(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167705
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】塗料および被塗布物
(51)【国際特許分類】
C09D 175/04 20060101AFI20241127BHJP
C09D 7/20 20180101ALI20241127BHJP
【FI】
C09D175/04
C09D7/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083957
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 泰子
(72)【発明者】
【氏名】勝村 宣仁
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 桂司
(72)【発明者】
【氏名】廣野 義紀
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038DG031
4J038KA06
4J038KA08
4J038NA27
(57)【要約】
【課題】CO2の排出量を削減でき、VOCの排出量を削減でき、塗布作業性に優れる塗料を提供する。
【解決手段】水酸基を有する塗料組成物Aと、イソシアネート基を有し、非環状構造である塗料組成物Bと、溶剤を含む塗料を構成する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基を有する塗料組成物Aと、
イソシアネート基を有し、非環状構造である塗料組成物Bと、
溶剤を含む
塗料。
【請求項2】
アミノ基を有する塗料組成物A’と、
イソシアネート基を有し、非環状構造である塗料組成物Bと、
溶剤を含む
塗料。
【請求項3】
前記塗料組成物AのOH価が228~1830mgKOH/gである請求項1に記載の塗料。
【請求項4】
前記塗料組成物Bは、イソシアネート基を一分子中に3個以上有し、かつ、分子量が700より小さい請求項1に記載の塗料。
【請求項5】
前記塗料組成物AのOH価が228~1830mgKOH/gであり、前記塗料組成物Bは、イソシアネート基を一分子中に3個以上有し、かつ、分子量が700より小さく、固形分の濃度が70wt%以上である請求項1に記載の塗料。
【請求項6】
顔料を含む請求項1に記載の塗料。
【請求項7】
前記溶剤は、エステル系、ケトン系、グリコールエーテル系のいずれか1種以上の溶剤により構成される請求項1に記載の塗料。
【請求項8】
前記塗料組成物A’のアミン価が190~326mgKOH/gである請求項2に記載の塗料。
【請求項9】
前記塗料組成物Bは、イソシアネート基を一分子中に3個以上有し、かつ、分子量が700より小さい請求項2に記載の塗料。
【請求項10】
前記塗料組成物A’のアミン価が190~326mgKOH/gであり、前記塗料組成物Bは、イソシアネート基を一分子中に3個以上有し、かつ、分子量が700より小さく、固形分の濃度が70wt%以上である請求項2に記載の塗料。
【請求項11】
顔料を含む請求項2に記載の塗料。
【請求項12】
前記溶剤は、エステル系、ケトン系、グリコールエーテル系のいずれか1種以上の溶剤により構成される請求項2に記載の塗料。
【請求項13】
請求項1または請求項2に記載の塗料が塗布された被塗布物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶剤型で2液型の塗料、およびその塗料が塗布された被塗布物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車車体や工業品に塗装する塗料は、被塗物を加飾して美粧性を良くしたり、被塗物を保護したりする役割があるため、必要とされている。
【0003】
しかし、塗料を塗布する塗装工程では、塗料に含まれる水や溶剤の乾燥や、長時間かかる硬化反応を促進して工程を短時間化するために、加熱が必要となり、加熱の際に電気エネルギーを消費するため、CO2の排出量が増大する。
これに対して、昨今のカーボンニュートラルの実現に向けて、CO2の排出量の削減が求められている。
【0004】
また、塗料に含まれる溶剤は、揮発性有機化合物(Volatile Organic Compound; VOC)である。VOCの排出量が世界各国で規制されているため、VOCの排出量の少ない塗料が求められている。
【0005】
CO2の排出量の削減に関しては、高温加熱が必要な水を溶剤に含まないために、低温加熱が可能である溶剤型の塗料を用いることと、加熱処理が不要な常温硬化とすることとにより、達成される。
【0006】
VOCの排出量の削減に関しては、塗料中の溶剤含有量を低減することにより、達成される。
