(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167773
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】検査カメラ装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/84 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
G01N21/84 E
G01N21/84 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084083
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】島野 健
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB03
2G051BA01
2G051BB01
2G051CA04
2G051CA11
2G051CB05
2G051CD03
(57)【要約】
【課題】カメラが検査する視野範囲をカバーできる面発光照明光源を用いて、検査対象物の表面状態によらず、検査面の欠陥の視認性を良好にできると共に、面発光照明光源を小形化する。
【解決手段】検査カメラ装置は、検査対象物を、撮像レンズを用いてカメラのイメージセンサに結像するカメラ光学系を備える。また、前記検査対象物の表面で拡散されて前記撮像レンズに入射する光を生成する拡散照明光源と、検査対象物の表面で反射されて前記撮像レンズに入射する光を生成する面発光拡散照明光源を備え、前記面発光拡散照明光源を、前記撮像レンズよりも前記検査対象物に近い位置で、カメラの視野範囲をカバーする光路と干渉しない位置に配置している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物を、撮像レンズを用いてカメラのイメージセンサに結像するカメラ光学系を備える検査カメラ装置であって、
前記検査対象物の表面で拡散されて前記撮像レンズに入射する光を生成する拡散照明光源と、
検査対象物の表面で反射されて前記撮像レンズに入射する光を生成する面発光拡散照明光源を備え、
前記面発光拡散照明光源を、前記撮像レンズよりも前記検査対象物に近い位置で、カメラの視野範囲をカバーする光路と干渉しない位置に配置していることを特徴とする検査カメラ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検査カメラ装置であって、
前記面発光拡散照明光源は、前記カメラの先端に具備された撮像レンズよりも光路長として前記検査対象物の検査面に近い位置で、前記カメラの視野を遮らず、且つ前記検査対象物からの反射光が前記カメラの視野範囲を覆う大きさに構成されていることを特徴とする検査カメラ装置。
【請求項3】
請求項1に記載の検査カメラ装置であって、
前記拡散照明光源の輝度と前記面発光拡散照明光源の輝度の比を調整する輝度調整装置を備えることを特徴とする検査カメラ装置。
【請求項4】
請求項1に記載の検査カメラ装置であって、
前記面発光拡散照明光源を前記カメラと一体化していることを特徴とする検査カメラ装置。
【請求項5】
請求項4に記載の検査カメラ装置であって、
前記面発光拡散照明光源は、前記カメラに取り付けた保持部材を介して前記カメラに固定されていることを特徴とする検査カメラ装置。
【請求項6】
請求項5に記載の検査カメラ装置であって、
前記保持部材は、前記カメラの撮像レンズよりも前記検査対象物側まで延び、この保持部材の先端側に前記面発光拡散照明光源が固定されていることを特徴とする検査カメラ装置。
【請求項7】
請求項1に記載の検査カメラ装置であって、
前記拡散照明光源を前記カメラと一体化していることを特徴とする検査カメラ装置。
【請求項8】
請求項1に記載の検査カメラ装置であって、
前記撮像レンズと前記検査対象物との間の前記光路の途中に反射ミラーを配設し、前記反射ミラーは取付部材を介して前記カメラに取り付けられて、前記検査対象物からの光を前記撮像レンズに向けて反射させるものであることを特徴とする検査カメラ装置。
