(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167748
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】作業機械の稼働現場管理システム
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20241127BHJP
E02F 9/24 20060101ALI20241127BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
E02F9/26 B
E02F9/24 B
G05B23/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084026
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多胡 尚
(72)【発明者】
【氏名】日暮 昌輝
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 毅一
(72)【発明者】
【氏名】坂井 大斗
(72)【発明者】
【氏名】三ツ橋 元気
【テーマコード(参考)】
2D015
3C223
【Fターム(参考)】
2D015GA03
2D015GB06
2D015GB07
2D015HA03
2D015HB04
2D015HB05
3C223AA12
3C223BA03
3C223BB08
3C223CC02
3C223DD03
3C223FF04
3C223FF24
3C223FF34
3C223FF42
3C223GG01
3C223GG02
3C223HH04
3C223HH08
(57)【要約】
【課題】作業機械の稼働現場の安全状況をユーザに正確に把握させて、安全対策の実施を促すことを目的とする。
【解決手段】稼働現場管理システム100は、事故リスクを伴う事象を検知する検知装置18と検知装置18の作動の有効又は無効を設定するスイッチ28とを備える作業機械60と、サーバ25と、端末装置70と、を有する。作業機械60は、スイッチ28の設定情報に基づいて、検知装置18の作動が有効又は無効に設定された時間と作業機械60の稼働時間との比率を算出し、サーバ25へ送信する。サーバ25は、複数の作業機械60の各検知装置18の検知情報を集計した集計結果と当該比率とを端末装置70へ送信する。端末装置70は、当該検知情報の集計結果と当該比率とを表示する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の状態又は前記作業機械の周辺を監視して前記作業機械に発生した事故リスクを伴う事象を検知する検知装置と、前記作業機械の位置情報及び稼働情報並びに前記検知装置の検知情報を含む機械情報を記録する記録装置と、前記検知装置の作動を有効又は無効に設定するスイッチと、を備える作業機械と、
前記記録装置に記録された前記機械情報を複数の前記作業機械から受信し、複数の前記機械情報を前記作業機械の稼働現場毎に集計するサーバと、
前記機械情報の集計結果を前記サーバから受信し表示する端末装置と、を有し、
前記稼働現場の状況を管理する作業機械の稼働現場管理システムであって、
前記作業機械は、前記スイッチの設定情報に基づいて、前記検知装置の作動が有効又は無効に設定された時間と前記作業機械の稼働時間との比率を算出し、前記比率を前記機械情報に含めて前記記録装置に記録し、
前記サーバは、複数の前記作業機械の各検知装置の前記検知情報を集計した集計結果と前記比率とを前記端末装置へ送信し、
前記端末装置は、前記検知情報の前記集計結果と前記比率とを表示する
ことを特徴とする作業機械の稼働現場管理システム。
【請求項2】
前記サーバは、前記各検知装置によって前記事象が検知された回数又は頻度である検知回数又は検知頻度と、当該事象の検知位置とを集計し、前記検知位置における前記検知回数又は前記検知頻度を色の変化で表現したヒートマップを作成し、作成された前記ヒートマップを前記稼働現場の地図上に重畳して描画し、描画された前記ヒートマップを前記端末装置へ送信し、
前記端末装置は、前記ヒートマップを表示する
ことを特徴とする請求項1に記載された作業機械の稼働現場管理システム。
【請求項3】
前記サーバは、前記各検知装置によって前記事象が検知された時間帯である検知時間帯を集計して前記端末装置へ送信し、
前記端末装置は、前記検知時間帯を表示する
ことを特徴とする請求項2に記載された作業機械の稼働現場管理システム。
【請求項4】
前記サーバは、前記各検知装置によって前記事象が検知された日付である検知日と、当該事象が検知された際に行われていた各作業機械の操作の内訳とを集計して前記端末装置へ送信し、
前記端末装置は、前記検知日と前記操作の内訳とを表示する
ことを特徴とする請求項2に記載された作業機械の稼働現場管理システム。
【請求項5】
前記検知装置は、前記作業機械の周辺の物体と前記作業機械との距離が所定距離を下回って前記物体が前記作業機械に接近したことを前記事象として検知し、
前記サーバは、前記作業機械に接近した前記物体が前記各検知装置によって検知された方向である検知方向の内訳を集計して前記端末装置へ送信し、
前記端末装置は、前記検知方向の内訳を表示する
ことを特徴とする請求項2に記載された作業機械の稼働現場管理システム。
【請求項6】
前記端末装置は、前記ヒートマップの表示対象の前記作業機械を選択するユーザの入力操作を受け付けて前記サーバへ送信し、
前記サーバは、前記入力操作によって選択された前記作業機械に備えられた前記検知装置の前記検知情報を集計して前記ヒートマップを作成及び描画し、描画された前記ヒートマップを前記端末装置へ送信し、
前記端末装置は、前記入力操作によって選択された前記作業機械における前記ヒートマップを表示する
ことを特徴とする請求項2に記載された作業機械の稼働現場管理システム。
【請求項7】
前記端末装置は、前記各検知装置の前記検知情報の集計対象期間を指定するユーザの入力操作を受け付けて前記サーバへ送信し、
前記サーバは、前記入力操作によって指定された前記集計対象期間における前記検知情報を集計して前記ヒートマップを作成及び描画し、描画された前記ヒートマップを前記端末装置へ送信し、