しかしながら、塗料中の溶剤含有量を減らすと、高い固形分濃度となり、塗料の粘度が上昇する。
そして、塗料の粘度が高いと、塗布作業性が低下することや、塗膜の外観が悪化することの要因となる(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、塗料は、CO2の排出量を削減し、VOCの排出量を削減するだけでなく、良好な塗布作業性や塗膜の外観も求められている。
【0009】
上述した問題の解決のために、本発明においては、CO2の排出量を削減でき、VOCの排出量を削減でき、塗布作業性に優れる塗料を提供するものである。また、その塗料が塗布された被塗布物を提供するものである。
【0010】
また、本発明の上記の目的およびその他の目的と本発明の新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面によって明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の本発明の塗料は、水酸基を有する塗料組成物Aと、イソシアネート基を有し、非環状構造である塗料組成物Bと、溶剤を含む構成である。
【0012】
第2の本発明の塗料は、アミノ基を有する塗料組成物A’と、イソシアネート基を有し、非環状構造である塗料組成物Bと、溶剤を含む構成である。
【発明の効果】
【0013】
第1の本発明の塗料の構成によれば、水酸基を有する塗料組成物Aと、イソシアネート基を有し、非環状構造である塗料組成物Bと、溶剤を含む。
これにより、常温下において短時間で硬化し、高固形分濃度であっても塗布作業性に優れる塗料を得ることが可能になる。常温下において短時間で硬化することにより、加熱が不要となり、CO2の排出量の削減が可能になる。また、高固形分濃度であることにより、VOCの排出量の削減が可能になる。
【0014】
第2の本発明の塗料の構成によれば、アミノ基を有する塗料組成物A’と、イソシアネート基を有し、非環状構造である塗料組成物Bと、溶剤を含む。
これにより、常温下において短時間で硬化し、高固形分濃度であっても塗布作業性に優れる塗料を得ることが可能になる。常温下において短時間で硬化することにより、加熱が不要となり、CO2の排出量の削減が可能になる。また、高固形分濃度であることにより、VOCの排出量の削減が可能になる。
【0015】
なお、上述した以外の課題、構成および効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施の形態および実施例について、文章もしくは図面を用いて説明する。ただし、本発明に示す構造、材料、その他具体的な各種の構成等は、ここで取り上げた実施の形態や実施例に限定されることはなく、要旨を変更しない範囲で適宜組み合わせや改良が可能である。また、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
本発明者らは、上述した課題を解決するため鋭意研究を行った結果、高固形分濃度であっても塗布作業性に優れる塗料を見出した。
即ち、水酸基を含有する塗料組成物Aと、イソシアネート基を有し、非環状構造である塗料組成物Bと、溶剤を含む塗料、もしくは、アミノ基を含有する塗料組成物A’と、イソシアネート基を有し、非環状構造である塗料組成物Bと、溶剤を含む塗料である。
【0018】
第1の本発明の塗料は、水酸基を有する塗料組成物Aと、イソシアネート基を有し、非環状構造である塗料組成物Bと、溶剤を含む構成である。
【0019】
第2の本発明の塗料は、アミノ基を有する塗料組成物A’と、イソシアネート基を有し、非環状構造である塗料組成物Bと、溶剤を含む構成である。
【0020】
第1の本発明の塗料の構成によれば、水酸基を有する塗料組成物Aと、イソシアネート基を有し、非環状構造である塗料組成物Bと、溶剤を含む。
これにより、常温下において短時間で硬化し、高固形分濃度であっても塗布作業性に優れる塗料を得ることが可能になる。常温下において短時間で硬化することにより、加熱が不要となり、CO2の排出量の削減が可能になる。また、高固形分濃度であることにより、VOCの排出量の削減が可能になる。
【0021】
第2の本発明の塗料の構成によれば、アミノ基を有する塗料組成物A’と、イソシアネート基を有し、非環状構造である塗料組成物Bと、溶剤を含む。
これにより、常温下において短時間で硬化し、高固形分濃度であっても塗布作業性に優れる塗料を得ることが可能になる。常温下において短時間で硬化することにより、加熱が不要となり、CO2の排出量の削減が可能になる。また、高固形分濃度であることにより、VOCの排出量の削減が可能になる。
【0022】
上記の第1の本発明の塗料において、塗料組成物AのOH価が228~1830mgKOH/gである構成とすることができる。
