすることで、複数の伝熱管よる蒸気の過冷却を抑制できる。しかしながら、一般的な復水器では、伝熱管の本数をできる限り減らして、復水器をコンパクトにするために、蒸気と複数の伝熱管との間の伝熱効率を低下させるようなことはしない。
【0007】
そこで、本開示は、蒸気と複数の伝熱管との間の伝熱効率を低下させずに、フラッシング時における複数の伝熱管への異物の衝突を抑えることができる復水器、及びその運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための発明に係る一態様としての復水器は、
冷却媒体が流通可能な複数の伝熱管と、複数の管支持板と、複数の保護板と、複数の取付具と、蒸気タービンから排気された蒸気が流入可能で、前記複数の伝熱管、前記複数の管支持板、及び前記複数の保護板を覆う胴と、を備える。前記胴は、蒸気タービンから排気された蒸気が流入可能な排気蒸気口を有する。前記複数の管支持板は、前記複数の伝熱管が延びる管延在方向に並ぶ。前記複数の管支持板は、いずれも、前記複数の伝熱管のそれぞれが挿通されて、前記複数の伝熱管のそれぞれを支持する管支持孔を有する。前記複数の保護板は、いずれも、前記複数の伝熱管で構成される伝熱管群の表面に対向した状態で、前記複数の管支持板のうちの少なくとも一の管支持板に、前記複数の取付具のうちの少なくとも一の取付具により、取外可能に取り付けられている。
【0009】
主蒸気ライン及びバイパスラインのフラッシング時には、主蒸気ライン及びバイパスライン内に蒸気を流して、主蒸気ライン及びバイパスライン内を洗浄する。復水器の胴内には、バイパスラインから蒸気と共に異物が流入する。本態様では、伝熱管群の周りに複数の保護板が配置されているので、胴内に蒸気と共に流入した異物により、伝熱管が損傷したり、異物が伝熱管に付着することを抑制できる。
【0010】
本態様では、フラッシング後であって、蒸気タービンを駆動させる前に、複数の保護板を各管支持板から外すことで、複数の保護板の存在による蒸気と複数の伝熱管との間の伝熱効率の低下を避けることができる。
【0011】
上記目的を達成するための発明に係る一態様としての復水器の運転方法は、前記一態様における復水器の運転方法である。
この運転方法では、前記蒸気タービンに接続されている主蒸気ライン、及び前記胴に接続されているバイパスラインに流体を流して、前記主蒸気ライン、及び前記バイパスライン内を洗浄するフラッシング工程と、前記フラッシング工程終了後に、前記複数の保護板の全てを、前記複数の管支持板のうちのいずれかから取外して、前記胴の外に搬出する保護板搬出工程と、前記保護板搬出工程後に、前記主蒸気ラインから前記蒸気タービンに蒸気を供給すると共に、前記複数の伝熱管内に前記冷却媒体を流す運転工程と、を実行する。
【0012】
本態様の運転方法を実行することで、第一態様における復水器と同様、フラッシング時における伝熱管の損傷や伝熱管への異物の付着を抑制できると共に、蒸気と複数の伝熱管との間の伝熱効率の低下を避けることができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示の一態様によれば、蒸気と複数の伝熱管との間の伝熱効率を低下させずに、フラッシング時における複数の伝熱管への異物の衝突を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示に係る一実施形態におけるプラントの系統図である。
図2】本開示に係る一実施形態における、水平方向に広がる面での復水器の断面図である。
図3図2におけるIII―III線断面図である。
図4図2におけるIV―IV線断面図である。
図5】本開示に係る一実施形態における保護板、取付具、及び接続具の斜視図である。
図6】本開示に係る一実施形態における三つの保護板が複数の接続具により互いに接続された状態を示す図である。
