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特開2024-167782搬送装置、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167782
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】搬送装置、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/12 20060101AFI20241127BHJP
   B29C 33/68 20060101ALI20241127BHJP
   B29C 45/17 20060101ALI20241127BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
B29C33/12
B29C33/68
B29C45/17
H01L21/56 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084104
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】吉田 周平
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
5F061
【Fターム(参考)】
4F202AD08A
4F202AH37
4F202AR07
4F202CA12
4F202CB01
4F202CM72
4F202CQ05
4F206AD08
4F206AH37
4F206AR07
4F206JA02
4F206JF05
4F206JL02
4F206JQ81
4F206JQ83
5F061AA01
5F061BA03
5F061CA21
5F061DA01
(57)【要約】
【課題】位置決め部を有する成形型に供給された離型フィルムに孔を開けることが可能な搬送装置、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】成形対象物Saの位置決めを行う位置決め部37を有すると共に、位置決め部37がフィルムFで覆われた状態にある成形型Cに、成形対象物Saを保持した状態で搬送して載置する搬送装置10は、成形対象物Saを保持する成形対象物保持部13と、成形対象物保持部13による保持が解除された成形対象物Saを成形型Cに載置する際に、成形対象物Saを成形型Cに向けて押し付ける成形対象物押さえ部14と、成形対象物押さえ部14が成形対象物Saを押し付ける前に、位置決め部37によってフィルムFに孔を開けさせるフィルム孔開け機構16と、を備えている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形対象物の位置決めを行う位置決め部を有すると共に、前記位置決め部がフィルムで覆われた状態にある成形型に、前記成形対象物を保持した状態で搬送して載置する搬送装置であって、
前記成形対象物を保持する成形対象物保持部と、
前記成形対象物保持部による保持が解除された前記成形対象物を前記成形型に載置する際に、前記成形対象物を前記成形型に向けて押し付ける成形対象物押さえ部と、
前記成形対象物押さえ部が前記成形対象物を押し付ける前に、前記位置決め部によって前記フィルムに孔を開けさせるフィルム孔開け機構と、を備えた搬送装置。
【請求項2】
前記フィルム孔開け機構は、前記成形対象物の外側に備えられ、且つ前記位置決め部の近傍に、前記フィルムを押さえることにより前記フィルムに孔を開けさせるフィルム押さえ部材を有する請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記フィルム押さえ部材は、前記フィルムを押さえた後、前記フィルムに接触した状態で水平移動可能に構成されている請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記成形対象物押さえ部は、前記フィルム押さえ部材の近傍に、前記成形対象物を押し付ける個別押さえ部材を有する請求項2又は3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記成形対象物押さえ部は、前記成形対象物の外縁を前記成形型に向けて押し付ける全体押さえ部材を有し、
前記個別押さえ部材は、前記成形対象物を前記成形型に向けて押し付けるとき、前記全体押さえ部材より早く前記成形対象物に接触するように、前記全体押さえ部材よりも突出している請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記フィルム押さえ部材は、先端にR状の面取りを有する棒状である請求項2から5のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項の搬送装置と、
前記搬送装置により前記成形対象物が載置される前記成形型と、
前記成形型を型締めする型締め機構と、を備えた樹脂成形装置。
【請求項8】
請求項7に記載の樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、
前記フィルム孔開け機構により前記フィルムに孔を開けた後、前記成形対象物保持部による保持が解除された前記成形対象物を前記成形型に載置し、前記成形対象物押さえ部により前記成形対象物を前記成形型に向けて押し付けると共に樹脂材料を供給する供給工程と、
前記型締め機構により前記成形型を型締めする型締め工程と、
前記成形対象物の樹脂成形を行う成形工程と、を含む樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップが固定された基板等は、一般的に樹脂封止することにより電子部品として用いられる。従来、基板等を樹脂封止するための樹脂成形装置として成形型を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には上型と下型とを含む成形型を有する樹脂成形装置(特許文献1では樹脂封止装置)が開示されている。特許文献1には、下型に離型フィルム(特許文献1では下型リリースフィルム)を吸着保持した後、孔開け針を備えた孔開け治具を用いて離型フィルムに基板を吸着させるための孔を開け、この孔と下型に形成された基板吸引孔(特許文献1ではワーク吸引孔)を介して基板を下型に吸着保持することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-153146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1における孔開け治具は、下型に基板吸引孔のような孔開け針が進入可能な孔が形成されていることが必要であり、孔が形成されていない箇所には用いることはできない。また、下型に、基板載置面から上方(上型に向かう方向)に向かって基板を位置決めするためのピン等の位置決め部が突出形成されている場合にも、孔開け治具を用いることはできない。
【0006】
そこで、位置決め部を有する成形型に供給された離型フィルムに孔を開けることが可能な搬送装置、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る搬送装置の一つの実施形態は、成形対象物の位置決めを行う位置決め部を有すると共に、前記位置決め部がフィルムで覆われた状態にある成形型に、前記成形対象物を保持した状態で搬送して載置する搬送装置であって、前記成形対象物を保持する成形対象物保持部と、前記成形対象物保持部による保持が解除された前記成形対象物を前記成形型に載置する際に、前記成形対象物を前記成形型に向けて押し付ける成形対象物押さえ部と、前記成形対象物押さえ部が前記成形対象物を押し付ける前に、前記位置決め部によって前記フィルムに孔を開けさせるフィルム孔開け機構と、を備えている。
