(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167744
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】水圧制御システム
(51)【国際特許分類】
F15B 17/00 20060101AFI20241127BHJP
F04B 1/04 20200101ALI20241127BHJP
F03C 1/047 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
F15B17/00
F04B1/04
F03C1/047
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084021
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】595112258
【氏名又は名称】株式会社リベックス
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】三木 正之
【テーマコード(参考)】
3H070
3H084
【Fターム(参考)】
3H070AA03
3H070BB03
3H070CC37
3H070DD96
3H084AA04
3H084BB30
3H084CC70
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、力伝達手段として水圧を利用し、水圧を制御し、遠隔操作も可能とする水圧制御システムを提供する。
【解決手段】水圧制御システムは、サーボモータ1と、水圧ポンプ2と、サーボモータを制御する制御装置17と、水圧ポンプと配管ユニット18により連結された水圧アクチュエータ装置21とを備えており、水圧ポンプはラジアルピストン型ポンプである。水圧ポンプは、サーボモータの回転力により駆動され、水圧アクチュエータ装置は、水圧ポンプから配管ユニットを介して供給される水により駆動する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーボモータと、水圧ポンプと、前記サーボモータを制御する制御装置と、前記水圧ポンプと配管ユニットにより連結された水圧アクチュエータ装置とを備え、
前記水圧ポンプはラジアルピストン型ポンプであり、
前記水圧ポンプは、前記サーボモータの回転力により駆動され、
前記水圧アクチュエータ装置は、前記水圧ポンプから前記配管ユニットを介して供給される水により駆動することを特徴とする水圧制御システム。
【請求項2】
前記水圧アクチュエータ装置は、ラジアルピストン型モータであることを特徴とする
請求項1記載の水圧制御システム。
【請求項3】
前記水圧アクチュエータ装置は、水圧シリンダであることを特徴とする
請求項1記載の水圧制御システム。
【請求項4】
前記配管ユニットに接続された水温調整ユニットを備えることを特徴とする請求項1記載の水圧制御システム。
【請求項5】
入力装置をさらに備え、
前記入力装置は、中央処理装置及び操作装置を有し、
前記中央処理装置は、前記操作装置を介して入力された指令に応じて、前記制御装置に指令信号を出力し、
前記制御装置は前記指令信号にしたがって前記サーボモータを制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の水圧制御システム。
【請求項6】
前記制御装置は前記入力装置に負荷信号を出力し、
前記操作装置は、前記負荷信号にしたがって力覚を提示することを特徴とする
請求項5項記載の水圧制御システム。
【請求項7】
請求項1記載の前記水圧制御システムの前記水圧ポンプと前記水圧アクチュエータ装置との間に設けられ、
前記配管ユニットに接続されたリザーバユニットと
前記配管ユニットに接続された分岐回路とを有し、
前記分岐回路は前記リザーバユニットと前記水圧アクチュエータ装置との間に設けられ、
前記リザーバユニットは温度調整機能を有するタンクを有し、
前記分岐回路は電磁弁を有し、前記電磁弁により短絡、遮断制御可能な、
前記配管ユニット間の分岐路を構成する
ことを特徴とする水温調整ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を媒介とする水圧制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、マスタ側より、離隔するスレイブ側のアクチュエータを操作する技術が知られている。(例えば特許文献1)
このような操作技術においては、マスタ側からスレイブ側に電気信号が伝達され、スレイブ側においては、電気信号に基づいて、電力により制御可能なアクチュエータ(又は電動機)が駆動する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1-133117号公報
【特許文献2】WO2014/203962(参考文献)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電磁的ノイズの多い環境、可燃性ガス等の発生リスクにより火気の使用が禁止される環境、高温のため通常の制御用電子回路の動作が保証されない環境、高い清浄度が要求される環境等の使用においては、マスタ側からスレイブ側に対する電気的制御が、必ずしも最適ではないと考えられる環境もある。
【0005】
上記課題を鑑み、本発明は、力伝達手段として水圧を利用し、水圧を制御することで、遠隔操作も可能とする水圧制御システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る水圧制御システムは、
