(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167759
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】放電回路および電源システム
(51)【国際特許分類】
G05F 1/56 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
G05F1/56 320C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084046
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】中島 大地
(72)【発明者】
【氏名】福島 瞬
【テーマコード(参考)】
5H430
【Fターム(参考)】
5H430BB01
5H430BB05
5H430BB09
5H430BB11
5H430CC05
5H430EE04
5H430FF02
5H430FF13
5H430GG01
5H430HH03
5H430LA01
5H430LB06
(57)【要約】
【課題】改良した放電回路および電源システムを提供する。
【解決手段】放電回路14,20は、電源回路12の出力電圧によって充電される出力コンデンサ11が放電される際に、出力コンデンサ11からの放電電流が流れる放電経路15,22と、調整回路18,24と、を備える。放電経路15,20は、出力コンデンサ11からの放電電流が流れる放電抵抗154,224を有する。調整回路18,24は、出力コンデンサ11の充電電圧に応じて、放電抵抗154,224にかかる電圧を調整する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源回路の出力電圧によって充電される出力コンデンサが放電される際に、前記出力コンデンサからの放電電流が流れる放電経路と、
調整回路と、を備え、
前記放電経路は、前記放電電流が流れる放電抵抗を有し、
前記調整回路は、前記出力コンデンサの充電電圧に応じて、前記放電抵抗にかかる電圧を調整する、
放電回路。
【請求項2】
前記調整回路は、前記出力コンデンサの充電電圧を分圧する分圧回路を有し、
前記放電抵抗は、前記分圧回路によって分圧された電圧を受ける、
請求項1に記載の放電回路。
【請求項3】
前記放電経路は、前記放電抵抗と直列接続されたスイッチング素子をさらに有し、
前記調整回路は、増幅器をさらに有し、
前記増幅器は、非反転入力端子に前記分圧回路によって分圧された電圧が入力され、反転入力端子が前記放電抵抗の上流側の端部に接続され、前記スイッチング素子に出力信号を出力するように配置される、
請求項2に記載の放電回路。
【請求項4】
前記放電回路は、前記放電経路を第1放電経路とするとき、前記第1放電経路とは異なる第2放電経路をさらに有し、
前記調整回路は、前記出力コンデンサの充電電圧に基づいて、前記出力コンデンサを放電する経路を前記第1放電経路と前記第2放電経路とで切り替えるように構成される、
請求項3に記載の放電回路。
【請求項5】
前記調整回路は、比較器をさらに有し、
前記第2放電経路は、前記放電抵抗を第1放電抵抗とし、前記スイッチング素子を第1スイッチング素子とするとき、直列接続された第2スイッチング素子および第2放電抵抗を含み、
前記増幅器は、前記分圧回路によって分圧された電圧が基準電圧以上である場合に、前記第1スイッチング素子がオンとなるように、前記第1スイッチング素子に出力信号を出力し、
前記比較器は、前記分圧回路によって分圧された電圧と基準電圧とを比較し、前記分圧回路によって分圧された電圧が前記基準電圧未満である場合には、前記第2スイッチング素子がオンとなるように、前記第2スイッチング素子に出力信号を出力する、
請求項4に記載の放電回路。
【請求項6】
前記放電経路は、前記出力コンデンサの充電電圧に比例した放電電流が流れるように構成される、
請求項2に記載の放電回路。
【請求項7】
前記調整回路は、前記出力コンデンサの充電電圧が高いほど前記放電電流が小さくなるように、前記放電抵抗にかかる電圧を調整する、
請求項1に記載の放電回路。
【請求項8】
前記調整回路は、カレントミラー回路と、前記カレントミラー回路の入力端に接続された入力抵抗と、前記カレントミラー回路の出力端に接続された出力抵抗と、を有し、
前記入力抵抗は、前記カレントミラー回路とは反対側の端部に前記出力コンデンサの充電電圧が供給されるように配置され、
前記出力抵抗は、前記カレントミラー回路とは反対側の第1端に基準電圧が供給され、前記カレントミラー回路側の第2端の電圧が前記放電抵抗に供給されるように配置される、
請求項7に記載の放電回路。
【請求項9】
前記放電経路は、前記放電抵抗と直列接続されたスイッチング素子をさらに有し、
前記調整回路は、増幅器をさらに有し、
前記増幅器は、非反転入力端子に前記出力抵抗の前記第2端が接続され、反転入力端子に前記放電抵抗の上流側の端部が接続され、前記スイッチング素子に出力信号を出力するように設けられる、
請求項8に記載の放電回路。
【請求項10】
前記電源回路と、
請求項1~9のいずれか一項に記載の放電回路とを備える、