前記端末装置は、前記入力操作によって指定された前記集計対象期間における前記ヒートマップを表示する
ことを特徴とする請求項2に記載された作業機械の稼働現場管理システム。
【請求項8】
前記作業機械は、前記作業機械の周辺の映像を撮影するカメラを更に備え、
前記記録装置は、前記検知装置によって前記事象が検知された際に撮影された前記映像を前記機械情報に含めて記録し、
前記作業機械は、前記映像を含む前記機械情報を前記サーバへ送信し、
前記サーバは、前記映像を前記ヒートマップに対応付けて前記端末装置へ送信し、
前記端末装置は、前記ヒートマップに対応付けられた前記映像を表示する
ことを特徴とする請求項2に記載された作業機械の稼働現場管理システム。
【請求項9】
前記端末装置は、前記ヒートマップ上の位置を指定するユーザの入力操作を受け付けて前記サーバへ送信し、
前記サーバは、前記入力操作によって指定された前記位置を含む所定範囲において前記事象が検知された際に撮影された前記映像を前記端末装置へ送信し、
前記端末装置は、前記入力操作によって指定された前記位置を含む前記所定範囲に対応付けられた前記映像を表示する
ことを特徴とする請求項8に記載された作業機械の稼働現場管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械の稼働現場を管理する稼働現場管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械は、作業機械の周辺を監視し周辺に存在する物体(人を含む)を検知する物体検知センサを備え、検知された物体と作業機械とが急接近するような事故リスクを伴う事象(ヒヤリハット事象)が発生すると、オペレータに警告を報知したり作業機械の動作を制限したりする機能を搭載している。
【0003】
特許文献1には、物体を検知した位置、方向、時刻及び、検知時点に行われていた操作の情報等を蓄積することによって、ヒヤリハット事象の発生傾向をレポート形式で稼働現場の管理者に提供する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業機械の稼働現場では、作業機械が狭い場所で壁に接近したまま作業をする場合や、作業を補助する人員が作業機械の近くに配置される場合等、作業機械が周辺の物体を検知したまま作業を続けなればならない状況がある。このような状況では、作業機械の動作が制限されるとかえって危険な場合があるので、オペレータが物体検知センサの作動を無効に設定して作業を行うことがある。また、作業機械の稼働現場では、粉塵又は雪等の外乱の影響によって物体検知センサの誤検知が頻発する状況がある。このような状況では、オペレータが誤検知に伴う警告の報知等を煩わしく感じ、物体検知センサの作動を無効に設定して作業を行うことがある。
【0006】
特許文献1に開示された技術では、オペレータが物体検知センサの作動を無効に設定して作業を行うことについて何ら考慮されていない。したがって、特許文献1に開示された技術では、物体検知センサの作動が無効に設定されたまま作業が行われている現場なのか、現場の安全レベルが高くヒヤリハット事象が発生していない現場なのか、を区別することが難しい。よって、特許文献1に開示された技術では、稼働現場の管理者等のユーザに対して、稼働現場の安全状況を正確に把握させることが難しい。
【0007】
上記事情に鑑みて、本発明は、作業機械の稼働現場の安全状況をユーザに正確に把握させて、安全対策の実施を促すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の作業機械の稼働現場管理システムは、作業機械の状態又は前記作業機械の周辺を監視して前記作業機械に発生した事故リスクを伴う事象を検知する検知装置と、前記作業機械の位置情報及び稼働情報並びに前記検知装置の検知情報を含む機械情報を記録する記録装置と、前記検知装置の作動を有効又は無効に設定するスイッチと、を備える作業機械と、前記記録装置に記録された前記機械情報を複数の前記作業機械から受信し、複数の前記機械情報を前記作業機械の稼働現場毎に集計するサーバと、前記機械情報の集計結果を前記サーバから受信し表示する端末装置と、を有し、前記稼働現場の状況を管理する作業機械の稼働現場管理システムであって、前記作業機械は、前記スイッチの設定情報に基づいて、前記検知装置の作動が有効又は無効に設定された時間と前記作業機械の稼働時間との比率を算出し、前記比率を前記機械情報に含めて前記記録装置に記録し、前記サーバは、複数の前記作業機械の各検知装置の前記検知情報を集計した集計結果と前記比率とを前記端末装置へ送信し、前記端末装置は、前記検知情報の前記集計結果と前記比率とを表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業機械の稼働現場の安全状況をユーザに正確に把握させて、安全対策の実施を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】検知有効率の算出及び機械情報の抽出に関する記録装置の動作を示すフローチャート。
【
図4】機械情報のサーバへの送信に関する通信装置の動作を示すフローチャート。
【
図5】サーバに蓄積されるデータの構造を説明する図。
【
図6】
図5に示す端末装置に表示された稼働現場の管理画面を示す図。
【
図8】
図6及び
図7に示すヒートマップにリンクされ端末装置に表示された映像リストを示す図。
【
図9】
図8に示す映像リストにリンクされ端末装置に表示された映像再生画面を示す図。
【
図10】
図9に示す映像再生画面の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。各実施形態において同一の符号を付された構成又は機能については、特に言及しない限り、各実施形態において同様の構成又は機能を有し、その説明を省略する。
【0012】
【0013】
稼働現場管理システム100によって管理される稼働現場において稼働する作業機械60は、油圧ショベル、ホイールローダ又はダンプトラック等の建設機械であってもよい。
図1には、作業機械60の一例として油圧ショベルが示されているが、作業機械60は特に限定されない。
