(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167754
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
F24H 9/20 20220101AFI20241127BHJP
F24H 9/00 20220101ALI20241127BHJP
【FI】
F24H9/20 B
F24H9/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084038
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100166017
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 和政
(72)【発明者】
【氏名】柿崎 友助
【テーマコード(参考)】
3L036
【Fターム(参考)】
3L036AA14
(57)【要約】
【課題】給湯器内に収容されるハーネス部を、前パネル部からできるだけ離し且つ前側から雨水等がかかりにくい構造で良好に保持し得る技術を提供する。
【解決手段】給湯器1は、分配器70と固定板80と結束部材140とを備える。分配器70は、燃焼装置120よりも下側に張り出す張出部74を備える。固定板80は、張出部74に対して前後に重なる重畳部82と、張出部74に対して前後に重ならない非重畳部84と、を備える。張出部74の縁部である第1縁部76と固定板80の縁部である第2縁部87とが前後に重なって交差部90を構成する。線状部142は、交差部90に隣接する部位を支持位置として固定板80の後側に折り曲げられる構成をなし、保持部148が分配器70よりも後方側且つ燃焼装置120の下方においてハーネス部150を保持した状態で位置可能とされている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスバーナを有する燃焼装置と、前記燃焼装置に対してガスを分配する分配器と、電力又は信号の伝送経路をなすハーネス部と、前側に開口部が設けられた筐体本体部及び前記開口部を閉塞する前パネル部を備えた筐体部と、を有する給湯器であって、
前記分配器に固定される固定板と、
塑性変形可能に構成されるとともに基端部側が前記固定板に固定される線状部と、前記線状部の先端側に位置するとともに一以上の前記ハーネス部を保持する保持部と、を備える結束部材と、
を有し、
前記分配器は、前記燃焼装置よりも下側に張り出す張出部を備え、
前記固定板は、前記張出部に対して前後に重なる重畳部と、前記張出部に対してずれて配置されるとともに前記張出部に対して前後に重ならない非重畳部と、を備え、
前記張出部の縁部である第1縁部と前記固定板の縁部である第2縁部とが前後に重なって交差部を構成し、
前記線状部は、前記固定板の前側において前記基端部側から前記交差部側に延び且つ前記交差部又は前記交差部に隣接する部位を支持位置として前記固定板の後側に折り曲げられる構成をなし、前記保持部が前記分配器よりも後方側且つ前記燃焼装置の下方において前記ハーネス部を保持した状態で位置可能とされている
給湯器。
【請求項2】
前記第1縁部における前記固定板に重ならない部分且つ前記交差部寄りの部分である第1部分と前記第2縁部における前記張出部に重ならない部分且つ前記交差部寄りの部分である第2部分との間に、前記線状部を通す空間が構成され、
前記第1部分及び前記第2部分は凹部を構成し、
前記凹部は、前記交差部から離れる側に開放した構成をなすとともに前記線状部を自身の内部に受け入れる構成をなし、
前記凹部における開放側の端部は、前記交差部から離れるにつれて前記第1部分と前記第2部分との距離が大きくなる拡がり部を有する
請求項1に記載の給湯器。
【請求項3】
前記第2部分は、前記交差部の位置から離れる方向に延びる離間部と、前記離間部よりも前記交差部から遠い位置において前記離間部とは異なる向きに延びる延設部と、を有し、
前記延設部は、前記拡がり部よりも前記交差部側に配置され、
前記延設部と前記第1部分とによって前記拡がり部よりも幅の小さい狭幅部が構成され、
前記交差部から前記第1部分が延びる方向を基準方向とした場合の前記基準方向に対する前記離間部の方向の角度が、前記基準方向に対する前記延設部の方向の角度よりも大きく、
前記線状部は、前記離間部を前記支持位置として前記固定板の後側に折り曲げられる構成をなす
