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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167789
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241127BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
G03G21/00 386
G03G21/00 380
G03G15/20 555
G03G15/20 510
G03G21/00 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084113
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北島 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】広田 真吾
(72)【発明者】
【氏名】森 光太
(72)【発明者】
【氏名】山本 直之
(72)【発明者】
【氏名】田村 修一
(72)【発明者】
【氏名】仲江川 徹
【テーマコード(参考)】
2H033
2H270
【Fターム(参考)】
2H033AA02
2H033CA07
2H033CA12
2H033CA27
2H033CA30
2H033CA36
2H270KA35
2H270LA44
2H270LB04
2H270LB11
2H270MA34
2H270MA35
2H270MH09
2H270PA14
2H270PA24
2H270PA81
2H270QA13
2H270QA23
2H270QA33
2H270QA35
2H270QA55
2H270QB08
2H270QB10
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZD04
(57)【要約】
【課題】圧着印刷物の表面や裏面にトナー像を形成する際に、無駄な圧着印刷物が生じるのを抑制可能な画像形成装置の提供。
【解決手段】制御部は画像形成対象の記録材として「圧着はがき」が選択された場合に(S2のYes)、「糊面印刷方式」が「トナー」であるか否か(S3)、また「糊の塗布領域」が「縁糊」であるか否か(S4)を判定する。「糊面印刷方式」が「トナー」であり(S3のYes)、且つ、「糊の塗布領域」が「縁糊」である場合(S4のYes)、液晶表示部に警告画面が表示される(S5)。警告画面には、圧着はがきの開封時に秘匿画像に剥がれが生じる可能性がある旨の警告が表示される。警告表示することで、ユーザに画像形成を実行しないことを選択させ得る。また、ユーザは「秘匿画像に剥がれが生じる可能性がある」ことを認識したうえで、画像形成を実行できる。こうして、無駄な圧着はがきが生じるのを抑制できる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材にトナー像を形成可能な画像形成部と、
前記画像形成部によりトナー像が形成された記録材に熱及び圧力を加えてトナー像を定着させる定着部と、
情報を表示可能で、且つ、ユーザが操作可能な操作部と、
第一面に画像が形成され、且つ、前記第一面が折り曲げられて接着された記録材の第二面にトナー像を形成するモードを実行可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、前記モードを実行する際に、
前記第一面に形成された画像がトナーにより形成されているかあるいはインクにより形成されているかを選択可能な第一画面を前記操作部に表示させ、且つ、前記第一面の接着領域が前記第一面の全面であるかあるいは前記第一面の縁のみであるかを選択可能な第二画面を前記操作部に表示させ、
前記第一画面において画像がトナーにより形成されていることが選択され、前記第二画面において前記第一面の接着領域が前記第一面の縁のみであることが選択された場合には、前記モードを実行することで前記第二面にトナー像が形成された記録材の前記第一面を開封する際に異常が発生する旨の情報を前記操作部に表示させる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記操作部は、情報を表示可能で、且つ、タッチ操作が可能なタッチパネルである、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記異常が発生する旨の情報として、前記第一面にトナーにより形成されている画像に剥がれが生じる旨を前記操作部に表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第一画面において画像がトナーにより形成されていることが選択され、前記第二画面において前記第一面の接着領域が前記第一面の縁のみであることが選択された場合に、前記モードの実行可否を選択可能な第三画面を前記操作部に表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記異常が発生する旨の情報と前記第三画面を同時に前記操作部に表示させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第一画面において画像がトナーにより形成されていることが選択され、前記第二画面において前記第一面の接着領域が前記第一面の縁のみであることが選択された場合に、前記モードを実行する際の前記第二面に形成するトナー像を定着させる定着条件を変更するための変更画面を前記操作部に表示可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記変更画面に遷移するか遷移しないかを選択可能な選択画面を前記操作部に表示させ、前記選択画面において前記変更画面に遷移することが選択された場合に、前記変更画面を前記操作部に表示させる、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記モードの実行可否を選択可能な第三画面と、前記選択画面を同時に前記操作部に表示させる、
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記定着部は、第一回転体と、前記第一回転体に当接して前記記録材を挟持搬送しつつ熱及び圧力を加えてトナー像を定着させる定着ニップ部を形成する第二回転体と、前記第一回転体を加熱するヒータとを有し、
前記第一回転体の温度を検知する温度センサと、を備え、
前記制御部は、
前記第一回転体の温度を第一温度に制御する第一定着モードと、前記第一回転体の温度を前記第一温度よりも低い第二温度に制御する第二定着モードを実行可能であり、
