IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

特開2024-167751機器異常推定システム、管理システム、機器異常推定方法及びプログラム
<>
  • 特開-機器異常推定システム、管理システム、機器異常推定方法及びプログラム 図1
  • 特開-機器異常推定システム、管理システム、機器異常推定方法及びプログラム 図2
  • 特開-機器異常推定システム、管理システム、機器異常推定方法及びプログラム 図3
  • 特開-機器異常推定システム、管理システム、機器異常推定方法及びプログラム 図4
  • 特開-機器異常推定システム、管理システム、機器異常推定方法及びプログラム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167751
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】機器異常推定システム、管理システム、機器異常推定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20241127BHJP
   G01N 25/72 20060101ALI20241127BHJP
   G08B 21/18 20060101ALI20241127BHJP
   G06Q 50/16 20240101ALI20241127BHJP
   G06Q 10/20 20230101ALI20241127BHJP
【FI】
G08B25/04 Z
G01N25/72 J
G08B21/18
G06Q50/16
G06Q10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084031
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金森 圭太
【テーマコード(参考)】
2G040
5C086
5C087
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2G040AA05
2G040BA14
2G040BA25
2G040CA01
2G040DA05
2G040DA06
2G040DA15
2G040GA01
2G040HA01
2G040HA05
2G040ZA08
5C086AA05
5C086BA17
5C086CB01
5C086FA02
5C086FA06
5C086FA15
5C086FA17
5C086FA18
5C087AA09
5C087AA16
5C087AA21
5C087AA32
5C087AA37
5C087DD23
5C087DD24
5C087DD27
5C087DD29
5C087DD30
5C087DD31
5C087DD33
5C087EE05
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG09
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
5C087GG84
5L049CC15
5L049CC29
5L050CC29
(57)【要約】
【課題】本開示の課題は、より容易に機器の状態を推定することである。
【解決手段】機器異常推定システム1は、取得部101と、解析部102と、推定部103と、出力部104と、を備える。取得部101は、施設に設けられた機器に関する情報であって機器が設けられた空間において機器から生じる熱の空間分布情報を取得する。解析部102は、空間分布情報を基に、空間の温度分布を解析する。推定部103は、解析部102の解析結果を基に、機器の状態を推定する。出力部104は、推定部103の推定結果に応じた情報であって機器の状態を表す機器状態情報を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設に設けられた機器に関する情報であって前記機器が設けられた空間において前記機器から生じる熱の空間分布情報を取得する取得部と、
前記空間分布情報を基に、前記空間の温度分布を解析する解析部と、
前記解析部の解析結果を基に、前記機器の状態を推定する推定部と、
前記推定部の推定結果に応じた情報であって前記機器の状態を表す機器状態情報を出力する出力部と、を備える、
機器異常推定システム。
【請求項2】
前記取得部は、前記空間分布情報を、前記機器から生じる電磁波を計測するセンサから取得する、
請求項1に記載の機器異常推定システム。
【請求項3】
前記取得部は、前記空間分布情報を、前記機器から生じる熱を計測するセンサから取得する、
請求項1に記載の機器異常推定システム。
【請求項4】
前記機器は、照明機器、空調機器及び配線機器のうち少なくとも1つを含み、
前記推定部は、前記機器に含まれる前記照明機器、前記空調機器及び前記配線機器のいずれかの状態を推定する、
請求項1に記載の機器異常推定システム。
【請求項5】
前記空間分布情報は、前記空間を複数の領域を含む2次元で表したマップ情報、及び前記複数の領域のそれぞれについて当該領域における温度を表す温度情報を含み、
前記解析部は、前記複数の領域のそれぞれの前記温度情報を基に、前記推定部が前記機器の状態を推定する際に用いる基準となる前記複数の領域全体での温度に係る基準値を算出し、前記複数の領域を、前記温度情報で表される温度が前記基準値より高い領域と低い領域とに区別する、
請求項1に記載の機器異常推定システム。
【請求項6】
前記推定部は、所定の条件及び機械学習によって構築された学習モデルのうち少なくとも一方を用いて前記機器の状態を推定する、
請求項1に記載の機器異常推定システム。
【請求項7】
前記推定部は、所定の条件及び機械学習によって構築された学習モデルのうち少なくとも一方を用いて定期的に前記機器の状態を第1状態として推定し、時系列に連続する複数の前記第1状態に基づいて前記機器の状態を第2状態として推定し、
