(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167764
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】固体撮像装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20241127BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20241127BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
H01L27/146 F
H01L21/88 T
H01L21/88 J
H01L21/02 B
H01L21/88 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084063
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 孝之
(72)【発明者】
【氏名】山岸 肇
(72)【発明者】
【氏名】小野 健太
【テーマコード(参考)】
4M118
5F033
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA04
4M118CA02
4M118GA02
4M118GC07
4M118GD07
4M118HA33
5F033HH08
5F033HH11
5F033HH13
5F033HH19
5F033JJ11
5F033KK08
5F033KK11
5F033KK13
5F033KK19
5F033MM30
5F033RR01
5F033RR04
5F033UU01
5F033VV07
5F033XX05
(57)【要約】
【課題】パッド直下の配線において電流集中によるエレクトロマイグレーションを抑制できるようにする。
【解決手段】固体撮像装置は、第1のパッドと第1の半導体基板とを有する第1基板と、第2のパッドと第2の半導体基板とを有する第2基板とを上下方向に積層して構成され、第1の半導体基板を貫通して第1のパッドと第2のパッドを電気的に接続する複数の貫通電極が、平面視でリング状に配置されている。本開示は、例えば、3枚の基板の積層構造で構成される固体撮像装置等に適用できる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のパッドと第1の半導体基板とを有する第1基板と、
第2のパッドと第2の半導体基板とを有する第2基板とを上下方向に積層して構成され、
前記第1の半導体基板を貫通して前記第1のパッドと前記第2のパッドを電気的に接続する複数の貫通電極が、平面視でリング状に配置されている
固体撮像装置。
【請求項2】
前記リング状は、中央部を空き領域とした四角形の形状であり、
前記貫通電極は、前記四角形の各辺に複数列に配置され、
前記四角形の各辺のうち、配線引き出し方向の辺の前記貫通電極の列数が、他の方向の辺の前記貫通電極の列数よりも多く配置されている
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記第1のパッドと前記第2のパッドは、前記複数の貫通電極と、前記第1基板と前記第2基板とを接合する金属接合とを介して電気的に接続されている
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記第1のパッドと前記第2のパッドは、平面視で重なる領域に配置されている
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記第1基板は、複数の前記第1のパッドを配置した第1パッド領域を有し、
前記第2基板は、複数の前記第2のパッドを配置した第2パッド領域を有し、
前記第1パッド領域と前記第2パッド領域が平面視で重なる領域である
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記第1基板は、前記第1のパッドと前記第1の半導体基板との間に、複数層の金属配線と絶縁層とを有し、
前記第2基板は、前記第2のパッドと前記第2の半導体基板との間に、複数層の金属配線と絶縁層とを有する
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記第2基板は、前記第2のパッドの下方の前記第2の半導体基板の領域に所定の信号処理回路を有する
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記第2基板は、前記第2のパッドの下方の前記第2の半導体基板の領域に所定のデバイスを有する
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記第1基板の前記第2基板側と反対側に、光電変換部を有する半導体基板である受光基板をさらに積層して構成され、
前記受光基板の開口部と、前記第1基板の前記第1のパッドと、前記第2基板の前記第2のパッドとが平面視で重なる領域に配置されている
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項10】
第1のパッドと第1の半導体基板とを有する第1基板と、
第2のパッドと第2の半導体基板とを有する第2基板とを上下方向に積層して構成され、
前記第1の半導体基板を貫通して前記第1のパッドと前記第2のパッドを電気的に接続する複数の貫通電極が、平面視でリング状に配置されている
固体撮像装置
を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体撮像装置および電子機器に関し、特に、パッド直下の配線において電流集中によるエレクトロマイグレーションを抑制できるようにした固体撮像装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、各画素の光電変換素子と転送トランジスタを配した第1基板と、画素の増幅トランジスタ、リセットトランジスタ等を配した第2基板とを接合した固体撮像装置が開示されている。特許文献1の固体撮像装置では、第1基板に、外部端子と接続させるためのパッドと、パッドを露出する開口部が形成され、パッドが複数のビアを介してパッド直下の配線に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パッド直下に配線を設ける場合、特にパッドが電源電圧を供給するパッドでは、電流集中によるエレクトロマイグレーションが懸念される。
【0005】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、パッド直下の配線において電流集中によるエレクトロマイグレーションを抑制できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の側面の固体撮像装置は、
第1のパッドと第1の半導体基板とを有する第1基板と、
第2のパッドと第2の半導体基板とを有する第2基板とを上下方向に積層して構成され、
前記第1の半導体基板を貫通して前記第1のパッドと前記第2のパッドを電気的に接続する複数の貫通電極が、平面視でリング状に配置されている。
【0007】
本開示の第2の側面の電子機器は、
第1のパッドと第1の半導体基板とを有する第1基板と、
第2のパッドと第2の半導体基板とを有する第2基板とを上下方向に積層して構成され、
前記第1の半導体基板を貫通して前記第1のパッドと前記第2のパッドを電気的に接続する複数の貫通電極が、平面視でリング状に配置されている
固体撮像装置