【0014】
作業機械60には、エンジン又は電動モータである原動機1と、原動機1によって駆動される油圧ポンプであるメインポンプ2とが搭載されている。作業機械60では、メインポンプ2から供給された作動油によって、下部走行体3と上部旋回体4とフロント作業装置5とがそれぞれ独立して作動する。
【0015】
下部走行体3は、一対の走行体6(
図1では片側のみを示す)から成り、走行油圧モータ7の回転によって作動する。上部旋回体4は、旋回装置8を介して下部走行体3の上部に接続されており、不図示の旋回油圧モータの回転によって作動する。
【0016】
フロント作業装置5は、上部旋回体4に搭載されている。フロント作業装置5は、上部旋回体4に回転可能に支持されたブーム9と、ブーム9を駆動するブームシリンダ10と、ブーム9に回転可能に支持されたアーム11と、アーム11を駆動するアームシリンダ12と、アーム11に回転可能に支持されたバケット13と、バケット13を駆動するバケットシリンダ14と、を含む。各油圧シリンダ10,12,14は、メインポンプ2から供給された作動油によって伸縮し、各回転軸15,16,161を支点としてブーム9、アーム11及びバケット13をそれぞれ回転させる。これにより、フロント作業装置5は、掘削又は整地等の作業を行う。フロント作業装置5の姿勢は、ブーム9、アーム11及びバケット13に設けられた不図示の慣性計測装置(IMU: Inertial Measurement Unit)等によって検出され得る。
【0017】
稼働現場管理システム100は、作業機械60と、サーバ25と、端末装置70と、を有し、作業機械60が稼働する稼働現場の状況を管理するシステムである。稼働現場管理システム100の説明として、まず、
図2~
図4を用いて、作業機械60について説明する。
【0018】
図2は、稼働現場管理システム100の構成を示す図である。
【0019】
作業機械60の上部旋回体4に搭載された運転室の外部には、作業機械60の周辺を監視するカメラ17及び検知装置18が設けられている。運転室の内部には、映像処理装置19、制御装置20、ディスプレイ21及び記録装置22が設けられている。映像処理装置19、制御装置20、ディスプレイ21及び記録装置22は、CAN等の車載ネットワーク23を介して互いに通信可能に接続されている。
【0020】
カメラ17は、作業機械60の前方、後方、右方及び左方の各映像を撮影する複数のカメラ17によって構成される。各カメラ17は、映像処理装置19に接続される。各カメラ17によって撮影された映像は、映像処理装置19に入力される。映像処理装置19は、各カメラ17によって撮影された各映像を合成し、隣り合ったカメラ17の映像の境界をブレンドしたサラウンドビュー映像又は俯瞰映像等の合成映像をディスプレイ21へ出力する。映像処理装置19は、各カメラ17の映像が分割された状態の映像、又は、各カメラ17によって撮影されたそのままの映像をディスプレイ21へ出力してもよい。ディスプレイ21は、入力された映像を表示すると共に、当該映像を記録装置22へ出力する。
【0021】
検知装置18は、作業機械60の状態又は作業機械60の周辺を監視して、作業機械60に発生した事故リスクを伴う事象(ヒヤリハット事象)を検知する。具体的には、検知装置18は、作業機械60の周辺を監視して作業機械60の周辺に存在する物体を検知する物体検知センサを含む。検知装置18は、作業機械60の周辺の物体と作業機械60との距離が所定距離を下回って当該物体が作業機械60に接近する事象が発生した場合、当該事象を、事故リスクの1つである接触リスクを伴う事象として検知する。当該所定距離は、安全等を考慮して予め設定された値である。
【0022】
また、検知装置18は、作業機械60の状態を監視して作業機械60の異常を検知する異常検知センサを含む。例えば、検知装置18は、作業機械60の下部走行体3及び上部旋回体4の各姿勢を監視して、これらの傾斜角が所定角度を上回る事象が発生した場合、当該事象を、事故リスクの1つである転倒リスクを伴う事象として検知する。当該所定角度は、安全等を考慮して予め設定された値である。例えば、検知装置18は、作業機械60のフロント作業装置5の姿勢及び積載量並びに上部旋回体4の旋回速度を監視して、上部旋回体4の旋回速度が、フロント作業装置5の各回転角度及び積載量に応じて予め設定された所定速度を上回る事象が発生した場合、当該事象を、事故リスクの1つである転倒リスクを伴う事象として検知する。例えば、検知装置18は、作業機械60の走行速度を監視して、走行速度が予め設定された所定速度を上回る事象が発生した場合、当該事象を、事故リスクの1つである接触リスクを伴う事象として検知する。
【0023】
検知装置18は、作業機械60を統括的に制御する制御装置20に接続される。検知装置18は、前述のような事故リスクを伴う事象が検知された際、当該事象の検知情報を制御装置20へ出力する。制御装置20は、検知装置18の検知情報を取得し、記録装置22へ出力する。
【0024】
制御装置20は、作業機械60の油圧制御を行うコントローラであり、オペレータによって操作される、旋回操作レバー26a、走行操作レバー26b、及び、作業機械60の操作を許可するゲートロックレバー27に接続される。制御装置20は、旋回操作レバー26aの操作量、走行操作レバー26bの操作量、ゲートロックレバー27のロック状態又はロック解除状態のような各操作レバーの操作情報を取得し、記録装置22へ出力する。なお、ゲートロックレバー27は、ロック状態で、下部走行体3、上部旋回体4及びフロント作業装置5の動作を禁止し、ロック解除状態で、各操作レバーの操作によるこれらの動作を許容するものである。
【0025】
各操作レバーの操作情報は、作業機械60の稼働情報の1つである。作業機械60の稼働情報は、各操作レバーの操作情報の他、次のような情報を含む。稼働情報は、作業機械60の走行速度、下部走行体3及び上部旋回体4の向き(例えば下部走行体3の方位)、下部走行体3及び上部旋回体4の傾斜角度(例えば下部走行体3の地面に対する傾斜角度)、フロント作業装置5の姿勢(例えばブーム9、アーム11及びバケットシリンダ14の各回転角度)、上部旋回体4の姿勢(例えば上部旋回体4の旋回角度)、原動機1の回転数、並びに、メインポンプ2及び各油圧シリンダ10,12,14を含む各油圧機器の油圧情報を含む。制御装置20は、作業機械60の稼働情報を取得し、記録装置22へ出力する。