【請求項9】
請求項8に記載の検査カメラ装置であって、
前記拡散照明光源は前記反射ミラーにおける前記取付部材側とは反対側に固定手段を介して取り付けられていることを特徴とする検査カメラ装置。
【請求項10】
請求項8に記載の検査カメラ装置であって、
前記面発光拡散照明光源は、パネルの上に敷き詰められたテープ状LED発光光源と、前記テープ状LED発光光源の前方に間隔保持部材を介して配設された拡散板を備え、前記パネルを前記カメラに取り付けていることを特徴とする検査カメラ装置。
【請求項11】
請求項1に記載の検査カメラ装置であって、
前記面発光拡散照明光源は、傘状に開閉できる傘状の拡散部材と、この傘状の拡散部材を広げた状態でその全面に光を照射できる照明光源を備えていることを特徴とする検査カメラ装置。
【請求項12】
請求項1に記載の検査カメラ装置であって、
前記面発光拡散照明光源は、扇子状に開閉できる扇子状の拡散部材と、この扇子状の拡散部材を広げた状態でその全面に光を照射できる照明光源と、前記拡散部材を閉じた状態で前記カメラの長手方向に沿って倒せる傾動機構を備えることを特徴とする検査カメラ装置。
【請求項13】
請求項8に記載の検査カメラ装置であって、
前記面発光拡散照明光源は、蛇腹状のテープ状LED発光光源と、このテープ状LED発光光源の前方に配置される蛇腹状の拡散部材と、前記テープ状LED発光光源と前記拡散部材の上下に設けられ、前記テープ状LED発光光源と前記拡散部材を開閉するマジックハンド機構を備えることを特徴とする検査カメラ装置。
【請求項14】
請求項8に記載の検査カメラ装置であって、
前記面発光拡散照明光源は、後方側に配置されるテープ状LED発光光源と、このテープ状LED発光光源の前方側に配置される拡散部材と、前記テープ状LED発光光源と前記拡散部材を張るため2つのフレームと、2つの前記フレームの背面側を接続する伸縮自在の連結部材と、前記フレームの何れかの後方側に設けられ、テープ状LED発光光源を巻き取る巻き取り機構と、前記フレームの何れかの前方側に設けられ、前記拡散部材をを巻き取る巻き取り機構を備えることを特徴とする検査カメラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラを用いて遠隔により構造物(検査対象物)表面の亀裂等の有無を目視検査する検査カメラ装置に関し、特に、原子炉における炉内構造物を目視検査するものに好適なものである。
【背景技術】
【0002】
東日本大震災による福島第1原発事故以降、多くの国内原子力発電所が運転を停止しているが、今後のエネルギー生産の脱炭素化の流れを受けて、徐々に再稼働の流れが加速するものと見られる。原子炉の安全な運用のためには、定期点検や特別点検における遠隔目視点検はますます重要であり、検査箇所の増加や熟練作業員が減少する中、検査カメラ装置の操作上の効率化や視認性のさらなる向上が求められている。
【0003】
例えば、特開2022-1844号公報(特許文献1)には、原子炉などの容器の内壁の検査に用いられる照明装置および検査装置が記載され、この装置では、検査面に鏡面と粗面が混在する場合においても、検査面における亀裂などの視認性を向上させるため、明視野照明と暗視野照明の輝度をバランスさせることが述べられている。
【0004】
また、特開2012―78145号公報(特許文献2)のものには、検査対象物と撮像手段の間にホログラムを配置し、ホログラムの撮像手段側の面に照明光源から平行光を照射し、ホログラムで回折される光が検査対象物の検査面で反射し、撮像手段に入射するようにして、光沢のある表面の検査を行う表面光沢物の検査装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-1844号公報
【特許文献2】特開2012―78145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のものでは、明視野照明として、検査面を鏡面とする面発光照明の鏡像が、カメラの検査する視野範囲を覆うように、前記面発光照明を配置し、暗視野照明として、カメラの視野の外から検査面で拡散してカメラに入射するように拡散照明を配置している。