この構成の場合、高い固形分濃度と低い粘度とを両立できる。高い固形分濃度により、ハイソリッドでありVOCの排出量が削減できると共に、低い粘度により塗布作業性に優れる。
【0023】
上記の第1の本発明の塗料において、塗料組成物Bが、イソシアネート基を一分子中に3個以上有し、かつ、分子量が700より小さい構成とすることができる。
この構成の場合、粘度が低く塗布作業性に優れ、常温下において短時間で硬化する塗料を実現できる。常温下において短時間で硬化することにより、加熱が不要となり、CO2の排出量が削減できる。
【0024】
上記の第1の本発明の塗料において、塗料組成物AのOH価が228~1830mgKOH/gであり、塗料組成物Bは、イソシアネート基を一分子中に3個以上有し、かつ、分子量が700より小さく、塗料の固形分の濃度が70wt%以上である構成とすることができる。
この構成の場合、高い固形分濃度と低い粘度とを両立できる。高い固形分濃度により、ハイソリッドでありVOCの排出量が削減できると共に、低い粘度により塗布作業性に優れる。
また、この構成の場合、常温下において短時間で硬化するので、加熱が不要となり、CO2の排出量が削減できる。
【0025】
上記の第1の本発明の塗料において、顔料を含む構成とすることができる。
この構成の場合、顔料によって、着色することや下地を隠すことができる。
【0026】
上記の第1の本発明の塗料において、溶剤が、エステル系、ケトン系、グリコールエーテル系のいずれか1種以上の溶剤による構成とすることができる。
【0027】
上記の第2の本発明の塗料において、塗料組成物A’のアミン価が190~326mgKOH/gである構成とすることができる。
この構成の場合、常温下において短時間で硬化するので、加熱が不要となり、CO2の排出量が削減できる。
【0028】
上記の第2の本発明の塗料において、塗料組成物Bが、イソシアネート基を一分子中に3個以上有し、かつ、分子量が700より小さい構成とすることができる。
この構成の場合、粘度が低く塗布作業性に優れ、常温下において短時間で硬化する塗料を実現できる。常温下において短時間で硬化することにより、加熱が不要となり、CO2の排出量が削減できる。
【0029】
上記の第2の本発明の塗料において、塗料組成物A’のアミン価が190~326mgKOH/gであり、塗料組成物Bは、イソシアネート基を一分子中に3個以上有し、かつ、分子量が700より小さく、塗料の固形分の濃度が70wt%以上である構成とすることができる。
この構成の場合、高い固形分濃度と低い粘度とを両立できる。高い固形分濃度により、ハイソリッドでありVOCの排出量が削減できると共に、低い粘度により塗布作業性に優れる。
また、この構成の場合、常温下において短時間で硬化するので、加熱が不要となり、CO2の排出量が削減できる。
【0030】
上記の第2の本発明の塗料において、顔料を含む構成とすることができる。
この構成の場合、顔料によって、着色することや下地を隠すことができる。
【0031】
上記の第2の本発明の塗料において、溶剤が、エステル系、ケトン系、グリコールエーテル系のいずれか1種以上の溶剤による構成とすることができる。
【0032】
本発明の塗料は、水酸基を有する塗料組成物Aまたはアミノ基を有する塗料組成物A’と、イソシアネート基を有し、非環状構造である塗料組成物Bと、溶剤を含む。
なお、本発明の塗料は、これら塗料組成物Aまたは塗料組成物A’、塗料組成物B、溶剤、の各成分の他に、必要に応じて、各種の添加物を有していてもよい。
【0033】
(水酸基を有する塗料組成物A)
水酸基を有する塗料組成物Aは、水酸基(-OH)を有する各種の物質を使用することができる。
例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、などの1価のアルコール、ポリカーボネートジオール、1,2-ブタンジオール、エチレングリコール、テトラエチレングリコール、などの2価のアルコール、グリセリンなどの3価のアルコール、などが挙げられる。
【0034】
発明者らの検討の結果、水酸基を有する塗料組成物Aとして、OH価が228mgKOH/g~1830mgKOH/gである物質が、より好ましいことがわかった。ここで、OH価とは、水酸基を有する物質1gを次の条件でアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウム(KOH)のmg数である。
水酸基の数がn、分子量がMのとき、OH価は、OH価=56110×n/Mの式で求められる。
OH価は、一分子中に占めるOH基の割合が高いほど、大きな値となる。
このようなOH価が228mgKOH/g~1830mgKOH/gである物質としては、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリカーボネートジオール、1,2-ブタンジオール、テトラエチレングリコール、グリセリン、などが挙げられる。
