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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167777
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】現像ローラの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20241127BHJP
   F16C 13/00 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
G03G15/08 235
F16C13/00 B
F16C13/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084093
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125184
【弁理士】
【氏名又は名称】二口 治
(74)【代理人】
【識別番号】100188488
【弁理士】
【氏名又は名称】原谷 英之
(72)【発明者】
【氏名】小坂 俊介
【テーマコード(参考)】
2H077
3J103
【Fターム(参考)】
2H077AD06
2H077FA03
2H077FA12
2H077FA16
2H077FA22
2H077FA25
3J103AA02
3J103AA13
3J103AA14
3J103AA23
3J103BA31
3J103BA41
3J103FA02
3J103FA14
3J103GA02
3J103GA57
3J103GA58
3J103GA60
3J103HA03
3J103HA20
3J103HA53
3J103HA54
(57)【要約】
【課題】導電性弾性層の表面へのクラックの発生を抑制することができる現像ローラの製造方法を提供する。
【解決手段】現像ローラの製造方法は、導電性軸芯体と、前記導電性軸芯体の外周面上に設けられた導電性弾性層とを有する現像ローラの製造方法であって、前記導電性弾性層を構成するゴムチューブに、前記導電性軸芯体を圧入し、前記導電性軸芯体の外周上に前記導電性弾性層を設ける圧入工程と、無酸素雰囲気下で、前記導電性弾性層の表面にキセノンエキシマ紫外線を照射して、前記導電性弾性層の表面に酸化膜を形成する酸化膜形成工程を有することを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性軸芯体と、前記導電性軸芯体の外周面上に設けられた導電性弾性層とを有する現像ローラの製造方法であって、
前記導電性弾性層を構成するゴムチューブに、前記導電性軸芯体を圧入し、前記導電性軸芯体の外周上に前記導電性弾性層を設ける圧入工程と、
無酸素雰囲気下で、前記導電性軸芯体の外周面上に設けられた前記導電性弾性層の表面にキセノンエキシマ紫外線を照射して、前記導電性弾性層の表面に酸化膜を形成する酸化膜形成工程を有することを特徴とする現像ローラの製造方法。
【請求項2】
前記圧入工程と前記酸化膜形成工程との間に、
前記導電性弾性層の表面を研磨し、前記導電性弾性層の厚さを2mm以下に調整する研磨工程を有する請求項1に記載の現像ローラの製造方法。
【請求項3】
前記酸化膜形成工程における無酸素雰囲気下が、窒素雰囲気下である請求項1に記載の現像ローラの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像ローラの製造方法に関し、特に導電性弾性層の表面への酸化膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザープリンタ、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、あるいはこれらの複合機等の電子写真法を利用した画像形成装置においては、帯電させた感光体の表面を露光して当該表面に形成される静電潜像をトナー像に現像するために、現像ローラが使用される。このような現像ローラには、例えば、導電性軸芯体と、この導電性軸芯体の外側面に形成された導電性弾性層とを有する、いわゆる導電ローラが用いられている。
【0003】
また、現像ローラは、表面の摩擦係数を低減することで、感光体との摩擦抵抗が低下し、かつ、搬送するトナーへの負荷を低くすることができ、印刷枚数が増加しても画像むらの発生を抑制できることが知られている。そこで、現像ローラの導電性弾性層の表面に低圧水銀ランプを用いて紫外線を照射し、導電性弾性層の硬度を高めて摩擦係数を低下させることが提案されている。例えば、特許文献1には、現像ローラに低圧水銀ランプを用いて紫外線を照射するための紫外線照射方法が記載されている(特許文献1(段落0029~0031)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-23220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現像ローラは、チューブ状に形成した導電性弾性層に導電性軸芯体を圧入することで製造されるため、導電性弾性層の外表面は、周方向に引き延ばされている。そのため、この状態で、低圧水銀ランプの紫外線(波長185nm、254nm)を照射すると、導電性弾性層の表面にクラックが入りやすくなる傾向があった。そして、導電性弾性層の表面にクラックが発生すると、現像ローラとして使用した際に画像不良の原因となる。
【0006】