【0007】
これら2つの照明の輝度を、検査面上の拡散面(粗面)の輝度と反射面(鏡面)の輝度がバランスするように調整することにより、検査面上の粗面と鏡面は同じ輝度となって、その境界は視認できなくなり、反射光、拡散光とも輝度が低下する亀裂だけが視認できるようになる。
しかし、前記面発光照明はカメラの視野を覆う大きさが必要となるため、そのサイズが大きくなってしまう課題がある。
【0008】
特許文献2では、面発光照明としてホログラムを用いているため、回折効率を高くするには光源の波長域を狭くする必要があり、検査対象物を検査員が検査する上で自然な白色光で照明することができなくなる。また、白色光で照明できるようにすると、回折効率が低下すると共に、波長によって回折角が異なることから色ずれも生じる。さらに、被写体で反射してカメラ(撮像手段)に入射する光がホログラムを透過する必要があり、このため透過率が低下する問題もある。また、ホログラムをカメラから離して別々に保持する必要があり、原子炉における炉内構造物を目視検査するような場合には、ホログラムとカメラをそれぞれ別々に保持する作業員が必要になると共に、相対的な位置の不確定性から照明条件を一様に保つことは難しい。
【0009】
本発明の目的は、カメラが検査する視野範囲をカバーできる面発光照明光源を用いて、検査対象物の表面状態によらず、検査面の欠陥の視認性を良好にできると共に、面発光照明光源を小形化することのできる検査カメラ装置を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、検査対象物を、撮像レンズを用いてカメラのイメージセンサに結像するカメラ光学系を備える検査カメラ装置であって、前記検査対象物の表面で拡散されて前記撮像レンズに入射する光を生成する拡散照明光源と、検査対象物の表面で反射されて前記撮像レンズに入射する光を生成する面発光拡散照明光源を備え、前記面発光拡散照明光源を、前記撮像レンズよりも前記検査対象物に近い位置で、カメラの視野範囲をカバーする光路と干渉しない位置に配置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カメラが検査する視野範囲をカバーできる面発光照明光源を用いて、検査対象物の表面の状態によらず、検査面の欠陥の視認性を良好にできると共に、面発光照明光源を小形化することのできる検査カメラ装置を得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】検査カメラ装置の使用形態の一例を示す全体図。
【
図2】
図1におけるシュラウド内の構成を拡大して示す斜視図。
【
図3】本発明の検査カメラ装置の実施例1を示す模式的正面図。
【
図4】本発明の検査カメラ装置の実施例2を示す模式的正面図。
【
図5】本発明の検査カメラ装置の参考例を示す模式的斜視図。
【
図6】本発明の検査カメラ装置の実施例3を示す模式的斜視図。
【
図7A】本発明の検査カメラ装置の実施例4を示す模式的斜視図で、面発光拡散照明を開いた状態を示す図。
【
図7B】本発明の検査カメラ装置の実施例4を示す模式的斜視図で、面発光拡散照明を閉じた状態を示す図。
【
図8A】本発明の検査カメラ装置の実施例5を示す模式的斜視図で、面発光拡散照明を開いた状態を示す図。
【
図8B】本発明の検査カメラ装置の実施例5を示す模式的斜視図で、面発光拡散照明を閉じた状態を示す図。
【
図8C】本発明の検査カメラ装置の実施例5を示す模式的斜視図で、検査カメラ装置の搬送時の状態を示す図。
【
図9A】本発明の検査カメラ装置の実施例6を示す模式的斜視図で、面発光拡散照明を開いた状態を示す図。
【
図9B】本発明の検査カメラ装置の実施例6を示す模式的斜視図で、面発光拡散照明を閉じた状態を示す図。
【
図10A】本発明の検査カメラ装置の実施例7示す模式的斜視図で、面発光拡散照明を開いた状態を示す図。
【
図10B】本発明の検査カメラ装置の実施例7を示す模式的斜視図で、面発光拡散照明を閉じた状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の検査カメラ装置の具体的実施例を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示している。