【0035】
OH価が228mgKOH/gを下回る場合、塗料の固形分の濃度を高くしようとすると、粘度が高くなって塗布作業性が低下し、粘度を低くしようとすると、塗料の固形分の濃度が低くなるので、ハイソリッドと低粘度化を両立することが困難になる。
【0036】
OH価が1830mgKOH/gを上回る場合については、実用上塗料組成物Aを担う化学物質がなく、1830mgKOH/gが上限となる。その理由は、1つの炭素に水酸基が2個結合した物質は不安定であることが知られており、最も炭素数が小さいメタンジオールは、ホルムアルデヒドと水に分解するため安定に液体として存在できないからである。そのため、分子量が最小の多価アルコールは、2価のアルコールではエチレングリコール、3価のアルコールではグリセリンとなる。それぞれのOH価は、エチレングリコールが1810mgKOH/g(分子量は62、OH基数は2)となり、グリセリンが1830mgKOH/g(分子量は92、OH基数は3)となることから、OH価の最大値は1830mgKOH/gである。
【0037】
以上より、ハイソリッドと低粘度の両者を実現するために、水酸基を含有する塗料組成物Aは、OH価が228~1830mgKOH/gであることが、より好ましい。
【0038】
(イソシアネート基を有する塗料組成物B)
イソシアネート基を有する塗料組成物Bは、イソシアネート基を有する物質のうち、環状構造を有していない、非環状の構造である物質を使用することができる。
イソシアネート基を有する塗料組成物Bに、環状構造を有する物質を使用した場合には、非環状の構造である物質と比較して、分子量が大きく、また、嵩高い分子構造であるので、塗料の粘度が高くなることや、塗料の硬化に時間がかかることが生じる。
【0039】
そして、イソシアネート基を有する塗料組成物Bとして、非環状構造であることに加えて、さらに、イソシアネート基を3個以上有し、かつ、分子量が700より小さいことが、より好ましい。
【0040】
塗料組成物Bのイソシアネート基の数が2個以下の場合は、塗料組成物Bのイソシアネート基の数が3個以上の場合と比較して、塗料の硬化に時間がかかる。これは、イソシアネート基の数が少ない場合、イソシアネート基と水酸基の結合機会が少なくなり、硬化に長時間を要するため、と推測される。
塗料組成物Bの分子量が700以上の場合には、塗料組成物Bの分子量が700より小さい場合と比較して、塗料の粘度が高くなったり、塗料の硬化に時間がかかったりする。
【0041】
以上より、塗料の粘度を低くして、塗料の硬化の時間を短くするために、イソシアネート基を有する塗料組成物Bは、非環状構造であることに加えて、さらに、イソシアネート基を3個以上有し、かつ、分子量が700より小さいことが、より好ましい。
【0042】
(添加剤)
本発明の塗料は、塗料組成物Aまたは塗料組成物A’、塗料組成物B、溶剤、の各成分の他に、必要に応じて、各種の添加物を有していてもよい。
【0043】
塗料に添加する添加剤の一つとして、顔料がある。
顔料は、その機能などにより、着色顔料、体質顔料、防錆顔料、光輝顔料、などに分類することができる。
【0044】
着色顔料は、色彩を付与したり素地を隠ぺいしたりするために添加する。着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、カーボンブラック、コルトブルー、などを添加することができる。顔料は、付与したい色に基づいて適宜選択する。
体質顔料は、硬度の付与や、比重や粘度を調整するために添加する。体質顔料としては、例えば、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウムなどを添加することができる。
防錆顔料は、腐食を抑制するために添加する。防錆顔料としては、例えば、リン酸アルミ、リン酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛などを使用することができる。
光輝顔料は、光干渉や光の反射により光輝感を付与するために添加する。光輝顔料としては、例えば、アルミフレーク、酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカなどが使用される。
また、さび止めの機能がある顔料があり、例えば、モリブデン、亜酸化鉛、塩基性クロム酸鉛などを使用することができる。
【0045】
また、添加剤として、塗料粘度を調整するための増粘剤や、塗膜外観向上のため表面調整剤や、塗膜の耐久性向上のため紫外線吸収剤などを、適宜添加してもよい。
【0046】
なお、ここに示した添加剤は一例であり、これらの添加剤に限定されるものではなく、所望の塗膜特性に応じて、添加する添加剤を適宜選定することができる。
【0047】
(溶剤)
