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特開2024-167790液体吐出装置、液体吐出方法、物品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024167790
(43)【公開日】2024-12-04
(54)【発明の名称】液体吐出装置、液体吐出方法、物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20241127BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
B41J2/175 141
B41J2/18
B41J2/175 113
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084114
(22)【出願日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永田 香子
(72)【発明者】
【氏名】星平 貴光
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雄太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤村 秀彦
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056FC01
2C056KA01
2C056KB04
2C056KB10
2C056KB14
2C056KB15
2C056KB16
2C056KB37
2C056KC02
2C056KC09
2C056KC15
(57)【要約】
【課題】吐出ヘッドと接続された液体容器を備える液体吐出装置において、液体容器内で固形成分が沈降しにくく、吐出ヘッドから安定して吐出を継続することが可能な液体吐出装置が求められていた。
【解決手段】、液体吐出部と、液体容器とを備え、前記液体容器は、貯留槽と、前記貯留槽に液体を注入する注入口と、前記貯留槽から前記液体を排出する排出口と、前記貯留槽において、前記貯留槽の底面から所定高さよりも上に配置された流路規定部と、を備え、前記液体容器は、前記所定高さよりも上に前記流路規定部の側面に沿って形成された主流路と、前記所定高さよりも下に前記流路規定部の下面と前記貯留槽の底面との間に形成された副流路と、を備え、平面視において、前記液体が前記主流路を流れる方向と、前記液体が前記副流路を流れる方向は、互いに異なる、ことを特徴とする液体吐出装置である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吐出部と、液体容器とを備え、
前記液体容器は、
貯留槽と、
前記貯留槽に液体を注入する注入口と、
前記貯留槽から前記液体を排出する排出口と、
前記貯留槽において、前記貯留槽の底面から所定高さよりも上に配置された流路規定部と、を備え、
前記液体容器は、
前記所定高さよりも上に前記流路規定部の側面に沿って形成された主流路と、
前記所定高さよりも下に前記流路規定部の下面と前記貯留槽の底面との間に形成された副流路と、を備え、
平面視において、前記液体が前記主流路を流れる方向と、前記液体が前記副流路を流れる方向は、互いに異なる、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
平面視において、前記主流路は、前記流路規定部の側面に沿った第一方向に前記液体を流動させる第1部分と、前記第一方向とは反対方向に前記液体を流動させる第2部分とを備え、前記第1部分と前記第2部分は前記流路規定部の端部と前記貯留槽の側壁との隙間を介して接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記流路規定部の端部と前記貯留槽の側壁との隙間の幅をBとし、前記流路規定部の下面と前記貯留槽の底面との距離をCとした時、C<Bを満足する、
ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記流路規定部の端部と前記貯留槽の側壁との隙間の幅をBとし、前記流路規定部の下面と前記貯留槽の底面との距離をCとした時、C≦0.2×Bを満足する、
ことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記流路規定部の下面と前記貯留槽の底面との距離をCとした時、C≦1.0mmである
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記流路規定部は、前記貯留槽の長手方向に沿って延在している、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記流路規定部は、前記貯留槽の短手方向に沿って延在している、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記流路規定部は、少なくとも一部が前記貯留槽の側壁と接続している、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記流路規定部は、少なくとも一部が前記液体容器の蓋部と接続している、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記流路規定部は、少なくとも一部が前記貯留槽の底面と接続している、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
平面視において、前記注入口と前記排出口とを結ぶ直線は、前記流路規定部と交差する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記液体容器は、前記液体吐出部に前記液体を供給する液体容器である、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
鉛直方向において、前記注入口は前記排出口よりも高い位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項12に記載の液体吐出装置。
【請求項14】
前記液体容器は、前記液体吐出部から前記液体を回収する液体容器である、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項15】
鉛直方向において、前記注入口は前記排出口よりも低い位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項14に記載の液体吐出装置。
【請求項16】
前記液体吐出部と前記液体容器は、前記液体を循環させる循環路に配置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項17】
前記液体は、不溶性粒子を含むインクである、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項18】
前記流路規定部の主成分は、金属、セラミック、樹脂のいずれかである、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項19】
前記流路規定部の主成分は、前記貯留槽の主成分と同一である、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項20】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出装置を用いて、前記液体吐出部から前記液体を吐出させる、
ことを特徴とする液体吐出方法。
【請求項21】
前記液体は、機能性薄膜あるいは機能素子を形成するための機能材料を含んだインクである、
ことを特徴とする請求項20に記載の液体吐出方法。
【請求項22】