サーボモータと、水圧ポンプと、前記サーボモータを制御する制御装置と、前記水圧ポンプと配管ユニットにより連結された水圧アクチュエータ装置とを備え、
前記水圧ポンプはラジアルピストン型ポンプであり、
前記水圧ポンプは、前記サーボモータの回転力により駆動され、
前記水圧アクチュエータ装置は、前記水圧ポンプから前記配管ユニットを介して供給される水により駆動することを特徴とする。
【0007】
このような構成の水圧制御システムとすることで、水を媒体とする水圧ポンプを介して、サーボモータの制御技術により、水圧アクチュエータ装置を制御、すなわち水圧サーボ制御することが可能となる。
【0008】
また、本発明にかかる水圧制御システムは、上記構成において、
前記水圧アクチュエータ装置は、ラジアルピストン型モータであってもよい。
【0009】
このような構成の水圧制御システムとすることで、制御されたサーボモータの回転運動を水圧アクチュエータ装置によって出力することができる。
【0010】
また、本発明にかかる水圧制御システムは、上記構成において、
前記水圧アクチュエータ装置は、水圧シリンダであってもよい。
【0011】
このような構成の水圧制御システムとすることで、水圧シリンダは、別途の切り替えバルブ等による力の伝達損失を回避しながら、制御されたサーボモータの回転運動を並進運動として出力することができる。
【0012】
また、本発明にかかる水圧制御システムは、上記構成において、
前記配管ユニットに接続された水温調整ユニットを備えてもよい。
【0013】
このような構成の水圧制御システムとすることで、作動液である水の温度を調整し、水の凍結や異常加熱による動作不良等を回避することが可能となる。
【0014】
また、本発明にかかる水圧制御システムは、上記構成において、
入力装置をさらに備え、
前記入力装置は、中央処理装置及び操作装置を有し、
前記中央処理装置は、前記操作装置を介して入力された指令に応じて、前記制御装置に指令信号を出力し、
前記制御装置は前記指令信号にしたがって前記サーボモータを制御してもよい。
【0015】
このような構成の水圧制御システムとすることで、操作者は入力装置を介してサーボモータを制御し、水圧アクチュエータ装置を操作することが可能となり、操作性を向上させることができる。
【0016】
また、本発明にかかる水圧制御システムは、上記構成において、
前記制御装置は前記入力装置に負荷信号を出力し、
前記操作装置は、前記負荷信号にしたがって力覚を提示してもよい。
【0017】
このような構成の水圧制御システムとすることで、操作者は力覚を知覚しながら水圧アクチュエータ装置を制御することができる。
【0018】
本発明に係る水温調整ユニットは、
前記水圧制御システムの前記水圧ポンプと前記水圧アクチュエータ装置との間に設けられ、
前記配管ユニットに接続されたリザーバユニットと
前記配管ユニットに接続された分岐回路とを有し、
前記分岐回路は前記リザーバユニットと前記水圧アクチュエータ装置との間に設けられ、
前記リザーバユニットは温度調整機能を有するタンクを有し、
前記分岐回路は電磁弁を有し、前記電磁弁により短絡、遮断制御可能な、
前記配管ユニット間の分岐路を構成することを特徴とする。
【0019】
このような水温調整ユニットとすることにより、少なくとも一部の水を配管ユニットからリザーバユニットに導き、温度調整して配管ユニットに戻すことにより、水を所定の温度範囲に維持することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、力の伝達手段として水圧を利用し、水圧を制御し、遠隔操作も可能とする水圧制御システムを提供することができる。
電気的制御が困難、又は回避が望まれる環境においても、本発明は好適に使用することができる。なお、本発明の水圧制御システムの使用環境が上記のような環境に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は水圧制御モジュール50の主要な構成を示す模式図である。
図1(A)は、サーボモータ1と水圧ポンプ2との接続関係を示す模式図であり、
図1(B)、
図1(C)は水圧ポンプ2の断面を示す模式図である。
【
図2】
図2は水圧制御モジュール50を利用した水圧制御システム200の主要な構成を模式的に示す図である。
図2(A)は、駆動ユニットとして水圧モータを採用した例、
図2(B)は駆動ユニットとして水圧シリンダを採用した例を示す。
【
図3】
図3は分岐回路の構成を示す図である。
図3(A)は、第1の分岐回路190の構成を示す回路図であり、
図3(B)、(C)は、第2の分岐回路192の構成を示す回路図である。
【
図4】
図4は、実施形態2にかかる水圧遠隔操作システム300の主要構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は、いずれも本発明の要旨の認定において限定的な解釈を与えるものではない。また、同一又は同種の部材については同じ参照符号を付して、説明を省略することがある。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」、「対向」、「多角形」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0023】
(実施形態1)
以下、実施形態1にかかる水圧制御モジュール50及びそれを利用した水圧制御システム200について説明する。
【0024】
図1は水圧制御モジュール50の主要な構成を示す模式図である。
図1(A)は、サーボモータ1と水圧ポンプ2との接続関係を示す模式図であり、
図1(B)、
図1(C)は水圧ポンプ2の断面を示す模式図である。水圧ポンプ2はサーボモータ1により駆動される。
