(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167720
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】表示制御装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/20 20060101AFI20241127BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20241127BHJP
G09G 5/377 20060101ALI20241127BHJP
G09G 5/38 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
G09G3/20 670P
G09G5/00 510Z
G09G5/00 510X
G09G5/377 100
G09G5/38
G09G3/20 M
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083979
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊波 大成
(72)【発明者】
【氏名】橋本 亜矢
(72)【発明者】
【氏名】近藤 義徳
【テーマコード(参考)】
5C080
5C182
【Fターム(参考)】
5C080CC07
5C080DD16
5C080EE05
5C080EE19
5C080GG07
5C080JJ01
5C080JJ02
5C080KK20
5C080KK47
5C182AB08
5C182AB19
5C182AB26
5C182AB31
5C182AC02
5C182AC03
5C182AC12
5C182AC43
5C182AC46
5C182BA12
5C182BA14
5C182BA28
5C182BA29
5C182BA37
5C182CA32
5C182DA70
(57)【要約】
【課題】フリーズ等の故障が発生していないことを利用者に認識させ、かつ、故障が発生した場合にその故障を利用者に正しく認識させることが可能な表示制御装置を提供する。
【解決手段】主映像信号に基づいて表示用映像を生成する主映像生成部のアプリ11と、内容が周期的に変化する副映像を生成する副映像生成部のアプリ12と、前記表示用映像と前記副映像とを合成した結果を出力映像として所定の表示機器に出力する映像合成部14とを備える。前記出力映像における前記副映像の更新周期が、利用者が内容の変化を視認可能な周期の範囲内とする。主映像生成部がフリーズして主映像が停止すると、同時に副映像の更新が停止する。利用者は表示される副映像の変化の有無を視認することで、システムの動作が正常か否かを正しく把握できる。2つのアプリ11、12は共通のOS上、又は共通のハードウェア上で動作する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の主映像信号に基づいて表示用映像を生成する主映像生成部と、
内容が周期的に変化する副映像を生成する副映像生成部と、
前記表示用映像と前記副映像とを合成した結果を出力映像として所定の表示機器に出力する映像合成部と、
を備え、少なくとも前記出力映像における前記副映像の更新周期が、利用者が前記副映像の内容の変化を視認可能な周期の範囲内である、
表示制御装置。
【請求項2】
前記主映像生成部および前記副映像生成部は、共通の電子機器上に配置され、少なくとも前記電子機器におけるハードウェアの一部分、又は基本ソフトウェアの一部分として共通の資源を利用するアプリケーションソフトウェアとしてそれぞれ構成される、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記副映像生成部は、一定の時間間隔で、内容が更新される動画像を前記副映像として生成する、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記副映像生成部は、前記出力映像における表示フレームの中で前記副映像の表示位置が一定になるように表示位置を制御する、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記主映像生成部は、外部の車載機器からの映像入力を許容し、前記車載機器からの映像信号が入力された場合に、前記映像信号を前記主映像信号として前記表示用映像を生成する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表示制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両においては、運転者の安全な運転を支援するために、例えば車載カメラで撮影したリアルタイムの映像に基づいてコンピュータが検出した障害物や歩行者の存在などの情報を運転者に分かり易く表示するような表示装置が存在する。また、運転者の利便性を高めるために車載機器と携帯端末とが連携した動作により、車両上における様々な情報の表示を制御する表示システムも開発されつつある。