また、現像ローラは、連続使用すると感光体との摩擦等によって発熱するが、現像ローラ表面が高温になると、現像ローラ上のトナーが溶けて固まり、印刷物に悪影響を与えてしまうことがある。ここで、現像ローラでは、導電性弾性層の熱伝導率よりも導電性軸芯体の熱伝導率の方が高いことから、導電性軸芯体の外径を大きくし、導電性弾性層の厚さを薄くすることで、現像ローラの熱伝導性を向上させ、発熱を抑制することが考えられる。しかし、薄肉化された導電性弾性層に、低圧水銀ランプの紫外線を照射すると、導電性弾性層の表面に一層クラックが入りやすくなる傾向があった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、導電性弾性層の表面へのクラックの発生を抑制することができる現像ローラの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決することができた本発明の現像ローラの製造方法は、導電性軸芯体と、前記導電性軸芯体の外周面上に設けられた導電性弾性層とを有する現像ローラの製造方法であって、前記導電性弾性層を構成するゴムチューブに、前記導電性軸芯体を圧入し、前記導電性軸芯体の外周上に前記導電性弾性層を設ける圧入工程と、無酸素雰囲気下で、前記導電性軸芯体の外周面上に設けられた導電性弾性層の表面にキセノンエキシマ紫外線を照射して、前記導電性弾性層の表面に酸化膜を形成する酸化膜形成工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の製造方法によれば、導電性弾性層の表面に酸化膜を形成する際に、導電性弾性層の表面へのクラックの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】現像ローラの一例の、全体の外観を示す斜視図。
図2図1の現像ローラの端面図。
図3】現像ローラの他の例の、全体の外観を示す斜視図。
図4図3の現像ローラの端面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の現像ローラの製造方法は、導電性軸芯体と、前記導電性軸芯体の外周面上に設けられた導電性弾性層とを有する現像ローラの製造方法であって、前記導電性弾性層を構成するゴムチューブに、前記導電性軸芯体を圧入し、前記導電性軸芯体の外周上に前記導電性弾性層を設ける圧入工程と、無酸素雰囲気下で、前記導電性弾性層の表面にキセノンエキシマ紫外線を照射して、前記導電性弾性層の表面に酸化膜を形成する酸化膜形成工程を有することを特徴とする。
【0012】
導電性弾性層の表面に酸化膜を形成する際に、無酸素雰囲気下で、キセノンエキシマ紫外線(波長172nm)を照射することで、酸素由来のオゾンが発生せず、かつ、紫外線照射時間を短くすることができ、導電性弾性層の表面クラックの発生を抑制できる。
【0013】
(現像ローラ)
本発明の現像ローラの製造方法は、導電性軸芯体と、前記導電性軸芯体の外周面上に設けられた導電性弾性層とを有する現像ローラの製造方法である。
前記現像ローラは、レーザープリンタ、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、およびこれらの複合機等の電子写真法を利用した各種の画像形成装置に組み込んで用いることができる。
【0014】
図1~4を参照し、前記現像ローラの実施態様の一例を説明する。図1は、現像ローラの一例の全体の外観を示す斜視図である。図2は、図1の現像ローラの側面図である。図3は、現像ローラの他の例の全体の外観を示す斜視図である。図4は、図3の現像ローラの側面図である。
【0015】
図1、2に示した現像ローラ1は、導電性軸芯体2と、前記導電性軸芯体2の外周面上に設けられた導電性弾性層3とを有する。前記導電性弾性層3はゴム組成物から形成されており、円筒状に形成されている。前記導電性弾性層3の中心の通孔4には導電性軸芯体2が圧入されて固定されている。また、前記導電性弾性層3は、図2中に拡大して示したように、外周面に酸化膜5が形成されている。
【0016】
図3に示した現像ローラ11は、導電性軸芯体12と、前記導電性軸芯体12の外周上に設けられた導電性弾性層13とを有する。前記導電性弾性層13はゴム組成物から形成されており、円筒状に形成されている。前記導電性軸芯体12は外周面上に導電性中間層16を有している。前記導電性弾性層13の中心の通孔14には導電性中間層16を有する導電性軸芯体12が圧入されて固定されている。また、前記導電性弾性層13は、図4中に拡大して示したように、外周面に酸化膜15が形成されている。
【0017】
(導電性軸芯体)
前記導電性軸芯体は、少なくとも表面が導電性を有し、現像ローラの支持体として機能するものであれば特に限定されない。前記導電性軸芯体としては、金属製軸芯体が挙げられ、金属製軸芯体を構成する金属としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等が挙げられる。
【0018】
前記導電性軸芯体は、外周面上に導電性中間層が形成されていてもよい。前記導電性中間層としては、ゴム組成物から形成された中実層、ゴム組成物から形成された多孔質層(発泡層)が挙げられる。
【0019】
(導電性弾性層)
前記導電性弾性層は、導電性弾性層を構成するゴムチューブの通孔の内径よりも外径の大きい導電性軸芯体を通孔に圧入することで、導電性軸芯体と電気的に接合されるとともに機械的に固定される。
【0020】
(ゴム組成物)
前記導電性弾性層および前記導電性中間層は、ゴム組成物から形成されており、弾性を有する層であり、導電性を有する。前記ゴム組成物としては、基材ゴム、導電材、および、加硫剤を含有するゴム組成物が挙げられる。
【0021】
前記基材ゴムの種類は特に限定されず、従来現像ローラに用いられるゴムが使用できる。前記基材ゴムとしては、ジエン系ゴム、エピクロルヒドリンゴム、エチレン-αオレフィン-ジエン共重合体等が挙げられる。これらの基材ゴムは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