前記変更画面として、前記第一定着モードと前記第二定着モードのいずれかを選択可能な画面を前記操作部に表示させる、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記定着部は、第一回転体と、前記第一回転体に当接して前記記録材を挟持搬送しつつ熱及び圧力を加えてトナー像を定着させる定着ニップ部を形成する第二回転体と、を有し、
前記第一回転体を回転駆動する回転駆動部と、を備え、
前記制御部は、
前記回転駆動部の回転速度を第一速度に制御する第一定着モードと、前記回転駆動部の回転速度を前記第一速度よりも速い第二速度に制御する第二定着モードを実行可能であり、
前記変更画面として、前記第一定着モードと前記第二定着モードのいずれかを選択可能な画面を前記操作部に表示させる、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記定着部は、第一回転体と、前記第一回転体に当接して前記記録材を挟持搬送しつつ熱及び圧力を加えてトナー像を定着させる定着ニップ部を形成する第二回転体と、を有し、
前記第一回転体を前記第二回転体に加圧させる加圧部と、
前記加圧部を駆動する加圧駆動部と、を備え、
前記制御部は、
前記加圧駆動部の加圧力を第一加圧力に制御する第一定着モードと、前記加圧駆動部の加圧力を前記第一加圧力よりも小さい第二加圧力に制御する第二定着モードを実行可能であり、
前記変更画面として、前記第一定着モードと前記第二定着モードのいずれかを選択可能な画面を前記操作部に表示させる、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項12】
記録材にトナー像を形成可能な画像形成部と、
前記画像形成部によりトナー像が形成された記録材に熱及び圧力を加えてトナー像を定着させる定着部と、
情報を出力可能な出力部と、
第一面に画像が形成され、且つ、前記第一面が折り曲げられて接着された記録材の第二面にトナー像を形成するモードを実行可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、前記モードを実行する際に、
前記第一面に形成された画像がトナーにより形成されているかあるいはインクにより形成されているかを選択可能な第一画面を前記出力部に出力させ、且つ、前記第一面の接着領域が前記第一面の全面であるかあるいは前記第一面の縁のみであるかを選択可能な第二画面を前記出力部に出力させ、
前記第一画面において画像がトナーにより形成されていることが選択され、前記第二画面において前記第一面の接着領域が前記第一面の縁のみであることが選択された場合には、前記モードを実行することで前記第二面にトナー像が形成された記録材の前記第一面を開封する際に異常が発生する旨の情報を前記出力部に出力させる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリあるいは複合機などの、電子写真技術を利用した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、情報の秘匿性に優れた圧着印刷物を作成可能な画像形成システムが提案されている(特許文献1)。圧着印刷物としては、例えば個人情報などが画像として形成された面と面とを重ね合わせて疑似接着し、疑似接着された面と面とが剥離されるまで、個人情報を読み取ることができないようにした圧着はがきなどが挙げられる。圧着印刷物は、記録材において糊が塗布された糊面にユーザ所望の秘匿したい情報に関する画像(秘匿画像と呼ぶ)が形成され、続けて記録材を折り曲げて熱及び圧力を加えることで疑似接着される。なお、ここでいう擬似接着とは、接着後に剥離可能であり、剥離後に再接着し難い接着の一態様である。
【0003】
ところで、圧着印刷物の表面や裏面には、画像形成装置により宛名などの画像を別途形成可能である。電子写真技術を利用した画像形成装置では、圧着印刷物にトナーを用いてトナー像を形成し、その後、圧着印刷物に熱及び圧力を加えることでトナー像を圧着印刷物に定着させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-35454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来では、秘匿画像がインクでなくトナーにより形成されたトナー像である場合、表面や裏面にトナー像を形成した圧着印刷物が開封される際に、秘匿画像(トナー像)に剥がれが生じる虞があった。これは、圧着印刷物の表面や裏面にトナー像を定着させるために加えられた熱によって秘匿画像の一部のトナーが溶融してしまい、圧着印刷物の開封時に溶融したトナーが一方の面から他方の面へと転移してしまうからである。秘匿画像に剥がれが生じると、圧着印刷物が無駄になる。そこで、従来から、圧着印刷物の表面や裏面にトナー像を形成する場合に無駄な圧着印刷物が生じるのを抑制可能な画像形成装置が望まれていたが、未だそうした装置は提供されていない。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされ、圧着印刷物の表面や裏面にトナー像を形成する際に、無駄な圧着印刷物が生じるのを抑制可能な画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る画像形成装置は、記録材にトナー像を形成可能な画像形成部と、前記画像形成部によりトナー像が形成された記録材に熱及び圧力を加えてトナー像を定着させる定着部と、情報を表示可能で、且つ、ユーザが操作可能な操作部と、第一面に画像が形成され、且つ、前記第一面が折り曲げられて接着された記録材の第二面にトナー像を形成するモードを実行可能な制御部と、を備え、前記制御部は、前記モードを実行する際に、前記第一面に形成された画像がトナーにより形成されているかあるいはインクにより形成されているかを選択可能な第一画面を前記操作部に表示させ、且つ、前記第一面の接着領域が前記第一面の全面であるかあるいは前記第一面の縁のみであるかを選択可能な第二画面を前記操作部に表示させ、前記第一画面において画像がトナーにより形成されていることが選択され、前記第二画面において前記第一面の接着領域が前記第一面の縁のみであることが選択された場合には、前記モードを実行することで前記第二面にトナー像が形成された記録材の前記第一面を開封する際に異常が発生する旨の情報を前記操作部に表示させる、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の一実施形態に係る画像形成装置は、記録材にトナー像を形成可能な画像形成部と、前記画像形成部によりトナー像が形成された記録材に熱及び圧力を加