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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167714
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】シート処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 45/30 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
B65H45/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083969
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮田 一輝
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108AA01
3F108AB01
3F108AC01
3F108BA08
3F108BB31
3F108CC47
(57)【要約】
【課題】折増しを強化することができるシート処理装置を提供することである。
【解決手段】シート処理装置は、折りユニットと、第1ローラと、一対の第2ローラと、を持つ。折りユニットは、シートを折り曲げて折り目を形成する。一対の第2ローラは、第1ローラとの間にシートを挟んで折り目方向に沿って移動して折り目を折り増しする。一対の第2ローラは、折り目方向に並ぶ。第1ローラは、第1大径部と、第1小径部と、を持つ。第1大径部は、搬送方向の第1位置にある。第1小径部は、搬送方向の第2位置にある。第1小径部は、第1大径部よりも小径である。一対の第2ローラのそれぞれは、第2大径部と、第2小径部と、を持つ。第2大径部は、第2位置にある。第2大径部は、第1小径部との間にシートを挟む。第2小径部は、第1位置にある。第2小径部は、第1大径部との間にシートを挟む。第2小径部は、第2大径部よりも小径である。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを折り曲げて折り目を形成する折りユニットと、
折り目方向に直交する搬送方向に沿う軸線回りに回転可能に設けられ、前記折り目方向に沿って移動する第1ローラと、
前記搬送方向に沿う軸線回りに回転可能に設けられ、前記第1ローラとの間に前記シートを挟んで前記折り目方向に沿って移動して前記折り目を折り増しする、前記折り目方向に並ぶ一対の第2ローラと、
を備え、
前記第1ローラは、前記搬送方向の第1位置にある第1大径部、および前記搬送方向の第2位置にある、前記第1大径部よりも小径の第1小径部を有し、
前記一対の第2ローラのそれぞれは、前記第2位置にあり、前記第1小径部との間に前記シートを挟む第2大径部、および前記第1位置にあり、前記第1大径部との間に前記シートを挟む、前記第2大径部よりも小径の第2小径部を有する、
シート処理装置。
【請求項2】
前記第1ローラの前記搬送方向の第3位置における外径は、前記一対の第2ローラの前記第3位置における間隔よりも大きい、
請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記第1大径部の外径は、前記一対の第2ローラの前記第2位置における間隔よりも大きい、
請求項1または請求項2に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記第1ローラの回転軸線は、前記折り目方向において前記一対の第2ローラの回転軸線の中間位置にある、
請求項1または請求項2に記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記第1ローラの回転軸線は、前記折り目方向において前記一対の第2ローラの回転軸線の中間位置に対して前記折り目方向にずれた位置にある、
請求項1または請求項2に記載のシート処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、シート処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート処理装置は、シートを折り曲げて折り目を付ける折りユニットと、シートの折り目を折増す折増しユニットと、を有する。折増しを強化することができるシート処理装置が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-153530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、折増しを強化することができるシート処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様に係るシート処理装置は、折りユニットと、第1ローラと、一対の第2ローラと、を持つ。折りユニットは、シートを折り曲げて折り目を形成する。第1ローラは、折り目方向に直交する搬送方向に沿う軸線回りに回転可能に設けられている。第1ローラは、折り目方向に沿って移動する。一対の第2ローラは、搬送方向に沿う軸線回りに回転可能に設けられている。一対の第2ローラは、第1ローラとの間にシートを挟んで折り目方向に沿って移動して折り目を折り増しする。一対の第2ローラは、折り目方向に並ぶ。第1ローラは、第1大径部と、第1小径部と、を持つ。第1大径部は、搬送方向の第1位置にある。第1小径部は、搬送方向の第2位置にある。第1小径部は、第1大径部よりも小径である。一対の第2ローラのそれぞれは、第2大径部と、第2小径部と、を持つ。第2大径部は、第2位置にある。第2大径部は、第1小径部との間にシートを挟む。第2小径部は、第1位置にある。第2小径部は、第1大径部との間にシートを挟む。第2小径部は、第2大径部よりも小径である。
【0006】
第2の態様に係るシート処理装置は、上記第1の態様に係るシート処理装置において、第1ローラの搬送方向の第3位置における外径は、一対の第2ローラの第3位置における間隔よりも大きい。
【0007】