【0008】
本発明に係る樹脂成形装置の一つの実施形態は、上記に記載の搬送装置と、前記搬送装置により前記成形対象物が載置される前記成形型と、前記成形型を型締めする型締め機構と、を備えている。
【0009】
本発明に係る樹脂成形品の製造方法の一つの実施形態は、上記に記載の樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、前記フィルム孔開け機構により前記フィルムに孔を開けた後、前記成形対象物保持部による保持が解除された前記成形対象物を前記成形型に載置し、前記成形対象物押さえ部により前記成形対象物を前記成形型に向けて押し付けると共に樹脂材料を供給する供給工程と、前記型締め機構により前記成形型を型締めする型締め工程と、前記成形対象物の樹脂成形を行う成形工程と、を含んでいる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、位置決め部を有する成形型に供給された離型フィルムに孔を開けることが可能な搬送装置、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】樹脂成形装置を示す平面模式図である。
図2】成形型を表す正面模式図である。
図3】ローダを表す正面模式図である。
図4】成形前基板を下型に載置するときのローダの動きを表す断面図である。
図5】成形前基板を下型に載置するときのローダの動きを表す断面図である。
図6】成形前基板を下型に載置するときのローダの動きを表す断面図である。
図7】成形前基板を下型に載置するときのローダの動きを表す断面図である。
図8】成形前基板を下型に載置するときのローダの動きを表す断面図である。
図9】ローダの変形例を示す側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る搬送装置、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法の実施形態について、図面に基づいて説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0013】
半導体チップ等が固定された基板(成形対象物)は樹脂封止することにより電子部品として用いられる。成形対象物を樹脂封止する技術としては、トランスファ方式等が挙げられる。トランスファ方式の一つとして、成形型の下型に供給された離型フィルム上に成形対象物を載置し、成形型のポットに粉粒体状樹脂を固めた樹脂タブレットを供給して加熱、溶融し、溶融樹脂をキャビティに供給して成形対象物を樹脂成形する方式が挙げられる。
【0014】
樹脂タブレットは、粉粒体状の樹脂を押し固めた固形樹脂で形成され、加熱により溶融して液状の溶融樹脂となる。樹脂タブレットは、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよい。熱硬化性樹脂は、加熱すると粘度が低下し、さらに加熱すると重合して硬化し、硬化樹脂となる。以下に説明するように、半導体チップが固定された成形前基板を樹脂成形して封止する場合には、熱硬化性樹脂を用いることが望ましい。
【0015】
〔全体構成〕
以下、トランスファ方式の樹脂成形装置30を一例として説明する。図1には、本実施形態における樹脂成形装置30の平面模式図が示されている。樹脂成形装置30は、収容モジュール2、成形モジュール3、供給モジュール4、制御部6、ローダ10(搬送装置の一例)、及びアンローダ42を備えている。成形モジュール3は、成形対象物を樹脂封止する部分であり、成形前基板Sa(成形対象物の一例)を保持する成形型Cを有している。成形型Cは上型UMと下型LMとを有する。本実施形態における樹脂成形装置30は、半導体チップ48等が固定された成形前基板Saを樹脂成形する装置である。
【0016】
供給モジュール4は、成形モジュール3に成形前基板Sa及び樹脂タブレットT(樹脂材料の一例)を供給するためのものであり、基板供給機構43と樹脂供給機構45とを含んでいる。基板供給機構43は、成形前基板Saをストックしており、成形前基板Saを搬送に適した状態に配置する。成形前基板Saには、複数個の半導体チップ48が縦方向及び/又は横方向に整列して、固定されている。本実施形態においては、1つの成形前基板Saに4つの半導体チップ48が一列に固定されている。樹脂供給機構45は、樹脂タブレットTをストックしており、樹脂タブレットTを搬送に適した状態に配置する。なお、成形前基板Saは、1つの半導体チップ48が固定されているものでもよい。
【0017】
ローダ10は、供給モジュール4内で待機している。ローダ10は、供給モジュール4内で基板供給機構43から成形前基板Saを受け取り、また、樹脂供給機構45から樹脂タブレットTを受け取って、供給モジュール4から成形モジュール3に亘って背面側(図1において上方側)に配設された不図示のレール上を供給モジュール4から成形モジュール3まで移動する。そして、成形モジュール3の下型LMに成形前基板Saと樹脂タブレットTを受け渡す。その後、ローダ10は、再びレール上を供給モジュール4まで移動する。
【0018】
成形モジュール3は、成形型Cにより、成形前基板Saを樹脂封止して成形済基板Sb(樹脂成形品の一例)を成形する。本実施形態においては、成形モジュール3は1つ設けられているが、2つ以上であってもよい。2つ以上の場合、それぞれの成形モジュール3は独立して装着又は取り外し可能である。
【0019】
収容モジュール2は、基板収容部46を有している。アンローダ42は、収容モジュール2内で待機しており、収容モジュール2から成形モジュール3に亘って背面側(図1において上方側)に配設された不図示のレール上を成形モジュール3まで移動して成形済基板Sbを成形モジュール3から取り出した後、再びレール上を収容モジュール2まで移動して基板収容部46に成形済基板Sbを収容する。成形済基板Sbでは、半導体チップ48等が、溶融樹脂Ta(樹脂材料の一例)が固化した硬化樹脂により封止されている。
【0020】
制御部6は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ、及びRAM(Random Access Memory)のような記憶装置を含んでいる。制御部6は、記憶装置に記憶された制御プログラムをプロセッサで実行することにより、樹脂成形装置30の作動を制御する。以下で説明する樹脂成形装置30の作動は、特段の説明のない限り、制御部6の作動指令に基づいて行われる。以下の説明において、制御部6の作動指令については原則的に説明を省略し、必要に応じて制御部6の作動指令について説明する。
【0021】
以下、成形モジュール3の樹脂成形装置30について詳述する。
【0022】
図2に示すように、樹脂成形装置30は、樹脂タブレットTが加熱されて溶融した溶融樹脂Taが注入される上型キャビティMCaが形成された上型UMと、上型UMに対向して配置され、上型キャビティMCaに溶融樹脂Taを注入する樹脂流路を形成するポットブロック71が設けられた下型LMと、上型UM及び下型LMを型締めする型締め機構5と、離型フィルムF(フィルムの一例)を供給する離型フィルム供給機構8と、を有する。本実施形態における下型LMには、成形前基板Saに設けられた樹脂流通穴(不図示)を介して上型キャビティMCaから溶融樹脂Taが注入される下型キャビティMCbが形成されている。なお、本実施形態の成形型Cでは、下型LMのポットブロック71を挟んで両側に1つずつ成形前基板Saを載置して、1回の樹脂成形操作によって2つの成形前基板Saを樹脂成形する構成となっているが、特にこの構成に限定されず、1回の樹脂成形操作によって1つの成形前基板Saを樹脂成形する構成であってもよい。型締め機構5の作動は、制御部6により制御される。成形前基板Saは、ローダ10により上型UMと下型LMとの間に搬送された後、下型LMに載置される。本実施形態では、成形前基板Saの形状は矩形であり、これに合わせて、下型キャビティMCbの平面形状も矩形である。