えてトナー像を定着させる定着部と、情報を出力可能な出力部と、第一面に画像が形成され、且つ、前記第一面が折り曲げられて接着された記録材の第二面にトナー像を形成するモードを実行可能な制御部と、を備え、前記制御部は、前記モードを実行する際に、前記第一面に形成された画像がトナーにより形成されているかあるいはインクにより形成されているかを選択可能な第一画面を前記出力部に出力させ、且つ、前記第一面の接着領域が前記第一面の全面であるかあるいは前記第一面の縁のみであるかを選択可能な第二画面を前記出力部に出力させ、前記第一画面において画像がトナーにより形成されていることが選択され、前記第二画面において前記第一面の接着領域が前記第一面の縁のみであることが選択された場合には、前記モードを実行することで前記第二面にトナー像が形成された記録材の前記第一面を開封する際に異常が発生する旨の情報を前記出力部に出力させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、圧着印刷物の表面や裏面にトナー像を形成する際に、無駄な圧着印刷物が生じるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の画像形成装置を示す概略図。
図2】定着装置を示す概略図。
図3】画像形成装置の制御構成を示す制御ブロック図。
図4】2つ折り用の圧着用紙を示す図であり、(a)全面糊タイプ、(b)縁糊タイプ。
図5】圧着はがきの作成工程について説明するための図であり、(a)圧着用紙に秘匿画像が形成された状態、(b)圧着用紙が折り加工された状態、(c)圧着はがきの断面、(d)圧着はがきに非秘匿画像が形成された状態。
図6】第一実施形態の画像形成処理を示すフローチャート。
図7】「セット箇所選択画面」を示す図。
図8】「記録材種類選択画面」を示す図。
図9】(a)「圧着はがき設定画面」を示す図、(b)「ヘルプ画面」を示す図。
図10】(a)「糊面印刷方式選択画面」を示す図、(b)「糊の塗布領域選択画面」を示す図。
図11】「警告画面」を示す図。
図12】第二実施形態の画像形成処理を示すフローチャート。
図13】(a)「処理オプション選択画面」を示す図、(b)「定着温度の変更画面」を示す図。
図14】定着モードと定着温度との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第一実施形態]
<画像形成装置>
以下、本実施形態について説明する。まず、本実施形態の画像形成装置100について説明する。画像形成装置100は、電子写真方式のタンデム型のフルカラープリンタである。図1に示すように、画像形成装置100は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成する画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdを有する。画像形成装置100は、装置本体に接続された原稿読取装置(不図示)又は装置本体に対しデータ入出力可能に接続されたパーソナルコンピュータ等の外部機器900から送られる画像データに基づいてトナー像を記録材Sに形成する。
【0012】
図1に示すように、画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdは、画像形成装置本体内に中間転写ベルト130の移動方向に沿って並べて配置されている。中間転写ベルト130は複数のローラ(13、14、15)に張架されて回転されている。そして、中間転写ベルト130は後述のようにして一次転写されるトナー像を担持して搬送する。中間転写ベルト130を張架する二次転写内ローラ14と中間転写ベルト130を挟んで対向する位置には、二次転写外ローラ11が配置され、中間転写ベルト130上のトナー像を記録材Sに転写する二次転写部T2を形成している。二次転写部T2の記録材搬送方向下流には、定着装置8が配置されている。
【0013】
画像形成装置100は、記録材Sがセットされたカセット10を有している。記録材Sは、搬送ローラ16によりカセット10から供給され、レジストレーションローラ12に向け搬送される。その後、レジストレーションローラ12が中間転写ベルト130上に形成されたトナー像と同期して回転開始されることにより、記録材Sは二次転写部T2に搬送される。カセット10はサイズや厚さの異なる記録材Sをセット可能に複数配置されていてもよく、その場合、複数のカセット10のいずれかからユーザにより選択された記録材Sが供給される。また、本実施形態の場合、手差しトレイ160にセットされた記録材Sが供給される。なお、オプションとして画像形成装置100に不図示の記録材供給装置が接続されて、記録材供給装置にセットされた記録材Sが画像形成装置100へ供給されるようにしてもよい。
【0014】
画像形成装置100が備える4つの画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdは、現像色が異なることを除いて実質的に同一の構成を有する。したがって、ここでは代表してイエローの画像形成ステーションPaについて説明し、その他の画像形成ステーションPb、Pc、Pdについては説明を省略する。
【0015】
画像形成ステーションPaには、円筒型の感光ドラム3aが配設されている。感光ドラム3aは、所定方向に回転駆動される。感光ドラム3aの周囲には帯電装置2a、露光装置La、現像装置1a、一次転写ローラ24a、ドラムクリーニング装置4aが配置されている。
【0016】
画像形成装置100により、例えばフルカラーの画像を形成するプロセスについて説明する。まず、画像形成動作が開始されると、回転する感光ドラム3aの表面が帯電装置2aによって一様に帯電される。帯電装置2aは、例えばコロナ放電に伴う荷電粒子を照射して感光ドラム3aを一様な負極性の暗部電位に帯電させるコロナ帯電器などである。次いで、感光ドラム3aは、露光装置Laから発せられる画像信号に対応したレーザ光により走査露光される。これにより、感光ドラム3aの表面に画像信号に応じた静電潜像が形成される。感光ドラム3aに形成された静電潜像は、現像装置1a内に収容されているトナーとキャリアを含む現像剤によって可視像であるトナー像に現像される。
【0017】