前記出力部は、前記第2状態に応じた前記機器状態情報を出力する、
請求項1に記載の機器異常推定システム。
【請求項8】
前記出力部は、前記機器状態情報を外部装置に出力する、
請求項1に記載の機器異常推定システム。
【請求項9】
通知部を更に備え、
前記出力部は、前記機器状態情報を前記通知部に出力し、
前記通知部は、外部に前記機器状態情報を通知する、
請求項1に記載の機器異常推定システム。
【請求項10】
請求項1に記載の機器異常推定システムと、
前記空間分布情報を出力するセンサと、を備える、
管理システム。
【請求項11】
施設に設けられた機器に関する情報であって前記機器が設けられた空間において前記機器から生じる熱の空間分布情報を取得する取得ステップと、
前記空間分布情報を基に、前記空間の温度分布を解析する解析ステップと、
前記解析ステップでの解析結果を基に、前記機器の状態を推定する推定ステップと、
前記推定ステップでの推定結果に応じた情報であって前記機器の状態を表す機器状態情報を出力する出力ステップと、を含む、
機器異常推定方法。
【請求項12】
コンピュータシステムに、請求項11に記載の機器異常推定方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に機器異常推定システム、管理システム、機器異常推定方法及びプログラムに関し、より詳細には空間に設けられた機器の異常を推定する機器異常推定システム、管理システム、機器異常推定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、機器管理装置が記載されている。特許文献1の機器管理装置は、点検対象の設備機器の点検データを蓄積する。危機管理装置は、点検対象の設備機器の過去の点検データを表示部に表示する。これにより、ユーザは、例えば、現在の点検データと過去の点検データとを比較して、設備機器をより詳細に監視および管理することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/125146号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、設備機器ごとに点検データを取得する必要がある。すなわち、特許文献1では、設備機器ごとに点検を行う必要がある。そのため、点検者の負担が大きい。
【0005】
本開示は上記課題に鑑みてなされ、より容易に機器の状態を推定することができる機器異常推定システム、管理システム、機器異常推定方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る機器異常推定システムは、取得部と、解析部と、推定部と、出力部と、を備える。前記取得部は、施設に設けられた機器に関する情報であって前記機器が設けられた空間において前記機器から生じる熱の空間分布情報を取得する。前記解析部は、前記空間分布情報を基に、前記空間の温度分布を解析する。前記推定部は、前記解析部の解析結果を基に、前記機器の状態を推定する。前記出力部は、前記推定部の推定結果に応じた情報であって前記機器の状態を表す機器状態情報を出力する。
【0007】
本開示の一態様に係る管理システムは、前記機器異常推定システムと、前記空間分布情報を出力するセンサと、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る機器異常推定方法は、取得ステップと、解析ステップと、推定ステップと、出力ステップと、を含む。前記取得ステップは、施設に設けられた機器に関する情報であって前記機器が設けられた空間において前記機器から生じる熱の空間分布情報を取得する。前記解析ステップは、前記空間分布情報を基に、前記空間の温度分布を解析する。前記推定ステップは、前記解析ステップでの解析結果を基に、前記機器の状態を推定する。前記出力ステップは、前記推定ステップでの推定結果に応じた情報であって前記機器の状態を表す機器状態情報を出力する。
【0009】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに、前記機器異常推定方法を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によると、より容易に機器の状態を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、機器異常推定システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、同上の機器異常推定システムの適用例を示す構成図である。
図3図3は、機器状態情報を示す推定結果画面の一例を示す画面図である。
図4図4は、同上の機器異常推定システムの動作を示す流れ図である。
図5図5は、変形例1に係る機器異常推定システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に説明する実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、実施形態及び変形例に限定されない。以下の実施形態及び変形例以外であっても、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0013】
(実施形態)
以下、本実施形態に係る機器異常推定システム1、及び機器異常推定システム1を備える管理システム2について、図1図4を用いて説明する。
【0014】
(1)概要
本実施形態では、機器異常推定システム1は、空間分布情報を用いて、施設5の空間SP1(図2参照)に設けられた機器30として照明機器31の状態を推定する。すなわち、機器異常推定システム1は、空間分布情報を用いて、施設5の空間SP1に設けられた機器30(照明機器31)の状態が異常状態であるか、正常状態であるかを推定する。ここで、空間分布情報は、施設5に設けられた機器30(ここでは、照明機器31)に関する情報であって機器30が設けられた空間SP1において機器30から生じる熱の分布を表す情報である。