前記ジエン系ゴムは、ゴム組成物に良好な加工性を付与し、基層の機械的強度や耐久性を向上させる。前記ジエン系ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)等が挙げられる。
【0023】
前記イソプレンゴムとしては、天然ゴムの構造を人工的に再現した、ポリイソプレン構造を有する種々のイソプレンゴムがいずれも使用可能である。またイソプレンゴムとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、本発明では、感光体の汚染を防止するために、ブリード物質となりうる伸展油を含まない非油展タイプのイソプレンゴムが好ましい。
【0024】
また、前記イソプレンゴムとしては、室温(20℃)において液状である液状イソプレンゴムを用いてもよい。液状イソプレンゴムは、架橋前は低分子量で、室温で液状を呈するため、ゴム組成物の加工助剤として機能してゴム組成物の加工性を向上する。さらに液状イソプレンゴムは、他の基材ゴムとともに架橋して架橋物中に取り込まれるため、通常の可塑剤や加工助剤のようにブリードしたり、感光体を汚染したりするのを抑制できる。
【0025】
前記クロロプレンゴムは、クロロプレンを乳化重合させて合成されるもので、その際に用いる分子量調整剤の種類によって、硫黄変性タイプと非硫黄変性タイプとに分類される。また非硫黄変性タイプは、メルカプタン変性タイプ、キサントゲン変性タイプ等に分類される。また、前記クロロプレンゴムは、クロロプレンと他の共重合成分との共重合体を用いてもよい。前記他の共重合成分としては、たとえば、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン、1-クロロ-1,3-ブタジエン、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、イソプレン、ブタジエン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、およびメタクリル酸エステル等の1種または2種以上が挙げられる。
前記クロロプレンゴムとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがある。本発明では、感光体の汚染を防止するために、ブリード物質となりうる伸展油を含まない非油展タイプが好ましい。
【0026】
前記アクリロニトリルブタジエンゴムとしては、アクリロニトリルとブタジエンとを、乳化重合法等の種々の重合法によって共重合させて合成され、なおかつ架橋性を有する種々のアクリロニトリルブタジエンゴムが、いずれも使用可能である。アクリロニトリルブタジエンゴムとしては、アクリロニトリル含有量が24質量%以下である低ニトリルNBR、25質量%~30質量%である中ニトリルNBR、31質量%~35質量%である中高ニトリルNBR、36質量%~42質量%である高ニトリルNBR、43質量%以上である極高ニトリルNBRが、いずれも使用可能である。
前記アクリロニトリルブタジエンゴムとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、非油展タイプが好ましい。
【0027】
前記スチレンブタジエンゴムとしては、スチレンと1,3-ブタジエンとを、乳化重合法、溶液重合法等の種々の重合法によって共重合させて合成される種々のスチレンブタジエンゴムが、いずれも使用可能である。またスチレンブタジエンゴムとしては、スチレン含量によって分類される高スチレンタイプ、中スチレンタイプ、および低スチレンタイプのSBRがあるが、このいずれも使用可能である。
さらにスチレンブタジエンゴムとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、本発明では、感光体等の汚染を防止するために、ブリード物質となりうる伸展油を含まない非油展タイプが好ましい。
【0028】
前記ブタジエンゴムとしては、分子中にポリブタジエン構造を備え、架橋性を有する種々のブタジエンゴムがいずれも使用可能である。特に、低温から高温までの広い温度範囲でゴムとしての良好な特性を発現し得るシス-1,4結合の含量が95%以上の高シスブタジエンゴムが好ましい。またブタジエンゴムとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、本発明では、感光体の汚染を防止するために、ブリード物質となりうる伸展油を含まない非油展タイプのブタジエンゴムが好ましい。
【0029】
前記基材ゴムがジエン系ゴムを含有する場合、基材ゴム100質量部中のジエン系ゴムの含有率は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上であり、90質量%以下が好ましく、より好ましくは85質量%以下である。
【0030】
前記エピクロルヒドリンゴムとしては、繰り返し単位としてエピクロルヒドリンを含む種々の重合体が使用可能である。エピクロルヒドリンゴムとしては、例えば、エピクロルヒドリン単独重合体(CO)、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド二元共重合体(ECO)、エピクロルヒドリン-プロピレンオキサイド二元共重合体、エピクロルヒドリン-アリルグリシジルエーテル二元共重合体、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル三元共重合体(GECO)、エピクロルヒドリン-プロピレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル三元共重合体、およびエピクロルヒドリン-エチレンオキサイド-プロピレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル四元共重合体等の1種または2種以上が挙げられる。前記エピクロルヒドリンゴムとしては、前記例示の中でもエチレンオキサイドを含む共重合体、特にECOおよび/またはGECOが好ましい。
