IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日産自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-配車管理システム及び車両管理方法 図1
  • 特開-配車管理システム及び車両管理方法 図2
  • 特開-配車管理システム及び車両管理方法 図3
  • 特開-配車管理システム及び車両管理方法 図4A
  • 特開-配車管理システム及び車両管理方法 図4B
  • 特開-配車管理システム及び車両管理方法 図5
  • 特開-配車管理システム及び車両管理方法 図6
  • 特開-配車管理システム及び車両管理方法 図7
  • 特開-配車管理システム及び車両管理方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167747
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】配車管理システム及び車両管理方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20241127BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20241127BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084025
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】綿貫 彩加
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5H181AA14
5H181AA15
5H181BB04
5H181FF03
5H181MA02
5H181MA05
5H181MA42
5H181MA48
5L049CC42
5L050CC42
(57)【要約】
【課題】 利用者の移動に供する車両に無人車両と有人車両とが混在する場合に、無人車両の地図情報量の加増頻度を向上して車両間の地図情報量のばらつきを改善することができる配車管理システム及び車両管理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 配車管理システム1は、複数車両の運行を管理する配車管理装置10と、自動運転車の走行を制御する制御装置500bとを備え、配車管理装置10は、一の車両Vに他の車両Vが追従走行可能と判定した場合、該他の車両Vの制御装置500bに該一の車両Vに追従走行する指示を行い、制御装置500bは、測量地図データベース540を更新する地図更新部570を有し、該追従走行する指示を受け取った場合に該一の車両Vに追従走行するように該他の車両Vを制御し、地図更新部570は、該追従走行中に取得した測量情報に基づき測量地図データベース540を更新する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者又は荷物の移動に供する車両として、ドライバが運転する有人運転車と、自律走行及び追従走行が可能な自動運転車とを含む複数の車両を運行する配車管理システムであって、
前記複数の車両の運行を管理する管理装置と、
前記自動運転車に搭載され、前記管理装置の指示に従って前記自動運転車の走行を制御する車両制御装置と、
を備え、
前記管理装置は、
一の車両の走行予定経路と、前記自動運転車である他の車両の走行予定経路とに基づき、前記一の車両に前記他の車両が追従走行可能な状況にあるか否かを判定し、
前記追従走行可能な状況にあると判定した場合には、前記他の車両の前記車両制御装置に対し、前記一の車両に追従走行する指示を行い、
前記他の車両の前記車両制御装置は、
該車両制御装置が利用可能な地図情報を更新する地図更新部を有し、
前記追従走行する指示を受け取った場合に、前記一の車両に追従走行するように前記他の車両の走行を制御し、
前記地図更新部は、前記他の車両が追従走行中に取得した情報に基づき、該車両制御装置が利用可能な地図情報を更新する
ことを特徴とする配車管理システム。
【請求項2】
前記管理装置は、
前記一の車両の走行予定経路と前記他の車両の走行予定経路とに共通する地点がある場合に、前記他の車両が前記追従走行可能な状況にあると判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の配車管理システム。
【請求項3】
前記管理装置は、
前記共通する地点に基づいて前記一の車両の走行予定経路に前記他の車両が合流可能な合流地点又は前記合流可能な合流区間を決定し、
前記他の車両の前記車両制御装置に前記合流地点又は前記合流区間を送信して、前記他の車両の前記車両制御装置に対し前記追従走行する指示を行う
ことを特徴とする請求項2に記載の配車管理システム。
【請求項4】
前記他の車両の前記車両制御装置が利用可能な地図情報は、前記他の車両が自律走行可能な経路を示し、
前記他の車両の前記車両制御装置は、
該地図情報が示す自律走行経路に基づいて前記他の車両の走行予定経路を導出する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の配車管理システム。
【請求項5】
前記管理装置は、
前記一の車両の走行予定経路が、前記他の車両の前記車両制御装置が利用可能な地図情報に含まれるか否かを判定し、
前記一の車両の走行予定経路が該地図情報に含まれない、且つ前記他の車両が前記追従走行可能な状況にあると判定した場合に、前記他の車両の前記車両制御装置に前記追従走行する指示を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の配車管理システム。
【請求項6】
前記管理装置は、
少なくとも利用者の乗車希望地が示された配車要求を取得し、
前記一の車両及び前記他の車両を含む候補車両を抽出し、取得した前記配車要求に基づく前記候補車両それぞれの走行予定経路を取得し、前記候補車両それぞれに対して取得した走行予定経路を含む配車計画を作成し、前記一の車両の配車計画が最も効率性が高いと判定して該配車計画を特定配車計画として利用者に提案し、
前記他の車両が前記追従走行可能な状況にあると判定した場合に、前記他の車両の前記車両制御装置に前記追従走行する指示を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の配車管理システム。
【請求項7】
前記一の車両は前記有人運転車である
ことを特徴とする請求項1に記載の配車管理システム。
【請求項8】
前記地図更新部は、
前記追従走行中において前記他の車両が搭載するセンサの動作を制御して、該センサが検出した前記他の車両周辺の対象物の情報を取得し、
前記追従走行中に取得した前記対象物の情報に基づいて前記他の車両の前記車両制御装置が利用可能な地図情報を更新する
ことを特徴とする請求項1に記載の配車管理システム。
【請求項9】
前記他の車両が備える前記車両制御装置は、利用者が乗車している前記他の車両の前記車両制御装置に前記追従走行する指示を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の配車管理システム。
【請求項10】
前記他の車両の前記車両制御装置及び別の前記自動運転車の前記車両制御装置は、
該車両制御装置それぞれが利用可能な地図情報の規格が同一である又は互換性がある場合に、
該車両制御装置間で通信を行い、該地図情報が含む情報を共有する
ことを特徴とする請求項4に記載の配車管理システム。
【請求項11】
利用者又は荷物の移動に供する車両として、ドライバが運転する有人運転車と、自律走行及び追従走行が可能な自動運転車とを含む複数の車両を運行する配車管理システムにおける車両管理方法であって、
コンピュータが、
一の車両の走行予定経路と、前記自動運転車である他の車両の走行予定経路とに基づき、前記一の車両に前記他の車両が追従走行可能な状況にあるか否かを判定し、
前記追従走行可能な状況にあると判定された場合には、前記一の車両に追従走行するように前記他の車両の走行を制御し、
前記他の車両が前記追従走行中に取得した情報に基づき、前記他の車両の走行制御に用いられる地図情報を更新する
ことを特徴とする車両管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配車管理システム及び配車管理システムにおいて利用者の移動に供する車両を管理する車両管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モビリティサービスは、車両によるユーザの移動や荷物の運搬をスムーズに提供するサービスである。複数のユーザが、近隣の駐車場に駐車された空き車両を所定の利用時間単位で共同利用を可能にするカーシェアリングサービスやいわゆる複数の乗客の相乗りといったライドシェアサービスは、モビリティサービスの一例である。モビリティサービスでは、車両の稼働率を高めつつ、ユーザ(乗客)の利便性を向上させるために、車両の効率的な配置計画が要求される。
【0003】
例えば、下記特許文献1は、目的地において所定の行事が開催される際に要求される車両の台数を特定エリア毎に予測し、目的地周辺及び目的地内部で利用可能な車両の台数と予測された車両の予測数との乖離度を特定エリアごとに判定し、特定エリアごとに判定された乖離度が所定閾値を超える場合に、当該乖離度を減少させるように車両を移動させる技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-060980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
