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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167743
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】車両用入力装置及び車両用入力方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0354 20130101AFI20241127BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20241127BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20241127BHJP
   G06F 3/0488 20220101ALI20241127BHJP
【FI】
G06F3/0354 453
G06F3/044
G06F3/041 522
G06F3/0488
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084020
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大泉 透
(72)【発明者】
【氏名】上島 宏幸
【テーマコード(参考)】
5B087
5E555
【Fターム(参考)】
5B087AC01
5B087BC34
5E555AA04
5E555BA23
5E555BB23
5E555BC01
5E555CA41
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】ユーザの操作負荷が大きい時に、ボタン操作を認識し易くした車両用入力装置及び車両用入力方法を提供する。
【解決手段】車両の室内に設けられるボタン3と、ボタン3の下に設けられる静電センサ10と、ボタン3の表面上で所定の操作認識範囲内のタッチ操作を認識する操作認識装置50を備え、操作認識装置50は、車両の横加速度を検出し、検出された横加速度に応じて、操作認識範囲の位置、操作認識範囲の大きさ、及びタッチ操作の感度のうち少なくとも1つを制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の室内に設けられるボタンと、
前記ボタンの下に設けられる静電センサと、
前記静電センサの出力に基づき、前記ボタンの表面上で所定の操作認識範囲内のタッチ操作を認識する操作認識装置を備え、
前記操作認識装置は、
前記車両の横加速度を検出し、
検出された前記横加速度に応じて、前記操作認識範囲の位置、前記操作認識範囲の大きさ、及び前記タッチ操作の感度のうち少なくとも1つを制御する車両用入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用入力装置において、
前記操作認識装置は、前記操作認識範囲のうち前記横加速度が加わる方向に位置する領域内のタッチ操作の感度を他の領域内のタッチ操作の感度より大きくする車両用入力装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車両用入力装置において、
前記操作認識範囲内のタッチ操作の感度が、前記横加速度が加わる方向に沿って大きくなるように、前記操作認識装置はタッチ操作の感度を制御する車両用入力装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の車両用入力装置において、
前記操作認識装置は、前記横加速度が加わる方向に記操作認識範囲を大きくする車両用入力装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の車両用入力装置において、
前記操作認識装置は、前記横加速度が加わる方向に前記操作認識範囲の位置を移動させる車両用入力装置。
【請求項6】
プロセッサにより実行される、車両の室内に設けられたボタンへのタッチ操作を検出する車両用入力方法であって、
前記プロセッサは、
前記ボタンの下に設けられ静電センサの出力に基づき、前記ボタンの表面上で所定の操作認識範囲内のタッチ操作を認識し、
前記車両の横加速度を検出し、