【0015】
本開示でいう「施設」は、オフィス、店舗、事業所、工場、ビル、学校、福祉施設又は病院等の非住宅施設、及び戸建住宅、集合住宅、又は集合住宅の各住戸等の住宅施設を含む。非住宅施設は、劇場、映画館、公会堂、遊技場、複合施設、飲食店、百貨店、ホテル、旅館、幼稚園、図書館、博物館、美術館、地下街、駅及び空港等も含む。さらには、本開示でいう「施設」は、球場、庭、駐車場、グランド及び公園等の屋外施設を含む。
【0016】
本開示でいう「空間」は、施設に含まれる。例えば、空間は、施設がオフィスである場合には、例えばオフィスの1フロア全体、及び1フロアの一部である。また、空間は、施設が住宅施設である場合には、住宅施設に含まれる部屋であり、例えばリビング、及び寝室である。
【0017】
本実施形態に係る機器異常推定システム1は、図1に示すように、取得部101と、解析部102と、推定部103と、出力部104と、を備える。取得部101は、施設5に設けられた機器30に関する情報であって機器30が設けられた空間SP1において機器30から生じる熱の空間分布情報を取得する。解析部102は、空間分布情報を基に、空間SP1の温度分布を解析する。推定部103は、解析部102の解析結果を基に、機器30の状態を推定する。出力部104は、推定部103の推定結果に応じた機器状態情報を出力する。
【0018】
この構成によると、より容易に機器の状態を推定することができる。
【0019】
また、本実施形態に係る管理システム2は、図1に示すように、機器異常推定システム1と、空間分布情報を出力するセンサ20と、を備える。機器異常推定システム1とセンサ20とは、図2に示すように、同一の筐体に収容されている。
【0020】
管理システム2の機器異常推定システム1は、情報端末40と通信可能に構成されている。機器異常推定システム1は、機器状態情報を情報端末40に送信する。
【0021】
(2)構成
ここでは、管理システム2、及び情報端末40の構成について説明する。
【0022】
(2.1)管理システム
管理システム2は、上述したように、センサ20と、機器異常推定システム1と、を備える。機器異常推定システム1とセンサ20とは、同一の筐体に収容されている。センサ20及び機器異常推定システム1について説明する。
【0023】
(2.1.1)センサ
センサ20は、機器異常推定システム1と通信可能に構成されている。例えば、センサ20は、有線通信により機器異常推定システム1と通信を行う。なお、センサ20は、無線通信により機器異常推定システム1と通信を行ってもよい。ここで、本開示の「無線通信」は、例えばBluetooth(登録商標)及びZigBee(登録商標)等を用いた通信である。
【0024】
センサ20は、機器30から生じる熱を計測するセンサである。センサ20は、計測結果として空間分布情報を出力する。センサ20は、例えば赤外線アレイセンサである。センサ20は、計測範囲である空間SP1の温度分布計測、すなわち空間SP1の機器30から生じる熱の計測を行い、計測結果として空間分布情報を機器異常推定システム1に出力する。本実施形態では、センサ20は、機器30として照明機器31から生じる熱の計測を行い、照明機器31から生じる熱の計測結果として空間分布情報を機器異常推定システム1に出力する。
【0025】
具体的には、センサ20は、空間SP1での温度分布計測を行い、計測結果を例えば8×8の格子状に区切られた64個の領域を有する2次元平面の画像(赤外線画像)として表す。センサ20は、計測結果(赤外線画像)を空間分布情報として機器異常推定システム1に出力する。すなわち、空間分布情報は、空間SP1を複数の領域を含む2次元で表したマップ情報、及び複数の領域のそれぞれについて当該領域における温度を表す温度情報を含む。
【0026】
(2.1.2)機器異常推定システム
機器異常推定システム1は、図1に示すように、第1通信部11と、第2通信部12と、制御部13と、を備える。
【0027】
機器異常推定システム1は、例えばプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部13として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0028】
第1通信部11は、センサ20と通信するための通信インタフェースを有している。例えば、第1通信部11は、有線通信によりセンサ20と通信を行う。なお、第1通信部11は、無線通信によりセンサ20と通信を行ってもよい。
【0029】
第2通信部12は、情報端末40と通信するための通信インタフェースを有している。例えば、第2通信部12は、無線通信により情報端末40と通信可能に構成されている。なお、第2通信部12は、インターネット等のネットワークを介して情報端末40と通信可能に構成されてもよい。
【0030】
制御部13は、図1に示すように、取得部101、解析部102、推定部103、及び出力部104を有している。
【0031】
取得部101は、施設5に設けられた機器30に関する情報であって機器30が設けられた空間SP1において機器30から生じる熱の空間分布情報を取得する。本実施形態では、取得部101は、空間分布情報を、機器30から生じる熱を計測するセンサ20から取得する。
【0032】
解析部102は、取得部101が取得した空間分布情報を基に、空間SP1の温度分布を解析する。
【0033】
解析部102は、空間分布情報である赤外線画像に含まれる複数の領域のそれぞれの温度情報を基に、推定部103が機器30の状態を推定する際に用いる基準となる複数の領域全体での温度に係る基準値を算出する。解析部102は、複数の領域を、温度情報で表される温度が基準値より高い領域と低い領域とに区別する。
【0034】