【0023】
上型UMは、上型ベースプレート33を介して上型ホルダ31に保持されており、この上型ホルダ31は、上プラテン32に固定されている。下型LMは、下型ベースプレート36を介して下型ホルダ34に保持されており、この下型ホルダ34は、型締め機構5により昇降する可動プラテン35に固定されている。本実施形態における型締め機構5は、例えば、サーボモータとボールねじ機構とを組み合わせたものや、エアシリンダや油圧シリンダとロッドとを組み合わせたもの等を用いることができる。
【0024】
下型LMにおける上型UMと対向する面には、上型UMに向かって複数(本実施形態では3つ)の位置決めピン37(位置決め部の一例)が配置されている。3つの位置決めピン37は、下型LMの下型キャビティMCbの外周に配置される。より詳細には、3つの位置決めピン37の1つは、ポットブロック71に近い側の下型キャビティMCbの外周の中央部であって張り出し部71eの下に配置されている。他の2つは、このポットブロック71に近い側の下型キャビティMCbの外周に配置された位置決めピン37と反対側(以下、「ポットブロック71から遠い側」という)であって下型キャビティMCbの外周の両端に1つずつ配置されている。3つの位置決めピン37のそれぞれは、例えば、直径が1.5mm、高さが1.5mmの円柱形状である。3つの位置決めピン37のそれぞれは、先端がC面取りされたピン形状を有しており、先端が尖っている。このため、後述する離型フィルムFを押し付けるフィルム押さえ部材16aの押し付け力を大きくしなくても、離型フィルムFに孔を開けることができる。なお、ポットブロック71に近い側の下型キャビティMCbの外周の中央部に配置された1つの位置決めピン37は、張り出し部71eの下ではなく、下型LMの上面に対する垂直な方向から見たときに張り出し部71eと重ならない位置に配置されていてもよい。
【0025】
以下では、ポットブロック71に近い側の下型キャビティMCbの外周の中央部に配置された1つの位置決めピン37を第1位置決めピン37a(位置決め部の一例)という。また、ポットブロック71から遠い側に配置された2つの位置決めピン37を第2位置決めピン37b(位置決め部の一例)という。そして、1つの第1位置決めピン37aと2つの第2位置決めピン37bとを区別しないときは、単に位置決めピン37という。3つの位置決めピン37は、成形前基板Saの外縁に形成された複数(本実施形態では3つ)の位置決め孔49のそれぞれに挿入されることにより、下型LMに対する成形前基板Saの位置決めを行う。下型LMにおいて、3つの位置決めピン37のそれぞれが配置された箇所の周囲には、凹部37c(図4参照)が形成されている。つまり、3つの位置決めピン37は、いずれも凹部37cの底面に配置されて上型UMに向かって伸びている。なお、位置決めピンは下部の太い部分と上部の細い部分とを含む段付きピンであってもよく、この場合、位置決めピンの太い部分と細い部分との境界が下型LMの上面より低い位置に配置されることによって、凹部が形成されていてもよい。
【0026】
成形前基板Saの3つの位置決め孔49は、下型LMに載置された状態で、ポットブロック71の張り出し部71eの下に位置する外縁の中央に1つ配置され、下型キャビティMCbに対して張り出し部71eと反対側の外縁の両端に2つ配置されている(図1参照)。以下では、樹脂注入機構7のポットブロック71の張り出し部71eの下に配置された1つの位置決め孔49を第1位置決め孔49a、下型キャビティMCbに対して第1位置決め孔49aと反対側に配置された2つの位置決め孔49を第2位置決め孔49bという。そして、1つの第1位置決め孔49aと2つの第2位置決め孔49bとを区別しないときは、単に位置決め孔49という。第1位置決め孔49aは第1位置決めピン37aに対応する位置に配置され、2つの第2位置決め孔49bのそれぞれは2つの第2位置決めピン37bのそれぞれに対応する位置に配置されている。
【0027】
離型フィルム供給機構8は、上型UMと下型LMとの間に離型フィルムFを供給する。
離型フィルムFの材料としては、耐熱性、離型性、柔軟性、伸展性等の特性を有する樹脂材料が用いられ、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(エチレン/四フッ化エチレン共重合体)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、FEP(四フッ化エチレン/六フッ化プロピレン共重合体)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン等が用いられる。
【0028】
離型フィルム供給機構8は、離型フィルムFを送り出す送出機構(不図示)と、離型フィルムFを回収する回収機構(不図示)と、を含んでいる。送出機構は、使用前の離型フィルムFを上型UMと下型LMとの間に送り出し可能であり、回収機構は、樹脂成形に用いられた使用済みの離型フィルムFを回収可能である。また、下型LMには、離型フィルムFを真空ポンプ等により型面に吸着させる吸着機構(不図示)が設けられている。離型フィルム供給機構8の作動は、制御部6により制御される。離型フィルムFにおける搬送方向(図2の前後方向)に対して垂直な方向(図2の左右方向)の長さ(幅)は、下型LMに配置された3つの位置決めピン37を覆うような長さを有している。離型フィルムFが下型LMに供給された状態かつ成形前基板Saが載置される前は、位置決めピン37は離型フィルムFに覆われている。
【0029】
樹脂注入機構7は、樹脂タブレットTを収容するポット71aが形成されたポットブロック71と、ポット71a内に設けられたプランジャ72aを有するトランスファ機構72とを備えている。なお、ポット71aは、例えば円筒状をなす筒状部材73により形成されている。この筒状部材73は、ポットブロック71に形成された貫通孔に嵌め入れられている。
【0030】
ポットブロック71は、下型LMに対して昇降可能となるように弾性部材74により弾性支持されている。つまり、ポットブロック71は、弾性部材74を介して下型LMに対して昇降可能に設けられている。この弾性部材74は、ポットブロック71の下側に設けられており、下型LMから離れる方向にポットブロック71を押圧している。
【0031】
また、ポットブロック71の上端部には、下型LMの上面である型面上に張り出した張り出し部71eが形成されている。この張り出し部71eは、成形前基板Saが下型LMに載置された状態で、成形前基板Saのポット側の端部を押圧可能な状態で突出している。さらに、ポットブロック71の上面には、ポット71aから注入された溶融樹脂Taを上型キャビティMCaに導入する樹脂流路となるカル部71b、ランナ71c及びゲート71dが形成されている。また、張り出し部71eは、上型UM及び下型LMを型締めした状態で、その上面が上型UM(カルブロック)に接触すると共に、その下面が下型LMの型面との間で成形前基板Saを挟むことになる。
【0032】
トランスファ機構72は、上型UM及び下型LMが型締めされた状態でプランジャ72aを移動させてポット71aから上型キャビティMCaに溶融樹脂Taを注入するものである。このトランスファ機構72は、溶融樹脂Taを圧送するためのプランジャ72aと、プランジャ72aが固定される固定ブロック72bと、固定ブロック72bを介してプランジャ72aを移動させるプランジャ駆動機構72cとを含む。プランジャ駆動機構72cの作動は、制御部6により制御される。
【0033】