本実施形態の場合、現像装置1aは、現像剤として非磁性トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤を使用している。トナーは、結着樹脂、着色剤、及び離型剤(ワックス)を含有している。結着樹脂は、公知のものを用いることができる。例えば、スチレン-(メタ)アクリル共重合体に代表されるビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、ビニル系共重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合されたハイブリッド樹脂、エポキシ樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体等の樹脂を使用できる。着色剤は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックに関して、それぞれ公知のものを用いることができる。
【0018】
離型剤としては、例えば低分子量ポリエチレン、低分子量オレフィン共重合体ワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、ベヘン酸ベヘニルやステアリン酸ベヘニルなどの高級脂肪酸と高級アルコールとの合成反応物であるエステルワックス、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。
【0019】
感光ドラム3aに形成されたトナー像は、中間転写ベルト130を挟んで配置される一次転写ローラ24aとの間で構成される一次転写部にて、中間転写ベルト130に一次転写される。この際、一次転写ローラ24aには一次転写電圧が印加される。一次転写後に感光ドラム3aの表面に残ったトナーは、ドラムクリーニング装置4aによって除去される。
【0020】
このような動作をイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各画像形成ステーションPa~Pdで順次行い、中間転写ベルト130上で4色のトナー像を重ね合わせる。その後、トナー像の形成タイミングにあわせて、カセット10にセットされた記録材Sが二次転写部T2に搬送される。そして、二次転写外ローラ11に二次転写電圧が印加されることにより、中間転写ベルト130上に形成されたフルカラーのトナー像が記録材Sに一括して二次転写される。二次転写後に中間転写ベルト130上に残ったトナーは、ベルトクリーニング装置22によって除去される。なお、本実施形態の場合、画像形成ステーションPa~Pd、中間転写ベルト130、ローラ(13、14、15)、二次転写外ローラ11などにより、記録材Sにトナー像を形成可能な画像形成部150が構成されている。
【0021】
トナー像が形成された記録材Sは、定着部としての定着装置8へ搬送される。定着装置8は、第一回転体としての定着ローラ81と、第二回転体としての加圧ローラ82を有している。加圧ローラ82は定着ローラ81に当接して記録材Sを挟持搬送しつつ熱及び圧力を加えてトナー像を定着させる定着ニップ部Nを形成する。定着ローラ81内には定着ローラ81を加熱するためのヒータ80が配置され、また定着ローラ81外には定着ローラ81の温度を検知するための温度センサ90が配置されている。定着ローラ81は加圧ローラ82に加圧可能に設けられ、本実施形態の場合、定着ローラ81が回転駆動部としての回転用モータ810(図2参照)により駆動されると、加圧ローラ82は定着ローラ81と同じ速度で従動回転される。
【0022】
定着装置8では、定着ローラ81が加圧ローラ82に加圧されることによって形成される定着ニップ部Nで、記録材Sが挟持搬送される際に熱及び圧力が加えられ、トナー像が記録材Sに定着される。トナー像が定着された記録材Sは、片面印刷あるいは両面印刷後に画像形成装置100外へ排出される。なお、ここでは、定着ローラ81及び加圧ローラ82を用いた定着装置8を例に示したが、これに限らず、無端ベルト状の定着ベルトや加圧ベルトを用いた定着装置であってもよい。
【0023】
次に、定着ローラ81を加圧ローラ82に加圧させるための加圧機構について、図2を用いて説明する。図2に示すように、定着ローラ81は加圧部としての加圧機構500によって加圧ローラ82に対し加圧される。加圧機構500は定着ローラ81の両端側に同じものが一対設けられており、加圧機構500は加圧バネ501と偏心カム502とを有する。偏心カム502は、加圧駆動部としての加圧用モータ820により回転されて所定の回転角度で停止される。
【0024】
定着ローラ81は、回転軸の両端側が回転自在に軸受部81aに軸受されている。本実施形態の場合、軸受部81aが加圧バネ501により加圧ローラ82に向けて付勢されることで、定着ローラ81は加圧ローラ82に加圧される。加圧バネ501は、偏心カム502の回転角度に応じた押圧量で押圧されて伸縮し得る。したがって、加圧用モータ820を制御することによって、定着ローラ81を加圧ローラ82に対し所望の加圧力で加圧させることができる。
【0025】
<制御部>
画像形成装置100は制御部101を備え、制御部101は画像形成装置100を制御して記録材Sにトナー像を形成させる。そこで、画像形成装置100の制御構成について、図1を参照しながら図3を用いて説明する。なお、制御部101には図3に図示した以外にもセンサや電源等の各種機器が接続されていてよいが、ここでは発明の本旨でないのでそれらの図示及び説明を省略している。
【0026】
制御部101は、CPU102(Central Processing Unit)、ROM103(Read Only Memory)、RAM104(Random Access Memory)を有する。ROM103やRAM104には、後述する「画像形成処理」(図6参照)などの各種プログラムや各種データが記憶される。なお、RAM104は、各種プログラムの実行に伴う演算処理結果などを一時的に記憶することもできる。本実施形態の場合、後述するように、制御部101は「画像形成処理」において、糊面(第一面)に画像が形成され、且つ、糊面が折り曲げられて接着された圧着はがきの表面や裏面(第二面)にトナー像を形成するモードを実行可能である。
【0027】
画像形成装置100は例えば液晶表示部710を有する操作部700を備えており、操作部700は制御部101に接続されている。操作部700は、液晶表示部710に各種プログラムや各種データあるいは後述する各種画面を表示可能である。操作部700はユーザが操作可能な例えばタッチパネル等であってよく、ユーザのタッチ操作に応じて「画像形成ジョブ」などの各種プログラムの開始入力や各種データ入力などを受け付ける。
【0028】
また、本実施形態では、制御部101と外部機器900との間で、「画像形成ジョブ」などの各種プログラムの開始入力や、画像データや印刷設定などの各種データのデータ入出力を行うために、出力部910が設けられている。また、出力部910は、外部機器900が有する表示部に後述する各種画面を表示させることが可能である。即ち、画像形成装置100は、無線あるいは有線で接続された外部機器900との間でデータ送受信して画像形成処理を行うことが可能である。