解析部102は、複数の領域のそれぞれの温度情報を基に平均温度を、複数の領域全体での温度として算出する。さらに、解析部102は、算出した平均温度に対する標準偏差“σ”を算出する。解析部102は、平均温度及び標準偏差“σ”を用いて基準値を求める。例えば、解析部102は、平均温度に標準偏差“σ”を加算して、加算結果を基準値として算出する。解析部102は、複数の領域を、算出した基準値を基準として基準値より高い領域と低い領域とに区別する。
【0035】
さらに、解析部102は、基準値よりも低い領域について、基準値に対する所定の割合の範囲内である場合と、所定の割合の範囲外とで区別してもよい。例えば、解析部102は、基準値に対する80%の値を第1値とし、基準値よりも低い領域について、第1値以上かつ基準値以下である温度情報を含む領域と、第1値未満である温度情報を含む領域とで区別してもよい。
【0036】
推定部103は、解析部102の解析結果を基に、機器30の状態を推定する。より詳細には、推定部103は、所定の条件を用いて機器30の状態を推定する。推定部103は、“温度情報で表される温度が基準値を超えていること”を所定の条件として、条件を満たしているか否かに応じて機器30の状態を推定する。推定部103は、温度情報で表される温度が基準値を超えている場合には、所定の条件を満たしているとして、対応する領域に配置されている機器30の状態は異常状態であると推定する。推定部103は、温度情報で表される温度が基準値以下である場合には、所定の条件を満たしていないとして、対応する領域に配置されている機器30の状態は正常状態であると推定する。
【0037】
機器30の劣化により回路抵抗及び接点抵抗の少なくとも一方が増加し、機器30の温度が上昇する。そこで、推定部103は、機器30の温度が周辺の温度との相対比較により高温となっている場合には、機器30の状態が異常状態であると推定する。
【0038】
出力部104は、推定部103の推定結果に応じた情報であって機器30の状態を表す機器状態情報を出力する。出力部104は、機器状態情報を外部装置である情報端末40に出力する。より詳細には、出力部104は、複数の領域のうち温度情報で表される温度が基準値を超える領域が存在する場合、すなわち空間SP1に異常状態と推定された機器30(照明機器31)が存在する場合、機器30が異常状態であることを表す機器状態情報を出力する。出力部104は、複数の領域において温度情報で表される温度が基準値を超える領域が存在しない場合、すなわち空間SP1に異常状態と推定された機器30(照明機器31)が存在しない場合、機器30が正常状態であることを表す機器状態情報を出力する。
【0039】
出力部104は、空間SP1に異常状態と推定された機器30(照明機器31)が存在する場合、異常状態と推定された機器30が配置された場所を表す情報を機器状態情報として出力して、情報端末40に機器状態情報を表示させる。具体的には、出力部104は、空間分布情報に含まれるマップ情報を基に、複数の領域のうち異常状態と推定された機器30が配置された領域を、他の表域とは異なる表示色で情報端末40に表示させる。このとき、他の領域については、第1値以上かつ基準値以下である温度情報を含む領域と、第1値未満である温度情報を含む領域とで異なる表示色で表示させてもよい。
【0040】
出力部104は、空間SP1に異常状態と推定された機器30(照明機器31)が存在しない場合、機器30が正常状態であることを表す機器状態情報を出力して、情報端末40に機器状態情報を表示させる。例えば、出力部104は、空間分布情報に含まれるマップ情報を基に、複数の領域のそれぞれについて、第1値以上かつ基準値以下である温度情報を含む領域と、第1値未満である温度情報を含む領域とで表示色を異ならせて表示させる。
【0041】
(2.2)情報端末
情報端末40は、例えばスマートフォン、タブレット端末である。情報端末40は、機器異常推定システム1と通信可能に構成されている。例えば、情報端末40は、無線通信により機器異常推定システム1と通信可能に構成されている。なお、情報端末40は、インターネット等のネットワークを介して機器異常推定システム1と通信可能に構成されてもよい。
【0042】
情報端末40は、例えばプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが情報端末40の機能を実現する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0043】
情報端末40は、図2に示すように、表示部41を備える。
【0044】
表示部41は、例えば液晶ディスプレイ、有機EL(Organic Electro Luminescence Display:OELD)等の薄型ディスプレイを有している。表示部41は、機器異常推定システム1から受け取った機器状態情報を表示する。
【0045】
表示部41は、機器状態情報を推定結果画面G10(図3参照)で表示する。図3は、空間SP1に異常状態と推定された機器30(照明機器31)が存在する場合における機器状態情報を表示する推定結果画面G10の一例を示す。推定結果画面G10では、8×8の格子状に区切られた64個の領域を有する2次元平面の画像において、3つの表示態様のいずれかで各領域の温度状態を表している。領域R1では、表示態様として表示色が“赤色”であり、領域R1に設けられた機器30が異常状態であることを示す。領域R2では、表示態様として表示色が“黄色”であり、領域R2に設けられた機器30が正常状態であり、かつ領域R2での温度が第1値以上基準値以下であることを示す。領域R3では、表示態様として表示色が“青色”であり、領域R3に設けられた機器30が正常状態であり、かつ領域R3での温度が第1値未満であることを示す。
【0046】
表示部41は、空間SP1に異常状態と推定された機器30(照明機器31)が存在しない場合では、8×8の格子状に区切られた64個の領域を有する2次元平面の画像において、各領域を表示色が“黄色”又は“青色”で表示する。