検出された前記横加速度に応じて、前記操作認識範囲の位置、前記操作認識範囲の大きさ、及び前記タッチ操作の感度のうち少なくとも1つを制御する車両用入力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用入力装置及び車両用入力方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に取り付けて使用される車両用入力装置が知られている。例えば特許文献1記載の車両用入力装置は、不透明な板状部材であって、車両の内装の一部を提供する内装パネルと、内装パネルを車両に対して固定するための固定部と、を備える。内装パネルには、乗員が指示可能な制御内容を示す複数の図柄が配されている操作エリア部と、操作エリア部以外の部分である非操作エリア部とが設定される。操作エリア部の背面側には、 操作エリア部の表面において図柄が配されている部分であるスイッチ部に対するユーザの押下操作を検出するための押下センサと、操作エリア部の表面と直交する方向である操作面直交方向に、操作エリア部を振動させる加振装置と、が配置され、押下センサの検出結果に基づいて乗員の操作内容を特定するとともに、加振装置を振動させる制御部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2020-003792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の車両用入力装置を取り付けた車両に対して、横加速度が加わった時には、ユーザが操作エリア部を触りにくくなり、ユーザの操作を認識し難くなるという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、車両に対して横加速度が加わった時に、ボタン操作を認識し易くした車両用入力装置及び車両用入力方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、静電センサの出力に基づき、ボタンの表面上で所定の操作認識範囲内のタッチ操作を認識し、車両の横加速度を検出し、検出された横加速度に応じて、操作認識範囲の位置、操作認識範囲の大きさ、及びタッチ操作の感度のうち少なくとも1つを制御することによって、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、タッチ操作を認識し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係る車両用入力装置のブロック図である。
図2図2は、ダッシュボードの正面図である。
図3図3は、ボード、静電センサ、及びバックライトの断面図である。
図4図4は、ボードの一部を拡大した拡大平面図である。
図5図5は、風量の「+」のボタンの平面図と、x軸の正方向に横加速度が加わった時の感度の大きさの特性を示すグラフである。
図6図6は、ボードの一部を拡大した拡大平面図である。
図7図7は、ボードの一部を拡大した拡大平面図である。
図8図8は、図1に示す操作認識装置の制御フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る車両用入力装置及び車両用入力方法の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る車両用入力装置100のブロック図である。車両用入力装置は、静電センサ10、カメラ20、振動素子30、車載センサ40、及び操作認識装置50を備えている。車両用入力装置100は、車両に設けられており、ユーザが車両の室内に設けられたボタンに触れた場合に、ボタンへの入力を検知し、タッチ操作に応じた操作指令をECUに送信する。
【0010】
車両用入力装置100は車室内に設けられている。図2はダッシュボードの正面図である。なお、図2に示すxy軸について、x軸は車幅方向(車両の進行方向に対する左右方向)を示しており、y軸は車両の高さ方向を示す。図2に示すように、車室前部に位置するインストルメントパネルには、ナビゲーションシステムやオーディオシステム等の車室内のシステムを操作するためのタッチパネル式ディスプレイ1が設けられており、ディスプレイ1の下部には、ボード2が設けられている。またボード2には、タッチ操作による入力を受け付けるための複数のボタン3が配置されている。複数のボタン3は、空調システムを操作用のボタンになっており、例えば、オートエアコンのオン/オフボタン、温度設定用の上下ボタン、風量設定用のプラス/マイナスボタン、デフロスターのオン/オフボタン、デフォッガーのオン/オフボタンなどである。ボード2に設けられるメインスイッチ4がオンになると、ボタン3に含まれるアイコンが点灯し、ユーザにとってアイコンが見やすくなる。