を備える。
【0008】
本開示の第1及び第2の側面においては、第1のパッドと第1の半導体基板とを有する第1基板と、第2のパッドと第2の半導体基板とを有する第2基板とを上下方向に積層して固体撮像装置が構成され、前記第1の半導体基板を貫通して前記第1のパッドと前記第2のパッドを電気的に接続する複数の貫通電極が、平面視でリング状に配置されている。
【0009】
固体撮像装置及び電子機器は、独立した装置であっても良いし、他の装置に組み込まれるモジュールであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の技術を適用した固体撮像装置の概略構成を示す図である。
【
図3】3枚の基板の積層構造で構成される場合の固体撮像装置の斜視図である。
【
図4】3枚積層構造の詳細な固体撮像装置の断面図である。
【
図5】第2基板と第3基板のパッド位置関係を示す平面図である。
【
図6】比較例の固体撮像装置の積層構造断面図である。
【
図7】比較例である固体撮像装置のパッド位置関係を示す平面図である。
【
図8】固体撮像装置の変形例に係る3枚積層構造の断面図である。
【
図9】固体撮像装置の変形例における複数の貫通電極の配置を示す平面図である。
【
図10】パッド構造のバリエーションを説明する断面図である。
【
図11】パッド構造のバリエーションを説明する断面図である。
【
図12】パッド構造のバリエーションを説明する断面図である。
【
図13】イメージセンサの使用例を説明する図である。
【
図14】本開示の技術を適用した電子機器としての撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【
図15】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図16】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の技術を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。説明は以下の順序で行う。
1.固体撮像装置の概略構成例
2.画素回路構成例
3.3枚積層構造例
4.パッド領域の平面図
5.他のパッド配置の積層構造との比較
6.変形例
7.パッド構造のバリエーション例
8.本開示のパッド構造のまとめ
9.イメージセンサの使用例
10.電子機器への適用例
11.光検出装置全般への適用
12.移動体への応用例
【0012】
なお、以下の説明で参照する図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付すことにより重複説明を適宜省略する。図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は実際のものとは異なる。また、図面相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0013】
また、以下の説明における上下等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本開示の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば上下は左右に変換して読まれ、180°回転して観察すれば上下は反転して読まれる。
【0014】
以下では、本技術を適用した固体撮像装置の実施の形態について説明するが、本技術は、半導体装置全般に適用することができる。
【0015】
<1.固体撮像装置の概略構成例>
図1は、本開示の技術を適用した固体撮像装置の概略構成を示す図である。
【0016】
図1の固体撮像装置1は、例えばX-Yアドレス方式の固体撮像装置の一種であるCMOSイメージセンサの構成を示している。CMOSイメージセンサとは、CMOSプロセスを応用して、または、部分的に使用して製造されるイメージセンサである。
【0017】
固体撮像装置1は、画素アレイ部11と周辺回路部とを備える。周辺回路部は、例えば、垂直駆動部12、カラム処理部13、水平駆動部14、及び、システム制御部15を備える。
【0018】
固体撮像装置1は、さらに、信号処理部16及びデータ格納部17を備えている。信号処理部16及びデータ格納部17は、画素アレイ部11、垂直駆動部12等と同じ基板上に搭載しても構わないし、別の基板上に配置するようにしても構わない。また、信号処理部16及びデータ格納部17の各処理は、固体撮像装置1とは別の半導体チップに設けられた外部信号処理部、例えば、DSP(Digital Signal Processor)回路等で実行させてもよい。
【0019】
画素アレイ部11は、複数の画素21が行方向及び列方向の行列状に2次元配置された構成となっている。ここで、行方向とは、画素アレイ部11の画素行、すなわち水平方向の配列方向を言い、列方向とは、画素アレイ部11の画素列、すなわち垂直方向の配列方向を言う。
【0020】
画素21は、受光した光量に応じた電荷を生成しかつ蓄積する光電変換部と、複数の画素トランジスタ(いわゆるMOSトランジスタ)を有する。なお、画素21の具体的回路構成例については、
図2を参照して後述する。
【0021】
また、画素アレイ部11において、画素行ごとに行信号線としての画素駆動配線22が行方向に沿って配線され、画素列ごとに列信号線としての垂直信号線23が列方向に沿って配線されている。画素駆動配線22は、画素21から信号を読み出す際の駆動を行うための駆動信号を伝送する。
図1では、画素駆動配線22について1本の配線として示しているが、1本に限られるものではない。画素駆動配線22の一端は、垂直駆動部12の各行に対応した出力端に接続されている。
【0022】
垂直駆動部12は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、画素アレイ部11の各画素を全画素同時あるいは行単位等で駆動する。垂直駆動部12は、システム制御部15とともに、画素アレイ部11の各画素の動作を制御する駆動部を構成している。垂直駆動部12は、具体的な構成については図示を省略するが、一般的に、読出し走査系と掃出し走査系の2つの走査系を有する。
【0023】
読出し走査系は、画素21から信号を読み出すために、画素アレイ部11の画素21を行単位で順に選択走査する。画素21から読み出される信号はアナログ信号である。掃出し走査系は、読出し走査系によって読出し走査が行われる読出し行に対して、その読出し走査よりも露光時間分だけ先行して掃出し走査を行う。
【0024】
この掃出し走査系による掃出し走査により、読出し行の画素21の光電変換部から不要な電荷が掃き出されることによって各画素21の光電変換部がリセットされる。そして、この掃出し走査系による不要電荷を掃き出す(リセットする)ことにより、所謂電子シャッタ動作が行われる。ここで、電子シャッタ動作とは、光電変換部の電荷を捨てて、新たに露光を開始する(電荷の蓄積を開始する)動作のことを言う。
【0025】
読出し走査系による読出し動作によって読み出される信号は、その直前の読出し動作または電子シャッタ動作以降に受光した光量に対応するものである。そして、直前の読出し動作による読出しタイミングまたは電子シャッタ動作による掃出しタイミングから、今回の読出し動作による読出しタイミングまでの期間が、画素21における露光期間となる。
【0026】
垂直駆動部12によって選択走査された画素行の各画素21から出力される信号は、画素列ごとに垂直信号線23の各々を通してカラム処理部13に入力される。カラム処理部13は、画素アレイ部11の画素列ごとに、選択行の各画素21から垂直信号線23を通して出力される信号に対して所定の信号処理を行うとともに、信号処理後の画素信号を一時的に保持する。