電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放電回路および電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチングレギュレータおよびリニアレギュレータなどの電源回路には、その出力電圧を安定化させるために出力コンデンサが設けられる。出力電圧によって充電された出力コンデンサは、必要に応じて放電回路によって放電される(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電源回路の出力コンデンサを放電する従来の放電回路には改良する余地があった。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的の一つは、改良した放電回路および電源システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある態様は、放電回路である。この放電回路は、電源回路の出力電圧によって充電される出力コンデンサが放電される際に、出力コンデンサからの放電電流が流れる放電経路と、調整回路と、を備える。放電経路は、出力コンデンサからの放電電流が流れる放電抵抗を有する。調整回路は、出力コンデンサの充電電圧に応じて、放電抵抗にかかる電圧を調整する。
【0007】
本開示の別の態様は、電源システムである。この電源システムは、電源回路と、上記放電回路とを備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、改良した放電回路および電源システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、参考技術に係る電源システムの回路図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る電源システムの概略構成図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る放電回路の構成を説明するための回路図である。
【
図4】
図4(a)は、充電電圧に対する放電する経路の抵抗値の変化をシミュレーションした結果を示す図である。
図4(b)は、充電電圧に対する放電電流の変化をシミュレーションした結果を示す図である。
【
図5】
図5(a)は、充電電圧の時間変化をシミュレーションした結果を示す図である。
図5(b)は、放電電流の時間変化をシミュレーションした結果を示す図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る放電回路の構成を説明するための回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0012】
一実施形態に係る放電回路は、電源回路の出力電圧によって充電される出力コンデンサが放電される際に、出力コンデンサからの放電電流が流れる放電経路と、調整回路と、を備える。放電経路は、出力コンデンサからの放電電流が流れる放電抵抗を有する。調整回路は、出力コンデンサの充電電圧に応じて、放電抵抗にかかる電圧を調整する。
【0013】
この構成によれば、放電経路の放電抵抗にかかる電圧を調整できるため、放電回路を改善でき、たとえば、放電抵抗のレイアウトおよび放電経路における消費電力を改善できるようになる。
【0014】
一実施形態において、調整回路は、出力コンデンサの充電電圧を分圧する分圧回路を有してよい。放電抵抗は、分圧回路によって分圧された電圧を受けてよい。これにより、放電抵抗の抵抗値を小さくし、放電抵抗のレイアウト面積を小さくすることが可能となる。
【0015】
一実施形態において、放電経路は、放電抵抗と直列接続されたスイッチング素子をさらに有してよい。調整回路は、増幅器をさらに有してよい。増幅器は、非反転入力端子に分圧回路によって分圧された電圧が入力され、反転入力端子が放電抵抗の上流側の端部に接続され、スイッチング素子に出力信号を出力するように配置されてよい。
【0016】
一実施形態において、放電回路は、放電経路を第1放電経路とするとき、第1放電経路とは異なる第2放電経路をさらに有してよい。調整回路は、出力コンデンサの充電電圧に基づいて、出力コンデンサを放電する経路を第1放電経路と第2放電経路とで切り替えるように構成されてよい。これにより、より適切に出力コンデンサを放電することが可能となる。
【0017】
一実施形態において、調整回路は、比較器をさらに有してよい。第2放電経路は、放電抵抗を第1放電抵抗とし、スイッチング素子を第1スイッチング素子とするとき、直列接続された第2スイッチング素子および第2放電抵抗を含んでよい。増幅器は、分圧回路によって分圧された電圧が基準電圧以上である場合に、第1スイッチング素子がオンとなるように、第1スイッチング素子に出力信号を出力してよい。比較器は、分圧回路によって分圧された電圧と基準電圧とを比較し、分圧回路によって分圧された電圧が基準電圧未満である場合には、第2スイッチング素子がオンとなるように、第2スイッチング素子に出力信号を出力してよい。
【0018】
一実施形態において、放電経路は、出力コンデンサの充電電圧に比例した放電電流が流れるように構成されてよい。これにより、放電経路において定抵抗を実現できる。
【0019】
一実施形態において、調整回路は、出力コンデンサの充電電圧が高いほど放電電流が小さくなるように、放電抵抗にかかる電圧を調整してよい。これにより、放電時における放電経路の発熱を抑制できる。
【0020】
一実施形態において、調整回路は、カレントミラー回路と、カレントミラー回路の入力端に接続された入力抵抗と、カレントミラー回路の出力端に接続された出力抵抗と、を有してよい。入力抵抗は、カレントミラー回路とは反対側の端部に出力コンデンサの充電電圧が供給されるように配置されてよい。出力抵抗は、カレントミラー回路とは反対側の第1端に基準電圧が供給され、カレントミラー回路側の第2端の電圧が放電抵抗に供給されるように配置されてよい。この構成により、簡便に放電抵抗にかかる電圧を調整できる。
【0021】
一実施形態において、放電経路は、放電抵抗と直列接続されたスイッチング素子をさらに有してよい。調整回路は、増幅器をさらに有してよい。増幅器は、非反転入力端子に出力抵抗の第2端が接続され、反転入力端子に放電抵抗の上流側の端部が接続され、スイッチング素子に出力信号を出力するように設けられてよい。