第3の態様に係るシート処理装置は、上記第1の態様または第2の態様に係るシート処理装置において、第1大径部の外径は、一対の第2ローラの第2位置における間隔よりも大きい。
【0008】
第4の態様に係るシート処理装置は、上記第1の態様から第3の態様のいずれかの態様に係るシート処理装置において、第1ローラの回転軸線は、折り目方向において一対の第2ローラの回転軸線の中間位置にある。
【0009】
第5の態様に係るシート処理装置は、上記第1の態様から第3の態様のいずれかの態様に係るシート処理装置において、第1ローラの回転軸線は、折り目方向において一対の第2ローラの回転軸線の中間位置に対して折り目方向にずれた位置にある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】画像形成装置の概略構成図。
図2】画像形成装置の機能構成例を示すブロック図。
図3】第1の実施形態のシート処理装置におけるサドル折り機構の概略構成を示す正面図。
図4】第1の実施形態のシート処理装置における折増しユニットの斜視図。
図5】第1の実施形態のシート処理装置における折りユニットおよび折増しユニットの概略構成を示す正面断面図。
図6】第1の実施形態のシート処理装置におけるローラユニットの斜視図。
図7】第1の実施形態の第1ローラおよび一対の第2ローラを示す側面図。
図8】第1の実施形態の第1ローラおよび第2ローラを示す正面図。
図9】第1の実施形態の第1ローラおよび一対の第2ローラの第3位置におけるYZ断面を示す図。
図10】第1の実施形態の折増しユニットの動作説明図。
図11】第1の実施形態の第1ローラおよび第2ローラがシートを挟む様子を示す正面図。
図12】第2の実施形態の第1ローラおよび一対の第2ローラを示す側面図。
図13】第2の実施形態の折増しユニットの動作説明図。
図14】第3の実施形態の第1ローラおよび第2ローラを示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態のシート処理装置を、図面を参照して説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0012】
図1は、画像形成装置1の概略構成図である。例えば、画像形成装置1はワークプレイスに配置される。画像形成装置1は、画像形成装置本体100と、シート処理装置200と、を有する。画像形成装置本体100およびシート処理装置200は、隣接して配置される。
【0013】
画像形成装置本体100について説明する。
画像形成装置本体100は、記録剤を用いてシートP(記録媒体)上に画像を形成する。シートPは、例えば普通紙やラベル用紙である。記録剤の具体例はトナーである。トナーは、消色性記録剤として使用されるトナーと、非消色性記録剤として使用されるトナーとのいずれかである。
【0014】
例えば、画像形成装置本体100は複合機である。図1に示されるように、画像形成装置本体100は、表示部15と、操作部14と、画像読取部16と、プリンタ部17と、シート収容部18と、排紙ローラ19と、第1制御部80と、を有する。
【0015】
表示部15は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示装置である。表示部15は、画像形成装置本体100およびシート処理装置200に関する種々の情報を表示する。
操作部14は、複数のボタンを有する。操作部14は、ユーザの操作を受け付ける。操作部14は、ユーザによって行われた操作に応じた信号を、画像形成装置本体100の第1制御部80に出力する。表示部15および操作部14は、一体のタッチパネルとして構成されてもよい。
【0016】
画像読取部16は、読み取り対象の画像情報を光の明暗として読み取る。画像読取部16は、読み取られた画像情報をプリンタ部17に出力する。
シート収容部18は、画像形成に用いられるシートPを収容する。シート収容部18は、収容されたシートPをプリンタ部17に供給する。
【0017】
プリンタ部17は、画像読取部16によって生成された画像情報又は通信路を介して受信した画像情報に基づいて、シート上に画像を形成する。プリンタ部17は、画像形成部と、転写部と、定着装置と、を有する。画像形成部は、画像情報に基づいて感光体ドラム上に静電潜像を形成する。画像形成部は、静電潜像にトナーを付着させて可視像を形成する。転写部は、可視像をシート上に転写する。定着装置は、トナーを加熱および加圧して、可視像をシート上に定着させる。
排紙ローラ19は、画像形成装置本体100の排紙口付近に配置される。排紙ローラ19は、画像が形成されたシートPをシート処理装置200に送り出す。
【0018】
図2は、画像形成装置1の機能構成例を示すブロック図である。図2に示されるように、画像形成装置本体100は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)81、メモリ82、補助記憶装置83などを備え、プログラムを実行する。画像形成装置本体100は、プログラムの実行によって表示部15、操作部14、画像読取部16、プリンタ部17、シート収容部18、通信部84を備える装置として機能する。
【0019】
CPU81は、メモリ82および補助記憶装置83に記憶されたプログラムを実行することによって第1制御部80として機能する。第1制御部80は、画像形成装置本体100およびシート処理装置200の各部の動作を制御する。
補助記憶装置83は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。補助記憶装置83は、情報を記憶する。
通信部84は、自装置を外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。通信部84は、通信インタフェースを介して外部装置と通信する。
【0020】
シート処理装置200について説明する。
図1に示されるように、シート処理装置200は、画像形成されたシートPに後処理を施す。例えば後処理は、ステイプル処理またはサドル折り処理などである。シート処理装置200は、ステイプル機構20と、サドル折り機構30と、第2制御部(制御部)90と、を有する。