【0003】
一方、コンピュータ等を用いて複雑な処理を行う様々な表示装置においては、様々な原因により一時的に動作が停止して正常な表示ができない状況になる可能性がある。例えば、複数のアプリケーションソフトウェア(アプリ)が起動しているコンピュータ上で異常な発熱やリソース不足などに起因してフリーズ状態が発生すると、複数のアプリの全ての動作が少なくとも一時的に停止することが予想される。その場合、車両上の表示システムにおいては障害物や歩行者などの重要な情報が表示されなくなり、運転の安全確保が困難になる。更に、フリーズ状態が発生している時には、システムに故障などの異常が発生していることを運転者等に知らせることもできない状態になる。
【0004】
フリーズ状態の発生を報知するための技術として、例えば特許文献1に開示された表示制御装置がある。この表示制御装置は、カメラにより撮影した映像の連続するフレーム毎に、2種類の警告用画像を交互に合成する。警告用画像は、背景画像上に、フリーズ発生を警告する報知画像を描画した画像であり、2種類の警告用画像は、報知画像と背景画像の表示色を互いに反転させた画像とされる。この表示制御装置によれば、フリーズが発生していない通常時は、中間色の画像として警告が認識されないように表示し、フリーズが発生した場合には、いずれかの警告用画像が固定的に表示されることにより、警告が知覚される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術によれば、フリーズが発生した場合には警告用画像が固定的に表示されるためフリーズ発生を認識できる。しかし、フリーズが発生していない通常状態では、報知画像色と背景画像色との中間色の画像に変化がなく、フリーズが発生していないことを確認できないため、利用者が不安を感じる場合がある。
【0007】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、フリーズ等の故障が発生していないことを利用者に認識させ、かつ、故障が発生した場合にその故障を利用者に正しく認識させることが可能な表示制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係る表示制御装置は、下記(1)を特徴としている。
(1) 所定の主映像信号に基づいて表示用映像を生成する主映像生成部と、
内容が周期的に変化する副映像を生成する副映像生成部と、
前記表示用映像と前記副映像とを合成した結果を出力映像として所定の表示機器に出力する映像合成部と、を備え、
少なくとも前記出力映像における前記副映像の更新周期が、利用者が前記副映像の内容の変化を視認可能な周期の範囲内である、
表示制御装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明の表示制御装置によれば、フリーズ等の故障が発生していないことを利用者に認識させ、かつ、故障が発生した場合にその故障を利用者に正しく認識させることができる。
【0010】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための最良の形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態における表示制御装置を含む車載表示システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、映像表示機器内部の各構成要素を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、確認用付加画像の表示内容推移例を示す状態遷移図である。
【
図4】
図4は、表示装置における画面表示例を示す正面図である。
【
図5】
図5は、車載表示システムの他の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に関する具体的な実施の形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
<表示制御装置の構成>
本発明の実施形態における表示制御装置を含む車載表示システム100の構成例を
図1に示す。
【0013】
図1に示した車載表示システム100は、映像表示機器10、外部映像生成装置20、表示ドライバ21、および表示装置22を備えている。例えば運転者が車両上に持ち込んだ自身の所有するスマートホンのような携帯端末や、当該車両上に設置された所定の電子制御ユニット(ECU)を映像表示機器10として利用できる。
【0014】
外部映像生成装置20は、例えば自車両に搭載された車載カメラで撮影されたリアルタイムの映像や、車両側で生成された映像などを外部映像SG1として生成できる。外部映像生成装置20が生成した外部映像SG1は、映像表示機器10の外部映像入力10aに入力される。