固定ブロック72bは、概略直方体形状をなすものであり、その長方形状をなす一面(上面)に複数のプランジャ72aが直線状に一列に固定されている。複数のプランジャ72aの配置態様は、後述する複数のポット71aの配置態様に対応している。なお、複数のプランジャ72aは、例えば固定ねじ等により固定ブロック72bに固定されている。
また、固定ブロック72bには、各プランジャ72aが溶融樹脂Taを注入する圧力を均一にするための弾性部材等を用いた等圧機構が設けられていてもよい。
【0034】
プランジャ駆動機構72cは、固定ブロック72bを下型LMに対して昇降移動させることにより、複数のプランジャ72aを複数のポット71aに対して一括して同じ移動量で昇降移動させるものである。本実施形態のプランジャ駆動機構72cは、固定ブロック72bの下側に設けられている。このプランジャ駆動機構72cとしては、例えば、サーボモータとボールねじ機構とを組み合わせたものや、エアシリンダや油圧シリンダとロッドとを組み合わせたもの等を用いることができる。
【0035】
上型UMには、成形前基板Saの半導体チップ48を収容すると共に溶融樹脂Taが注入される上型キャビティMCaが形成されている。また、上型UMには、ポットブロック71のカル部71b、ランナ71c及びゲート71dと上型キャビティMCaとを接続する凹状空間81及びゲート82が形成されている。つまり、上型UMとポットブロック71との間には、ポット71aから上型キャビティMCaに向けて溶融樹脂Taを流動させる樹脂流路となるカル部71b、ランナ71c、ゲート71d、凹状空間81及びゲート82が形成されている。また、上型UMには、ポットブロック71とは反対側にエアベント(不図示)が形成されている。なお、ランナ71cを省略し、カル部71bと上型キャビティMCaとをゲート71d,82を介して直接的に接続することもできる。また、本実施形態における凹状空間81は、ゲート71dから上型キャビティMCaに連通する前に、樹脂溜まりのための空間を形成しており、この樹脂溜まり空間からゲート82を介して上型キャビティMCaに接続されているが、この樹脂溜まり空間を省略してもよい。
【0036】
また、上型UMには、成形済基板Sbを上型UMから離型させるための複数のエジェクタピン83が設けられている。これらエジェクタピン83は、上型UMの所要箇所に貫通して上型UMに対して昇降可能に設けられており、上型UMの上側に設けられたエジェクタプレート84に固定されている。エジェクタプレート84は、弾性部材85を介して上プラテン32等に設けられており、リターンピン86を有している。型締め時にリターンピン86が下型LMにおける成形前基板Saの載置領域外に接触することにより、エジェクタプレート84が上型UMに対して上昇する。これにより、型締め時においてエジェクタピン83は上型UMの型面に引っ込んだ状態となる。一方、型開き時においては下型LMが下降するに伴って、エジェクタプレート84は弾性部材85の弾性力によって上型UMに対して下降し、エジェクタピン83が成形済基板Sbを押して上型UMから離型させる。
【0037】
型締め機構5により上型UM及び下型LMを型締めすると、カル部71b、ランナ71c、ゲート71d、凹状空間81及びゲート82からなる樹脂流路が、複数のポット71aと上型キャビティMCaとを連通させ、上型キャビティMCaが、成形前基板Saに設けられた樹脂流通穴(不図示)を介して下型キャビティMCbと連通する。また、上型UM及び下型LMを型締めすると、ポットブロック71の張り出し部71eの下面と下型LMの上面との間に成形前基板Saのポット側端部が挟まれることになる。この状態でプランジャ駆動機構72cによりプランジャ72aを上昇させて、溶融樹脂Taを上型キャビティMCa及び下型キャビティMCbに注入すると、成形前基板Saの半導体チップ48等が樹脂封止される。
【0038】
〔ローダの構成〕
次に、本実施形態におけるローダ10の具体的な構成について、図3図4を参照して説明する。図3図4においては、成形前基板Saに固定されている半導体チップ48の図示を省略している。また、図3図9では、ポットブロック71を挟んで下型LMの両側に載置される2つの成形前基板Saの一方に対するローダ10の構成について説明する。本実施形態の成形型Cは、前述の通り、1回の樹脂成形操作によって2つの成形前基板Saを樹脂成形する成形型Cであるため、図3図9のベース部材11の省略線で示されている部分に、同様の構成が、ポットブロック71を挟んで下型LMの両側に載置される2つの成形前基板Sa(図2参照)のもう一方に対して備えられる。
【0039】
ローダ10は、図3に示されるように、レール(不図示)に沿って移動可能に設けられたベース部材11と、ベース部材11に設けられ成形前基板Saを保持する基板保持部13と、下型LMに載置された成形前基板Saを押さえ付ける押さえ部14と、押さえ部14を昇降移動させる昇降移動機構(不図示)と、離型フィルムFに孔を開けるフィルム孔開け機構16と、ベース部材11に対して基板保持部13をポットブロック71に向けて移動させる保持部移動機構17と、を備えている。なお、ベース部材11には、樹脂タブレットTを保持する樹脂保持部(不図示)が設けられている。
【0040】
基板保持部13は、保持爪13a、駆動部13b、レバー13c、リンク13d、及びシャフト13eを有している。
【0041】
本実施形態に係る保持爪13aは、矩形の成形前基板Saの向かい合う二辺である両端を引っ掛けることにより成形前基板Saをローダ10に保持するためのものである(図4参照)。保持爪13aは、ポット側端部に複数(本実施形態では2つ)配置されると共に当該ポット側端部とは反対側の端部に複数(本実施形態では4つ)配置されている。保持爪13aは、シャフト13eを中心に揺動することにより開閉可能に構成されている。保持爪13aが閉じた状態では、成形前基板Saの両端を引っ掛けて成形前基板Saをローダ10に保持する。保持爪13aが開くと、成形前基板Saの引っ掛りが外れて、成形前基板Saの保持が解除される。保持が解除された成形前基板Saはローダ10から落下して下型LMの型面の上に載置される(図7参照)。
【0042】
ポットブロック71は、図4に示されるように、ポットブロック側端部の保持爪13aとの干渉を避けるために、保持爪13aと対応した箇所に、凹部71fを有している。駆動部13bは、例えばエアシリンダであり、レバー13cを上下させることができる。レバー13cは、駆動部13bとリンク13dとを接続している。リンク13dはレバー13cと保持爪13aとを接続しており、レバー13c及び保持爪13aに対して揺動可能に構成されている。シャフト13eは、ポット側端部に配置された複数の保持爪13a、反対側端部に配置された複数の保持爪13aをそれぞれ貫通しており、保持爪13aの揺動支点となる。
【0043】
押さえ部14は、下型LMに載置された成形前基板Saの外縁を下型LMに向けて押すことにより、下型LMに形成された位置決めピン37に位置決め孔49を挿入した状態で載置された成形前基板Saを、下型LMに向けて押し付けるために配置されている。全体押さえ部材14bは、2本の連結シャフト14aと連結されており、連結シャフト14aと一体となって昇降(上下方向に移動)する(図4参照)。なお、本実施形態の2本の連結シャフト14aは、いずれもベース部材11を貫通しており、ベース部材11よりも上方で互いに連結されている。成形前基板Saは、基板保持部13の保持爪13aと押さえ部14とに挟み込まれることにより保持されている。
【0044】