【0021】
ステイプル機構20は、待機トレイ21と、処理トレイ22と、ステイプラ23と、を有する。ステイプラ23は、複数のシートPの周縁部にステイプル処理を施す。以下、複数のシートPをシート束と称する。ステイプル処理されたシートPは、搬送ベルト24により搬送され、可動トレイ27に排出される。
【0022】
シート処理装置200は、可動トレイ27と、上部トレイ26と、下部トレイ28と、を有する。可動トレイ27には、ステイプル処理されたシートPが排出される。上部トレイ26には、ステイプル処理されないシートPが排出される。下部トレイ28は、シート処理装置200の下部にある。下部トレイ28には、サドル折り機構30で処理されたシートPが排出される。
【0023】
(第1の実施形態)
図3は、第1の実施形態のシート処理装置200におけるサドル折り機構30の概略構成を示す正面図である。図3に示されるように、サドル折り機構30は、シート支持部31と、後処理部40と、を有する。後処理部40は、ステイプル部41と、折りユニット42と、折増しユニット45と、を有する。
【0024】
シート支持部31は、シートPの搬送路におけるシートPの搬送方向の下流端に設けられている。シート支持部31には、シートPがスタックされる。シート支持部31は、ベッド32と、スタッカ35と、を有する。ベッド32は、シートPの面を支持する積紙面33を有する。
【0025】
サドル折り機構30の局所座標系として、直交座標系のX方向、Y方向およびZ方向が以下のように定義される。X方向は、ベッド32の積紙面33の法線方向である。+X方向は、ベッド32に対してシートPが載置される方向である。+X方向は、水平方向よりも上方に傾斜した方向である。Z方向は、サドル折り機構30におけるシートPの搬送方向である。-Z方向は、シートPが搬送路を通ってシート支持部31に向かう方向である。-Z方向は、水平方向よりも下方に傾斜した方向である。Y方向は水平方向である。
【0026】
ベッド32は、略板状であり、+X方向を向く積紙面33にシートPを載置可能である。ベッド32は、折りユニット42を挟んでZ方向の両側にある。積紙面33に配置されたシートPは、スタッカ35に支持される。スタッカ35は、シート支持部31に搬送されたシートPの-Z方向の先端を規制する。スタッカ35は、Z方向に沿って移動可能とされている。例えば、スタッカ35は、ベッド32の-X方向に配置された移動機構によって駆動される。
【0027】
ステイプル部41は、シートPがスタッカ35に支持される位置よりも+Z方向の位置でシートPを処理する。ステイプル部41は、折りユニット42の+Z方向にある。ステイプル部41は、シートPの所定位置にステイプル処理を施す。例えば、シートPの所定位置は、シートPのZ方向の中央部である。
【0028】
折りユニット42は、シートPがスタッカ35に支持される位置よりも+Z方向の位置でシートPを処理する。折りユニット42は、シートPのZ方向の中央部を折り曲げて、シートPに折り目Fを付ける。折りユニット42は、一対の折りローラ44と、ブレード43と、を有する。
【0029】
一対の折りローラ44は、ベッド32の+X方向にある。一対の折りローラ44は、Z方向に並ぶ。一対の折りローラ44の回転軸線は、Y方向に延びる。一対の折りローラ44は、駆動ローラである。ただし、一対の折りローラ44の一方は従動ローラであってもよい。一対の折りローラ44は、それぞれZ方向に変位可能である。一対の折りローラ44は、Z方向に変位して相互に接近および離間可能とされている。一対の折りローラ44のZ方向の変位は、互いに連動する。一対の折りローラ44は、互いに接触してニップNを形成する。
【0030】
ブレード43は、平板状であり、XY平面と平行である。ブレード43は、+X方向にかけて先細りとなる形状である。ブレード43は、ベッド32を通過してX方向に移動可能である。ブレード43は、ニップNにシートPを押し込むことで、一対の折りローラ44と協働してシートPにY方向に延びる折り目を形成する。
【0031】
折増しユニット45は、一対の折りローラ44の+X方向にある。折増しユニット45は、シートPの折り目Fを折り増しする。
【0032】
例えば、サドル折り機構30は、シート束に対して製本処理を実行できる。製本処理は、シート支持部31にスタックされたシート束に対して、ステイプル処理およびサドル折りを施す。
【0033】
製本処理において、最初にシート束に対してステイプル処理を施す。スタッカ35は、シート束を+Z方向に移動させて、シート束のZ方向の中央部をステイプル部41の位置に一致させる。ステイプル部41は、シート束にステイプル処理を施す。
【0034】
続いて、ステイプル処理が施されたシート束に対してサドル折りを施す。スタッカ35は、シート束を-Z方向に移動させて、シート束のZ方向の中央部をブレード43の位置に一致させる。ブレード43は、+X方向に移動して、シート束の中央部を一対の折りローラ44の間に押し込む。シート束は、Z方向の中央部でサドル折りされる。サドル折りされた状態のシート束の+X方向の端辺に、Y方向に延びる折り目Fが形成される。折増しユニット45は、シート束の折り目Fを折り増しする。以上により、シート束の製本処理が完了する。製本されたシート束は、下部トレイ28に排出される。
【0035】
サドル折り機構30は、製本処理に替えて、シート支持部31にスタックされた1枚以上のシートPに対してステイプル処理を施さずにサドル折りを施すことができる。1枚以上のシートPは、1枚のシートP、またはシート束である。この場合、スタッカ35は、1枚以上のシートPをスタック位置から折りユニット42に直接搬送する。その後、製本処理におけるサドル折りと同様にして、1枚以上のシートPに対してまとめて折り目を形成する。折り目を形成されたシートPは、下部トレイ28に排出される。
【0036】
図2に示されるように、シート処理装置200は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)91、メモリ92、補助記憶装置93などを備え、プログラムを実行する。シート処理装置200は、プログラムの実行によってステイプル機構20、サドル折り機構30、通信部94を備える装置として機能する。