【0026】
また、制御装置20は、オペレータによって任意のタイミングで操作されるスイッチ28に接続される。スイッチ28は、検知装置18の作動を有効又は無効に設定するスイッチである。制御装置20は、オペレータの入力操作によって定められたスイッチ28の設定情報を取得し、記録装置22へ出力する。
【0027】
記録装置22は、作業機械60の機械情報を記録する。作業機械60の機械情報は、作業機械60の識別情報、位置情報、稼働情報、検知装置18の検知情報、及び、各カメラ17によって撮影された映像又はそれらを合成した合成映像(ディスプレイ21に表示された映像)を含む。作業機械60の位置情報は、記録装置22に接続された通信装置24によって取得され、記録装置22へ出力される。なお、当該映像は、機械情報として記録されることが好ましいが必須ではない。
【0028】
記録装置22は、検知装置18によって事故リスクを伴う事象が検知された際、当該事象の検知時点の時刻を機械情報に含めて記録する。この際、記録装置22は、スイッチ28の設定情報に基づいて、検知装置18の作動が有効又は無効に設定された時間と、作業機械60の稼働時間との比率を算出し、機械情報に含めて記録する。本実施形態では、記録装置22は、当該比率として、検知装置18の作動が有効に設定された時間と作業機械60の稼働時間との比率を示す検知有効率を算出する。検知有効率は、検知装置18の作動が有効に設定された時間が作業機械60の稼働時間に占める割合を示している。記録装置22は、制御装置20から検知装置18の検知情報が入力されると、当該事象の検知時点における検知有効率を算出し、算出された検知有効率を機械情報に含めて記録する。
【0029】
更に、記録装置22は、検知装置18によって事故リスクを伴う事象が検知された際、記録された作業機械60の機械情報の中から、当該事象の検知時点前後に亘る予め設定された期間分の機械情報を抽出する。記録装置22は、抽出された機械情報(検知有効率を含む)を、通信装置24からサーバ25へ送信される送信データとして保存する。
【0030】
通信装置24は、GNSS受信機等を搭載しており、作業機械60の位置情報を取得する。また、通信装置24は、無線通信ネットワークを介して、サーバ25と通信可能に接続される。通信装置24は、記録装置22に記録された機械情報、具体的には、サーバ25への送信データとして保存された機械情報を、サーバ25へ送信する。
【0031】
図3は、検知有効率の算出及び機械情報の抽出に関する記録装置22の動作を示すフローチャートである。なお、稼働時間カウンタの値は、稼働時間カウンタがONの期間に単位時間毎に加算され、作業機械60の稼働時間を示す。検知有効時間カウンタの値は、検知有効時間カウンタがONの期間に単位時間毎に加算され、検知装置18の作動が有効に設定された時間を示す。
【0032】
ステップS1において、記録装置22は、ゲートロックレバー27がロック解除状態であるか否かを判定する。ゲートロックレバー27がロック解除状態である場合(ステップS1:Yes)、記録装置22は、ステップS3へ移行する。ゲートロックレバー27がロック状態である場合(ステップS1:No)、記録装置22は、ステップS2へ移行する。
【0033】
ステップS2において、記録装置22は、作業機械60の稼働時間を計数する稼働時間カウンタと、検知装置18の作動が有効に設定された時間を計数する検知有効時間カウンタとをそれぞれOFFにし、稼働時間の加算と検知有効時間の加算とを停止する。この後、記録装置22は、ステップS1へ移行する。
【0034】
ステップS3において、記録装置22は、稼働時間カウンタをONにする。
【0035】
ステップS4において、記録装置22は、スイッチ28の設定情報に基づいて、検知装置18の作動が有効に設定されているか否かを判定する。検知装置18の作動が有効に設定されている場合(ステップS4:Yes)、記録装置22は、ステップS6へ移行する。検知装置18の作動が無効に設定されている場合(ステップS4:No)、記録装置22は、ステップS5へ移行する。
【0036】
ステップS5において、記録装置22は、検知有効時間カウンタをOFFにし、検知有効時間の加算を停止する。この後、記録装置22は、ステップS1へ移行する。
【0037】
ステップS6において、記録装置22は、検知有効時間カウンタをONにする。
【0038】
ステップS7において、記録装置22は、制御装置20から検知装置18の検知情報が入力されたか否かを判定する。検知装置18の検知情報が入力された場合(ステップS7:Yes)、記録装置22は、ステップS8へ移行する。検知装置18の検知情報が入力されていない場合(ステップS7:No)、記録装置22は、ステップS1へ移行する。
【0039】
ステップS8において、記録装置22は、検知装置18が事故リスクを伴う事象を検知した時点からT1秒前に遡った時点から時系列順に、機械情報の抽出を開始する。このT1秒は、予め設定されている。
【0040】
ステップS9において、記録装置22は、機械情報の抽出を開始してからT2秒が経過したか否かを判定する。このT2秒は、予め設定されている。記録装置22は、T2秒が経過するまで(ステップS9:No)、機械情報の抽出を続行する。記録装置22は、T2秒が経過したら(ステップS9:Yes)、機械情報の抽出を終了する。この後、記録装置22は、ステップS10へ移行する。
【0041】
ステップS10において、記録装置22は、抽出された機械情報を、サーバ25への送信データとして保存する。更に、記録装置22は、ステップS7において検知装置18の検知情報が入力された時点における検知有効率、すなわち、検知装置18によって事故リスクを伴う事象が検知された時点における検知有効率を算出する。記録装置22は、当該時点における検知有効時間カウンタの値と稼働時間カウンタの値とを参照し、検知有効時間カウンタの値を、稼働時間カウンタの値で除算することによって、当該時点における検知有効率を算出することができる。記録装置22は、算出された検知有効率を、抽出された機械情報に含めて、サーバ25への送信データとして保存する。