図7】本開示に係る一実施形態における保護板のサイズとマンホールの円形開口のサイズとの関係を示す説明図である。
図8】本開示に係る一実施形態における伝熱管群、複数の管支持板、複数の保護板の斜視図である。
図9】本開示に係る一実施形態における復水器の運転方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示に係る復水器の一実施形態、及び復水器の変形例について、図面を参照して説明する。
【0016】
「復水器の実施形態」
本実施形態における復水器は、図1に示すように、蒸気タービンを備えるプラントにも設けられている。
【0017】
このプラントは、蒸気タービン2の他、ボイラ1と、主蒸気ライン3と、主蒸気弁4と、バイパスライン5と、バイパス弁6と、給水ライン7と、給水ポンプ8と、復水器10と、を備える。
【0018】
主蒸気ライン3は、ボイラ1で発生した蒸気を蒸気タービン2に導けるよう、ボイラ1と蒸気タービン2とを接続する。主蒸気弁4は、この主蒸気ライン3中に設けられている。バイパスライン5は、主蒸気ライン3から分岐しているラインである。このバイパスライン5は、主蒸気ライン3を流れる蒸気を復水器10に導けるよう、主蒸気ライン3中で主蒸気弁4よりもボイラ1の側の位置と復水器10とを接続する。バイパス弁6は、このバイパスライン5に設けられている。
【0019】
蒸気タービン2は、ボイラ1からの蒸気で駆動する。復水器10は、蒸気タービン2から排気された蒸気を水に戻す。給水ライン7は、復水器10内の水をボイラ1に導けるよう、復水器10とボイラ1とを接続する。給水ポンプ8は、この給水ライン7に設けられている。
【0020】
ボイラ1が蒸気を発生し始めてから、この蒸気の温度及び圧力が蒸気タービン2への蒸気供給条件を満たすまで、ボイラ1からの蒸気は、主蒸気ライン3及びバイパスライン5を介して、復水器10に送られる。
【0021】
復水器10の構成について、図2図4を参照して説明する。なお、図2は、水平方向に広がる面での復水器10の断面図である。図3は、図2におけるIII―III線断面図である。図4は、図2におけるIV―IV線断面図である。
【0022】
復水器10は、冷却媒体が流通可能な複数の伝熱管12と、冷却媒体が流通不能な複数のダミー管13と、複数の管支持板14と、胴内バイパス管15と、複数の保護板30と、複数の取付具35と、これらを覆う胴20と、を有する。
【0023】
胴20は、胴本体21と、入口水室枠22iと、出口水室枠22oと、マンホール24と、を有する。胴本体21は、矩形状の底板21bと、底板21bの四辺のそれぞれから鉛直上方に延びている側板21sと、を有する。この胴本体21は、内側に直方体形状の凝縮空間Scを形成する。この胴本体21には、内部から上方に向かって開口する排気蒸気口21oが形成されている。蒸気タービン2からの蒸気は、この排気蒸気口21oを経て、凝縮空間Sc内に流入可能である。胴本体21の四つの側板21sのうち一つの側板21sには、入口水室枠22iが設けられている。また、入口水室枠22iが設けられている側板21sに対向している側板21sには、出口水室枠22oが設けられている。入口水室枠22iは、凝縮空間Scを基準にして、出口水室枠22oとは反対側に、冷却媒体としての水が流入可能な入口水室Siを形成する。この入口水室Siと凝縮空間Scとの間は、入口管板23iにより仕切られている。また、出口水室枠22oは、凝縮空間Scを基準にして、入口水室枠22iとは反対側に、冷却媒体としての水が流出可能な出口水室Soを形成する。この出口水室Soと凝縮空間Scとの間は、出口管板23oにより仕切られている。
【0024】
マンホール24は、胴本体21の側板21sに設けられている。このマンホール24は、胴本体21内の凝縮空間Scを外部から臨める円形開口24oが形成されているマンホール胴24bと、円形開口24oを塞ぐことが可能なマンホール蓋24cと、を有する。
【0025】