【0037】
CPU91は、メモリ92および補助記憶装置93に記憶されたプログラムを実行することによって第2制御部90として機能する。第2制御部90は、シート処理装置200の各部の動作を制御する。
補助記憶装置93は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。補助記憶装置93は、情報を記憶する。
通信部94は、自装置を外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。通信部94は、通信インタフェースを介して外部装置と通信する。
【0038】
折増しユニット45について説明する。
図4は、第1の実施形態のシート処理装置200における折増しユニット45の斜視図である。図5は、第1の実施形態のシート処理装置200における折りユニット42および折増しユニット45の概略構成を示す正面断面図である。なお図5では折増しローラ63が簡略化して図示されている。図4および図5に示されるように、折増しユニット45は、フレーム50と、支持部55と、ローラユニット60と、駆動部70と、を有する。折増しユニット45におけるシートの搬送方向は、折り目方向であるY方向に直交するX方向である。折増しユニット45において、シートPは上流側の折りユニット42から+X方向に搬送される。
【0039】
フレーム50は、折増しユニット45の-X方向、+Z方向、+Y方向および-Y方向を覆う。フレーム50は、-X方向に主板を有する。主板は、Y方向に延びるスリット51を有する。スリット51は、折りユニット42でサドル折りされたシートPの進入を許可する。図4に示されるように、フレーム50は、+Z方向に天板を有する。天板は、Y方向に延びるガイド孔52を有する。フレーム50は、+Y方向および-Y方向に一対の側板を有する。一対の側板は、Y方向に延びるガイドバー53の両端部を支持する。ガイド孔52およびガイドバー53は、ローラユニット60のY方向の移動をガイドする。
【0040】
図5に示されるように、支持部55は、第1支持板56と、第2支持板57と、第1フィルム58と、第2フィルム59と、を有する。第1支持板56および第2支持板57は、XY平面と平行である。
【0041】
第1支持板56は、スリット51の+Z方向の端部にある。第1支持板56は、Z方向に移動可能である。第1支持板56は、シートPを+Z方向から支持する。
第2支持板57は、第1支持板56の-Z方向にある。第2支持板57は、フレーム50に固定される。第2支持板57は、シートPを-Z方向から+Z方向に押圧する。
【0042】
第1フィルム58および第2フィルム59は、樹脂材料等によりフィルム状に形成され、可撓性を有する。第1フィルム58および第2フィルム59は、Y方向に延びている。
第1フィルム58は、第1支持板56の+X方向の端部に固定される。第1フィルム58は、第1支持板56から+X方向に張り出している。第1フィルム58は、第1支持板56と共にZ方向に移動可能である。第1フィルム58は、シートPの折り目Fを+Z方向から覆う。
第2フィルム59は、第2支持板57の+X方向の端部に固定される。第2フィルム59は、第2支持板57から+X方向に張り出している。第2フィルム59は、シートPの折り目Fを-Z方向から覆う。
【0043】
図6は、第1の実施形態のシート処理装置200におけるローラユニット60の斜視図である。図6に示されるように、ローラユニット60は、ローラフレーム61と、折増しローラ63と、を有する。
ローラフレーム61は、Y方向から見て略C字状に形成され、-X方向に開口62を有する。開口62により、折増しユニット45に進入したシートPとローラユニット60との干渉が回避される。
【0044】
折増しローラ63は、第1ローラ64と、一対の第2ローラ65と、を有する。第1ローラ64および第2ローラ65の回転軸線は、それぞれX方向に延びる。
【0045】
第1ローラ64は、開口62の+Z方向であって、ローラフレーム61の内側に配置される。第1ローラ64は、回転可能な状態でアーム部材66により支持される。アーム部材66は、回動軸67の周りを回動可能な状態で、ローラフレーム61により支持される。アーム部材66には、コイルバネ68が装着される。
一対の第2ローラ65は、開口62の-Z方向であって、ローラフレーム61の内側に配置される。一対の第2ローラ65は、ローラフレーム61により回転可能に支持される。
【0046】
図7は、第1の実施形態の第1ローラ64および一対の第2ローラ65を示す側面図である。図7に示されるように、一対の第2ローラ65は、それぞれの回転軸線がY方向から見て重なり合うように、Y方向に並んで配置されている。一対の第2ローラ65は、Y方向に間隔をあけて配置されている。第1ローラ64の回転軸線は、Y方向において、一対の第2ローラ65の回転軸線の間にある。第1ローラ64の回転軸線は、Y方向において一対の第2ローラ65の回転軸線の中間位置Cにある。
【0047】
図8は、第1の実施形態の第1ローラ64および第2ローラ65を示す正面図である。図8に示されるように、第1ローラ64は、X方向の第1位置Aにある第1大径部641と、X方向の第2位置Bにある第1小径部642と、第1大径部641および第1小径部642の間に位置する第1テーパ部643と、を備える。第2位置Bは、第1位置Aとは異なる位置であり、第1位置Aよりも-X方向にある。なお図8に示される第1位置Aおよび第2位置Bはそれぞれ一例である。
【0048】
第1大径部641は、第1の外径でX方向に延び、シートPに接触可能な外周面を有する。第1小径部642は、第1大径部641よりも-X方向にある。第1小径部642は、第1大径部641に対してX方向に間隔をあけて位置する。第1小径部642は、第2大径部651よりも小径である。第1小径部642は、第2の外径でX方向に延び、シートPに接触可能な外周面を有する。図示の例では、第1大径部641および第1小径部642のX方向の大きさは、互いに一致している。第1テーパ部643は、円錐台状に形成されている。第1テーパ部643の外径は、X方向に沿って第1小径部642側に向かうに従い漸次縮小している。第1テーパ部643は、第1大径部641および第1小径部642それぞれの外周面に接続する外周面を有する。