【0015】
映像表示機器10は、その内部で生成した内部映像や、外部映像入力10aに入力された外部映像SG1に基づいて生成した合成映像SG5を映像出力10bに出力できる。この合成映像SG5は、表示ドライバ21を経由して表示装置22に入力される。
【0016】
例えば、車両のインストルメントパネルの近傍に配置された車載ディスプレイや、携帯端末に備わっているディスプレイを表示装置22として利用できる。表示ドライバ21は、映像表示機器10と表示装置22との間を接続するために必要なインタフェースとして機能する。
【0017】
図1に示した映像表示機器10は、主要な構成要素として映像表示アプリ11、故障認識表示アプリ12、内部映像保存領域13、および映像合成部14を備えている。
内部映像保存領域13は、事前に用意された内部映像のデータを所定の記憶装置上に保持している。
【0018】
映像表示アプリ11は、映像表示機器10上に事前に組み込まれたアプリケーションソフトウェアである。映像表示アプリ11は、内部映像保存領域13から入力した内部映像データSG2に基づいて生成した内部映像や、外部映像入力10aに入力された状況に合わせて外部映像SG1を主表示映像SG3として出力する機能を備えている。
【0019】
故障認識表示アプリ12は、フリーズ等の故障が発生した場合にその故障発生を利用者に認識させるためのアプリケーションソフトウェアである。故障認識表示アプリ12も映像表示機器10上に事前に組み込まれている。この故障認識表示アプリ12は、一定の周期で表示内容が更新される付加画像SG4を常時生成して出力する機能を有している。
【0020】
映像合成部14は、映像表示アプリ11が出力する主表示映像SG3と、故障認識表示アプリ12が出力する付加画像SG4とを同じ映像フレーム上で合成しその結果を合成映像SG5として出力する機能を有している。映像合成部14の機能は、アプリケーションソフトウェアによって実現されてもよいし、画像合成IC(Integrated Circuit:集積回路)等の電子部品によって実現してもよい。
【0021】
映像表示機器10においては、異常な発熱やリソース不足の発生などに起因してフリーズなどの一時的な故障が発生する可能性がある。この故障は、
図1に示した故障予想範囲15の領域全体で発生することが予想される。
【0022】
映像表示機器10が正常に動作している時には、付加画像SG4の内容が周期的に更新され、その内容が合成映像SG5に反映される。その場合、運転者等の利用者は、表示装置22の画面上に表示される合成映像SG5に含まれる付加画像SG4の内容の周期的な変化を視認できるので、システムの動作が正常であることを認識できる。よって、利用者は安心感を得ることができる。
【0023】
一方、映像表示機器10上でフリーズ等の故障が発生すると、故障予想範囲15内の機能が停止するので、合成映像SG5中の付加画像SG4の内容の変化も停止する。したがって、運転者等の利用者は、表示装置22の画面上に表示される合成映像SG5に含まれる付加画像SG4の内容が変化しないことを視覚的に確認し、システムの動作に異常が生じていることを認識できる。
【0024】
<映像表示機器内部の構成例>
図1中の映像表示機器10内部の構成例を
図2に示す。
【0025】
例えばスマートホンのような携帯端末や各種車載ECUのような電子機器は、
図2に示した映像表示機器10のように、各種のハードウェアリソース、基本ソフトウェア(OS)、および各種のアプリケーションソフトウェアを含む場合が多い。
【0026】
図2の映像表示機器10は、ハードウェアリソースHWとしてCPU(中央処理装置)、メモリ、タイマなどの電子部品や電子回路を備えている。各種のアプリケーションソフトウェアは、基本ソフトウェアSW上で動作することで、それぞれの動作を実行するために必要な資源を必要に応じて容易に確保できる。
【0027】
図2の映像表示機器10は、各種のアプリケーションソフトウェアとして、標準アプリAP1および追加アプリAP2を備えている。標準アプリAP1および追加アプリAP2は、それぞれ
図1に示した映像表示アプリ11および故障認識表示アプリ12に相当する。
【0028】
したがって、
図1に示した映像表示機器10においては、
図2中の標準アプリAP1および追加アプリAP2が、同じ基本ソフトウェアSWおよびハードウェアリソースHWを少なくとも部分的に共有する。また、
図2中の標準アプリAP1および追加アプリAP2のそれぞれの機能が実質的に同時に実行される。
【0029】
ここで、標準アプリAP1の処理を実行している時に、例えばCPU等の異常発熱などに伴って処理速度が低下したり、リソース不足の状態が発生すると、標準アプリAP1の動作がフリーズ状態になる可能性がある。また、同じ基本ソフトウェアSWおよびハードウェアリソースHWを共有しているため、標準アプリAP1の動作がフリーズ状態になるとその影響が追加アプリAP2にも波及し、追加アプリAP2の動作も同時にフリーズ状態になる。