請求項21に記載の液体吐出方法により、機能性薄膜あるいは機能素子の原料を含んだインクを基材に吐出する、ことを特徴とする物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッドと液体容器とを備えた液体吐出装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるインクジェットプリンタ等の液体吐出装置の分野では、吐出ヘッドに供給する液体を一旦貯留するための液体容器を備える装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、吐出ヘッドに供給するインクから気泡を分離するため、サブタンク内に仕切り壁を設けておき、サブタンク内をインクが蛇行して流れるようにした装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-198393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では、液体吐出装置を用いて、種々の液体を吐出させることが行われている。例えば、固体粒子等の固形成分を含む液体の場合には、固形成分が沈降しやすいため、沈降により液体の物性が変化すると吐出特性に影響を及ぼすことが問題となり得る。
【0006】
特許文献1に記載された方法によれば、サブタンク内でインクを蛇行させて流すことにより、インク中から気泡を分離する効果を発揮することが期待できる。しかしながら、蛇行させることによりサブタンク内におけるインクの流速が局所的に低下してインクが滞留しやすい箇所が生じるため、インクの固形成分がサブタンク内で沈降してしまう可能性が高くなる。固形成分が沈降すると、本来の物性から変化したインクが吐出ヘッドに供給されてしまうため、インクの吐出を安定して継続することができなくなる場合があった。
【0007】
そこで、吐出ヘッドと接続された液体容器を備える液体吐出装置において、液体容器内で固形成分が沈降しにくく、吐出ヘッドから安定して吐出を継続することが可能な液体吐出装置が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの態様は、液体吐出部と、液体容器とを備え、前記液体容器は、貯留槽と、前記貯留槽に液体を注入する注入口と、前記貯留槽から前記液体を排出する排出口と、前記貯留槽において、前記貯留槽の底面から所定高さよりも上に配置された流路規定部と、を備え、前記液体容器は、前記所定高さよりも上に前記流路規定部の側面に沿って形成された主流路と、前記所定高さよりも下に前記流路規定部の下面と前記貯留槽の底面との間に形成された副流路と、を備え、平面視において、前記液体が前記主流路を流れる方向と、前記液体が前記副流路を流れる方向は、互いに異なる、ことを特徴とする液体吐出装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、吐出ヘッドと接続された液体容器を備える液体吐出装置において、液体容器内で固形成分が沈降しにくく、吐出ヘッドから安定して吐出を継続することが可能な液体吐出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るインク供給機構の模式図。
図2】(a)第1循環路内でインクを循環させている状態を説明するための模式図。(b)インクを吐出するノズル部分の一例を示す模式図。
図3】上流側第2タンクの構成の一例を説明するための分解斜視図。
図4】(a)図3に示すA-A′に沿って切断した水平方向の断面図。(b)図3に示すB-B′に沿って切断した鉛直方向の断面図。
図5図3に示すC-C′に沿って切断した鉛直方向の断面図。
図6】(a)貯留槽内におけるインクの流れを説明するための模式図。(b)貯留槽内におけるインクの流れを説明するための模式図。
図7】実施形態の変形例を示す模式図。
図8】(a)実施形態2に係る上流側第2タンクをZ方向に沿って透視した平面図。(b)実施形態2に係る上流側第2タンクをX方向に沿って透視した正面図。
図9】実施形態2に係る上流側第2タンクをY方向に沿って透視した側面図。
図10】(a)実施形態3に係る上流側第2タンクをZ方向に沿って透視した平面図。(b)実施形態3に係る上流側第2タンクをX方向に沿って透視した正面図。
図11】実施形態3に係る上流側第2タンクをY方向に沿って透視した側面図。
図12】(a)比較例についてのシミュレーションを示す図。(b)実施例についてのシミュレーションを示す図。
図13】(a)比較例1についてのシミュレーションを示す図。(b)比較例2についてのシミュレーションを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照して、本発明の実施形態である液体吐出装置等について説明する。
尚、以下に示す実施形態は例示であり、例えば細部の構成については本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当業者が適宜変更して実施をすることができる。
【0012】
尚、以下の実施形態及び実施例の説明において参照する図面では、特に但し書きがない限り、同一の符号を付して示す要素は、同様の機能を有するものとする。図中において、同一の要素が複数個配置されている場合には、符号の付与及びその説明が省略される場合がある。
【0013】
また、図示および説明の便宜のために図面を模式的に表現する場合があるため、図面に記載された要素の形状、大きさ、配置などは、現実の物と厳密に一致しているとは限らない場合があるものとする。また、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点であるXX(下限)及びYY(上限)を含む数値範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
【0014】
また、以下の説明において、例えばXプラス方向と記す場合には、図示の座標系におけるX軸矢印が指すのと同じ方向を指し、Xマイナス方向と記す場合には、図示の座標系におけるX軸矢印が指す方向に対して180度反対の方向を指すものとする。また、単にX方向と記す場合には、図示のX軸矢印が指す向きとの異同は関係なく、X軸と平行な方向であることを指すものとする。X以外の方向についても、同様とする。
【0015】
本明細書では、重力方向を下向き、反重力方向を上向きと記載する場合がある。図面では、反重力方向がZプラス方向になるように座標系を設定しており、相対的にZ座標が大きな位置のことを高い位置、Z座標が小さな位置のことを低い位置と呼ぶ場合がある。
【0016】
説明の便宜のため、Z方向に沿って外観視または透視することを平面視、X方向に沿って外観視または透視することを正面視、Y方向に沿って外観視または透視することを側面視、と呼ぶ場合がある。
【0017】
本明細書では、液体吐出装置において取扱う液体を「インク」と記載する場合があるが、実施形態に係るインクは文字や画像を形成するための記録材料を含んだ液体には限らない。例えば、電極や光学フィルタなどの機能性薄膜や、有機EL素子などの機能素子を形成するための機能材料を含んだ液体であってもよい。不溶性の固形成分を含んだ液体であってもよい。また、液体を吐出して対象物に付与することを「記録」と記載する場合があるが、ここでいう記録とは必ずしも文字や画像などの情報を記録することに限られるわけではない。例えば、機能性の薄膜、機能素子、三次元造形物、等の物品を製造するための原料を含んだ液体を対象物に付与することも含んでいる。また、液体を付与する対象物を「記録媒体」と記載する場合があるが、文字や画像などの情報を記録するための媒体に限られるわけではなく、機能性の薄膜、機能素子、三次元造形物、等の物品を製造するための基材となる部品(例えば基板)を含んでいる。
【0018】
[実施形態1]
(インク供給機構)