モビリティサービスでは、ユーザの配車要求に応じて割り当てられた車両は、ユーザが希望する乗車地から降車地までの区間を運行ルートに沿って走行する。当該運行ルートは各車両に応じた地図情報に基づき作成される。運行ルートの作成では、当該区間を含むエリアに関する地図情報の情報量(地図情報量)が多いほど、降車地への到着時間や降車地から目的地への歩行距離等の面で効率性が高く無駄のない運行ルートが作成され得る。このため、地図情報量が少ない車両の地図情報量を加増させ、車両間での地図情報量のばらつきを改善して、モビリティサービス全体の質を向上させることが求められている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術では、ユーザが希望する乗車地から最も近い車両を割り当てるため、運行ルートの効率性が考慮されず、車両の地図情報量を加増させることも想定されていない。このため、モビリティサービスの質を十分に向上できていない。特に、自律走行可能な自動運転車(無人車両)とドライバが運転する有人車両とが混在するモビリティサービスでは、無人車両の地図情報量が少なく、加増頻度も低いため、有人車両と無人車両との地図情報量のばらつきの改善が困難であった。
【0007】
そこで、本開示は、利用者の移動に供する車両に無人車両と有人車両とが混在する場合に、無人車両の地図情報量の加増頻度を向上して車両間の地図情報量のばらつきを改善可能な配車管理システム及び車両管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本開示の一態様による配車管理システムは、利用者又は荷物の移動に供する車両として、ドライバが運転する有人運転車と、自律走行及び追従走行が可能な自動運転車とを含む複数の車両を運行する配車管理システムであって、前記複数の車両の運行を管理する管理装置と、前記自動運転車に搭載され、前記管理装置の指示に従って前記自動運転車の走行を制御する車両制御装置と、を備え、前記管理装置は、一の車両の走行予定経路と、前記自動運転車である他の車両の走行予定経路とに基づき、前記一の車両に前記他の車両が追従走行可能な状況にあるか否かを判定し、前記追従走行可能な状況にあると判定した場合には、前記他の車両の前記車両制御装置に対し、前記一の車両に追従走行する指示を行い、前記他の車両の前記車両制御装置は、該車両制御装置が利用可能な地図情報を更新する地図更新部を有し、前記追従走行する指示を受け取った場合に、前記一の車両に追従走行するように前記他の車両の走行を制御し、前記地図更新部は、前記他の車両が追従走行中に取得した情報に基づき、該車両制御装置が利用可能な地図情報を更新する。
【0009】
また本開示の他の一態様による車両管理方法は、利用者又は荷物の移動に供する車両として、ドライバが運転する有人運転車と、自律走行及び追従走行が可能な自動運転車とを含む複数の車両を運行する配車管理システムにおける車両管理方法であって、コンピュータが、一の車両の走行予定経路と、前記自動運転車である他の車両の走行予定経路とに基づき、前記一の車両に前記他の車両が追従走行可能な状況にあるか否かを判定し、前記追従走行可能な状況にあると判定された場合には、前記一の車両に追従走行するように前記他の車両の走行を制御し、前記他の車両が前記追従走行中に取得した情報に基づき、前記他の車両の走行制御に用いられる地図情報を更新する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、利用者の移動に供する車両に無人車両と有人車両とが混在する場合に、無人車両の地図情報量の加増頻度を向上して車両間の地図情報量のばらつきを改善することができる。
【0011】
本開示の他の技術的特徴、目的、及び作用効果乃至は利点は、添付した図面を参照して説明される以下の実施形態により明らかにされる。本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果があっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一実施形態に係る配車管理システムの一例を説明する図である。
図2】本開示の一実施形態に係る配車管理システムにおける車両管理装置の機能構成モデルの一例を示すブロックダイアグラムである。
図3】本開示の一実施形態に係る配車管理システムにおける車両に搭載された制御装置の機能的モデルを示すブロックダイアグラムである。
図4A】本開示の一実施形態に係る配車管理システムにおいて無人車両が有する地図情報の一例を概念的に説明する図である。
図4B】本開示の一実施形態に係る配車管理システムにおいて無人車両が有する地図情報の他の例を概念的に説明する図である。
図5】本開示の一実施形態に係るサービス車両管理方法における配車管理処理の一例を説明するフローチャートである。
図6図5に示す配車管理処理における地図情報の学習管理処理の一例を説明するフローチャートである。
図7】本開示の一実施形態に係るサービス車両管理方法のうちサービス車両の制御装置が行う追従走行制御処理の一例を説明するフローチャートである。
図8図7に示す追従走行制御処理応じた無人車両の追従走行を概念的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本開示は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(例えば各実施形態を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る配車管理システム1は、配車管理装置10と、端末装置20と、車両Vを含み、これらは通信ネットワークNを介して相互に通信可能に接続される。
【0015】
配車管理システム1は、例えば、ある地域を対象にした、複数の車両Vを用いたオンデマンド方式による配車サービスを提供する。「オンデマンド方式による配車サービス」は、ユーザからの配車要求に即時に応答して、該ユーザに所定の車両(サービス車両)を割り当てる(配車する)サービスである。「即時に応答」とは、ユーザからの配車要求に対して間髪入れずに配車するだけでなく、ユーザが通常許容し得るようなある程度の幅をもった時間を含む概念である。本開示では、配車管理システム1は、このような「オンデマンド方式による配車サービス」を前提としているが、これに限られず、例えば予約方式による配車サービスにも適用し得る。また車両Vは、いわゆるドライバが運転する有人車両及び自律走行可能な自動運転車両である無人車両を含む。
【0016】
配車管理装置10は、対象地域における複数の車両Vによる配車サービスを統括的に管理するコンピューティングデバイスである。配車管理装置10は、例えば配車管理サーバプログラムを実装し、プロセッサの制御の下、配車管理サーバプログラムを実行することにより、本開示の配車サービスを実現する。
【0017】
配車管理装置10は、かかる配車サービスを実現するために必要なデータを蓄積し管理する各種のデータベース12を含む。データベース12は、後述するように、例えば、ユーザ情報データベース12aと、地図データベース12bと、車両情報データベース12cと、配車計画データベース12dとを含み構成される(図2参照)。本例では、データベース12は、配車管理装置10の一部として構成されているが、これに限られず、その全部又は一部が配車管理装置10とは別体に構成されても良い。
【0018】
概略的には、配車管理装置10は、車両Vによる移動のための配車を希望するユーザから配車要求を受付けて、該配車要求に基づいて複数の車両Vの中から抽出される候補となる車両V(候補車両v)に対して配車計画を作成し、作成された配車計画の中から最適な特定の車両Vに対する配車計画を確定し、確定した配車計画に従った配車指示を特定の車両Vに行う。配車計画の確定は、例えば、ユーザの承諾に応答して行われる。
【0019】
以下では、乗客であるユーザからの乗車のための配車要求を例に説明されるが、配車要求は、荷主(荷物配送事業者又は一般者)であるユーザからの荷物配送のための配車要求であっても良い。したがって、荷物配送事業者でない一般のユーザもまた、自身の荷物を配送してもらうために荷物配送の配車要求を行い得る。配車要求は、例えば、ユーザ名、乗降地(乗車地希望地及び降車地希望地)、運送内容(人数等)等に関する情報を含む。
【0020】
配車計画は、例えば車両Vが待機する場所(起点となる待機場所)から、ユーザが乗降を行う途中のいくつかの地点(乗降地)を経由して、終点となる待機場所(最初の待機場所と同じとは限らない。)までを定めた運行ルート及び、乗降地におけるユーザの予定乗降時間などを含む行程情報である。配車計画は、車両Vが待機中であれば、新規の配車要求に基づいて新規に作成され、一方、車両Vが運行中であれば、新規の配車要求に基づいて更新され得る。本開示では、配車管理装置10は、ユーザの配車要求に基づいて、複数の車両Vの中から抽出される候補車両vに対して作成された配車計画において、その運行ルートや予定乗降時間から行程の効率性を評価し、該評価が最も高い配車計画に対応する特定の車両Vの配車計画をユーザに提案する。これにより、配車計画の効率性を考慮した特定の車両Vがユーザに割り当てられるので、配車サービス利用時におけるユーザの満足度を向上させることができる。
【0021】