溶剤は、塗料の粘度の調整、硬化温度により変わる硬化時間の調整、塗布作業性の改善のために添加する。
溶剤としては、イソシアネート基と反応しない化学構造のエステル系、ケトン系、グリコールエーテル系の溶剤を使用することができる。
また、環境負荷低減の観点で、PRTR(Pollutant Release and Transfer Register:化学物質排出移動量届出制度)法に非該当であることと、大気汚染防止法のHAPs(Hazardous Air Pollutants、有害大気汚染物質)に非該当の溶剤であることが望ましい。
【0048】
溶剤としては、例えば、酢酸ブチル、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテル、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、酢酸3-メトキシブチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールジアセテートが望ましい。これらの溶剤は、単独で使用してもよく、また、複数の種類を混合してもよい。
なお、ここに示した溶剤は一例であり、これらの溶剤に限定されるものではない。
【0049】
以上により、水酸基を有する塗料組成物Aと、イソシアネート基を有する塗料組成物Bと、添加剤と、溶剤から、塗料(ウレタン塗料)が構成される。
ウレタン塗料は、常温での硬化時間が6.0h以内と短く、ハイソリッド塗料(固形分濃度が70wt%以上)であるため、VOCの排出量も少ない。また、ウレタン塗料は、粘度が低いため、塗装作業性も良い塗料が得られる。
【0050】
塗料組成物Aの水酸基と、塗料組成物Bのイソシアネート基のモル比は、所望する塗膜の物性により適宜調整され、1.05~1.20であってもよいが、望ましくは1.1である。
【0051】
次に、水酸基を有する塗料組成物Aの代わりに、アミノ基を有する塗料組成物A’を用いた場合の実施形態を説明する。
【0052】
(アミノ基を有する塗料組成物A’)
アミノ基を有する塗料組成物A’は、アミノ基(-NH2)を有する各種の物質を使用することができる。
例えば、ポリアスパラギン酸エステル、N-(β-アミノエチル)イソプロパノールアミン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、N,N’-(2-メチル-1,5-ペンタンジイル)ビス-, 1,1‘,4,4’-テトラエチルエステル、N,N'-(メチレンジ-4,1-シクロヘキサンジル)ビスアスパラギン酸テトラエチルエステル、ビス(4-(1,2-ビス(エトキシカルボニル)エチルアミノ)-3-メチルシクロへキシル)メタンなどを挙げることができる。
【0053】
発明者らの検討の結果、アミノ基を有する塗料組成物A’として、アミン価が190mgKOH/g~326mgKOH/gである物質が、より好ましいことがわかった。
このようなアミン価が190mgKOH/g~326mgKOH/gである物質としては、例えば、ポリアスパラギン酸エステル、などを挙げることができる。
【0054】
アミン価が190mgKOH/gを下回る場合は、塗料の硬化に長い時間がかかるようになる。
アミン価が326mgKOH/gを上回る場合も、塗料の硬化に長い時間がかかるようになる。
以上より、塗料が短時間で硬化するために、アミノ基を有する塗料組成物A’のアミン価は190mgKOH/g~326mgKOH/gであることがより好ましい。
【0055】
アミノ基を有する塗料組成物A’と、イソシアネート基を有する塗料組成物Bと、添加剤と、溶剤により、塗料(ウレア塗料)を構成することができる。
なお、アミノ基を有する塗料組成物A’を含む塗料において、添加剤および溶剤には、水酸基を有する塗料組成物Aを含む塗料に用いられる添加剤および溶剤と同様の、添加剤および溶剤を用いることができる。
【0056】
塗料組成物Aと塗料組成物A’は、それぞれ一種単独でも複数種を混合しても良い。
【0057】
なお、塗料組成物Aと塗料組成物A’は、黄変を抑制するために脂肪族の化学構造であることが望ましいが、求められる塗膜の特性により、芳香族が含まれていてもよい。
【実施例0058】
以下、塗料の具体的な実施例を説明する。
なお、以下に説明する各実施例と各比較例は、全てイソシアネート基/OH基の比を1.1としている。
【0059】
(塗膜試験)
また、各実施例および各比較例で作製した塗料について、JIS K 5600に準じた試験条件で塗膜試験を行って、塗膜の特性を調べた。
【0060】
[常温での硬化時間]
塗料組成物Aまたは塗料組成物A、塗料組成物B、添加物、溶剤、の各成分を混合した塗料について、常温で硬化するまでの時間を測定した。
【0061】
[付着性]