図1に示すインク供給機構の模式図を参照して、実施形態1に係る液体吐出装置のインク供給機構の構成と動作を説明する。インク供給機構は、第1循環路610、第2循環路620、補充回収機構630を含んで構成されている。インクを流す流路は、例えば硬質なパイプやフレキシブルなチューブを用いて構成され得るが、以後の説明では単に流路と記す場合がある。
【0019】
尚、本実施形態で好適に用いられるインクは、不溶性粒子を含むインクである。例えば、重合性化合物を40[wt%]~70[wt%]、チタニア等の光散乱性粒子を2[wt%]~20[wt%]、量子ドットとしての半導体微粒子を40[wt%]~70[wt%]含み、さらに重合開始剤、安定化剤等を適宜に配合したインクである。
【0020】
第1循環路610は、インクを吐出する吐出ヘッド3にインクを供給する循環路であり、第1ポンプP1、回収バルブ612、流路661、上流側第2タンク2F、流路662、吐出ヘッド3、流路663、下流側第2タンク2R、流路664を含んで構成される。流路661を構成するパイプの端部は、上流側第2タンク2Fの中に所定の深さまで挿入されており、流路664を構成するパイプの端部は、下流側第2タンク2Rの中に所定の深さまで挿入されている。第1ポンプP1、回収バルブ612、吐出ヘッド3の各々は、不図示の制御部により動作が制御される。回収バルブ612は三方弁であり、制御部の制御により、COMゲートとNOゲートが接続されてNCゲートが閉じられた状態か、あるいはCOMゲートとNCゲートが接続されてNOゲートが閉じられた状態を取り得る。前者の状態では、第1循環路610は開かれ、回収配管632により構成される回収路は閉じられる。後者の状態では、第1循環路610は閉じられ、回収配管632により構成される回収路は開かれる。
【0021】
第1循環路610内でインクを循環させる際には、第1ポンプP1が駆動されるとともに、三方弁である回収バルブ612のCOMゲートとNOゲートが接続されて、図1において反時計回りにインクを循環させる。吐出ヘッド3には、流路662を介して上流側第2タンク2Fからインクが供給され、吐出ヘッド3で吐出されなかったインクは、流路663を介して下流側第2タンク2Rに回収される。尚、第1循環路610に、不図示の脱気モジュールを接続しておき、インクを循環させながら脱気処理を行ってもよい。
【0022】
第2循環路620は、第1循環路610に供給するインク、あるいは第1循環路610から回収されたインク、を貯留して循環させる循環路である。第2循環路620は、第1タンク1、流路666、第2ポンプP2、供給バルブ621、流路665を含んで構成される。第2ポンプP2、供給バルブ621の各々は、制御部により動作が制御される。供給バルブ621は三方弁であり、制御部100の制御により、COMゲートとNOゲートが接続されてNCゲートが閉じられた状態か、あるいはCOMゲートとNCゲートが接続されてNOゲートが閉じられた状態を取り得る。前者の状態では、第2循環路620は開かれ、供給配管631により構成される供給路は閉じられる。後者の状態では、第2循環路620は閉じられ、回収配管632により構成される供給路は開かれる。
【0023】
第2循環路620内でインクを循環させる際には、第2ポンプP2が駆動されるとともに、三方弁である供給バルブ621のCOMゲートとNOゲートが接続されて、図1において反時計回りにインクを循環させる。尚、第2循環路620に、不図示の脱気モジュールを接続しておき、インクを循環させながら脱気処理を行ってもよい。
【0024】
補充回収機構630は、図1において点線で囲まれて示されており、第2循環路620から第1循環路610にインクを供給するための開閉可能な供給路と、第1循環路から第2循環路にインクを回収するための開閉可能な回収路を構成している。
【0025】
供給路が開かれる場合には、三方弁である供給バルブ621のCOMゲートとNCゲートが接続されるため、供給配管631を経由して第2循環路620から第1循環路610にインクが供給され得る。供給路が閉じられる場合には、供給バルブ621のCOMゲートとNOゲートが接続されてNCゲートは閉じられるため、第2循環路620から第1循環路610に供給配管631を通じてインクが流れることはなくなる。
【0026】
第1循環路610に供給されたインクは、流路661を通じて上流側第2タンク2Fに流入する。尚、図1の例では、供給配管631は三つ口継ぎ手を介して第1循環路610と接続されているが、制御部100により制御可能な三方弁を三つ口継ぎ手の位置に設けてもよい。
【0027】
回収路が開かれる場合は、三方弁である回収バルブ612のCOMゲートとNCゲートが接続されるため、回収配管632を経由して第1循環路610から第2循環路620にインクが回収され得る。回収路が閉じられる場合は、回収バルブ612のCOMゲートとNOゲートが接続されてNCゲートは閉じられるため、第1循環路610から第2循環路620に回収配管632を通じてインクが流れることはなくなる。
【0028】
第2循環路620に回収されたインクは、流路665を経由して第1タンク1に流入する。尚、図1の例では、回収配管632は三つ口継ぎ手を介して第2循環路620と接続されているが、制御部100により制御可能な三方弁を三つ口継ぎ手の位置に設けてもよい。
【0029】
第1循環路610と第2循環路620の間でインクの補充も回収も行わない場合には、補充回収機構630の供給バルブ621および回収バルブ612は、COMゲートとNOゲートが接続するように制御部100により制御される。これにより、供給路および回収路は閉鎖されるため、第1循環路610と第2循環路620は分離される。その状態で、制御部が、第1ポンプP1を駆動させれば第1循環路610内に存するインクが循環し、第2ポンプP2を駆動させれば第2循環路620内に存するインクが循環する。すなわち、第1循環路610と第2循環路620とが切り離された状態のもとで、各々の循環路では独立してインクを循環させることができる。
【0030】
第2循環路620から第1循環路610へインクを補充する場合は、制御部により、以下のように各部が制御される。まず、第1循環路610の第1ポンプP1を停止させ、回収バルブ612のCOMゲートとNOゲートを接続させ、回収路を閉鎖する。そして、供給バルブ621のCOMゲートとNCゲートを接続させて供給路を開くとともに、第2ポンプP2を駆動して所望量のインクを補充するための補充流量運転を実施する。第2循環路620から第1循環路610に補充されるインクの量は、第2ポンプP2が補充流量運転時に送液する単位時間あたりの流量と、供給バルブ621においてCOMゲートとNCゲートが接続されている時間の積によって決まる。
【0031】
第1循環路610から第2循環路620へインクを回収する場合は、制御部により、以下のように各部が制御される。第2循環路620中の第2ポンプP2を停止させるとともに、供給バルブ621のCOMゲートとNOゲートが接続された状態にして供給路を閉鎖する。そして、回収バルブ612のCOMゲートとNCゲートが接続される状態にして回収路を開くとともに、第1ポンプP1を駆動して所望量のインクを回収するための回収流量運転を実施する。第1循環路610から第2循環路620に回収されるインクの量は、第1ポンプP1が回収流量運転時に送液する単位時間あたりの流量と、回収バルブ612のCOMゲートとNCゲートが接続されている時間の積によって決まる。回収量は上流側第2タンク2Fおよび下流側第2タンク2Rの各々に取り付けられている液面センサ124の計測値に基づいて設定され、液面が徐々に下がり液面センサの出力値が目標値となるまで回収が継続される。
【0032】
(第1循環路について)
次に、図2(a)、図2(b)を参照して、第1循環路610について詳しく説明する。図2(a)は、第1循環路610内でインクを循環させている状態を説明するための模式図であり、図2(b)は、インクを吐出する液体吐出ヘッド(液体吐出部)の一例を示す模式図である。各図では、インクの流れが模式的に矢印で示されている。