車両Vは、車両情報データベース12cに登録されたユーザの利用に供される車両である。車両Vの車種は問わない。車両Vは、車載バッテリーを動力源とする電気自動車(EV)であっても良い。車両Vには、ドライバが運転する有人車両V_NAD及び完全な自律走行及び先行車両に追従走行が可能な自動運転車である無人車両V_ADが含まれる(図2参照)。無人車両V_ADは、いわゆる自動運転化レベルを問わない。車両Vは、配車管理装置10の指示に従い車両V自体又はその搭載機器(例えばナビゲーション装置)を制御する制御装置500を備える(図2参照)。制御装置500は、例えば、GPSシステムを介して車両Vの位置情報を取得し、これを配車管理装置10に送信するとともに、配車管理装置10から指示を受付けて、車両Vの各種の機器又は装置の動作を制御する。制御装置500は、例えば、配車計画に従った運行ルートをドライバに提示するナビゲーション機能や、無人運転型車両であれば、車両Vの運行ルートに基づく詳細な実走行ルートを決定し、実走行ルートに沿った自律走行制御機能を含む。詳しくは後述するが、車両Vのうち無人車両V_ADは、地図情報の更新に用いるセンサ群501を備える。
【0022】
端末装置20は、例えば、乗車を希望するユーザがユーザインターフェース(ユーザIF)を操作して配車要求を行うためのコンピューティングデバイスである。端末装置20は、例えばスマートフォンやパッドコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ、デスクトップ型コンピュータ等であるが、これらに限られない。端末装置20は、例えば、配車管理クライアントプログラム(いわゆる配車アプリ)を実装する。端末装置20は、プロセッサの制御の下、配車アプリを実行することにより、ユーザによる配車管理装置10の配車サービスの利用を可能にする。例えば、ユーザは、端末装置20のユーザIF上の配車要求画面(図示せず)から配車要求を行い、これに応答して配車管理装置10が作成した配車計画を承諾することで、車両Vの乗車予約を行い得る。
なお、配車管理システム1は、リアルタイムで種々の交通情報を提供する道路交通情報管理システム(不図示)に通信ネットワークNを介して接続されてもよい。これにより、配車管理装置10及び車両Vは、例えば、通行止めや迂回ルートの情報、特定のルート経由での地点間の所要時間等を適宜に取得し得る。
【0023】
このように、本開示の配車管理システム1では、オンデマンド方式による配車サービスにおいて、効率のよい配車計画に対応する特定の車両Vをユーザに割り当てるので、ユーザは円滑に目的地に到達することが可能になり、その結果、配車サービス利用時におけるユーザの満足度が向上する。
【0024】
また、本開示において配車計画の主たる要素である運行ルートは、配車要求及び、候補車両vとなる各車両Vに対応する地図情報に基づいて作成される。このため、地図情報量が多いほど効率性の高い配車計画が作成され易い。特に、車両Vのうち無人車両V_ADは、車両が有する地図情報(後述する測量地図データベース540)に従って自律走行及び運行ルートの導出を行うため、地図情報量の加増が重要となる。一方で、無人車両V_ADの地図情報を加増する場合、通常、個別の更新作業を行うが、当該更新作業は頻繁に実行することが難しい。このため、無人車両V_ADの地図情報量は有人車両より少ない場合が多く、有人車両と無人車両とで地図情報量のばらつきが生じ易い。
【0025】
そこで、配車管理システム1は、配車管理装置10の指示により無人車両V_ADである候補車両vを特定の車両Vに追従走行させ、特定の車両Vの運行ルートを無人車両V_ADに学習させる。これにより、サービス車両に無人車両と有人車両とが混在する場合も、無人車両の地図情報量の加増頻度を向上し、車両間の地図情報量のばらつきを改善することができ、ひいてはモビリティサービス全体の質を向上することができる。
【0026】
図2に示すように配車管理装置10は、例えばフロントエンド処理部110、配車要求取得部120、乗降地決定部130、配車計画作成部140、走行ルート計画部150、及び車両通信インターフェース部160の各機能構成要素を含む機能構成モデルとして構成される。配車管理装置10は、上述のように各種のデータベース12を含む。この機能モデルは、配車管理装置10がプロセッサの制御の下、配車管理サーバプログラムを実行して各種のハードウェア資源と協働することにより実現される。上記機能構成モデルは一例であり、ある機能構成要素における全部又は一部の機能が、他の機能構成要素によって実現されても良い。なお図2には、説明の便宜上、ユーザの端末装置20、及び車両V(無人車両V_AD,有人車両V_NAD)における制御装置500もまた示されている。
【0027】
ユーザ情報データベース12aは、配車サービスを利用するユーザに関するユーザ情報を格納する。ユーザ情報は、例えば、ユーザID及びパスワード、個人属性、サービス利用状況に関する情報等を含む。ユーザ情報は、例えば配車アプリの初回起動時にユーザが所定の情報を入力することにより、配車管理装置10の制御の下、ユーザ情報データベース12aに登録される。
【0028】
地図データベース12bは、少なくとも配車サービスの対象地域の地図データを格納する。地図データは、例えば、住所、地名、道路、乗降地、及び施設名等に関する情報を含む。乗降地は、ユーザが実際に乗降可能な場所である。地図データベース12bは、少なくとも配車サービスの対象地域における地図データを格納する。地図データは、例えば、住所、地名、道路、乗降地、及び施設名等に関する情報を含む。乗降地は、ユーザが実際に乗降可能な場所である。また、地図データは、信号機に関する情報(位置、設置間隔など)を含んでいてもよい。地図データは、例えば道路の情報は、緯度/経度の点群をつないだ点群データとして地図データベース12bに格納されている。
車両情報データベース12cは、ユーザの利用に供される車両Vに関する情報(車両情報)を格納する。車両情報は、例えば、車両ID、車両属性(車両登録番号、車種、及び最大乗車人員/最大積載量、有人運転型又は無人運転型等)、その他の諸元、現在の配車計画、現在位置、及び現在状態(サービス状態、バッテリー残容量(航続可能距離)、及び乗車人員等)等に関する情報を含む。車両Vの現在位置は、後述するように、車両Vから送信される位置情報に基づいて随時に更新される。
【0029】
配車計画データベース12dは、配車要求に基づき配車計画作成部140が作成した車両Vごとの配車計画を格納する。配車計画は、例えば起点となる待機場所から一以上の乗降地を経由して終点となる待機場所までの運行ルート及び経由地ごとの到着予想時刻等を含む。なお、配車計画の運行ルート起点及び終点は待機場所に限られない。
【0030】
フロントエンド処理部110は、ユーザの端末装置20との間での各種の処理を行う。例えばフロントエンド処理部110は、ユーザの端末装置20上の配車アプリからのログイン要求に従い、ユーザ情報データベース12aを参照し、ログイン認証処理を行う。またフロントエンド処理部110は、上記配車アプリからの配車要求を受付けて、これを配車要求取得部120に引き渡し、これに応答して配車計画作成部140により作成された配車計画に対するユーザの諾否を受けるために、端末装置20とやり取りする。すなわち、フロントエンド処理部110は、作成された配車計画を含む承諾要求を端末装置20に送信して、端末装置20のユーザIF上に配車計画を表示させ、これに応答して端末装置20から送信される承諾又は拒否の通知を受信する。この意味において、フロントエンド処理部110は、配車計画作成部140の制御の下、承諾処理部としても機能する。
【0031】
配車要求取得部120は、フロントエンド処理部110を介してユーザからの配車要求を受付けて取得する。配車要求取得部120は、取得した配車要求を乗降地決定部130及び配車計画作成部140各々に引き渡す。
乗降地決定部130は、引き渡された配車要求に基づいて、地図データベース12bを参照し、道路地図上に示される実際にユーザが乗降可能な予め定められた乗降地(例えば停留所)を決定する。すなわち、乗降地決定部130は、配車要求が示す乗車地希望地及び降車地希望地に対して、地図データベース12bを参照し、対象地域においてユーザが実際に乗降可能な地理的位置を示す乗車地及び降車地を決定する。乗車地は、配車要求を行ったユーザの現在地点から該ユーザの許容歩行距離の範囲内で決定され得る。乗降地決定部130は、決定した乗降地を配車計画作成部140に引き渡す。
【0032】
配車計画作成部140は、与えられた配車要求に基づいて、対象地域の車両Vの中から候補となる車両(候補車両v)を抽出し、その配車計画を作成し、作成した配車計画の中から最適な(効率の良い)配車計画を選択して確定し、確定した配車計画に従った配車指示を該車両Vに行う。候補車両vは、例えば決定された乗車地と車両Vとの位置的関係に基づいて抽出される。配車計画作成部140は、候補車両vの抽出を走行ルート計画部150に依頼する。また、配車計画作成のため、抽出された候補車両vのうち有人車両について走行ルート計画部150に運行ルートの導出を依頼する。候補車両vのうち無人車両V_ADについては制御装置500bに運行ルートの導出指示を行うように車両指示部162に通知する。
【0033】
配車計画作成部140は、取得した各候補車両vの運行ルートに基づいて、各候補車両vの配車計画を作成する。配車計画は、例えば候補車両vの運行ルート、ユーザが乗車地点において候補車両vに乗車可能となる乗車時間、当該運行ルートを走行して候補車両vが降車地点に到着してユーザが降車可能となる降車時間を含んで構成される。配車計画作成部140は、作成された配車計画をユーザに提案し、ユーザの承諾を受けてこれを確定する。配車計画作成部140は、複数の配車計画の候補をユーザに提示し、その中からユーザに特定の配車計画を選択させても良い。配車計画作成部140は、確定した配車計画を配車計画データベース12eに格納するとともに、対応する特定の車両Vに配車指示するように車両指示部162に通知する。
【0034】
