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特開2024-167733アンジオテンシンII1型受容体阻害剤、血圧降下剤並びに高血圧症の予防及び/又は改善剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167733
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】アンジオテンシンII1型受容体阻害剤、血圧降下剤並びに高血圧症の予防及び/又は改善剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/64 20150101AFI20241127BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20241127BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241127BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20241127BHJP
   A23L 21/20 20160101ALI20241127BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20241127BHJP
【FI】
A61K35/64
A61P9/12
A61P43/00 111
A23L2/00 F
A23L2/52
A23L21/20
A23L33/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084001
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】598162665
【氏名又は名称】株式会社山田養蜂場本社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池上 志穂
(72)【発明者】
【氏名】八巻 礼訓
【テーマコード(参考)】
4B018
4B041
4B117
4C087
【Fターム(参考)】
4B018MD78
4B018ME04
4B018MF01
4B041LC10
4B041LD06
4B041LP05
4B117LC04
4B117LK20
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB22
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZA42
4C087ZC42
(57)【要約】
【課題】新規なアンジオテンシンII1型受容体阻害剤を提供する。さらに、血圧降下剤、並びに高血圧症の予防及び/又は改善剤を提供する。
【解決手段】アメリカ合衆国ハワイ州産プロポリス及び/又は台湾産プロポリスを含むアンジオテンシンII1型受容体阻害剤、オオバギ属の植物由来のプロポリスを含むアンジオテンシンII1型受容体阻害剤、当該アンジオテンシンII1型受容体阻害剤を含む血圧降下剤並びに高血圧症の予防及び/又は改善剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アメリカ合衆国ハワイ州産プロポリス及び/又は台湾産プロポリスを含むアンジオテンシンII1型受容体阻害剤。
【請求項2】
オオバギ属の植物由来のプロポリスを含むアンジオテンシンII1型受容体阻害剤。
【請求項3】
請求項1に記載のアンジオテンシンII1型受容体阻害剤を含む血圧降下剤。
【請求項4】
請求項2に記載のアンジオテンシンII1型受容体阻害剤を含む血圧降下剤。
【請求項5】
請求項1に記載のアンジオテンシンII1型受容体阻害剤を含む高血圧症の予防及び/又は改善剤。
【請求項6】
請求項2に記載のアンジオテンシンII1型受容体阻害剤を含む高血圧症の予防及び/又は改善剤。
【請求項7】
飲食品、医薬品又は医薬部外品である、請求項1~6のいずれか一項に記載の剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンジオテンシンII1型受容体阻害剤、血圧降下剤並びに高血圧症の予防及び/又は改善剤に関し、より具体的には、プロポリスを含むアンジオテンシンII1型受容体阻害剤、血圧降下剤並びに高血圧症の予防及び/又は改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
わが国における高血圧症疾患の患者数は、約1000万人(2017年)、年間医療費は約1兆8000億円であり(2017年)、高血圧症疾患による死亡数は約9600人である(2017年)。それ故、高血圧症の予防及び治療に有用で安全な血圧降下作用を有する飲食品及び医薬品が求められている。
【0003】
レニン-アンジオテンシン系は、全身血圧、体内水分量、体内電解質バランス等の恒常性調節機能に関与している。アンジオテンシンIIは強力な昇圧作用を有するペプチドであり、アンジオテンシンIIが細胞膜上のアンジオテンシンII受容体を介してその作用を示すことが知られている。