【0027】
具体的には、カラム処理部13は、信号処理として少なくとも、ノイズ除去処理、例えばCDS(Correlated Double Sampling;相関二重サンプリング)処理や、DDS(Double Data Sampling)処理を行う。例えば、CDS処理により、リセットノイズや画素内の増幅トランジスタの閾値ばらつき等の画素固有の固定パターンノイズが除去される。カラム処理部13にノイズ除去処理以外に、例えば、AD(アナログ-デジタル)変換機能を持たせ、アナログの画素信号をデジタル信号に変換して出力することも可能である。
【0028】
水平駆動部14は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、カラム処理部13の画素列に対応する単位回路を順番に選択する。この水平駆動部14による選択走査により、カラム処理部13において単位回路ごとに信号処理された画素信号が順番に出力される。
【0029】
システム制御部15は、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータなどによって構成され、タイミングジェネレータで生成された各種のタイミングを基に、垂直駆動部12、カラム処理部13、及び、水平駆動部14などの駆動制御を行う。
【0030】
信号処理部16は、少なくとも演算処理機能を有し、カラム処理部13から出力される画素信号に対して演算処理等の種々の信号処理を行う。データ格納部17は、信号処理部16での信号処理に当たって、その処理に必要なデータを一時的に格納する。信号処理部16において信号処理された画素信号は、所定のフォーマットに変換され、出力部18から装置外部へ出力される。
【0031】
<2.画素回路構成例>
図2は、画素アレイ部11に設けられた1つの画素21の回路構成例を示す図である。
【0032】
この例では、1つの画素21は、フォトダイオードPD、転送トランジスタTRG、浮遊拡散領域FD、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMP、及び、選択トランジスタSELを含むように構成される。転送トランジスタTRG、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMP、及び、選択トランジスタSELは、例えば、N型のMOSトランジスタ(MOS FET)で構成されている。
【0033】
フォトダイオードPDは、画素21に設けられた光電変換部であり、被写体からの光を受光して、その受光量に応じた電荷を光電変換により生成し、蓄積する。フォトダイオードPDは、アノード端子が接地されているとともに、カソード端子が転送トランジスタTRGを介して、浮遊拡散領域FDに接続されている。
【0034】
転送トランジスタTRGは、フォトダイオードPDと浮遊拡散領域FDとの間に設けられており、ゲートに供給される転送駆動信号によりオンされたとき、フォトダイオードPDに蓄積されている電荷を浮遊拡散領域FDに転送する。
【0035】
浮遊拡散領域FDは、転送トランジスタTRGを介してフォトダイオードPDから転送されてきた電荷を電気信号、例えば電圧信号に変換して出力する電圧変換部である。浮遊拡散領域FDは、リセットトランジスタRSTのソースと増幅トランジスタAMPのゲートにも接続されている。
【0036】
リセットトランジスタRSTは、ゲートに供給されるリセット駆動信号によりオンされたとき、浮遊拡散領域FDに蓄積されている電荷がドレイン(定電圧源VDD)に排出され、浮遊拡散領域FDの電位をリセットする。
【0037】
増幅トランジスタAMPは、浮遊拡散領域FDの電位に応じた画素信号を出力する。すなわち、増幅トランジスタAMPは、垂直信号線23を介して接続されている定電流源24とソースフォロワ回路を構成し、浮遊拡散領域FDに蓄積されている電荷に応じたレベルを示す画素信号VSLが、増幅トランジスタAMPから選択トランジスタSELを介してカラム処理部13(
図1)に出力される。定電流源24は、例えば、カラム処理部13に設けられている。
【0038】
選択トランジスタSELは、増幅トランジスタAMPのソースと垂直信号線23との間に接続されており、選択トランジスタSELのゲートには、選択駆動信号が供給される。選択駆動信号により選択トランジスタSELがオンされると、選択トランジスタSELは導通状態となって選択トランジスタSELが設けられている画素21が選択状態とされる。画素21が選択状態とされると、増幅トランジスタAMPから出力される画素信号VSLが垂直信号線23を介してカラム処理部13に読み出される。
【0039】
転送トランジスタTRG、リセットトランジスタRST、及び選択トランジスタSELのゲートに供給される、転送駆動信号、リセット駆動信号、及び選択駆動信号は、
図1の画素駆動配線22に対応する行信号線により、垂直駆動部12から伝送される。転送駆動信号、リセット駆動信号、及び選択駆動信号は、高レベルの状態がアクティブ状態(オンの状態)となり、低レベルの状態が非アクティブ状態(オフの状態)となるパルス信号である。
【0040】
画素21は、以上のような回路構成を有する。
【0041】
なお、
図2の回路構成は、画素アレイ部11に用いることが可能な画素回路の一例であり、他の回路構成を用いることも可能である。例えば、各画素21は、複数画素で読み出し回路を共有する共有画素構造とすることもできる。画素回路として共有画素構造が採用された場合、例えば、行方向および列方向に2画素ずつの2x2の4画素で、浮遊拡散領域FD、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMP、及び、選択トランジスタSELを共有し、フォトダイオードPDと転送トランジスタTRGを画素単位に配置する構成を採用することができる。なお、共有単位の画素数は、4画素に限られない。
【0042】
固体撮像装置1は、
図1及び
図2に示した画素アレイ部11、垂直駆動部12、カラム処理部13、水平駆動部14、システム制御部15、信号処理部16、及び、データ格納部17等の回路を、例えば、3枚の基板を積層した積層構造で実現している。
【0043】
<3.3枚積層構造例>
図3は、3枚の基板の積層構造で構成される固体撮像装置1の概略構成例を示す斜視図である。
【0044】
固体撮像装置1は、入射光の入射面側から順に、第3基板53、第1基板51、および、第2基板52の3枚の基板を積層して構成されている。第3基板53と第2基板52が第1基板51を挟んで対向して配置されている。
【0045】
第3基板53には、中央部分に、受光画素61を行列状に2次元配置した受光領域62が形成されている。受光画素61は、画素21の一部であり、例えば、
図2に示した画素回路のうち、フォトダイオードPDと転送トランジスタTRGとを含む。
【0046】
第1基板51には、第3基板53の受光領域62に対応する中央部分に、読み出し回路71を行列状に2次元配置した読み出し領域72が形成されている。読み出し回路71は、画素21の一部であり、例えば、
図2に示した画素回路のうち、浮遊拡散領域FD、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMP、及び、選択トランジスタSEL等を含む。
【0047】
また、第1基板51には、読み出し領域72より外側の領域で、四角形の第1基板51の四辺の少なくとも一辺の外周部に、パッド領域73Aが形成されている。