【0049】
一対の第2ローラ65は、互いに同形同大に形成されている。各第2ローラ65は、X方向の第2位置Bにある第2大径部651と、X方向の第1位置Aにある第2小径部652と、第2大径部651および第2小径部652の間に位置する第2テーパ部653と、を備える。
【0050】
第2大径部651は、第3の外径でX方向に延び、シートPに接触可能な外周面を有する。本実施形態では、第3の外径は、第1の外径と等しい。第2大径部651のX方向の形成範囲は、第1小径部642のX方向の形成範囲と一致している。第2小径部652は、第2大径部651よりも+X方向にある。第2小径部652は、第2大径部651に対してX方向に間隔をあけて位置する。第2小径部652は、第1大径部641よりも小径である。第1小径部642は、第4の外径でX方向に延び、シートPに接触可能なる外周面を有する。本実施形態では、第4の外径は、第2の外径と等しい。第2小径部652のX方向の形成範囲は、第1大径部641のX方向の形成範囲と一致している。第3の外径と第4の外径との差は、第1の外径と第2の外径との差と一致している。図示の例では、第2大径部651および第2小径部652のX方向の大きさは、互いに一致している。第2テーパ部653は、X方向において第1テーパ部643と同じ位置にある。第2テーパ部653は、円錐台状に形成されている。第2テーパ部653の外径は、X方向に沿って第2大径部651側に向かうに従い漸次拡大している。第2テーパ部653は、第2大径部651および第2小径部652それぞれの外周面に接続する外周面を有する。第2テーパ部653のX方向の形成範囲は、第1テーパ部643のX方向の形成範囲と一致している。
【0051】
第1テーパ部643および第2テーパ部653は、互いに向かい合う箇所同士が平行になるように形成されている。第1ローラ64の回転軸線に対する第1テーパ部643の外周面の傾斜角度は、第2ローラ65の回転軸線に対する第2テーパ部653の外周面の傾斜角度と一致している。本実施形態では、第1ローラ64および第2ローラ65の外周面は、互いに同形同大に形成されている。
【0052】
図9は、第1の実施形態の第1ローラおよび一対の第2ローラの第3位置におけるYZ断面を示す図である。なお図9に示された第3位置は、図8に示された第2位置Bと一致している。ただし図9に示される第3位置は一例である。図9に示されるように、第1ローラ64の外径は、一対の第2ローラ65の間隔よりも大きい。具体的に、第1ローラ64のX方向の第3位置における外径は、一対の第2ローラ65のX方向の第3位置における間隔Gよりも大きい。第3位置は、第1大径部641における第1小径部642の反対側の端縁から、第1小径部642における第1大径部641の反対側の端縁にわたるX方向の範囲の全ての位置である。第1ローラ64は、その外径が一対の第2ローラ65の間隔よりも大きいことで、一対の第2ローラ65の間をY方向に通過不能である。第1ローラ64の外径がX方向の全ての位置で一対の第2ローラ65のY方向の間隔よりも大きいことで、第1大径部641の外径が一対の第2ローラ65の第2位置Bにおける間隔よりも大きい。つまり、第1大径部641の外径は、一対の第2大径部651の間隔よりも大きい。
【0053】
図8に示されるように、第1ローラ64および第2ローラ65は、Z方向に相対的に変位して、相互に接近および離間可能とされている。本実施形態では、第1ローラ64は、Z方向に不動である。第1ローラ64および各第2ローラ65は、第1フィルム58および第2フィルム59を介して互いに接触してニップを形成する。第1ローラ64は、第1フィルム58を介してシートPに+Z方向から接触する。一対の第2ローラ65は、第2フィルム59を介してシートPに第1ローラ64とは反対側である-Z方向から接触する。第2大径部651は、第1小径部642との間にシートPを挟む。第2小径部652は、第1大径部641との間にシートPを挟む。第2テーパ部653は、第1テーパ部643との間にシートPを挟む。一対の第2ローラ65は、シートPを介して第1ローラ64を均等に押圧する。第1ローラ64および各第2ローラ65は、互いの間にシートPの折り目Fを挟み込み、Y方向に沿って移動する。第1ローラ64および第2ローラ65は、シートP上を転動することで、折り目Fを押して強化する。
【0054】
図4に示されるように、駆動部70は、折増しユニット45の-Z方向にある。駆動部70は、駆動ベルト72と、モータ71と、を有する。
駆動ベルト72は、Y方向に離れた一対のプーリの間に架け回される。一対のプーリの回転軸は、X方向と平行である。駆動ベルト72の一部が、ローラユニット60に接続される。モータ71は、プーリを介して駆動ベルト72を周回移動させる。これにより、ローラユニット60がY方向に移動する。
【0055】
図3に示されるように、サドル折り機構30の動作時に、ブレード43は、シートPのZ方向の中央部を一対の折りローラ44の間に押し込む。サドル折りされた状態のシートPの+X方向の端辺に、シートPの折り目Fが形成される。一対の折りローラ44は、シートPを+X方向に移動させる。図5に示されるように、シートPの折り目Fが折増しユニット45の第1フィルム58と第2フィルム59との間に到達したところで、シートPの移動が停止する。
【0056】
本実施形態の折増しユニット45は、以下のようにシートPの折り目Fを折り増す。第2制御部90は、折増しユニット45の各部の動作を制御する。第2制御部90は、サドル折りするシートPの枚数が所定の枚数以上の場合のみ、以下の折り増し動作を行う。ただし、第2制御部90は、サドル折りするシートPの枚数によらず、以下の折り増し動作を行ってもよい。
【0057】
支持部55の第1支持板56および第1フィルム58が、-Z方向に移動する。第1支持板56および第1フィルム58と、第2支持板57および第2フィルム59との間に、シートPが挟まれる。第1フィルム58と第2フィルム59との間に、シートPの折り目Fが挟まれる。
【0058】