上述のように、配車計画作成部140は、ユーザの配車要求に対して、候補車両vのうち最も効率性が高い配車計画に対応する車両V(特定の車両V)が割り当てられるように処理を行う。このため、配車計画作成部140は、例えば、車両選択部141を含み構成される。また配車計画作成部140は、配車計画作成部140は特定の車両Vの配車計画(特定配車計画)における運行ルートを他の候補車両vに学習させるための学習管理を行う。配車計画作成部140による学習管理では、特定の車両Vに他の候補車両v(無人車両V_AD)が追従走行可能な場合に、特定の車両Vに追従走行して特定配車計画の運行ルートを学習することを指示する情報(学習指示情報)を送信するように車両指示部162に通知する。このため、配車計画作成部140は、例えば車両選択部141に加えて、地図情報取得部142と、差分抽出部143と、合流地点決定部と、を含み構成される。配車計画作成部140におけるこれらの機能構成要素の詳細については後述する。
【0035】
走行ルート計画部150は、配車計画作成部140の制御の下、各候補車両vのうち有人車両V_NAD(図4参照)のルートパターンを導出する。ルートパターンは、決定済みの乗降地(経由地)を通る経路に対して新たな配車要求により乗降地を追加した場合における全ての乗降地を通るルートを示す。具体的には、走行ルート計画部150は、配車計画作成部140による候補車両の抽出依頼に応答して、地図データベース12b及び車両情報データベース12cを参照して、配車要求に適合し得る1又はそれ以上の車両Vを候補車両vとして抽出し、候補車両vの車両情報を配車計画作成部140に引き渡す。さらに、配車計画作成部140のルートパターンの導出依頼に応答して、抽出された候補車両vのうち有人車両V_NADの各々について、乗降地に従ったルートパターンを導出する。また、走行ルート計画部150は、導出したルートパターンに、道路情報、地物情報及び環境情報等を含む道路地図情報を関連付ける。走行ルート計画部150は、導出したルートパターンを配車計画作成部140に引き渡す。
【0036】
ルートパターンの導出において走行ルート計画部150は、地図データベース12b、車両情報データベース12cに加えて、有人車両V_NADのドライバの情報を参照する。このため、走行ルート計画部150は、ドライバに関する情報(ドライバ情報)を格納するドライバ情報蓄積部151を含んで構成される。ドライバ情報は、例えばドライバを識別する識別情報(ドライバID等)、各ドライバの過去の運行ルート等の運転履歴を少なくとも含み、例えば図示しないコンピューティングデバイスのユーザIFを介して入力される。例えば乗車地及び降車地のうち少なくとも一方を含むエリアに関するドライバの運転履歴を参照することで、ドライバが過去に当該エリアを運転した際の運転ルートに基づいてルートパターンを作成することができる。これにより、例えば熟練したドライバのみが知り得る運転ルートをルートパターンに反映し、配車計画作成部140においてより効率的な配車計画をユーザに提案することが可能となる。さらに、他の候補車両vに熟練したドライバの運転ルートが反映されたルートパターンを学習させることができる。また走行ルート計画部150は、配車計画作成部140からの依頼に応じて、ドライバ情報蓄積部151内のドライバ情報を引き渡してもよい。
【0037】
車両通信インターフェース(IF)部160は、通信ネットワークNを介して、車両Vとの間で各種の情報を送受信する。例えば車両通信IF部160は、車両Vから送信された情報を取得する車両情報取得部161と、車両Vに対し配車管理装置10からの種々の指示を送信する車両指示部162とを備える。車両情報取得部161は、制御装置500の通信部520との間で通信を行い、位置情報取得部510によって取得された位置情報等を含む車両情報を取得する(図5参照)。また、車両情報取得部161は無人車両V_ADの制御装置500bとの通信部520との間で通信を行い、自律走行ルート計画部550によって導出されたルートパターンを取得する(図5参照)。また、車両指示部162は、配車計画作成部140の指示に従い、指定された無人車両V_ADにルートパターンの導出指示を送信する。また車両指示部162は、配車計画データベース12eを参照し、対応する配車計画を特定し、特定された配車計画に従って車両Vに配車指示を送信する。配車指示を受信した車両Vの制御装置500は、ナビゲーション機能により、例えばユーザIF(図中「UI」と表示)530上に、配車計画に従った走行ルートを表示する。或いは、配車計画の運行ルートに従って詳細な実走行ルートを決定し、実走行ルートに沿った自律走行がなされるように制御を行う。
【0038】
次に、配車計画作成部140の各機能構成要素の詳細について説明する。
車両選択部141は、各候補車両の配車計画の効率性を評価し、評価結果に基づいて、候補車両vのうち配車サービスに供される特定の車両Vを選択する。車両選択部141は、配車計画の効率性は、例えばユーザの徒歩移動距離又は予定乗降時間の少なくとも一方に基づいて評価され得るが、これらに限られない。ユーザの徒歩移動距離は、配車計画における運行ルートに基づいて算出され、乗降地決定部130が決定した乗車地点と運行ルートの開始地点との差分、当該降車地点と運行ルートの終了地点との差分、又は各差分の合計を示す。例えば無人車両V_ADは、走行経験がない又は乏しい地域については、予め地図情報に登録されている主要道路(例えば幹線道路)を走行するため、乗降地決定部130が決定した乗降地の最寄地点まで到達できない場合がある。このような場合、上記差分の距離が長くなり、結果としてユーザの徒歩移動距離が長くなる。
【0039】
また車両選択部141は、各配車計画の運行ルート及び各候補車両vの位置情報に基づいて予定乗降時間を算出する。例えば予定乗車時間は候補車両vの位置情報と運行ルートの開始地点(実乗車地点)とに基づいて算出され、予定降車時間は予定乗車時間と運行ルートの走行距離とに基づいて算出される。なお候補車両vが有人車両V_NADの場合、予定乗降時間の算出時にドライバ情報蓄積部151のドライバ情報を参照してもよい。また、候補車両vが無人車両V_ADの場合は運行ルートの走行回数を参照してもよい。該走行回数は、例えば制御装置500bからルートパターンと合わせて送信されてもよい。
【0040】
車両選択部141は、効率性が最も高いと評価した配車計画に対応する候補車両vを配車サービスに供する特定の車両Vとして選択し、特定の車両Vの配車計画をユーザに提案する。これにより、ユーザの目的地への早期移動や徒歩移動による負担軽減が可能となり、ユーザの満足度を向上させることができる。例えば車両選択部141は、各配車計画に対応するユーザの徒歩移動距離及び予定乗降時間に対して点数を割り当て、点数が最も高い配車計画を最も効率性が高いと評価してもよい。例えば、徒歩移動距離は短いほど高得点が割り当てられ、予定乗降時間は早いほど高得点が割り当てられる。
【0041】
また、配車計画作成部140は、地図情報取得部142、差分抽出部143及び合流地点決定部144により無人車両V_ADである候補車両vに詳細な道路地図情報や新たな運行ルート等を学習させて地図情報量を加増するための学習管理を行う。以下、一例として特定の車両Vが有人車両V_NADであり、他の候補車両vが無人車両V_ADである場合の学習管理について説明する。配車管理装置10は、学習管理として特定の車両Vの配車計画の運行ルート(走行予定経路の一例)と他の候補車両vの配車計画の運行ルート(走行予定経路の一例)とに基づいて、特定の車両Vに候補車両vが追従走行可能な状況にあるか否かを判定し、該判定結果に基づいて、候補車両vの制御装置500bに対し特定の車両Vに追従走行する指示を行う。
【0042】
地図情報取得部142は、他の候補車両vのルートパターンの導出に用いられる地図情報を取得する。無人車両V_ADである他の候補車両vの地図情報は、制御装置500bが備える測量地図データベース540に格納された測量地図データである。詳しくは後述するが、測量地図データは、典型的には、道路交通情報及び走行履歴情報で構成されており、無人車両V_ADが自律走行可能な自律走行経路を示す。無人車両V_ADである他の候補車両vは、走行履歴情報が示す自律走行経路のみ自律走行が可能である
これに対し、有人車両V_NADである特定の車両Vの地図情報は、配車管理装置10に保持された情報で構成され、地図データベース12b、ドライバ情報蓄積部151のドライバ情報及びこれらに基づく配車計画の運行ルートを含む。
【0043】
測量地図データベース540は、道路地図情報を含む点で上述した地図データベース12bと概略的には同じであるが、無人車両V_ADの実際の走行に基づいて、格納されている道路地図情報及び走行履歴情報が更新される点でそれと異なる。つまり、本実施形態において他の候補車両vの地図情報は、特定の車両Vの地図情報とは、形態(データ構成)が異なる。地図情報取得部142は、制御装置500bに地図情報として少なくとも走行履歴情報の送信を行うように車両指示部162に通知し、車両情報取得部161を介して、制御装置500bが送信した地図情報を取得する。
【0044】
差分抽出部143は、特定の車両Vの配車計画の運行ルートが、地図情報取得部142が取得した他の候補車両vの地図情報(例えば、走行履歴情報)に含まれるか否かを判定する。本実施形態において、配車計画の運行ルートは、乗車地点から降車地点までの運行ルートを緯度/緯度の点群をつないで構成する一連の点群データである。これに対し、測量地図データベース540の走行履歴情報は、自律走行経路を示す緯度/緯度の点群をつないだ点群データで構成されており、サービス対象地域内の自律走行経路を統合した点群地図データである。差分抽出部143は、上記特定配車計画の運行ルートを示す一の点群データの軌跡(ポリライン)が、他の候補車両vの走行履歴情報(点群地図データ)に含まれる場合に、上記特定配車計画の運行ルートが他の候補車両vの地図情報(走行履歴情報)に含まれると判定する。また、差分抽出部143は、上記特定配車計画の運行ルートの上記軌跡が、他の候補車両vの走行履歴情報に含まれない場合に、上記特定配車計画の運行ルートが他の候補車両vの地図情報に含まれない(特定の車両Vの地図情報と他の候補車両vとで地図情報量に差分がある)と判定する。