なお、水圧及び水流の方向をサーボモータ1を用いて制御するため、サーボモータ1の制御の手法により、例えば操作者又はプログラムの指令に従い、水圧及び水流方向を制御することが可能となる。この意味において本発明の水圧制御は、水圧サーボ制御と称することもできる。
なお、サーボモータ1の制御については、トルク制御等の既知の制御方法を利用することができる。
【0025】
水圧制御モジュール50は、サーボモータ1と水圧ポンプ2とを備え、水圧ポンプ2は、作動液である水を連続的に吐出が可能なラジアルピストン型ポンプを採用できる。
図1に示す例において、サーボモータ1と水圧ポンプ2とは、同一の基台3上に固定されている。サーボモータ1は正転及び逆転が可能なモータが好適に使用され、サーボモータ1は、ロータに連結された回転軸芯4(回転シャフト4)を介して、出力である回転力を水圧ポンプ2側に伝達する。
なお、サーボモータ1はACサーボモータであってもよく、DCサーボモータであってもよい。
【0026】
ラジアルピストン型ポンプについては、WO2014/203962に詳細に説明されている。以下では、ラジアルピストン型ポンプである水圧ポンプ2について簡単に説明する。
【0027】
水圧ポンプ2はシャフト5(非偏心シャフト5)を有し、シャフト5には、作動液(水)の2つの流路6(第1の流路6A及び第2の流路6B)が設けられている。シャフト5はアーム7により固定され、支持されている。アーム7は基台3に固定されている。
水圧ポンプ2のシャフト5は入出力ポート8(第1の入出力ポート8)に連結されている。入出力ポート8は、水圧ポンプ2の2つの流路6と連通する2つの接続部9(第1の接続部9A、第2の接続部9B)を有している。接続部9には配管(又はチューブ)を接続することが可能である。
水圧ポンプ2は2つの流路6から、入出力ポート8の2つの接続部9を介して、作動液(水)を外部に流出(吐出)、流入(吸入)することができ、流路6は作動液である水の流出入路である。
【0028】
図1(B)は水圧ポンプ2のシャフト5の長さ方向に平行な断面図であり、
図1(C)は水圧ポンプ2のシャフト5の長さ方向に垂直な断面図である。
水圧ポンプ2は複数のピストン10(10a、10b、10c、10d、10e)を有する。ピストン10のそれぞれは、シリンダバレル11に設けられているシリンダ部12(12a、12b、12c、12d、12e)に収容されている。シャフト5の周囲は円形であり、各ピストン10は、シャフト5の周囲の外側に配置されている。また、各ピストン10は対応する各シリンダ部12の内部でシリンダバレル11の動径方向に摺動可能である。
【0029】
各シリンダ部12(12a、12b、12c、12d、12e)には、それぞれ摺動面13(13a、13b、13c、13d、13e)が設けられている。
各ピストン10(10a、10b、10c、10d、10e)は、その内部に設けられたバネSpにより、シリンダバレル11の動径方向の外向きに付勢されており、各ピストン10(10a、10b、10c、10d、10e)の底部は、それぞれ、各摺動面13(13a、13b、13c、13d、13e)に摺動可能に接触する。
【0030】
水圧ポンプ2はケーシング14を有し、ケーシング14はその内部にシリンダバレル11及びピストン10を収容する。
ケーシング14は、シャフト5の長さ方向の中心軸を中心に回転可能である。すなわち、ケーシング14の回転軸は、シャフト5の中心軸と一致する。
一方、シリンダバレル11は、シャフト5の長さ方向の中心軸(ケーシング14の回転軸)に対して所定量偏心している。そのため、シリンダバレル11は、複数のピストン10を、シャフト5に対して所定量偏心した位置に放射状に保持する。
【0031】
ケーシング14が回転すると、各摺動面13を介して各ピストン10に回転力が伝達され、シリンダバレル11とともに各ピストン10がシャフト5の回りを回転する。シリンダバレル11は、シャフト5に対して偏心しているため、シャフト5の中心軸に対して回転するとともに、シャフト5の中心軸の動径方向に対して前後に移動する。その結果、各シリンダ部12と各ピストン10により構成される内部空間Vsの体積が変化する。
さらに、シリンダバレル11の回転にともない、各内部空間Vsも回転移動し、各内部空間Vsの位置に依存して、各内部空間Vsは第1の流路6A又は第2の流路6Bに選択的に連通する。
【0032】
各内部空間Vsの体積が減少すると、その内部に収容された作動液である水は、第1の流路6A又は第2の流路6Bに吐出される。各内部空間Vsの体積が増大すると、第1の流路6A又は第2の流路6Bから作動液である水は、各内部空間Vsの内部に吸入される。
そのため、水圧ポンプ2は、第1の流路6A及び第2の流路6Bを介して、水を吐出又は吸入することができる。第1の流路6A及び第2の流路6Bを移動する水の方向は、ケーシング13の回転方向により制御可能である。例えば、ケーシング14が第1の方向に回転すると、水は第1の流路6Aから吐出されるとともに、第2の流路6Bから吸入され、ケーシング14が第1の方向と反対方向である第2の方向に回転すると、水は第2の流路6Bから吐出されるとともに、第1の流路6Aから吸入される。
第1の流路6A及び第2の流路6Bは、それぞれ入出力ポート8の第1の接続部9A及び第2の接続部9Bに連通しているため、作動液である水は、第1の接続部9A及び第2の接続部9Bを経由して、吐出又は吸入される。
【0033】
水圧ポンプ2は、第1のケース15と第2のケース16とを有している。ケーシング14は、第1のケース15と第2のケース16に固定されている。
シリンダバレル11及び各ピストン10は、ケーシング14、第1のケース15及び第2のケース16によって囲まれた水密な空間に収容されている。