図4に示されるように、フレーム50の内側の-Y方向の端部が、ローラユニット60のホームポジションHPである。サドル折り機構30の非動作時に、ローラユニット60は、ホームポジションHPで待機する。ホームポジションHPにおいて、図5に示される折増しローラ63の第1ローラ64は、第2ローラ65から+Z方向に離れている。
【0059】
シートPが折増しユニット45に進入すると、ローラユニット60は、ホームポジションHPから+Y方向に移動する。ローラユニット60の移動に伴って、コイルバネ68がアーム部材66を-Z方向に引き下げる。アーム部材66に支持された第1ローラ64が、-Z方向に移動して第2ローラ65に接近する。
【0060】
第1ローラ64は、第1フィルム58の+Z方向の表面に当接する。第2ローラ65は、第2フィルム59の-Z方向の表面に当接する。第1ローラ64および第2ローラ65は、第1フィルム58および第2フィルム59を介して、シートPの折り目Fを挟み込む。図5に示されるコイルバネ68が、アーム部材66を-Z方向に付勢する。アーム部材66に支持された第1ローラ64が、第1フィルム58を介して、シートPの折り目Fを押圧する。折増しローラ63は、折り目Fに沿ってY方向に移動する。これにより、シートPの折り目Fが折り増しされる。以上の折増しユニット45による折り増し動作時には、シートPは一対の折りローラ44に挟まれた状態にある。
【0061】
図10は、第1の実施形態の折増しユニット45の動作説明図であって、シートPを挟む折増しローラ63を示す側面図である。図10に示されるように、折り増し動作時に、第1ローラ64は、一対の第2ローラ65の間に向けてシートPを押し込む。第1ローラ64および一対の第2ローラ65は、シートPを挟んだ状態でY方向に移動する。シートPの束が比較的薄い場合、第1ローラ64および一対の第2ローラ65は、+X方向から見てY方向に延びるシートPの折り目Fが撓むようにシートPを挟む。なお図10では、第1ローラ64および一対の第2ローラ65に挟まれたシートPの折り目Fが撓む前の状態を示している。
【0062】
図11は、第1の実施形態の第1ローラ64および第2ローラ65がシートPを挟む様子を示す正面図である。図11に示されるように、シートPのうち第1ローラ64および各第2ローラ65に挟まれた部分は、X方向の位置に応じてX方向に直交する方向の位置が変化することで、段差状に撓む。シートPのうち第1ローラ64および各第2ローラ65に挟まれた部分は、第1箇所PAと、第2箇所PBと、第3箇所PCと、を備える。第1箇所PAは、第1大径部641および第2小径部652に挟まれる。第2箇所PBは、第1小径部642および第2大径部651に挟まれる。第3箇所PCは、第1テーパ部643および第2テーパ部653に挟まれる。第1箇所PAは、第2箇所PBよりもシートPの折り目F寄りに位置する。第1箇所PAは、第2箇所PBよりも下方に位置する。第2箇所PBは、第1箇所PAと平行に延びている。第2箇所PBは、第1箇所PAに対し、折り目方向、およびX方向に直交するシートPの厚さ方向にずれた位置にある。第3箇所PCは、第1箇所PAおよび第2箇所PBの間に位置する。第3箇所PCは、第1テーパ部643および第2テーパ部653の外周面の形状に倣って、第1箇所PAおよび第2箇所PBに対して傾斜した方向に延びる。シートPは、折り目Fから-X方向に延びた状態から、第1ローラ64および第2ローラ65に挟まれることで、折り目方向に直交するシートPの厚さ方向に屈曲する。第1箇所PAおよび第2箇所PBには、X方向に直交する方向であって、シートPを挟む第1ローラ64および第2ローラ65が並ぶ方向に力が加わる。第3箇所PCには、第1ローラ64および第2ローラ65が並ぶ方向に対してX方向寄りに傾斜した方向に力が加わる。
【0063】
本実施形態の折増しユニット45は、第1ローラ64と、第1ローラ64との間にシートPを挟む一対の第2ローラ65と、を備える。この構成では、第1ローラ64が一対の第2ローラ65の間に向けてシートPを押し込むことで、図10に示されるように折り目Fに沿った力をシートPに加え、シートPを折り目Fの近傍で撓ませて折り目Fを強化することができる。しかし、シートPの枚数が比較的多いシート束を、第1ローラ64が一対の第2ローラ65の間に向けて十分に押し込めない場合がある。この場合には、第1ローラ64および一対の第2ローラ65によりシートPを撓ませることができず、シート束の内側にあるシートPに十分な力を加えることができない可能性がある。その結果、折り目Fを強化できない可能性がある。
【0064】
本実施形態では、折増しユニット45がさらに以下の構成を有する。第1ローラ64は、X方向の第1位置Aにある第1大径部641と、X方向の第2位置Bにある、第1大径部641よりも小径の第1小径部642と、を有する。一対の第2ローラ65のそれぞれは、X方向の第2位置Bにあり、第1小径部642との間にシートPを挟む第2大径部651、およびX方向の第1位置Aにあり、第1大径部641との間にシートPを挟む、第2大径部651よりも小径の第2小径部652を有する。この構成により、シートPのうち第1大径部641および第2小径部652に挟まれる第1箇所PAと、第1小径部642および第2大径部651に挟まれる第2箇所PBとが、シートPの厚さ方向にずれる。これにより、シートPのうち第1箇所PAと第2箇所PBとの間に位置する箇所が撓み、折り目方向に直交する、シートPの搬送方向であるX方向の力もシートPに加わる。したがって、折り目Fに沿った力だけでなく、シートPの搬送方向の力もシートPに加えて、折り目Fを確実に強化することができる。
【0065】
第1ローラ64は、第1大径部641および第1小径部642の間に位置し、X方向に沿って第1小径部642側に向かうに従い外径が漸次縮小する第1テーパ部643を有する。第2ローラ65は、第2大径部651および第2小径部652の間に位置し、X方向に沿って第2大径部651側に向かうに従い外径が漸次拡大する第2テーパ部653を有する。この構成により、シートPが第1テーパ部643および第2テーパ部653に挟まれる。シートPのうち第1箇所PAと第2箇所PBとの間に位置する第3箇所PCが第1テーパ部643および第2テーパ部653の外周面に沿って延びる。これにより、シートPが第1ローラ64および第2ローラ65に撓んだ状態で挟まれる。このため、第3箇所PCに折り目方向に直交するX方向の力をシートPに確実に加えることができる。したがって、折り目Fを確実に強化することができる。