【0022】
一実施形態に係る電源システムは、電源回路と、上記放電回路とを備える。
【0023】
この構成によれば、放電経路の放電抵抗にかかる電圧を調整できるため、放電回路を改善でき、たとえば、放電抵抗のレイアウトおよび放電経路における消費電力を改善できるようになる。
【0024】
以下、好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施形態は、開示および発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも開示および発明の本質的なものであるとは限らない。
【0025】
(参考技術)
図1を参照しながら、参考技術に係る電源システム9およびその課題を説明する。
図1に示す参考技術に係る電源システム9は、電源IC(Integrated Circuit)90および出力コンデンサ91を備える。
【0026】
電源IC90は、入力電圧Vin9に応じた出力電圧Vout9を出力する。電源IC90は、入力端子900、出力端子902、電源回路92および放電回路94を備える。出力端子902には、電源IC90の出力電圧Vout9を安定化させるための出力コンデンサ91が接続される。
【0027】
電源回路92は、入力端子900に入力される入力電圧Vin9に基づいて、出力端子902から出力される出力電圧Vout9を生成する。出力電圧Vout9は、負荷(図示しない)に供給される。
【0028】
電源回路92は、入力電圧Vin9に応じた出力電圧Vout9を生成できる各種の公知の回路で構成される。たとえば、電源回路92は、リニアレギュレータ(たとえばLDO(Low Dropout)など)、スイッチングレギュレータまたはDC-DCコンバータなどであってよい。ここでは、電源回路92がリニアレギュレータである例を説明する。電源回路92は、トランジスタ920、増幅器922、抵抗924,926およびグランド端子928を有する。
【0029】
トランジスタ920は、出力ドライバとして機能する。トランジスタ920は、Pチャネル型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)で構成され、ソースが入力端子900に接続され、ドレインが出力端子902に接続されるように設けられる。
【0030】
抵抗924,926は、帰還抵抗である。抵抗924は、一端がトランジスタ920のドレインに接続され、他端が増幅器922の非反転入力端子に接続されるように設けられる。抵抗926は、一端が増幅器922の非反転入力端子に接続され、他端がグランド端子928に接続されるように設けられる。抵抗924と抵抗926との間において、電源回路92の出力電圧Vout9を分圧した電圧Vfが生成される。
【0031】
増幅器922は、非反転入力端子に電圧Vfが入力され、反転入力端子に基準電圧Vref9が入力されるように設けられる。増幅器922は、電圧Vfと基準電圧Vref9との差分に応じた出力信号Sa9をトランジスタ920のゲートに出力し、トランジスタ920の動作を制御する。
【0032】
放電回路94は、出力コンデンサ91を規定の時間で放電するように構成される。放電回路94は、放電経路940およびドライバ948を有する。
【0033】
放電経路940は、出力コンデンサ91の放電の際に、放電電流Id9が流れるように設けられる。放電経路940は、放電抵抗942、トランジスタ944およびグランド端子946を有する。
【0034】
放電抵抗942は、抵抗値R91を有し、一端が出力端子902に接続されるように設けられる。トランジスタ944は、MOSFETまたはBJT(Bipolar Junction Transistor)などで構成される。ここでは、トランジスタ944がNチャネル型のMOSFETで構成される例を説明する。トランジスタ944は、ソースがグランド端子946に接続され、ドレインが放電抵抗942の他端に接続されるように設けられる。トランジスタ944のオン抵抗は、R92であるものとする。
【0035】
ドライバ948は、入力されるイネーブル信号EN9に応じて、トランジスタ944の動作を制御する。
【0036】
以上、参考技術に係る電源システム9の構成を説明した。以下、参考技術に係る電源システム9の動作を説明する。
【0037】
電源回路92が入力電圧Vin9に応じて出力電圧Vout9を生成すると、出力電圧Vout9が負荷に供給されるとともに、出力電圧Vout9によって出力コンデンサ91が充電される。出力コンデンサ91を放電する際には、電源回路92の動作が停止し、放電回路94が動作する。具体的には、ドライバ948が、イネーブル信号EN9に応じてトランジスタ944をオンにする。これにより、出力コンデンサ91から、出力端子902、放電抵抗942およびトランジスタ944を介して、グランド端子946に放電電流Id9が流れ、出力コンデンサ91が放電される。
【0038】
本発明者らは、参考技術に係る電源システム9について、以下の課題を認識するに至った。放電経路940は、放電抵抗942およびトランジスタ944により、一定の抵抗値R9(=R91+R92)を有する定抵抗を形成することが求められる。定抵抗を形成することにより、出力コンデンサ91の充電電圧Vc9が放電時間に応じてどの程度低下したのかを簡便に算出することが可能となる。
【0039】
トランジスタ944が線形領域(BJTの場合には、飽和領域)にある場合には、トランジスタ944に流れる放電電流Id9は、充電電圧Vc9に対して線形に変化し、定抵抗が形成される。しかしながら、充電電圧Vc9がある電圧を超えると、トランジスタ944が飽和領域(BJTの場合には、活性領域)に入り、トランジスタ944に流れる電流が制限され、定抵抗を形成できなくなる。このため、放電経路940の定抵抗を実現するためには、トランジスタ944を線形領域(BJTの場合には、飽和領域)で動作させる必要がある。ここで、以下の2つの問題が生じる。