【0042】
ステップS11において、記録装置22は、作業機械60のキースイッチがOFFにされて、車体電源がOFFにされたか否かを判定する。車体電源がOFFにされた場合(ステップS11:Yes)、記録装置22は、ステップS12へ移行する。車体電源がOFFにされていない場合(ステップS11:No)、記録装置22は、ステップS1へ移行する。
【0043】
ステップS12において、記録装置22は、稼働時間カウンタと検知有効時間カウンタとをそれぞれOFFにして稼働時間の加算と検知有効時間の加算とを停止し、
図3に示す動作を終了する。この際、車体電源はOFFになっているが、記録装置22は別系統のバッテリ電源で駆動しているので、記録装置22は、全ての送信データの保存が完了するまでは、記録装置22の電源をOFFにしない。
【0044】
図4は、機械情報のサーバ25への送信に関する通信装置24の動作を示すフローチャートである。
図4に示すフローチャートは、
図3に示す記録装置22のフローチャートと並行して行われる。
【0045】
ステップS21において、通信装置24は、キースイッチがONにされて、車体電源がONになると、通信装置24の電源をONにする。
【0046】
ステップS22において、通信装置24は、サーバ25との通信を確立する処理を行い、サーバ25との通信が可能な状態であるか否かを判定する。サーバ25との通信が可能な状態である場合(ステップS22:Yes)、通信装置24は、ステップS23へ移行する。サーバ25との通信が可能な状態でない場合(ステップS22:No)、通信装置24は、サーバ25との通信を確立する処理をリトライする。
【0047】
ステップS23において、通信装置24は、
図3のステップS10において記録装置22に保存されたサーバ25への送信データが、サーバ25へ未送信のまま残っているか否かを判定する。記録装置22に保存された送信データが未送信のまま残っている場合(ステップS23:Yes)、通信装置24は、ステップS24へ移行する。記録装置22に保存された送信データが未送信のまま残っていない場合(ステップS23:No)、通信装置24は、ステップS22へ移行する。
【0048】
ステップS24において、通信装置24は、記録装置22に未送信のまま残っている送信データが1つだけか否かを判定する。記録装置22に未送信のまま残っている送信データが1つだけである場合(ステップS24:Yes)、通信装置24は、ステップS25へ移行する。記録装置22に未送信のまま残っている送信データが複数ある場合(ステップS24:No)、通信装置24は、ステップS26へ移行する。
【0049】
ステップS25において、通信装置24は、記録装置22に未送信のまま残っている送信データをサーバ25へ送信する。この後、通信装置24は、ステップS27へ移行する。
【0050】
ステップS26において、通信装置24は、記録装置22に未送信のまま残っている複数の送信データのうち、最も古い送信データをサーバ25へ送信する。この後、通信装置24は、ステップS27へ移行する。
【0051】
ステップS27において、通信装置24は、送信データのサーバ25への送信が完了したか否かを判定する。送信完了した場合(ステップS27:Yes)、通信装置24は、ステップS29へ移行する。送信中である場合(ステップS27:No)、通信装置24は、ステップS28へ移行する。
【0052】
ステップS28において、通信装置24は、サーバ25との通信が可能な状態であるか否かを判定する。サーバ25との通信が可能な状態である場合(ステップS28:Yes)、通信装置24は、ステップS27へ移行する。サーバ25との通信が可能な状態でない場合(ステップS28:No)、通信装置24は、送信を中断し、ステップS22へ移行する。
【0053】
ステップS29において、通信装置24は、作業機械60のキースイッチがOFFにされて、車体電源がOFFにされたか否かを判定する。車体電源がOFFにされた場合(ステップS29:Yes)、通信装置24は、ステップS30へ移行する。車体電源がOFFにされていない場合(ステップS29:No)、通信装置24は、ステップS22へ移行する。
【0054】
ステップS30において、通信装置24は、通信装置24の電源をOFFにし、
図4に示す動作を終了する。この際、車体電源はOFFになっているが、通信装置24は別系統のバッテリ電源で駆動しているので、通信装置24は、全ての送信データの送信が完了するまでは、通信装置24の電源をOFFにしない。
【0055】
次に、
図5~
図10を用いて、サーバ25及び端末装置70について説明する。
図5は、サーバ25に蓄積されるデータの構造を説明する図である。
【0056】
複数の作業機械60が送信した複数の送信データは、サーバ25に受信される。サーバ25によって受信された複数の受信データのそれぞれは、複数の作業機械60のそれぞれの記録装置22に記録された機械情報を含む。サーバ25によって受信された複数の機械情報は、作業機械60の数だけ存在する。複数の機械情報のそれぞれは、作業機械60の識別情報によって、どの作業機械60から送信された機械情報であるかを識別可能である。
【0057】
図5の例では、サーバ25によって受信された複数の機械情報29a,29bが示されている。複数の機械情報29a,29bのそれぞれは、作業機械60の識別情報30a,30bによって、どの作業機械60から送信された機械情報であるかを識別可能である。各機械情報29a,29bには、時系列データ31a,31bと、定数データ32a,32bと、が存在する。時系列データ31a,31bは、検知装置18の検知時点を起点として、当該検知時点のT1秒前から検知時点のT2秒後までの期間分のデータである。時系列データ31a,31bは、例えば、各カメラ17によって撮影された映像又はこれらの合成映像(ディスプレイ21に表示された映像)、各操作レバーの操作情報、及び、検知装置18の検知情報を含む。定数データ32a,32bは、検知装置18の検知時点のデータである。定数データ32a,32bは、例えば、当該検知時点の時刻、当該検知時点での作業機械60の位置情報、及び、当該検知時点での検知有効率を含む。
【0058】
図6は、