このように、差分抽出部143は、特定の車両Vと他の候補車両vとで地図情報の形態(例えば規格)が異なる場合においても、点群データの軌跡の比較によって、特定の車両Vの配車計画の運行ルートが、他の候補車両vの地図情報に含まれるか否か(特定の車両Vと候補車両vとで地図情報量に差分があるか否か)を判定できる。
【0045】
配車管理システム1では、例えば他の候補車両vの地図情報が上記特定配車計画における運行ルートを含まない場合に、他の候補車両vを特定配車計画の運行ルートに合流させ、他の候補車両vを特定の車両Vに追従走行させる。これにより、候補車両vに確実に新たな自律走行経路を学習させ、走行履歴情報を加増することができる。
合流地点決定部144は、差分抽出部143により他の候補車両vの地図情報が上記特定配車計画の運行ルートを含まないと判定した場合に、他の候補車両vが上記特定配車計画の運行ルートに合流可能な合流地点を決定する。これにより、他の候補車両vを特定の車両Vに追従走行させることができる。当該合流地点は、例えば上記特定配車計画の運行ルートと、他の候補車両vの配車計画の運行ルートとに共通する地点である。合流地点決定部144は、合流地点を決定する際に上記共通する地点を複数導出してもよいし、複数の共通する地点で構成される区間を合流区間に決定してもよい。また合流地点は、特定配車計画の運行ルートの開始地点(乗車地)であってもよい。
【0046】
合流地点決定部144は、上記合流地点(又は合流区間)を含む情報(学習指示情報)を、車両指示部162を介して制御装置500bに送信し特定の車両Vに追従走行する指示(学習指示)を行う。詳しくは後述するが、無人車両V_ADの測量地図データベース540は、追従走行中に収集した情報に基づいて更新され、地図情報量が加増される。つまり、配車管理装置10が制御装置500bに学習指示を行うことで、自律的に加増が困難な無人車両V_ADである他の候補車両vの地図情報量を加増させ、車両間の地図情報量のばらつきを改善してモビリティサービス全体の質を向上させることができる。合流地点決定部144は、上記特定配車計画の運行ルートと他の候補車両vの配車計画の運行ルートとに共通する地点が無い場合、特定配車計画の運行ルートへの候補車両vの合流が困難として、学習指示を行わない。
なお、本例では特定の車両Vを有人車両V_NADとしたが、特定の車両Vは無人車両V_ADであってもよい。また合流地点決定部144は、候補車両vの配車計画の運行ルートに特定配車計画の運行ルートと共通地点が無い場合、特定の車両Vの運行ルートへの候補車両vの合流が困難として学習指示を行わない。
【0047】
なお本開示はこれに限られず、配車計画作成部140は、学習管理において、他の候補車両vの地図情報が上記特定配車計画における運行ルートを含むか否かに関わらず、候補車両vの配車計画の運行ルートに特定配車計画の運行ルートと共通地点がある(特定の車両Vの運行ルートへの候補車両vの合流、すなわち特定の車両Vへの追従走行が可能である)場合に、制御装置500bに学習指示を行ってもよい。つまり、配車計画作成部140は、学習管理を行う構成要素として合流地点決定部144のみを有してもよい。可能な限り追従走行の機会を増やすことで、測量地図データベース540のうち少なくとも道路地図情報を詳細化することができる。したがって、この場合も、無人車両の地図情報量の加増頻度を向上して車両間の地図情報量のばらつきを改善可能である。
【0048】
他の例として、合流地点決定部144は、上記特定配車計画の運行ルートと、測量地図データベース540の走行履歴情報(自律走行経路)とに共通する地点がある場合に、当該共通する地点に基づいて合流地点又は合流区間を決定してもよい。候補車両vの自律走行経路に特定配車計画の運行ルートとの共通地点が無い場合、候補車両vは特定配車計画の運行ルートに合流することが不可能であるため、学習指示を行わない。
【0049】
また他の例として、新たなルートパターンを学習する他の候補車両vが有人車両V_NADであってもよい。この場合、差分抽出部143は、特定配車計画の運行ルートが他の候補車両vのドライバ情報の運転履歴に含まれるか否か(運転履歴に差分があるか否か)に応じて、他の候補車両vに新たなルートパターンを学習させるか否かを判定すればよい。また、差分抽出部143は運転履歴に差分がある場合に、特定配車計画の運行ルートを含む学習指示を、車両指示部162を介して他の候補車両vの制御装置500aに送信してもよい。候補車両vの制御装置500aは、学習指示を受信すると、例えばユーザIF530上に、特定配車計画の運行ルートを表示して候補車両vのドライバに新たなルートパターンを提示してもよい。これにより、例えば候補車両vのドライバが特定配車計画の運行ルートを試験的に走行し、候補車両vのドライバに紐づくドライバ情報の運転履歴に新たな運行ルートを追加することができる。このように、配車管理システム1は、他の候補車両vが有人車両V_NADである場合も、地図情報量(本例ではドライバ情報)を加増させることができる。
【0050】
図3は、配車管理システム1における車両Vに搭載された制御装置500(制御装置500a,500b)の機能的モデルを示すブロックダイアグラムである。より具体的には、同図(a)は、有人車両V_NADに搭載された制御装置500aを示し、同図(b)は、無人車両V_ADに搭載された制御装置500bを示している。制御装置500は、車両Vを制御するコンピューティングデバイスである。制御装置500は、例えば車両制御プログラムを実装し、プロセッサの制御の下、車両制御バプログラムを実行することにより、本開示の配車サービスにおける車両Vの制御を実行する。制御装置500aは、有人車両V_NADの走行補助及び車載機器の動作制御を行う。制御装置500bは、無人車両V_ADの走行制御及び車載機器の動作制御を行う。
【0051】
図3(a)に示すように、制御装置500aは、例えば、位置情報取得部510と、通信部520と、ユーザIF部(図中「UI」と表記している。)530と、を含み構成される。位置情報取得部510は、GPSシステムから車両Vの位置情報を取得する。位置情報取得部510は、GPSシステムから取得された位置情報を配車管理装置10に送信するために通信部520に引き渡す。通信部520は、配車管理装置10の車両通信IF部160との間で種々の情報をやり取りするための通信インターフェース(IF)である。一例として、通信部520は、車両通信IF部160から送信される車両情報の送信要求を受信し、これに応答して、位置情報を含む車両情報を車両通信IF部160に送信する。他の例として、通信部520は、車両通信IF部160から送信される配車指示を受信し、これをユーザIF部530に引き渡す。ユーザIF部530は、ドライバに対して車両Vの各種の状態を表示し、これに対するドライバの入力を受付ける。例えば、ユーザIF部530は、配車管理装置10から送信された配車指示を表示する。
【0052】
一方、図3(b)に示す制御装置500bは、例えば測量地図データベース540、自律走行ルート計画部550、走行制御部560、及び地図更新部570を更に備える点で、制御装置500aと異なる。なお、無人車両V_ADの通信部520は、車両通信IF部160から送信されるルートパターンの送信要求(ルートパターン導出指示)を受信し、これに応答して、自律走行ルート計画部550が導出したルートパターンを車両通信IF部160に送信する。また、無人車両V_ADの通信部520は、車両通信IF部160から送信される地図情報の送信要求を受信し、これに応答して測量地図データベース540の走行履歴情報を車両通信IF部160に送信する。また無人車両V_ADのユーザIF部530は、乗車したユーザに対して種々の情報を提供するために用いられ得る。
【0053】
測量地図データベース540は、少なくとも配車サービスの対象地域における車両Vの自律走行のためのナビゲーション情報を格納し、無人車両V_ADの走行制御及び配車要求に応じたルートパターンの導出に用いられる。ナビゲーション情報は、典型的には、道路地図情報及び走行履歴情報等を含む。走行履歴情報は、無人車両V_ADの自律走行経路を示す点群データで構成された点群地図データであり、配車管理装置10における学習管理においても利用される。道路地図情報及び走行履歴情報は、無人運転型車両V_ADの実走行(追従走行)時において取得した測量情報等に基づいて更新される。例えば道路地図情報は、更新によって既知の経路の情報の詳細化または新たな経路の情報が追加され得る。また、走行履歴情報は更新によって新たな自律走行経路が追加され得る。測量地図データベース540は、例えば実走行する無人車両V_ADが撮影した走行ルートのストリートビューを含んでも良い。
【0054】
自律走行ルート計画部550は、配車管理装置10からのルートパターン導出指示に応答して、配車要求に応じた無人車両V_ADのルートパターンを導出する。具体的には、自律走行ルート計画部550は、ルートパターン導出指示に含まれる乗降地に従い、測量地図データベース540の走行履歴情報が示す自律走行経路を参照して配車要求に応じたルートパターンを一又は複数導出する。自律走行ルート計画部550は導出したルートパターンに、測量地図データベース540の道路地図情報を関連付けてもよい。