メインスイッチ4は、車両全体の電源のオンオフを制御するためのスイッチであり、パワースイッチ又はイグニッションスイッチに相当する。メインスイッチ4は機械的なスイッチである。一方、ボタン3は機械的なスイッチではなく、ボード2と一体になっており、静電容量式のタッチスイッチ(無接点スイッチ)になっている。例えば、ユーザはメインスイッチ4をオンにした後、ユーザが、空調システムをオートエアコンモードで動作させる場合には、ユーザは「AUTO」アイコンのボタンを指で触れればよい。車室前部のステアリングには、ステアリングスイッチ5が設けられている。なお、以下の説明では、車両用入力装置100をボタン3に適用した例を説明するが、車両用入力装置100はステアリングスイッチ5に適用してもよい。車両用入力装置100は、空調システムを操作するためのボタンに限らず、例えばナビゲーションシステムやオーディオシステム等のシステムを操作するためのボタンに適用してもよい。
【0011】
静電センサ10はボタン3の下(背面)に設けられ、ユーザのボタン3へのタッチ操作を検出する。ユーザの指がボタン3に触れる、又は、ボタン3に近づくと、静電センサ10に含まれる電極と指との間で電流が流れ、静電容量が変化する。静電センサ10は、この静電容量の変化を検知して検出値を操作認識装置50に出力する。
【0012】
カメラ20は、車両に搭載され、車両の室内を撮像することで室内のユーザ(乗員)を検出する。カメラ20は、撮像画像を操作認識装置50に出力する。
【0013】
振動素子30は、ボタン3の付近に設けられており、操作認識装置50によりタッチ操作を認識した時に振動素子30を振動させる。振動素子30は、圧電素子等を有している。ユーザは、振動素子30の振動を通じて、タッチ操作が正常に認識されたことを把握できる。
【0014】
車載センサ40は、加速度検出部52による横加速度の検出に使用されるセンサであって、ヨーレイトセンサ、転舵角(操舵角)を検出する転舵角センサ、加速度センサ、及び車速センサ等である。
【0015】
静電センサ10の周囲の構造を、図3を参照して説明する。図3は、ボード2、静電センサ10、振動素子30、及びバックライト60の断面図である。図3に示すyz軸について、x軸は車幅方向を示しており、z軸は車両の前後方向(車両の進行方向)を示す。なお、図4以下の図面において、xyzの軸方向は、図2及び図3に示すxyz軸と同一の方向である。静電センサ10は、電極11及び誘電体12を有している。静電センサ10の表面は、ボード2に覆われている。複数の電極11は、複数のボタン3に対応して、誘電体12の底面に設けられている。誘電体12の表面には、複数のボタン3がボード2に埋め込まれている。すなわち、複数のボタン3及び複数の電極11は誘電体12を介して対向する。また電極11の裏面には、振動素子30とバックライト60が設けられている。
【0016】
バックライト60は、複数のボタン3の下にそれぞれ設けられており、ボタン3の下から照射する。バックライト60の照度は操作認識装置50により制御できる。
【0017】
操作認識装置50は、静電センサ10の出力に基づき、ボタン3の表面上で所定の操作認識範囲内のタッチ操作を認識する。また操作認識装置50は、車両の横加速度を検出し、横加速度に応じて、操作認識範囲の位置、操作認識範囲の大きさ、及びタッチ操作の感度のうち少なくとも1つを制御する。操作認識装置50は、コントローラ(プロセッサ)であり、操作認識装置50の有する機能を発揮するための機能ブロックとして、操作認識部51と、加速度検出部52と、操作認識範囲制御部53を有している。
【0018】
操作認識部51は、静電センサ10の出力値に基づき、ボタン3のタッチ操作を認識する。具体的には、操作認識部51は、静電センサ10の出力から静電センサ10の静電容量を取得する。ユーザがボタン3へのタッチ操作をした場合には、静電センサ10の静電容量が増加する。操作認識部51は、取得した静電容量と所定の判定閾値を比較し、静電容量が判定閾値以上である場合に、タッチ操作有りと判定し、出力値が判定閾値未満である場合には、タッチ操作なしと判定する。なお、ノイズのような短時間あたりの静電容量変化を、タッチ操作有りと判定しないように、操作認識部51は、所定期間の静電容量が判定閾値以上である場合に、タッチ操作有りと判定してもよい。なお、静電センサ10は、タッチ操作時に静電容量を減少させる構造である場合には、操作認識部51は、静電容量が判定閾値未満である場合に、タッチ操作有りと判定すればよい。なお、操作認識部51は、静電容量の変化量と変化量閾値とを比較して、タッチ操作の有無を判定してもよい。