【0031】
前記基材ゴムがエピクロルヒドリンゴムを含有する場合、基材ゴム100質量部中のエピクロルヒドリンゴムの含有率は、10質量%以上が好ましく、より好ましくは15質量%以上であり、50質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下である。
【0032】
前記エチレン-αオレフィン-ジエン共重合体は、エチレンとαオレフィンに少量のジエン成分を加えることで、主鎖中に二重結合を導入した共重合体である。前記αオレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等が挙げられる。前記ジエン成分としては、エチリデンノルボルネン(ENB)、1,4-ヘキサジエン(1,4-HD)、ジシクロペンタジエン(DCP)等が挙げられ、エチリデンノルボルネンが好ましい。前記エチレン-αオレフィン-ジエン共重合体としては、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)、エチレン-ブテン-ジエン共重合体(EBDM)、エチレン-プロピレン-ブテン-ジエン共重合体(EPBDM)等が挙げられる。
【0033】
前記エチレン-αオレフィン-ジエン共重合体は、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、非油展タイプが好ましい。
【0034】
(導電材)
前記導電材としては、カーボンブラック、イオン導電剤等が挙げられる。前記導電材は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0035】
前記カーボンブラックの種類は特に限定されない。前記カーボンブラックとしては、SAF(Super Abrasion Furnace Black)、ISAF(Intermediate Super Abrasion Furnace Black)、IISAF(Intermediate ISAF)、HAF(High Abrasion Furnace Black)、MAF(Medium Abrasion Furnace Black)、FEF(Fast Extruding Furnace Black)、SRF(Semi-Reinforcing Furnace Black)、GPF(General Purpose Furnace Black)、FF(Fine Furnace Black)、CF(Conductive Furnace Black)などのファーネスカーボンブラック;FT(Fine Thermal Black)、MT(Medium Thermal Black)などのサーマルカーボンブラック;EPC(Easy Processing Channel Black)、MPC(Medium Processing Channel Black)などのチャンネルカーボンブラック;アセチレンブラックが挙げられる。前記カーボンブラックは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0036】
前記イオン導電剤としては、第4級アンモニウム塩、カルボン酸の金属塩、カルボン酸無水物もしくはエステル類等のカルボン酸誘導体、芳香族系化合物の縮合体、有機金属錯体、金属塩、キレート化合物、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、ヒドロキシカルボン酸金属錯体、ポリカルボン酸金属錯体、ポリオール金属錯体等が挙げられる。前記イオン導電剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
前記イオン導電剤としては、LiOSO2CF3、LiOSO237、LiOSO249、LiN(CF3SO22、LiN(C49SO22、LiC(CF3SO23、LiCH(CF3SO22、KOSO2CF3、KOSO237、KOSO249、KN(CF3SO22、KN(C49SO22、KC(CF3SO23、KCH(CF3SO22が特に好ましい。
【0038】
(加硫剤)
前記加硫剤としては、例えば、硫黄系加硫剤、チオウレア系加硫剤、トリアジン誘導体系加硫剤、過酸化物加硫剤、各種モノマー等の1種または2種以上が挙げられる。前記加硫剤としては、硫黄系加硫剤が好ましい。
【0039】
前記硫黄系加硫剤としては単体硫黄、硫黄ドナー型化合物が挙げられる。前記単体硫黄としては、粉体硫黄、沈降硫黄、コロイド状硫黄、不溶性硫黄が挙げられる。前記硫黄ドナー型化合物としては、4,4'-ジチオジモルホリンなどが挙げられる。前記硫黄系加硫剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0040】
前記加硫剤の合計含有量は、前記基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1.0質量部以上であり、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは4.0質量部以下である。
【0041】
前記ゴム組成物は、必要に応じて、加硫促進剤、加硫助剤、受酸剤、老化防止剤、加工助剤、可塑剤、充填剤、分散剤等の配合剤が添加されていてもよい。これらの配合剤は、ブルームやブリードを起こしにくいものを適宜選択することが好ましい。