【0033】
第1循環路610内において、インクの流量は所定の値になるように第1ポンプP1の動作によって制御される。例えば、流路664に流量計を設置し、その流量計の測定値が所定の値になるように制御される。第1循環路610内において、下流側第2タンク2R内のインクが流路664を介して第1ポンプP1に吸い上げられると、下流側第2タンク2R内に存するインクの体積が減少しようとするため、下流側第2タンク2R内の圧力は減少する。第1ポンプP1から押し出されたインクは、回収バルブ612のCOMゲートからNOゲートを通過し、供給配管631と流路661が接続された三つ口継ぎ手に至る。図2(a)には不図示であるが、供給バルブ621のNCゲートが閉鎖されているため,インクは供給配管631側に流れることはできず、流路661側に流れて上流側第2タンク2F内に排出される。
【0034】
上流側第2タンク2Fは密閉されているので、上流側第2タンク2F内に存するインクの体積が増加しようとすると上流側第2タンク2F内の圧力は増加する。上流側第2タンク2Fと下流側第2タンク2Rの圧力差により、上流側第2タンク2F内のインクは流路662を通じて吐出ヘッド3に供給される。インクは、吐出ヘッド3内の流路643を介してノズルプレート640それぞれに均等になるように配分される。インクは更にノズルプレート640内の流路を経由して、流路663に流れ、下流側第2タンク2R内に排出されることで、インクが循環することとなる。
【0035】
図2(a)には、上流側第2タンク2Fおよび下流側第2タンク2Rの内部の液面レベルについて、吐出時規定量に対応する液面レベルL1を示している。吐出時規定量に対応する液面レベルL1とは、第1循環路610内でインクを循環させながら、吐出ヘッド3の下面に取り付けられているノズルプレート640の吐出ノズルからインクを吐出させるのに適した液面レベルである。液面レベルL1は、上流側第2タンク2Fおよび下流側第2タンク2Rにおいて、例えば貯留槽の底面から天井までの高さの10%以上かつ90%以下の範囲とする。液面高さが10%未満となると、循環中に下流側第2タンク2R内において流路663からのインクの噴出により液面が波打つ現象が発生して、下流側第2タンク2R内の液圧が変動してしまう。この液圧変動が、吐出ヘッド3の吐出ノズル近傍の液圧にまで影響を与えてしまい、吐出が不安定になってしまうため、液面高さを10%以上とするのがよいのである。また、液面高さが90%より高くなると、第1ポンプP1の運転により発生する液圧変動(脈動)を、タンク内で吸収して抑制する効果が低減してしまうため、液面高さは90%以下とするのがよいである。
【0036】
図2(b)に、吐出ヘッド3(液体吐出部)が備えるノズル部分の一例を示す。図2(a)に示した複数のノズルプレート640の各々には、図2(b)に示す吐出ノズル20A、圧力室19、圧電素子18が配置されており、吐出ノズル20Aからインクの液滴が吐出される。図2(b)に示すように吐出ヘッド3は、エネルギー発生素子である圧電素子18と吐出ノズル20Aとが設けられた5つの圧力室19を備えている。各々の吐出ノズル20Aは、5つの圧力室の中の1つと個別に接続されている。尚、圧電素子18を駆動するための電気回路や配線は、図示の便宜のため省略されている。エネルギー発生素子は圧電素子に限られるわけではなく、液体に吐出エネルギーを付与可能なものであれば他の素子であってもよく、例えば電気熱変換素子(ヒータ)を用いてもよい。各々の圧力室19は、供給口17を介して共通液室である流路643と連通しており、流路643から液体の供給を受けることができる。
【0037】
流路643は、吐出ノズル20Aにインクを供給し、吐出ノズル20Aから吐出されなかったインクを回収する流路でもある。吐出ノズル20A近傍の流路643に流れるインクの流速Vは、インク中に含まれる固形成分の沈降を抑制できる流速となっている。流速Vが速いほど、固形成分の沈降を抑制する効果は大きくなる。
【0038】
しかしながら、吐出ノズル20Aの近傍におけるインクの流速Vは、速ければ速いほど良いというわけではない。吐出ノズル20Aから吐出される液滴の大きさは、安定して均一であることが望まれるが、そのためには、ノズルプレート640に作りこまれている全ての吐出ノズル20Aにおいて、流れ込むインクの液圧が時間的に安定して均一であることが必要である。しかし、ノズルプレート640に実際に作りこまれる流路の形状は、製造上の誤差により、長さ、断面積、曲がり方、等が不可避的にばらついてしまう。ノズル近傍の流路643内の液圧は流路形状のばらつきの影響を受けるが、流速Vが速ければ速いほど液圧のばらつき幅が拡大する。すなわち、流速Vが速くなると、ノズル近傍の流路643内の液圧が、ノズル毎に大きくばらついてしまう。このため、ノズル近傍の流路643内を流れるインクの流速Vは、流路643内においてインクの固形成分が沈降するのを抑制できる最低限の流速にするのが望ましい。
【0039】
(液体容器の構成)
次に、第1循環路610に設けられた液体容器としての上流側第2タンク2Fと下流側第2タンク2Rについて、具体的な構成例を説明する。図3は、上流側第2タンク2Fの構成の一例を説明するための分解斜視図である。図4(a)は、図3に示すA-A′に沿って切断した水平方向の断面図であり、図4(b)は、図3に示すB-B′に沿って切断した鉛直方向の断面図であり、図5は、図3に示すC-C′に沿って切断した鉛直方向の断面図である。
【0040】
図3に示すように、上流側第2タンク2Fは、インクを貯留するための貯留槽251と、タンク内を密閉状態に保つための蓋252を備えている。貯留槽251は、底面257と、長手方向(Y方向)において対向する側壁255Aおよび側壁255Bと、短手方向(X方向)において対向する側壁256Aおよび側壁256Bと、を有する。長手方向の一方の端部近傍(すなわち側壁255A近傍)において、蓋252に設けられた開口を通して、流路661のパイプ217が貯留槽251に挿入されている。パイプ217の先端の開口253(注入口)は、貯留槽251の底面257近傍の所定位置に配置されている。長手方向の同じ側の端部近傍(すなわち側壁255A近傍)において、貯留槽251の底面には開口254(排出口)が設けられており、開口254には吐出ヘッド3(液体吐出部)と接続する流路662のパイプ254Pが接続されている。流路661から上流側第2タンク2Fに注入されたインクは、後述するように貯留槽251内の主流路FMあるいは副流路FSのいずれかを流れ、開口254から吐出ヘッド3に向けて排出される。
【0041】
下流側第2タンク2Rは、上流側第2タンク2Fと同様の構造を有するが、インクが流れる方向が上流側第2タンク2Fと逆になる。すなわち、下流側第2タンク2Rでは、吐出ヘッド3と接続されている流路663を介して、貯留槽251の底面の開口254から貯留槽251内にインクが流入する。インクは、貯留槽251内を主流路と副流路に分かれ、蓋252に挿入されたパイプ217を介して、第1ポンプP1と接続された流路664から貯留槽251の外に吸い上げられる。
【0042】
貯留槽251を平面視すると、流入口と流出口は、平面視ではタンク長手方向の片側(側壁255A側)に配置されている。また、流入口と流出口は、鉛直方向において互いに異なる高さに配置されている。上流側第2タンク2Fの場合は、流入口である開口253は流出口である開口254よりも高い位置に配され、下流側第2タンク2Rの場合は、流入口である開口254は流出口である開口253よりも低い位置に配される。流入口と流出口は、液体吐出時におけるタンク内の液面レベルL1よりも、鉛直方向において低い位置に配置される。注入口が液面レベルL1よりも高い位置に配置されると、注入されたインクが液面に落下する際に飛び散り、飛沫が貯留槽や流路規定部材4の壁面に付着し、固形成分だけを壁面に残留させることにより槽内のインクの物性が不安定になる場合があり得る。本実施形態では、流入口と流出口を液面レベルL1よりも低い位置に配置しているため、係る問題は防止される。