【0004】
アンジオテンシンII受容体(ATR)は、血圧の調節において重要な役割を担うGタンパク質共役受容体である。ATRには、血圧を上げる1型受容体(以下、「AT1」と称することもある)と血圧を下げる2型受容体(AT2)の2種類の受容体が存在する。血圧は、これらの2種類の受容体が協力し合うことで調節されており、この協調を制御しているのが生理活性ペプチドであるアンジオテンシンIIであり、アンジオテンシンIIがどちらの受容体に結合するかによって血圧が上昇するか下降するかが決まる。そのため、アンジオテンシンIIは高血圧症の治療に対する標的となっており、その結合を阻害するアンジオテンシン受容体拮抗薬が高血圧症の治療薬として広く使用されている。生活習慣病としても知られる高血圧症は、脳梗塞、心筋梗塞、動脈硬化など命に直結する疾患の重大な危険因子でもある(https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/embed/jaresearchresearch_results2018documents180702_201.pdf)。
【0005】
プロポリスはミツバチにより集められた樹木の樹液、植物の新芽や浸出物などがミツロウ等と混ざり合ってできた膠状の物質であり、抗菌作用、抗酸化作用、抗炎症作用、抗腫瘍作用、抗アレルギー作用などが知られている。
【0006】
プロポリスの成分はその材料となる基原植物の種類や配合率に影響されるため、採取された国又は地域によって、プロポリスに含まれる有効成分の種類や含有量とその生理活性が全く異なることが知られている。
【0007】
近年産地別プロポリスの含有成分に関する研究が進められている。例えば、バッカリスドラクンクリフォリアを主要な基原植物とするブラジル産プロポリスの主成分としては、p-クマル酸、アルテピリンC、ドルパニン、バッカリン等の桂皮酸誘導体が検出される。一方、ポプラを基原植物とする中国産、ヨーロッパ産及びオーストラリア産のプロポリスの主成分としては、クリシン、ガランギンなどのフラボノイド類が検出される。
【0008】
特許文献1では、ケルセチン、p-クマル酸及びアルテピリンCを含有し、さらにクリシン、ガランギン若しくはカフェイン酸フェネチルエステルを含有することを特徴とするプロポリスを含むアンジオテンシンII受容体拮抗用組成物が報告されている。プロポリスの産地としては、ブラジル産プロポリス、中国産プロポリス、オーストラリア産プロポリス、ウルグアイ産プロポリス、日本産プロポリスなどが挙げられており、好ましいものとしてブラジル産及び中国産プロポリスを混合したプロポリスが挙げられている。ケルセチン誘導体やp-クマル酸、アルテピリンCは、主にブラジル産プロポリスに含まれており、一方、クリシン、ガランギン、カフェイン酸フェネチルエステルは、中国産プロポリスやウルグアイ産に含まれている。そのため、これらのプロポリスは、ポリフェノール類を多く含むことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004-161664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、新規なアンジオテンシンII1型受容体阻害剤を提供することを目的とする。さらに、血圧降下剤、並びに高血圧症の予防及び/又は改善剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
プロポリスはミツバチが採取する植物を原料とするため、産地によって成分の違いが見られることから、産地により効果は異なることが予想される。そこで、本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を行ったところ、ブラジル産プロポリスに対して、基原植物が異なる、アメリカ合衆国ハワイ州産プロポリス及び台湾産プロポリス、並びにオオバギ属の植物由来のプロポリスがより優れたアンジオテンシンII1型受容体阻害作用を有することを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[7]に関する。
[1]アメリカ合衆国ハワイ州産プロポリス及び/又は台湾産プロポリスを含むアンジオテンシンII1型受容体阻害剤。
[2]オオバギ属の植物由来のプロポリスを含むアンジオテンシンII1型受容体阻害剤。
[3][1]に記載のアンジオテンシンII1型受容体阻害剤を含む血圧降下剤。
[4][2]に記載のアンジオテンシンII1型受容体阻害剤を含む血圧降下剤。
[5][1]に記載のアンジオテンシンII1型受容体阻害剤を含む高血圧症の予防及び/又は改善剤。
[6][2]に記載のアンジオテンシンII1型受容体阻害剤を含む高血圧症の予防及び/又は改善剤。
[7]飲食品、医薬品又は医薬部外品である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の剤。
【発明の効果】
【0013】