請求項2に記載の給湯器。
【請求項4】
前記筐体部内に収容される中和器を有し、
前記中和器が前記固定板に対して固定され、
前記固定板は、前記中和器に隣接しつつ前記中和器を保持する
請求項1又は請求項2に記載の給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される技術は、給湯器内に収容される電子部品のハーネスを、部品点数を増やすことなく簡単にとりまとめ可能とするものである。この給湯器において、燃焼装置の前側に位置するガス分配ユニットの本体の右端部には、前方へ向けて突出する凸部と、先端が右外側へ向けて突出する爪部とを上下方向へ交互に配置してなるハーネス保持部が形成され、凸部と爪部とにハーネスを交互に引っ掛けることでハーネスを本体にとりまとめ可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術は、ハーネス部がより前側に位置するような構造であり、ハーネス部と前パネル部の間に遮る部分が無い又は少ない構成であるため、前パネル部を通って筐体内に入り込んだ雨水等がハーネス部にかかりやすくなってしまう。
【0005】
本開示の目的の一つは、給湯器内に収容されるハーネス部を、前パネル部からできるだけ離し且つ前側から雨水等がかかりにくい構造で良好に保持し得る技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つである給湯器は、
ガスバーナを有する燃焼装置と、前記燃焼装置に対してガスを分配する分配器と、電力又は信号の伝送経路をなすハーネス部と、前側に開口部が設けられた筐体本体部及び前記開口部を閉塞する前パネル部を備えた筐体部と、を有する給湯器であって、
前記分配器に固定される固定板と、
塑性変形可能に構成されるとともに基端部側が前記固定板に固定される線状部と、前記線状部の先端側に位置するとともに一以上の前記ハーネス部を保持する保持部と、を備える結束部材と、
を有し、
前記分配器は、前記燃焼装置よりも下側に張り出す張出部を備え、
前記固定板は、前記張出部に対して前後に重なる重畳部と、前記張出部に対してずれて配置されるとともに前記張出部に対して前後に重ならない非重畳部と、を備え、
前記張出部の縁部である第1縁部と前記固定板の縁部である第2縁部とが前後に重なって交差部を構成し、
前記線状部は、前記固定板の前側において前記基端部側から前記交差部側に延び且つ前記交差部又は前記交差部に隣接する部位を支持位置として前記固定板の後側に折り曲げられる構成をなし、前記保持部が前記分配器よりも後方側且つ前記燃焼装置の下方において前記ハーネス部を保持した状態で位置可能とされている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る技術によれば、給湯器内に収容されるハーネス部を、前パネル部からできるだけ離し且つ前側から雨水等がかかりにくい構造で良好に保持し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る給湯器の内部構成を概念的に例示する給湯回路図である。
【
図3】
図3は、
図2の給湯器から前パネル部を省略した構成を概略的に示す正面図である。
【
図4】
図4は、
図2の給湯器から前パネル部及び一部の内部部品を省略した構成を前方側且つ斜め上方側から見た斜視図である。
【
図5】
図5は、
図2の給湯器から前パネル部、背面板、及び一部の内部部品を省略した構成を後方側且つ斜め上方側から見た斜視図である。
【
図6】
図6は、線状部付近を前方側且つ斜め上方側から見た斜視図である。
【
図7】
図7は、線状部付近を後方側且つ斜め上方側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の〔1〕~〔4〕の各々は、本開示に含まれる特徴的技術の一例である。
〔1〕ガスバーナを有する燃焼装置と、前記燃焼装置に対してガスを分配する分配器と、電力又は信号の伝送経路をなすハーネス部と、前側に開口部が設けられた筐体本体部及び前記開口部を閉塞する前パネル部を備えた筐体部と、を有する給湯器であって、
前記分配器に固定される固定板と、
塑性変形可能に構成されるとともに基端部側が前記固定板に固定される線状部と、前記線状部の先端側に位置するとともに一以上の前記ハーネス部を保持する保持部と、を備える結束部材と、