【0029】
制御部101には、操作部700や出力部910の他に、画像形成部150、ヒータ80、温度センサ90、回転用モータ810、加圧用モータ820が接続されており、制御部101はこれらの機器を制御する。例えば、操作部700あるいは外部機器900から「画像形成ジョブ」の開始が入力された場合、CPU102はROM103に記憶されている画像形成処理(プログラム)を実行する。これに伴い、画像形成部150が動作されて、記録材Sにトナー像が形成される。
【0030】
そして、制御部101は、温度センサ90により検知される定着ローラ81の温度に基づいて、ヒータ80により定着ローラ81の温度を所定の目標温度に制御することができる。これにより、トナー像を定着させる定着条件の1つである定着ニップ部Nを通過させる際に記録材Sに加える温度が変更される。制御部101は、ヒータ80により定着ローラ81の温度を第一温度に制御する第一定着モードと、ヒータ80により定着ローラ81の温度を第一温度よりも低い第二温度に制御する第二定着モードを実行可能である。
【0031】
また、制御部101は、回転用モータ810を制御して定着ローラ81(並びに加圧ローラ82)の速度を調整することができる。これにより、トナー像を定着させる定着条件の1つである定着ニップ部Nを通過させる際の記録材Sの搬送速度が変更される。制御部101は、回転用モータ810の回転速度を第一速度に制御する第一定着モードと、回転用モータ810の回転速度を第一速度よりも速い第二速度に制御する第二定着モードを実行可能である。
【0032】
さらに、制御部101は、加圧用モータ820を制御して定着ローラ81による加圧ローラ82への加圧量を調整することができる。これにより、トナー像を定着させる定着条件の1つである定着ニップ部Nを通過させる際の記録材Sへの圧力が変更される。制御部101は、加圧用モータ820の加圧力を第一加圧力に制御する第一定着モードと、加圧用モータ820の加圧力を第一加圧力よりも小さい第二加圧力に制御する第二定着モードを実行可能である。
【0033】
<圧着はがきについて>
次に、圧着はがきについて説明する。本実施形態では、後述するように画像形成対象の記録材Sとして圧着はがきが用いられる。圧着はがきは記録材Sを折り曲げ疑似接着することにより作成されるが、疑似接着を行う方式としては例えば糊方式、ニス方式、フィルム方式などが挙げられる。糊方式は記録材Sに感圧接着剤を塗布し、記録材Sに熱及び圧力を加えることにより疑似接着する方式である。ニス方式は記録材Sに紫外線硬化性のニスを塗布し、紫外線を照射するとともに記録材Sに熱及び圧力を加えることにより疑似接着する方式である。フィルム方式は重ね合わせた面の間に感熱性の接着フィルムを挿入し、記録材Sに熱及び圧力を加えることにより疑似接着する方式である。なお、以下では説明を理解しやすくするために、予め糊が塗布済みの先糊タイプの圧着用紙を用いて、圧着印刷物としての圧着はがきを作成する場合を例に説明する。
【0034】
まず、圧着はがきを作成するのに用いる圧着用紙について、図4(a)及び図4(b)を用いて説明する。図4(a)は全面糊タイプのV字折り(2つ折り)用の圧着用紙を示し、図4(b)は縁糊タイプのV字折り(2つ折り)用の圧着用紙を示す。図4(a)及び図4(b)において、上段は圧着用紙の一面目を示し、下段は圧着用紙の二面目を示している。なお、各図の符号Xは、圧着用紙における接着領域つまりは糊の塗布領域を示している。
【0035】
図4(a)及び図4(b)に示すように、先糊タイプの圧着用紙は基材の上に接着剤層(接着領域)が形成されている。基材としては、少なくとも片面に接着剤層を形成することが可能な用紙等であればよく、例えば、上質紙、中質紙、コート紙などを挙げることができる。また、情報の秘匿性の観点から、基材は光を透過せずに、一面目に形成される秘匿画像(ユーザ所望の秘匿したい情報に関する画像)が二面目から透けて見え難いものであるのが望ましい。
【0036】
接着剤層は加圧により疑似接着する感圧接着剤であって、感圧接着剤は接着剤基材と接着力調整剤とを含む。接着剤基材は、例えば、天然ゴムラテックスやその変性体、合成ゴムラテックス、合成樹脂等を配合した組成物が用いられ、接着力を発揮する。接着力調整剤は、パラフィンワックス等公知のワックス、もしくはシリカ、酸化チタン、炭酸カルシウムなどによる微粒子状の充填剤である。いずれも接着剤基材との親和性が低く、感圧接着剤としての接着力を調整するために充填される。
【0037】
接着剤基材に含有された微粒子状の充填剤が接着剤基材から突出することにより、接着剤層表面に凸凹形状が形成される。この凸凹形状により、非加圧時には接着剤基材が表面に出ていないため、接着性が発現しない。一方、接着剤層を塗布した面同士を重ね合わせて加圧すると、凸凹の下にある接着剤基材が表面に出てくるため、接着剤基材と対向する表面の接着剤基材もしくは接着力調整剤とが接触することで、接着性が発現する。なお、郵送料などの輸送コストが封書よりも圧着はがきのほうが安価である点を考慮すると、基材と接着剤層を合わせた記録材Sの坪量は例えば「64g/m乃至209g/m」が望ましい。
【0038】
<糊の塗布領域について>
図4(a)に示すように、全面糊タイプの圧着用紙では、記録材Sのほぼ「全面」に糊が塗布されている。全面糊タイプの圧着用紙は、一面側においてほぼ全体が接着剤層で覆われている。これに対し、図4(b)に示すように、縁糊タイプの圧着用紙では、記録材Sの縁に糊が塗布されている。縁糊タイプの圧着用紙は、一面側において縁に沿って糊が塗布され、それ以外に糊が塗布されていない。
【0039】
2つ折り用の圧着用紙は、上段に示す糊を塗布した糊面(801、802)と、下段に示す糊を塗布していない非糊面(803、804)との表裏構成である。圧着用紙は、例えば糊面において第一領域801と第二領域802の間の折り目Sa1の位置で谷折りされ2つ折りされる。この場合、糊面(第一領域801、第二領域802)に個人情報などのユーザが秘匿したい秘匿画像が形成され、非糊面(第三領域803、第四領域804)に宛名などのユーザが秘匿しなくてよい非秘匿画像が形成される。
【0040】
次に、縁糊タイプの圧着用紙を用いて圧着はがきを作成する工程について説明する。 図5(a)乃至図5(b)は、圧着はがきの作成工程について説明するための図である。図5(a)は圧着用紙に秘匿画像が形成された状態を示し、図5(b)は圧着用紙が折り加工された状態を示し、図5(c)は圧着はがきの断面を示し、図5(d)は圧着はがきに非秘匿画像が形成された状態を示す。
【0041】