ケーシング14、第1のケース15及び第2のケース16は、一体となって、シャフト5の中心軸を回転軸として回転する。
【0034】
サーボモータ1の回転軸芯4は水圧ポンプ2の第1のケース15に連結され、第1のケース15を介してケーシング14に連結されており、サーボモータ1のモータ出力はケーシング14に伝達可能である。サーボモータ1を駆動して、その回転軸芯4が回転すると、モータ出力である回転力(回転運動)がケーシング14に伝達され、ケーシング14が回転する。ピストン10の底面は、平坦な表面を有する摺動面13を介して、摺動可能にケーシング14により支持されているため、ピストン10が回転し、水圧ポンプ2は、第1の流路6A及び第2の流路6Bを介して、作動液である水を流動させることができる。
したがって、水圧ポンプ2から吐出する水の圧力、流量、及び水の流れる方向は、サーボモータ1の回転軸芯4の回転速度及び回転方向により制御することができる。すなわち、サーボモータ1により、水圧ポンプ2を駆動し(機能させ)、水圧ポンプ2からの水圧、水流方向を制御できる。
なお、サーボモータ1の回転軸芯4と第1のケース15とを、歯車やプーリーとベルトとの組み合わせを介して、回転軸芯4を第1のケース15と連結してもよいが、力の伝達損失を防止するため、好適には回転軸芯4と第1のケース15とを直接連結する。
【0035】
上記ラジアルピストン型の水圧ポンプ2は、一般的な羽根車を使用した水ポンプと異なり、ポンプ内での水の逆流等による動力の変換ロスが発生しないため、サーボモータ1の低速回転から高速回転まで、動力の伝達が可能であり、水圧ポンプ2の吐出圧は、サーボモータ1の駆動トルクに比例する。
【0036】
図2は水圧制御モジュール50を利用した水圧制御システム200の主要な構成を模式的に示す図である。
図2(A)は、駆動ユニット20として水圧アクチュエータ装置である水圧モータ21を採用した例、
図2(B)は駆動ユニット20として水圧シリンダ28(水圧アクチュエータ装置)を採用した例を示す。水圧アクチュエータ装置は、水圧モータ21により供給され(流動する)作動液である水により駆動される。
図2に示すように、水圧制御システム200は、水圧制御モジュール50と制御装置17を有する水圧制御ユニット100と、配管ユニット18(伝達ユニット)、駆動ユニット20(水圧アクチュエータユニット)を備えている。配管ユニット18は第1の配管18A及び第2の配管18Bを有している。第1の配管18A及び第2の配管18Bの一端部は、それぞれ第1の接続部9A及び第2の接続部9Bに接続されている。
また、適宜に(オプションとして)、リザーバユニット19(水管理ユニット)を備えてもよい。
以下に説明するように、水圧制御システム200は、制御装置17によってサーボモータ1を制御することにより、離隔する駆動ユニット20を遠隔操作することが可能な機能を有する。
【0037】
図2(A)及び
図2(B)のいずれの構成においても、水圧ポンプ2と駆動ユニット20とは、水を媒介として配管ユニット18により連結されており、物理的に直接的に力の伝達が双方向に可能となる。水を運動の伝達媒体として、水圧ポンプ2(及びサーボモータ1)から駆動ユニット20への力の伝達だけでなく、駆動ユニット20に作用する力(反動等)の水圧ポンプ2(及びサーボモータ1)への伝達も可能である。また、配管ユニット18には、切り替えバルブのような水圧の伝達を遮る機構はなく、切り替えバルブの開閉動作にともなう水圧の伝達遅延又は伝達の中断は発生しない。そのため、水圧制御モジュール50は、スムーズに、また連続的に駆動ユニット20を制御することができる。
【0038】
図2(A)に示す例においては、駆動ユニット20は水圧モータ21を有し、水圧モータ21は、上記ラジアルピストン型ポンプと同型の、すなわち同じ構成を有するラジアルピストン型モータを採用している。したがって、水圧モータ21は、複数のピストン10と、複数のピストン10をシャフト5に対して所定量偏心した位置に放射状に保持して収容するシリンダバレル11と、ピストン10の底面を摺動可能に支持するケーシング14を有する。
ラジアルピストン型モータは、ラジアルピストン型ポンプの逆の機構により動作する。
図1(B)に示すラジアルピストン型ポンプにおいて、第1の流路6A及び第2の流路6Bに水を流入、流出させることで、各ピストン10がラジアル方向(動径方向)に往復運動し、非偏心シャフト5の回りをシリンダバレル11及びケーシング14が回転し、その結果、第1のケース15及び第2のケース16が回転する。ケーシング14に出力シャフトを連結し、出力シャフトを介して、ケーシング14の回転運動を負荷に加えることができ、水圧モータとして機能することができる。ラジアルピストン型の水圧モータは、水流の方向に応じて回転方向を制御可能であり、水の圧力(又は流量)に応じて回転速度を制御することができる。また、水流を停止することで、ラジアルピストン型の水圧モータの制動(回転運動の停止)も可能であり、水圧モータの回転運動の加速だけでなく、減速も制御可能である。
【0039】
水圧モータ21は、入出力ポート22(第2の入出力ポート22)を有し、入出力ポート22は第3の接続部23A及び第4の接続部23Bを有している。
第3の接続部23Aは第1の配管18Aを介して第1の接続部9Aに接続され、第4の接続部23Bは第2の配管18Bを介して第2の接続部9Bに接続されている。
第3の接続部23A及び第4の接続部23Bを介して、作動液である水が流入及び流出し、水圧モータ21の第3のケース24が回転する。例えば、第1の接続部9Aから流出した水は、第1の配管18Aを経由し、第3の接続部23Aに流入し、その後第4の接続部23Bから流出し、第2の配管18Bを経由して第2の接続部9Bに流入し、循環し、或いは、水は、その反対方向に循環する。