複数の伝熱管12は、いずれも、入口端12i及び出口端12oを有する。各伝熱管12は、入口管板23iから出口管板23oに向かって延びている。以下、複数の伝熱管12が延びている方向を管延在方向Dpとする。各伝熱管12は、入口端12iが入口管板23iに支持され、出口端12oが出口管板23oに支持されている。各伝熱管12は、入口水室Si及び出口水室Soと連通している。よって、各伝熱管12は、入口水室Si内から冷却媒体としての水が流入可能で、この水を出口水室Soに流出可能である。
【0026】
複数の管支持板14は、入口管板23iと出口管板23oとの間に、管延在方向Dpに並んでいる。各管支持板14は、図8に示すように、複数の管支持孔14hs及び複数の取付孔14hを有する。複数の管支持孔14hsは、複数の伝熱管12のそれぞれが挿通されて、複数の伝熱管12のそれぞれを支持する孔である。複数の取付孔14hは、管支持板14中で、複数の管支持孔14hsで構成される管支持孔14hs群の外側の位置に形成されている。
【0027】
胴内バイパス管15は、図2図4に示すように、複数の伝熱管12で構成されている伝熱管群11と排気蒸気口21oとの間に、管延在方向Dpに延びるよう、配置されている。この胴内バイパス管15の一端は、胴本体21の側面に固定されている。この胴内バイパス管15は、バイパスライン5と連通しており、バイパスライン5からの蒸気が流入可能である。胴内バイパス管15には、内部から伝熱管群11に向かって蒸気を噴出可能な複数の蒸気噴出孔15h(図3参照)が形成されている。
【0028】
複数のダミー管13は、胴内バイパス管15と伝熱管群11との間に、管延在方向Dpに延びるよう、配置されている。複数のダミー管13は、伝熱管群11の表面のうち、排気蒸気口21oと対応する蒸気口対向面に沿うよう並んで配置されている。複数のダミー管13は、いずれも、入口管板23i、出口管板23o、複数の管支持板14に支持されている。複数のダミー管13は、いずれも、入口水室Si及び出口水室Soに連通していない。よって、各ダミー管13は、冷却媒体としての水が流入不能である。
【0029】
複数の保護板30は、いずれも、複数の管支持板14のうち、互いに隣り合っている二つの管支持板14の間に、伝熱管群11の表面のうちで蒸気口対向面11o(図4参照)を除く側面11s(図4参照)に対向するよう、配置可能である。複数の取付具35は、各保護板30を複数の管支持板14のうちのいずれかに、取外可能に取り付けることができる。
【0030】
図5及び図6に示すように、複数の保護板30のうち、一部の保護板30は調整用保護板30aを成し、残りの保護板30は標準サイズ保護板30bを成す。調整用保護板30a及び標準サイズ保護板30bは、いずれも、矩形板状の板本体31と、板本体31の縁に接続されている一対のフランジ部32と、を有する。調整用保護板30aにおける矩形板状の板本体31の長辺寸法は、標準サイズ保護板30bにおける矩形板状の板本体31の長辺寸法と同じである。一方、調整用保護板30aにおける矩形板状の板本体31の短辺寸法は、標準サイズ保護板30bにおける矩形板状の板本体31の短辺寸法より短い。各保護板30における一対のフランジ部32のうち、一方のフランジ部32は、矩形板状の板本体31における一対の短辺のうちの一方の短辺に接続されている。一対のフランジ部32のうち、他方のフランジ部32は、矩形板状の板本体31における一対の短辺のうちの他方の短辺に接続されている。一対のフランジ部32は、互いに対向している。
【0031】
一対のフランジ部32には、複数の取付孔32hが形成されている。また、矩形板状の板本体31には、その長辺に沿って、複数の接続孔31hが形成されている。
【0032】