を有し、
前記分配器は、前記燃焼装置よりも下側に張り出す張出部を備え、
前記固定板は、前記張出部に対して前後に重なる重畳部と、前記張出部に対してずれて配置されるとともに前記張出部に対して前後に重ならない非重畳部と、を備え、
前記張出部の縁部である第1縁部と前記固定板の縁部である第2縁部とが前後に重なって交差部を構成し、
前記線状部は、前記固定板の前側において前記基端部側から前記交差部側に延び且つ前記交差部又は前記交差部に隣接する部位を支持位置として前記固定板の後側に折り曲げられる構成をなし、前記保持部が前記分配器よりも後方側且つ前記燃焼装置の下方において前記ハーネス部を保持した状態で位置可能とされている
給湯器。
【0010】
上記〔1〕の給湯器は、結束部材によりハーネス部を分配器よりも後方側で保持することができる。よって、仮に、前パネル部を介して雨水等が筐体部内に入り込んでしまっても、後方側に保持されるハーネス部に届きにくくなり、雨水等がかかることに起因するハーネス部関連の不具合を効果的に防ぎやすい。
【0011】
〔2〕前記第1縁部における前記固定板に重ならない部分且つ前記交差部寄りの部分である第1部分と前記第2縁部における前記張出部に重ならない部分且つ前記交差部寄りの部分である第2部分との間に、前記線状部を通す空間が構成され、
前記第1部分及び前記第2部分は凹部を構成し、
前記凹部は、前記交差部から離れる側に開放した構成をなすとともに前記線状部を自身の内部に受け入れる構成をなし、
前記凹部における開放側の端部は、前記交差部から離れるにつれて前記第1部分と前記第2部分との距離が大きくなる拡がり部を有する
〔1〕に記載の給湯器。
【0012】
上記〔2〕の給湯器は、開放形状の凹部を介して線状部を入り込ませるように取り付けることができる構造であるため、作業者が取付作業の容易化を図りやすい。また、この給湯器では、凹部の開放側の端部が拡がり部として構成されるため、作業者が、線状部を入り込ませて位置決めする作業を行いやすい。
【0013】
〔3〕前記第2部分は、前記交差部の位置から離れる方向に延びる離間部と、前記離間部よりも前記交差部から遠い位置において前記離間部とは異なる向きに延びる延設部と、を有し、
前記延設部は、前記拡がり部よりも前記交差部側に配置され、
前記延設部と前記第1部分とによって前記拡がり部よりも幅の小さい狭幅部が構成され、
前記交差部から前記第1部分が延びる方向を基準方向とした場合の前記基準方向に対する前記離間部の方向の角度が、前記基準方向に対する前記延設部の方向の角度よりも大きく、
前記線状部は、前記離間部を前記支持位置として前記固定板の後側に折り曲げられる構成をなす
〔2〕に記載の給湯器。
【0014】
上記〔3〕の給湯器は、線状部を入り込ませる際に拡がり部によって良好に案内することができ、その後、幅の狭い狭幅部側に移動させることによって位置を安定的に絞って位置決めすることができる。更に、狭幅部側に入り込ませた後、基準方向に対する角度が相対的に大きい離間部によって安定的に支持した形で線状部を折り曲げて保持することができる。
【0015】
〔4〕前記筐体部内に収容される中和器を有し、
前記中和器が前記固定板に対して固定され、
前記固定板は、前記中和器に隣接しつつ前記中和器を保持する
〔1〕又は〔2〕に記載の給湯器。
【0016】
上記〔4〕の給湯器は、「結束部材によりハーネス部を分配器よりも後方側で保持する構造」の要部を、中和器を保持する固定板によって中和器の近傍において実現することができ、部品点数の削減と装置構成のコンパクト化を両立することができる。
【0017】
<第1実施形態>
以下の説明は、第1実施形態に関する。
1-1.給湯器1の基本構成
図1は、給湯器1の概略回路図である。
図1に例示される給湯器1は、潜熱回収型の給湯器であり、浴槽への給湯や追い炊き機能を備えたふろ給湯器である。給湯器1は、筐体部100(
図2)内に収容される内胴2内において給湯燃焼室4と風呂燃焼室5とが設けられ、給湯燃焼室4と風呂燃焼室5とが仕切部材3によって仕切られた構成をなす。
図2、
図3のように、筐体部100は、前側に開口部102Aが設けられた筐体本体部102と、筐体本体部102の開口部102Aを閉塞する前パネル部101を備えた箱状の形態をなす。なお、