アメリカ合衆国ハワイ州産プロポリス及び台湾産プロポリス、並びにオオバギ属の植物由来のプロポリスは、優れたアンジオテンシンII1型受容体阻害作用を有しているので、アンジオテンシンII1型受容体阻害剤、血圧降下剤、並びに高血圧症の予防及び/又は改善剤の有効成分として有用である。
【0014】
また、プロポリスは、従来から食品素材として用いられてきたものであるから、安全性が高い。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0016】
なお、本明細書において「含む(comprise)」とは、「本質的にからなる(essentially consist of)」という意味と、「のみからなる(consist of)」という意味をも包含する。
【0017】
また、本明細書において「angiotensin」は、アンジオテンシンを意味する。
【0018】
本明細書において、「アンジオテンシンII1型受容体阻害」作用とは、アンジオテンシンIIと拮抗してアンジオテンシンIIのアンジオテンシンII1型受容体への結合を阻害する作用を指し、アンジオテンシンII1型受容体拮抗作用とも称される。アンジオテンシンII1型受容体阻害作用については、公知の方法に従って評価することができ、例えば、アンジオテンシンII1型受容体を発現した細胞を用いて、アンジオテンシンIIを添加したときのアンジオテンシンII結合量を測定し、試料が存在する場合と存在しない場合との測定値を比較して評価することができる。
【0019】
本発明のアンジオテンシンII1型受容体阻害剤は、アメリカ合衆国ハワイ州産プロポリス及び/又は台湾産プロポリスを有効成分として含有する。
【0020】
別の実施態様において、本発明のアンジオテンシンII1型受容体阻害剤は、オオバギ属の植物由来のプロポリスを有効成分として含有する。
【0021】
プロポリスとは、ミツバチの巣の巣壁を構成する樹脂状又は蝋状の物質であり、ミツバチが採取してきた植物の新芽や樹脂と蜂の唾液を混ぜ合わせてできた物質である。プロポリスは、例えば、常法に従い養蜂産品として入手することができる。本発明の一実施形態においてプロポリスは、アメリカ合衆国ハワイ州産及び台湾産のものを使用する。また、アメリカ合衆国ハワイ州及び台湾に加えて、中国、ヨーロッパ諸国、ロシア、オセアニア、アメリカなどの他の産地のプロポリスを組み合わせて使用してもよい。プロポリスは1種単独で又は2種以上の産地のものを組み合わせて使用することができる。
【0022】
本発明の一実施形態において用いられるプロポリスとしては、アメリカ合衆国ハワイ州及び台湾で採取されたものであれば特に限定されない。中でも、アメリカ合衆国ハワイ州産及び台湾産プロポリスとしては、基原植物がオオバギ(Macaranga)属の植物であるものが好ましい。
【0023】
本発明の別の実施形態においてプロポリスは、オオバギ(Macaranga)属の植物由来のプロポリスである。
【0024】
本発明の別の実施形態で用いられるプロポリスとしては、上記植物由来のものであれば特に限定されず、例えば、台湾、ヨーロッパ諸国、ロシア、オセアニア、アメリカなどの、いずれの産地由来のものであってもよく、中でもアメリカ合衆国ハワイ州産プロポリス及び台湾産プロポリスが好ましい。
【0025】
本発明におけるプロポリスは、例えば、プロポリス原塊であってもよく、プロポリス原塊に何らかの処理を施したプロポリス処理物であってもよい。プロポリス処理物は、例えば、プロポリス原塊に、粉砕、抽出、抽出物の濃縮又は粉末化、粉末の造粒等の処理が施されたものであってもよく、抽出後に残る抽出残渣であってもよい。すなわちプロポリス処理物は、例えば、プロポリスの粉砕物、抽出物、濃縮抽出物、抽出物粉末、抽出物顆粒、抽出残渣等であってよい。抽出は、例えば、水抽出、親水性有機溶媒抽出、超臨界抽出等であってよい。親水性有機溶媒としては、例えばエタノール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール等が挙げられる。プロポリスの抽出物は、プロポリス原塊から抽出して得られたものであってもよく、抽出後の残渣から更に抽出して得られたものであってもよい。また、抽出溶媒は1種で使用することもできるし、2種以上を任意に組み合わせて混合溶媒として用いることもできる。処理方法は1つであってよく、2つ以上を組み合わせてもよい。プロポリス処理物としては、プロポリス親水性有機溶媒抽出物が、短時間で効率的にバランスよくプロポリスの有効成分が抽出されたものであるため好ましい。プロポリス処理物はプロポリスエタノール抽出物であることが好ましい。
【0026】
プロポリスの抽出物としては、回収された抽出液(必要に応じて更に精製されたものも含む)、当該抽出液を濃縮した濃縮液、凍結乾燥、スプレードライ等により当該抽出液の溶媒が除去された固形物などが含まれる。ここで、抽出液の濃縮、凍結乾燥及びスプレードライは、常法に従って行うことができる。本発明におけるプロポリスの抽出物には、このような抽出物を粉末化した粉末、該粉末を造粒した顆粒形態なども含まれる。
【0027】