【0019】
タッチ操作有りと判定した場合には、操作認識部51は、タッチ操作を認識したボタンの操作指令をECUに出力する。例えば、ECUは、デフロスターがオフの状態で、操作認識部51から、デフロスター操作用のボタン3を操作した旨の操作指令を受信した場合には、デフロスターをオフからオンに切り替える。
【0020】
加速度検出部52は車両に加わる横加速度(横G)を検出する。横加速度は車両の車幅方向の加速度である。加速度検出部52は、車載センサ40に含まれる加速度センサから横加速度を検出する。また加速度検出部52は、ヨーレイトセンサから現在のヨーレート、車速センサから現在の車速、転舵角センサから現在の転舵角(旋回半径に対応)を取得し、取得した要素を用いた演算により横加速度を検出してもよい。加速度検出部52は、GPSシステムから車両の現在位置を取得し、ナビゲーションシステムから地図情報を取得し、車両の現在位置及び地図情報から、現在位置における道路形状や走行ルートを特定することで、横加速度を検出してもよい。例えば、車両が直線道路からカーブ路に向かって走行している場合に、加速度検出部52は、道路形状から旋回半径を特定し、地図情報で示される法定速度、あるいは、特定した旋回半径のカーブ路における通常の速度を、現在の車速とする。加速度検出部52は、自車両の走行データ、あるいは、他車両の走行データから、直線道路からカーブ路を走行する際の走行データを抽出し、角速度を求める。そして、加速度検出部52は、旋回半径、車速、及び角速度から横加速度を演算で求めてもよい。加速度検出部52は、車載センサ40の検出値及び地図情報等を組み合わせて横加速度を検出してもよい。例えば、加速度検出部52は、走行データから角速度を求める代わりに、ヨーレイトセンサの検出値を用いてもよい。
【0021】
操作認識範囲制御部53は、加速度検出部52により検出された横加速度に応じて、操作認識範囲70内のタッチ操作の感度を制御する。操作認識範囲70は、ボタン3の表面上で、タッチ操作を有効に認識できる範囲を示しており、複数のボタン3毎に決められている。図4を参照し、ボタン3の操作認識範囲70について説明する。図4はボード2の一部を拡大した拡大平面図である。操作認識範囲70は、ボタン3の表面上の閉空間で規定され、図4に示すように、ボタン3のアイコンを中心とした所定範囲である。操作認識装置50は、操作認識範囲70内の位置に応じてゲインを設定できる。例えば、電極11が平面に沿って縦方向と横方向にアレイ上に配置されており、静電センサ10は、ボタン3へのタッチ操作の位置に応じて静電容量の変化を検出できるような構造になっている。また静電センサ10の増幅回路は、電極11の座標に応じてゲインを設定できるような回路構成になっている。なお、増幅回路は、必ずしも電極11の座標ごとにゲインを変える必要はなく、操作認識範囲70内のエリア毎にゲインを変えてもよい。操作認識部51は、アレイ状に配置された電極11の座標のうち、操作認識範囲70に対応する部分で、静電容量の変化を検出した場合には、タッチ操作有りと判定する。
【0022】
図5は、操作認識範囲制御部53による感度の制御を説明するための図である。図5の上図は、風量の「+」のボタン3における70の平面図であり、下図はx軸の正方向(右側を運転席とし左側を助手席とする車両では、運転席側の方向に相当)に横加速度が加わった時の感度の大きさを示すグラフである。図5の下図において、横軸は操作認識範囲70における横座標を示し、縦軸は感度の大きさを示す。また図5の下図のグラフにおいて、点線は初期設定時の感度の大きさを示し、実線は感度制御後の感度の大きさを示す。
【0023】
操作認識範囲制御部53には、感度を大きくするか否かを判定するための感度制御用の閾値が設定されている。感度制御用の閾値は横加速度の大きさで規定される。加速度検出部52により検出された横加速度が横加速度閾値以上である場合には、操作認識範囲70におけるタッチ操作の感度を、初期設定時の感度(以下、初期感度とも称する)よりも大きくする。また操作認識範囲制御部53は、横加速度が横加速度閾値未満である場合には、タッチ操作の感度を初期感度に設定する。また操作認識範囲制御部53は、横加速度の大きさに応じて感度を大きくする際は、横加速度の方向に応じて、操作認識範囲70内のタッチ操作の感度を制御する。つまり、操作認識範囲制御部53は、操作認識範囲70のうち横加速度が加わる方向に位置する領域内のタッチ操作の感度を、他の領域の内のタッチ操作の感度より大きくする。