【0040】
1つ目の問題は、出力電圧Vout9として高い電圧が出力される場合および放電経路940の抵抗値R9が小さい場合には、放電経路940に流れる放電電流Id9が大きくなる。このため、トランジスタ944が飽和領域(BJTの場合には、活性領域)に入り、放電電流Id9が制限され易くなる。この問題を解決するためには、トランジスタ944のサイズを大きくし、トランジスタ944の飽和電圧(Vdsat)を高くする必要がある。
【0041】
2つ目の問題は、放電抵抗942にはエレクトロマイグレーションで制限される許容電流がある点である。許容電流を大きくするためには、放電電流Id9が大きい場合には、放電抵抗942の抵抗幅を太くする必要がある。抵抗幅を太くすると、同一の抵抗値を実現するためには抵抗の長くする必要があり、抵抗のレイアウト面積が非常に大きくなる問題が生じる。
【0042】
1つ目および2つ目の問題は、出力電圧Vout9および放電経路940の抵抗値R9の条件にもよるが、放電抵抗942およびトランジスタ944のレイアウト面積を非常に大きくする必要があり、電源IC90のコスト増につながる。
【0043】
(第1実施形態)
図2は、第1実施形態に係る電源システム1の概略構成図である。電源システム1は、入力電圧Vin1に応じた出力電圧Vout1を出力する。電源システム1は、電源IC10および出力コンデンサ11を備える。
【0044】
電源IC10は、入力電圧Vin1に応じた出力電圧Vout1を出力する。電源IC10は、入力端子100、出力端子102、電源回路12および放電回路14を備える。出力端子102には、電源IC10の出力電圧Vout1を安定化させるための出力コンデンサ11が接続される。
【0045】
電源回路12は、入力端子100に入力される入力電圧Vin9に基づいて、出力端子102から出力される出力電圧Vout1を生成する。出力電圧Vout1は、負荷(図示しない)に供給される。また、出力コンデンサ11は、電源回路12の出力電圧Vout1によって充電される。
【0046】
電源回路12は、入力電圧Vin9に応じた出力電圧Vout9を生成できる各種の公知の回路である。たとえば、電源回路12は、リニアレギュレータ(たとえばLDOなど)、スイッチングレギュレータまたはDC-DCコンバータなどであってよい。電源回路12がリニアレギュレータである場合には、電源回路12は、参考技術に係る電源回路92と実質的に同一の構成を有してよい。
【0047】
放電回路14は、出力コンデンサ11を放電するように構成される。放電回路14を構成する各種の要素は、放電回路14が出力コンデンサ11を規定の時間で放電できるように設計されてよい。
図3を参照して、放電回路14の具体的な構成を説明する。
図3は、第1実施形態に係る放電回路14の構成を説明するための回路図である。
図3に示すように、第1実施形態に係る放電回路14は、放電経路15および制御回路18を備える。
【0048】
放電経路15は、出力コンデンサ11が放電される際に、出力コンデンサ11からの放電電流が流れる経路である。本実施形態に係る放電経路15は、第1放電経路150、第2放電経路160およびグランド端子170を有する。
【0049】
第1放電経路150は、第1スイッチング素子152および第1放電抵抗154を有する。第1スイッチング素子152は、第1放電抵抗154と直列接続される。第1放電経路150に出力コンデンサ11からの放電電流Id1が流れることによって、出力コンデンサ11が放電される。
【0050】
第1スイッチング素子152は、各種の公知のトランジスタで構成されてよく、本実施形態では、Nチャネル型のMOSFETで構成される。第1スイッチング素子152は、ソースが第1放電抵抗154の一端に接続され、ドレインが出力端子102に接続されるように設けられる。第1スイッチング素子152のオン抵抗は、R11であるものとする。
【0051】
第1放電抵抗154は、出力コンデンサ11からの放電電流Id1が流れるように配置され、他端にグランド端子170が接続されるように設けられる。第1放電抵抗154は、たとえばポリマーなどで構成されてよい。第1放電抵抗154の抵抗値は、R12であるものとする。抵抗値R12は、たとえば、第1放電経路150が有すべき抵抗値をR_Dとし、後述する分圧回路180の分圧比を1/xとしたとき、R12=1/x×R_Dで表されてよい。
【0052】
第2放電経路160は、第1放電経路150とは異なる経路であり、直列接続された第2放電抵抗162および第2スイッチング素子164を有する。第2放電経路160に出力コンデンサ11からの放電電流Id2が流れることによって、出力コンデンサ11が放電される。なお、後述するように、本実施形態では、第1放電経路150または第2放電経路160の一方の経路に放電電流が流れるように、放電経路15の動作は制御される。
【0053】
第2放電抵抗162は、出力コンデンサ11からの放電電流Id2が流れるように配置され、一端が出力端子102に接続されるように設けられる。第2放電抵抗162は、たとえばポリマーなどで構成されてよい。第2放電抵抗162の抵抗値は、R21であるものとする。
【0054】
第2スイッチング素子164は、各種の公知のトランジスタで構成されてよく、本実施形態では、Nチャネル型のMOSFETで構成される。第2スイッチング素子164は、ソースがグランド端子170に接続され、ドレインが第2放電抵抗の他端に接続されるように設けられる。第2スイッチング素子164のオン抵抗は、R22であるものとする。
【0055】