【0043】
タンク内には、貯留槽の底面から所定高さよりも上に、インクの流路を規定する流路規定部としての流路規定部材4が、タンク長手方向であるY方向に沿って配置されている。流路規定部材4は、平面視では、流入口および流出口が配置された側(側壁255A側)から側壁255B側に向かって、タンク長手方向に沿って延在しているが、側壁255Bとの間には距離Bの隙間が確保されている。図4(a)に示す様に、流路規定部材4は、貯留槽251内の短手方向の中央に位置し、主流路FMの短手方向(X方向)の幅が等しくなるように貯留槽251内を2分割している。貯留槽251の内面の短手方向(X方向)の幅をAとすれば、流路規定部材4と側壁256Aの間隔、および流路規定部材4と側壁256Bの間隔は、流路規定部材4の厚さを無視すればA/2である。尚、平面視において、注入口と排出口とを結ぶ直線は、流路規定部材と交差するような位置関係にある。
【0044】
また、正面視の図4(b)、あるいは側面視の図5に示されるように、流路規定部材4の底辺は、吐出時における液面レベルL1よりも低い位置に配置され、流路規定部材4の底辺(下面)と貯留槽251の底面257との間には、距離Cの隙間が確保されている。
【0045】
図6(a)および図6(b)は、貯留槽251内におけるインクの流れを説明するための模式図である。流路規定部材4を備える本実施形態によれば、パイプ217から貯留槽251に注入されたインクは、貯留槽251内の主流路FMまたは副流路FSのいずれかを流れ、開口254からパイプ254Pを介して吐出ヘッド3に向けて排出される。主流路FMは、パイプ217の開口253の位置から、まずYプラス方向に沿って延伸する。そして、距離Bの隙間においてXプラス方向に方向を変え、さらにYマイナス方向に延伸して開口254に至る経路である。平面視において、主流路FMは、流路規定部の側面に沿った第一方向に液体を流動させる第1部分と、第一方向とは反対方向に液体を流動させる第2部分とを備え、第1部分と第2部分は流路規定部の端部と貯留槽の側壁との隙間を介して接続されている。
【0046】
主流路FMの幅は、(A-流路規定部材の厚さ)/2となっており、流路規定部材4を設けない場合と比較して流路断面積を小さくできるため、インクの流速を大きくすることができる。Yプラス方向に流れる流路の幅とYマイナス方向に流れる流路の幅が等しいため、主流路FMを流れるインクの平均的な流速は、ほぼ均一になる。主流路FMにおいてインクの流れを反転させる際に流速が低下しないようにするため、距離B≦(A-流路規定部材の厚さ)/2、に設定するのが望ましい。
【0047】
ただし、流路規定部材表面の流路抵抗により、流路規定部材4の近傍ではインクの速度が局所的に低下し、固形成分の沈降が発生しやすくなる。仮に、流路規定部材4の底辺が貯留槽251の底面257と当接しているとすると、流路規定部材4と底面257とで構成される角部の付近には、固形成分が沈降して滞留しやすくなる。
【0048】
一方、本実施形態によれば、流路規定部材4の底辺(下面)と貯留槽251の底面257との間には距離Cの隙間が設けられており、副流路FSが形成されている。すなわち、貯留槽の底面から所定高さよりも下に、流路規定部の下面と貯留槽の底面との間に、副流路FSが形成されている。このため、流路規定部材4の下面付近では、インクは距離Cの隙間を通じてXプラス方向に流動することが可能であり、この付近で固形成分の沈降が発生するのを大幅に抑制することができる。
【0049】
本実施形態では、主流路FMと副流路FSにおいて固形成分の沈降をバランスよく抑制するためには、距離C<距離B、にするのが望ましく、距離C≦0.2×距離B、にするのが更に好ましい。また、距離C≦1.0mm、にするのが好ましい。
【0050】
流路規定部材4のX方向の厚みを大きくすれば、主流路FMの流路断面積が小さくなるため、流速を高めることが期待できるが、貯留槽の容量が小さくなってしまう。固形成分の沈降抑制と、貯留槽の容量確保をバランスよく達成するため、(流路規定部材の厚み)≦0.5×(貯留槽の短手方向の長さA)、にするのが好ましい。また、0.5mm≦(流路規定部材の厚み)、にするのが望ましい。
【0051】
本実施形態によれば、注入されたインクの大部分を、主流路FMを介して貯留槽251の長手方向に早い流速で流動させ、流路規定部材4の下面近傍のインクを、副流路FSを介して貯留槽251の短手方向に流動させることができる。このため、貯留槽内における固形成分の沈降を極めて有効に抑制でき、物性が安定したインクを吐出ヘッド3に供給すること可能となる。尚、下流側第2タンク2Rでは、インクが流れる方向が上流側第2タンク2Fと逆になるが、上流側第2タンク2Fと同様の内部構造を有するため、インクは主流路FMと副流路FSを流れる。このため、上流側第2タンク2Fと同様に、貯留槽内における固形成分の沈降を極めて有効に抑制でき、第1循環路610(図1)において物性が安定したインクを循環させることができる。
【0052】
尚、流路規定部材4は、図3に例示したように、貯留槽251の側壁255Aに固定して設置することができる。ただし、流路規定部材4の設置方法はこれに限られるわけではなく、例えば蓋252に予め固定(接続)しておき、蓋252とともに貯留槽251に装着してもよい。
【0053】
流路規定部材4の材料としては、所定の強度を備え、インク物性に影響を与えない物質である限り特に限定されるわけではないが、例えば、金属、セラミック、樹脂のいずれかが主成分として好適に用いられる。液体貯蔵タンクの貯留槽あるいは蓋部を構成する材料と主成分が同一の材料を用いれば、温度や経時など環境変化に伴う特性変化の違いや、インク中へ別元素が溶出するなどの悪影響が低減される。また、流路規定部材4の表面に、材料の溶出を防止するのに適したコーティング処理を施しておくことも好ましい。主成分とは、流路規定部材4を構成する成分(材料)が複数であるとき、その成分が重量として最も多い成分のことであり、本明細書においては該当成分が50重量%以上占めることを意味する。
【0054】
また、流路規定部材4は、図4(a)、図4(b)の例では側壁255Bと完全に離間しているが、主流路FMを流れるインクを滞留させない限り、例えば図7に示すように、流路規定部材4と側壁255Bを接続する支持体SP1を設けてもよい。また、図4(b)、図5の例では、流路規定部材4は、貯留槽251の底面257と完全に離間しているが、副流路FSを流れるインクを滞留させない限り、例えば図7に示すように、流路規定部材4と底面257を接続する支持体SP2を設けてもよい。支持体SP1あるいは支持体SP2は、流路断面での占有面積が大きくなりすぎると、流れを淀ませて滞留点を発生させる可能性があるので、単体の大きさ、設置する個数や位置は適宜設定され得る。支持体SP1あるいは支持体SP2は、例えば、それぞれの流路断面における占有面積が10%以下になるようにする。
【0055】
また、図4(a)、図4(b)の例では、流路規定部材4と側壁255Aとを隙間なく当接させたが、例えば図7に示すように、流路規定部材4と側壁255Aの間に隙間Jを設けてもよい。隙間Jを設けることにより、流路規定部材4と側壁255Aを当接させて角部を構成する場合に比べて、側壁255Aの近傍でインクの固形成分が沈降するのを抑制することができる。
【0056】
[実施形態2]
実施形態2に係る液体吐出装置について、図面を参照して説明する。実施形態1と同様の構成要素については、図面中で同一の参照符号を付して示す。実施形態1と同様の説明事項については、説明を簡単化または省略する。インク供給機構についての説明は、実施形態1と同様であるため省略する。
【0057】