図5に示す端末装置70に表示された稼働現場の管理画面を示す図である。
図7は、
図6に示す管理画面の他の例を示す図である。
【0059】
サーバ25は、ユーザの入力操作に基づく端末装置70からの要求に応答して、複数の作業機械60から送信された複数の機械情報を作業機械60の稼働現場毎に集計し、機械情報の集計結果を端末装置70へ送信する。端末装置70は、サーバ25から送信された機械情報の集計結果を受信し、Webブラウザ等を用いて表示する。
【0060】
特に、サーバ25は、複数の作業機械60の各検知装置18の検知情報を集計する。サーバ25は、当該検知情報の集計結果と検知有効率とを端末装置70へ送信する。端末装置70は、当該検知情報の集計結果と検知有効率とを表示する。
【0061】
これにより、稼働現場管理システム100は、事故リスクを伴う事象が検知装置18によって検知された結果に対して、検知装置18がどの程度の割合で有効に設定されていたのかを可視化することができる。したがって、稼働現場管理システム100は、管理対象の稼働現場が、検知装置18の作動が無効に設定されたまま作業が行われている現場なのか、現場の安全レベルが高く事故リスクを伴う事象が発生していない現場なのかを、ユーザに区別させ易くすることができる。よって、稼働現場管理システム100は、作業機械60の稼働現場の安全状況をユーザに正確に把握させることができ、安全対策の実施を促すことができる。
【0062】
具体的には、サーバ25は、各検知装置18によって事故リスクを伴う事象が検知された回数又は頻度である検知回数又は検知頻度と、当該事象が検知された位置である検知位置とを集計する。検知位置は、検知装置18によって事故リスクを伴う事象が検知された時点での作業機械60の位置情報から特定される。サーバ25は、当該検知位置における当該事象の検知回数又は検知頻度を色の変化で表現したヒートマップを作成する。サーバ25は、作成されたヒートマップを稼働現場の地図上に重畳して描画する。サーバ25は、描画されたヒートマップを端末装置70へ送信する。端末装置70は、サーバ25から送信されたヒートマップを表示する。
【0063】
これにより、稼働現場管理システム100は、稼働現場の中で事故リスクを伴う事象が発生し易い場所の情報と検知有効率の情報とを可視化することができる。したがって、稼働現場管理システム100は、稼働現場の中で優先的に安全巡視が必要な場所を、ユーザに容易に把握させることができる。例えば、検知有効率が高く、且つ、検知回数等が少ない場所の場合、オペレータ及び周囲の作業員の安全意識が高く、現場の安全レベルが高いことが推定される。一方、検知有効率が高く、且つ、検知回数等が多い場所の場合、周囲の作業員の安全意識が低い可能性がある。この場合、ユーザは、優先的に安全巡視が必要な場所と判断することができる。また、検知有効率が低い場合、作業機械60が狭い場所で壁に接近したまま作業をしなければならないような作業環境が厳しい稼働現場の可能性がある。この場合、ユーザは、稼働現場の安全巡視や映像を再確認して、検知有効率が低い原因を特定するべきと判断することができる。このように、稼働現場管理システム100は、作業機械60の稼働現場の安全状況をユーザに正確且つ容易に把握させることができ、安全対策の実施を更に促すことができる。
【0064】
なお、稼働現場管理システム100において、検知有効率が高く、且つ、検知回数等が少ない場所の場合、サーバ25が、オペレータ及び周囲の作業員の安全意識が高く、現場の安全レベルが高いと分析し、分析結果を端末装置70に送信して、端末装置70に表示させてもよい。同様に、検知有効率が高く、且つ、検知回数等が多い場所の場合、サーバ25が、周囲の作業員の安全意識が低い可能性があり、優先的に安全巡視が必要な場所と分析して、分析結果を端末装置70に送信し、端末装置70に表示させてもよい。同様に、検知有効率が低い場合、サーバ25が、作業環境が厳しい稼働現場の可能性があり、稼働現場の安全巡視や映像を再確認して検知有効率が低い原因を特定するべきと分析し、分析結果を端末装置70に送信して、端末装置70に表示させてもよい。
【0065】
これにより、稼働現場管理システム100は、作業機械60の稼働現場の安全状況をユーザに正確且つ更に容易に把握させることができ、安全対策の実施を更に促すことができる。
【0066】
また、サーバ25は、各検知装置18によって事故リスクを伴う事象が検知された時間帯である検知時間帯を集計して端末装置70へ送信する。端末装置70は、例えばヒートマップと同一の画面上に、集計された検知時間帯を表示する。
【0067】
これにより、稼働現場管理システム100は、稼働現場の中で事故リスクを伴う事象が発生し易い時間帯の情報と検知有効率の情報とを可視化することができる。したがって、稼働現場管理システム100は、稼働現場の中で優先的に安全巡視が必要な時間帯を、ユーザに容易に把握させることができる。よって、稼働現場管理システム100は、作業機械60の稼働現場の安全状況をユーザに正確且つ容易に把握させることができ、安全対策の実施を更に促すことができる。
【0068】
また、サーバ25は、各検知装置18によって事故リスクを伴う事象が検知された日付である検知日と、当該事象が検知された際に行われていた各作業機械60の操作の内訳とを集計して端末装置70へ送信する。端末装置70は、例えばヒートマップと同一の画面上に、集計された検知日と操作の内訳とを表示する。
【0069】
これにより、稼働現場管理システム100は、作業機械60の作業中に行われる操作の中で事故リスクを伴う事象が発生し易い操作の情報と検知有効率の情報とを可視化することができる。したがって、稼働現場管理システム100は、作業機械60の作業の中で慎重な操作を必要とする作業を、ユーザに容易に把握させることができ、オペレータへの指導を促すことができる。よって、稼働現場管理システム100は、作業機械60の稼働現場の安全状況をユーザに正確且つ容易に把握させることができ、安全対策の実施を更に促すことができる。
【0070】
また、サーバ25は、作業機械60に接近した物体が各検知装置18によって検知された方向である検知方向の内訳を集計して端末装置70へ送信する。端末装置70は、例えばヒートマップと同一の画面上に、集計された検知方向の内訳を表示する。