第3のケース24は、トルクアーム26に回転可能に支持された出力シャフト25(駆動シャフト25)に連結されている。
水圧モータ21により生成された回転は、出力シャフト25を介して負荷に伝達される。
【0040】
ラジアルピストン型の水圧モータ21は、サーボモータ1により発生する駆動トルクを、殆ど損失なく、再現可能である。
そのため、制御装置17は、サーボモータ1を制御(トルク制御)することにより、水圧ポンプ2の出力を制御し、プログラムにより水圧モータ21のトルクを制御することが可能であり、水圧モータ21の回転速度を、低速回転から高速回転まで再現可能である。
【0041】
水圧ポンプ2をラジアルピストン型ポンプとし、水圧モータ21を水圧ポンプ2と同じ構成のラジアルピストン型モータとし、水圧ポンプ2に使用されているピストンの断面積と、水圧モータ21に使用されているピストンの断面積とを同じにすることで、サーボモータ1が生成した回転力を忠実に水圧モータ21に再現することができる。
【0042】
なお、水圧ポンプ2に使用されているピストンの断面積を、水圧モータ21に使用されているピストンの断面積と異なる構成としてもよい。これらの断面積の比によって、水圧ポンプ2の出力と、水圧モータ21の出力を制御することができる。例えば、水圧モータ21に使用されているピストンの断面積を、水圧ポンプ2に使用されているピストンの断面積より大きくすることで、水圧モータ21から出力される回転力(トルク)が増大することができ、回転数を減少させることも可能である。また、例えば、水圧モータ21に使用されているピストンの断面積を、水圧ポンプ2に使用されているピストンの断面積より小さくすることも可能である。負荷に与える作用に応じて、水圧モータ21に使用されているピストンの断面積と水圧ポンプ2に使用されているピストンの断面積との比を設定することができる。
【0043】
制御装置17は、コントローラ171とサーボアンプ172を有する。
コントローラ171は、所定の条件、例えば所定のトルクや所定の回転数でサーボモータ1を回転させるため、指令値(又は指令信号)をサーボアンプ172に送信し、サーボアンプ172は、その指令値に応じたトルクや回転数(回転速度)を出力するようにサーボモータ1に電力を供給する。
コントローラ171は、例えばPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)やマイコン、パソコン等を使用することができる。
【0044】
制御装置17は、センサ制御部173を有してもよい。駆動ユニット20は、水圧モータ21の出力を監視するため、出力センサを備えてもよい。出力センサとして、出力シャフト25の回転速度を検出するための回転センサ27を出力シャフト25に設置してもよい。
センサ制御部173は、回転センサ27に必要な電力を供給するとともに、回転センサ27からの信号を受信する。
回転センサ27として、例えば差動トランスを用いた回転検出器を採用することができる。差動トランスはノイズの影響を受けにくく、原子力発電設備等の電磁的ノイズの大きい場所でも、好適に使用することができる。
センサ制御部173は、回転センサ27(差動トランス)に励磁信号を供給するとともに、回転センサ27からの出力信号を受信し、出力信号に基づいて回転角度を取得し、コントローラ171に出力することができる。センサ制御部173が時計機能を有する場合、センサ制御部173は取得した回転角度から回転速度を算出し、コントローラ171に出力してもよい。
コントローラ171は、センサ制御部173からの検出値を受信し、その値をフィードバックして、サーボアンプ172を介してサーボモータ1を制御してもよい。
【0045】
水圧制御システム200はリザーバユニット19を配管ユニット18の途中に設けてもよい。リザーバユニット19は、経時的な水圧等の変化に応じて、水の供給、排出により、水圧制御システム200の水圧回路の調整を行うことができる。例えば、配管ユニット18の水圧(静水圧)を監視し、リザーバユニット19に内蔵する水圧ポンプによって、タンク内に貯蔵する水の供給や、タンク内に水を排出可能としてもよい。また、温度調整機能により、水圧回路の温度を調整してもよい。
また、リザーバユニット19に水のバイパス回路を内蔵し、水圧モータ21の初期設定等の際に、水をバイパスさせ、ティーチング作業、初期位置の設定作業等を容易化してもよい。
また、リザーバユニット19はフィルタを内蔵し、フィルタにより異物等を除去してもよい。
【0046】
また
図2(A)に示すように、リザーバユニット19と駆動ユニット20との間において、第1の配管18Aと第2の配管18Bとを繋ぐ第1の分岐回路190(水温調整用分岐回路)を設けてもよい。
図3(A)は、第1の分岐回路190の構成を示す回路図である。
図3(A)に示すように、第1の分岐回路190は流量制御弁191a(絞り弁)と電磁弁191bとを有する。電磁弁191bはノーマルクローズ型であり、オフ時には水流を遮断し、オン時には双方向に水を流すことができる。
第1の分岐回路190は、電磁弁191bをオン又はオフすることにより、配管ユニット18(第1の配管18Aと第2の配管18B)の短絡又は遮断することができる分岐路(分岐配管)を構成する。
リザーバユニット19に熱交換器等の水温調整機能を有する水タンクを設け、電磁弁191bをオン状態にすると、第1の分岐回路190により、媒体である水を、少なくとも部分的にリザーバユニット19に導き、温度調整を行うことができる。リザーバユニット19(特に水温調整機能を有する水タンク)に導かれた水は、所定の温度(0℃より高く60℃より低い温度)範囲に調整され、リザーバユニット19から配管18に戻される。