図3の例では、第1基板51の四辺のうちの三辺の外周部に、パッド領域73Aが形成されている。パッド領域73Aは、ワイヤボンディング等により外部装置と電気的に接続し、電源電圧や信号を入出力する電極パッドを有する。
【0048】
第2基板52には、第1基板51の読み出し領域72に対応する中央部分に、例えば、カラム処理部13、水平駆動部14、システム制御部15などが形成されている。また、第2基板52には、第1基板51のパッド領域73Aに対応する領域に、パッド領域73Bが形成されている。パッド領域73Bは、第1基板51のパッド領域73Aと電気的に接続し、第1基板51から電源電圧や信号を入出力する電極パッドを有する。
【0049】
第3基板53と第1基板51は、例えば貫通ビアやCu-Cuの金属結合等により電気的に接続されている。第1基板51と第2基板52も同様に、例えば貫通ビアやCu-Cuの金属結合等により電気的に接続されている。
【0050】
固体撮像装置1は、以上のように、第3基板53、第1基板51、および、第2基板52の3枚の基板を積層して構成することにより、画素数または画素回路が増大した場合でも、今までと同等のチップサイズで固体撮像装置1を形成することができる。あるいはまた、今までと同等の画素数または画素回路の場合には、チップサイズをより縮小した固体撮像装置1を提供することができる。
【0051】
なお、
図3で説明した各基板の回路配置はあくまで一例であり、第3基板53、第1基板51、および、第2基板52に、どの回路を配置するかは特に限定されない。例えば、
図3では図示されていない垂直駆動部12は、第1基板51に配置してもよいし、第2基板52に配置してもよい。信号処理部16、データ格納部17等についても同様である。
【0052】
次に、
図4を参照して、第3基板53、第1基板51、および、第2基板52による3枚積層構造の詳細な断面構造について説明する。
【0053】
図4は、第3基板53、第1基板51、および、第2基板52を
図3の平面81で切断した断面図である。
【0054】
固体撮像装置1は、入射光の入射面側から、第3基板53、第1基板51、および、第2基板52を、その順番で積層して構成されている。
図4において固体撮像装置1の上側が、入射光が入射される光入射面側であり、固体撮像装置1の下側が、半導体チップとしての固体撮像装置1の裏面に相当する。
図4においては、第3基板53と第1基板51との接合面と、第1基板51と第2基板52との接合面が、1点鎖線で示されている。
図4における固体撮像装置1の右端のパッド領域73は、
図3のパッド領域73A及び73Bに対応する領域である。
【0055】
第3基板53は、半導体として例えばシリコン(Si)を用いた半導体基板101を備える。半導体基板101には、光電変換素子であるフォトダイオードPDが画素単位に形成されている。図中、上側となる半導体基板101の光入射面側にはカラーフィルタ111とオンチップレンズ112が画素毎に形成されている。
図4では省略されているが、半導体基板101とカラーフィルタ111との間には平坦化膜103(
図8)が形成されている。
【0056】
光入射面側とは反対側の、図中、下側となる半導体基板101の回路形成面側には、複数層の金属配線121と絶縁層122とを含む配線層102が形成されている。
図4の例では、金属配線121の層数が3層で形成されているが、金属配線121の層数は問わない。また、配線層102の下面となる第1基板51との接合面には、複数の接合電極123が形成されている。接合電極123は、第1基板51の接合電極213と金属接合(例えばCu-Cu接合)されており、第3基板53と第1基板51を電気的に接続している。金属配線121及び接合電極123の材料としては、例えば銅(Cu)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、金(Au)などを採用することができる。本実施の形態では、金属配線121及び接合電極123は銅で形成されている。絶縁層122は、例えば、SiO2膜、Low-k膜(低誘電率絶縁膜)、SiOC膜等で形成される。絶縁層122は、異なる材料からなる複数の絶縁膜で構成されてもよい。
【0057】
第3基板53は、パッド領域73に、半導体基板101と配線層102を貫通する開口部131を有し、第1基板51のパッド領域73に形成されたパッド211Pに、ボンディングワイヤ等が接続可能とされている。
【0058】
第1基板51は、半導体として例えばシリコン(Si)を用いた半導体基板201を有する。第1基板51は、半導体基板201の第3基板53側となるおもて面側に配線層202を有するとともに、半導体基板201の第2基板52側となるうら面側に接合層203を有する。配線層202は、複数層の金属配線211と絶縁層212とを含む。
図4の例では、金属配線211の層数が5層で形成されているが、金属配線211の層数は問わない。配線層202の上面となる第3基板53との接合面には、複数の接合電極213が形成されている。接合電極213は、第3基板53の接合電極123と金属接合されており、第3基板53と第1基板51を電気的に接続している。
【0059】
第1基板51において、複数層の金属配線211のうち、第3基板53に最も近い最上層の金属配線211Cは、下層の4層の金属配線211と異なる材料で形成されている。金属配線211及び接合電極213の材料としては、例えば銅(Cu)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、金(Au)などを採用することができるが、例えば、4層の金属配線211及び接合電極213は銅で形成されており、最上層の金属配線211Cは、アルミニウムで形成されている。絶縁層212は、例えば、SiO2膜、Low-k膜(低誘電率絶縁膜)、SiOC膜等で形成される。絶縁層212は、異なる材料からなる複数の絶縁膜で構成されてもよい。最上層の金属配線211Cのうち、パッド領域73に形成されたパッド211Pが、
図3の第1基板51のパッド領域73Aに形成された電極パッドである。パッド211Pの上面は、第3基板53の開口部131とされ、露出されている。
【0060】
半導体基板201の第2基板52側となる裏面側に形成された接合層203は、絶縁層241と、複数の接合電極242とを有する。接合電極242は、第2基板52の接合電極313と金属接合されており、第1基板51と第2基板52を電気的に接続している。絶縁層241と接合電極242の材料は、絶縁層212と接合電極213と同様である。
【0061】
第1基板51の半導体基板201の所定の領域には、半導体基板201を貫通する貫通電極(TSV:Through-Silicon Via)243が複数形成されている。貫通電極243は、第3基板53側の配線層202の金属配線211と、第2基板52側の接合層203の接合電極242とを直接接続し、第1基板51の第3基板53側と第2基板52側とを電気的に接続する。半導体基板201のおもて面の界面には、ロジック回路を構成する複数のMOSトランジスタTr2が形成されている。
【0062】
第2基板52は、半導体として例えばシリコン(Si)を用いた半導体基板301と、半導体基板301の第1基板51側となるおもて面側に配線層302とを有する。半導体基板301の第1基板51側と反対の裏面側には保護膜303が形成されている。配線層302は、複数層の金属配線311と絶縁層312とを含む。
図4の例では、金属配線311の層数が6層で形成されているが、金属配線311の層数は問わない。配線層302の上面となる第1基板51との接合面には、複数の接合電極313が形成されている。接合電極313は、第1基板51の接合電極242と金属接合されており、第1基板51と第2基板52を電気的に接続している。