【0030】
したがって、
図1に示した映像表示機器10においても、映像表示アプリ11の動作がフリーズ状態になると、それと同時に故障認識表示アプリ12の動作もフリーズ状態になる。その結果、付加画像SG4の周期的な更新が停止し、表示装置22に表示される合成映像SG5においても、表示される付加画像SG4の変化がなくなる。
【0031】
つまり、表示装置22の画面に表示される合成映像SG5中における付加画像SG4の内容が変化する状態は、映像表示機器10の故障予想範囲15の動作が正常であることを表す。また、合成映像SG5中の付加画像SG4の変化が停止した状態は、映像表示機器10の故障予想範囲15に故障が生じていることを表す。したがって、運転者等の利用者は表示装置22の画面に表示される付加画像SG4の変化の有無から、映像表示機器10の故障予想範囲15における異常の有無を視覚的に容易に把握できる。さらに、特定の条件を満たす場合において、合成画像SG5中の主表示映像SG3の内容が変化せず、確認用付加画像32が変化する状態は、外部映像生成装置20に故障が生じていることを表す。特定の条件とは、主表示映像SG3が、外部映像生成装置20から入力した外部映像SG1であり、かつ、外部映像SG1が動きのあるものであると利用者が分かることである。例えば、外部映像SG1が、走行中の車両に搭載された車載カメラが車両の外部を撮影したリアルタイムの映像である場合には、利用者は、外部映像SG1が動きのあるものであるとわかる。したがって、車載表示システム100によれば、上述した特定の条件を満たす場合において、利用者は、表示装置22の画面に表示される主表示映像31及び確認用付加画像32の変化の有無から、外部映像生成装置20の異常の有無を視覚的に容易に把握できる。加えて、車載表示システム100によれば、外部映像生成装置20が故障していることを検知して、映像表示機器10が、表示装置22の画面上にエラーを通知したり、エラーログを残すことができる。
【0032】
<確認用付加画像の表示内容推移>
確認用付加画像の表示内容推移例を
図3に示す。
図3に示した例では、
図1に示した付加画像SG4として、4種類の確認アイコンパターンP11、P12、P13、およびP14を組み合わせた動画を利用する場合を想定している。
【0033】
また、
図3の例では4種類の確認アイコンパターンP11、P12、P13、およびP14を用いて、P11、P12、P13、P14、P11、P12、・・・の順番で周期的に付加画像SG4の内容を切り替える場合を想定している。
【0034】
図3中の各確認アイコンパターンP11、P12、P13、およびP14は、それぞれ角度が約90度、180度、270度、および360度の範囲を表す円弧状または円周状の矢印パターンを表している。
【0035】
したがって、
図3に示したように確認アイコンパターンP11~P14を一定の周期で順番に切り替える場合には、円弧状の矢印が回転するように見える動画として、装置の動作が正常である状態を表現することができる。また、フリーズ状態ではこの動画が特別な制御を必要とすることなく自然に停止することで、故障の発生を利用者に確実に認識させることができる。
【0036】
<表示装置における画面表示例>
表示装置における画面表示例を
図4に示す。
図4に示した例では、表示装置22の表示画面内に、主表示映像31と確認用付加画像32とが同時に表示されている。主表示映像31は、外部映像生成装置20から映像表示機器10に入力された外部映像SG1や、内部映像データSG2に基づいて映像表示アプリ11が生成した映像に相当する。
【0037】
確認用付加画像32は、映像表示機器10内の故障認識表示アプリ12が出力する付加画像SG4に相当する。故障認識表示アプリ12は、通常の動作を行っている時には付加画像SG4の内容を例えば
図3に示した確認アイコンパターンP11~P14のように一定の周期(例えば0.5秒毎)で繰り返し更新する。
【0038】
したがって、
図4中の表示装置22の画面に表示される確認用付加画像32の内容も通常は周期的に更新される。一方、例えば映像表示機器10の異常発熱やリソース不足の発生に起因して映像表示アプリ11の動作がフリーズすると、同時に故障認識表示アプリ12の動作もフリーズ状態になり、付加画像SG4の内容の更新が停止する。
【0039】
したがって、例えば
図4に示した表示装置22の画面において、確認用付加画像32の内容に周期的な変化が生じているときには、主表示映像31を表示するシステムの動作に異常は無い。一方、確認用付加画像32の内容に変化がない状態では、映像表示アプリ11の動作がフリーズ状態になっている可能性が高く、主表示映像31の表示内容に問題があることを意味する。
【0040】