【0055】
走行制御部560は、走行モードに応じて無人車両V_ADの実走行を制御する。走行モードには、自律走行モード及び追従走行モードがある。自律走行モードでは、走行制御部560は、配車指示に含まれる運行ルート及び測量地図データベース540に基づいて詳細な実走行ルートを決定し、実走行ルートに沿って無人車両V_ADの自律走行制御を行う。追従走行モードにおいて走行制御部560は、先行車両を検出し、車間距離を保つように車間制御を行いつつ先行車両に追従走行する追従走行制御を行う。配車管理システム1において、先行車両は特定の車両Vが想定される。走行制御部560は、配車管理装置10から学習指示を受け取った場合に、特定の車両Vに追従走行するように無人車両V_ADの走行を制御する。具体的には、学習指示に応じて合流地点で特定の車両Vに合流すると、特定の車両Vを検出して追従走行モードで無人車両V_ADの制御を行う。
【0056】
地図更新部570は、センサ群501(図2参照)の動作を制御して走行ルートの測量情報を収集し、収集した測量情報に基づいて測量地図データベース540を更新する。地図更新部570は、動作モードに応じてセンサ群501の動作を制御する。動作モードには、少なくとも地図学習モード及び待機モードがある。地図学習モードでは、地図更新部570は、センサ群501に測量情報の収集(対象物の検出)を行わせる制御を行う。待機モードでは、センサ群501に測量情報を収集させない待機状態とする。地図更新部570は、走行モードが追従走行モードの場合に、地図学習モードでセンサ群501を制御して無人車両V_AD周囲の測量を行う。これにより、無人車両V_ADが特定の車両Vに追従走行する際において追従走行した経路の測量情報を収集(新たなルートパターンを学習)し、当該測量情報に基づいて測量地図データベース540の道路地図情報及び走行履歴情報を更新することができる。なお測量情報の収集後、道路地図情報及び走行履歴情報は即時に更新されてもよいし、所定の期間後(数時間から数日)に更新されてもよい。
なお、無人車両V_ADが追従走行した経路がすでに走行履歴情報に含まれる経路である場合、少なくとも測量地図データベース540のうち道路地図情報が詳細化されて情報量が加増し、走行履歴情報については点群地図データの精度が向上し得る。
【0057】
センサ群501(図2参照)は、測量情報を収集するセンサ群であり、無人車両V_AD周囲の対象物を検出する。対象物とは地物であり、例えば道路の車線境界線、センターライン、路面標示、中央分離帯、ガードレール、縁石、高速道路の側壁、道路標識、信号機、横断歩道、工事現場、事故現場、速度制限表示、無人車両V_ADの走行に影響を与え得る障害物(路上の駐車車両又は停車車両など)等である。センサ群501は、撮像装置502と測距装置503とを含んで構成される。対象物は、例えば、撮像装置502及び測距装置503により検出される。撮像装置502は、CCD等の撮像素子を備えるカメラ、超音波カメラ、赤外線カメラ等である。測距装置503は、無人車両V_ADに対する対象物の相対位置、相対距離及び相対速度等を演算するための装置であり、例えば、レーザーレーダー、レーザレンジファインダ(LRF)、LiDAR(Light detection and ranging)ユニット、超音波レーダー等のレーダー装置又はソナーである。撮像装置502及び測距装置503は、所定の時間間隔で、無人車両V_ADの周囲を検出する。
【0058】
図3に戻って、地図更新部570は、撮像装置502が撮影した対象物画像を取得する画像情報取得部571及び測距装置503の演算結果を取得する測距情報取得部572を含む。地図更新部570は、画像情報取得部571及び測距情報取得部572によりセンサ群501における検出結果(測量情報)を取得すると、検出結果を統合、合成して新たな道路地図情報及び走行履歴情報を生成し、測量地図データベース540を更新する。なお、地図更新部570は、新たな道路地図情報及び走行履歴情報を生成する際に、センサ群501の検出結果に不足している対象物の情報を補完してもよい。また地図更新部570は、通信部520を介して外部装置(例えば所定のサーバ装置)にセンサ群501の結果を出力し、当該外部装置が生成した道路地図情報及び走行履歴情報を取得してもよい。
【0059】
図4A及び図4Bは、測量地図データベース540の走行履歴情報(点群地図データ)を概念的に説明する図である。理解を容易にするため、図中で自律走行経路を線で示している。図4Aに示すように新たな自律走行経路の学習前において無人車両V_ADは配車サービスの対象地域Arの内部地域Ar_1内を複数回にわたって実走行済みであるが、内部地域Ar_2については未走行であるとする。この場合、図4Aに示す走行履歴情報では、内部地域Ar_1内について幹線道路である道路R1,R2以外にも自律走行経路(点群データの軌跡)を複数有するが、内部地域Ar_2については道路R1,R2以外に自律走行経路を有していない。したがって、図4Aに示す走行履歴情報に基づいて導出されるルートパターンは、乗降地に地点P1、地点P10が含まれる場合、各地点の最寄まで到達可能であるが、乗降地に地点P2が含まれる場合、地点P2の最寄まで到達できない。このためユーザの徒歩移動距離が長くなり、当該ルートパターンを運行ルートとする配車計画の効率性評価は低くなる。
【0060】
無人車両V_ADが内部地域Ar_2内を特定の車両Vに追従走行し、地図更新部570が、地点P2を含む新たな自律走行経路の情報を測量地図データベース540に追加したとする。この場合、走行履歴情報には内部地域Ar_2内の地点P2を含む新たな自律走行経路が追加され(図4B参照)、さらに道路地図情報も詳細化されて地図情報量が加増する。このため、更新後の走行履歴情報に基づき導出されるルートパターンは、地点P2の最寄まで到達可能なためユーザの徒歩移動距離が短くなり、当該ルートパターンを運行ルートとする配車計画の効率性評価が向上する。また道路地図情報も合わせて更新されるため、当該運行ルートをより円滑に走行可能となる。このように配車管理システム1は、車両V(例えば無人車両V_AD)の地図情報量を加増して効率性の高い配車計画に対応する車両Vの割合を増やし、モビリティサービス全体の質を向上することができる。
【0061】
図5は、配車サービスをユーザに提供する際の配車管理システム1の動作例を説明するフローチャートである。図5に示すように、配車管理システム1の配車管理装置10は、ユーザから新規の配車要求があるまで待機する(S501)。一方、例えば乗車を希望するユーザは、端末装置20のユーザIF上で配車アプリを操作して、配車要求を入力する。配車管理装置10は、ユーザからの配車要求があると(S501のYes)、該配車要求が指定する乗車地及び降車地に基づいて、地図データベース12bを参照し、ユーザが実際に乗降するための乗車地及び降車地(乗降地)を決定する(S502)。
【0062】
次に、配車管理装置10は、決定された乗車地又は降車地に従って1又はそれ以上の候補車両vを抽出する(S503)。例えば、配車管理装置10は、乗車地の近傍で運行中の車両Vを候補車両vとして抽出する。運行中の車両Vとは、待機場所においてサービス提供可能な状態で待機している又は実際に乗客を運送中の車両である。これにより、例えば、乗車地又は降車地から遠く離れた位置にいる車両Vを候補車両vから除外することができ、作成すべき配車計画の数を減らすことができる。本例において候補車両vには、有人車両V_NAD及び無人車両V_ADが含まれる。
【0063】
次に配車管理装置10は、抽出された各候補車両vのルートパターンを取得する(S504)。ルートパターンは、有人車両V_NADについては配車管理装置10が導出し、無人車両V_ADについては、制御装置500bが導出して配車管理装置10に送信する。続いて、配車管理装置10は、取得したルートパターンに基づいて配車計画を作成する(S505)。配車計画は、ルートパターンに対して起点となる地点及び終点となる地点を加えた運行ルートを含む。待機場所で待機している車両Vの配車計画は、新たに作成され、上記起点及び終点は例えば待機場所であってもよい。また、既に設定された配車計画に従って運行中の車両Vの配車計画は、導出されたルートパターンに基づいて配車計画が新たに作成又は更新され、上記起点は現在の運行ルートの終点でもよい。
【0064】
続いて、配車管理装置10は、各候補車両vの配車計画の効率性を評価し、最も効率性の高い配車計画に対応する候補車両vを特定の車両に選定し、選定された特定の車両Vの配車計画の内容をユーザに提案する(S506)。すなわち、配車管理装置10は、作成した現在の配車計画の内容を端末装置20に送信し、これに応答して、端末装置20は、ユーザインターフェース上にその内容を表示して、ユーザに配車計画の諾否を促す。配車管理装置10は、例えば特定の車両Vとして有人車両V_NADを選定する。また本例では、特定の車両V以外の他の候補車両vは無人車両V_ADであるとする。
【0065】
配車管理装置10は、配車計画の提案に対してユーザから承諾を受付けたか否かを判断する(S507)。配車管理装置10は、配車計画の提案に対してユーザから承諾を受付けた場合(S507のYes)、候補車両vに対応する地図情報の学習管理を行う(S508)。例えば配車管理装置10は、特定の車両Vに他の候補車両vが追従可能な状況であるか否かを判定し、追従可能である場合に候補車両vに対し特定の車両Vに追従することを指示する。これにより、候補車両vの地図情報が加増する。次いで配車管理装置10は、確定した配車計画を配車計画データベース12eに格納して、現在の配車計画を確定する(S509)。また、配車管理装置10は、配車予約の確定通知を端末装置20に送信するとともに、配車計画に基づく配車指示を車両Vに送信する(S510)。