その結果、水温を監視しながら、水温が0℃以下または60℃以上とならないように制御することができる。また、流量制御弁191aは可変絞り弁であってもよい。電磁弁191bは、制御装置17により制御することができる。
なお、第1の配管18Aと第2の配管18Bの少なくとも一方に温度計を設置し、温度計の測定結果を制御装置17に入力し、水温を監視することが可能である。
また、水タンクに温度計を設け、制御装置17により水温調整機能を制御し、水タンクの温度を制御することができる。
このように、第1の分岐回路190と水温調整機能を有する水タンクを有するリザーバユニット19により水温調整ユニットを構成することができる。
水圧制御システム200で使用される作動液である水の温度を所定の範囲内(0℃より高く60℃より低い温度)に保持し、水の凍結(水温0℃以下)や異常加熱(60℃以上)による動作不良の発生等を防止することができる。
【0047】
図2(B)に示す例においては、駆動ユニット20として水圧アクチュエータ装置である水圧シリンダ28を用いている。水圧シリンダ28は、第5の接続部29A及び第6の接続部29B、ロッド30及びピストン31を有している。第5の接続部29Aは第1の配管18Aを介して第1の接続部9Aに接続され、第6の接続部29Bは第2の配管18Bを介して第2の接続部9Bに接続されている。
第5の接続部29A及び第6の接続部29Bを介して水圧シリンダ28の内部に水を流入、流出させ、ロッド30を往復運動させることができる。ロッド30の往復運動は負荷側に作用させることができる。
水圧シリンダ28を用いることで、力の伝達の損失を極力少なくして、サーボモータ1の回転運動を並進運動に変換することができる。
【0048】
水圧シリンダ28に供給される水の流量(又は圧力)、流れ方向は、サーボモータ1により制御されるため、水圧シリンダ28の出力、すなわちロッド30の移動方向、及び移動速度を直接制御することができる。水圧シリンダ28の給排水を切り替えるための別途の切り替えバルブを必要とせず、そのため切り替えバルブを制御する制御ラインを別途設ける必要もない。サーボモータ1の回転方向により、ロッド30の移動方向(縮退、延伸)を変更することができ、サーボモータ1の回転速度によって、ロッド30の移動速度を変更することができる。サーボモータ1の回転数とロッド30の移動距離との相関関係を制御装置17に設けられた記憶装置に記憶しておくことで、制御装置17はロッド30の移動量及び移動方向を制御することができる。
また、水圧ポンプ2に使用されているピストンの断面積と水圧シリンダ28にしようされている内蔵ピストン31の断面積との比を調整することで、ロッド30の負荷への圧力や移動速度を調整することができる。
【0049】
なお、駆動ユニット20は、水圧シリンダ28の出力を監視するため、出力センサを備えてもよい。出力センサとして、水圧シリンダ28のロッド30又はピストン31の位置を検出するため、変位検出器32を設けてもよい。変位検出器32として、例えば差動トランスを用いてもよい。
センサ制御部173は変位検出器32からの検出値(位置情報)をコントローラ171に出力してもよい。コントローラ171は変位検出器32からの検出値をフィードバックして、サーボアンプ172を介してサーボモータ1を制御してもよい。
なお、
図2(B)に示す例においても、適宜リザーバユニット19を設けてもよい。
【0050】
図2(B)に示す例において、過剰に水圧が付加されることを防止(過圧防止)するために第2の分岐回路192(保護用分岐回路)を水圧ポンプ2(又はリザーバユニット19)と駆動ユニット20との間に設けてもよい。
図3(B)は、第2の分岐回路192の構成を示す回路図である。
第2の分岐回路192は、第1の逆止弁193、第2の逆止弁194、リリーフ弁195、及び低圧優先形シャトル弁196を有している。低圧優先形シャトル弁196は第1のポート196a、第2のポート196b、第3のポート196c(共通ポート)を有している。なお、第2の分岐回路192は水タンクTを有してもよい。
【0051】
第1の逆止弁193の入口側は第1の配管18Aに接続され、第1の逆止弁193の出口側はリリーフ弁195に接続され、第1の配管18Aからリリーフ弁195へ向かう方向が順方向となる。第2の逆止弁194の入口側は第2の配管18Bに接続され、第2の逆止弁194の出口側はリリーフ弁195に接続され、第2の配管18Bからリリーフ弁195へ向かう方向が順方向となる。
低圧優先形シャトル弁196の第1のポート196aは第1の配管18Aに接続され、低圧優先形シャトル弁196の第2のポート196bは第2の配管18Bに接続されている。第3のポート196cは、水タンクTに接続されている。
【0052】
以下、第2の分岐回路192の動作について説明する。
第1の配管18Aに水が圧送され、水圧シリンダ28のピストン31が移動し、第2の配管18B内の水圧に対して第1の配管18A内の水圧が所定値以上に上昇すると、第1の逆止弁193からの水圧によりリリーフ弁195が開弁し、タンクTへと水が流れる。 また、低圧優先形シャトル弁196の第1のポート196aには、第1の配管18Aからの水の圧力が加わり閉弁し、低圧側となる第2のポート196bは開弁する。
リリーフ弁195から吐出する水は、第2のポート196bを介して低圧側の第2の配管18Bに流れ、駆動ユニット20(水圧シリンダ28)への過剰な水圧が加わることを防止する。
なお、リリーフ弁195から直接第2のポート196bに水が流れてもよく、リリーフ弁195からタンクTを経由して第2のポート196bに水が流れてもよい。