【0066】
第1テーパ部643および第2テーパ部653の互いに向かい合う箇所同士は平行である。この構成により、第1ローラ64および第2ローラ65によってシートPの第3箇所PCを均等に挟むことができる。このため、第3箇所PCに折り目方向に直交するX方向の力をシートPに確実に加えることができる。したがって、折り目Fを確実に強化することができる。
【0067】
第1ローラ64の第1大径部641は、第1小径部642よりも+X方向にある。この構成により、シートPのうち第1大径部641によって一対の第2ローラ65の間に押し込まれる箇所が第1小径部642によって一対の第2ローラ65の間に押し込まれる箇所よりも折り目Fに近くなる。このため、折り増し動作時にシートPの折り目Fが第1大径部641によって一対の第2ローラ65の間に押し込まれるので、折り目Fが第1小径部に接触する構成と比較して、折り目Fの広範囲に第1ローラ64が接触する。このため、第1ローラ64から折り目Fに加わる力を広範囲に分散できる。また、折り目Fが第1小径部に接触する構成と比較して、折り目Fが小さな曲率半径で撓むことを抑制できる。したがって、折り増し動作時に折り目Fに過度な力が加わることを抑制できる。
【0068】
一対の第2ローラ65は、第1ローラ64よりも下方に位置し、Z方向に不動である。この構成により、シートPの下方に位置する第2ローラ65をシートPの移動経路に対してZ方向に接近離間不能とすることができる。このため、重力により垂れ下がり得るシートPを、第1ローラ64および第2ローラ65の間に安定して進入させることができる。
【0069】
第1ローラ64は、Z方向に変位可能である。第1ローラ64が有する第1小径部642は、第1ローラ64が有する第1大径部641よりも-X方向にある。この構成によれば、シートPが第2ローラ65に接近する第1ローラ64によってZ方向に押される際に、シートPのうち第1小径部642に押される箇所よりも第2大径部651に押される箇所のほうがZ方向に大きく変位する。シートPのうち第2大径部651に押される箇所は、シートPのうちその搬送方向の下流側の端部である折り目Fの近傍になるので、シートPのうち折り目Fから離れた搬送方向の上流側の部分が第1ローラ64によって押されて大きく変位することを抑制できる。したがって、折増し動作時にシートPがZ方向に変位する第1ローラ64に押されてずれることを抑制できる。
【0070】
第1ローラ64のX方向の第3位置における外径は、各第2ローラ65のX方向の第3位置における間隔よりも大きい。この構成によれば、第1ローラ64が一対の第2ローラ65の間をY方向に通過不能となる。このため、一対の第2ローラ65の間に第1ローラ64によって押し込まれるシートPが一対の第2ローラ65の間に食い込み、シートPに皺や食い込み跡などのダメージが生じることを抑制できる。
【0071】
第1大径部641の外径は、一対の第2ローラ65の第2位置Bにおける間隔よりも大きい。この構成によれば、シートPが第1位置Aで第1大径部641に引っ張られて、第2位置Bで第2ローラ65の間に過度に食い込むことを抑制できる。したがって、シートPに皺などのダメージが生じることを抑制できる。
【0072】
第1ローラ64の回転軸線は、X方向において一対の第2ローラ65の回転軸線の中間位置Cにある。この構成により、第1ローラ64および一対の第2ローラ65に挟まれるシートPに対し、第1ローラ64が各第2ローラ65側に均等に力を加えることができる。このため、シートPに皺などのダメージが生じることを抑制できる。
【0073】
本実施形態では、第1ローラ64の外径は、X方向の全ての位置で、一対の第2ローラ65の間隔よりも大きい。ただし、この構成に限定されない。第1ローラ64の外径は、X方向の少なくとも1箇所で一対の第2ローラ65の間隔よりも大きければよい。つまり、上記第3位置は、第1大径部641における第1小径部642の反対側の端縁から、第1小径部642における第1大径部641の反対側の端縁にわたるX方向の範囲の任意の位置であってもよい。これにより、第1ローラ64を一対の第2ローラ65の間をY方向に通過不能とすることができる。
【0074】
(第2の実施形態)
図12および図13を参照して、第2の実施形態について説明する。図12は、第2の実施形態の第1ローラ64および一対の第2ローラ65を示す側面図である。図12に示される第2の実施形態では、一対の第2ローラ65に対する第1ローラ64の位置が第1の実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0075】
図12に示されるように、第1ローラ64の回転軸線は、Y方向において、一対の第2ローラ65の回転軸線の間にある。第1ローラ64の回転軸線は、一対の第2ローラ65の回転軸線の中間位置Cに対して、Y方向にずれた位置にある。第1ローラ64の回転軸線は、一対の第2ローラ65の回転軸線の中間位置Cから-Y方向にずれている。本実施形態において-Y方向は、ホームポジションHP寄りである。
【0076】
図13は、第2の実施形態の折増しユニット145の動作説明図である。図13に示されるように、折り増し動作時に、第1ローラ64は、一対の第2ローラ65の間に向けてシートPを押し込む。第1ローラ64および一対の第2ローラ65は、+X方向から見てY方向に延びるシートPの折り目Fが撓むようにシートPを挟む。第1ローラ64は、-Z方向に対して各第2ローラ65の回転軸線側に傾斜した方向にシートPを押す。各第2ローラ65は、+Z方向に対して第1ローラ64の回転軸線側に傾斜した方向にシートPを押す。第1ローラ64および一対の第2ローラ65は、+X方向から見てY方向に延びるシートPの折り目Fが撓むようにシートPを挟んだ状態で、Y方向に移動する。
【0077】