制御回路18は、放電経路15の動作を制御する。本実施形態に係る制御回路18は、分圧回路180、増幅器190、AND回路192および比較器194を有する。本実施形態に係る制御回路18は、出力コンデンサ11の充電電圧Vc1に応じて、第1放電抵抗154にかかる電圧を調整する調整回路としての機能を有する。また、本実施形態に係る制御回路18は、出力コンデンサ11の充電電圧Vc1に基づいて、出力コンデンサ11を放電する経路を第1放電経路150と第2放電経路160とで切り替えるように構成される。
【0056】
分圧回路180は、出力コンデンサ11の充電電圧Vc1を分圧した電圧Vdivを生成する。分圧回路180は、抵抗182および抵抗184を有する。抵抗182は、一端が出力端子102に接続され、他端が抵抗184の一端に接続されるように設けられる。抵抗184は、他端がグランド端子170に接続されるように設けられる。抵抗182は、抵抗値Rd1を有し、抵抗184は、抵抗値Rd2を有する。分圧回路180は、分圧比1/x(=Rd2/(Rd1+Rd2))で充電電圧Vc1を分圧し、抵抗182と抵抗184との間に、分圧した電圧Vdiv(=1/x×Vc1)を生成する。分圧比1/xは、たとえば1/30程度であってよい。
【0057】
なお、分圧回路180には出力コンデンサ11からの電流が流れるが、分圧回路180の抵抗182,184の抵抗値は、第1放電経路150および第2放電経路160の抵抗値よりも十分に大きい。このため、分圧回路180には出力コンデンサ11から電流がほとんど流れず、放電電流は、主として第1放電経路150または第2放電経路160に流れる。
【0058】
増幅器190は、電源電圧Vdd1を受け、非反転入力端子および反転入力端子のそれぞれに入力される信号に応じて、第1スイッチング素子152のゲートに出力信号Sa1を出力する。増幅器190は、非反転入力端子に分圧回路180によって分圧された電圧Vdivが入力され、反転入力端子が第1放電抵抗154の一端(上流側の端部)に接続されるように設けられる。なお、本明細書では、第1放電経路150および第2放電経路160について、出力コンデンサ11側を上流側、グランド端子170側を下流側という。
【0059】
増幅器190を配置することにより、分圧回路180によって分圧された電圧Vdivは、増幅器190を介して、第1放電抵抗154の一端に供給され、第1放電抵抗154は電圧Vdivを受ける。
【0060】
AND回路192は、第1入力端子にイネーブル信号EN1が入力され、第2入力端子に比較器194から出力される出力信号Scmpを反転した信号が入力されるように配置される。AND回路192は、入力された2つの信号に応じて、出力信号Ss1を増幅器190に出力する。
【0061】
AND回路192は、イネーブル信号E1および出力信号Scmpを反転した信号がいずれもハイのとき、ハイの出力信号Ss1を増幅器190に出力する。これにより、増幅器190は、オン状態となり、第1スイッチング素子152をオンとするように、出力信号Sa1を第1スイッチング素子152に出力する。AND回路192は、イネーブル信号E1および出力信号Scmpを反転した信号のいずれかがローのとき、ローの出力信号Ss1を増幅器190に出力する。これにより、増幅器190は、オフ状態となり、第1スイッチング素子152はオフになる。
【0062】
比較器194は、非反転入力端子に基準電圧Vref1が入力され、反転入力端子に電圧Vdivが入力されるように設けられる。比較器194は、電源電圧Vdd1を受け、非反転入力端子および反転入力端子のそれぞれに入力される信号を比較し、その結果に応じて、第2スイッチング素子164のゲートに出力信号Scmpを出力する。なお、比較器194は、イネーブル信号EN1が入力され、イネーブル信号EN1がハイのときオン状態となり、イネーブル信号EN1がローのときオフ状態となる。
【0063】
比較器194は、電圧Vdivと基準電圧Vref1とを比較し、電圧Vdivが基準電圧Vref1以上である場合には、第2スイッチング素子164がオフとなるように、第2スイッチング素子164にローの出力信号Scmpを出力する。比較器194は、電圧Vdivが基準電圧Vref1未満である場合には、第2スイッチング素子164がオンとなるように、ハイの出力信号Scmpを出力する。なお、比較器194の出力信号Scmpは、図示しない経路を通じて、AND回路192の第2入力端子に反転して入力される。
【0064】
本実施形態では、比較器194には、基準電圧Vref1に対する比較対象として、充電電圧Vc1を分圧した電圧Vdivが入力される。このため、充電電圧Vc1が高電圧であったとしても、比較器194を高耐圧化する必要がなく、比較器194を小型化することが可能となる。
【0065】
増幅器190の動作は、比較器194の出力信号Scmpによって制御される。たとえば、比較器194は、電圧Vdivが基準電圧Vref1以上である場合に、増幅器190がオン状態となるように、出力信号Scmpを出力する。このため、増幅器190は、電圧Vdivが基準電圧Vref1以上である場合に、第1スイッチング素子152がオンとなるように、第1スイッチング素子152に出力信号Sa1を出力する。また、比較器194は、電圧Vdivが基準電圧Vref1未満である場合に、増幅器190がオフ状態となるように、出力信号Scmpを出力する。このため、電圧Vdivが基準電圧Vref1未満である場合に、第1スイッチング素子152はオフとなる。
【0066】