なお、第2の配管18Bに水が圧送され、第1の配管18A内の水圧に対して第2の配管18B内の水圧が所定値以上に上昇した場合も同様である。
【0053】
また、
図3(C)に示すように、第2の分岐回路192の低圧優先形シャトル弁196の代わりに2つの接続された第3の逆止弁197a及び第4の逆止弁197bを用いてもよい。
リリーフ弁195の出力は、第3の逆止弁197aと第4の逆止弁197bとの間の中間ポート198に接続されている。第3の逆止弁197aは一端が中間ポート198、他端が第1の配管18Aに接続され、第4の逆止弁197bは一端が中間ポート198、他端が第2の配管18Bに接続されている。第3の逆止弁197aは中間ポート198から第1の配管18Aに向かう方向、第4の逆止弁197bは中間ポート198から第2の配管18Bに向かう方向が順方向である。
図3(C)に示す回路において、例えば、第1の配管18A内の水圧が、第2の配管18B内の水圧に対して所定値以上に上昇すると、リリーフ弁195が開弁する。
リリーフ弁195から吐出する水は中間ポート198を介して、第4の逆止弁197bの順方向である第2の配管18Bへと流れる。その結果、駆動ユニット20(水圧シリンダ28)への過剰な水圧が加わることを防止することができる。
【0054】
なお、
図3(B)に示すように低圧優先形シャトル弁196を使用する場合、低圧側の配管18への水の流れを、より確実なものとすることができる。
【0055】
本水圧制御システム200においては、動力を伝達する作動液として水を採用している。水は油と比較して動粘度が非常に小さいため、圧力損失が小さく、水圧ポンプ2から駆動ユニット20に、水圧を高速で伝達することができる。サーボモータ1に連結された、特に直接的に連結されたラジアルピストン型の水圧ポンプ2によって、サーボモータ1の回転運動を忠実に水圧(又は流量、流れ方向)に変換することができ、配管ユニット18を介して、駆動ユニット20(水圧アクチュエータユニット)に高速に水圧を伝達することができる。
【0056】
水は油と比較して熱伝導率が高く、負荷が高温環境に存在する場合でも、水圧ポンプ2側、水圧ポンプ2近傍の配管ユニット18に例えば熱交換器等の冷却機構を設けることで、水圧モータ21を作動させる水の異常加熱を防止することも可能である。
【0057】
一般に、電磁的ノイズが発生しやすい状況においては、電線ケーブルを用いて遠隔のモータを制御すると、誤動作が生じるリスクが高くなる。しかし、本水圧制御システム200においては、動力を伝達する媒介が水であるため、電磁的ノイズの影響を受けることはない。また、媒介が水であるため、放射能を有する環境においても使用可能である。
【0058】
(実施形態2)
水圧制御システム200を利用して、さらに操作性を考慮した遠隔操作システムを構築することができる。従来の遠隔操作技術は、電磁気的信号によりマスタ側からスレイブ側のアクチュエータを制御するものである。しかし、水圧をサーボ制御することを可能とする水圧制御システム200を、水を媒介とした、遠隔操作システム(水圧遠隔操作システム300)として構成することができる。
【0059】
図4は、実施形態2にかかる水圧遠隔操作システム300の主要構成を示す。
水圧遠隔操作システム300は、マスタMSとスレイブSLとを有する。マスタMSは主要構成要素として入力装置33と水圧制御ユニット100(制御装置17、サーボモータ1、水圧ポンプ2)を含み、スレイブSLは主要構成要素である駆動ユニット20としての水圧モータ21を含む。
さらに、水圧制御ユニット100に、操作者がリアルタイムでサーボモータ1を制御するために入力装置33を設け、水圧遠隔操作システム300を構成することができる。
マスタ側の入力装置33、制御装置17、サーボモータ1及び水圧モータ21は、好適には、それぞれ近距離(例えば非限定的に数m以内)の範囲内に設置されるが、制御装置17、サーボモータ1及び水圧モータ21を近距離に配置し、入力装置33を制御装置17に対して遠隔地に設置してもよい。
【0060】
水圧ポンプ2の吐出水圧はサーボモータ1による駆動トルクに比例する。水圧遠隔操作システム300において、水圧ポンプ2と駆動ユニット20である水圧モータ21とをラジアルピストン型で構成し、配管ユニット18(第1の配管18A及び第2の配管18B)により水圧ポンプ2と水圧モータ21とを連結することにより、水圧ポンプ2から水圧モータ21へ、及び水圧モータ21から水圧ポンプ2へと、物理的に相互にトルクが伝達される。
【0061】
さらに水圧によるトルクの伝達損失は小さいという利点を有するため、マスタ側のサーボモータ1のトルクを検出し、水圧モータ21のトルク又は負荷状態(抵抗力)をモニターすることも可能となる。また、サーボモータ1の駆動電流値を計測し、簡易的にサーボモータ1のトルクを検出し、水圧モータ21のトルクをモニターすることも可能となる。
【0062】
水圧遠隔操作システム300は、水圧モータ21の状態を監視するために、スレイブSL側にセンサ36(出力センサ)、例えば回転角検出器、を有してもよい。センサ36により、水圧モータ21の回転数をリアルタイムに検出することができる。
センサ36の出力を制御装置17にフィードバックし、制御装置17によってサーボモータ1の制御を実行してもよい。また、制御装置17は、センサ36の動作に必要な電力、信号を供給することができる。
【0063】