JIS K 5600 第5部第6節「付着性(クロスカット法)」に規定された方法により、塗膜の付着性を調べた。そして、付着性の結果が分類0に属する場合を、〇印とした。
【0062】
[引掻硬度]
JIS K 5600 第5部第4節「引っかき硬度(鉛筆法)」に規定された方法により、塗膜の引掻硬度を調べた。そして、塗膜の引掻硬度がH以上の場合を、〇印とした。
【0063】
[耐塩水噴霧性]
JIS K 5600 第7部第1節「耐中性塩水噴霧性」に規定された方法により、塗膜の耐塩水噴霧性を調べた。スクラッチ無し、スクラッチあり、でそれぞれ試験を行い、スクラッチ無しでは、浸漬720h後において塗膜面に異常がなく、かつ、スクラッチありでは240h後において、錆が無く劣化が僅かである場合を、〇印とした。
【0064】
[耐湿潤冷熱繰り返し性]
JIS K 5600 第7部第4節「耐湿潤冷熱繰返し性」に規定された方法により、塗膜の耐湿潤冷熱繰返し性を調べた。10サイクルで異常無しの場合を、〇印とした。
【0065】
(実施例1)
塗料組成物Aは、固形分濃度が100wt%、OH価が228mgKOH/gのポリカーボネートジオールを用いた。塗料組成物Bは、固形分濃度75wt%、化学構造が非環状で、イソシアネート基が3個で、分子量が476のポリイソシアネート(塗料組成物B1)を用いた。
塗料組成物Aを1.0g、塗料組成物B1を1.2g、溶剤として酢酸ブチルを0.5g、それぞれ用いて、これらを混合した。
得られた塗料は、固形分濃度72wt%であり、このときの粘度は100mPa・sであった。塗膜の室温での硬化時間は2.5hであった。
【0066】
(実施例2)
塗料組成物Aは、固形分濃度が100wt%、OH価が1245mgKOH/gの1,2―ブタンジオールを用いた。塗料組成物Bは、実施例1と同じく塗料組成物B1を用いた。
塗料組成物Aを1.0g、塗料組成物B1を6.5g(そのうち溶剤として酢酸エチルを1.6g含む)、それぞれ用いて、これらを混合した。
得られた塗料は、固形分濃度79wt%であり、このときの粘度は74mPa・sであった。塗膜の室温での硬化時間は6.0hであった。
【0067】
(実施例3)
塗料組成物Aは、固形分濃度が100wt%、OH価が499mgKOH/gのポリテトラメチレングリコールを用いた。塗料組成物Bは、実施例1と同じく塗料組成物B1を用いた。
塗料組成物Aを1.0g、塗料組成物B1を2.6g(そのうち溶剤として酢酸エチルを0.6g含む)、それぞれ用いて、これらを混合した。
得られた塗料は、固形分濃度80wt%であり、このときの粘度は99mPa・sであった。塗膜の室温での硬化時間は6.0hであった。
【0068】
(実施例4)
塗料組成物Aは、固形分濃度が85wt%、OH価が1830mgKOH/gの多価アルコールを用いた。塗料組成物Bは、実施例1と同じく塗料組成物B1を用いた。
塗料組成物Aを1.0g、塗料組成物B1を7.3g(そのうち溶剤として酢酸エチルを2.0g含む)、それぞれ用いて、これらを混合した。
得られた塗料は、固形分濃度76wt%であり、このときの粘度は120mPa・sであった。塗膜の室温での硬化時間は6.0hであった。
【0069】
(実施例5)
塗料組成物Aは、固形分濃度が100wt%、OH価が868mgKOH/gの多価アルコールを用いた。塗料組成物Bは、実施例1と同じく塗料組成物B1を用いた。
塗料組成物Aを1.0g、塗料組成物B1を4.6g(そのうち溶剤として酢酸エチルを1.2g含む)、それぞれ用いて、これらを混合した。
得られた塗料は、固形分濃度80wt%であり、このときの粘度は98mPa・sであった。塗膜の室温での硬化時間は6.0hであった。
【0070】
(比較例1)
塗料組成物Aは、固形分濃度が69wt%、OH価が117mgKOH/gのアクリルポリオール1を用いた。塗料組成物Bは、実施例1と同じく塗料組成物B1を用いた。
塗料組成物A(アクリルポリオール1)を1.0g、塗料組成物B1を0.6g(そのうち溶剤として酢酸エチルを0.4g含む)、それぞれ用いて、これらを混合した。
得られた塗料は、固形分濃度72wt%であり、このときの粘度は600mPa・sであり粘度が高かった。塗膜の室温での硬化時間は6.0hであった。
【0071】
(比較例2)
塗料組成物Aは、固形分濃度が60wt%、OH価が84mgKOH/gのアクリルポリオール2を用いた。塗料組成物Bは、実施例1と同じく塗料組成物B1を用いた。
塗料組成物A(アクリルポリオール2)を1.0g、塗料組成物B1を0.4g(そのうち溶剤として酢酸ブチルを0.5g含む)、それぞれ用いて、これらを混合した。
得られた塗料は、固形分濃度65wt%であり、ハイソリッド塗料ではない。このときの粘度は200mPa・sであり粘度が高かった。塗膜の室温での硬化時間は6.0hであった。
【0072】
(比較例3)