まず、図5(a)に示すように、圧着用紙の糊面(801、802)には「太陽マーク」と「顔マーク」のトナー像が形成される。続いて、圧着用紙は第一領域801と第二領域802の間の折り目Sa1の位置で、図5(b)に示すように、谷折りされて2つ折りされる。そして、図5(c)に示すように、折り加工された圧着用紙が圧着加工されることで、糊面(801、802)に形成された「太陽マーク」と「顔マーク」とを秘匿画像とする圧着はがきが作成される。圧着はがきでは、秘匿画像の「太陽マーク」と「顔マーク」とが互いに接触している状態である。その後、ユーザは作成された圧着はがきをカセット10や手差しトレイ160(図1参照)にセットし、圧着はがきの表面や裏面に非秘匿画像を形成する。ここでは、非秘匿画像として、図5(d)に示すように、非糊面(803)に「宛名」のトナー像が形成されている。
【0042】
ところで、圧着はがきの非糊面(803)に「宛名」のトナー像を定着するため、圧着はがきは「宛名」のトナー像形成後に定着装置8により熱及び圧力が加えられる。このとき、圧着はがきの糊面(801、802)に形成されている「太陽マーク」と「顔マーク」とは、互いに接触した状態で熱と圧力が再度加えられる。すると、「太陽マーク」と「顔マーク」の一部のトナーが熱によって溶融し、「太陽マーク」と「顔マーク」とが張り付いてしまい、圧着はがきを剥離する際に一部のトナーが一方の面から他方の面へと転移してしまう。特には、縁糊タイプの圧着用紙を用いて作成された圧着はがきに、非秘匿画像として宛名などのトナー像を画像形成した場合に、秘匿画像に剥がれが生じる虞があった。そこで、トナー像の秘匿画像が形成済みの圧着はがきに対して宛名等のトナー像を画像形成する場合には、圧着はがきの開封時にトナー像に剥がれが生じないようにする必要があった。以下、それを実現するための本実施形態について説明する。
【0043】
<画像形成処理>
第一実施形態の「画像形成処理」について、図3を参照しながら図6乃至図11(b)を用いて説明する。本実施形態の「画像形成処理」は、例えば画像形成装置100の電源投入時あるいはスリープ状態からの復帰時などに、制御部101により開始される。
【0044】
図6に示すように、制御部101は、ユーザに画像形成対象の記録材Sを選択させる(S1)。この時、制御部101はユーザに画像形成対象の記録材Sを選択させる画面を液晶表示部710に表示させる。本実施形態では、記録材Sをセットしたセット箇所をユーザに選択させる「セット箇所選択画面」(図7参照)と、選択したセット箇所にセットした記録材Sの種類をユーザに選択させる「記録材種類選択画面」(図8参照)が表示される。図7に示す「セット箇所選択画面」では、ユーザが給紙設定から例えば「手差し」、「カセット1」、「カセット2」のいずれかをセット箇所に選択できる。そして、ユーザにより「設定」ボタンが操作されると、図8に示す「記録材種類選択画面」に画面が遷移する。
【0045】
図8に示す「記録材種類選択画面」では、ユーザが「記録材種類」として上質紙、中質紙、コート紙の「普通紙」、「厚紙」、「はがき」等を選択することができる。そして、秘匿画像を形成済みの圧着はがきの表面や裏面にトナー像(非秘匿画像)を画像形成する場合、ユーザは「記録材種類」として「はがき」を選択したうえで「圧着はがき設定」の「ON」ボタンを操作する。これによって、画像形成対象の記録材Sに「圧着はがき」が選択される。なお、「圧着はがき設定」のデフォルト設定は「Off」であり、「ON」ボタンが操作されなかった場合は圧着されていない記録材Sが選択される。
【0046】
制御部101は、ユーザにより「圧着はがき」が選択されたか否かを判定する(S2)。「圧着はがき」が選択されていない場合(S2のNO)、制御部101は選択されたセット箇所にセットされた圧着されていない記録材Sに対するトナー像の画像形成を開始する(S8)。他方、「圧着はがき」が選択された場合(S2のYes)、制御部101は「糊面印刷方式」が「トナー」であるか否か(S3)、また「糊の塗布領域」が「縁糊」であるか否か(S4)を判定する。「糊面印刷方式」が「トナー」であるか否か、また「糊の塗布領域」が「縁糊」であるか否かは、ユーザによって図9(a)に示す「圧着はがき設定画面」から選択的に設定される。
【0047】
図9(a)に示す「圧着はがき設定画面」は、図8に示す「記録材種類選択画面」において「圧着はがき設定」の「ON」ボタンが操作され「圧着はがき」が選択された場合に液晶表示部710に表示される。図9(a)に示すように、「圧着はがき設定画面」では、ユーザが「圧着加工の詳細」として「糊面印刷方式」と「糊の塗布領域」を選択的に設定できる。ユーザが「圧着加工の詳細」の各項目に対応した「加工内容」の欄の画面を操作すると、図10(a)、図10(b)に示すプルダウンボタンが液晶表示部710にポップアップ表示され、ユーザはプルダウンボタンを操作して各加工内容を選択できる。
【0048】
図10(a)は「糊面印刷方式」の加工内容の選択画面(第一画面)であり、秘匿画像がトナーにより形成されている場合の「トナー」と、秘匿画像がインクにより形成されている場合の「インク」の2項目が選択可能になっている。図10(a)に示す例では、「トナー」が選択されている。図10(b)は「糊の塗布領域」の加工内容の選択画面(第二画面)であり、圧着はがきにおける糊の塗布領域が「全面糊」であるか「縁糊」であるかの2項目が選択可能になっている。図10(b)に示す例では、「縁糊」が選択されている。
【0049】
なお、「圧着加工の詳細」には、上記した「糊面印刷方式」と「糊の塗布領域」以外の項目を表示させてもよい。ただし、本実施形態の場合、「糊面印刷方式」が「トナー」であり、「糊の塗布領域」が「縁糊」である組み合わせをユーザが選択できるようにする必要がある。また、ユーザが「圧着はがき」の加工方法について設定方法が分からない場合にそなえて、図9(a)に示す「圧着はがき設定画面」に「ヘルプ」ボタンを表示させておいてもよい。ユーザにより「ヘルプ」ボタンが操作された場合、制御部101は図9(b)に示す「ヘルプ画面」を液晶表示部710に表示させる。「ヘルプ画面」には、圧着はがきの「糊の塗布領域」に関し「全面糊」と「縁糊」を示す画像や、折り加工された圧着はがきの断面を示す画像、また非秘匿画像が形成された圧着はがきのイメージ画像などが表示されている。なお、図9(a)に示す「圧着はがき設定画面」において、「糊面印刷方式」と「糊の塗布領域」は、ユーザが「OK」ボタンを操作することにより確定される。
【0050】