複数の取付具35は、いずれも、管支持板14の取付孔14h及び保護板30の取付孔32hに挿通可能な取付ボルト35bと、この取付ボルト35bに捩込可能な取付ナット35nと、を有する。本実施形態における復水器10は、さらに、複数の接続具37を有する。複数の接続具37は、接続板37pと、接続ボルト37bと、この接続ボルト37bに捩込可能な接続ナット37nと、を有する。接続板37pには、複数の接続孔37hが形成されている。接続ボルト37bは、接続板37pの接続孔37h及び保護板30の接続孔31hに挿通可能である。
【0033】
図7に示すように、複数の保護板30は、いずれも、マンホール24の円形開口24oを介して、胴本体21内に出し入れ可能なサイズである。具体的に、標準サイズ保護板30bにおける矩形状の板本体31の短辺寸法Lsは、円形開口24oの直径寸法Dより短い。このため、標準サイズ保護板30bにおける矩形状の板本体31の短辺をマンホール24の円形開口24oに対向させることで、この標準サイズ保護板30bを、マンホール24の円形開口24oを介して、胴本体21内に出し入れ可能である。また、前述したように、調整用保護板30aにおける矩形板状の板本体31の短辺寸法が標準サイズ保護板30bにおける矩形板状の板本体31の短辺寸法より短いため、この調整用保護板30aも、マンホール24の円形開口24oを介して、胴本体21内に出し入れ可能である。
【0034】
複数の保護板30は、胴20内に、複数の伝熱管12、複数のダミー管13、複数の管支持板14、及び胴内バイパス管15が配置された後に、配置される。具体的に、作業者は、まず、複数の保護板30を一つずつマンホール24の円形開口24oから胴本体21内に入れる。次に、作業者は、胴本体21内で、図5図6、及び図8に示すように、複数の接続具37を用いて、三つの保護板30を互いに接続する。この際、隣り合う二つ保護板30の縁である板本体31の長辺相互を互いに対向させる。次に、接続具37の接続板37pが隣り合う二つの保護板30の板本体31に跨るように、接続板37pを配置する。次に、接続板37pの複数の接続孔37h及び保護板30の複数の接続孔31hに接続ボルト37bを挿通させた後、この接続ボルト37bに接続ナット37nを捩じ込む。以上で、三つの保護板30が接続具37により相互に接続される。
【0035】
次に、図2図4、及び図8に示すように、作業者は、接続具37により相互に接続された三つの保護板30をその取付位置まで持って行く。ここで、取付位置とは、複数の管支持板14のうち、互いに隣り合っている二つの管支持板14の間であって、三つの保護板30が伝熱管群11の側面11sに対向する位置である。本実施形態では、複数の保護板30を接続具37で接続することで、胴20内での複数の保護板30の搬送性を高めることができる。
【0036】
次に、作業者は、複数の取付具35を用いて、三つの保護板30のそれぞれを二つの管支持板14に取り付ける。具体的に、各保護板30の取付孔32h及び各管支持板14の取付孔14hに、取付具35の取付ボルト35bを挿通させた後、この取付ボルト35bに取付具35の取付ボルト35bを捩じ込む。なお、本実施形態では、一つの保護板30の一対のフランジ部32のうちの一方のフランジ部32を二つの管支持板14のうちの一方の管支持板14に、二つの取付具35で取り付け、一対のフランジ部32のうちの他方のフランジ部32を二つの管支持板14のうちの他方の管支持板14に、二つの取付具35で取り付ける。
【0037】
次に、以上で説明した復水器10の運転方法について、図9に示すフローチャートに従って説明する。
【0038】
まず、主蒸気ライン3及びバイパスライン5に蒸気を流して、主蒸気ライン3及びバイパスライン5内を洗浄する(フラッシング工程S1)。主蒸気ライン3及びバイパスライン5を流れた蒸気は、主蒸気ライン3及びバイパスライン5内に存在していた異物と共に、復水器10の胴20内に流入する。この際、異物の多くは、複数のダミー管13や複数の保護板30に衝突する。このため、フラッシング時に、異物の衝突による伝熱管12の損傷や伝熱管12への異物の付着を抑制でき、複数の伝熱管12を保護することができる。胴20内に流入した蒸気は、その後、凝縮して異物と共に胴20外に排出される。