【0066】
これに対して、配車管理装置10は、配車計画の提案に対してユーザから不承諾(拒否)を受付けた場合(S507のNo)、該ユーザの配車要求に基づく現在の配車計画をキャンセルする(S511)。この場合、配車管理装置10は、配車計画の再作成のために使用された一時的に保留されていた配車計画を元の保留中の配車計画に戻す。ユーザは、別の配車サービスを希望する場合には、新たな配車要求を行うことになる。
【0067】
図6は、図5に示す地図情報の学習管理処理(S508)の詳細を示すフローチャートである。図6に示すように、配車管理システム1の配車管理装置10は、無人車両_ADである他の候補車両v(図中では「他車両」と記載)の地図情報(走行履歴情報)に、特定の車両Vの配車計画(特定配車計画)に含まれる運行ルートが登録済みか否かを判定する(S501)。配車管理装置10は、無人車両_ADの制御装置500bから取得した走行履歴情報に特定配車計画の運行ルート(図中では「配車ルート」と記載)が含まれる場合に、候補車両vが当該運行ルートを自律走行可能であると判定し(S601のYes)、学習管理処理を終了して図5に示す配車管理処理に戻る。
【0068】
一方、配車管理装置10は、無人車両_ADの走行履歴情報に特定配車計画の運行ルートが含まれないと判定し(S601のNo)、候補車両vが特定の車両Vに追従走行可能な状態であるか否か、具体的には、他の候補車両vの配車計画の運行ルート(図中では「他車両のルート」と記載)に特定配車計画の運行ルートと共通する地点があるか否かを判定する(S602)。配車管理装置10は、ともに点群データである候補車両vの配車計画の運行ルートと特定の車両Vの配車計画の運行ルートとに共通する地点がある(候補車両vが特定の車両Vに追従走行可能な状態である)と判定すると(S602のYes)、他の候補車両vが特定の車両Vと合流可能な合流地点の候補を算出する(S603)。例えば配車管理装置10は、特定の車両Vの配車計画における運行ルート上において、他の候補車両vの配車計画の運行ルートと共通する地点の緯度/経度の情報等から合流地点の候補を複数算出してもよい。
【0069】
配車管理装置10は、算出した合流地点の候補に基づき合流地点を決定する(S604)。例えば配車管理装置10は、合流地点の候補のうち乗車地点に最寄の地点を合流地点に決定してもよいし、該候補に乗車地点が含まれる場合は乗車地点を合流地点に決定してもよい。合流地点は一の地点に限らず、例えば複数の連続する合流地点の候補で構成される区間(合流区間)であってもよい。次いで、配車管理装置10は、他の候補車両vに特定の車両Vに追従走行する指示を行う(S605)。具体的には、配車管理装置10は他の候補車両vに合流地点(又は合流区間)の位置情報(緯度/経度等)を含む学習指示情報を送信して学習指示を行う。学習指示情報には、学習対象(先行車両)となる特定の車両Vの情報(例えば車両ID、車両属性等)も含まれる。これにより、無人車両V_ADである他の候補車両vは合流地点において特定の車両Vに合流して追従走行を開始し、特定配車計画の運行ルートを学習することができる。また学習指示情報には、合流予定時刻が含まれてもよい。当該時刻は特定の車両Vが合流地点に到着すると予想される時刻であって、候補車両vが特定の車両Vに合流可能な時刻である。候補車両vは合流可能時刻までに合流地点に到着することで、特定の車両Vに追従走行することができる。
なお、上記S601の判定を行わず、可能な限り(上記S602のYesの場合に)、他の候補車両vを特定の車両Vに追従走行させてもよい。
【0070】
図7は、追従走行により無人車両V_ADに新たな自律走行経路を学習させる際の配車管理システム1の動作の一例を説明するフローチャートである。図7に示すように、配車管理システム1における候補車両v(無人車両V_AD)の制御装置500bは、配車管理装置10から合流地点(又は合流区間)の位置情報(学習指示情報)を受信すると、合流地点に到着するまで走行履歴情報(図4A参照)に基づいて、自律走行モードで無人車両V_ADの走行を制御する(S701)。制御装置500bは、現在の位置情報に基づき合流地点に到着したと判定すると(S701のYes)、走行モードを切り替えて追従走行モードを開始する(S702)。具体的には、制御装置500bは、合流地点において学習指示情報に基づき先行車両となる特定の車両Vを検出し、先行車両に追従走行する制御を行う。制御装置500bは、例えば特定の車両Vとの車車間通信により特定の車両Vを検出してもよいし、追従走行モードにおいて無人車両V_ADが搭載するセンサ群501により他の候補車両vの走行を制御してもよいし、路車間通信を実行してもよい。
【0071】
制御装置500bは、追従走行モードの開始に応じて地図学習モードでのセンサ群501の制御を開始する(S703)。これにより、追従走行中に走行ルートの測量情報を取得し、新たな自律走行経路を学習可能である。制御装置500bは、追従走行の終了地点(追従終了地点)に到着するまで、追従走行モードによる実走行制御及び地図学習モードによるセンサ群501の動作制御を継続する(S704)。追従終了始点は、例えば測量地図データベース540の既存の走行履歴情報に含まれる所定地点である。追従終了地点は、制御装置500bが決定してもよいし、配車管理装置10が決定してもよい。例えば配車管理装置10は、合流地点の決定時(上記S604)に特定の車両Vに他の候補車両v(無人車両V_AD)が追従走行する区間を決定してもよい。制御装置500bは、例えば現在の位置情報及び走行履歴情報に基づいて追従終了地点に到着したと判定すると(S704のYes)、追従走行モード及び地図学習モードによる制御を終了して新たな自律走行経路の学習を終了し(S705)、自律走行モードでの走行制御により他の候補車両vを待機場所に帰還させる(S706)。なお制御装置500bは、追従終了地点の到着後において、待機場所に帰還せずに、新たなユーザの配車要求に応じた配車計画による運行ルートを無人車両V_ADに走行させてもよい。
【0072】
図8は、上記追従制御処理に応じた無人車両V_ADである他の候補車両vの追従走行を概念的に説明する図である。図中では内部地域Ar_1の地点P1が合流地点及び特定配車計画における乗車地であり、内部地域Ar_2の地点P2が当該運行ルートの降車地であり、内部地域Ar_1の地点P10が追従終了地点である。
【0073】
図8上段に示すように、他の候補車両vは、学習指示情報及び既存の走行履歴情報(図4A参照)が示す自律走行経路に従って地点P1まで自律走行し、特定の車両V(有人車両V_NAD)の運行ルートに合流する。他の候補車両vは、地点P1からユーザが乗車した特定の車両Vに追従走行し、且つセンサ群501による測量情報の収集を開始して、特定配車計画の運行ルートを学習する。具体的には、他の候補車両vは、未走行の地域である内部地域Ar_2を特定の車両Vに追従走行し、地点P2までの運行ルートを新たな自律走行経路として学習する。図8下段に示すように、他の候補車両vは、特定の車両Vが地点P2に到着してユーザが降車後も、追従走行を継続して内部地域Ar_2内の走行経路をさらに学習する。無人車両V_ADは、追従終了地点となる地点P10に到着すると、有人車両V_NADへの追従走行及びセンサ群501による測量情報の収集を終了し、待機場所等へ自律走行を行う。未走行の地域を特定の車両Vに追従走行することにより、他の候補車両vは新たな自律走行経路及び道路地図情報を学習し、測量地図データベース540が更新されて走行履歴情報に新たな自律走行経路が追加される(図4B参照)。
【0074】
以上のようにして、例えば配車管理システム1は、ユーザから配車要求を受付けた場合に、配車要求に従って抽出される候補車両vの配車計画を作成し、ユーザへの配車サービス提供時において、特定の車両Vに対応する最も効率性の高い特定配車計画をユーザに提案する一方、無人車両V_ADである他の候補車両vを特定の車両Vに追従走行させて、上記特定配車計画における運行ルートを学習させる。これにより、配車管理システム1は、サービス車両に無人車両と有人車両とが混在する場合においても、無人車両の地図情報の加増頻度を向上して車両間の地図情報量のばらつきを改善し、ひいてはモビリティサービス全体の質を向上することができる。また本例では、配車サービスにおいて乗車地及び降車地を含むエリアを効率的に走行可能な特定の車両Vが割り当てられるので、配車サービス利用時におけるユーザの満足度も向上させることができる。
【0075】
(変形例)
上記実施形態では、ユーザへの配車サービスの提供時において特定の車両Vの配車計画の運行ルートを他の候補車両vに学習させる例を説明したが、本開示はこれに限られない。例えば、ユーザが乗車していない「流し走行」中の有人車両V_NADに無人車両V_ADを追従走行させて、有人車両V_NADの走行経路を無人車両V_ADに学習させてもよい。この場合、配車管理装置10は有人車両V_NAD及び無人車両V_ADの現在の位置情報から走行予定経路を予想し、有人車両V_NADの走行予定経路に無人車両V_ADを合流させてもよい。また例えば、配車管理装置10は、ドライバ情報蓄積部151を参照して運転履歴に基づいて配車サービスの対象地域Arの運転履歴が豊富なドライバ(熟練ドライバ)を選出し、当該熟練ドライバが運転する有人車両V_NADに無人車両V_ADを追従走行させて地図情報を更新させてもよい。この場合、配車管理装置10は、追従走行する無人車両V_ADとして、上記熟練ドライバの運転履歴に含まれる地域(例えば内部地域Ar_2)の走行履歴情報が測量地図データベース540に含まれない車両を選択してもよい。