【0071】
これにより、稼働現場管理システム100は、作業機械60の周辺において事故リスクを伴う事象が発生し易い方向の情報と検知有効率の情報とを可視化することができる。したがって、稼働現場管理システム100は、作業機械60の周辺において慎重な確認を必要とする方向を、ユーザに容易に把握させることができ、オペレータへの指導を促すことができる。よって、稼働現場管理システム100は、作業機械60の稼働現場の安全状況をユーザに正確且つ容易に把握させることができ、安全対策の実施を更に促すことができる。
【0072】
また、端末装置70は、ヒートマップの表示対象の作業機械60を選択するユーザの入力操作を受け付けてサーバ25へ送信する。サーバ25は、当該入力操作によって選択された作業機械60に備えられた検知装置18の検知情報を集計してヒートマップを作成及び描画し、描画されたヒートマップを端末装置70へ送信する。端末装置70は、当該入力操作によって選択された作業機械60におけるヒートマップを表示する。
【0073】
これにより、稼働現場管理システム100は、稼働現場で稼働する作業機械60の中で事故リスクを伴う事象が発生し易い作業機械60の情報と検知有効率の情報とを可視化することができる。したがって、稼働現場管理システム100は、稼働現場で稼働する作業機械60の中で慎重な運転を必要とする作業機械60を、ユーザに容易に把握させることができ、オペレータへの指導を促すことができる。よって、稼働現場管理システム100は、作業機械60の稼働現場の安全状況をユーザに正確且つ容易に把握させることができ、安全対策の実施を更に促すことができる。
【0074】
また、端末装置70は、各検知装置18の検知情報の集計対象期間を指定するユーザの入力操作を受け付けてサーバ25へ送信する。サーバ25は、当該入力操作によって指定された集計対象期間における検知装置18の検知情報を集計してヒートマップを作成及び描画し、描画されたヒートマップを端末装置70へ送信する。端末装置70は、当該入力操作によって指定された集計対象期間におけるヒートマップを表示する。
【0075】
これにより、稼働現場管理システム100は、稼働現場の施工期間全体の中で事故リスクを伴う事象が発生し易い期間の情報と検知有効率の情報とを可視化することができる。したがって、稼働現場管理システム100は、稼働現場の施工期間全体の中で優先的に安全対策の実施が必要な期間と当該期間に対応する施工工程とを、ユーザに容易に把握させることができる。よって、稼働現場管理システム100は、作業機械60の稼働現場の安全状況をユーザに正確且つ容易に把握させることができ、安全対策の実施を更に促すことができる。
【0076】
また、サーバ25は、検知装置18によって事故リスクを伴う事象が検知された際に撮影された映像(これらの合成映像を含む)をヒートマップに対応付けて端末装置70へ送信する。端末装置70は、ヒートマップに対応付けられた当該映像を表示する。
【0077】
これにより、稼働現場管理システム100は、稼働現場の中で事故リスクを伴う事象が発生し易い場所の状況を映像として再現しつつ、検知有効率の情報を可視化することができる。したがって、稼働現場管理システム100は、稼働現場の中で優先的に安全対策の実施が必要な場所で発生した当該事象の発生要因を、映像から具体的にユーザに把握させることができる。よって、稼働現場管理システム100は、作業機械60の稼働現場の安全状況をユーザに更に正確且つ容易に把握させることができ、安全対策の実施を更に促すことができる。
【0078】
また、端末装置70は、ヒートマップ上の位置を指定するユーザの入力操作を受け付けてサーバ25へ送信する。サーバ25は、当該入力操作によって指定された位置を含む所定範囲において当該事象が検知された際に撮影された映像(これらの合成映像を含む)を端末装置70へ送信する。端末装置70は、当該入力操作によって指定された位置を含む所定範囲に対応付けられた当該映像を表示する。
【0079】
これにより、稼働現場管理システム100は、稼働現場の中で優先的に安全対策の実施が必要な場所で発生した当該事象の発生要因を、更に具体的且つ容易にユーザに把握させることができる。よって、稼働現場管理システム100は、作業機械60の稼働現場の安全状況をユーザに更に正確且つ更に容易に把握させることができ、安全対策の実施を更に促すことができる。
【0080】
図6に示すように、端末装置70に表示された稼働現場の管理画面は、稼働現場において稼働する作業機械60のリストを表示する稼働機リストウィンドウ33と、検知装置18の検知情報の集計対象期間を表示する集計対象期間ウィンドウ36と、地
図39に重畳表示されたヒートマップ38を表示するヒートマップウィンドウ37と、検知時間帯を表示する検知時間帯ウィンドウ40と、検知日及び操作の内訳を表示する検知日ウィンドウ41と、作業機械60に接近する物体の検知方向を表示する検知方向ウィンドウ42と、を少なくとも有する。
【0081】
稼働機リストウィンドウ33には、稼働現場において稼働している全ての作業機械60の名前が表示される。稼働機リストウィンドウ33の各作業機械60の名前には、スイッチ34が割り当てられている。端末装置70を閲覧するユーザがスイッチ34を有効にすると、有効にされた作業機械60に備えられた検知装置18の検知情報が集計対象となる。稼働機リストウィンドウ33には、各作業機械60の名前に対応付けて各作業機械60の検知有効率35が表示されている。
【0082】
集計対象期間ウィンドウ36は、各検知装置18の検知情報の集計対象期間を指定するユーザの入力操作を受け付けることができる。集計対象期間ウィンドウ36には、ユーザの入力操作によって指定された検知情報の集計対象期間が表示される。集計対象期間ウィンドウ36に表示された集計対象期間における検知情報が集計されて、ヒートマップ38が作成及び描画される。
【0083】
ヒートマップウィンドウ37には、集計対象期間において事故リスクを伴う事象が検知された検知位置での当該事象の検知回数又は検知頻度を色の変化(色相、彩度又は明度の変化)で表現したヒートマップ38が表示される。ヒートマップ38の表現形式は、当該検知位置の密度に比例して色を濃く(明度を低く)表現する形式であってもよい。ヒートマップ38は、稼働現場の地