【0039】
フラッシング工程S1の終了後、作業者は、複数の保護板30の全てを各管支持板14から取外して、複数の保護板30を胴20の外に搬出する(保護板搬出工程S2)。保護板30を管支持板14から取り外す際には、取付ボルト35bに捩じ込まれている取付ナット35nを緩めて、この取付ナット35nを取付ボルト35bから外す。次に、保護板30の取付孔32h及び各管支持板14の取付孔14hから、取付ボルト35bを引き抜く。以上で、管支持板14から保護板30が外れる。前述したように、三つの保護板30は、複数の接続具37により互いに接続されている。このため、胴20内で、三つの保護板30から複数の接続具37を外して、三つの保護板30の相互接続を解除する。そして、一つの保護板30毎に、マンホール24の円形開口24oから、胴20の外に搬出する。
【0040】
保護板搬出工程S2の後、ボイラ1で発生した蒸気を主蒸気ライン3から蒸気タービン2に蒸気を供給して蒸気タービン2を駆動させると共に、複数の伝熱管12内に冷却媒体である水を流して蒸気タービン2からの蒸気を復水器10の胴20内で凝縮させる(運転工程S3)。
【0041】
本実施形態では、蒸気タービン2を駆動させる際、伝熱管群11の周りに複数の保護板30が存在しない。このため、本実施形態では、複数の保護板30の存在による蒸気と複数の伝熱管12との間の伝熱効率の低下を避けることができる。
【0042】
本実施態様では、マンホール24を介して、胴20内に対して保護板30を出し入れすることができる。このため、本実施形態では、復水器10を分解又は解放せずに、復水器10に対して保護板30を出し入れでき、復水器10の点検期間や工事期間を短縮することができる。
【0043】
「その他の変形例」
以上の実施形態では、一つの保護板30の一対のフランジ部32のうちの一方のフランジ部32を二つの管支持板14のうちの一方の管支持板14に、二つの取付具35で取り付け、一対のフランジ部32のうちの他方のフランジ部32を二つの管支持板14のうちの他方の管支持板14に、二つの取付具35で取り付ける。しかしながら、一対のフランジ部32のうちの一方のフランジ部32を二つの管支持板14のうちの一方の管支持板14に、一つ又は三つ以上の取付具35で取り付け、一対のフランジ部32のうちの他方のフランジ部32を二つの管支持板14のうちの他方の管支持板14に、一つ又は三つ以上の取付具35で取り付けてもよい。さらに、一対のフランジ部32のうちの一方のフランジ部32のみを二つの管支持板14のうちの一方の管支持板14に、一つの取付具35で取り付けてもよい。
【0044】
以上の実施形態における取付具35は、取付ボルト35bと取付ナット35nとを有する。しかしながら、取付具35は、クランプであってもよい。この場合、保護板30のフランジ部32と一つの管支持板14とをクランプで挟み込むことで、保護板30を一つの管支持板14に取り付ける。
【0045】
以上の実施形態では、胴20の排気蒸気口21oと伝熱管群11の蒸気口対向面11oとの間に、複数のダミー管13を配置している。しかしながら、複数のダミー管13の替りに、複数の保護板を配置してもよい。これら複数の保護板も、以上の実施形態における保護板30と同様、取付具35により、管支持板14に取外可能に取り付けられる。
【0046】
以上の実施形態における蒸気タービン2は下方排気型であるため、以上の実施形態における復水器10の胴20は、内部から上方に開口する排気蒸気口21oを有する。しかしながら、蒸気タービンは側方排気型で、復水器の胴は内部から側方に開口する排気蒸気口を有してもよい。この場合も、以上の実施形態と同様、伝熱管群11の表面のうち、蒸気口対向面11oを除く側面11sに、複数の保護板30が対向するよう配置される。なお、この場合も、蒸気口対向面11oに沿って複数の保護板を配置してもよい。