入力装置33は、中央処理装置330、操作装置331を有する。操作装置331は、タッチパネル、キーボードや、ジョイスティック、レバー、ハンドル等であってもよい。操作者は、入力装置33の操作装置331を介して、中央処理装置330に指令(所望する操作内容)を入力し、入力装置33(中央処理装置330)は、サーボモータ1を駆動するために、入力された指令に応じて、制御装置17に指令信号(指令値)を出力する。操作装置331として、操作者のリアルタイムの操作に有利な、ジョイスティック、レバー、ハンドル等が好適に採用される。制御装置17は、入力された指令信号にしたがって、サーボモータ1を制御する。
入力装置33と制御装置17との通信は、電気的又は電磁気的な通信であり、有線通信であってもよく、無線通信であってもよい。さらに、インターネットを介して入力装置33と制御装置17とを通信してもよい。
【0064】
入力装置33は表示装置332を有してもよい。表示装置332は、水圧モータ21又は負荷35の状態をリアルタイムで確認することができる。例えば、図示しないカメラで負荷35を撮影し、カメラからの画像信号を表示装置332により、リアルタイムで可視化してもよい。または、負荷35に設けた位置センサ、回転センサ等の出力を可視化してもよい。
操作者は、表示装置332により負荷35側の状況を確認しながら、サーボモータ1を制御することができる。
また、各種のセンサからの情報を基に、仮想現実(バーチャルリアリティー)により、模擬的に負荷35の状況を表示することを可能としてもよい。
また、入力装置33はスピーカーを有してもよい。スピーカーを用い、サーボモータ1、水圧モータ21、又は負荷35に加わるトルクを音(例えば音の高低、音量等)により、操作者に知覚させてもよい。
【0065】
制御装置17、特に内蔵されているサーボアンプ172が、サーボモータ1のトルク値等を負荷信号34として出力し、入力装置33が負荷信号34を入力するように構成してもよい。入力装置33の中央処理装置330は負荷信号34に基づき、操作装置331を制御し、力覚として抵抗力を提示し、操作者に力覚を与えるように構成してもよい。例えば、操作装置331がジョイスティックの場合、ジョイスティックに、負荷信号34に応じた制動力を加え、力覚を提示することができる。
例えば、水圧モータ21が負荷35から受ける抵抗力や反動力を入力装置33にフィードバックして、操作者はジョイスティック等の操作装置331を介して、力覚として知覚することができる。この場合、操作装置331は力覚提示装置となる。
なお、センサ36により水圧モータ21に加わるトルクを検出し、その検出値を制御装置17にフィードバックして、サーボモータ1を制御してもよく、また、入力装置33の力覚提示装置である操作装置331により操作者に力覚として知覚させてもよい。
【0066】
このように水圧遠隔操作システム300によれば、操作者はマスタ側の操作装置331を操作し、スレイブ側の水圧モータ21の動作を制御し、負荷35に対して必要な処理を施すことができる。
【0067】
なお、駆動ユニット20として水圧モータ21を用いる例について説明したが、駆動ユニット20として水圧シリンダ28を用いてもよい。センサ36(出力センサ)として変位検出器を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明によれば、力の伝達手段として水圧を利用し、水圧をサーボ制御することによって、遠隔操作を可能とする水圧制御ユニット及び水圧制御システムを提供することができる。そのため、電磁ノイズの多い状況や、火気を避ける必要がある環境、清浄度を要する環境においても、本水圧制御システムを使用することができる。さらに水圧遠隔操作システムを構築することが可能となり、操作者の操作性を高めることができる。
本システムは、様々な環境において採用が可能であり、産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0069】
1 サーボモータ
2 水圧ポンプ
3 基台
4 回転軸芯(回転シャフト)
5 シャフト(非偏心シャフト)
6 流路
6A 第1の流路
6B 第2の流路
7 アーム
8 入出力ポート(第1の入出力ポート)
9 接続部
9A 第1の接続部
9B 第2の接続部
10、10a、10b、10c、10d、10e ピストン
11 シリンダバレル
12、12a、12b、12c、12d、12e シリンダ部
13、13a、13b、13c、13d、13e 摺動面
14 ケーシング
15 第1のケース
16 第2のケース
17 制御装置
171 コントローラ
172 サーボアンプ
173 センサ制御部
18 配管ユニット(伝達ユニット)
18A 第1の配管
18B 第2の配管
19 リザーバユニット(水管理ユニット)
20 駆動ユニット(水圧アクチュエータユニット)
21 水圧モータ(水圧アクチュエータ装置)
22 入出力ポート(第2の入出力ポート)
23A 第3の接続部
23B 第4の接続部
24 第3のケース
25 出力シャフト(駆動シャフト)
26 トルクアーム
27 回転センサ
28 水圧シリンダ(水圧アクチュエータ装置)
29A 第5の接続部
29B 第6の接続部
30 ロッド
31 ピストン
32 変位検出器
33 入力装置
330 中央処理装置
331 操作装置
332 表示装置
34 負荷信号
35 負荷
36 センサ(出力センサ)
50 水圧制御モジュール
190 第1の分岐回路(水温調整用分岐回路)
191a 流量制御弁(絞り弁)
191b 電磁弁
192 第2の分岐回路(保護用分岐回路)
193 第1の逆止弁
194 第2の逆止弁
195 リリーフ弁
196 低圧優先形シャトル弁
196a 第1のポート
196b 第2のポート
196c 第3のポート(共通ポート)
197a 第3の逆止弁
197b 第4の逆止弁
198 中間ポート
100 水圧制御ユニット
200 水圧制御システム
300 水圧遠隔操作システム
MS マスタ
SL スレイブ
Vs 内部空間
T 水タンク