本発明のアンジオテンシンII1型受容体阻害剤中のプロポリスの含量は、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限されず、最終形態等に応じて適宜調整することができ、アンジオテンシンII1型受容体阻害剤中の、固形分全量に対して、例えば、0.00001質量%以上、0.0001質量%以上、0.001質量%以上、0.01質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、7質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上であってもよく、100質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、7質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、1質量%以下、又は0.5質量%以下であってもよい。
【0028】
本発明のアンジオテンシンII1型受容体阻害剤は、アンジオテンシンIIのアンジオテンシンII1型受容体への結合を阻害させるためにヒトに投与することもできる。本発明のアンジオテンシンII1型受容体阻害剤は、経口投与でもよく、非経口投与でもよい。経口投与は経腸投与を含み、非経口投与は局所投与を含み、特に経皮投与を含む。
【0029】
また、本発明のアンジオテンシンII1型受容体阻害剤が経口投与される場合の投与量は、有効成分、組成物、の形態及び適用方法・適用量によって異なり得るが、例えば、有効成分がプロポリスである場合、体重60kgの成人一日当たり、乾燥固形分換算で1μg~1,000mgの用量で用いることができ、3μg~500mgの用量で用いることが好ましく、5μg~250mgの用量で用いることがより好ましく、7μg~100mgがさらに好ましい。当該投与量は、摂取する人の健康状態、投与方法、有効成分の種類及び他の剤との組み合わせ等の因子に応じて、適宜増減することができる。
【0030】
本発明のアンジオテンシンII1型受容体阻害剤は、一日当たりの有効投与量が上述した範囲内にあれば、一日一回投与されてもよいし、一日二回、一日三回等、複数回に分けて投与されてもよい。本発明のアンジオテンシンII1型受容体阻害剤は、投与してすぐ効果が得られるが、1~4週間又は1か月以上、6か月以上、1年以上の継続的な投与は、効果をより持続できるため、好ましい。
【0031】
本発明のアンジオテンシンII1型受容体阻害剤は、飲食品(特に、保健、健康維持、増進等を目的とする飲食品(例えば、健康食品、機能性食品、栄養組成物(nutritional composition)、栄養補助食品、サプリメント、保健用食品、特定保健用食品、栄養機能食品、又は機能性表示食品))、医薬部外品、医薬品などとして使用することができる。また、本発明のアンジオテンシンII1型受容体阻害剤は、アンジオテンシンII1型受容体阻害作用を付与する添加剤についての意味も包含するものである。
【0032】
上記の飲食品には、上記プロポリスをそのまま使用することもでき、必要に応じて、ミネラル類、ビタミン類、フラボノイド類、キノン類、ポリフェノール類、アミノ酸、核酸、必須脂肪酸、清涼剤、結合剤、甘味料、崩壊剤、滑沢剤、着色料、香料、安定剤、ゲル化剤、防腐剤、徐放調整剤、界面活性剤、溶解剤、湿潤剤等を配合することもできる。
【0033】
飲食品には、動物(ヒトを含む)が摂取できるあらゆる飲食品が含まれる。飲食品の種類は、特に限定されず、例えば、乳製品;発酵食品(ヨーグルト等);飲料類(コーヒー、ジュース、茶飲料のような清涼飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、乳酸菌入り飲料、ヨーグルト飲料、炭酸飲料、日本酒、洋酒、果実酒のような酒等);スプレッド類(カスタードクリーム等);ペースト類(フルーツペースト等);洋菓子類(チョコレート、ドーナツ、パイ、シュークリーム、ガム、グミ、ゼリー、キャンデー、クッキー、ケーキ、プリン等);和菓子類(大福、餅、饅頭、カステラ、あんみつ、羊羹等);氷菓類(アイスクリーム、アイスキャンデー、シャーベット等);食品類(カレー、牛丼、雑炊、味噌汁、スープ、ミートソース、パスタ、漬物、ジャム等);調味料類(ドレッシング、ふりかけ、旨味調味料、スープの素等)などが挙げられる。
【0034】
飲食品の製法は特に限定されず、適宜公知の方法に従うことができる。
【0035】
サプリメントとして使用する際の投与単位形態については特に限定されず適宜選択でき、例えば、チュアブル、トローチなどの錠剤、カプセル剤、顆粒剤、液剤、散剤、シロップ、ペースト、ドリンク、グミ等が挙げられる。
【0036】
上記の医薬品には、上記プロポリスのみを使用することもでき、ビタミン、生薬など日本薬局方に記載の他の医薬成分と混合して使用することもできる。
【0037】