押さえ部14は、全体押さえ部材14bと個別押さえ部材14cとを含んでいる。全体押さえ部材14bは、成形前基板Saの外縁を下型LMに向けて押すことができるように枠状に形成されている。枠の内側は窪んでおり、成形前基板Saに固定された半導体チップ48はその窪みに配置されている。個別押さえ部材14cは全体押さえ部材14bの一部に配置されている。個別押さえ部材14cは、鉛直方向視で、2つの第2位置決めピン37bのそれぞれに重複する位置にそれぞれ配置されている。そのため、個別押さえ部材14cには、成形前基板Saを押し付けるときに、第2位置決めピン37bが入り込むピン挿入孔14dが形成されている。図3(及び図4から図8)においては、全体押さえ部材14bの下面14e(成形前基板Saに対向する面)と個別押さえ部材14cの下面14fとが面一になっているが、実際は、個別押さえ部材14cの下面14fは全体押さえ部材14bの下面14eよりもわずか(例えば0.1mm)に下方に突出している。このため、成形前基板Saを押すときは、個別押さえ部材14cの方が、全体押さえ部材14bよりも早く成形前基板Saに接触する。
【0045】
不図示の昇降移動機構は、ベース部材11に対する押さえ部14の高さ位置を調整するものである。昇降移動機構はエアシリンダ等により構成されている。昇降移動機構は、連結シャフト14aをベース部材11に対して昇降移動させることにより、ベース部材11に対する押さえ部14の高さ位置を変化させることができる。
【0046】
フィルム孔開け機構16は、下型LMの3つの位置決めピン37を覆うように供給された離型フィルムFに、3つの位置決めピン37によって孔を開けさせて、位置決めピン37が離型フィルムFを貫通するようにする機構である。離型フィルム孔開け機構16は、押さえ部14に設けられており、フィルム押さえ部材16aと、フィルム押さえ部材16aを下方(下型LMに近づく方向)に押圧する押圧部材16bとを含んでいる。押圧部材16bは、例えば、圧縮コイルばねである。
【0047】
フィルム押さえ部材16aは、円筒形状の棒状部材で、その下面16c(下型LMに対向する面)の周囲は、R状の面取りを有しており、エッジで離型フィルムFを破ることがないように形成されている。図3から図8においては、このR状の面取りの図示は省略されている。フィルム押さえ部材16aは、個別押さえ部材14cの近傍で、押さえ部14の外縁及び成形前基板Saの外縁よりも外側に配置されている。すなわち、フィルム押さえ部材16aは、ローダ10が成形前基板Saを下型LMの上方に搬入した後で、保持部移動機構17が作動する直前の状態で、第2位置決めピン37bの近傍の下型キャビティMCbの外周に配置されている。フィルム押さえ部材16aは、押さえ部14に保持されており、フィルム押さえ部材16aの下面16cは、押さえ部14の個別押さえ部材14cの下面14fよりも下方に突出している。
【0048】
保持部移動機構17は、駆動部17a、レール17b、及びスライド部材17cを有している。駆動部17aは、例えばエアシリンダであり、駆動部17aを作動させることにより、スライド部材17cをレール17bに沿って水平移動させる。連結シャフト14aは、スライド部材17cの移動に伴って移動するように構成されている。連結シャフト14aが水平移動すると、連結シャフト14aに連結された押さえ部14も水平移動し、それに伴い成形前基板Saや保持爪13aも水平移動する。保持部移動機構17は、ベース部材11に対して成形前基板Saをポットブロック71に近づく方向に移動させる。
【0049】
〔樹脂成形品の製造方法〕
次に、図1から図8を用いて、樹脂成形品(成形済基板Sb)の製造方法を説明する。樹脂成形品(成形済基板Sb)の製造方法は、下型LMに離型フィルムFを供給するフィルム供給工程と、フィルム孔開け機構16により離型フィルムFに孔を開けた後、基板保持部13による保持が解除された成形前基板Saを下型LMに載置し、押さえ部14により成形前基板Saを下型LMの型面に向けて押し付けると共に樹脂タブレットTを供給する基板供給工程(供給工程の一例)と、型締め機構5により成形型Cを型締めする型締め工程と、上型キャビティMCa及び下型キャビティMCbに溶融樹脂Taを供給して成形前基板Saの樹脂成形を行う成形工程と、を含んでいる。
【0050】
成形工程は、成形前基板Saの成形モジュール3への搬入から成形済基板Sbの成形モジュール3からの搬出までの間において、樹脂成形装置30が成形前基板Saを樹脂成形する工程である。本実施形態における成形工程では、上型キャビティMCa及び下型キャビティMCbに溶融樹脂Taを供給することにより、成形前基板Saの両面に溶融樹脂Taを供給して両面成形を行い、成形済基板Sbを製造する。なお、図3から図8においては、成形前基板Saに固定されている半導体チップ48の図示を省略している。また、図4から図8においては、下型LMのうち樹脂注入機構7に対して片側(図2における右側)のみを図示している。不図示の箇所の構成は、図示されている箇所の構成と同じである。さらに、図4から図8においては、上型UMの図示を省略している。
【0051】
図1に示されるように、予め、ローダ10を、樹脂タブレットTの収容空間を断熱した状態で加熱しておき、成形型Cも加熱しておく。そして、基板供給機構43から取り出した成形前基板Saをローダ10に載置する。また、樹脂供給機構45により整列された樹脂タブレットTを、ローダ10の樹脂タブレットTの収容空間に収容する。そして、ローダ10は、成形前基板Sa及び樹脂タブレットTを成形モジュール3まで搬送する。ローダ10は、図2の二点鎖線で示されるように、成形型Cの上型UMと下型LMとの間に配置された状態で、成形前基板Saを下型LMに載置する。なお、図2は、成形前基板Saを下型LMに載置した後の状態を示している。
【0052】
離型フィルム供給機構8は、上型UMと下型LMとの間に使用前の離型フィルムFを供給する(フィルム供給工程)。このとき、図4に示されるように、離型フィルムFは下型LMに配置された3つの位置決めピン37を覆っており、離型フィルムFには孔が開いていない。その後、下型LMに備えられた離型フィルム吸引機構(不図示)により、離型フィルムFは下型LMの上面に吸着固定される。このフィルム吸引によっても3つの位置決めピン37の部分では離型フィルムFには孔が開いていない。次に、図5に示されるように、制御部6は、不図示の昇降移動機構により、連結シャフト14aを含む押さえ部14を下降させる。このとき、押さえ部14の下降と共に、基板保持部13、成形前基板Sa、及びフィルム孔開け機構16も下降する。フィルム孔開け機構16が下降すると、個別押さえ部材14c(第2位置決めピン37b)の近傍に配置されたフィルム押さえ部材16aの下面16cが離型フィルムFに接触する。このとき、押さえ部14は、離型フィルムFの上方にあり、ローダ10に保持された成形前基板Saは離型フィルムFに接触していない。
【0053】
そのまま、さらにフィルム押さえ部材16aが離型フィルムFを下型LMに向けて押し付けながら下降すると、離型フィルムFは、先端が尖った3つの位置決めピン37に破られて、孔が開けられる。離型フィルムFには、離型フィルム吸引機構により張力が作用しているので、フィルム押さえ部材16aを押し付けると、離型フィルムFが下型キャビティMCbを含む下型LMの上面に吸引されると共に、フィルム押さえ部材16aに近い第2位置決めピン37bによって離型フィルムFに孔を開けることができる。また、図5図6には明示していないが、このフィルム押さえ部材16aの押し付けで、第1位置決めピン37aによって、離型フィルムFに僅かに孔が開くことがある。
【0054】
フィルム押さえ部材16aは、図5に示されるように、少なくとも離型フィルムFのうちフィルム押さえ部材16aで押し付けた箇所が下型LMに接触するまで離型フィルムFを押し付けながら下降する。フィルム押さえ部材16aの下面16cが離型フィルムFを下型LMの型面に接触させた状態においては、下降した成形前基板Saは、ポットブロック71の張り出し部71eと下型LMとの間に位置しており、離型フィルムFに接触していない。
【0055】