【実施例0014】
本発明の検査カメラ装置の具体的実施例を
図1~
図3を用いて説明する。
図1は検査カメラ装置の使用形態の一例を示す全体図、
図2は
図1におけるシュラウド内の構成を拡大して示す斜視図、
図3は本発明の検査カメラ装置の実施例1を示す模式的正面図である。
まず、
図1及び
図2を用いて、本発明の検査カメラ装置が使用される一例としての一般的な炉内構造物の検査における使用形態について説明する。
【0015】
図1は、原子炉圧力容器(以下、圧力容器ともいう)1の頂部にある原子炉密封用のヘッドが取り外された状態を示しており、圧力容器1の上には、原子炉ウェル2が設けられている。また、原子炉ウェル2の上には、燃料取扱機を取り付けたり、作業員が炉内構造物の検査を行うときに使用される台車3等が設置される床(燃料交換プラットホーム)4が設けられている。圧力容器1の内部領域には筒状の炉心シュラウド(以下、シュラウドともいう)5が収容され、このシュラウド5により炉心領域が形成されている。
【0016】
図2に示すように、前記炉心領域には多数の燃料集合体を装荷するための炉心支持板6および上部格子板7が設置されている。8は制御棒ガイドチューブである。
図1、
図2により、炉内構造物の状態を検査するための検査カメラ装置の操作について説明する。前記床4から作業員は、検査カメラ装置10としてのカメラ(水中カメラ)11及び照明装置12を、それぞれケーブル13を介して吊下げ、圧力容器1の水中に吊り下ろす。そして、カメラ11及び照明装置12を、上部格子板7を通過させた後、炉内構造物の検査対象箇所を撮像できるように適切に配置する。この例では、モニタカメラ14も設置しているが、モニタカメラ14は検査カメラ装置10としては必ずしも必要なものではない。なお、前記ケーブル13の操作だけではカメラ11の姿勢を適切に調整できない場合には姿勢調整用ロープ等も併用する。
【0017】
次に、前記検査カメラ装置10に対応する本発明の検査カメラ装置100の実施例1を、
図3を用いて説明する。
図3において、101はカメラ、102はカメラケーブルで、カメラ101はカメラケーブル102を介して上方から吊り下げられており、カメラ101の撮像レンズ101aの前側(
図3では下側)には反射ミラー103が取付部材104を介して前記カメラ101に固定されている。前記反射ミラー103の前記カメラ101に対する角度は、手動または遠隔から調整可能に構成されている。
【0018】
前記反射ミラー103における前記取付部材104とは反対側の端部には別の取付部材(図示せず)を介して拡散照明光源105が固定されている。また、前記カメラ101には保持部材(図示せず)を介して面発光拡散照明光源106も取り付けられている。107は検査対象となる炉内構造物などの検査対象物であり、この検査対象物107の検査面を前記カメラで撮影し、前記カメラケーブル102を介して地上に設置した表示装置(図示せず)等に撮影画像を表示して、前記検査対象物107の検査面の状態を観察する。
【0019】
前記検査対象物107の検査面は、光が正反射する鏡面領域と、光が乱反射する粗面領域を有しているものとして以下説明する。
前記面発光拡散照明光源106の表面から拡散される光は、前記検査対象物107の検査面の鏡面領域で反射され、反射ミラー103でも反射してカメラ101の先端に設けられた撮像レンズ101aを通してカメラ101に入射する。
【0020】
また、前記拡散照明光源105から照明された光は、カメラ101の視野範囲の検査面を照明し、検査面の前記粗面領域で散乱された光(乱反射光、拡散光)が、面発光拡散照明光源106から照明された反射光(正反射光)と重なって、反射ミラー103で反射し、前記撮像レンズ101aを通してカメラ101に入射する。
【0021】
前記正反射光及び前記乱反射光のいずれの光も、前記撮像レンズ101aにより、前記検査面がカメラ101に内蔵されたイメージセンサ(図示せず)に結像されるように集光される。
【0022】