図3では、筐体部100の前面カバーが省略して示されている。筐体本体部102は、左右両側に側面壁が設けられ、上端部に上面壁が設けられ、下端部に底面壁が設けられ、後端部に背面壁が設けられた、箱状の形態をなす。筐体本体部102は、左右両側の側面壁の前端部、上面壁の前端部、及び底面壁の前端部によって開口部102Aが構成され、前方側が開放した形態をなす。前パネル部101は、
図3のように構成された開口部102Aを閉塞するように筐体本体部102に対して取り付けられる。
【0018】
図3のように、筐体部100内に設けられた燃焼装置120は、ケース122、バーナユニット群(図示省略)などを備える。ケース122は、筐体部100内に収まる角箱状のケースである。ケース122は、筐体部100に対して直接又は他部材を介して間接的に固定され、筐体部100内の所定位置に保持される。ケース122内には、給湯バーナ6や風呂バーナ7を構成する扁平状のガスバーナ(詳細な図示は省略)を左右方向に並設した構成でバーナユニット群が設けられている。
図1のように、燃焼装置120内には燃焼室4,5が構成される。各燃焼室4,5の下部には、複数のバーナからなる給湯バーナ6,6・・と風呂バーナ7とが設けられ、これらによって上記バーナユニット群が構成されている。各燃焼室4,5には、点火プラグ8とフレームロッド9とがそれぞれ設けられている。内胴2の下部には、各バーナ6,7へ燃焼用空気を供給する燃焼ファン10が設けられている。給湯燃焼室4内の上部には、給湯バーナ6の燃焼排気が通過する給湯一次熱交換器11と給湯二次熱交換器12とが設けられている。風呂燃焼室5の上部には、風呂バーナ7の燃焼排気が通過する風呂一次熱交換器13と風呂二次熱交換器14とが設けられる。各二次熱交換器12,14は、内胴2の上部に設けられた排気フード15内に収容されている。排気フード15には、各二次熱交換器12,14を通過した燃焼排気を排出する排気口16が形成されている。
【0019】
図3に示される分配器70は、燃料ガスを分流させて燃焼装置120に対して燃料ガスを分配する装置である。分配器70は、ケース122の前面に設けられた開口を塞ぐ構成で、ケース122の前面部下側に組み付けられる。分配器70は、板状の部材が重ねられて構成され、全体的に扁平状をなす。分配器70の内部には、燃料ガスが流れるガス流路が構成される。ケース122には、複数の導入口(図示省略)が設けられており、各々の導入口が各バーナに連通している。分配器70には、ケース122に設けられた導入口に連通するノズル(図示省略)が複数設けられており、分配器70の内部のガス流路から各ノズルに燃料ガスが流れるようになっている。このように、分配器70は、複数の上記ノズルの各々から燃焼装置120内に燃料ガスを供給する器具として機能する。
【0020】
図1のように、給湯器1には、外部からのガス配管が接続されるガス管17が設けられている。各給湯バーナ6と風呂バーナ7とには、ガス管17から分岐するガス分岐管18,18・・がそれぞれ接続されると共に、各ガス分岐管18には、ガス流路を開閉するガス電磁弁19がそれぞれ設けられている。分岐前のガス管17には、上流側から元ガス電磁弁20、ガス比例弁21がそれぞれ設けられている。
【0021】
図1に示される給湯二次熱交換器12の吸熱管の入口には、給水管22が接続される。給水管22には、上流側から、水抜き栓を備えたストレーナ23と、給水管22を流れる水量を検出する給湯水量センサ24と、入水温度を検出する給湯入水サーミスタ25と、水量制御モータ26とが設けられている。吸熱管の出口は、給湯一次熱交換器11の伝熱管の入口に接続され、伝熱管の出口には、筐体底面の湯出口に接続される出湯管27が接続される。出湯管27には、給湯一次熱交換器11からの出口温度を検出する給湯熱交換器サーミスタ28が設けられ、その下流側で器具からの出湯温度を検出する給湯出湯サーミスタ29とが設けられる。出湯管27における給湯出湯サーミスタ29の上流側と、給水管22における水量制御モータ26の下流側との間には、給湯一次熱交換器11及び給湯二次熱交換器12をバイパスするバイパス管30が接続され、バイパス管30には、バイパス流量を制御する水分配弁31が設けられている。筐体部100(
図2)内には、
図1のように、給水管22からの水が給湯二次熱交換器12、給湯一次熱交換器11の順に通過して給湯バーナ6の燃焼排気と熱交換して加熱された後、出湯管27から出湯されるように給湯回路Aが形成される。
【0022】