(タンクの構成)
実施形態2に係る上流側第2タンク2Fと下流側第2タンク2Rの具体的な構成例を説明する。実施形態1と同様に、実施形態2においても上流側第2タンク2Fと下流側第2タンク2Rは同様の構造を有するが、インクが流れる方向が逆になる。
【0058】
実施形態1では、貯留槽の長手方向の片側に開口253と開口254を配置し、長手方向に沿って延在する単体の流路規定部材4を設けて、主流路FMと副流路FSを規定していた。本実施形態は、インクの大部分を流動させる主流路FMと、流路規定部材の底辺と貯留槽の底面の間でインクを流動させる副流路FSとを備える点で実施形態1と共通するが、開口253と開口254の配置、流路規定部材の構成が実施形態1とは異なる。
【0059】
図8(a)は、上流側第2タンク2FをZ方向に沿って透視した平面図であり、図8(b)はX方向に沿って透視した正面図、図9はY方向に沿って透視した側面図である。本実施形態では、インクを注入する開口253と、インクを排出する開口254を、貯留槽の長手方向について反対側に配置している。また、インクの流路を規定する流路規定部材41および流路規定部材42が、タンク長手方向であるY方向に沿って配置されている。流路規定部材41は、平面視では、流入口が配置された側の側壁255Aから側壁255B側に向かって、タンク長手方向に沿って延在しているが、側壁255Bとの間には距離Dの隙間が確保されている。流路規定部材42は、平面視では、流出口が配置された側の側壁255Bから側壁255A側に向かって、タンク長手方向に沿って延在しているが、側壁255Aとの間には距離D’の隙間が確保されている。距離Dと距離D’は、製造上の誤差を除き、等しくするのが望ましい。主流路FMにおいてインクの流れを反転させる際に流速が低下しないようにするため、距離D≦(A-2枚の流路規定部材の厚さ)/3、および距離D’≦(A-2枚の流路規定部材の厚さ)/3に設定するのが望ましい。
【0060】
図8(a)に示す様に、流路規定部材41と流路規定部材42は、貯留槽251の短手方向を均等に3分割するように配置されている。貯留槽251の内面の短手方向(X方向)の幅をAとすれば、流路規定部材41と側壁256Aの間隔、流路規定部材41と流路規定部材42の間隔、および流路規定部材42と側壁256Bの間隔は、流路規定部材の厚さを無視すればA/3である。すなわち、主流路FMの幅は、約A/3である。平面視において、注入口と排出口とを結ぶ直線は、流路規定部材と交差するような位置関係にある。
【0061】
また、図8(b)あるいは図9に示されるように、流路規定部材41および流路規定部材42の底辺(下面)は、吐出時における液面レベルL1よりも低い位置に配置されている。流路規定部材41の下面と貯留槽251の底面257との間には、副流路FSを形成するための距離Eの隙間が確保されている。同様に、流路規定部材42の下面と貯留槽251の底面257との間には、副流路FSを形成するための距離E’の隙間が確保されている。距離Eと距離E’は、製造上の誤差を除き、等しくするのが望ましい。E<Dを満足するのが望ましく、E≦0.2×Dを満足するのがさらに望ましい。
【0062】
実施形態1における主流路FMの幅が約A/2だったのに対して、本実施形態では主流路FMの幅が約A/3であり、貯留槽内のインクの流速をより大きくすることができる。本実施形態によれば、注入されたインクの大部分を、主流路FMを介して貯留槽251の長手方向に早い流速で流動させ、流路規定部材41および流路規定部材42の下面近傍のインクを、副流路FSを介して貯留槽251の短手方向に流動させることができる。このため、貯留槽内における固形成分の沈降を極めて有効に抑制でき、物性が安定したインクを吐出ヘッド3に供給すること可能となる。尚、下流側第2タンク2Rでは、インクが流れる方向が上流側第2タンク2Fと逆になるが、上流側第2タンク2Fと同様の内部構造を有するため、インクは主流路FMと副流路FSを流れる。このため、上流側第2タンク2Fと同様に、貯留槽内における固形成分の沈降を極めて有効に抑制でき、物性が安定したインクを第1循環路610(図1)内で循環させることができる。
【0063】
[実施形態3]
実施形態3に係る液体吐出装置について、図面を参照して説明する。実施形態1と同様の構成要素については、図面中で同一の参照符号を付して示す。実施形態1と同様の説明事項については、説明を簡単化または省略する。インク供給機構についての説明は、実施形態1と同様であるため省略する。
【0064】
(タンクの構成)
実施形態3に係る上流側第2タンク2Fと下流側第2タンク2Rの具体的な構成例を説明する。実施形態1と同様に、実施形態3の上流側第2タンク2Fと下流側第2タンク2Rは同様の構造を有するが、インクが流れる方向が逆になる。
【0065】
実施形態1では、貯留槽の長手方向の片側に開口253と開口254を配置し、長手方向に沿って延在する単一の流路規定部材4を設けて、主流路FMと副流路FSを規定していた。本実施形態は、インクの大部分を流動させる主流路FMと、流路規定部材の下面と貯留槽の底面の間でインクを流動させる副流路FSを備える点で実施形態1と共通するが、開口253と開口254の配置、流路規定部材の構成が実施形態1とは異なる。尚、本実施形態では、主流路FMは貯留槽の短手方向に液体が流れるように設定され、副流路FSは貯留槽の長手方向に液体が流れるように設定されている。
【0066】
図10(a)は、上流側第2タンク2FをZ方向に沿って透視した平面図であり、図10(b)はX方向に沿って透視した正面図、図11はY方向に沿って透視した側面図である。本実施形態では、インクを注入する開口253と、インクを排出する開口254を、貯留槽の長手方向の反対側に配置している。
【0067】
また、インクの流路を規定する流路規定部材431~流路規定部材440が、タンク短手方向であるX方向に沿って配置されている。参照番号の末尾が奇数の流路規定部材は、平面視では、側壁256Aから側壁256B側に向かって、タンク短手方向に沿って延在しているが、側壁256Bとの間には距離Gの隙間が確保されている。参照番号の末尾が偶数の流路規定部材は、平面視では、側壁256Bから側壁256A側に向かって、タンク短手方向に沿って延在しているが、側壁256Aとの間には距離Gの隙間が確保されている。このように、交互に配置された流路規定部材により、主流路FMは蛇行した形態に形成されている。
【0068】
図10(a)に示す様に、流路規定部材431~流路規定部材440は、貯留槽251の長手方向を均等11分割するように配置されている。貯留槽251の内面の長手方向(Y方向)の長さをFとすれば、流路規定部材431~流路規定部材440の相互の間隔は、流路規定部材の厚さを無視すればF/11である。すなわち、主流路FMの幅は、約F/11である。主流路FMにおいてインクの流れを反転させる際に流速が低下しないようにするため、距離G≦(F-流路規定部材の厚さ×10)/11に設定するのが望ましい。平面視において、注入口と排出口とを結ぶ直線は、流路規定部材と交差するような位置関係にある。
【0069】
また、図10(b)あるいは図11に示されるように、流路規定部材431~流路規定部材440の各底辺は、吐出時における液面レベルL1よりも低い位置に配置されている。流路規定部材431~流路規定部材440の各底辺と貯留槽251の底面257との間には、副流路FSを形成するための距離Hの隙間が確保されている。H<Gを満足するのが望ましく、H≦0.2×Gを満足するのがさらに望ましい。
【0070】