【0047】
(3)動作
ここでは、機器異常推定システム1の動作について、図4を用いて説明する。
【0048】
取得部101は、空間分布情報を、センサ20から取得する(ステップS1)。
【0049】
解析部102は、解析処理を行う(ステップS2)。すなわち、解析部102は、取得部101が取得した空間分布情報を基に、空間SP1の温度分布を解析する。解析部102は、空間分布情報である赤外線画像に含まれる複数の領域のそれぞれの温度情報を基に、基準値を算出する。解析部102は、複数の領域を、温度情報で表される温度が基準値より高い領域と低い領域とに区別する。具体的には、解析部102は、複数の領域のそれぞれの温度情報を基に平均温度を、複数の領域全体での温度として算出する。さらに、解析部102は、算出した平均温度に対する標準偏差“σ”を算出する。解析部102は、平均温度及び標準偏差“σ”を用いて基準値を求める。
【0050】
推定部103は、推定処理を行う(ステップS3)。すなわち、推定部103は、解析部102の解析結果を基に、機器30の状態を推定する。推定部103は、温度情報で表される温度が基準値を超えている場合には、対応する領域に配置されている機器30の状態は異常状態であると推定する。推定部103は、温度情報で表される温度が基準値以下である場合には、対応する領域に配置されている機器30の状態は正常状態であると推定する。
【0051】
出力部104は、空間SP1において異常状態と推定された機器30が存在するか否かを判断する(ステップS4)。
【0052】
異常状態と推定された機器30が存在しないと判断する場合(ステップS4における「No」)、出力部104は、第1出力処理を行う(ステップS5)。すなわち、出力部104は、空間SP1に異常状態と推定された機器30が存在しない場合、機器30が正常状態であることを表す機器状態情報を、情報端末40に出力(送信)する。言い換えると、出力部104は、複数の領域において温度情報で表される温度が基準値を超える領域が存在しない場合、機器30が正常状態であることを表す機器状態情報を、情報端末40に出力(送信)する。
【0053】
異常状態と推定された機器30が存在すると判断する場合(ステップS4における「Yes」)、出力部104は、第2出力処理を行う(ステップS6)。すなわち、出力部104は、空間SP1に異常状態と推定された機器30(照明機器31)が存在する場合、機器30が異常状態であることを表す機器状態情報を、情報端末40に出力(送信)する。言い換えると、出力部104は、複数の領域のうち温度情報で表される温度が基準値を超える領域が存在する場合、機器30が異常状態であることを表す機器状態情報を、情報端末40に出力(送信)する。
【0054】
(4)利点
以上説明したように、本実施形態の機器異常推定システム1は、取得部101と、解析部102と、推定部103と、出力部104と、を備える。取得部101は、施設5に設けられた機器30に関する情報であって機器30が設けられた空間SP1において機器30から生じる熱の空間分布情報を取得する。解析部102は、空間分布情報を基に、空間SP1の温度分布を解析する。推定部103は、解析部102の解析結果を基に、機器30の状態を推定する。出力部104は、推定部103の推定結果に応じた情報であって機器30の状態を表す機器状態情報を出力する。
【0055】
この構成によると、機器異常推定システム1の推定部103は、熱の空間分布情報を基に機器30の状態を推定する。すなわち、機器異常推定システム1は、機器30に対して直接点検等を行うことなく、機器30の状態を推定(検知)することができる。言い換えると、機器異常推定システム1は、機器30から生じる熱の空間分布情報を介して、機器30の状態を間接的に点検することができる。したがって、機器異常推定システム1は、機器30ごとに点検を行う必要はないので、より容易に機器30の状態を推定することができる。
【0056】
(5)変形例
以下に、変形例について列記する。なお、以下に説明する変形例は、上記実施形態と適宜組み合わせて適用可能である。
【0057】
(5.1)変形例1
変形例1の機器異常推定システム1Aは、図5に示すように、通知部14を備える点で、実施形態1の機器異常推定システム1とは異なる。変形例1の管理システム2Aは、機器異常推定システム1Aと、空間分布情報を出力するセンサ(20)と、を備える。以下、実施形態と異なる点を中心に説明する。実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0058】
変形例1の出力部104は、機器状態情報を通知部14に出力する。通知部14は、機器状態情報を外部に通知する。
【0059】
通知部14は、例えば液晶ディスプレイ、有機EL等の薄型ディスプレイを有している。通知部14は、出力部104から受け取った機器状態情報を表示する。
【0060】
なお、通知部14は、音声で機器状態情報を通知してもよい。例えば、機器30が異常状態であることを機器状態情報が表す場合には、通知部14は、空間SP1に異常状態と推定された機器30が存在する旨の音声メッセージを出力してもよい。または、通知部14は、機器30が異常状態であることを機器状態情報が表す場合には、通知部14は、空間SP1に異常状態と推定された機器30が存在する旨のビープ音を出力してもよい。機器30が正常状態であることを機器状態情報が表す場合には、通知部14は、空間SP1に異常状態と推定された機器30が存在しない旨の音声メッセージを出力してもよい。または、通知部14は、機器30が正常状態であることを機器状態情報が表す場合には、通知部14は、空間SP1に異常状態と推定された機器30が存在しない旨のビープ音を出力してもよい。
【0061】