【0042】
(加硫促進剤)
前記ゴム組成物は、加硫促進剤を含有してもよい。前記加硫促進剤としては、無機促進剤、有機促進剤のいずれも使用できる。前記無機促進剤としては、消石灰、マグネシア(MgO)、リサージ(PbO)等が挙げられる。前記有機促進剤としては、例えば、チウラム系促進剤、チオウレア系促進剤、チアゾール系促進剤、グアニジン系促進剤、スルフェンアミド系促進剤、ジチオカルバミン酸塩系促進剤等が挙げられる。架橋促進剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
前記チウラム系促進剤としては、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等が挙げられ、テトラメチルチウラムモノスルフィドが好ましい。
【0044】
前記チアゾール系促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、2-メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、2-メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2-(N,N-ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2-(4’-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール等が挙げられ、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィドが好ましい。
【0045】
前記チオウレア系促進剤としては、エチレンチオウレア、トリメチルチオウレア、N,N’-ジエチルチオウレア、トリブチルチオウレア、ジブチルチオウレア、ジラウリルチオウレア、N,N’-ジフェニルチオウレア等が挙げられる。これらの中でも、エチレンチオウレアが好ましい。
【0046】
前記グアニジン系促進剤としては、1,3-ジフェニルグアニジン、1,3-ジ-о-トリルグアニジン等が挙げられる。
【0047】
前記加硫促進剤の合計含有量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは0.2質量部以上であり、5質量部以下が好ましく、より好ましくは4質量部以下である。
【0048】
(加硫助剤)
加硫助剤としては、例えば、酸化亜鉛(亜鉛華)等の金属化合物;ステアリン酸、オレイン酸、綿実油等の脂肪酸その他、従来公知の加硫助剤の1種または2種以上が挙げられる。
前記加硫助剤の合計含有量は、前記基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、7質量部以下が好ましい。
【0049】
(受酸剤)
受酸剤は、ゴム成分の加硫時にCR等から発生する塩素系ガスが導電性ローラ内に残留したり、それによって加硫阻害や導電性ローラと接触する部材(例えば、感光体ドラム)の汚染等を生じたりするのを防止する。受酸剤としては、酸受容体として作用する種々の物質を用いることができるが、中でも分散性に優れたハイドロタルサイト類またはマグサラットが好ましく、特にハイドロタルサイト類が好ましい。
前記受酸剤の使用量は、前記ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上であり、8質量部以下が好ましく、より好ましくは6質量部以下である。
【0050】
(老化防止剤)
前記老化防止剤としては、4,4'-ジクミルジフェニルアミン、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等が挙げられる。
【0051】
(可塑剤、加工助剤)
前記可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート等の各種可塑剤や、極性ワックス等の各種ワックス等が挙げられる。
前記加工助剤としては、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩等が挙げられる。
前記可塑剤および/または加工助剤の割合は、基材ゴム100質量部に対して3質量部以下が好ましい。
【0052】
(充填材)
前記充填剤としては、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム等の1種または2種以上が挙げられる。
【0053】
(発泡剤)
前記導電性中間層を多孔質構造とする場合、前記ゴム組成物は、発泡剤、発泡助剤を含有してもよい。
【0054】
前記発泡剤としては、加熱によって分解してガスを発生する種々の化合物が使用可能である。前記発泡剤としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、N,N-ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)等が挙げられる。
前記発泡剤を配合する場合、その含有量は、前記基材ゴム100質量部に対して、1.0質量部以上、10質量部以下が好ましい。
【0055】
(発泡助剤)
前記ゴム組成物は、発泡助剤を含有してもよい。発泡助剤としては、組み合わせる発泡剤の分解温度を引き下げて、当該発泡剤の分解を促進する働きをする種々の化合物が使用可能である。例えば、前記発泡剤としてOBSHやADCAを用いる場合、発泡助剤としては、尿素(H2NCONH2)系発泡助剤が好ましい。
前記発泡助剤を配合する場合、その使用量は、前記基材ゴム100質量部に対して2.5質量部以下が好ましい。なお、発泡助剤の配合割合の下限は0質量部である。
【0056】