ここで、放電回路14が出力コンデンサ11を放電する動作を説明する。本実施形態では、電圧Vdivと基準電圧Vref1との大小関係に応じて、第1放電経路150または第2放電経路160のいずれかに放電電流が流れることによって出力コンデンサ11が放電される。具体的には、放電回路14による放電が開始され、電圧Vdivが基準電圧Vref1以上であるときには、第1スイッチング素子152がオン、第2スイッチング素子164がオフとなり、第1放電経路150に放電電流Id1が流れるよって出力コンデンサ11が放電される。その後、充電電圧Vc1が低下して電圧Vdivが基準電圧Vref1未満になると、第1スイッチング素子152がオフ、第2スイッチング素子164がオンとなり、第2放電経路160に放電電流Id2が流れることよって出力コンデンサ11が放電される。以降、出力コンデンサ11の放電が完了するまで、第2放電経路160に放電電流Id2が流れることによって出力コンデンサ11が放電される。
【0067】
以上、本実施形態に係る放電回路14の構成およびその動作を説明した。本実施形態に係る放電回路14によれば、制御回路18によって、出力コンデンサ11の充電電圧Vc1に応じて、第1放電経路150の放電抵抗154にかかる電圧が調整される。具体的には、本実施形態に係る放電抵抗154には、分圧回路180によって充電電圧Vc1を分圧した電圧Vdivが供給される。このため、放電電流Id1の所定の電流値について、第1放電抵抗154の抵抗値R12を、分圧回路180の分圧比1/xに応じて小さくすることができる。具体的には、抵抗値R12を、第1放電経路150が有すべき抵抗値R_Dの1/x程度にすることができる。このため、分圧比1/xに応じて、第1放電抵抗154のレイアウト面積を小さくすることができる。
【0068】
第1放電経路150によって出力コンデンサ11が放電されるとき、増幅器190のオフセット電圧の影響によって第1放電経路150の抵抗値が意図した値からずれ、第1放電経路150のみでは適切に出力コンデンサ11を放電できないことがある。出力コンデンサ11の充電電圧Vc1(より具体的には、電圧Vdiv)が低いほど、オフセット電圧の影響が大きくなる。そこで、電圧Vdivが基準電圧Vref1未満である場合に第2放電経路160で出力コンデンサ11を放電することにより、より適切に出力コンデンサ11を放電することが可能となる。
【0069】
第2放電経路160において出力コンデンサ11が放電される際には、電圧Vdivが基準電圧Vref1未満となる程度に充電電圧Vc1が低下している。このため、放電経路160に流れる放電電流Id2は、第1放電経路150における放電電流Id1よりも小さい。このため、放電電流Id2の低下に応じて、第2放電抵抗162の抵抗幅を細くすることができる。この結果、第2放電抵抗162のレイアウト面積を小さくできる。
【0070】
以上のように、本実施形態に係る放電回路14によれば、第1放電抵抗154および第2放電抵抗162のそれぞれのレイアウト面積を小さくできる。また、本実施形態に係る電源システム1によれば、増幅器190および比較器194などの構成が必要になるものの、これらの構成の追加によるレイアウト面積の増加分は、第1放電抵抗154および第2放電抵抗162のレイアウト面積の減少分よりも小さい。したがって、本実施形態に係る放電回路14によれば、全体のレイアウト面積を小さくでき、コストを低減できる。
【0071】
また、増幅器190および比較器194の動作は、放電回路14における放電のタイミング以外では停止される。したがって、実質的に放電のときにのみ増幅器190および比較器194において電力が消費される。このため、増幅器190および比較器194は、不必要に電力を消費しないように制御できる。
【0072】
図4(a),(b)および
図5(a),(b)を参照して、本実施形態に係る放電回路14の動作をシミュレーションした結果を説明する。
図4(a)は、充電電圧Vc1に対する放電する経路の抵抗値R_DISの変化をシミュレーションした結果を示す図である。
図4(b)は、充電電圧Vc1に対する放電電流I_DISの変化をシミュレーションした結果を示す図である。
図5(a)は、充電電圧Vc1の時間変化をシミュレーションした結果を示す図である。
図5(b)は、放電電流I_DISの時間変化をシミュレーションした結果を示す図である。これらのシミュレーションでは、抵抗値R_DISに求める値を300Ωとし、R12=10Ω、R21=270Ω、R22=30Ω、x=30、Vc1(max.)=30V、出力コンデンサ11の容量値を10μFとした。
【0073】
図4(a)では、横軸が充電電圧Vc1(V)を示し、縦軸が抵抗値R_DIS(Ω)を示す。抵抗値R_DISは、第1放電経路150に放電電流Id1が流れる場合には、第1放電経路150の抵抗値であり、第2放電経路160に放電電流Id2が流れる場合には、第2放電経路160の抵抗値である。このシミュレーションでは、充電電圧Vc1が4Vの付近で、放電する経路が第1放電経路150と第2放電経路160とで切り替わる。
図4(a)に示すように、抵抗値R_DISは、充電電圧Vc1が0~30.0Vにおいて、一定値(300Ω)となっている。したがって、本実施形態に係る放電回路14によれば、充電電圧Vc1が0~30.0Vにおいて、第1放電経路150および第2放電経路160のそれぞれを定抵抗とすることができる。
【0074】
図4(b)では、横軸が充電電圧Vc1(V)を示し、縦軸が放電電流I_DIS(mA)を示す。放電電流I_DISは、第1放電経路150に放電電流Id1が流れる場合には、その放電電流Id1であり、第2放電経路160に放電電流Id2が流れる場合には、その放電電流Id2である。
図4(b)に示すように、放電電流I_DISが0~100mAの範囲では、放電電流I_DISは飽和せず、放電経路15には、出力コンデンサ11の充電電圧Vc1に比例した放電電流I_DISが流れ、放電経路15において定抵抗を実現できる。
【0075】
図5(a),(b)には、本実施形態に係る放電回路14についてシミュレーションした結果(実施例)に加えて、理想モデルを用いたシミュレーション結果を示す。理想モデルは、第1放電経路150および第2放電経路160のそれぞれを300Ωの抵抗素子で置き換えた放電回路である。