【0063】
第2基板52において、複数層の金属配線311のうち、第1基板51に最も近い最上層の金属配線311Cは、下層の5層の金属配線311と異なる材料で形成されている。金属配線311及び接合電極313の材料としては、例えば銅(Cu)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、金(Au)などを採用することができるが、例えば、5層の金属配線311及び接合電極313は銅で形成されており、最上層の金属配線311Cは、アルミニウムで形成されている。絶縁層312は、例えば、SiO2膜、Low-k膜(低誘電率絶縁膜)、SiOC膜等で形成される。絶縁層312は、異なる材料からなる複数の絶縁膜で構成されてもよい。最上層の金属配線311Cのうち、パッド領域73に形成されたパッド311Pが、
図3の第2基板52のパッド領域73Bに形成された電極パッドである。
【0064】
第2基板52の半導体基板301のおもて面の界面には、ロジック回路を構成する複数のMOSトランジスタTr3が形成されている。
【0065】
以上のように、固体撮像装置1は、第3基板53、第1基板51、及び、第2基板52を上下方向に積層して構成される。固体撮像装置1の外周部に形成されたパッド領域73では、第3基板53の開口部131と、第1基板51のパッド211Pと、第2基板52のパッド311Pとが、平面視で重なる領域に配置されている。
【0066】
<4.パッド領域の平面図>
図5は、第1基板51のパッド領域73Aと、第2基板52のパッド領域73Bの位置関係を示す平面図である。
【0067】
図5左側に示されるように、第1基板51では、基板外周部にパッド領域73Aが配置され、その内側に、回路領域401Aが配置されている。第2基板52では、基板外周部にパッド領域73Bが配置され、その内側に、回路領域401Bが配置されている。
図5右側に示される第1基板51と第2基板52が積層された状態において、パッド領域73Aとパッド領域73Bの重畳する領域が、固体撮像装置1のパッド領域73となっている。
【0068】
固体撮像装置1のパッド領域73には、第1基板51のパッド211Pと、第2基板52のパッド311Pの両方が形成されている第1のパッド領域と、第1基板51のパッド211Pのみが形成されている第2のパッド領域と、第2基板52のパッド311Pのみが形成されている第3のパッド領域とがある。
【0069】
第1のパッド領域の第1基板51のパッド211Pと第2基板52のパッド311Pは、例えば、第1基板51と第2基板52で共通に使用される電源電圧VDD1や信号SIG1の基板入出力端子として利用される。第2のパッド領域の第1基板51のパッド211Pは、例えば、第1基板51のみに使用される電源電圧VDD2や信号SIG2の基板入出力端子として利用される。第3のパッド領域の第2基板52のパッド311Pは、例えば、第2基板52単体評価用の基板入出力端子として利用され、積層後は利用されない。
【0070】
なお、
図5右側の第1基板51と第2基板52が積層された状態の平面図において、第1基板51のパッド211Pと、第2基板52のパッド311Pの両方が形成されている場合には、第2基板52のパッド311Pが表示されている。第1基板51のパッド211Pと、第2基板52のパッド311Pの両方が形成されている場合、
図4で示したように、第1基板51のパッド211Pと第2基板52のパッド311Pは、第1基板51に形成された複数の貫通電極243と、第1基板51に形成された接合電極242と第2基板52に形成された接合電極313とを接合した複数の金属接合等で接続されている。
【0071】
固体撮像装置1は、以上のように、第1基板51のパッド領域73Aと第2基板52のパッド領域73Bとを平面視で重なる領域として四角形の基板領域の外周部近傍に配置することで、回路領域401A及び401Bを拡大させている。
【0072】
<5.他のパッド配置の積層構造との比較>
図6は、固体撮像装置1のパッド領域73の積層構造例と比較する比較例としての固体撮像装置の積層構造断面図である。
【0073】
図6においては、
図4で示した固体撮像装置1の各部と対応する部分については同一の符号を付してあり、その部分の説明は適宜省略する。
【0074】
比較例として示す
図6の固体撮像装置401においては、第1基板51においてパッド211Pが形成されたパッド領域73A’と、第2基板52においてパッド311Pが形成されたパッド領域73B’との位置関係が固体撮像装置1と異なる。具体的には、第1基板51のパッド領域73A’と第2基板52のパッド領域73B’が平面視で重なる領域に形成されておらず、第2基板52のパッド領域73B’が、第1基板51のパッド領域73A’よりも平面方向内側(基板中心側)にずれた位置に配置されている。
【0075】
図7は、比較例である固体撮像装置401の第1基板51のパッド領域73A’と、第2基板52のパッド領域73B’の位置関係を示す平面図である。
【0076】
図7左側に示されるように、第1基板51のパッド領域73A’は、固体撮像装置1のパッド領域73Aと同様に基板外周部に配置され、その内側に回路領域401A’が配置されている。第2基板52のパッド領域73B’は、平面視で第1基板51のパッド領域73A’と重畳しない領域で、パッド領域73A’よりも内側(基板中心側)の領域に配置されている。
図7右側に示される第1基板51と第2基板52が積層された状態において、パッド領域73A’とパッド領域73B’とを含むパッド領域73’は、固体撮像装置1のパッド領域73よりも広い領域となるため、回路領域401A’及び401B’は、固体撮像装置1の回路領域401A及び401Bよりも狭い領域となっている。
【0077】
図6及び
図7の固体撮像装置401のように、第1基板51のパッド領域73A’と第2基板52のパッド領域73B’とを平面視で異なる領域に配置した場合、少なくとも第2基板52の回路領域401B’は固体撮像装置1の回路領域401Bよりも狭い領域となり、回路面積が縮小される。
【0078】
また、第1基板51のパッド211Pと第2基板52のパッド311Pとの電気的接続は、固体撮像装置1では、鉛直方向に短距離で直接接続することができるのに対して、固体撮像装置401では、金属配線211をL字状に引き回して接続する必要がある。パッド211Pと311Pが電源電圧を供給する電源パッドである場合、金属配線211の配線長が長くなることによりIR-Dropが悪化する。パッド211Pと311Pが信号を伝送する信号パッドである場合、金属配線211の配線長が長くなることにより信号遅延が悪化する。
【0079】
さらに、第1基板51のパッド領域73A’と第2基板52のパッド領域73B’とが異なる位置である場合、測定用プローブカードを共通化することができず、別々に用意する必要がある。
【0080】
これに対して、
図4及び
図5に示したように、第1基板51のパッド領域73Aと第2基板52のパッド領域73Bとを平面視で重なる領域に配置した固体撮像装置401によれば、回路領域401A及び401Bを、固体撮像装置401よりも拡大することができる。また、第1基板51のパッド211Pと第2基板52のパッド311Pとを接続するための配線引き回しが少なくなり、短距離で接続することができるため、IR-Dropを極めて小さくすることができ、信号遅延も低減することができる。第1基板51のパッド211Pと第2基板52のパッド311Pの中心座標が同一であるため、測定用プローブカードを共通化することができ、コストダウンを実現できる。