つまり、運転者等の利用者は、表示装置22の画面中に常時表示されている確認用付加画像32の内容変化の有無を視認することで、主表示映像SG3の内容を確認しなくても、フリーズに起因するシステム動作の異常の有無を把握できる。
【0041】
図4に示した例では、画面上の予め定めた位置の表示領域P0内に確認用付加画像32が常時表示され、この確認用付加画像32の内容が一定の周期で更新される。したがって、利用者は確認用付加画像32およびその変化の有無を容易に視認できる。
【0042】
<付加画像SG4の表示形態の変形例>
表示装置22の画面に表示する合成映像SG5中の付加画像SG4の表示形態変化については、例えば以下に示すような様々な変形を想定できる。
(1)サイズ、形状、動き、色、3Dや陰影などの表示技術、文字や数字、記号、図形のいずれか、または、全ての組み合わせとして変化を表現するように、動画像として付加画像SG4を表示する。但し、この動画像の変化を利用者が視覚的に容易に確認できる必要があるので、視認しやすい位置に付加画像SG4を配置する必要がある。また、付加画像SG4の内容を更新する時間周期は、例えば0.1秒~2秒程度の範囲内に定める。
【0043】
(2)利用者が表示画面上で認識可能な3次元座標上のいずれかの軸方向に、周期的に表示位置が移動する動画像として付加画像SG4の内容を変更しても良い。但し、利用者の視認を妨げないように、付加画像SG4が移動可能な範囲を制限したり、付加画像SG4の移動速度を制限することが望ましい。
【0044】
(3)付加画像SG4のパターン形状については、円形や三角形以上の多角形を用いても良い。そして、この形状のパターンが回転するような動画像を付加画像SG4として採用しても良い。また、ある特定の領域において色が変化する動画像として付加画像SG4を表現しても良い。さらに、ある特定の領域において文字や数字がある特定の法則に従って変化する動画像として付加画像SG4を表現しても良い。
【0045】
<車載表示システム100の利点>
例えば、車両の運転者は死角となる車体後方などの領域の障害物や歩行者を車載カメラで撮影した映像により確認したい場合がある。
図1に示した車載表示システム100においては、車載カメラで撮影した映像を外部映像SG1として外部映像生成装置20から映像表示機器10に入力し、表示装置22の画面上に表示することが可能である。通常、車載カメラにより撮影された映像の変化が少ない場合など、車外の実際の状況が正しく表示されているのか、機器の不具合が発生しているのか、利用者が不安を感じる場合がある。これに対し、車載表示システム100によれば、フリーズが発生していない状態においては、主表示映像31に変化が生じない場合であっても付加画像SG4は周期的に変化するため、利用者はフリーズが発生していないことを認識でき、安心感を得ることができる。
【0046】
一方、
図1に示した映像表示機器10は、映像表示アプリ11の動作がフリーズすると、システムの構造上、同時に故障認識表示アプリ12の動作もフリーズし、付加画像SG4の変化が停止する。その結果、例えば
図4に示した表示装置22の画面上で確認用付加画像32の変化の停止を運転者は認識できる。したがって、運転者はシステムの動作が異常であることを把握し、自車両周囲の障害物や歩行者についてより慎重に確認し、安全な運転を心がけることができる。
【0047】
また、
図1中の映像表示機器10においては、故障の有無を運転者に認識させる機能を有する故障認識表示アプリ12の機能を映像表示アプリ11のハードウェアおよび基本ソフトウェアのリソースから独立させる必要がない。したがって、故障認識を可能にするために映像表示機器10の回路構成を複雑化したり部品数を増やす必要がなく、装置コストの増大を抑制できる。
【0048】
<外部映像の具体例>
外部映像生成装置20は、前述したように、自車両に搭載された車載カメラで撮影されたリアルタイムの映像を外部映像SG1として生成できる。この外部映像SG1の具体例として、前述した、バックモニタ用の車載カメラが撮影した車両後方の映像に加え、1又は複数の車載カメラが撮影した車両周囲の映像、ドライブレコーダー用の車載カメラが撮影した少なくとも車両前方を含む映像、及び、ドライバーを撮影するドライバーモニタ用の車載カメラが撮影した映像等が挙げられる。
【0049】
<車載表示システムの変形例>
車載表示システム100は、
図5に示すように、車両情報VIが映像表示機器10の外部情報入力10cに入力可能とされ、映像表示アプリ11が、車両情報VIに基づく主表示映像SG3を生成してもよい。車両情報VIの具体例として、例えば、車速やバッテリ等の車両に関わる情報、エアコン、シート、又はHUD(Head Up Display)等の車内機器の設定に関わる情報、及び、冷凍車の実温度等の、車両に接続する荷台の情報が挙げられる。映像表示アプリ11は、内部映像データSG2又は外部映像SG1にいずれかの車両情報VIを重畳した主表示映像SG3を生成する。映像表示機器10は、この主表示映像SG3と付加画像SG4とを合成した結果を合成映像SG5として出力する。したがって、