風呂二次熱交換器14の吸熱管の入口には、戻り管35が接続される。風呂戻り口は、外部戻り管36を介して浴槽37と接続される。また、戻り管35の下流側にはポンプ38が設けられ、ポンプ38の上流側には、風呂戻り温度を検出する風呂戻りサーミスタ39が設けられて、ポンプ38の下流側には、風呂水流スイッチ40と水位センサ41とが設けられる。風呂二次熱交換器14の吸熱管の出口は、風呂一次熱交換器13の伝熱管の入口に接続され、伝熱管の出口には往き管42が接続される。風呂戻り口は、外部往き管43を介して浴槽37と接続される。往き管42には、風呂往き温度を検出する風呂往きサーミスタ44が設けられている。筐体部100(
図2)内には、
図1のように、ポンプ38の運転によって浴槽37の湯水が戻り管35から風呂二次熱交換器14、風呂一次熱交換器13の順に通過して風呂バーナ7の燃焼排気と熱交換して加熱された後、往き管42から浴槽37に戻るように風呂回路B(循環回路)が形成される。
【0023】
出湯管27におけるバイパス管30より下流側と、戻り管35におけるポンプ38よりも上流側との間には、落とし込み管45が接続される。落とし込み管45には、落とし込み水電磁弁46及び風呂水量センサ47がそれぞれ設けられている。風呂水量センサ47の上流側と下流側とには、2つの逆止弁48,48がそれぞれ設けられ、上流側の逆止弁48と風呂水量センサ47との間には、縁切弁49が接続されている。縁切弁49は、筐体部100(
図2)の底面に設けられたオーバーフロー口に接続される排水管50と、給水管22におけるストレーナ23の下流側と接続された導入管51とが接続されて、戻り管35からの逆流で高まった落とし込み管45内の湯水の内圧が導入管51から加わる背圧より高くなると、落とし込み管45から逆流した湯水を、排水管50を介してオーバーフロー口へ排出するものである。
【0024】
図2のように、筐体部100内には、
図1に示される給湯二次熱交換器12及び風呂二次熱交換器14で生じたドレンを中和するための中和器55が設けられている。中和器55は、ドレン導入管57に接続され、ドレン導入管57によって案内されたドレンを中和する。ドレン導入管57は、排気フード15の底面に設けられたドレン受け56から流れ出たドレンを中和器55に誘導する。中和器55の詳細は後述される。
【0025】
コントローラ65は、各種情報処理や各種制御を行う制御装置である。コントローラ65は、例えば、各サーミスタやセンサ等の検出信号を受けて各弁等を動作させ、出湯温制御や浴槽37への湯張り制御等を行う。給湯リモコン66、風呂リモコン67は、給湯器本体(給湯器1から給湯リモコン66及び風呂リモコン67を除いた部分)を遠隔操作するための操作装置である。
【0026】
1-2.保持構造
図4~
図8のように、給湯器1は、ハーネス部150を保持する結束部材140を有する。
図4は、
図3に示される構成から一部を省略し、主に保持構造付近を示す前方側から見た斜視図である。
図5は、
図4に示される構成から背面板等を省略し、主に保持構造付近を示す後方側から見た斜視図である。
図6は、
図4の一部を拡大した図であり、
図7は、
図5の一部を拡大した図である。
図8は、保持構造付近を正面から見た拡大図に対して、説明を付加した説明図である。
図6~
図8のように、分配器70、固定板80、結束部材140などによってハーネス部150(
図7)を保持するための保持構造が実現されている。
【0027】
図7には、ハーネス部150の一部である電線部150Aが二点鎖線によって概念的に示されている。ハーネス部150は、電力又は信号の伝送経路をなしており、複数の電線、端子、コネクタなどを有している。電線部150Aは、複数の電線を含んでいてもよい。電線部150Aに含まれる電線は、電力を伝送する経路であってもよく、信号を伝送する経路であってもよい。電線部150Aに複数の電線が含まれる場合、電線は、導線を絶縁体によって被覆してなる電線であってもよく、電力や信号を伝送できる電線であればこれ以外の電線であってもよい。ハーネス部150は、例えば、一端側がコントローラ65(
図1)に接続され、他端側がコントローラ65以外の電気部品に接続される。この場合、ハーネス部150は、コントローラ65とコントローラ65以外の電気部品との間で、電力や信号を伝送する。なお、ハーネス部150の一端側の部分(保持部148よりも一端側の部分)は、1つの電気機器に接続されていてもよく、複数の電気機器にそれぞれ接続されていてもよい。同様に、ハーネス部150の他端側の部分(保持部148よりも他端側の部分)は、1つの電気機器に接続されていてもよく、複数の電気機器にそれぞれ接続されていてもよい。