前記ゴム組成物は、各原料を配合し、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、オープンロール等で混練することで調製できる。混練の方法および条件は生産スケールによって適宜選択される。
【0057】
[現像ローラの製造方法]
本発明の現像ローラの製造方法は、圧入工程と、酸化膜形成工程を有することを特徴とする。
【0058】
(圧入工程)
前記圧入工程では、前記導電性弾性層を構成するゴムチューブに、前記導電性軸芯体を圧入し、前記導電性軸芯体の外周上に前記導電性弾性層を設ける。前記ゴムチューブに導電性軸芯体を圧入することで、導電性軸芯体が導電性弾性層に電気的に接合されるとともに、機械的に固定される。
ここで、「圧入」とは、圧力を加えて押し込むことをいう。つまり、ゴムチューブの通孔に対して、導電性軸芯体が圧力を加えて押し込まれる。これによって、導電性軸芯体の外周上に形成される導電性弾性層の外径は、元のゴムチューブの外径よりも拡張される。そのため、導電性弾性層の表面は、周方向に引き延ばされた状態となる。
【0059】
前記ゴムチューブは、押出機を用いて前記ゴム組成物を筒状に押出成形し、所定の長さにカットした後、加硫缶内で加圧、加熱して基材ゴムを架橋させることで得られる。前記ゴムチューブは、オーブン等を用いて二次架橋を施してもよい。なお、ゴムチューブの二次架橋は、導電性軸芯体を圧入した後に行ってもよい。
【0060】
前記ゴムチューブに圧入される導電性軸芯体は、外周面上に導電性中間層が形成されていてもよい。つまり、導電性軸芯体を圧入する態様としては、ゴムチューブに導電性軸芯体のみを圧入する態様;ゴムチューブに外周面上に導電性中間層が形成された導電性軸芯体を圧入する態様が含まれる。
【0061】
前記ゴムチューブに導電性軸芯体のみを圧入する場合、ゴムチューブの通孔の内径よりも外径の大きい導電性軸芯体を、ゴムチューブの通孔に圧入する。前記導電性軸芯体の外径は、特に限定されない。前記導電性軸芯体は、表面に導電性を有する熱硬化性接着剤を塗布してもよい。
【0062】
前記ゴムチューブに外周面上に導電性中間層が形成された導電性軸芯体を圧入する場合、ゴムチューブの通孔の内径よりも外径の大きい中間層付き導電性軸芯体を、ゴムチューブの通孔に圧入する。前記中間層付き導電性軸芯体の外径(中間層の外径)は、特に限定されない。前記中間層付き導電性軸芯体は、中間層表面に導電性を有する熱硬化性接着剤を塗布してもよい。
【0063】
なお、前記中間層付き導電性軸芯体は、中間層用ゴムチューブに導電性軸芯体を圧入することで作製できる。前記中間層用ゴムチューブは、押出機を用いて前記ゴム組成物を筒状に押出成形し、所定の長さにカットした後、加硫缶内で加圧、加熱してゴムを架橋させることで得られる。前記中間層を多孔質層(発泡層)とする場合、ゴムを架橋させながら発泡させればよい。前記中間層用ゴムチューブは、オーブン等を用いて二次架橋を施してもよい。なお、中間層用ゴムチューブの二次架橋は、導電性軸芯体を圧入した後に行ってもよい。また、中間層付き導電性軸芯体は、ゴムチューブに圧入する前に、中間層表面を研磨してもよい。
【0064】
前記ゴムチューブに導電性軸芯体を圧入する方法は特に限定されず、従来用いられている方法を採用できる。
【0065】
(研磨工程)
前記現像ローラの製造方法では、前記圧入工程と後述する酸化膜形成工程との間に、研磨工程を設けてもよい。
前記研磨工程では、前記導電性弾性層の外表面を研磨し、前記導電性弾性層の厚さを調整する。前記導電性弾性層の厚さは、2mm以下が好ましく、より好ましくは1.5mm以下である。前記導電性弾性層の厚さが2mm以下であれば、熱伝導性が向上し、発熱をより抑制することができる。なお、導電性弾性層の厚さは0.5mm以上が好ましい。
【0066】
導電性弾性層を研磨する方法としては、乾式トラバース研磨、プランジ研磨等の種々の研磨方法が採用可能である。また、研磨工程の仕上げに鏡面研磨を行ってもよい。
研磨工程では、導電性軸芯体を中心として回転させながら、導電性弾性層を研磨することが好ましい。これにより、研磨の作業性が向上し、かつ、外周面のフレを抑制できる。
【0067】
(酸化膜形成工程)
前記酸化膜形成工程では、無酸素雰囲気下で、前記導電性弾性層の表面に、キセノンエキシマ紫外線を照射して酸化膜を形成する。
【0068】
前記キセノンエキシマ紫外線は、励起されたエキシマ分子であるXe2 が基底状態に遷移する際に解放されるエネルギーが光として放射されたものである。前記キセノンエキシマ紫外線の波長は、172nmである。
【0069】
前記キセノンエキシマ紫外線の積算照度は、50mJ/cm2以上が好ましく、より好ましくは100mJ/cm2以上であり、1200mJ/cm2以下が好ましく、より好ましくは1100mJ/cm2以下である。
【0070】
前記キセノンエキシマ紫外線は、無酸素雰囲気下で照射する。本発明において、前記無酸素雰囲気下とは、酸素の容積%が0.01%以下の雰囲気である。
前記無酸素雰囲気下としては、窒素雰囲気下が好ましい。
【0071】
酸化膜形成工程では、導電性軸芯体を中心として回転させながら、導電性弾性層の表面にキセノンエキシマ紫外線を照射することが好ましい。これにより、照射の作業性が向上し、かつ、導電性弾性層の表面に均一に紫外線を照射できる。
【実施例0072】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0073】
[評価方法]
(1)クラック評価
酸化膜を形成した導電性弾性層の表面を目視にて観察し、クラックの有無を確認し、下記の評価基準で評価した。
◎:目視で確認できるクラックが無い。
〇:少ないが、目視で確認できるクラックが発生している。
×:目視で確認できるクラックが大量に発生している。
【0074】