【0081】
<6.変形例>
図8は、固体撮像装置1の変形例に係る3枚積層構造の断面図である。
【0082】
図8においても、
図4に示した断面図と対応する部分については同一の符号を付してあり、共通する部分の説明は適宜省略する。
【0083】
図4では、第1基板51の半導体基板201を貫通して第1基板51のパッド211Pと第2基板52のパッド311Pとを電気的に接続する貫通電極243が、平面視で開口部131の中心部にも配置されていた。
【0084】
これに対して、
図8の変形例に係る固体撮像装置1では、1点鎖線で示される開口部131の平面中心421付近には、貫通電極243が形成されておらず、パッド211P及びパッド311Pの外周部に、複数の貫通電極243が密に形成されている。
【0085】
図9は、固体撮像装置1の変形例における複数の貫通電極243の配置を示す平面図である。
図9は、第1基板51の上方から、複数の貫通電極243と第2基板52のパッド311Pをみた図に相当する。
【0086】
第1基板51の半導体基板201を貫通する複数の貫通電極243は、平面視で、パッド211P、311Pの平面中心部には配置されず、パッド211P、311Pの外形形状に沿ってリング状に配置されている。リング状とは、中心部を貫通電極243が配置されない空き領域として、その空き領域を円形状(楕円状を含む)または多角形状(例えば、四角形)で囲む形状を意味する。仮に、パッド211P、311Pの平面中心部を含めて行列状に均等に複数の貫通電極243を配置すると、ボンディングワイヤがパッド211Pの略中央部に接続されたとき、中心部付近の複数の貫通電極243に電流が集中して流れ、電流集中によるエレクトロマイグレーションが懸念される。すなわち、中心部付近の複数の貫通電極243に、長期間、高密度の電流が流れた場合に、断線やそれに近い状態が発生するおそれがある。
図9に示されるように、パッド211P、311Pの平面中心部には貫通電極243を配置せず、外周部に近い位置にリング状に配置することで電流を分散させることができ、電流集中によるエレクトロマイグレーションを抑制することができる。また、電流集中による電磁ノイズも抑制することができる。
【0087】
また、四角形のリング状の各辺の貫通電極243の列数に関し、配線引き出し方向の辺の貫通電極243の列数が、他の方向の辺の貫通電極243の列数よりも多く配置されている。
図9の平面図において、パッド211P、311Pの下方向が、固体撮像装置1の端面であり、上方向が基板領域内側の回路領域401A、401Bがある方向とすると、パッド211P、311Pから金属配線211、311を引き出す配線引き出し方向は、上方向となる。従って、例えば
図9に示されるように、四角形のリング状の上方向の辺については貫通電極243の列数が3列とされ、左右方向の辺と下方向の辺については貫通電極243の列数が2列とされている。仮に、配線引き出し方向が上方向と右方向の2方向の場合、例えば、四角形のリング状の上方向と右方向の2辺の貫通電極243の列数が3列とされ、下方向と左方向の2辺の貫通電極243の列数が2列とされる。貫通電極243を流れる電流は、配線引き出し方向の貫通電極243に流れやすくなるため、配線引き出し方向の辺の貫通電極243の列数を、他の方向の辺の列数よりも多く配置することにより、電流集中によるエレクトロマイグレーションを抑制することができる。また、IR-Dropを軽減する効果も奏する。
【0088】
<7.パッド構造のバリエーション例>
次に、
図10ないし
図12を参照して、第1基板51のパッド211Pと、第2基板52のパッド311Pとを接続するパッド構造のバリエーションについて説明する。
図10ないし
図12においては、上述した実施の形態及び変形例と対応する部分については同一の符号を付してあり、その部分の説明は適宜省略する。
【0089】
図10のAは、
図4で示したパッド領域73のパッド構造を再掲した断面図である。
【0090】
図10のAに示される第1基板51のパッド構造は、パッド211Pの下の複数層の金属配線211を高密度で配置した構造とされている。第2基板52のパッド構造も、パッド311Pの下の複数層の金属配線311を高密度で配置した構造とされている。パッド211P及び311Pの下の複数層の金属配線211及び311を高密度に配置することにより、第1基板51のパッド211Pと、第2基板52のパッド311Pとを低抵抗で接続することができる。このような低抵抗接続を実現するパッド構造は、例えば、電源電圧を供給する電源パットに採用される。以下では、パッド下の金属配線を高密度に配置したパッド構造を標準構造と呼ぶことにする。
【0091】
図10のBは、第1のバリエーションのパッド構造を示す断面図である。
【0092】
図10のBに示される第1基板51のパッド構造は、パッド211Pの下の複数層の金属配線211を高密度で配置した標準構造とされている。一方、第2基板52のパッド構造は、パッド311Pの下の破線で示される領域451の複数層の金属配線311の密度が小さく、配線容量を低く抑えた低容量パッド構造とされている。
【0093】
図10のCは、第2のバリエーションのパッド構造を示す断面図である。
【0094】
図10のCに示される第1基板51のパッド構造は、パッド211Pの下の破線で示される領域461の複数層の金属配線211の密度を小さくした低容量パッド構造とされている。第2基板52のパッド構造も、パッド311Pの下の破線で示される領域462の複数層の金属配線311の密度を小さくした低容量パッド構造とされている。
【0095】
図10のBの第1のバリエーションと
図10のCの第2のバリエーションのパッド構造は、例えば、パッド211P及び311Pを介して伝送する信号が高速な信号で寄生容量を抑えたい場合に採用することができる。
【0096】
図11のAは、第3のバリエーションのパッド構造を示す断面図である。
【0097】
図11のAに示される第1基板51のパッド構造は、パッド211Pの下の複数層の金属配線211を高密度で配置した標準構造とされている。一方、第2基板52のパッド構造は、パッド311Pの下方の半導体基板301の領域に所定の信号処理回路を配置したCUP(Circuit under Pad)構造とされている。パッド311Pの下に配置される所定の信号処理回路としては、例えば、外部回路とのインタフェース機能を備えるIOセル(入出力セル)481などを配置することができる。第2基板52のパッド構造をCUP構造とすることにより、第2基板52のロジック回路搭載量を増やすことができる。CUP構造は、パッド211P及び311Pが、電源用のパッドまたは信号用のパッドのどちらの場合でも採用することができる。
【0098】
図11のBは、第4のバリエーションのパッド構造を示す断面図である。
【0099】
図11のBに示される第1基板51のパッド構造は、パッド211Pの下の複数層の金属配線211を高密度で配置した標準構造とされている。一方、第2基板52のパッド構造は、パッド311Pの下方の半導体基板301の領域に、トランジスタ、ダイオード、コンデンサ、抵抗などの各種のデバイス482を配置した構造とされている。例えば、電源揺れを抑えたい場合、デバイス482としてデカップリングコンデンサ(DECAP)が配置される。デバイス482としてパワーゲートトランジスタを配置してもよい。
【0100】
図12のAは、第5のバリエーションのパッド構造を示す断面図である。
【0101】