【0047】
また、本開示は、以上で説明した各実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲において、種々の追加、変更、置き換え、部分的削除等が可能である。
【0048】
「付記」
以上の実施形態及び変形例における復水器10は、例えば、以下のように把握される。
(1)第一態様における復水器は、
冷却媒体が流通可能な複数の伝熱管12と、複数の管支持板14と、複数の保護板30と、複数の取付具35と、蒸気タービン2から排気された蒸気が流入可能で、前記複数の伝熱管12、前記複数の管支持板14、及び前記複数の保護板30を覆う胴20と、を備える。前記胴20は、蒸気タービン2から排気された蒸気が流入可能な排気蒸気口21oを有する。前記複数の管支持板14は、前記複数の伝熱管12が延びる管延在方向Dpに並ぶ。前記複数の管支持板14は、いずれも、前記複数の伝熱管12のそれぞれが挿通されて、前記複数の伝熱管12のそれぞれを支持する管支持孔14hsを有する。前記複数の保護板30は、いずれも、前記複数の伝熱管12で構成される伝熱管群11の表面に対向した状態で、前記複数の管支持板14のうちの少なくとも一の管支持板14に、前記複数の取付具35のうちの少なくとも一の取付具35により、取外可能に取り付けられている。
【0049】
主蒸気ライン3及びバイパスライン5のフラッシング時には、主蒸気ライン3及びバイパスライン5内に蒸気を流して、主蒸気ライン3及びバイパスライン5内を洗浄する。復水器10の胴20内には、バイパスライン5から蒸気と共に異物が流入する。本態様では、伝熱管群11の周りに複数の保護板30が配置されているので、胴20内に蒸気と共に流入した異物により、伝熱管12が損傷したり、異物が伝熱管12に付着することを抑制できる。
【0050】
本態様では、フラッシング後であって、蒸気タービン2を駆動させる前に、複数の保護板30を各管支持板14から外すことで、複数の保護板30の存在による蒸気と複数の伝熱管12との間の伝熱効率の低下を避けることができる。
【0051】
(2)第二態様における復水器は、
前記第一態様における復水器において、前記複数の取付具35は、いずれも、取付ボルト35b及び取付ナット35nを有する。
【0052】
本態様では、管支持板14に対して、保護板30を容易に取り付け及び取り外しできる。
【0053】
(3)第三態様における復水器は、
前記第一態様又は前記第二態様においける復水器において、前記複数の保護板30は、いずれも、前記少なくとも一の管支持板14に取り付けられている際に前記伝熱管群11の表面に対向している板本体31と、前記板本体31の縁に接続されているフランジ部32と、を有する。前記フランジ部32が前記取付具35により前記少なくとも一の管支持板14に取り付けられている。
【0054】
(4)第四態様における復水器は、
前記第一態様から前記第三態様のうちのいずれか一態様における復水器において、前記複数の保護板30は、いずれも、前記伝熱管群11の表面であって、前記排気蒸気口21oと対向する蒸気口対向面11oを除く側面11sに対向した状態で、前記複数の管支持板14のうちの少なくとも一の管支持板14に、前記複数の取付具35のうちの少なくとも一の取付具35により、取外可能に取り付けられている。
【0055】
本態様では、胴20内に蒸気と共に流入した異物により、伝熱管群11の側面11sを形成する複数の伝熱管12が損傷したり、これら伝熱管12に異物が付着することを抑制できる。
【0056】
(5)第五態様における復水器は、
前記第四態様における復水器において、前記冷却媒体が流通不能な複数のダミー管13を備える。前記複数のダミー管13は、前記伝熱管群11の前記蒸気口対向面11oと前記排気蒸気口21oとの間に、前記蒸気口対向面11oに沿うように並んで配置されている。
【0057】