前記拡散照明光源105の輝度と、前記面発光拡散照明光源106の輝度はそれぞれ遠隔で調整される。本実施例では、前記検査対象物107の検査面上の粗面領域と鏡面領域の輝度が、イメージセンサからの出力画像上で略一致するように、前記拡散照明光源105と前記面発光拡散照明光源106の輝度が調整される。
【0023】
このように構成することにより、前記検査対象物107の検査面上の粗面領域と鏡面領域の境界が見えなくなり、亀裂などの欠陥だけが観察できるようになる。即ち、前記検査面には、粗面領域(拡散面)、鏡面領域及び亀裂などの欠陥が混在しているが、拡散照明光源105と面発光拡散照明光源106の輝度が出力画像上で略一致する(明るさがほぼ同じになる)ように調整することにより、亀裂などの欠陥を明瞭に観察することが可能になる。つまり、亀裂などの欠陥は、反射光も暗く、拡散光も暗くなる性質があるため、亀裂などの欠陥の部分だけが暗くなることから、欠陥を明瞭に観察できる。
【0024】
また、本実施例では、前記面発光拡散照明光源106を、前記撮像レンズよりも前記検査対象物107に近い位置で、カメラ101の視野範囲をカバーする光路と干渉しない位置(前記光路の外側)に配置している。具体的には、前記面発光拡散照明光源106を、カメラ101の先端に具備された撮像レンズ101aよりも光路長として前記検査対象物107の検査面に近い位置で、カメラ101の視野を遮らず、且つ検査対象物107からの反射光がカメラ101の視野範囲Fを覆う大きさに構成している。このように構成することにより、カメラ101の視野範囲Fを遮らない範囲で、面発光拡散照明光源106を検査面における視野範囲Fに近づけることができるので、面発光拡散照明光源106のサイズ(大きさ)をほぼ最小にすることが可能になる。
【0025】
従来のように、前記面発光拡散照明光源106を、カメラ101の撮像レンズ101aよりも光路長として検査面から遠い位置に配置すると、検査面から離れるほど面発光拡散照明光源106のサイズを大きくしないと、検査面からの反射光がカメラ101の視野範囲Fを覆う大きさにすることはできなくなる。このため、面発光拡散照明光源106が大形化する。従って、上述した本実施例1の構成とすることにより、面発光拡散照明光源106を最小化することが可能となる。
【0026】
また、本実施例1では、反射ミラー103を用いているため、カメラ101をより高い位置で下向きに設置できるから、カメラ101と面発光拡散照明光源106を近づけることができる。従って、面発光拡散照明光源106をカメラ101に直接取り付けることも可能になるから、検査カメラ装置100をより小形化することも可能になる。
【0027】
以上説明したように、本実施例1の検査カメラ装置によれば、拡散照明光源と面発光拡散照明光源を備え、面発光拡散照明光源を、撮像レンズよりも検査対象物に近い位置で、カメラの視野範囲をカバーする光路と干渉しない位置に配置しているので、以下の効果が得られる。即ち、カメラが検査する視野範囲Fをカバーできる面発光照明光源を用いて、検査対象物の表面(検査面)の状態によらず、検査面の欠陥(亀裂)の視認性を良好にできると共に、面発光照明光源を小形化することもできる。
【0028】
また、検査カメラ装置全体を小形化できることから、検査対象物へのカメラの遠隔挿入時や回収時に、その経路に狭隘箇所があっても、挿入回収を容易に行うことも可能となる。特に、原子炉圧力容器内を遠隔目視点検する場合、検査カメラ装置の検査対象となる炉内構造物であるシュラウドや炉心支持板の周溶接部などへの遠隔挿入や回収を、狭隘箇所があっても容易に行うことができる。
【0029】
さらに、面発光拡散照明光源や拡散照明光源をカメラと一体化し、面発光拡散照明光源と拡散照明光源の輝度のバランスを調整する輝度調整装置(図示せず)を備えることにより、検査対象物の検査面の状態によらず、検査面の欠陥(亀裂)の視認性を良好にすることができる。
なお、前記保持部材202を短くする、あるいは面発光拡散照明光源106を直接カメラ101に取り付けることを考えると、同じ観察距離、同じ視野範囲を実現するためには、やや姿勢を調整した上で、面発光拡散照明光源106を大きくしなければならない。