図12のAに示される第1基板51のパッド構造は、パッド211Pの下の破線で示される領域461の複数層の金属配線211の密度を小さくした低容量パッド構造とされている。一方、第2基板52のパッド構造は、パッド311Pの下の基板領域に所定の信号処理回路481を配置したCUP構造とされている。低容量パッド構造とCUP構造とを組み合わせた場合、パッド211P及び311Pを介して伝送する信号が高速な信号で、かつ、第2基板52のロジック回路搭載量を増やしたい場合や、チップサイズを最小限にしたい場合に有効である。
【0102】
図12のBは、第6のバリエーションのパッド構造を示す断面図である。
【0103】
図12のBに示される第1基板51のパッド構造は、パッド211Pの下の破線で示される領域461の複数層の金属配線211の密度を小さくした低容量パッド構造とされている。一方、第2基板52のパッド構造は、パッド311Pの下の基板領域に各種のデバイス482を配置した構造とされている。デバイス482としてパワーゲートトランジスタを配置してもよい。例えば、電源揺れを抑えたい場合、デバイス482としてデカップリングコンデンサが配置される。
【0104】
<8.本開示のパッド構造のまとめ>
本開示のパッド構造は、第1のパッド(パッド211P)と第1の半導体基板(半導体基板201)とを有する第1基板51と、第2のパッド(パッド311P)と第2の半導体基板(半導体基板301)とを有する第2基板52とを上下方向に積層して構成され、第1のパッドと第2のパッドが平面視で重なる領域に配置されている。また、第1の半導体基板を貫通して第1のパッドと第2のパッドを電気的に接続する複数の貫通電極243が、平面視でリング状に配置されている。
【0105】
固体撮像装置1は、例えば、
図2で示した画素21の回路構成を第1基板51に集約し、上述した第1基板51と第2基板52の2枚の積層構造で構成してもよい。
【0106】
あるいはまた、固体撮像装置1を、4枚の基板の積層構造で構成し、4枚の基板のうちの、互いに接合される2枚の基板に、上述した第1基板51のパッド211Pと、第2基板52のパッド311Pと、複数の貫通電極243の構成を適用してもよい。
【0107】
<9.イメージセンサの使用例>
図13は、上述の固体撮像装置1をイメージセンサとして用いた場合の使用例を示す図である。
【0108】
固体撮像装置1は、イメージセンサとして、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに使用することができる。
【0109】
・ディジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
【0110】
<10.電子機器への適用例>
本開示の技術は、固体撮像装置への適用に限られるものではない。即ち、本開示の技術は、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置や、撮像機能を有する携帯端末装置や、画像読取部に固体撮像装置を用いる複写機など、画像取込部(光電変換部)に固体撮像装置を用いる電子機器全般に対して適用可能である。固体撮像装置は、ワンチップとして形成された形態であってもよいし、撮像部と信号処理部または光学系とがまとめてパッケージングされた撮像機能を有するモジュール形態であってもよい。
【0111】
図14は、本開示の技術を適用した電子機器としての、撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【0112】
図14の撮像装置1000は、レンズ群などからなる光学部1001、
図1の固体撮像装置1の構成が採用される固体撮像装置(撮像デバイス)1002、およびカメラ信号処理回路であるDSP(Digital Signal Processor)回路1003を備える。また、撮像装置1000は、フレームメモリ1004、表示部1005、記録部1006、操作部1007、および電源部1008も備える。DSP回路1003、フレームメモリ1004、表示部1005、記録部1006、操作部1007および電源部1008は、バスライン1009を介して相互に接続されている。
【0113】
光学部1001は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで固体撮像装置1002の撮像面上に結像する。固体撮像装置1002は、光学部1001によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。この固体撮像装置1002として、上述した固体撮像装置1、即ち、第3基板53、第1基板51、及び、第2基板52を上下方向に積層して構成され、第3基板53の開口部131と、第1基板51のパッド211Pと、第2基板52のパッド311Pとが、平面視で重なる領域に形成された固体撮像装置を用いることができる。
【0114】
表示部1005は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の薄型ディスプレイで構成され、固体撮像装置1002で撮像された動画または静止画を表示する。記録部1006は、固体撮像装置1002で撮像された動画または静止画を、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録する。
【0115】
操作部1007は、ユーザによる操作の下に、撮像装置1000が持つ様々な機能について操作指令を発する。電源部1008は、DSP回路1003、フレームメモリ1004、表示部1005、記録部1006および操作部1007の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
【0116】
上述したように、固体撮像装置1002として、上述した固体撮像装置1を用いることで、回路領域を広く確保し、IR-Dropや信号遅延を低減することができる。また、電流集中によるエレクトロマイグレーションを抑制することができ、製品品質の信頼性を向上させることができる。ビデオカメラやデジタルスチルカメラ、さらには携帯電話機等のモバイル機器向けカメラモジュールなどの撮像装置1000においても、小型化及び撮像画像の高画質化を図ることができる。
【0117】
<11.光検出装置全般への適用>
上述した例では、本開示の技術を、画像信号を出力する固体撮像装置へ適用した例について説明したが、本開示の技術は、固体撮像装置だけではなく、入射光を受光して光電変換する画素を備える光検出装置全般に適用することができる。例えば、アクティブ光として照射された赤外光を受光し、direct ToF方式またはindirect ToF方式により被写体までの距離を測定する測距システムの受光装置(測距センサ)にも適用することができる。また、CMOS型の固体撮像装置に限らず、CCD(Charge Coupled Device)型の固体撮像装置にも適用することができる。
【0118】
<12.移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0119】