図5(a)では、横軸が放電時間(ms)を示し、縦軸が充電電圧Vc1(V)を示す。
図5(b)では、横軸が放電時間(ms)を示し、縦軸が放電電流I_DIS(mA)を示す。
【0076】
このシミュレーションでは、充電電圧Vc1が30Vのときに放電を開始して、放電時間が6.9msのとき(充電電圧Vc1が4Vのとき)に、出力コンデンサ11を放電する経路が第1放電経路150から第2放電経路160に切り替わる。切り替わりの際には、瞬間的に第1放電経路150および第2放電経路160がともにオフとなるが、比較器194の動作速度はμsオーダーであるため、
図5(a),(b)では、ほとんど連続的に出力コンデンサ11が放電されるように見える。
【0077】
図5(a),(b)に示すように、充電電圧Vc1および放電電流I_DISのいずれについても、実施例と理想モデルとで概ね一致しており、本実施形態に係る放電回路14が理想的な放電を実現できることがわかる。
【0078】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る放電回路20の構成を説明するための回路図である。第2実施形態に係る電源システムは、第1実施形態に係る電源システム1に係る放電回路14を
図6に示す放電回路20で置き換えた構成を有してよい。第2実施形態に係る放電回路20は、放電経路22および制御回路24を備える。
【0079】
放電経路22は、スイッチング素子222、放電抵抗224およびグランド端子226を有する。スイッチング素子222は、放電抵抗224と直列接続される。放電経路22に出力コンデンサ11からの放電電流Id3が流れることによって、出力コンデンサ11が放電される。
【0080】
スイッチング素子222は、各種の公知のトランジスタで構成されてよく、本実施形態では、Nチャネル型のMOSFETで構成される。スイッチング素子222は、ソースが放電抵抗224の一端に接続され、ドレインが出力端子102に接続されるように設けられる。スイッチング素子222のオン抵抗は、R31であるものとする。
【0081】
放電抵抗224は、出力コンデンサ11が放電される際に、放電電流Id3が流れるように配置され、他端にグランド端子226が接続されるように設けられる。放電抵抗224の抵抗値は、R32であるものとする。
【0082】
制御回路24は、カレントミラー回路240、入力抵抗250、出力抵抗252および増幅器260を有する。制御回路24は、出力コンデンサ11の充電電圧Vc2に応じて放電抵抗224にかかる電圧を調整する調整回路としての機能を有する。具体的には、制御回路24は、出力コンデンサ11の充電電圧Vc2が高いほど放電経路22に流れる放電電流Id3が小さくなるように、放電抵抗224にかかる電圧を調整する。
【0083】
カレントミラー回路240は、対をなす2つのトランジスタ242,244で構成される。トランジスタ242,244は、Nチャネル型のMOSFETでそれぞれ構成される。トランジスタ242は、ソースがトランジスタ244のソースとともにグランド端子226に接続され、ゲートがトランジスタ244のゲートともにトランジスタ242のドレインに接続されるように設けられる。
【0084】
入力抵抗250は、一端(カレントミラー回路240とは反対側の端部)が出力端子102に接続され、他端がカレントミラー回路240の入力端(具体的には、トランジスタ242のドレイン)に接続されるように設けられる。入力抵抗250は、抵抗値Rm1を有するものとする。入力抵抗250の一端には、出力コンデンサ11の充電電圧Vc2が供給され、充電電圧Vc2に応じた電流Im1が入力抵抗250に流れる。電流Im1は、トランジスタ242の閾値電圧Vthに対して出力コンデンサ11の充電電圧Vc2が十分に大きい場合には、Im1≒Vc2/Rm1で表される。
【0085】
出力抵抗252は、一端(カレントミラー回路240とは反対側の第1端)に基準電圧Vref2が供給され、他端(カレントミラー回路240側の第2端)がカレントミラー回路240の出力端(具体的には、トランジスタ244のドレイン)に接続されるように設けられる。出力抵抗252は、抵抗値Rm2を有するものとする。出力抵抗252には、カレントミラー回路240によって、入力抵抗250に流れる電流Im1をコピーした電流Im2が流れる。したがって、出力抵抗252の他端の電圧Vmは、Vm=Vref2-Rm2×Im2=Vref2-Rm2×Im1となる。トランジスタ242の閾値電圧Vthに対して出力コンデンサ11の充電電圧Vc2が十分に大きい場合には、電圧Vmは、Vm≒Vref2-Vc2×(Rm2/Rm1)と表される。ここで、基準電圧Vref2は、充電電圧Vc2の最大値をVcmとするとき、Vref2>Vcm×(Rm2/Rm1)となるように設定されてよい。
【0086】
増幅器260は、電源電圧Vdd2を受け、非反転入力端子および反転入力端子のそれぞれに入力される信号に応じて、スイッチング素子222のゲートに出力信号Sa2を出力する。増幅器260は、非反転入力端子に出力抵抗252の他端が接続され、反転入力端子が放電抵抗224の一端(上流側の端部)に接続される。このように増幅器260を配置することにより、放電抵抗224の一端には、増幅器260を通じて、出力抵抗252の他端の電圧Vmが供給される。なお、本明細書では、放電経路22について、放電抵抗224の出力コンデンサ11側を上流側、放電抵抗224のグランド端子226側を下流側という。
【0087】
増幅器260には、イネーブル信号EN2が入力される。イネーブル信号EN2がハイのとき、増幅器260は、オン状態となり、スイッチング素子222をオンにするように、出力信号Sa2を出力する。一方、イネーブル信号EN2がローのとき、増幅器260は、オフ状態となる。