図6の説明に戻り、「糊面印刷方式」が「トナー」でない場合(S3のNo)、あるいは「糊面印刷方式」は「トナー」であるが「糊の塗布領域」が「全面糊」である場合(S3のYes且つS4のNo)、制御部101は選択されたセット箇所にセットされた圧着はがきに対するトナー像の画像形成を開始する(S8)。この際に画像形成対象の圧着はがきは、秘匿画像がトナーにより形成されたトナー像でなくインクにより形成された画像である圧着はがきか(S3のNo)、秘匿画像はトナー像であるが糊の塗布領域が全面糊の圧着はがきかである(S4のNo)。こうした秘匿画像がインクにより形成された画像の圧着はがきや、糊の塗布領域が全面糊である圧着はがきの場合には、圧着はがきの表面や裏面にトナー像が形成されても、圧着はがきの開封時に秘匿画像に剥がれが生じる虞がない。それ故、そうした圧着はがきである場合には、圧着はがきの表面や裏面に対するトナー像の画像形成が開始される。
【0051】
他方、「糊面印刷方式」が「トナー」であり(S3のYES)、且つ、「糊の塗布領域」が「縁糊」である場合(S4のYes)、制御部101は液晶表示部710に「警告画面」(図11参照)を表示させる(S5)。そして、制御部101は「警告画面」からのユーザ選択に従って、縁糊タイプの圧着用紙を用いて作成された圧着はがきに非秘匿画像として宛名などのトナー像を画像形成するか否かを判定する(S6)。画像形成する場合(S6のYes)、制御部101は圧着はがきに対するトナー像の画像形成を開始する(S7)。画像形成しない場合(S6のNo)、制御部101は圧着はがきに対するトナー像の画像形成を開始することなく処理を終了する。
【0052】
図11に、「警告画面」の一例を示す。図11に示すように、「警告画面」には、表面や裏面にトナー像を形成した圧着はがきを開封する際に異常が発生する旨の情報として、開封時に秘匿画像に剥がれが生じる可能性がある旨の警告が表示される。これは、上述の通り、秘匿画像がトナー像であり且つ糊の塗布領域が縁糊である圧着はがきの場合、圧着はがきの表面や裏面にトナー像が形成されると、圧着はがきの開封時に秘匿画像に剥がれが生じる虞があるからである。
【0053】
また、「警告画面」には上記の警告表示と同時に、画像形成の実行可否を選択可能な画面(第三画面)として「印刷する」ボタン及び「キャンセル」ボタンが表示される。警告表示を確認したユーザは、圧着はがきに対する画像形成をそのまま実行する場合に「印刷する」ボタンを操作すればよく、圧着はがきに対する画像形成を中止する場合に「キャンセル」ボタンを操作すればよい。
【0054】
以上のように、本実施形態では、秘匿画像がトナーで形成されたトナー像であり、且つ、糊の塗布領域が「縁糊」の圧着はがきの表面や裏面に画像形成する場合に、画像形成の実行前に液晶表示部710に警告画面が表示される。そして、警告画面に表示された警告表示により「秘匿画像に剥がれが生じる可能性がある」ことをユーザに認識させて、圧着はがきに対する画像形成の実行可否をユーザに選択させるようにしている。こうして、「秘匿画像に剥がれが生じる可能性がある」ことを警告表示することで、ユーザに圧着はがきに対する画像形成を実行しないことを選択させることができる。そして、ユーザは「秘匿画像に剥がれが生じる可能性がある」ことを認識したうえで、圧着はがきに対する画像形成を実行することができる。これにより、本実施形態では無駄な圧着はがきが生じるのを抑制することができる。
【0055】
<第二実施形態>
上述した第一実施形態では、ユーザが「秘匿画像に剥がれが生じる可能性がある」のを認識したうえで、圧着はがきに対する画像形成の実行を選択できることから、画像形成後の圧着はがきは開封時に秘匿画像に剥がれが生じる可能性が大きいままである。そこで、圧着はがきに対する画像形成の実行が選択され、圧着はがきの表面や裏面にトナー像(非秘匿画像)を画像形成する際には、開封時に秘匿画像に剥がれが生じないように圧着はがきに対し画像形成するのが好ましい。
【0056】
そこで、これを実現するための第二実施形態の「画像形成処理」について、図3を参照しながら図12乃至図14を用いて説明する。なお、上述した第一実施形態の「画像形成処理」と同じ処理については同じステップ番号を付して、説明を簡略または省略する。
【0057】
図12に示すように、制御部101は、ユーザに画像形成対象の記録材Sを選択させる(S1)。この時、制御部101は、記録材Sをセットしたセット箇所をユーザに選択させる「セット箇所選択画面」(図7参照)と、選択したセット箇所にセットした記録材Sの種類をユーザに選択させる「記録材種類選択画面」(図8参照)を液晶表示部710に表示させる。制御部101は、ユーザにより「圧着はがき」が選択されたか否かを判定する(S2)。「圧着はがき」が選択されていない場合(S2のNo)、制御部101は選択されたセット箇所にセットされた圧着されていない記録材Sに対するトナー像の画像形成を開始する(S8)。
【0058】
他方、「圧着はがき」が選択された場合(S2のYes)、制御部101は「糊面印刷方式」が「トナー」であるか否か(S3)、また「糊の塗布領域」が「縁糊」であるか否か(S4)を判定する。「糊面印刷方式」が「トナー」であるか否か、また「糊の塗布領域」が「縁糊」であるか否かは、ユーザによって図9(a)に示す「圧着はがき設定画面」から選択的に設定される。
【0059】
「糊面印刷方式」が「トナー」でない場合(S3のNo)、あるいは「糊面印刷方式」は「トナー」であるが「糊の塗布領域」が「全面糊」である場合(S3のYes且つS4のNo)、制御部101は選択されたセット箇所にセットされた圧着はがきに対するトナー像の画像形成を開始する(S8)。この場合、圧着はがきの表面や裏面にトナー像が形成されても、圧着はがきの開封時に秘匿画像に剥がれが生じる虞がない。他方、「糊面印刷方式」が「トナー」であり(S3のYes)、且つ、「糊の塗布領域」が「縁糊」である場合(S4のYes)、制御部101は液晶表示部710に「警告画面」を表示させる(S5)。
【0060】
図11に示すように、「警告画面」には、表面や裏面にトナー像を形成した圧着はがきを開封する際に異常が発生する旨の情報として、開封時に秘匿画像に剥がれが生じる可能性がある旨の警告が表示される。また、「警告画面」には「印刷する」ボタン及び「キャンセル」ボタンが表示される。さらに、第二実施形態の場合には、「警告画面」に「処理オプション」ボタンが表示される。ユーザにより「処理オプション」ボタンが操作されると、図13(a)に示す「処理オプション選択画面」に液晶表示部710の画面が遷移する。即ち、「処理オプション」ボタンは、液晶表示部710の画面を「警告画面」から「処理オプション選択画面」に遷移するか遷移しないかをユーザ選択可能な選択画面の一例である。
【0061】