【0024】
例えば、車両が左に旋回するカーブ路を走行している場合には、横加速度は、図2図5に示すx軸方向(運転席側の方向)に加わる。操作認識範囲制御部53は、操作認識範囲70のうち横加速度が加わる方向(x軸の正方向)に位置する領域内のタッチ操作の感度を、他の領域(x軸の負方向に位置する領域)の内のタッチ操作の感度より大きくする。図5の例では、操作認識範囲70内のタッチ操作の感度が、横加速度が加わる方向(x軸の正方向)に沿って徐々に高くなるように、操作認識範囲制御部53は、タッチ操作の感度を制御する。また例えば右に旋回するカーブ路を走行しており、横加速度の方向がx軸の負方向(助手席側の方向)に加わり、横加速度の大きさが横加速度閾値以上である場合には、操作認識範囲70内のタッチ操作の感度が、x軸の負方向に沿って徐々に大きくように、操作認識範囲制御部53はタッチ操作の感度を制御する。
【0025】
例えば、車両がカーブ路を走行する場合には、乗員は、遠心力によって、カーブ路の外側に向かって慣性力を受ける。このとき、乗員の指はボタン3から離れやすくなり、ボタン3を触りにくくなる。本実施形態では、車両が大きな横加速度を受ける場合には、横加速度の方向に応じて、操作認識範囲70内のタッチ操作の感度を大きくする。これにより、乗員が遠心力を受けた状態でボタン3を操作する時に、ボタン3への指の押圧が小さくなったとしても、タッチ操作の感度が大きくなっているため、乗員によるタッチ操作を認識できる。その結果として、タッチ操作を認識し易くすることができる。
【0026】
なお、横加速度が加わる方向に沿って、タッチ操作の感度を大きくする場合に、操作認識範囲制御部53はタッチ操作の感度をx軸に沿って連続的に増加させてもよく、あるいは多段階的に増加させてよい。また操作認識範囲70を、x軸の正方向(右方向)とx軸の負方向のそれぞれの領域(左右領域)に分けて、操作認識範囲制御部53は、左領域と右領域のうち、横加速度が加わる方向に位置する一方の領域のタッチ操作の感度を、他方の領域のタッチ操作の感度より大きくしてもよい。また、操作認識範囲70の領域は2つに限らず3つ以上に分けてもよい。
【0027】
また操作認識装置50は、加速度検出部52により検出された横加速度に応じて、操作認識範囲70の大きさを変えてもよい。例えば、電極11が平面に沿って縦方向と横方向にアレイ上に配置されており、静電センサ10は、ボタン3へのタッチ操作の位置に応じて静電容量の変化を検出できるような構造になっている。操作認識部51は、アレイ状に配置された電極11の座標のうち、操作認識範囲70に対応する部分で、静電容量の変化を検出した場合には、タッチ操作有りと判定する。操作認識範囲制御部53は、静電容量の変化を検出可能な、電極11の座標範囲を広げることで、操作認識範囲70を大きくする。
【0028】
なお、操作認識範囲制御部53は、操作認識範囲70を設定するためには、例えば、タッチ操作の位置に応じた閾値の設定を利用してもよい。操作認識範囲制御部53は、アレイ状に配置された電極11の座標位置毎に、タッチ操作の有無を判定するための閾値を設定する。操作認識部51は、静電センサ10の静電容量が判定閾値以上である場合にタッチ操作有りと判定し、静電センサ10の静電容量が判定閾値未満である場合にタッチ操作無しと判定する。操作認識範囲制御部53は、ボタン3の表面上に位置する、静電センサ10の検出可能範囲のうち操作認識範囲70に該当する部分では、タッチ操作の有無を検出できるように判定閾値を初期値に設定する。静電センサ10の検出可能範囲は、電極11の配列された範囲に対応する。一方、操作認識範囲制御部53は、ボタン3の表面上に位置する、静電センサ10の検出可能範囲のうち操作認識範囲70に該当しない部分では、タッチ操作の有りと検出しないように判定閾値を初期値より高くする。このとき、操作認識範囲制御部53は、タッチ操作の有りと検出しないように、判定閾値を、タッチ操作で変化する静電容量の上限値以上の値に設定する。これにより、操作認識部51は、操作認識範囲70に該当しない部分のタッチ操作により、静電容量が変化した場合でも、タッチ操作無しと判断できる。そして、操作認識範囲制御部53は、電極11の座標位置毎に、判定閾値を変えることで、操作認識範囲70の大きさを変えることができる。
【0029】