【0088】
以上、第2実施形態に係る放電回路20の構成を説明した。ここで、第2実施形態に係る放電回路20の動作を説明する。スイッチング素子222が、増幅器260からの出力信号Sa2に応じてオンとなっているとき、放電経路22には、出力コンデンサ11からの放電電流Id3が流れ、出力コンデンサ11が放電される。このとき、放電抵抗224にかかる電圧は、Vm≒Vref2-Vc2×(Rm2/Rm1)となっている。したがって、放電抵抗224に流れる放電電流Id3は、Id3≒(Vref2-Vc2×(Rm2/Rm1))/R32で表される。このため、充電電圧Vc2が高いほど、放電電流Id3が小さくなる。この結果、放電経路22における消費電力P(=Vc2×Id3)は、充電電圧Vc2が大きいときには放電電流Id3が抑えられるため、放電時における放電経路22の発熱を抑制できる。また、放電電流Id3が大きいほど、充電電圧Vc2が低くなるため、放電電流Id3が大きい場合にも、放電時における放電経路22の発熱を抑制できる。
【0089】
(補足)
本開示に係る実施形態について、具体的な用語を用いて説明したが、この説明は、理解を助けるための例示に過ぎず、本開示あるいは請求の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲は、請求の範囲によって規定されるものである。また、実施形態のみでなく、ここでは説明しない実施形態、実施例、変形例も、本発明の範囲に含まれる。
【0090】
(付記)
本明細書に開示される技術は、一側面において以下のように把握できる。
【0091】
(項目1)
電源回路の出力電圧によって充電される出力コンデンサが放電される際に、前記出力コンデンサからの放電電流が流れる放電経路と、
調整回路と、を備え、
前記放電経路は、前記放電電流が流れる放電抵抗を有し、
前記調整回路は、前記出力コンデンサの充電電圧に応じて、前記放電抵抗にかかる電圧を調整する、
放電回路。
【0092】
(項目2)
前記調整回路は、前記出力コンデンサの充電電圧を分圧する分圧回路を有し、
前記放電抵抗は、前記分圧回路によって分圧された電圧を受ける、
項目1に記載の放電回路。
【0093】
(項目3)
前記放電経路は、前記放電抵抗と直列接続されたスイッチング素子をさらに有し、
前記調整回路は、増幅器をさらに有し、
前記増幅器は、非反転入力端子に前記分圧回路によって分圧された電圧が入力され、反転入力端子が前記放電抵抗の上流側の端部に接続され、前記スイッチング素子に出力信号を出力するように配置される、
項目2に記載の放電回路。
【0094】
(項目4)
前記放電回路は、前記放電経路を第1放電経路とするとき、前記第1放電経路とは異なる第2放電経路をさらに有し、
前記調整回路は、前記出力コンデンサの充電電圧に基づいて、前記出力コンデンサを放電する経路を前記第1放電経路と前記第2放電経路とで切り替えるように構成される、
項目3に記載の放電回路。
【0095】
(項目5)
前記調整回路は、比較器をさらに有し、
前記第2放電経路は、前記放電抵抗を第1放電抵抗とし、前記スイッチング素子を第1スイッチング素子とするとき、直列接続された第2スイッチング素子および第2放電抵抗を含み、
前記増幅器は、前記分圧回路によって分圧された電圧が基準電圧以上である場合に、前記第1スイッチング素子がオンとなるように、前記第1スイッチング素子に出力信号を出力し、
前記比較器は、前記分圧回路によって分圧された電圧と基準電圧とを比較し、前記分圧回路によって分圧された電圧が前記基準電圧未満である場合には、前記第2スイッチング素子がオンとなるように、前記第2スイッチング素子に出力信号を出力する、
項目4に記載の放電回路。
【0096】
(項目6)
前記放電経路は、前記出力コンデンサの充電電圧に比例した放電電流が流れるように構成される、
項目2~5のいずれか一項に記載の放電回路。
【0097】
(項目7)
前記調整回路は、前記出力コンデンサの充電電圧が高いほど前記放電電流が小さくなるように、前記放電抵抗にかかる電圧を調整する、
項目1に記載の放電回路。
【0098】
(項目8)
前記調整回路は、カレントミラー回路と、前記カレントミラー回路の入力端に接続された入力抵抗と、前記カレントミラー回路の出力端に接続された出力抵抗と、を有し、
前記入力抵抗は、前記カレントミラー回路とは反対側の端部に前記出力コンデンサの充電電圧が供給されるように配置され、
前記出力抵抗は、前記カレントミラー回路とは反対側の第1端に基準電圧が供給され、前記カレントミラー回路側の第2端の電圧が前記放電抵抗に供給されるように配置される、
項目7に記載の放電回路。
【0099】
(項目9)
前記放電経路は、前記放電抵抗と直列接続されたスイッチング素子をさらに有し、
前記調整回路は、増幅器をさらに有し、
前記増幅器は、非反転入力端子に前記出力抵抗の前記第2端が接続され、反転入力端子に前記放電抵抗の上流側の端部が接続され、前記スイッチング素子に出力信号を出力するように設けられる、
項目8に記載の放電回路。
【0100】
(項目10)
前記電源回路と、
項目1~9のいずれか一項に記載の放電回路とを備える、
電源システム。
【符号の説明】
【0101】
1 電源システム、11 出力コンデンサ、12 電源回路、14,20 放電回路、15,22 放電経路、18,24 制御回路、100 入力端子、102 出力端子、150 第1放電経路、152 第1スイッチング素子、154 第1放電抵抗、160 第2放電経路、162 第2放電抵抗、164 第2スイッチング素子、170 グランド端子、180 分圧回路、182,184 抵抗、190 増幅器、192 AND回路、194 比較器、240 カレントミラー回路、242,244 トランジスタ、250 入力抵抗、252 出力抵抗、260 増幅器。