本発明のアンジオテンシンII1型受容体阻害剤を、医薬品として調製する場合、上記プロポリスを、医薬品において許容される成分とともに、タブレット(素錠、糖衣錠、発泡錠、フィルムコート錠、チュアブル錠、トローチ剤などを含む)、カプセル剤、丸剤、粉末剤(散剤)、細粒剤、顆粒剤、液剤、懸濁液、乳濁液、シロップ、ペースト、注射剤(使用時に、蒸留水又はアミノ酸輸液や電解質輸液等の輸液に配合して液剤として調製する場合を含む)などの形態に調製して、医薬用の製剤にすることが可能である。
【0038】
医薬品の投与は、局所的であってもよく、全身的であってもよい。投与方法には特に制限はなく、経口的又は非経口的に投与される。非経口的投与経路としては、皮下、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内若しくは動脈内への投与、経皮的投与等が挙げられる。
【0039】
本発明の医薬品には、プロポリス以外にも、必要に応じて、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、懸濁化剤、増粘剤、抗酸化剤、吸収促進剤、pH調整剤、保存剤、防腐剤、安定剤、界面活性剤、甘味剤、矯味剤、香料等の薬学的に許容される成分を適宜配合することができる。
【0040】
なお、本発明の医薬品には、医薬部外品も包含される。
【0041】
以上説明した本発明のアンジオテンシンII1型受容体阻害剤は、ヒトを含む哺乳動物(好ましくはヒト)に対して適用されるものである。
【0042】
本発明のアンジオテンシンII1型受容体阻害剤が有効成分として含有するアメリカ合衆国ハワイ州産プロポリス及び台湾産プロポリス、又はオオバギ属の植物由来のプロポリスは、後述する実施例で示されているように、アンジオテンシンII1型受容体阻害作用を有しているので、アンジオテンシンII1型受容体阻害剤の有効成分として有用である。アメリカ合衆国ハワイ州産プロポリス及び台湾産プロポリス、又はオオバギ属の植物由来のプロポリスは、アンジオテンシンIIのアンジオテンシンII1型受容体への結合を阻害することで血圧を降下させる作用を有するため、血圧降下剤並びに高血圧症の予防及び/又は改善剤の有効成分としても使用することができる。本発明の血圧降下剤は、血圧降下作用を有するものだけではなく、血圧上昇抑制作用を有するものであってもよい。本発明のアンジオテンシンII1型受容体阻害剤は、抗動脈硬化作用についても期待できる。血圧降下剤並びに高血圧症の予防及び/又は改善剤には、アンジオテンシンII1型受容体阻害剤に関する上の記載を適用することができる。すなわち、本発明の血圧降下剤並びに高血圧症の予防及び/又は改善剤におけるプロポリスの含量、用量などは上記と同様である。
【0043】
本発明の血圧降下剤並びに高血圧症の予防及び/又は改善剤は、飲食品(特に、保健、健康維持、増進等を目的とする飲食品(例えば、健康食品、機能性食品、栄養組成物、栄養補助食品、サプリメント、保健用食品、特定保健用食品、栄養機能食品、又は機能性表示食品))、医薬部外品、医薬品などとして使用することができる。また、本発明の血圧降下剤並びに高血圧症の予防及び/又は改善剤は、血圧降下作用並びに高血圧症の予防及び/又は改善作用を付与する添加剤についての意味も包含するものである。飲食品、医薬部外品、医薬品については、前述するものと同様である。
【0044】
また、本発明のアンジオテンシンII1型受容体阻害剤、血圧降下剤、並びに高血圧症の予防及び/又は改善剤は、従来から食品素材として用いられてきたプロポリスを使用するものであるから、安全性が高い。
【実施例0045】
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0046】
実施例1(プロポリス抽出物の調製)
プロポリス原塊の粉砕物に、80容量%エタノールを加えて室温で24時間撹拌して抽出した。該抽出液を濾紙(アドバンテック東洋株式会社製のNo.2)で濾過後、エバポレーターにて減圧濃縮した。濃縮液を凍結乾燥に供し、プロポリス抽出物を得た。
【0047】
試験例1(アンジオテンシンIIAT1阻害活性の測定方法)
CHO-K1細胞で発現したヒト組換えAT1は、pH7.4のTris-HCl緩衝液(Tris Hydrochloride Acid Buffer)中で使用した。ヒト組換えAT10.3μgを0.02nM[125I](Sar1,Ile8)-Angiotensin IIとアメリカ合衆国ハワイ州産及び台湾産プロポリス抽出物(オオバギ属の植物由来)とともに37℃で180分間インキュベートした。膜組織を濾過して洗浄した後、特異的に結合した[125I](Sar1,Ile8)-angiotensin IIを計数した。プロポリス抽出物を添加した場合と添加していない場合の[125I](Sar1,Ile8)-angiotensin IIの結合量を比較し、阻害率を算出した。得られた各産地のプロポリスのアンジオテンシンIIAT1阻害率を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
アメリカ合衆国ハワイ州産及び台湾産プロポリスは、特開2004-161664号公報に開示されたブラジル産プロポリスとは異なりオオバギ属の植物を基原植物とするものであり、より優れたアンジオテンシンIIAT1の阻害活性があることが表1から確認された。