【0076】
また、配車管理装置10は、所定の周期で熟練ドライバが運転する有人車両V_NADと所定の無人車両V_ADとの位置関係を取得し、当該有人車両V_NADの近傍を走行中の無人車両V_ADに有人車両V_NADとの合流地点を通知してもよい。また配車管理装置10は、地図情報量が相対的に少ない無人車両V_AD(例えば配車サービスの対象地域内に未走行の地域がある車両等)を、待機場所で上記熟練ドライバが乗車する有人車両V_NADとマッチングさせてもよい。また配車管理装置10は、各無人車両V_ADに対し、追従走行のみを行う追従走行日を決定し、当該日は常に他の車両V(有人車両V_NAD又は他の無人車両V_AD)に追従走行させてもよい。これにより、測量地図データベース540の更新機会を集中的に付与し、短期間での情報量加増が可能である。
【0077】
また、追従走行により新たな地図情報を学習する無人車両V_ADは、ユーザが乗車していてもよい。つまり、配車管理装置10は、ユーザが乗車中の無人車両V_ADに学習指示を行い、制御装置500bは、ユーザが乗車中の無人車両V_ADを特定の車両Vに追従走行させてもよい。この場合、無人車両V_ADの配車計画における運行ルートと特定の車両Vの配車計画の運行ルートとに共通の区間があればよい。ユーザが乗車中の無人車両V_ADは、上記共通の区間について特定の車両Vに追従走行をすればよい。また追従走行により地図情報を更新する無人車両V_ADは、1台に限られない。追従走行時の安全性及び各地域の交通法規を遵守可能な範囲内で2台以上の無人車両V_ADが特定の車両Vに追従走行し、それぞれの地図情報を更新して地図情報量を加増させてもよい。
【0078】
また他の例として、無人車両V_AD同士で測量地図データベース540内の情報を共有させてもよい。これにより、さらに地図情報量の加増頻度を向上し、且つ地図情報量を容易に加増させることができる。例えば候補車両vである無人車両V_ADの制御装置500b及び別の無人車両V_ADの制御装置500bは、制御装置500bそれぞれが利用可能な測量地図データベース540の規格が同一である又は互換性がある場合に、制御装置500b間で測量地図データベース54内のデータの送受信を行い、走行履歴情報及び道路地図情報を共有する。これにより、無人車両V_AD間で容易に自律走行経路を示す測量地図データベース540の情報量を加増させることができる。なお、配車管理装置10は、各無人車両V_ADの測量地図データベース540の走行履歴情報の情報量の差分を抽出し、当該情報量が少ない無人車両V_ADに対し、他の無人車両V_ADの走行履歴情報を取得することを指示(学習指示情報を送信)してもよい。また無人車両V_ADの制御装置500bは、当該学習指示に基づいて別の無人車両V_ADの走行履歴情報を取得して新たな自律走行経路を学習してもよい。また、無人車両V_ADは、学習指示情報に含まれる車両ID等に基づいて別の無人車両V_ADと通信(車車間通信等)を行い、走行履歴情報を取得してもよい。
【0079】
これらの変形例においても、サービス車両に無人車両と有人車両とが混在する場合において無人車両の地図情報量の加増頻度を向上して車両間の地図情報量のばらつきを改善し、モビリティサービス全体の質を向上することができる。
【0080】
(実施形態の効果)
(1)利用者又は荷物の移動に供する車両として、有人車両V_NADと無人車両V_ADとを含む複数の車両Vを運行する配車管理システム1と、配車管理システム1における車両管理方法は、複数の車両Vの運行を管理する配車管理装置10と、無人車両V_ADに搭載され、配車管理装置10の指示に従って無人車両V_ADの走行を制御する制御装置500bと、を備え、配車管理装置10は、一の車両V(有人車両V_NAD又は無人車両V_AD)の配車計画の運行ルートと、他の車両V(無人車両V_AD)の配車計画の運行ルートとに基づき、該一の車両Vに該他の車両Vが追従走行可能な状況にあるか否かを判定し、追従走行可能な状況にあると判定した場合には、該他の車両Vの制御装置500bに対し、一の車両に追従走行する指示(学習指示)を行い、他の車両Vの制御装置500bは、制御装置500bが利用可能な測量地図データベース540を更新する地図更新部570を有し、該学習指示を受け取った場合に、該一の車両Vに追従走行するように該他の車両Vの走行を制御し、地図更新部570は、他の車両Vが追従走行中に取得した情報に基づき、測量地図データベース540を更新する。
これにより、サービス車両に無人車両と有人車両とが混在する場合においても、無人車両の地図情報量の加増頻度を向上して車両間の地図情報量のばらつきを改善し、モビリティサービス全体の質を向上可能である。
【0081】
(2)配車管理装置10は、該一の車両Vの配車計画の運行ルートと該他の車両Vの配車計画の運行ルートとに共通する地点がある場合に、該他の車両Vが該追従走行可能な状況にあると判定する。
これにより、より確実に他の車両Vが一の車両Vに追従走行可能な状況にあるか否かを判定することができる。
(3)配車管理装置10は、該共通する地点に基づいて該一の車両Vの配車計画の運行ルートに該他の車両Vが合流可能な合流地点又は該合流可能な合流区間を決定し、該他の車両Vの制御装置500bに該合流地点又は該合流区間を送信して、該他の車両Vの制御装置500bに対し該追従走行する指示を行う。
これにより、該他の車両Vをより確実に一の車両Vに追従走行させることができる。
(4)他の車両Vの制御装置500bが利用可能な測量地図データベース540は、該他の車両Vの自律走行経路を示し、他の車両Vの制御装置500bは、測量地図データベース540の走行履歴情報が示す自律走行経路に基づいて該他の車両の配車計画の運行ルートとなるルートパターンを導出する。
これにより、制御装置500bは、追従走行により更新された地図情報(自律走行経路)に基づき、より効率的なルートパターンを導出することができる。
【0082】
(5)配車管理装置10は、該一の車両Vの配車計画の運行ルートが、測量地図データベース540に含まれるか否かを判定し、該一の車両Vの配車計画の運行ルートが測量地図データベース540の走行履歴情報に含まれない、且つ該他の車両Vが該一の車両Vに追従走行可能な状況にあると判定した場合に、他の車両Vの制御装置500bに学習指示を行う。
これにより、無人車両V_ADに新たな自律走行経路をより確実に学習させることができる。
(6)少なくとも利用者の乗車希望地が示された配車要求を取得し、該一の車両V及び該他の車両Vを含む候補車両を抽出し、該配車要求に基づく候補車両それぞれのルートパターンを取得し、候補車両それぞれに対して該ルートパターンを含む配車計画を作成し、該一の車両Vの配車計画が最も効率性が高いと判定して該配車計画を特定の配車計画として利用者に提案し、該他の車両Vが該一の車両Vに追従走行可能な状況にあると判定した場合に、制御装置500bに追従走行する指示を行う。
これにより、利用者に配車サービスを提供する際に、候補車両v(無人車両V_AD)に、特定の車両V(有人車両V_NAD)を追従走行させて、容易に無人車両の地図情報量の加増頻度を向上し、且つ効率性の高い配車計画の運行ルートを候補車両v(制御装置500b)に学習させることができる。
(7)該一の車両Vは、有人車両V_NADである。
これにより配車管理装置10は、有人車両V_NADのドライバの運転履歴を反映した運行ルートを追従走行して、該運転履歴を反映した地図情報を学習することができる。
【0083】
(8)制御装置500bの地図更新部570は、追従走行中において他の車両Vが搭載するセンサ群501の動作を制御して、センサ群501が検出した該他の車両V周辺の対象物の測量情報を取得し、該追従走行中に取得した該測量情報に基づいて測量地図データベース540を更新する。
これにより、追従走行中において確実に無人車両V_AD周辺の対象物の測量情報を取得し、測量地図データベース540の情報量を加増させることができる。
(9)制御装置500bは、利用者が乗車している他の車両Vの制御装置500bに、該一の車両Vに追従走行する指示を行う。
これにより、制御装置500bは、測量地図データベース54(少なくとも道路地図情報)の情報量をより高頻度、且つ効率的に加増させることができる。
(10)他の車両Vの制御装置500b及び別の無人車両V_ADの制御装置500bは、制御装置500bそれぞれが利用可能な測量地図データベース540の規格が同一である又は互換性がある場合に、制御装置500b間で通信を行い、測量地図データベース540が含む道路地図情報及び走行履歴情報を共有する。
これにより、無人車両と有人車両とが混在する場合において、地図情報量の加増頻度をより向上させ、且つ無人車両間で容易に道路地図情報及び走行履歴情報を共有することができる。
【符号の説明】
【0084】
1…配車管理システム、10…配車管理装置、110…フロントエンド処理部、120…配車要求取得部、130…乗降地決定部、140…配車計画作成部、150…走行ルート計画部、160…車両通信インターフェース部、161…車両情報取得部、162…車両指示部、12…データベース、12a…ユーザ情報データベース、12b…地図データベース、12c…車両情報データベース、12d…配車計画データベース、20…端末装置、N…通信ネットワーク、V…車両、V_AD…無人車両、V_NAD…有人車両、500,500a,500b…制御装置、501…センサ群、510…位置情報取得部、520…通信部、530…ユーザインターフェース部、540…測量地図データベース、550…自律走行ルート計画部、560…走行制御部、570…地図更新部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8