図5に示す車載表示システム100によれば、車両情報VIの表示を含む主表示映像31に変化が生じない場合であっても確認用付加画像32は周期的に変化するため、利用者はフリーズが発生していないことを認識できる。よって、利用者は、表示されている車両情報VIが正しいことを認識できるため、安心感を得ることができる。
【0050】
<補足説明>
ここで、上述した本発明に係る表示制御装置の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 所定の主映像信号(外部映像SG1等)に基づいて表示用映像(主表示映像SG3)を生成する主映像生成部(映像表示アプリ11)と、
内容が周期的に変化する副映像(付加画像SG4)を生成する副映像生成部(故障認識表示アプリ12)と、
前記表示用映像と前記副映像とを合成した結果を出力映像(合成映像SG5)として所定の表示機器(表示装置22)に出力する映像合成部(14)と、を備え、
少なくとも前記出力映像における前記副映像の更新周期が、利用者が前記副映像の内容の変化を視認可能な周期の範囲内である、
表示制御装置(映像表示機器10)。
【0051】
上記[1]の構成の表示制御装置によれば、副映像生成部が生成する副映像は内容が周期的に変化するので、故障が発生していない通常状態であれば、利用者は出力映像における副映像の変化を常時認識でき、安心感を得ることができる。また、フリーズ等の故障が発生すると、出力映像における副映像の変化が止まるので、利用者は出力映像の内容から異常であることを視覚的に認識できる。したがって、この表示制御装置によれば、主映像信号の停止の有無が分かりにくいカメラ映像などを表示する場合でも、利用者はシステムにフリーズ等の故障が生じているか否かを副映像の変化の有無を視認することで容易に把握できる。
【0052】
[2] 前記主映像生成部および前記副映像生成部は、共通の電子機器上に配置され、少なくとも前記電子機器におけるハードウェア(ハードウェアリソースHW)の一部分、又は基本ソフトウェア(SW)の一部分として共通の資源を利用するアプリケーションソフトウェアとしてそれぞれ構成される、
上記[1]に記載の表示制御装置。
【0053】
上記[2]の構成の表示制御装置によれば、主映像生成部および副映像生成部が共通の資源を利用するアプリであるため、主映像生成部の動作がフリーズすると、その影響が自然に波及して副映像生成部の動作もフリーズ状態になる。したがって、主映像生成部の故障を検出するために構成の複雑な回路を追加する必要がなく、主映像生成部と副映像生成部のそれぞれのハードウェアを独立させる必要もないので、装置コストの増大を抑制できる。
【0054】
[3] 前記副映像生成部は、一定の時間間隔で、内容が更新される動画像(例えば確認アイコンパターンP11~P14)を前記副映像として生成する、
上記[1]に記載の表示制御装置。
【0055】
上記[3]の構成の表示制御装置によれば、動画像の変化する時間間隔が一定であるため、表示される動画像の変化の有無を利用者は容易に視認できる。また、主映像と副映像との区別も容易になる。
【0056】
[4] 前記副映像生成部は、前記出力映像における表示フレームの中で前記副映像の表示位置(表示領域P0)が一定になるように表示位置を制御する、
上記[1]に記載の表示制御装置。
【0057】
上記[4]の構成の表示制御装置によれば、副映像が常にほぼ同じ位置に表示されるので、利用者は表示フレーム内の副映像の表示位置を把握しやすい。これにより、表示された副映像の視認性が向上する。
【0058】
[5] 前記主映像生成部は、外部の車載機器からの映像入力を許容し、前記車載機器からの映像信号が入力された場合に、前記映像信号を前記主映像信号として前記表示用映像を生成する、
上記[1]から[4]のいずれか一に記載の表示制御装置。
【0059】
上記[5]の構成の表示制御装置によれば、例えばスマートホンのような携帯端末と、車載機器とが連携して映像などの情報を表示する表示システムを容易に構成できる。したがって、車両を利用する利用者の利便性が向上する。
【符号の説明】
【0060】
10 映像表示機器
10a 外部映像入力
10b 映像出力
11 映像表示アプリ
12 故障認識表示アプリ
13 内部映像保存領域
14 映像合成部
15 故障予想範囲
20 外部映像生成装置
21 表示ドライバ
22 表示装置
31 主表示映像
32 確認用付加画像
100 車載表示システム
AP1 標準アプリ
AP2 追加アプリ
HW ハードウェアリソース
P0 表示領域
P11,P12,P13,P14 確認アイコンパターン
SG1 外部映像
SG2 内部映像データ
SG3 主表示映像
SG4 付加画像
SG5 合成映像
SW 基本ソフトウェア