通知部14は、LED(Light Emitting Diode)を含んでもよい。この場合、通知部14は、機器状態情報に応じた発光色でLEDを点灯させる。例えば、機器30が異常状態であることを機器状態情報が表す場合には、通知部14は、発光色を赤色としてLEDを点灯させる。機器30が正常状態であることを機器状態情報が表す場合には、通知部14は、発光色を青色としてLEDを点灯させる。
【0062】
また、通知部14は、機器状態情報を表示する場合には、機器状態情報に応じたメッセージを表示してもよい。例えば、機器30が異常状態であることを機器状態情報が表す場合には、通知部14は、空間SP1に異常状態と推定された機器30が存在する旨のメッセージを表示してもよい。機器30が正常状態であることを機器状態情報が表す場合には、通知部14は、空間SP1に異常状態と推定された機器30が存在しない旨のメッセージを表示してもよい。
【0063】
または、出力部104は、通知部14及び情報端末40の双方に出力してもよい。
【0064】
(5.2)変形例2
実施形態では、センサ20は、赤外線アレイセンサとする構成としているが、この構成に限定されない。
【0065】
センサ20は、機器30から生じる電磁波を計測するセンサであってもよい。この場合のセンサ20は、計測した電磁波を基に放射熱を求めて、放射熱に基づく熱の空間分布情報を機器異常推定システム1に出力する。
【0066】
また、センサ20は、電磁波の計測結果に応じた空間分布情報を機器異常推定システム1に出力してもよい。この場合、解析部102は、センサ20から受け取った電磁波の計測結果に応じた空間分布情報を基に、8×8の格子状に区切られた64個の領域のそれぞれでの放射熱を求める。解析部102は、各領域の放射熱を基に、平均値及び標準偏差を求める。
【0067】
(5.3)変形例3
実施形態では、機器30は、照明機器31とする構成としているが、この構成に限定されない。
【0068】
機器30は、空調機器及び配線機器のいずれかであってもよい。ここで、配線機器は、電気機器の電源ケーブルが接続される機器であり、例えばコンセントである。また、配線機器は、例えば、分電盤及びパワーコンディショナー等の電力変換機器であってもよい。すなわち、機器30は、照明機器31、空調機器及び配線機器のうち少なくとも1つを含む。この場合、推定部103は、機器30に含まれる照明機器31、空調機器及び配線機器のいずれかの状態を推定する。
【0069】
(5.4)変形例4
実施形態では、機器異常推定システム1は、1つのセンサ20を用いて空間SP1に設けられた機器30の状態を推定する構成としているが、この構成に限定されない。
【0070】
機器異常推定システム1は、複数のセンサ20を用いて空間SP1に設けられた機器30の状態を推定してもよい。この場合、複数のセンサ20の計測範囲を異ならせることで、センサ20ごとに8×8の格子状に区切られた64個の領域を小さくすることができる。そのため、機器異常推定システム1は、空間SP1に設けられた機器30の状態をより精度よく推定することができる。
【0071】
(5.5)変形例5
実施形態では、推定部103は所定の条件を用いて機器30の状態を推定する構成としているが、この構成に限定されない。
【0072】
推定部103は、機械学習によって構築された学習モデルを用いて機器30の状態を推定してもよい。
【0073】
この場合、例えば、推定部103は、多数の基準値及び多数の温度を教師データとして用いるディープラーニング(Deep Learning)などの機械学習によって構築された学習モデルを備える。学習モデルは、例えばCNN(Convolutional Neural Network)、又はFCN(Fully Convolutional Networks)などを用いたディープラーニングによって構築される。そして、学習モデルは、各領域の温度情報を入力されて、機器30が正常状態であるか異常状態であるかを推定する。なお、推定部103が実行するアルゴリズムは、特定のアルゴリズムに限定されない。学習モデルは、重回帰分析、サポートベクターマシン(Support Vector Machine)などの他のアルゴリズムを用いたモデルであってもよい。
【0074】
なお、推定部103は、所定の条件及び機械学習によって構築された学習モデルの双方を用いてもよい。すなわち、推定部103は、所定の条件及び機械学習によって構築された学習モデルのうち少なくとも一方を用いて機器30の状態を推定する。
【0075】
(5.6)変形例6
機器異常推定システム1は、時系列的に連続する複数回の推定処理の結果を用いて、機器30の状態を推定してもよい。
【0076】
この場合、推定部103は、所定の条件を用いて定期的に機器30の状態を第1状態として推定する。推定部103は、時系列に連続する複数の第1状態に基づいて機器30の状態を第2状態として推定する。例えば、複数の第1状態のうち異常状態を表す第1状態が所定数以上含まれる場合、推定部103は、第2状態として機器30の状態が異常状態であることを推定する。複数の第1状態のうち異常状態を表す第1状態が所定数未満含まれる場合、推定部103は、第2状態として機器30の状態が正常状態であることを推定する。出力部104は、第2状態に応じた機器状態情報を出力する。
【0077】
なお、変形例6に変形例5を適用してもよい。すなわち、推定部103は、機械学習によって構築された学習モデルを用いて定期的に機器30の状態を第1状態として推定してもよい。
【0078】
または、推定部103は、所定の条件及び機械学習によって構築された学習モデルの双方を用いて定期的に機器30の状態を第1状態として推定してもよい。
【0079】
要するに、推定部103は、所定の条件及び機械学習によって構築された学習モデルのうち少なくとも一方を用いて定期的に機器30の状態を第1状態として推定してもよい。
【0080】
(5.7)変形例7
実施形態では、機器異常推定システム1とセンサ20とは、同一の筐体に収容される構成としているが、この構成に限定されない。