(2)動摩擦係数
弾性層の動摩擦係数は、摩擦係数測定機(トリニティーラボ製、「TL201Ts」)を用いて測定した。測定は、ボール接触子(ボール直径1cm、ボール材質SUS)を使用し、温度23℃、相対湿度55%の環境下、垂直荷重10g、移動速度10mm/sec、移動距離20mmの条件で行い、移動距離5mm~20mmの範囲について動摩擦係数の平均値を求めた。
【0075】
(3)画像評価
製造方法No.1~7で得られた現像ローラを、レーザープリンタ(ブラザー製、「HL-L64000DW」)用のカートリッジ(ブラザー製、「TN-62J」)に装着し、試験用カートリッジを作製した。
この試験用カートリッジを用いて、温度22.5±1℃、相対湿度55±1%の恒温恒湿条件下で、A4サイズの紙(TANOSEE PPC用紙 SNOW WHITE USレターサイズ)にハーフトーンの画像を形成し、下記の評価基準で評価した。
◎:問題なし。
〇:濃度が若干薄い。
×:画像不良が発生した。
不可:導電性弾性層表面のクラックにより評価できなかった。
【0076】
(4)画像評価
製造方法No.8~13で得られた現像ローラを、レーザープリンタ(ブラザー製、「HL-L2370DN」)用のカートリッジ(ブラザー製、「TN-29J」)に装着し、試験用カートリッジを作製した。
この試験用カートリッジを用いて、温度10±1℃、相対湿度20±1%の低温低湿条件下で、A4サイズの紙(TANOSEE PPC用紙 SNOW WHITE USレターサイズ)にハーフトーンの画像を形成した。3000枚印刷を行い、画像不良の有無を評価した。
◎:問題なし。
〇:濃度が若干薄い。
×:画像不良が発生した。
不可:導電性弾性層表面のクラックにより評価できなかった。
【0077】
[現像ローラの製造方法]
(製造方法No.1~3)
表1に示した配合材料をバンバリーミキサーで混練り後、押し出し加工により、外径φ19.5mm、内径φ15.5mmのチューブ状に成形した。得られた前記チューブを加硫用のシャフトに装着し、加硫缶にて160℃で1時間加硫を行い、ゴムチューブを得た。
【0078】
(圧入工程)
上記で得たゴムチューブの通孔に、導電性接着剤を塗布した導電性軸芯体(外形φ18.0mm)を圧入した。これを160℃のオーブン内で90分間保管し、導電性軸芯体の外周上に導電性弾性層を形成した。
【0079】
(研磨工程)
前記導電性弾性層の端部を成形し、円筒研磨機で導電性弾性層にトラバース研磨、ついで仕上げ研磨として鏡面研磨を施し、外径φ20.00mmの導電性ゴムローラを得た。
なお、鏡面研磨は#2000で研磨した。
【0080】
(酸化膜形成工程)
前記導電性ゴムローラの導電性弾性層の表面に、窒素雰囲気下で、エキシマ紫外線照射装置(エム・ディ・コム製、「MEIRAHM-2-300-S」)を用いて、導電性軸芯体を中心として回転させながら、キセノンエキシマ紫外線を照射し、酸化膜を形成して現像ローラを製造した。なお、紫外線の積算照度は、表2に示した値となるように調節した。
【0081】
(製造方法No.4~6)
前記製造方法No.1~3と同様にして導電性ゴムローラを作製した。
前記導電性ゴムローラの導電性弾性層の表面に、大気雰囲気下で、紫外線照射装置(セン特殊光源製、「PL21-200」)を用いて、導電性軸芯体を中心として回転させながら、紫外線を照射し、酸化膜を形成して現像ローラを製造した。なお、紫外線の積算照度は、表2に示した値となるように調節した。
【0082】
(製造方法No.7)
前記製造方法No.1~3と同様にして導電性ゴムローラを作製した。製造方法No.7では、導電性弾性層の表面に紫外線を照射せず、そのまま現像ローラとした。
【0083】
【表1】
【0084】
表1で用いた原料は下記のとおりである。
エピオン(登録商標)301:大阪ソーダ製、エピクロルヒドリンゴム
ショウプレン(登録商標)WRT:昭和電工製、クロロプレンゴム(非油展)
Nipol(登録商標)DN401LL:日本ゼオン製、アクリロニトリルブタジエンゴム(アクリロニトリル量18.0%、非油展)
UBEPOL(登録商標)BR130B:宇部興産製、ポリブタジエンゴム(非油展)
デンカブラック(登録商標):デンカ製、アセチレンブラック
EF-N112:三菱マテリアル電子化成製、カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
SULFAX(登録商標)PS:鶴見化学工業製、硫黄
サンセラー(登録商標)TS:三新化学工業製、テトラメチルチウラムモノスルフィド
MBTS:Shandong Shanxian Chemical製 、SUNSINE MBTS(ジ-2-ベンゾチアジルジスルフィド)
アクセル22S:川口化学工業製、エチレンチオウレア
サンセラーDT:三新化学工業製、1,3-ジ-o-トリルグアニジン
酸化亜鉛:三井金属鉱山製、酸化亜鉛二種
DHT-4A-2:協和化学工業製、ハイドロタルサイト類化合物
SZ-2000:堺化学工業製、ステアリン酸亜鉛
【0085】
各製法方法で得られた現像ローラを評価し、結果を表2に示した。
【0086】
【表2】
【0087】
表2に示したように、窒素雰囲気下で、キセノンエキシマ紫外線を照射することで酸化膜を形成した製造方法No.1~3で得られた現像ローラは、導電性弾性層の表面にクラックが発生しなかった。
これに対して、紫外線照射に低圧水銀ランプを用いた製造方法No.4~6では、積算照度200~500mJ/cm2では、導電性弾性層の表面にクラックが発生した。また、積算照度100mJ/cm2では、画像不良が発生した。
紫外線照射を行わなかった製造方法No.7では、画像不良が発生した。
【0088】
[現像ローラの製造方法]
(製造方法No.8、9)