次に、保持部移動機構17は、駆動部17aを駆動させてレール17bに沿ってスライド部材17cをポットブロック71に近づく方向に水平移動させる。このとき、スライド部材17cの水平移動により、押さえ部14の連結シャフト14aや基板保持部13のレバー13cも水平移動する。これにより、押さえ部14の全体押さえ部材14b及び個別押さえ部材14c、並びに基板保持部13の保持爪13a、レバー13c、リンク13d、及びシャフト13eもポットブロック71に近づく方向に水平移動する。そして、保持爪13aで保持している成形前基板Saの外縁がポットブロック71に接触するか若しくは接触する直前で水平移動が終了する(図6参照)。押さえ部14の水平移動に伴って、フィルム押さえ部材16aは、下面16cが離型フィルムFに接触した状態で下型LMの上面を水平移動する。なお、押さえ部14に設けられているフィルム押さえ部材16aは、押さえ部14の水平移動によって下型キャビティMCb内に入り込むことはないように配置されている。これにより、フィルム押さえ部材16aで押さえた箇所だけではなく、第2位置決めピン37bの近傍の離型フィルムFも押さえて均すことができる。
【0056】
次に、基板保持部13は、図7に示されるように、駆動部13bにより、レバー13cを下方(下型LMに近づく方向)に移動させる。レバー13cを下方に移動させると、リンク13dのうちレバー13cと接続されている端部が下方に移動する。これにより、リンク13dの他方端部に接続されている保持爪13aがシャフト13eを中心に揺動して開く。保持爪13aが開くと、成形前基板Saの引っ掛りが外れて、成形前基板Saの保持が解除される。保持が解除された成形前基板Saはローダ10から落下して下型LMに載置される。このとき、成形前基板Saに形成されている第2位置決め孔49bは下型LMに配置された第2位置決めピン37bに嵌り込む。また、第1位置決めピン37aによって離型フィルムFに孔が開けられている場合、成形前基板Saに形成されている第1位置決め孔49aは下型LMに配置された第1位置決めピン37aに嵌まり込む。なお、ポットブロック71には、保持爪13aと対応した箇所に凹部71fを有しているため、保持爪13aが開いた状態でも、ポットブロック71には接触せず干渉しない。
【0057】
次に、不図示の昇降移動機構は、図8に示されるように、連結シャフト14aを含む押さえ部14をさらに下降させ、下型LMに載置した成形前基板Saを下型LMに向けて押さえ付ける。本実施形態において、位置決めピン37の尖った先端で離型フィルムFを破って孔を開けたが、離型フィルムFのうち孔の周囲の部分は孔が開けられる際に引っ張られて伸ばされている。そのため、位置決めピン37の周囲の離型フィルムFは弛んでおり、成形前基板Saを落下させて下型LMに載置したとしても、成形前基板Saが離型フィルムFの弛みの分だけ下型LMから浮いている場合がある。
【0058】
そのため、本実施形態においては、押さえ部14を下降させることにより、成形前基板Saを下型LMに確実に接触させている。このとき、特に、押さえ部14のうち個別押さえ部材14cの下面14fが全体押さえ部材14bの下面14eよりも下方に突出しているため、全体押さえ部材14bよりも個別押さえ部材14cの方が先に成形前基板Saに接触して成形前基板Saを下型LMに向けて押し付ける。個別押さえ部材14cには第2位置決めピン37bが入り込むピン挿入孔14dが形成されているので、個別押さえ部材14cは第2位置決めピン37bの周囲を押し付けることができる。その結果、第2位置決めピン37bの周囲の離型フィルムFは、第2位置決めピン37bの根本まで孔が開けられ、また、第1位置決めピン37aの周囲の離型フィルムFも第1位置決めピン37aによって孔が根本まで開けられ、成形前基板Saの浮き上がりを防止する。また、このとき、位置決めピン37の周囲にある離型フィルムFの伸ばされた箇所が凹部37cに入り込む。その後、全体押さえ部材14bにより、成形前基板Saの外縁が下型LMに向けて押し付けられる。これにより、成形前基板Saは下型LMから浮くことなく、下型LMと接触した状態になる。なお、押さえ部14で成形前基板Saを押し付ける際には、フィルム孔開け機構16のフィルム押さえ部材16aは、下面16cが下型LMの上面に向かって押されることにより、全体押さえ部材14bの下面14eと面一になるまで上昇する。このため、フィルム孔開け機構16が押さえ部14の上記作動を妨げることはない。
【0059】
その後、ローダ10は、押さえ部14で成形前基板Saを下型LMの型面に向けて押し付けた状態で樹脂タブレットTを下型LMのポット71a内に収容する(基板供給工程)。樹脂タブレットTをポット71a内に収容することにより、下型LMに内蔵されたヒータが樹脂タブレットTを加熱して、溶融樹脂Taとなる。
【0060】
次に、昇降移動機構により押さえ部14を図7に示される状態にまで上昇させる。次に、基板保持部13及び押さえ部14を、保持部移動機構17により図5に示される状態にまで水平移動させた後、昇降移動機構により図4に示される状態にまで上昇させる。そしてローダ10は、上型UMと下型LMとの間から成形型Cの外部に移動して、供給モジュール4に戻る。
【0061】
次に、制御部6により駆動力が制御された型締め機構5により、上型UMと下型LMとを近接移動させて上型UM及び下型LMを型締めする。このとき、型締め機構5により下型LM及びポットブロック71が上昇し、ポットブロック71の上面が上型UMに接触したときポットブロック71の上昇が停止する。そして、型締め機構5により下型LMがさらに上昇することにより、弾性部材74が圧縮されてポットブロック71が下型LMに接近し、張り出し部71eの下面が成形前基板Saのポット側端部に接触する。また、ポット側端部が接触しない成形前基板Saの端部に、上型UMの下面が接触する(型締め工程)。なお、上型UMには、型締め時に2つの第2位置決めピン37bの先端が入り込む凹部(不図示)が形成されている。また、ポットブロック71の張り出し部71eの成形前基板Saと接触する面には、第1位置決めピン37aの先端が入り込む凹部(不図示)が形成されている。
【0062】
次に、下型LMに収容された樹脂タブレットTが溶融した溶融樹脂Taを、制御部6により駆動力が制御されたトランスファ機構72により、上型キャビティMCa、下型キャビティMCbに注入する。これにより成形前基板Saは両面成形される(成形工程)。樹脂成形後、下型LMを下方に移動させて成形型Cの型開きを行う。この時、エジェクタピン83が成形済基板Sbを押して上型UMから離型させる。同時に、弾性部材74の圧縮が解除されてポットブロック71は上昇する。その結果、ポットブロック71のカル部71b、ランナ71c及びゲート71dなどに形成される不要樹脂を、両面成形された成形前基板Saから分離する動作(ゲートブレイク動作)が行われ、成形済基板Sbと不要樹脂とが分離される。
【0063】
その後、アンローダ42により不要樹脂及び成形済基板Sbが成形型Cから搬出し、不要樹脂を不要樹脂収容部(不図示)に廃棄し、成形済基板Sbを収容モジュール2の基板収容部46に収容する(図1参照)。この樹脂成形装置30によって製造されたパッケージ基板(成形済基板Sb)は、その後、切断装置によってパッケージ基板の不要な部分を取り除くとともに個片化され、個片化された切断品が品質検査を経た上で電子部品として用いられる。
【0064】
このように、本実施形態の樹脂成形装置30においては、ローダ10がフィルム孔開け機構16を有している。そのため、成形前基板Saの下型LMに対する位置決めを行う位置決めピン37が離型フィルムFに覆われている場合であっても、成形前基板Saを下型LMに載置する前にフィルム孔開け機構16のフィルム押さえ部材16aで離型フィルムFを成形前基板Saに押し付けて、位置決めピン37により離型フィルムFに孔を開けて、位置決めピン37を離型フィルムFから露出させることができる。このため、成形前基板Saを離型フィルムFに押し付けることにより離型フィルムFに孔を開ける場合と比較して、成形前基板Saが損傷したり載置位置がずれたりするおそれがなく、成形前基板Saを下型LMに対する正しい位置に載置することができる。