本態様では、胴20内に蒸気と共に流入した異物により、伝熱管群11の蒸気口対向面11oを形成する複数の伝熱管12が損傷したり、これら伝熱管12に異物が付着することを抑制できる。
【0058】
(6)第六態様における復水器は、
前記第一態様から前記第五態様のうちのいずれか一態様における復水器において、複数の接続具37を備える。前記複数の接続具37は、いずれも、前記複数の保護板30のうち、二つの保護板30の縁が互いに対向している状態で、前記二つの保護板30を接続可能である。
【0059】
本態様では、複数の保護板30を接続具37で接続することで、胴20内での複数の保護板30の搬送性を高めることができる。
【0060】
(7)第七態様における復水器は、
前記第一態様から前記第六態様のうちのいずれか一態様における復水器において、前記胴20は、前記複数の伝熱管12、前記複数の管支持板14、及び前記複数の保護板30を覆う胴本体21と、マンホール24と、を有する。前記マンホール24は、前記胴本体21内を外部から臨める円形開口24oが形成されているマンホール胴24bと、前記円形開口24oを塞ぐことが可能なマンホール蓋24cと、を有する。前記複数の保護板30のそれぞれは、前記マンホール24の前記円形開口24oを介して、前記胴本体21内に出し入れ可能なサイズである。
【0061】
本態様では、マンホール24を介して、胴20内に対して保護板30を出し入れすることができる。このため、本態様では、復水器を分解又は解放せずに、復水器に対して保護板30を出し入れでき、復水器の点検期間や工事期間を短縮することができる。
【0062】
以上の実施形態及び変形例における復水器の運転方法は、例えば、以下のように把握される。
(8)第八態様における復水器の運転方法は、前記第一態様から前記第七態様のうちのいずれか一態様における復水器の運転方法である。
この運転方法では、前記蒸気タービン2に接続されている主蒸気ライン3、及び前記胴20に接続されているバイパスライン5に流体を流して、前記主蒸気ライン3、及び前記バイパスライン5内を洗浄するフラッシング工程S1と、前記フラッシング工程S1終了後に、前記複数の保護板30の全てを、前記複数の管支持板14のうちのいずれかから取外して、前記胴20の外に搬出する保護板搬出工程S2と、前記保護板搬出工程S2後に、前記主蒸気ライン3から前記蒸気タービン2に蒸気を供給すると共に、前記複数の伝熱管12内に前記冷却媒体を流す運転工程S3と、を実行する。
【0063】
本態様の運転方法を実行することで、第一態様における復水器10と同様、フラッシング時における伝熱管12の損傷や伝熱管12への異物の付着を抑制できると共に、蒸気と複数の伝熱管12との間の伝熱効率の低下を避けることができる。
【符号の説明】
【0064】
1:ボイラ
2:蒸気タービン
3:主蒸気ライン
4:主蒸気弁
5:バイパスライン
6:バイパス弁
7:給水ライン
8:給水ポンプ
10:復水器
11:伝熱管群
11o:蒸気口対向面
11s:側面
12:伝熱管
12i:入口端
12o:出口端
13:ダミー管
14:管支持板
14hs:管支持孔
14h:取付孔
15:胴内バイパス管
15h:蒸気噴出孔
20:胴
21:胴本体
21b:底板
21s:側板
21o:排気蒸気口
22i:入口水室枠
22o:出口水室枠
23i:入口管板
23o:出口管板
24:マンホール
24b:マンホール胴
24o:円形開口
24c:マンホール蓋
30:保護板
30a:調整用保護板
30b:標準サイズ保護板
31:板本体
31h:接続孔
32:フランジ部
32h:取付孔
35:取付具
35b:取付ボルト
35n:取付ナット
37:接続具
37p:接続板
37h:接続孔
37b:接続ボルト
37n:接続ナット
Dp:管延在方向
Sc:凝縮空間
Si:入口水室
So:出口水室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9