本実施形態によれば、注入されたインクの大部分は、主流路FMを介して貯留槽251内を蛇行しながら早い流速で流動し、各流路規定部材の底辺近傍のインクは、副流路FSを介して貯留槽251の長手方向に流動することができる。このため、貯留槽内における固形成分の沈降を極めて有効に抑制でき、物性が安定したインクを吐出ヘッド3に供給すること可能となる。尚、下流側第2タンク2Rでは、インクが流れる方向が上流側第2タンク2Fと逆になるが、上流側第2タンク2Fと同様の内部構造を有するため、インクは主流路FMと副流路FSを流れる。このため、上流側第2タンク2Fと同様に、貯留槽内における固形成分の沈降を極めて有効に抑制でき、物性が安定したインクを第1循環路610(図1)内で循環させることができる。
【実施例0071】
実施例および比較例を挙げて、さらに具体的に説明をする。まず、実施例および比較例を検証するシミュレーション方法について説明する。
【0072】
(シミュレーション方法)
液体貯留タンク内の液体が、固形成分である含有粒子の沈降を生じるか否かを、シミュレーションで検証した。
沈降した粒子は液体貯留タンクの底面に堆積するが、粒子が沈降しないようにするためには、沈降した粒子が凝集する前に常に底面から移動させるようにすると考える。そのためには、液体貯留タンク底面や壁面に一定以上のせん断力(摩擦力)が生じるような流れが形成されていることが求められる。
【0073】
まず、壁面のせん断力は、下記の数式1で表される。
【数1】
(τ:壁面でのせん断応力、ρ:液体密度)
【0074】
数式1に示すように、速度の次元で表現した物理量をシミュレーションでは摩擦速度Vで表すことが一般的である。この摩擦速度Vがある限界値を超えると、粒子が移動を開始する。すなわち、粒子が常に移動し沈降が生じなくなる。この限界値を限界摩擦速度Vcと呼び、下記の数式2を満足する粒子が移動する。
【数2】
【0075】
限界摩擦速度Vcは、粒子の密度や大きさ、また壁面の状態によっても変わり、あらかじめ実験的に求めることができる。対象とする粒子や壁面状態であらかじめ実験的に限界摩擦速度Vcを決定し、シミュレーションで出た摩擦速度Vが、その限界摩擦速度Vcを超えていれば粒子は沈降しないと評価できる。
【0076】
図12(a)、図12(b)に、シミュレーションを例示する。図12(a)は、比較例として、貯留槽の長手方向の反対側に液体供給側の開口253と液体排出側の開口254を配置し、流路規定部材を設けないモデルについてのシミュレーション結果である。図12(b)は、実施形態1に準じたモデルについてのシミュレーションを示している。
【0077】
図の下部には、液体貯留タンク内の液体の摩擦速度の分布をモノトーンのコンタ図で表しており、黒に近づくほど摩擦速度が上がり粒子の沈降が抑制できることを示している。図12(a)の比較例では、液体供給側の開口253と液体排出側の開口254付近では摩擦速度は上がっているが、両開口の間では摩擦速度が急速に落ちていることがわかる。一方、図12(b)の実施形態1に準じたモデルでは、液体貯留タンク全体がほぼ黒で表されており、液体貯留タンク全体で摩擦速度が高く沈降が生じにくい状態になっていることがわかる。
【0078】
尚、この例では、摩擦速度の差が大きい2種を並べており、コンタ図を視覚的に見ただけで沈降抑制効果に差があることが判るが、以降の例ではシミュレーション結果をさらに数値化して示す。すなわち、シミュレーションにより液体貯留タンク底面の摩擦速度を計算し、液体貯留タンク底面全体の面積に対する限界摩擦速度を下回る面積割合を算出した。ここで、対象となる粒子や壁面状態により限界摩擦速度の値が異なってくるが、今回は限界摩擦速度1mm/sを上回る領域の面積が占める割合で評価した。面積割合が高いほど粒子が沈降しやすいことを示し、面積割合0.01%以下をAランク、0.01~0.1%をBランク、0.1%以上をCランクとし、沈降リスクを評価した。
【0079】
[実施例1]
実施例1は、図4(a)、図4(b)、図5、等を参照して説明した実施形態1の具体例である。貯留槽251は、Y方向に細長い形状をしており、貯留内面の長手方向(Y方向)の長さは100mm、短手方向(X方向)の長さはA=17mmである。流路規定部材4は、材質としてSUSを用い、厚みは1mmとしている。主流路FMの平面視の幅は、8mmであり、流路規定部材4と側壁255Bの距離BはB=8mmである。流路規定部材4の底辺と貯留槽の底面257の距離Cは、C=0.5mmである。C/B=0.0625であり、C/B≦0.2、およびC≦1.0mm、が満たされている。
実施例1の構成でシミュレーションにより摩擦速度を評価したところ、固形成分の沈降リスクがAランクであり、好ましい結果が得られた。
【0080】
[実施例2]
実施例2は、実施形態1に準じた構成とし、B=5mm、C=0.5mmとした。この構成では、C/B=0.1になっている。
【0081】
実施例2の構成でシミュレーションによる摩擦速度を評価したところ、固形成分の沈降リスクがAランクであった。流路規定部材の端部における主流路FMの幅を実施例1よりも狭めた構成であっが、流路幅の変動による摩擦速度への影響は無く、実施例1と同じAランクで、さらに数%沈降リスクが低減した。
【0082】
[実施例3]
実施例3は、実施例1に準じた構成とするが、注入側の開口253および排出側の開口254の位置を変更した。すなわち、開口253および開口254を、平面視で側壁255Aからより離れた位置に配置した。具体的には、側壁255AからYプラス方向に10mm離間した位置に、開口253および開口254を配置した。
【0083】
実施例3の構成でシミュレーションによる摩擦速度を評価したところ、固形成分の沈降リスクはAランクであった。側壁255AからYプラス方向に離間する距離が10mmであれば、好ましい結果が得られることが確認された。
【0084】
[実施例4]
実施例4は、図8(a)、図8(b)、図9を参照して説明した実施形態2に準じた構成とし、貯留槽は実施例1と同様の構成としている。本実施例は、材質がSUSで、厚さが1mmの流路規定部材41と流路規定部材42を備える。
【0085】
A=17mm、D=D’=5mm、E=E’=0.5mmとした。E=E’<D=D’の関係が満たされている。また、E/D=0.1、E’/D’=0.1であるため、E/D≦0.2、E’/D’≦0.2の関係が満たされている。
この構成では、実施形態1よりもさらに主流路FMの幅が狭められているため流速が大きくなり、固形成分の沈降リスクはAランクであった。
【0086】
[実施例5]
実施例5は、図10(a)、図10(b)、図11を参照して説明した実施形態3に準じた構成としている。流路規定部材431~流路規定部材440の各々は、材質がSUSで、厚さが1mmのものを用いた。貯留槽251の長手方向(Y方向)の長さをF=100mm、G=8mm、H=0.5mmとした。H/G=0.0625であるため、H/G≦0.2の関係が満たされている。
この構成では、固形成分の沈降リスクはAランクであった。
【0087】
[比較例1]
比較例1は、図13(a)に示す様に、流路規定部材の底辺と貯留槽の底面との間に距離Cの隙間を設けずに、流路規定部材と貯留槽の底面とを当接させた形態である。貯留槽のサイズは実施例1と同じものにし、平面視で実施例1と同じ厚みで同じ材質の流路規定部材を用いる。B=8mmとして主流路FMは存在するが、C=0mmとすることで、副流路FSが存在しない構成としている。
【0088】
比較例1の構成でシミュレーションによる摩擦速度を評価したところ、沈降リスクがCランクであった。主流路FMと副流路FSの2つの流路を有する実施例1に対し、副流路FSが存在しない構成であったが、比較例1では沈降リスクが5%以上も高くなった。図13(a)の下段に示すコンタ図によると、特に流路規定部材4の近傍で摩擦速度が落ちている領域が確認できる。
【0089】
[比較例2]
比較例2は、図13(b)に示す様に、流路規定部材と貯留槽の側壁との間に距離Bの隙間を設けずに、流路規定部材と貯留槽の側壁とを当接させた形態である。貯留槽のサイズは実施例1と同じものにし、平面視で実施例1と同じ厚みで同じ材質の流路規定部材を用いる。C=0.5mmとして副流路FSは存在するが、B=0mmとすることで主流路FMが存在しない構成としている。