【0065】
〔別実施形態〕
以下、上述した実施形態の別実施形態について説明する。なお、上述した実施形態と同様の部材については、理解を容易にするため、同一の用語、符号を用いて説明する。
【0066】
<1>上述した実施形態では、下型LMに位置決めピン37を配置して離型フィルムFで覆ったが、上型UMに位置決めピン37を配置して該位置決めピン37を離型フィルムFで覆うように構成してもよい。また、下型LMと上型UMの両方に離型フィルムFを配置した場合にもフィルム孔開け機構16を適用可能である。
【0067】
<2>上述した実施形態では、フィルム押さえ部材16aは、2つの第2位置決めピン37bの近傍にのみ設けたが、第1位置決めピン37aの近傍にも設けてもよい。この場合、ポットブロック71にフィルム押さえ部材16aが収容される凹部を設けるとよい。また、フィルム押さえ部材16aの位置や個数は、樹脂成形される成形前基板Saに合わせて適宜設定することができる。
【0068】
<3>上述した実施形態においては、押さえ部14は全体押さえ部材14bと個別押さえ部材14cとを有していたが、個別押さえ部材14cを有さずに全体押さえ部材14bだけで構成されていてもよい。
【0069】
<4>上述した実施形態においては、押さえ部14で成形前基板Saを下型LMに向けて押し付けた状態で樹脂タブレットTを下型LMのポット71a内に収容したが、これに限られるものではない。押さえ部14で成形前基板Saを下型LMに押し付けて、押さえ部14を成形前基板Saから上昇させた後に、樹脂タブレットTを下型LMのポット71a内に収容してもよい。
【0070】
<5>上述した実施形態では、樹脂注入機構7は、下型LMに載置した成形前基板Saを、下型LMとポットブロック71の張り出し部71eとの間でクランプして樹脂成形する方式で、ポット71aから供給された溶融樹脂Taが成形前基板Saの端部を通らずに上型キャビティMCaに供給される方式(エッジゲート方式ということがある)であったが、下型LMに載置した成形前基板Saを、上型UMとの間でクランプして樹脂成形する方式で、ポット71aから供給された溶融樹脂Taが成形前基板Saの端部を通過して上型キャビティMCaに供給される方式(サイドゲート方式ということがある)であってもよい。サイドゲート方式の場合でも、ローダ10で成形型Cに搬入した成形前基板Saを下型LMに載置する前に、フィルム押さえ部材16aを水平移動させることにより、フィルム押さえ部材16aで押さえた箇所だけではなく、第2位置決めピン37bの近傍の離型フィルムFも押さえて均すことができる。この場合、例えば、図9に示すようなローダ10により、ベース部材11に設けたフィルム押さえ部材16aを、駆動源16dで水平移動させることができる。このとき、基板保持部13及び成形前基板Saは、水平移動しない。また、上述した実施形態では、成形前基板Saの両面に溶融樹脂Taを供給して両面成形を行ったが、上型キャビティMCaのみに溶融樹脂Taを注入する片面成形であってもよい。
【0071】
<6>上述した実施形態では、トランスファ方式の樹脂成形装置30にフィルム孔開け機構16を適用したが、コンプレッション方式の樹脂成形装置で下型に成形前基板を載置する場合にも適用可能である。
【0072】
<7>上述した実施形態では、保持部移動機構17により成形前基板Saを水平移動させたが、成形前基板Saを水平移動させる機構は、例えば特開2020-064919号公報の技術を採用してもよく特に限定されない。
【0073】
<8>上述した実施形態における樹脂成形装置30にて樹脂成形される成形前基板Saは、たとえば、半導体製基板(シリコンウェハ等)、金属製基板(リードフレーム等)、ガラス製基板、セラミック製基板、樹脂製基板又は配線基板である。
【0074】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上述の実施形態において説明した搬送装置(ローダ10)、樹脂成形装置30及び樹脂成形品(成形済基板Sb)の製造方法の概要について説明する。
【0075】
(1)搬送措置(ローダ10)の特徴構成は、成形対象物(成形前基板Sa)の位置決めを行う位置決め部(位置決めピン37、第1位置決めピン37a、第2位置決めピン37b)を有すると共に、位置決め部(位置決めピン37、第1位置決めピン37a、第2位置決めピン37b)がフィルム(離型フィルムF)で覆われた状態にある成形型Cに、成形対象物(成形前基板Sa)を保持した状態で搬送して載置する搬送装置(ローダ10)であって、成形対象物(成形前基板Sa)を保持する成形対象物保持部(基板保持部13)と、成形対象物保持部(基板保持部13)による保持が解除された成形対象物(成形前基板Sa)を成形型Cに載置する際に、成形対象物(成形前基板Sa)を成形型Cに向けて押し付ける成形対象物押さえ部(押さえ部14)と、成形対象物押さえ部(押さえ部14)が成形対象物(成形前基板Sa)を押し付ける前に、位置決め部(位置決めピン37、第1位置決めピン37a、第2位置決めピン37b)によってフィルム(離型フィルムF)に孔を開けさせるフィルム孔開け機構16と、を備えた点にある。
【0076】
本特徴構成に係る搬送装置(ローダ10)はフィルム孔開け機構16を有している。そのため、成形対象物(成形前基板Sa)の成形型Cに対する位置決めを行う位置決め部(位置決めピン37、第1位置決めピン37a、第2位置決めピン37b)がフィルム(離型フィルムF)に覆われている場合であっても、成形対象物(成形前基板Sa)を成形型Cに載置する前にフィルム孔開け機構16でフィルム(離型フィルムF)を押し付ける。その結果、位置決め部(位置決めピン37、第1位置決めピン37a、第2位置決めピン37b)によりフィルム(離型フィルムF)に孔を開けて、位置決め部(位置決めピン37、第1位置決めピン37a、第2位置決めピン37b)をフィルム(離型フィルムF)から露出させることができる。このため、成形対象物(成形前基板Sa)をフィルム(離型フィルムF)に押し付けることによりフィルム(離型フィルムF)に孔を開ける場合と比較して、成形対象物(成形前基板Sa)が損傷したり載置位置がずれたりするおそれがなく、成形対象物(成形前基板Sa)を成形型Cに対する正しい位置に載置することができる。
【0077】
(2)上記(1)に記載の搬送装置(ローダ10)において、フィルム孔開け機構16は、成形対象物(成形前基板Sa)の外側に備えられ、且つ位置決め部(第2位置決めピン37b)の近傍に、フィルム(離型フィルムF)を押さえることによりフィルム(離型フィルムF)に孔を開けさせるフィルム押さえ部材16aを有してもよい。
【0078】
本構成であれば、位置決め部(第2位置決めピン37b)の近傍にフィルム(離型フィルムF)を押さえることによりフィルム(離型フィルムF)に孔を開けさせるフィルム押さえ部材16aを有しているので、フィルム(離型フィルムF)に適度な押圧力が作用して確実に孔を開けることができる。
【0079】
(3)上記(2)に記載の搬送装置(ローダ10)において、フィルム押さえ部材16aは、フィルム(離型フィルムF)を押さえた後、フィルム(離型フィルムF)に接触した状態で水平移動可能に構成されていてもよい。
【0080】
本構成であれば、フィルム押さえ部材16aで押さえた箇所だけではなく、フィルム押さえ部材16aが水平移動した位置決め部(第2位置決めピン37b)の近傍のフィルム(離型フィルムF)も押さえることができる。その結果、フィルム(離型フィルムF)の孔近傍を均すことが可能となる。