操作認識範囲制御部53は、操作認識範囲70を設定するためには、例えば静電センサ10の出力波形に対する信号処理を用いてもよい。操作認識装置50は、静電センサ10の出力波形からタッチ操作の位置を特定できる。操作認識範囲制御部53は、静電センサ10の出力波形に対してフィルタリング処理を行い、電極11の外周部分からの信号波形をカットする。そして、操作認識範囲制御部53は、カットする部分を狭める、言い換えると、フィルタリング処理で通過させる信号波形を拡げることで、操作認識範囲70を大きくできる。
【0030】
操作認識範囲制御部53は、横加速度に応じて操作認識範囲70を大きくする際は、横加速度の方向に応じて、操作認識範囲70大きさを制御する。つまり、操作認識範囲制御部53は、横加速度が加わる方向に操作認識範囲70を大きくする。
【0031】
図6は、ボード2の一部を拡大した拡大平面図であり、操作認識範囲制御部53による操作認識範囲70の制御を説明するための図である。例えば、車両が左に旋回するカーブ路を走行している場合には、横加速度は図6に示すx軸の正方向(運転席側の方向)に加わる。操作認識範囲制御部53は、横加速度が加わる方向(x軸の正方向)に操作認識範囲70を大きくする。図6の例では、操作認識範囲70を囲う4辺のうち右辺を運転者側に移動させ、左辺は移動させないことで、操作認識範囲70を大きくする。一方、横加速度が図6に示すx軸の負方向(助手席側の方向)に加わる場合には、操作認識範囲制御部53は、横加速度が加わる方向(x軸の負方向)に操作認識範囲70を大きくする。これにより、乗員が遠心力を受けて、乗員の指とボタン3との間が離れ易い走行環境において、操作認識範囲70の大きさが広がるため、乗員はタッチ操作を行いやすくなる。その結果として、タッチ操作を認識し易くすることができる。
【0032】
操作認識範囲制御部53は、操作認識範囲70を設定する際には横加速度に応じて操作認識範囲70の位置を制御してもよい。また操作認識範囲制御部53は、横加速度が加わる方向に、操作認識範囲70を移動させてもよい。
【0033】
図7は、ボード2の一部を拡大した拡大平面図であり、操作認識範囲制御部53による操作認識範囲70の制御を説明するための図である。操作認識範囲70について、実線は、操作認識範囲70を移動させる前の位置を示し、点線は、操作認識範囲70を移動させた後の位置を示す。例えば、車両が左に旋回するカーブ路を走行している場合には、横加速度は図7に示すx軸の正方向(運転席側の方向)に加わる。操作認識範囲制御部53は、横加速度が加わる方向に、操作認識範囲70の位置を移動させる。つまり、操作認識範囲制御部53は、操作認識範囲70の通常時の位置から、横加速度が加わる方向に向けて、操作認識範囲70を移動させる。操作認識範囲70の通常時の位置は、横加速度の大きさが加速度閾値未満の時の、操作認識範囲70の位置である。一方、横加速度が図7に示すx軸の負方向(助手席側の方向)に加わる場合には、操作認識範囲制御部53は、横加速度が加わる方向(x軸の負方向)に、操作認識範囲70の位置を移動させる。これにより、乗員が遠心力を受けて、乗員の指とボタン3との間が離れた場合に、操作認識範囲70の位置が乗員側に近づくため、乗員はタッチ操作を行いやすくなる。その結果として、タッチ操作を認識し易くすることができる。
【0034】
次に、操作認識装置50の制御フロー(車両用入力方法)を説明する。図8は、操作認識装置50の制御フローを示すフローチャートである。なお、図6の制御フローは、メインスイッチのオン状態で実行される。ステップS1にて、加速度検出部52は横加速度を検出する。ステップS2にて、操作認識範囲制御部53は、加速度検出部52により検出された横加速度が横加速度閾値以上であるか否かを判定する。ステップS3にて、横加速度が横加速度閾値以上である場合には、操作認識範囲制御部53は、横加速度に応じて操作認識範囲70内のタッチ操作の感度を制御する。操作認識範囲制御部53は、操作認識範囲70内のタッチ操作の感度を、初期設定時の感度より大きくする。操作認識範囲制御部53は、操作認識範囲70のうち横加速度が加わる方向に位置する領域内のタッチ操作の感度を、他の領域の内のタッチ操作の感度より大きくしてもよい。ステップS4にて、操作負荷が操作負荷閾値未満である場合には、操作認識範囲制御部53は操作認識範囲70を初期設定時の感度に設定する。
【0035】