図39上に重畳して表示される。
【0084】
検知時間帯ウィンドウ40には、集計対象期間において事故リスクを伴う事象が検知された時刻に基づき、検知時間帯として、所定時間帯毎の当該事象の検知回数又は検知頻度が表示される。検知日ウィンドウ41には、集計対象期間において事故リスクを伴う事象の検知回数と当該事象の検知時点に行われていた操作の内訳とが、当該事象の検知日毎に表示される。
図6の例では、検知日毎に走行操作、旋回操作、その他の操作と区別されているが、これに限らず、フロント作業装置5の操作を加えたり、ブーム9、アーム11及びバケット13の個別の操作を加えたりすることもできる。検知方向ウィンドウ42には、集計対象期間において作業機械60に接近した物体の検知方向の内訳を割合で表示する。
図6の例では、集計対象期間における作業機械60の右方での検知が50%、左方での検知が20%、後方での検知が30%であることを示している。
【0085】
なお、検知有効率35は、
図6に示すように、稼働機リストウィンドウ33において作業機械60毎に表示されてもよいが、
図7に示すように、専用のウィンドウにおいて表示されてもよい。この場合、検知有効率35の専用のウィンドウには、検知装置18に含まれる物体検知センサの検知有効率と異常検知センサとの検知有効率とが区別されて表示されてもよい。すなわち、作業機械60のスイッチ28は、当該物体検知センサの作動と当該異常検知センサの作動とを区別して有効又は無効に設定することができる。記録装置22は、当該物体検知センサの検知情報と当該異常検知センサの検知情報とを区別して記録することができる。記録装置22は、当該物体検知センサの検知有効率と当該異常検知センサの検知有効率とを区別して算出し、記録することができる。サーバ25は、各検知装置18の当該物体検知センサの検知情報と当該異常検知センサの検知情報とを区別して集計し、ヒートマップ38を作成することができる。
【0086】
図6及び
図7に示すヒートマップ38上の任意の位置がユーザの入力操作(例えばクリック)によって指定されると、指定された位置を含む所定範囲において当該事象が検知された際に撮影された映像又はこれらの合成映像のリスト(以下「映像リスト」とも称する)が表示される。
【0087】
図8は、
図6及び
図7に示すヒートマップ38にリンクされ端末装置70に表示された映像リストを示す図である。
【0088】
図8に示すように、端末装置70に表示された映像リストは、当該映像のサムネイルを表示するサムネイル欄43と、当該事象の検知時点の日時を表示する発生日時欄44と、当該事象の内容を表示する事象欄45と、当該事象の検知時点に行われていた操作の内訳を表示する操作内訳欄46と、当該事象が検知された作業機械60を識別する作業機械欄47と、を有する。なお、
図8の油圧ショベルDの例では、発生日時2021年4月7日12:45に、油圧ショベルDの左方において、物体からの接近又は物体への接近を検知して警告が発せられ、その際の操作が走行操作であったことを示している。
【0089】
図8に示す映像リストの任意の行が、ユーザの入力操作(例えばクリック)によって指定されると、指定された行のサムネイル欄43に表示された当該映像を再生する映像再生画面が表示される。
【0090】
図9は、
図8に示す映像リストにリンクされ端末装置70に表示された映像再生画面を示す図である。
図10は、
図9に示す映像再生画面の他の例を示す図である。
【0091】
図9に示すように、端末装置70に表示された映像再生画面は、映像リストに記載の情報を表示する映像タイトル欄48と、当該事象の検知位置を含む稼働現場の地
図39を表示する地図ウィンドウ49と、当該映像を再生する映像ウィンドウ51と、当該事象の検知時点での操作情報及び稼働情報の少なくとも1つを表示する操作情報ウィンドウ55と、を有する。
【0092】
地図ウィンドウ49には、ヒートマップウィンドウ37と同様の稼働現場の地
図39が表示される。当該事象の検知位置には、作業機械60のアイコン50が表示される。映像ウィンドウ51には、例えば、作業機械60の前方、後方、左方及び右方の各映像を同一画面にて同時に4分割表示にて表示される。或いは、映像ウィンドウ51には、例えば、上方視点から作業機械60の全周方向を示す俯瞰映像が表示される。映像ウィンドウ51には、この4分割表示の映像と俯瞰映像とが、ユーザの入力操作(例えばクリック)により切り換えて表示されたり、同時に表示されたりする。映像ウィンドウ51の当該映像は、ユーザの入力操作(例えばクリック)により再生ボタン52が押下させることによって再生され、停止ボタン53が押下されることによって停止される。映像ウィンドウ51の当該映像は、ユーザの入力操作(例えばドラッグ又はクリック)によりシークバー54の位置がスライドされることによって、再生位置が調整される。操作情報ウィンドウ55には、当該操作情報及び稼働情報の少なくとも1つがグラフ形式で表示される。操作情報ウィンドウ55のグラフは、映像ウィンドウ51の当該映像と同期して表示される。操作情報ウィンドウ55のグラフは、シークバー54の位置に合わせてスライドして表示される。
【0093】
なお、
図10に示すように、端末装置70に表示された映像再生画面は、映像ウィンドウ51の当該映像の再生位置では、検知装置18の作動が有効に設定された状態か無効に設定された状態かを表示するメッセージ欄56を有していてもよい。すなわち、作業機械60は、当該事象の検知時点前後に亘る予め設定された期間分の映像だけでなく、検知装置18の作動が無効に設定された期間の映像を記録装置22で記録して、サーバ25へ送信することができる。
【0094】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の変更を行うことができる。本発明は、或る実施形態の構成を他の実施形態の構成に追加したり、或る実施形態の構成を他の実施形態と置換したり、或る実施形態の構成の一部を削除したりすることができる。
【符号の説明】
【0095】
17…カメラ、18…検知装置、22…記録装置、28…スイッチ、29a,29b…機械情報、25…サーバ、60…作業機械、70…端末装置