塗料組成物Aは、実施例1と同じくポリカーボネートジオールを用いた。塗料組成物Bは、固形分濃度75wt%、化学構造が非環状で、イソシアネート基が3個で、分子量が730のポリイソシアネート(塗料組成物B2)を用いた。
塗料組成物Aを1.0g、塗料組成物B2を1.5g(そのうち溶剤として酢酸エチルを0.4g含む)、それぞれ用いて、これらを混合した。
得られた塗料は、固形分濃度85wt%である。このときの粘度は1000mPa・sであり粘度が高かった。塗膜の室温での硬化時間は144hと長かった。
【0073】
(比較例4)
塗料組成物Aは、実施例1と同じくポリカーボネートジオールを用いた。塗料組成物Bは、固形分濃度100wt%、化学構造が環状で、イソシアネート基が3個で、分子量が654のポリイソシアネート(塗料組成物B3)を用いた。
塗料組成物Aを1.0g、塗料組成物B3を0.8g、混合した。
得られた塗料は、固形分濃度100wt%である。このときの粘度は530mPa・sであり粘度が高かった。塗膜の室温での硬化時間は144hと長かった。
【0074】
(比較例5)
塗料組成物Aは、実施例1と同じくポリカーボネートジオールを用いた。塗料組成物Bは、固形分濃度100wt%、化学構造が非環状で、イソシアネート基が2個で、分子量が519のポリイソシアネート(塗料組成物B4)を用いた。
塗料組成物Aを1.0g、塗料組成物B4を1.1g、混合した。
得られた塗料は、固形分濃度100wt%である。このときの粘度は120mPa・sであり粘度が高かった。塗膜の室温での硬化時間は168h後で未硬化であった。
【0075】
(実施例6)
塗料組成物A’は、固形分濃度が100wt%、アミン価が243mgKOH/gのジアミン(塗料組成物A’1)を用いた。塗料組成物Bは、実施例1と同じく塗料組成物B1を用いた。
塗料組成物A’1を1.0g、塗料組成物B1を1.3g(そのうち溶剤として酢酸エチルを0.3g含む)、それぞれ用いて、これらを混合した。
得られた塗料は、固形分濃度88wt%であり、このときの粘度は100mPa・sであった。塗膜の室温での硬化時間は5minであった。
【0076】
(実施例7)
塗料組成物A’は、固形分濃度が90wt%、アミン価が190mgKOH/gのジアミン(塗料組成物A’2)を用いた。塗料組成物Bは、実施例1と同じく塗料組成物B1を用いた。
塗料組成物A’2を1.0g、塗料組成物B1を1.0g(そのうち溶剤として酢酸ブチルを0.3g含む)、それぞれ用いて、これらを混合した。
得られた塗料は、固形分濃度88wt%であり、このときの粘度は100mPa・sであった。塗膜の室温での硬化時間は6.0hであった。
【0077】
(実施例8)
塗料組成物A’は、固形分濃度が90wt%、アミン価が199mgKOH/gのジアミン(塗料組成物A’3)を用いた。塗料組成物Bは、実施例1と同じく塗料組成物B1を用いた。
塗料組成物A’3を1.0g、塗料組成物B1を1.0g(そのうち溶剤として酢酸ブチルを0.1g含む)、それぞれ用いて、これらを混合した。
得られた塗料は、固形分濃度87wt%であり、このときの粘度は100mPa・sであった。塗膜の室温での硬化時間は1.0hであった。
【0078】
(実施例9)
塗料組成物A’は、固形分濃度が90wt%、アミン価が326mgKOH/gのジアミン(塗料組成物A’4)を用いた。塗料組成物Bは、実施例1と同じく塗料組成物B1を用いた。
塗料組成物A’4を1.0g、塗料組成物B1を1.7g(そのうち溶剤として酢酸エチルを0.5g含む)、それぞれ用いて、これらを混合した。
得られた塗料は、固形分濃度81wt%であり、このときの粘度は100mPa・sであった。塗膜の室温での硬化時間は6.0hであった。
【0079】
(比較例6)
塗料組成物A’は、固形分濃度が100wt%、OH価が100mgKOH/gのジアミンであるN-(β-アミノエチル)イソプロパノールアミンを用いた。塗料組成物Bは、実施例1と同じく塗料組成物B1を用いた。
塗料組成物A’を1.0g、塗料組成物B1を0.2g(そのうち溶剤として酢酸ブチルを0.1g含む)、それぞれ用いて、これらを混合した。
得られた塗料は、固形分濃度92wt%であり、このときの粘度は90mPa・sであった。しかし、塗膜は室温で168h経過後においても流動性があり、硬化した塗膜は得られなかった。
【0080】
(比較例7)
塗料組成物A’は、固形分濃度が100wt%、OH価が789mgKOH/gのアミン含有物である1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3-BAC)を用いた。塗料組成物Bは、実施例1と同じく塗料組成物B1を用いた。
塗料組成物A’を1.0g、塗料組成物B1を4.1g(そのうち溶剤として酢酸エチルを1.0g含む)、それぞれ用いて、これらを混合した。