【0090】
比較例2の構成でシミュレーションによる摩擦速度を評価したところ、沈降リスクがCランクであった。主流路FMと副流路FSの2つの流路を有する実施例1に対し、主流路FMが存在しない構成であったが、比較例1では沈降リスクが大幅に高くなった。図13(b)の下段に示すコンタ図によると、特に開口253から離間した位置や、開口254から離間した位置で摩擦速度が落ちている領域が確認できる。
【0091】
比較例1と比較例2からわかるように、主流路FMと副流路FSの両方の流路を確保するように流路規定部材を構成しないと、含有粒子の沈降が抑制しきれないことが、シミュレーションで確認できた。これに対して、実施例1~実施例5では、固形成分の沈降リスクが抑制されていることが確認された。
【0092】
[他の実施形態]
なお、本発明は、以上説明した実施形態、実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。例えば、上述した異なる実施形態や実施例の全部または一部を組み合わせて実施しても差し支えない。
【0093】
例えば、流路規定部材の個数は、実施形態1では1個、実施形態2では2個、実施形態3では10個の場合を例示したが、これに限られるものではない。また、流路規定部材は、貯留槽と別部材である必要はなく、貯留槽そのものが主流路FMと副流路FSとを形成可能な形状を有していてもよい。
【0094】
本明細書は、少なくとも以下の事項を開示している。
[事項1]
液体吐出部と、液体容器とを備え、
前記液体容器は、
貯留槽と、
前記貯留槽に液体を注入する注入口と、
前記貯留槽から前記液体を排出する排出口と、
前記貯留槽において、前記貯留槽の底面から所定高さよりも上に配置された流路規定部と、を備え、
前記液体容器は、
前記所定高さよりも上に前記流路規定部の側面に沿って形成された主流路と、
前記所定高さよりも下に前記流路規定部の下面と前記貯留槽の底面との間に形成された副流路と、を備え、
平面視において、前記液体が前記主流路を流れる方向と、前記液体が前記副流路を流れる方向は、互いに異なる、
ことを特徴とする液体吐出装置。
[事項2]
平面視において、前記主流路は、前記流路規定部の側面に沿った第一方向に前記液体を流動させる第1部分と、前記第一方向とは反対方向に前記液体を流動させる第2部分とを備え、前記第1部分と前記第2部分は前記流路規定部の端部と前記貯留槽の側壁との隙間を介して接続されている、
ことを特徴とする事項1に記載の液体吐出装置。
[事項3]
前記流路規定部の端部と前記貯留槽の側壁との隙間の幅をBとし、前記流路規定部の下面と前記貯留槽の底面との距離をCとした時、C<Bを満足する、
ことを特徴とする事項2に記載の液体吐出装置。
[事項4]
前記流路規定部の端部と前記貯留槽の側壁との隙間の幅をBとし、前記流路規定部の下面と前記貯留槽の底面との距離をCとした時、C≦0.2×Bを満足する、
ことを特徴とする事項3に記載の液体吐出装置。
[事項5]
前記流路規定部の下面と前記貯留槽の底面との距離をCとした時、C≦1.0mmである
ことを特徴とする事項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
[事項6]
前記流路規定部は、前記貯留槽の長手方向に沿って延在している、
ことを特徴とする事項1乃至5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
[事項7]
前記流路規定部は、前記貯留槽の短手方向に沿って延在している、
ことを特徴とする事項1乃至5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
[事項8]
前記流路規定部は、少なくとも一部が前記貯留槽の側壁と接続している、
ことを特徴とする事項1乃至7のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
[事項9]
前記流路規定部は、少なくとも一部が前記液体容器の蓋部と接続している、
ことを特徴とする事項1乃至8のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
[事項10]
前記流路規定部は、少なくとも一部が前記貯留槽の底面と接続している、
ことを特徴とする事項1乃至9のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
[事項11]
平面視において、前記注入口と前記排出口とを結ぶ直線は、前記流路規定部と交差する、
ことを特徴とする事項1乃至10のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
[事項12]
前記液体容器は、前記液体吐出部に前記液体を供給する液体容器である、
ことを特徴とする事項1乃至11のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
[事項13]
鉛直方向において、前記注入口は前記排出口よりも高い位置に配置されている、
ことを特徴とする事項12に記載の液体吐出装置。
[事項14]
前記液体容器は、前記液体吐出部から前記液体を回収する液体容器である、
ことを特徴とする事項1乃至11のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
[事項15]
鉛直方向において、前記注入口は前記排出口よりも低い位置に配置されている、
ことを特徴とする事項14に記載の液体吐出装置。
[事項16]
前記液体吐出部と前記液体容器は、前記液体を循環させる循環路に配置されている、
ことを特徴とする事項1乃至15のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
[事項17]
前記液体は、不溶性粒子を含むインクである、
ことを特徴とする事項1乃至16のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
[事項18]
前記流路規定部の主成分は、金属、セラミック、樹脂のいずれかである、
ことを特徴とする事項1乃至17のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
[事項19]
前記流路規定部の主成分は、前記貯留槽の主成分と同一である、
ことを特徴とする事項1乃至18のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
[事項20]
事項1乃至19のいずれか1項に記載の液体吐出装置を用いて、前記液体吐出部から前記液体を吐出させる、
ことを特徴とする液体吐出方法。
[事項21]
前記液体は、機能性薄膜あるいは機能素子を形成するための機能材料を含んだインクである、
ことを特徴とする事項20に記載の液体吐出方法。
[事項22]
事項21に記載の液体吐出方法により、機能性薄膜あるいは機能素子の原料を含んだインクを基材に吐出する、ことを特徴とする物品の製造方法。
【符号の説明】
【0095】
1・・・第1タンク/2F・・・上流側第2タンク/2R・・・下流側第2タンク/3・・・吐出ヘッド/4・・・流路規定部材/41、42・・・流路規定部材/217・・・パイプ/251・・・貯留槽/252・・・蓋/253・・・開口/254・・・開口/254P・・・パイプ/255A、255B・・・側壁/256A、256B・・・側壁/257・・・底面/431~440・・・流路規定部材/610・・・第1循環路/612・・・回収バルブ/621・・・供給バルブ/620・・・第2循環路/630・・・補充回収機構/631・・・供給配管/632・・・回収配管/FM・・・主流路/FS・・・副流路/P1・・・第1ポンプ/P2・・・第2ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13