図15は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0120】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図15に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0121】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0122】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0123】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0124】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0125】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0126】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0127】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0128】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0129】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図15の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0130】
図16は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0131】
図16では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0132】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0133】
なお、
図16には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0134】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0135】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0136】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0137】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0138】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、撮像部12031として、上述した固体撮像装置1を適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、小型化しつつも、より見やすい撮影画像を得ることができたり、距離情報を取得することができる。また、得られた撮影画像や距離情報を用いて、ドライバの疲労を軽減したり、ドライバや車両の安全度を高めることが可能になる。
【0139】
また、本開示は、可視光の入射光量の分布を検知して画像として撮像する固体撮像装置への適用に限らず、赤外線やX線、あるいは粒子等の入射量の分布を画像として撮像する固体撮像装置や、広義の意味として、圧力や静電容量など、他の物理量の分布を検知して画像として撮像する指紋検出センサ等の固体撮像装置(物理量分布検知装置)全般に対して適用可能である。
【0140】
また、本開示の技術は、固体撮像装置に限らず、他の半導体集積回路を有する半導体装置全般に対して適用可能である。
【0141】
本開示の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0142】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、本明細書に記載されたもの以外の効果があってもよい。
【0143】
なお、本開示の技術は、以下の構成を採用することができる。
(1)
第1のパッドと第1の半導体基板とを有する第1基板と、
第2のパッドと第2の半導体基板とを有する第2基板とを上下方向に積層して構成され、
前記第1の半導体基板を貫通して前記第1のパッドと前記第2のパッドを電気的に接続する複数の貫通電極が、平面視でリング状に配置されている
固体撮像装置。
(2)
前記貫通電極は、四角形のリング状に複数列配置され、
前記四角形の各辺のうち、配線引き出し方向の辺の前記貫通電極の列数が、他の方向の辺の前記貫通電極の列数よりも多く配置されている
前記(1)に記載の固体撮像装置。
(3)
前記第1のパッドと前記第2のパッドは、前記複数の貫通電極と、前記第1基板と前記第2基板とを接合する金属接合とを介して電気的に接続されている
前記(1)または(2)に記載の固体撮像装置。
(4)
前記第1のパッドと前記第2のパッドは、平面視で重なる領域に配置されている
前記(1)ないし(3)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(5)
前記第1基板は、複数の前記第1のパッドを配置した第1パッド領域を有し、
前記第2基板は、複数の前記第2のパッドを配置した第2パッド領域を有し、
前記第1パッド領域と前記第2パッド領域が平面視で重なる領域である
前記(1)ないし(4)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(6)
前記第2基板は、前記第2のパッドと前記第2の半導体基板との間に、複数層の金属配線と絶縁層とを有する
前記(1)ないし(5)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(7)
前記第2基板は、前記第2のパッドの下方の前記第2の半導体基板の領域に所定の信号処理回路を有する
前記(1)ないし(6)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(8)
前記第2基板は、前記第2のパッドの下方の前記第2の半導体基板の領域に所定のデバイスを有する
前記(1)ないし(7)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(9)
前記第1基板の前記第2基板側と反対側に、光電変換部を有する半導体基板である受光基板をさらに積層して構成され、
前記受光基板の開口部と、前記第1基板の前記第1のパッドと、前記第2基板の前記第2のパッドとが平面視で重なる領域に配置されている
前記(1)ないし(8)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(10)
第1のパッドと第1の半導体基板とを有する第1基板と、
第2のパッドと第2の半導体基板とを有する第2基板とを上下方向に積層して構成され、
前記第1の半導体基板を貫通して前記第1のパッドと前記第2のパッドを電気的に接続する複数の貫通電極が、平面視でリング状に配置されている
固体撮像装置
を備える電子機器。
【符号の説明】
【0144】
1 固体撮像装置, 11 画素アレイ部, 21 画素, 51 第1基板, 52 第2基板, 53 第3基板, 61 受光画素, 62 受光領域, 71 読み出し回路, 72 読み出し領域, 73,73A,73B パッド領域, 101 半導体基板, 102 配線層, 121 金属配線, 122 絶縁層, 123 接合電極, 131 開口部, 201 半導体基板, 202 配線層, 203 接合層, 211 金属配線, 211C 金属配線, 211P パッド, 212 絶縁層, 213 接合電極, 241 絶縁層, 242 接合電極, 243 貫通電極, 301 半導体基板, 302 配線層, 303 保護膜, 311 金属配線, 311C 金属配線, 311P パッド, 312 絶縁層, 313 接合電極, 481 処理回路, 482 デバイス, 1000 撮像装置, 1002 固体撮像装置