本実施形態では、第1実施形態と同様の効果を奏する。これに加え、本実施形態では、第1ローラ64が一対の第2ローラ65の中間位置Cに対して-Y方向に寄って配置されている。これにより、第1ローラ64と+Y方向の第2ローラ65との間隔は、第1ローラ64と-Y方向の第2ローラ65との間隔よりも広い。このため、折増しローラ63がホームポジションHPから+Y方向に移動する際に、第1ローラ64と第2ローラ65との間にシートPが+Y方向から進入しやすい。したがって、折増しユニット145によるスムーズな折り増し動作を実現できる。
【0078】
(第3の実施形態)
図14を参照して、第3の実施形態について説明する。図14は、第3の実施形態の第1ローラ64および第2ローラ65を示す正面図である。図14に示される第3の実施形態では、第1ローラ64における第1大径部641および第1小径部642の位置関係、並びに第2ローラ65における第2大径部651および第2小径部652の位置関係が第1の実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0079】
図14に示されるように、第1ローラ64は、X方向の第1位置Aにある第1大径部641と、X方向の第2位置Bにある第1小径部642と、第1大径部641および第1小径部642の間に位置する第1テーパ部643と、を備える。第2位置Bは、第1位置Aとは異なる位置であり、第1位置Aよりも+X方向にある。各第2ローラ65は、X方向の第2位置Bにある第2大径部651と、X方向の第1位置Aにある第2小径部652と、第2大径部651および第2小径部652の間に位置する第2テーパ部653と、を備える。この構成により、本実施形態では、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0080】
上記実施形態では、折増しローラ63のそれぞれがテーパ部を有しているが、この構成に限定されない。すなわち、折増しローラは、テーパ部を有さず、大径部および小径部が互いに隣接する構成を有していてもよい。
【0081】
上記実施形態では、折増しローラは、一定の外径で延びる大径部および小径部を有しているが、この構成に限定されない。例えば、折増しローラは、その軸方向の全長にわたって円錐台状に形成され、軸方向の相違する2か所で異なる外径を有していてもよい。
【0082】
上記実施形態では、第2ローラ65がZ方向に変位不能である。しかし、第2ローラもZ方向に変位可能とされていてもよい。また、第1ローラがZ方向に変位不能とされ、一対の第2ローラがZ方向に変位可能とされていてもよい。
【0083】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、第1ローラ64は、X方向の第1位置Aにある第1大径部641と、X方向の第2位置Bにある、第1大径部641よりも小径の第1小径部642と、を有する。一対の第2ローラ65のそれぞれは、X方向の第2位置Bにあり、第1小径部642との間にシートPを挟む第2大径部651、およびX方向の第1位置Aにあり、第1大径部641との間にシートPを挟む、第2大径部651よりも小径の第2小径部652を有する。この構成により、折り目Fに沿った力だけでなく、シートPの搬送方向の力もシートPに加えて、折り目Fを確実に強化することができる。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0085】
以下に、本願の明細書および図面に記載された発明を付記する。
(付記1)
シートを折り曲げて折り目を形成する折りユニットと、
折り目方向に直交する搬送方向に沿う軸線回りに回転可能に設けられ、前記折り目方向に沿って移動する第1ローラと、
前記搬送方向に沿う軸線回りに回転可能に設けられ、前記第1ローラとの間に前記シートを挟んで前記折り目方向に沿って移動して前記折り目を折り増しする、前記折り目方向に並ぶ一対の第2ローラと、
を備え、
前記第1ローラは、前記搬送方向の第1位置にある第1大径部、および前記搬送方向の第2位置にある、前記第1大径部よりも小径の第1小径部を有し、
前記一対の第2ローラのそれぞれは、前記第2位置にあり、前記第1小径部との間に前記シートを挟む第2大径部、および前記第1位置にあり、前記第1大径部との間に前記シートを挟む、前記第2大径部よりも小径の第2小径部を有する、
シート処理装置。
(付記2)
前記第1ローラは、前記第1大径部および前記第1小径部の間に位置し、前記搬送方向に沿って前記第1小径部側に向かうに従い外径が漸次縮小する第1テーパ部を有し、
前記一対の第2ローラのそれぞれは、前記第2大径部および前記第2小径部の間に位置し、前記搬送方向に沿って前記第2大径部側に向かうに従い外径が漸次拡大する第2テーパ部を有する、
付記1に記載のシート処理装置。
(付記3)
前記第1テーパ部および前記第2テーパ部の互いに向かい合う箇所同士は、平行である、
付記2に記載のシート処理装置。
(付記4)
前記第1大径部は、前記第1小径部よりも前記搬送方向の下流側にある、
付記1から付記3のいずれか1つに記載のシート処理装置。
(付記5)
前記第1ローラおよび前記一対の第2ローラのうちいずれか一方は、他方よりも下方に位置し、前記搬送方向および前記折り目方向に直交する方向に不動である、
付記1から付記4のいずれか1つに記載のシート処理装置。
(付記6)
前記第1ローラおよび前記一対の第2ローラのうちいずれか一方は、前記搬送方向および前記折り目方向に直交する方向に変位可能であり、
前記第1小径部および前記第2小径部のうち前記一方が有する小径部は、前記第1大径部および前記第2大径部のうち前記一方が有する大径部よりも前記搬送方向の上流側にある、
付記1から付記6のいずれか1つに記載のシート処理装置。
【符号の説明】
【0086】
42…折りユニット、64…第1ローラ、65…第2ローラ、200…シート処理装置、641…第1大径部、642…第1小径部、643…第1テーパ部、651…第2大径部、652…第2小径部、653…第2テーパ部、A…第1位置、B…第2位置、C…中間位置、F…折り目、P…シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14