【0081】
(4)上記(2)又は(3)に記載の搬送装置(ローダ10)において、成形対象物押さえ部(押さえ部14)は、フィルム押さえ部材16aの近傍に、成形対象物(成形前基板Sa)を押し付ける個別押さえ部材14cを有していてもよい。
【0082】
本構成であれば、成形対象物(成形前基板Sa)における位置決め部(第2位置決めピン37b)の周囲の部分を確実に成形型Cに押し付けることができる。
【0083】
(5)上記(4)に記載の搬送装置(ローダ10)において、成形対象物押さえ部(押さえ部14)は、成形対象物(成形前基板Sa)の外縁を前記成形型に向けて押し付ける全体押さえ部材14bを有し、個別押さえ部材14cは、成形対象物(成形前基板Sa)を成形型Cに向けて押し付けるとき、全体押さえ部材14bより早く成形対象物(成形前基板Sa)に接触するように、全体押さえ部材14bよりも突出していてもよい。
【0084】
本構成であれば、成形対象物(成形前基板Sa)における位置決め部(第2位置決めピン37b)の周囲の部分を確実に成形型Cに押し付けて浮き上がりを防止した状態で、全体押さえ部材14bにより成形対象物(成形前基板Sa)の外縁を押し付けることができるので、成形対象物(成形前基板Sa)の全体を確実に成形型Cに押し付けることができる。
【0085】
(6)上記(2)から(5)のいずれか一つに記載の搬送装置(ローダ10)において、フィルム押さえ部材16aは、先端にR状の面取りを有する棒状であってもよい。
【0086】
本構成であれば、フィルム押さえ部材16aは、先端にR状の面取りを有する棒状であるため、エッジでフィルム(離型フィルムF)を破ることがない。
【0087】
(7)上記(1)から(6)のいずれか一つに記載の樹脂成形装置30の特徴構成は、搬送装置(ローダ10)により成形対象物(成形前基板Sa)が載置される成形型Cと、成形型Cを型締めする型締め機構5と、を備えた点にある。
【0088】
本特徴構成に係る樹脂成形装置30であれば、上記(1)から(6)のいずれか一つに記載の搬送装置(ローダ10)により成形対象物(成形前基板Sa)を成形型Cに載置した後、成形型Cを型締め機構5により型締めして樹脂成形品(成形済基板Sb)を製造することができる。
【0089】
(8)上記(7)に記載の樹脂成形装置30を用いた樹脂成形品(成形済基板Sb)の製造方法の特徴は、フィルム孔開け機構16によりフィルム(離型フィルムF)に孔を開けた後、成形対象物保持部(基板保持部13)による保持が解除された成形対象物(成形前基板Sa)を成形型Cに載置し、成形対象物押さえ部(押さえ部14)により成形対象物(成形前基板Sa)を成形型Cに向けて押し付けると共に樹脂材料(樹脂タブレットT、溶融樹脂Ta)を供給する供給工程と、型締め機構5により成形型Cを型締めする型締め工程と、成形対象物(成形前基板Sa)の樹脂成形を行う成形工程と、を含む点にある。
【0090】
本特徴を有する樹脂成形品(成形済基板Sb)の製造方法においては、成形対象物(成形前基板Sa)を成形型Cに載置する前にフィルム孔開け機構16によりフィルム(離型フィルムF)に孔を開け、成形対象物保持部(基板保持部13)による保持を解除して成形対象物(成形前基板Sa)を成形型Cに載置する。その後、成形対象物押さえ部(押さえ部14)により成形対象物(成形前基板Sa)を成形型Cに向けて押し付けると共に樹脂材料(樹脂タブレットT、溶融樹脂Ta)を供給する供給工程を実行する。次に、型締め機構5により成形型Cを型締めする型締め工程と、成形対象物(成形前基板Sa)の樹脂成形を行う成形工程と、を行って樹脂成形品(成形済基板Sb)を製造する。これにより、成形対象物(成形前基板Sa)を成形型Cに対して正しい位置に載置した状態で、樹脂成形品(成形済基板Sb)を製造することができるので、成形型Cを用いて樹脂成形品(成形済基板Sb)を精度よく製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、搬送装置、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0092】
5 :型締め機構
10 :ローダ(搬送装置)
13 :基板保持部(成形対象物保持部)
14 :押さえ部(成形対象物押さえ部)
14b :全体押さえ部材
14c :個別押さえ部材
16 :フィルム孔開け機構
16a :フィルム押さえ部材
30 :樹脂成形装置
37 :位置決めピン(位置決め部)
37a :第1位置決めピン(位置決め部)
37b :第2位置決めピン(位置決め部)
C :成形型
F :離型フィルム(フィルム)
Sa :成形前基板(成形対象物)
Sb :成形済基板(樹脂成形品)
T :樹脂タブレット(樹脂材料)
Ta :溶融樹脂(樹脂材料)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-05-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形対象物の位置決めを行う位置決め部を有すると共に、前記位置決め部がフィルムで覆われた状態にある成形型に、前記成形対象物を保持した状態で搬送して載置する搬送装置であって、
前記成形対象物を保持する成形対象物保持部と、
前記成形対象物保持部による保持が解除された前記成形対象物を前記成形型に載置する際に、前記成形対象物を前記成形型に向けて押し付ける成形対象物押さえ部と、
前記成形対象物押さえ部が前記成形対象物を押し付ける前に、前記位置決め部によって前記フィルムに孔を開けさせるフィルム孔開け機構と、を備えた搬送装置。
【請求項2】
前記フィルム孔開け機構は、前記成形対象物の外側に備えられ、且つ前記位置決め部の近傍に、前記フィルムを押さえることにより前記フィルムに孔を開けさせるフィルム押さえ部材を有する請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記フィルム押さえ部材は、前記フィルムを押さえた後、前記フィルムに接触した状態で水平移動可能に構成されている請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記成形対象物押さえ部は、前記フィルム押さえ部材の近傍に、前記成形対象物を押し付ける個別押さえ部材を有する請求項2に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記成形対象物押さえ部は、前記成形対象物の外縁を前記成形型に向けて押し付ける全体押さえ部材を有し、
前記個別押さえ部材は、前記成形対象物を前記成形型に向けて押し付けるとき、前記全体押さえ部材より早く前記成形対象物に接触するように、前記全体押さえ部材よりも突出している請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記フィルム押さえ部材は、先端にR状の面取りを有する棒状である請求項2から5のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項7】
請求項2から5のいずれか一項の搬送装置と、
前記搬送装置により前記成形対象物が載置される前記成形型と、
前記成形型を型締めする型締め機構と、を備えた樹脂成形装置。
【請求項8】
請求項7に記載の樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、
前記フィルム孔開け機構により前記フィルムに孔を開けた後、前記成形対象物保持部による保持が解除された前記成形対象物を前記成形型に載置し、前記成形対象物押さえ部により前記成形対象物を前記成形型に向けて押し付けると共に樹脂材料を供給する供給工程と、
前記型締め機構により前記成形型を型締めする型締め工程と、
前記成形対象物の樹脂成形を行う成形工程と、を含む樹脂成形品の製造方法。