【0028】
図3~
図7のように、保持構造の要部として、分配器70に固定される固定板80が設けられている。
図3のように、筐体部100内には、中和器55が収容され、中和器55は固定板80に対して固定される。
図3のように、固定板80は、中和器55に隣接しつつ中和器55を保持する。固定板80は、例えば、金属板によって構成されており、固定板80における左右方向一方側の一部が中和器55に対してネジ等の連結部材によって固定されており、左右方向他方側の一部が筐体部100内に収容される部品(例えば燃焼装置120又は燃焼装置120に対して直接又は他部材を介して固定される部品)に対してネジ等の連結部材によって固定されている。例えば、固定板80において分配器70に重なった部分が、分配器70に対してネジ等の連結部材によって直接的に固定されていてもよい。或いは、固定板80においてケース122に重なった部分がケース122に対してネジ等の連結部材によって固定される構成で、固定板80が分配器70に対して間接的に固定されていてもよい。このような固定構造によって固定板80は、筐体部100内の所定位置に保持される。固定板80は、自身の板厚方向を前後方向とする配置で固定されている。
【0029】
図4のように、分配器70は、燃焼装置120よりも下側に張り出す張出部74を備える。張出部74が設けられた部分は、1以上の金属板によって板状に構成される。分配器70は、燃焼装置120の前面部を部分的に覆う構成で配置され、分配器70の一部は、燃焼装置120の下端部よりも下方に張り出した構成で張出部74とされている。
図3の例では燃焼装置120の下端部120Zが破線で示され、分配器70のうちの下端部120Zよりも下方側の部分が張出部74とされている。
図8のように、固定板80は、張出部74に対して前後に重なる重畳部82と、張出部74に対してずれて配置されるとともに張出部74に対して前後に重ならない非重畳部84とを備える。
図8では、固定板80に覆われる分配器70の外縁が破線Xで示され、この破線Xの位置が重畳部82と非重畳部84との境界とされている。
図8の例では、重畳部82は、張出部74の一部の前側に配置され、張出部74の一部を前側から覆う。非重畳部84は、張出部74を覆わない位置に外れて配置されている。
【0030】
図8のように、張出部74の縁部である第1縁部76と固定板80の縁部である第2縁部87とが前後に重なって交差部90を構成する。第1縁部76は、
図8のように張出部74を正面視したときの張出部74の外縁を構成する部分であり、張出部74の下側の縁を構成する。第2縁部87は、
図8のように固定板80を正面視したときの固定板80の外縁を構成する部分であり、固定板80の下側の縁を構成する。
図3、
図8の例では、第1縁部76における左右方向一方側の部分が、第2縁部87における左右方向他方側の部分と前後に重なっており交差部90を構成している。
【0031】
図8のように、第1縁部76における固定板80に重ならない部分且つ交差部90寄りの部分である第1部分76Aと第2縁部87における張出部74に重ならない部分且つ交差部90寄りの部分である第2部分87Aとの間に、後述の線状部142を通す空間が構成される。第1部分76A及び第2部分87Aは凹部92を構成する。
図8の例では、第2部分87Aにおける交差部90とは反対側の端部の位置は、第2縁部87の第2方向他方側の端部における下端の位置である。また、第1部分76Aにおける交差部90とは反対側の端部の位置は、例えば、第1縁部76において、第2縁部87の第2方向他方側の端部における下端の位置から最も近い位置である。凹部92は、交差部90から離れる側に開放した構成をなし、且つ線状部142を自身の内部に受け入れる構成をなす。
図8の例では、凹部92は、下方側に向かって開放した構成をなし、上方側に凹んだ構成をなしている。
図8の例では、第1部分76Aにおいて交差部90を起点とする交差部90よりも下方側の第1範囲の部分と、第2部分87Aにおいて交差部90を起点とする交差部90よりも下方側の第2範囲の部分とによって凹部92が構成され、上記第1範囲の部分と上記第2範囲の部分とによって線状部142を通す空間が構成されている。
【0032】
図7、