【0081】
機器異常推定システム1とセンサ20とは、それぞれ異なる筐体に収容されてもよい。
【0082】
(5.8)変形例8
実施形態では、センサ20は、機器異常推定システム1に含まれない構成としているが、この構成に限定されない。
【0083】
センサ20は、機器異常推定システム1の構成要素としてもよい。
【0084】
(5.9)変形例9
実施形態では、情報端末40は、機器状態情報を表示する構成としているが、この構成に限定されない。
【0085】
情報端末40は、音声で機器状態情報を通知してもよい。例えば、機器30が異常状態であることを機器状態情報が表す場合には、情報端末40は、空間SP1に異常状態と推定された機器30が存在する旨の音声メッセージを出力してもよい。または、機器30が異常状態であることを機器状態情報が表す場合には、情報端末40は、空間SP1に異常状態と推定された機器30が存在する旨のビープ音を出力してもよい。機器30が正常状態であることを機器状態情報が表す場合には、情報端末40は、空間SP1に異常状態と推定された機器30が存在しない旨の音声メッセージを出力してもよい。または、機器30が正常状態であることを機器状態情報が表す場合には、情報端末40は、空間SP1に異常状態と推定された機器30が存在しない旨のビープ音を出力してもよい。
【0086】
情報端末40は、LEDを含んでもよい。この場合、情報端末40は、機器状態情報に応じた発光色でLEDを点灯させる。例えば、機器30が異常状態であることを機器状態情報が表す場合には、情報端末40は、発光色を赤色としてLEDを点灯させる。機器30が正常状態であることを機器状態情報が表す場合には、通知部14は、発光色を青色としてLEDを点灯させる。
【0087】
また、情報端末40は、機器状態情報を表示する場合には、機器状態情報に応じたメッセージを表示してもよい。例えば、機器30が異常状態であることを機器状態情報が表す場合には、情報端末40は、空間SP1に異常状態と推定された機器30が存在する旨のメッセージを表示してもよい。機器30が正常状態であることを機器状態情報が表す場合には、情報端末40は、空間SP1に異常状態と推定された機器30が存在しない旨のメッセージを表示してもよい。
【0088】
(その他の変形例)
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、機器異常推定システム1と同様の機能は、機器異常推定方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した非一時的な記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る機器異常推定システム1の機器異常推定方法は、1以上のプロセッサ(コンピュータシステム)によって実行される。機器異常推定方法は、取得ステップと、解析ステップと、推定ステップと、出力ステップと、を含む。取得ステップは、施設5に設けられた機器30に関する情報であって機器30が設けられた空間SP1において機器30から生じる熱の空間分布情報を取得する。解析ステップは、空間分布情報を基に、空間SP1の温度分布を解析する。推定ステップは、解析ステップでの解析結果を基に、機器30の状態を推定する。出力ステップは、推定ステップでの推定結果に応じた情報であって機器30の状態を表す機器状態情報を出力する。一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムを、上述した機器異常推定システム1又は機器異常推定システム1の機器異常推定方法として機能させるためのプログラムである。
【0089】
本開示における機器異常推定システム1又は機器異常推定システム1の機器異常推定方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを有する。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における機器異常推定システム1又は機器異常推定システム1の機器異常推定方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1乃至複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
【0090】
また、機器異常推定システム1における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは機器異常推定システム1に必須の構成ではなく、機器異常推定システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、機器異常推定システム1の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0091】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様の機器異常推定システム(1;1A)は、取得部(101)と、解析部(102)と、推定部(103)と、出力部(104)と、を備える。取得部(101)は、施設(5)に設けられた機器(30)に関する情報であって機器(30)が設けられた空間(SP1)において機器(30)から生じる熱の空間分布情報を取得する。解析部(102)は、空間分布情報を基に、空間(SP1)の温度分布を解析する。推定部(103)は、解析部(102)の解析結果を基に、機器(30)の状態を推定する。出力部(104)は、推定部(103)の推定結果に応じた情報であって機器(30)の状態を表す機器状態情報を出力する。
【0092】