表3に示したゴム組成物No.3の配合材料をバンバリーミキサーで混練り後、押し出し加工により、外径φ13mm、内径φ3mmのチューブ状に成形した。得られた前記チューブを加硫用のシャフトに装着し、加硫缶にて160℃で30分間加硫、発泡を行い、中間層用ゴムチューブを得た。
上記で得た中間層用ゴムチューブの通孔に、導電性接着剤を塗布した導電性軸芯体(外形φ8.0mm)を圧入した。これを160℃のオーブン内で90分間保管し、導電性軸芯体の外周上に導電性中間層を形成した。その後、導電性中間層の端部を成形し、導電性中間層の表面をプランジ研磨機で研磨し、外径をφ13.0mmに調整した。
【0089】
表3に示したゴム組成物No.2の配合材料をバンバリーミキサーで混練り後、押し出し加工により、外径φ13.5mm、内径φ10mmのチューブ状に成形した。得られた前記チューブを加硫用のシャフトに装着し、加硫缶にて160℃で60分間加硫を行い、ゴムチューブを得た。
【0090】
(圧入工程)
上記で得たゴムチューブの通孔に、導電性中間層表面に導電性接着剤を塗布した中間層付き導電性軸芯体(外形φ13.0mm)を圧入した。これを160℃のオーブン内で90分間保管し、中間層付き導電性軸芯体の外周上に導電性弾性層を形成した。
【0091】
(研磨工程)
前記導電性弾性層の端部を成形し、円筒研磨機で導電性弾性層にプランジ研磨、ついで仕上げ研磨として鏡面研磨を施し、外径φ13.0mmの導電性ゴムローラを得た。
なお、鏡面研磨は#600で研磨した。
【0092】
(酸化膜形成工程)
前記導電性ゴムローラの導電性弾性層の表面に、窒素雰囲気下で、エキシマ紫外線照射装置(エム・ディ・コム製、「MEIRAHM-2-300-S」)を用いて、導電性軸芯体を中心として回転させながら、キセノンエキシマ紫外線を照射し、酸化膜を形成して現像ローラを製造した。なお、紫外線の積算照度は、表4に示した値となるように調節した。
【0093】
(製造方法No.10~12)
前記製造方法No.8、9と同様にして導電性ゴムローラを作製した。
前記導電性ゴムローラの導電性弾性層の表面に、大気雰囲気下で、紫外線照射装置(セン特殊光源製、「PL21-200」)を用いて、導電性軸芯体を中心として回転させながら、紫外線を照射し、酸化膜を形成して現像ローラを製造した。なお、紫外線の積算照度は、表4に示した値となるように調節した。
【0094】
(製造方法No.13)
前記製造方法No.8、9と同様にして導電性ゴムローラを作製した。製造方法No.13では、導電性弾性層の表面に紫外線を照射せず、そのまま現像ローラとした。
【0095】
【表3】
【0096】
表3で用いた原料は下記のとおりである。
エピオン(登録商標) 301L:大阪ソーダ製、エピクロルヒドリンゴム
ショウプレン(登録商標)WRT:昭和電工製、クロロプレンゴム(非油展)
タフデン(登録商標)2000R:旭化成製、スチレン・ブタジエンゴム
LIR-50:クラレ製、液状イソプレンゴム
旭#15:旭カーボン製、ファーネスブラック
粉砕品SOLVAY KTFSI:カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
硫黄:鶴見化学工業製、5%オイル入り硫黄
SULFAX(登録商標) PMC:鶴見化学工業製、硫黄
バルノック(登録商標)R:大内新興化学工業製、4,4'-ジチオジモルホリン
サンセラー(登録商標)TS-G:三新化学工業製、テトラメチルチウラムモノスルフィド
MBTS:Shandong Shanxian Chemical製 、SUNSINE MBTS(ジ-2-ベンゾチアジルジスルフィド)
アクセル22S:川口化学工業製、エチレンチオウレア
サンセラーDT:三新化学工業製、1,3-ジ-o-トリルグアニジン
酸化亜鉛:三井金属鉱山製、酸化亜鉛二種
DHT-4A-2:協和化学工業製、ハイドロタルサイト類化合物
SZ-2000:堺化学工業製、ステアリン酸亜鉛
ホワイトンBF300:白石カルシウム製、炭酸カルシウム
ネオセルボン(登録商標)N#1000S:永和化成工業製、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)
セルペースト(登録商標)101:永和化成工業製、尿素
【0097】
各製法方法で得られた現像ローラを評価し、結果を表4に示した。
【0098】
【表4】
【0099】
表4に示したように、窒素雰囲気下で、キセノンエキシマ紫外線を照射することで酸化膜を形成した製造方法No.8、9で得られた現像ローラは、導電性弾性層の表面にクラックが発生しなかった。
これに対して、紫外線照射に低圧水銀ランプを用いた製造方法No.10~12では、導電性弾性層の表面にクラックが発生した。
紫外線照射を行わなかった製造方法No.13では、画像不良が発生した。
【0100】
本発明(1)は、導電性軸芯体と、前記導電性軸芯体の外周面上に設けられた導電性弾性層とを有する現像ローラの製造方法であって、前記導電性弾性層を構成するゴムチューブに、前記導電性軸芯体を圧入し、前記導電性軸芯体の外周上に前記導電性弾性層を設ける圧入工程と、無酸素雰囲気下で、前記導電性軸芯体の外周面上に設けられた前記導電性弾性層の表面にキセノンエキシマ紫外線を照射して、前記導電性弾性層の表面に酸化膜を形成する酸化膜形成工程を有することを特徴とする現像ローラの製造方法である。
【0101】
本発明(2)は、前記圧入工程と前記酸化膜形成工程との間に、前記導電性弾性層の表面を研磨し、前記導電性弾性層の厚さを2mm以下に調整する研磨工程を有する本発明(1)に記載の現像ローラの製造方法である。
【0102】
本発明(3)は、前記酸化膜形成工程における無酸素雰囲気下が、窒素雰囲気下である本発明(1)または(2)に記載の現像ローラの製造方法である。
図1
図2
図3
図4