図8のように、結束部材140は、線状部142と保持部148とを備える。線状部142は、塑性変形可能に構成され、自身の基端部側が固定板80に固定される。線状部142は、塑性変形可能な金属部材や樹脂部材などによって構成されていてもよく、塑性変形可能な金属部材に対して樹脂被覆がなされた構成であってもよい。例えば針金などによって構成されていてもよく、針金に対して樹脂材料が被覆された構成であってもよく、その他の線状の部材によって構成されていてもよい。線状部142は、直接又は他部分を介して間接的に固定板80に固定される。
図8の例では、線状部142の端部が被固定部144に固定又は一体化されている。被固定部144は、例えば、貫通孔を有する平坦な部材(例えば、平坦な金属板材)であり、この被固定部144がネジ等の連結部材149によって固定板80に固定されている。なお、
図8に示される構成はあくまで一例であり、線状部142の一端側が固定できる構成であればよい。例えば、ネジ等に連結部材149に対して線状部142の端部が巻き回される形態で線状部142の一端側が固定されていてもよく、線状部142の端部がその他の構成で固定板80に固定されていてもよい。例えば、固定板80に設けられた突起や切り欠きに係止した構成や巻き回された構成で、線状部142の一端側が固定されていてもよい。
【0033】
図8のように、線状部142は、固定板80の前側において自身の基端部(連結部材149側の端部)側から交差部90側に延びており、交差部90又は交差部90に隣接する部位を支持位置として固定板80の後側に折り曲げられる構成をなす。
図8の例では、線状部142は、交差部90に接触せず、交差部90に隣接する離間部88Bを支持位置として後方側に折り曲げられている。但し、
図8の支持構造に限定されず、線状部142は、交差部90に接触しつつ交差部90を支持位置として後方側に折り曲げられてもよい。
図8のように配置される線状部142において、固定板80の前側に配置され且つ交差部90よりも連結部材149に近い部分が線状部142の基端部である。
【0034】
図8に示されるように、本実施形態の代表例では、給湯器1の前後方向と直交する所定方向が第1方向(上下方向)とされ、前後方向及び第1方向と直交する方向が第2方向(左右方向)とされる。
図8の例では、固定板80の厚さ方向が前後方向である。
図8の例では、凹部92における開放側の端部は、交差部90から離れるにつれて第1部分76Aと第2部分87Aとの距離が大きくなる拡がり部94を有する。拡がり部94は、第1部分76Aにおける連続的な湾曲部と第2部分87Aにおける連続的な直線部(上下方向(第1方向)に対して所定第1角度で傾斜した直線部)によって構成され、交差部90から離れるにつれて第1部分76Aと第2部分87Aとの距離が次第に大きくなっている。第1部分76A及び第2部分87Aはいずれも、板状部の縁をなしている。
【0035】
第2部分87Aは、交差部90の位置から離れる方向に延びる離間部88Bと、離間部88Bよりも交差部90から遠い位置において離間部88Bとは異なる向きに延びる延設部88Cとを有する。離間部88Bは、上下方向(第1方向)に対して所定第2角度で傾斜している。延設部88Cは、拡がり部94よりも交差部90側に配置される。
図8の例では、離間部88Bは直線状に構成された部分であるが、若干湾曲していてもよい。
図8の例では、延設部88Cは、第2部分87Aにおける拡がり部94を構成する部分よりも交差部90側に配置された部分であり、湾曲して構成されているが、直線状に構成されていてもよい。延設部88Cと第1部分76Aとによって拡がり部94よりも幅の小さい狭幅部96が構成される。
図8の例では、狭幅部96は、離間部88Bに近づくにつれて延設部88Cと第1部分76Aの間の幅が次第に小さくなっている。
図8の例では、交差部90から第1部分76Aが延びる方向を基準方向とした場合の基準方向に対する離間部88Bの方向の角度が、基準方向に対する延設部88Cの方向の角度よりも大きい。離間部88Bの各位置における第2方向(左右方向)に対する角度は、延設部88Cの各位置における第2方向(左右方向)に対する角度よりも大きく、具体的には、離間部88B及び延設部88Cにおいて交差部90から遠ざかるにつれて第2方向(左右方向)に対する角度が次第に大きくなっている。
【0036】
図8のように折り曲げられた線状部142の先端側(上記支持位置に隣接する折り曲げ部分よりも先端側)には、