この態様によると、機器異常推定システム(1;1A)の推定部(103)は、熱の空間分布情報を基に機器(30)の状態を推定する。すなわち、機器異常推定システム(1;1A)は、機器(30)に対して直接点検等を行うことなく、機器(30)の状態を推定(検知)することができる。言い換えると、機器異常推定システム(1;1A)は、機器(30)から生じる熱の空間分布情報を介して、機器(30)の状態を間接的に点検することができる。したがって、機器異常推定システム(1;1A)は、機器(30)ごとに点検を行う必要はないので、より容易に機器(30)の状態を推定することができる。
【0093】
第2の態様の機器異常推定システム(1;1A)では、第1の態様において、取得部(101)は、空間分布情報を、機器(30)から生じる電磁波を計測するセンサ(20)から取得する。
【0094】
この態様によると、電磁波に応じた放射熱に基づく熱の空間分布情報を用いて、機器(30)の状態を推定することができる。
【0095】
第3の態様の機器異常推定システム(1;1A)では、第1の態様において、取得部(101)は、空間分布情報を、機器(30)から生じる熱を計測するセンサ(20)から取得する。
【0096】
この態様によると、センサ(20)で計測した熱に応じた空間分布情報を用いて、機器30の状態を推定することができる。
【0097】
第4の態様の機器異常推定システム(1;1A)では、第1~第3のいずれかの態様において、機器(30)は、照明機器(31)、空調機器及び配線機器のうち少なくとも1つを含む。推定部(103)は、機器(30)に含まれる照明機器(31)、空調機器及び配線機器のいずれかの状態を推定する。
【0098】
この態様によると、照明機器(31)、空調機器及び配線機器のいずれかの状態を推定することができる。
【0099】
第5の態様の機器異常推定システム(1;1A)では、第1~第4のいずれかの態様において、空間分布情報は、空間(SP1)を複数の領域(R1,R2,R3)を含む2次元で表したマップ情報、及び複数の領域(R1,R2,R3)のそれぞれについて当該領域における温度を表す温度情報を含む。解析部(102)は、複数の領域(R1,R2,R3)のそれぞれの温度情報を基に、推定部(103)が機器(30)の状態を推定する際に用いる基準となる複数の領域(R1,R2,R3)全体での温度に係る基準値を算出する。解析部(102)は、複数の領域(R1,R2,R3)を、温度情報で表される温度が基準値より高い領域と低い領域とに区別する。
【0100】
この態様によると、基準値より高い領域と低い領域とに区別することで、機器(30)の状態を推定することができる。
【0101】
第6の態様の機器異常推定システム(1;1A)では、第1~第5のいずれかの態様において、推定部(103)は、所定の条件及び機械学習によって構築された学習モデルのうち少なくとも一方を用いて機器(30)の状態を推定する。
【0102】
この態様によると、所定の条件及び機械学習によって構築された学習モデルのうち少なくとも一方を用いることで、より精度よく機器(30)の状態を推定することができる。
【0103】
第7の態様の機器異常推定システム(1;1A)では、第1~第5のいずれかの態様において、推定部(103)は、所定の条件及び機械学習によって構築された学習モデルのうち少なくとも一方を用いて定期的に機器(30)の状態を第1状態として推定する。推定部(103)は、時系列に連続する複数の第1状態に基づいて機器(30)の状態を第2状態として推定する。出力部(104)は、第2状態に応じた機器状態情報を出力する。
【0104】
この態様によると、時系列に連続する複数の第1状態に基づいて機器(30)の状態を第2状態として推定するので、定常的に異常状態となる場合と一時的に異常状態となる場合とを区別することができる。
【0105】
第8の態様の機器異常推定システム(1;1A)では、第1~第7のいずれかの態様において、出力部(104)は、機器状態情報を外部装置(例えば、情報端末40)に出力する。
【0106】
この態様によると、機器(30)の状態を外部に通知することができる。
【0107】
第9の態様の機器異常推定システム(1A)は、第1~第8のいずれかの態様において、通知部(14)を更に備える。出力部(104)は、機器状態情報を通知部(14)に出力する。通知部(14)は、外部に機器状態情報を通知する。
【0108】
この態様によると、機器異常推定システム(1;1A)のユーザ等に、機器(30)の状態を通知することができる。
【0109】
第10の態様の管理システム(2;2A)は、第1~第9のいずれかの態様の機器異常推定システム(1;1A)と、空間分布情報を出力するセンサ(20)と、を備える。
【0110】
この態様によると、より容易に機器(30)の状態を推定することができる。
【0111】
第11の態様の機器異常推定方法は、取得ステップと、解析ステップと、推定ステップと、出力ステップと、を含む。取得ステップは、施設(5)に設けられた機器(30)に関する情報であって機器(30)が設けられた空間(SP1)において機器(30)から生じる熱の空間分布情報を取得する。解析ステップは、空間分布情報を基に、空間(SP1)の温度分布を解析する。推定ステップは、解析ステップでの解析結果を基に、機器(30)の状態を推定する。出力ステップは、推定ステップでの推定結果に応じた情報であって機器(30)の状態を表す機器状態情報を出力する。
【0112】
この態様によると、より容易に機器(30)の状態を推定することができる。
【0113】
第12の態様のプログラムは、コンピュータシステムに、第11の態様の機器異常推定方法を実行させるためのプログラムである。
【0114】
この態様によると、より容易に機器(30)の状態を推定することができる。
【符号の説明】
【0115】
1,1A 機器異常推定システム
2,2A 管理システム
5 施設
14 通知部
20 センサ
30 機器
40 情報端末
101 取得部
102 解析部
103 推定部
104 出力部
R1,R2,R3 領域
SP1 空間
図1
図2
図3
図4
図5