ステップS5にて、操作認識部51は、操作認識範囲70内における静電センサ10の検出値を取得する。つまり、操作認識部51は、操作認識範囲70内で変化する、静電センサ10の静電容量の検出値を取得する。ステップS6にて、操作認識部51は、静電センサ10の検出値(静電容量)が判定閾値以上であるか否かを判定する。静電センサ10の検出値(静電容量)が判定閾値以上である場合には、ステップS7にて、操作認識部51はタッチ操作有りと認識し、制御フローは終了する。静電センサ10の検出値(静電容量)が判定閾値未満である場合には、操作認識部51は、タッチ操作有りと認識せずに、制御フローは終了する。すなわち、操作認識装置50は、ステップS5~S7の制御フローを実行することで、静電センサの出力に基づき、ボタン3の表面上で所定の操作認識範囲70内のタッチ操作を認識する。なお、操作認識範囲制御部53は、横加速度に応じて、操作認識範囲70を大きく場合には、ステップS3にて、横加速度が加速度閾値以上である場合には、操作認識範囲制御部53は操作認識範囲70を大きくし、ステップS4にて、操作負荷が操作負荷閾値未満である場合には、操作認識範囲制御部53は操作認識範囲70を通常時の大きさとすればよい。また、操作認識範囲制御部53は、横加速度に応じて、操作認識範囲70の位置を制御する場合には、ステップS3にて、横加速度が加速度閾値以上である場合には、操作認識範囲制御部53は、加速度が加わる方向に操作認識範囲70の位置を移動させる、ステップS4にて、操作負荷が操作負荷閾値未満である場合には、操作認識範囲制御部53は操作認識範囲70を通常時の位置とすればよい。
【0036】
上記のように本実施形態では、車両用入力装置100は、ボタン3と、静電センサ10と、ボタン3の表面上で所定の操作認識範囲内のタッチ操作を認識する操作認識装置50を備える。操作認識装置50は、車両の横加速度を検出し、検出された横加速度に応じて、操作認識範囲70の位置、操作認識範囲70の大きさ、及びタッチ操作の感度のうち少なくとも1つを制御する。これにより、車両に横加速度が加わり、乗員がボタン3を操作しにくい走行環境においても、ボタン操作を認識し易くすることができる。
【0037】
また本実施形態において、操作認識装置50は、操作認識範囲70のうち横加速度が加わる方向に位置する領域内のタッチ操作の感度を他の領域内のタッチ操作の感度より大きくする。これにより、車両に横加速度が加わり、乗員がボタン3を操作しにくい走行環境においても、ボタン操作を認識し易くすることができる。
【0038】
また本実施形態において、操作認識範囲70内のタッチ操作の感度が、横加速度が加わる方向に沿って大きくように、操作認識装置50はタッチ操作の感度を制御する。これにより、車両に横加速度が加わり、乗員がボタン3を操作しにくい走行環境においても、ボタン操作を認識し易くすることができる。
【0039】
また本実施形態において、操作認識装置50は、横加速度が加わる方向に、操作認識範囲70を大きくする。これにより、車両に横加速度が加わり、乗員がボタン3を操作しにくい走行環境においても、ボタン操作を認識し易くすることができる。
【0040】
また本実施形態において、操作認識装置50は、横加速度が加わる方向に、操作認識範囲70を移動させる。これにより、車両に横加速度が加わり、乗員がボタン3を操作しにくい走行環境においても、ボタン操作を認識し易くすることができる。
【0041】
なお、操作認識装置50は、車両の横加速度を検出し、横加速度に応じて、操作認識範囲の位置、操作認識範囲の大きさ、及びタッチ操作の感度を制御する際には、操作認識範囲の位置、操作認識範囲の大きさ、及びタッチ操作の感度の各要素を組み合わせて制御してもよい。例えば、操作認識装置50は、検出された横加速度が加速度閾値以上である場合には、横加速度が加わる方向に沿ってタッチ操作の感度を大きくし、かつ、横加速度が加わる方向に操作認識範囲を大きくすればよい。また操作認識装置50は、横加速度の大きさが大きいほどタッチ操作の感度が大きくなるようにタッチ操作の感度を制御してもよく、横加速度の大きさが大きいほど操作認識範囲70の移動量が大きくなるように操作認識範囲70の位置を制御してもよく、横加速度の大きさが大きいほど操作認識範囲70の面積が大きくなるように、操作認識範囲70の大きさを制御してもよい。
【0042】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0043】
1 ディスプレイ
2 ボード
3 ボタン
4 メインスイッチ
5 ステアリングスイッチ
10 静電センサ
20 カメラ
30 振動素子
40 車載センサ
50 操作認識装置
51 操作認識部
52 加速度検出部
53 操作認識範囲制御部
60 バックライト
70 操作認識範囲
100 車両用入力装置
図1
図2
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図8