「処理オプション選択画面」は、圧着はがきに対する画像形成を実行する際にトナー像を定着させる定着条件を変更可能な変更画面であり、ユーザは定着条件として「定着温度を下げる」を選択可能である。そして、ユーザが「定着温度を下げる」を選択した場合には、図13(b)に示す「定着温度の変更画面」が液晶表示部710にポップアップ表示される。「定着温度の変更画面」には、定着モードとして「標準:圧着はがき」モード、「低減1:はがき」モード、「低減2:普通紙」モードが選択可能に表示されている。なお、「処理オプション選択画面」の「標準設定」は、圧着はがきの画像形成用に予め決められた定着条件である。
【0062】
図14に、「標準:圧着はがき」モード、「低減1:はがき」モード、「低減2:普通紙」モードにおける定着ローラ81の温度の具体例を示すグラフである。図14に示すように、本実施形態の場合、「標準:圧着はがき」モードでは定着ローラ81の温度がデフォルトで「200℃」であり、「低減1:はがき」モードが選択されたときは定着ローラ81の温度が「180℃」に設定され、「低減2:普通紙」モードが選択されたときは定着ローラ81の温度が「160℃」に設定される。
【0063】
図12の説明に戻って、上記のように、第二実施形態の場合、制御部101は「処理オプション」ボタンを含む「警告画面」を液晶表示部710に表示させる(S5)。ユーザにより「処理オプション」ボタンが操作されると、制御部101は液晶表示部710の画面を「警告画面」から遷移することが選択されたとして、「処理オプション選択画面」(図13(a)参照)を液晶表示部710に表示させる。そして、制御部101は、ユーザにより「処理オプション選択画面」の「定着温度を下げる」が選択されたか否かを判定する(S21)。
【0064】
「処理オプション選択画面」の「定着温度を下げる」が選択されていない場合(S21のYes)、制御部101はステップS6の処理へ進む。この場合、制御部101は定着ローラ81の温度を「標準:圧着はがき」モードから下げない。
【0065】
他方、「処理オプション選択画面」の「定着温度を下げる」が選択された場合(S21のYes)、制御部101は図13(b)に示す「定着温度の変更画面」を液晶表示部710にポップアップ表示させて、ユーザに処理オプション設定を促す(S22)。そして、制御部101は、処理オプション設定として「低減1:はがき」モードか「低減2:普通紙」モードのいずれかがユーザにより選択されることに応じて、定着条件としての定着ローラ81の温度を変更し(S23)、ステップS6の処理へ進む。この場合、制御部101は定着ローラ81の温度を「標準:圧着はがき」モードから下げる。
【0066】
そして、制御部101は「警告画面」(図11参照)からのユーザ選択に従って、縁糊タイプの圧着用紙を用いて作成された圧着はがきに非秘匿画像として宛名などのトナー像を画像形成するか否かを判定する(S6)。「印刷する」ボタンが操作され、画像形成する場合(S6のYes)、制御部101は圧着はがきに対するトナー像の画像形成を開始する(S7)。この際に、制御部101は定着温度を下げることで、秘匿画像の一部のトナーが溶融するのを抑制し得る。このように、秘匿画像に剥がれが生じ難い定着条件に変更されて、圧着はがきに対する画像形成が行われる。なお、「キャンセル」ボタンが操作され、画像形成しない場合(S6のNo)、制御部101は圧着はがきに対するトナー像の画像形成を開始することなく処理を終了する。
【0067】
以上のように、第二実施形態においても上述の第一実施形態と同様に、秘匿画像がトナーで形成されたトナー像であり、且つ、糊の塗布領域が「縁糊」の圧着はがきの表面や裏面に画像形成する場合に、画像形成の実行前に液晶表示部710に警告画面が表示される。そして、ユーザが「秘匿画像に剥がれが生じる可能性がある」ことを認識したうえで、圧着はがきに対する画像形成を実行できるようにしている。ただし、第二実施形態では、定着条件として定着温度を下げて、圧着はがきに対する画像形成を実行できるようにしている。定着条件を変更すると、画像形成時に圧着はがきにおける秘匿画像(トナー像)の一部のトナーが溶融するのを抑制できることから、圧着はがきが開封される際に秘匿画像に剥がれが生じ難くなる。したがって、無駄な圧着はがきが生じるのを抑制できる。
【0068】
なお、上述した第二実施形態の場合、「処理オプション選択画面」(図13(a)参照)において、ユーザは定着条件として「定着温度を下げる」の他に、「搬送速度を上げる」、「定着圧力を下げる」を選択可能である。ユーザが「搬送速度を上げる」を選択した場合には、図示を省略したが、「標準:圧着はがき」モード、「低減1:はがき」モード、「低減2:普通紙」モードの3項目が選択可能に表示された「搬送速度の変更画面」が液晶表示部710に表示される。本実施形態の場合、「標準:圧着はがき」モードでは回転用モータ810の回転速度がデフォルトで「低速」であり、「低減1:はがき」モードが選択されたときは回転用モータ810の回転速度が「中速」に設定され、「低減2:普通紙」モードが選択されたときは回転用モータ810の回転速度が「高速」に設定される。
【0069】
また、ユーザが「定着圧力を下げる」を選択した場合には、図示を省略したが、「標準:圧着はがき」モード、「低減1:はがき」モード、「低減2:普通紙」モードの3項目が選択可能に表示された「定着圧力の変更画面」が液晶表示部710に表示される。本実施形態の場合、「標準:圧着はがき」モードでは加圧用モータ820の加圧力がデフォルトで「高圧」であり、「低減1:はがき」モードが選択されたときは加圧用モータ820の加圧力が「中圧」に設定され、「低減2:普通紙」モードが選択されたときは加圧用モータ820の加圧力が「低圧」に設定される。
【0070】
なお、「処理オプション選択画面」において、ユーザが「定着温度を下げる」、「搬送速度を上げる」、「定着圧力を下げる」を組み合わせて選択できるようにしてもよい。即ち、複数の定着条件を組み合わせて変更できるようにすると、秘匿画像に剥がれがより生じ難くなるので好ましい。
【0071】
なお、上述した第一、第二実施形態は、V字折り(2つ折り)された圧着はがきに適用することに限られず、例えばZ折りや逆Z折りされた圧着印刷物などにも適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
8…定着部(定着装置)、80…ヒータ、81…第一回転体(定着ローラ)、82…第二回転体(加圧ローラ)、90…温度センサ、100…画像形成装置、101…制御部、150…画像形成部、500…加圧部(加圧機構)、700…操作部(タッチパネル)、810…回転駆動部(回転用モータ)、820…加圧駆動部(加圧用モータ)、910…出力部、S…記録材
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図2
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