図7のように保持部148が設けられている。保持部148は、線状部142の先端側に位置するとともに一以上のハーネス部150を保持するように機能する。
図7の例では、線状部142の先端側の一部が巻き回されて環状の保持部148を構成しており、この保持部148の環状部分の内側を通す構成でハーネス部150の電線部150Aが配置されている。つまり、
図8の例では、線状部142の一部によって保持部148が構成されている。
図7の例では、保持部148が分配器70よりも後方側且つ燃焼装置120の下方においてハーネス部150を保持した状態で配置される。線状部142は、塑性変形可能であるため、保持部148の位置は変化し得る。例えば、作業者は、線状部142を若干変形させることにより保持部148の位置を変化させ得る。
図7の例では、保持部148が分配器70よりも後方側且つ燃焼装置120の下方においてハーネス部150を保持した状態で位置可能とされているため、ハーネス部150をこの位置に配置することができ、ハーネス部150が下がりすぎたり、前側に移動しすぎたりすることを抑えることができる。
【0037】
1-3.効果の例
給湯器1は、結束部材140により、ハーネス部150を分配器70よりも後方側で保持することができる。よって、仮に、前パネル部101を介して雨水等が筐体部100内に入り込んでしまっても、後方側に保持されるハーネス部150に届きにくくなり、雨水等がかかることに起因するハーネス部150関連の不具合を効果的に防ぎやすい。
【0038】
給湯器1は、開放形状の凹部92を介して線状部142を入り込ませるように取り付けることができる構造であるため、作業者が取付作業の容易化を図りやすい。また、この給湯器1では、凹部92の開放側の端部が拡がり部94として構成されるため、作業者が、線状部142を入り込ませて位置決めする作業を行いやすい。
【0039】
給湯器1は、線状部142を入り込ませる際に拡がり部94によって良好に案内することができ、その後、幅の狭い狭幅部96側に移動させることによって位置を安定的に絞って位置決めすることができる。更に、狭幅部96側に入り込ませた後、基準方向に対する角度が相対的に大きい離間部88Bによって安定的に支持した形で線状部142を折り曲げて保持することができる。
【0040】
給湯器1は、「結束部材140によりハーネス部150を分配器70よりも後方側で保持する構造」の要部を、中和器55を保持する固定板80によって中和器55の近傍において実現することができ、部品点数の削減と装置構成のコンパクト化を両立することができる。
【0041】
<他の実施形態>
本発明は、上記記述及び図面によって説明された実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。さらに、上述された実施形態は、次のように変更されてもよい。
【0042】
上述された実施形態では、保持部148が線状部142の一部によって構成されるが、ハーネス部150を保持し得る構成であれば、線状部142とは異なる部分によって線状部142に連結されて構成されていてもよい。例えば、線状部142とは異なるバンド部材、クリップ部材、係止部材など、ハーネス部150の電線やコネクタなどを保持し得る保持部材や保持機構であればよい。このように保持部材や保持機構を設ける場合、線状部142と一体的に構成されていればよく、一体的に構成する方法は、カシメ、ネジ等による固定、接着、溶接、一体成型等、どのような方法を用いてもよい。
【0043】
上述された実施形態では、保持部148が1つのハーネス部150を保持するが、保持部が複数のハーネス部を保持してもよい。
【0044】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0045】
1 :給湯器
6 :給湯バーナ(ガスバーナ)
7 :風呂バーナ(ガスバーナ)
55 :中和器
70 :分配器
74 :張出部
76 :第1縁部
76A :第1部分
80 :固定板
82 :重畳部
84 :非重畳部
87 :第2縁部
87A :第2部分
88B :離間部
88C :延設部
90 :交差部
92 :凹部
94 :拡がり部
96 :狭幅部
100 :筐体部
101 :前パネル部
102 :筐体本体部
102A :開口部
120 :燃焼装置
140 :結束部材
142 :線状部
148 :保持部
150 :ハーネス部
150A :電線部