得られた塗料は、固形分濃度80wt%である。このときの粘度は80mPa・sであった。しかし、塗膜は室温で168h経過後においても流動性があり、硬化した塗膜は得られなかった。
【0081】
水酸基を有する塗料組成物Aを用いた、実施例1~実施例5および比較例1~比較例5について、各組成物の特性、塗料の特性、塗膜試験の結果を、表1に示す。
アミノ基を有する塗料組成物A’を用いた、実施例6~実施例9および比較例6~比較例7について、各組成物の特性、塗料の特性、塗膜試験の結果を、表2に示す。
【0082】
【0083】
【0084】
表1より、実施例1~実施例5は、いずれも、混合後の塗料の固形分濃度が>70wt%であり、塗料の粘度は120mPa・s以下となり、ハイソリッドと低粘度化を両立できていた。
実施例1~実施例5の塗料組成物AのOH価は、228~1830mgKOH/gである。
塗膜の常温での硬化時間は、実施例1が2.5h、実施例2~実施例5が6.0hと短かった。
【0085】
比較例1の塗料組成物Aのアクリルポリオール1は、OH価が117mgKOH/gであり、228mgKOH/gを下回る。そして、比較例1は、混合後の塗料の固形分濃度は72wt%であり、塗料の粘度は600mPa・sとなり、ハイソリッドと低粘度化を両立できていない。
比較例2の塗料組成物Aのアクリルポリオール2は、OH価が84mgKOH/gであり、228mgKOH/gを下回る。そして、比較例2は、混合後の塗料の固形分濃度は65wt%であり、塗料の粘度は200mPa・sとなり、ハイソリッドと低粘度化を両立できていない。
実施例1~実施例5と比較例1~比較例2の結果から、塗料組成物AのOH価が228~1830mgKOH/gであることにより、ハイソリッドと低粘度化を両立できることがわかる。
【0086】
実施例1~実施例5は、塗料組成物Bのポリイソシアネート(塗料組成物B1)の分子量が476であった。
比較例3の塗料組成物Bのポリイソシアネート(塗料組成物B2)は、分子量が730と大きかった。比較例3は、塗料の粘度が1000mPa・sと高く、常温での硬化時間が144hと長かった。
実施例1~実施例5と比較例3の結果から、塗料組成物Bの分子量が小さい方が好ましいことがわかる。
【0087】
実施例1~実施例5は、塗料組成物Bのポリイソシアネート(塗料組成物B1)の化学構造が非環状構造であった。
比較例4の塗料組成物Bのポリイソシアネート(塗料組成物B3)は、化学構造が環状構造であった。比較例4は、塗料の粘度が530mPa・sと高く、常温での硬化時間が144hと長かった。
実施例1~実施例5と比較例4の結果から、塗料組成物Bの化学構造が非環状構造であることが好ましい。
【0088】
実施例1~実施例5は、塗料組成物Bのポリイソシアネート(塗料組成物B1)のイソシアネート基が3個であった。
比較例5の塗料組成物Bのポリイソシアネート(塗料組成物B4)は、イソシアネート基が2個であった。比較例5は、常温で168h経過後も流動性があり塗膜に硬化しなかった。
実施例1~実施例5と比較例5の結果から、塗料組成物Bのイソシアネート基が3個以上であることが好ましい。
【0089】
表2より、実施例6~実施例9は、いずれも、混合後の塗料の固形分濃度が>70wt%であり、塗料の粘度は100mPa・sであり、ハイソリッドと低粘度化を両立できていた。
実施例6~実施例9の塗料組成物A’のアミン価は、190~326mgKOH/gである。
塗膜の常温での硬化時間は、実施例6が5分、実施例7および実施例9が6.0h、実施例8が1.0hと短かった。
【0090】
比較例6の塗料組成物A’のN-(β-アミノエチル)イソプロパノールアミンは、アミン価が100mgKOH/gであり、190mgKOH/gを下回る。そして、比較例6は、常温で168h経過後も流動性があり塗膜に硬化しなかった。
比較例7の塗料組成物A’の1,3―ビスアミノメチルシクロヘキサンは、アミン価が789mgKOH/gであり、326mgKOH/gを上回る。そして、比較例7は、常温で168h経過後も流動性があり塗膜に硬化しなかった。
実施例6~実施例9と比較例6~比較例7の結果から、塗料組成物A’のアミン価は、190~326mgKOH/gが好ましいことがわかる。
【0091】
実施例1~実施例9では、塗料組成物Bとして、同じ塗料組成物B1を使用していた。
塗料組成物B1と同様に、化学構造が非環状であり、イソシアネート基の数が3個以上であり、分子量が700より小さい、他の塗料組成物を塗料組成物Bとして使用しても、実施例1~実施例9と同様に、良好な塗料および塗膜(被塗布物)が得られる。
【0092】
なお、本発明は、上述した実施の形態および実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した各実施の形態および実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。